10/05/26 配信分

N Engl J Med. 2010 Mar 4;362(9):812-22.

A trial of a 7-valent pneumococcal conjugate vaccine in HIV-infected adults.

French N, Gordon SB, Mwalukomo T, White SA, Mwafulirwa G, Longwe H, Mwaiponya M, Zijlstra EE, Molyneux ME, Gilks CF.

Malawi-Liverpool-Wellcome Trust Clinical Research Programme, Blantyre, Malawi. neil.french@lshtm.ac.uk

■背 景

肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は,とくにアフリカにおいて,HIV感染成人に重篤な重復感染をもたらす主要な原因である.

現行の 23 価ポリサッカライドワクチンによる予防は不十分である.

さらなる選択肢として蛋白結合ワクチンがあるが,成人における臨床的有効性のデータが必要とされている.

■方 法

この二重盲検無作為化プラセボ対照臨床有効性試験において,主に HIV に感染したマラウイの成人で,侵襲性肺炎球菌に感染し回復した症例を対象に,7 価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性を検討した.

ワクチンを 4 週間隔で 2 回接種した.主要エンドポイントは,ワクチン接種後に発生したワクチン血清型または血清型 6A による肺炎球菌感染症とした.

■結 果

2003 年 2 月〜2007 年 10 月に 496 例(男性 44%,HIV 抗体陽性 88%)を追跡し,798 人年の観察結果を得た.

52 例で計 67 件の肺炎球菌感染症が認められたが,すべて HIV 感染者のサブグループであった.24 例でワクチン血清型による感染症が 19 件,血清型 6A による感染症が 5 件認められた.

このうち 5 件がワクチン群,19 件がプラセボ群であり,ワクチンの有効率は 74%(95%信頼区間 [CI] 30〜90)であった.

死亡例(死因は問わず)は,ワクチン群 73 例,プラセボ群 63 例あった(ワクチン群のハザード比 1.18,95% CI 0.84〜1.66).

ワクチン接種後 14 日間の重篤な有害事象は,ワクチン群のほうがプラセボ群より有意に少なかったが(3 件 対 17 件,P=0.002),軽度の有害事象はワクチン群で有意に多かった(41 件 対 13 件,P=0.003).

■結 論

HIV 感染成人に対する 7 価肺炎球菌結合型ワクチン接種により,ワクチン血清型または血清型 6A による肺炎球菌感染症の再発が予防された.

(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN54494731)

(N Engl J Med 2010; 362 : 812 - 22.)

Ritonavir, Inhaled Fluticasone Interact to Create Cushing's Syndrome Symptoms: Presented at AAAAI

By Carole VanSickle Ellis

NEW ORLEANS March 3, 2010

しばしばHIV感染者に使用されるチトクロームp450の誘導薬は吸入ステロイド(フルチカゾン;フルタイド)の代謝に影響を与え副腎機能抑制やクッシング症候群様の症状を生じさせる。という報告が2月28日のAAAAI(アメリカアレルギーと喘息、免疫学会総会 - American Academy of Allergy, Asthma & Immunology (AAAAI) Annual Meeting.)で報告された。

Keren Malev-Guri医師(Neve-Or AIDS Center Kaplan Medical Center, Rehovot, Israel)らのグループはrtvを含んだHAARTを受けている患者で、喘息発作の際にフルチカゾンを使用しその後に副腎不全とクッシング症候群と診断された3症例について臨床症状や診断を評価し検討した。

症例は12歳、55歳、65歳の女性でクッシング症候群に特徴的な満月様顔貌、体重増加、治療後の倦怠感を呈していた。

 当初、HAARTによるリポジストロフィーと診断されていたが、血液検査では早朝の血中コルチコイドレベルが低く、24時間尿中コルチゾールレベルも低かった。

ACTH分泌試験では明らかに異常な平坦型の分泌パターンを示し、(視床下部の刺激で分泌され、副腎皮質のステロイド合成を促す下垂体前葉ホルモン。朝高く、夜低いという明瞭な日内変動がみられる。)

 

これらにより副腎機能不全を伴ったクッシング症候群として診断された。

しかし、フルチカゾンの減量にともなって異常は軽快した。

1例はフルチカゾンをブテゾニド(シンビコート)に変更し、もう一例はその他の吸入ステロイドに変更しrtvについては臨床的、血液検査的な異常なく継続した。

Malev-Guri医師は今回の症例の検討をうけて「rtvを含むHAARTと吸入ステロイド使用している患者においてはrtvによるCYP3A4の誘導によるフルチカゾンの血中濃度が上昇することを念頭に臨床症状や血液検査等でクッシング症候群については考慮する必要があり、診断後はフルチカゾンを徐々に減量し副腎機能について詳細に検討するべきである。」とコメントした。

結論として、rtvとフルチカゾンの併用は避けるべきで、もし吸入ステロイドが必要なときは他の吸入ステロイド(ブテゾニド等)を使用すべきであるとした。

[Presentation title: Adrenal Suppression and Cushing's Syndrome Due to the Interaction Between Ritonavir and Inhaled Fluticasone. Abstract]

ネビラピン(ビラミューンR:NVP)は産後1年で再開できる

Nevirapine Can Be Resumed 1 Year After Childbirth in Mothers With HIV

バーミンガム、2010年3月2日

PLosMedicineに掲載された研究によれば、ネビラピンを投与されているHIV感染女性は、少なくとも出産後1年は、ネビラピンを含む抗HIV薬のレジメンを中止しなくてはならない。

この研究によれば、ネビラピンはHIV母体から胎児への移行を防ぐが、ネビラピン単剤でHIV感染妊婦に投与すると、組み合わせによっては抗ウイルス薬との交差耐性を引き起こすとのことである。

著者によれば、ネビラピンによって誘導された耐性は、約12カ月で消え、抗ウイルス療法を阻害しなくなる。

「この研究は、母子感染を防ぐためにネビラピンを使用してから12カ月以上たち、再度治療が必要になった女性が、標準的な初回治療を行うことが可能であることを示した。」と、Jeffery S.A.博士(アラバマ大学、バーミンガム、アラバマ)は述べた。

急ぎの治療を必要とする女性は、ネビラピンを含まない、典型的なプロテアーゼ阻害薬を含む抗レトロウイルス薬のレジメンを組み合わせの治療薬を使用するべきである。

UABstudyは、ザンビア、コートジボアール、タイにおける878人の感染女性が参加している。

一部の参加者はネビラピン単一用量を内服し、ほかの参加者は内服しなかった。

そして、すべての参加者に抗レトロウイルス薬を即時に投与し、感染に対する効果の確認とモニターを1年間行った。

ネビラピンは、発展途上国において抗HIV治療の主要薬剤であり続けている。

その母子感染予防における有益性は、今回の研究でも確かめられた。

SOURCE: University of Alabama at Birmingham

結核治療中における、抗レトロウイルス治療開始時期

原題:Timing of initiation of antiretroviral drugs during tuberculosis therapy.

N Engl J Med. 2010 Feb 25;362(8):697-706.

■背景

HIVと結核の共感染は死亡率が高い。抗結核治療と関連して、抗レトロウイルス療法を開始するタイミングはいつが最適であるか、議論が続いている。

■方法

南アフリカのダーバンで、我々は結核とHIVの両方に感染した642名を対象に、結核の治療中の群(同時治療群)と治療を終了した群(とに割り付けて、非盲検無作為化比較試験を行った。

結核は、喀痰塗沫の陽性結果に基づいて診断した。

CD4陽性細胞数が500/mm3以下の患者のみを対象とした。

全ての患者が、結核に対する標準治療と、ST合剤による予防内服、ジダノシン、ラミブジン、エファビレンツのレジメンによる1日1回の抗レトロウイルス治療を受けていた。

プライマリー・エンドポイントは、何らかの理由による死亡であった。

■結果

今回の研究では2008年9月1日までの期間、逐次治療群と同時治療群のデータが比較され、この時点で「データ・安全性監視委員会」が、全例に同時治療を行うべきであると勧告した。

同時治療群429例(25例が死亡、100 人年あたり 5.4)で、逐次治療群213例(27例が死亡、100人年あたり12.1)と比較し、死亡率の有意な低下が認められた;同時治療群の死亡率に56%の相対的減少が認められた(同時治療群のハザード比 0.44,95%信頼区間 0.25〜0.79,P=0.003)。

CD4陽性細胞数で層別化しても,死亡率は同時治療群のほうが低かった。観察期間中の有害事象の発生率は、両群で同等であった。

■結論

結核治療中の抗レトロウイルス療法開始は、生存率を有意に改善した。

この結果は、結核と HIV の診療が統合される契機となった。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる