10/06/08 配信分

毒性を除けば、チミジン長期投与はHIV患者にとって恩恵をもたらす:BHIVAでの報告

Despite Toxicity, Long-Term Thymidine Use Can Benefit Patients With HIV: Presented at BHIVA

イギリス、マンチェスター。2010年4月24日。ジドブジンは、特に、妊婦、幼児、そして、これらのHIV関連脳症患者において、HIV治療のよい方法であり続けている、と、イギリスHIV学会(BHIVA)、イギリス性とHIV学会(british association for sexual health and HIV;BASHH)の第2回合同カンファレンスで結論付けられた。

HIVの初期治療では、チミジンの長期投与における毒性を考慮され、ジドブシンとスタブジンは、新たな抗HIV薬にとって代わられた。Leann Johnson博士(North Manchester General Hospital、マンチェスター、イギリス)とその同僚は、チミジン長期使用における後ろ向きコホート研究を行い、その結果を4月21日に発表した。彼らは、大多数の患者では、長期投与における副作用は見られず、ジドブシンは特に長期投与が可能であることを発見した。

この解析は、2009年12月までのNorth Manchester General HospitalのHIV患者データを使用し行われた。抗HIV薬を投与された1503人の患者中、120人が、中央値5年というジドブシンの長期投与を受けていた。4人は、中央値9年というスタブジンの長期投与を受けていた。ジドブジンを投与されていた患者の76%は初期治療としての単剤治療であったが、スタブジン投与患者はわずか1名(25%)が単剤治療であった。

この研究の時点で、すべてのスタブジン投与患者と、85%のジドブジン投与患者では、ウイルス量は検出感度以下であった。治療後のCD4の最低値の平均は、ジドブジンで232cells/mm3、スタブジンで220cells/mm3であった。 スタブジンを初回に使用する理由としては、治療開始時点では適切な治療であったから(2患者)、他の抗ウイルス薬に耐性であったから(1患者)、アフリカで開始されたから(1患者)であった。スタブジン使用患者では、誰もチミジンに関連した毒性がみられた患者はいなかった。一方、3人の患者では、他の抗ウイルス薬に関連した毒性がみられた。この3名では、スタブジン投与における毒性がみられなかったことから、スタブジンを継続していた。残りの症例は、アフリカでも利用できるということ重要な理由であった。

逆転写酵素阻害剤に抵抗性の患者における抗ウイルス治療においては、新薬の方に利点があることから、スタブジンを含む治療レジメンの適応には限界がある。 ジドブシン使用患者では、46%に薬剤関連の毒性がみられた。貧血、消化器症状、リポジストロフィー、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、皮膚色素沈着、末梢神経障害などの副作用がみられた。他の抗ウイルス薬による毒性もジドブジン投与患者の46%にみられた。自覚症状がみられた患者を除いては、ほとんどの患者において、ジドブジン内服を継続していた。 副作用がみられない(36%)以外のジドブジンの継続理由としては、中枢神経系への移行がよいこと、妊娠、他の抗ウイルス薬の副作用や耐性、年齢(小児において)、アフリカでも入手可能であることなどがあった。 その毒性を除いては、ジドブジンは、特定の症例において、治療のオプションであり続けている。「副作用について患者に十分説明したうえで、毒性がみられないければ、患者が治療薬の変更を希望しないであろうということを、このコホート分析は示している。」著者は結論付けた。

この研究の基金は、the Pennine Acute Hospital NHS Trustにより提供された。

[Presentation title: Cohort Analysis of Long-Term Thymidine Use. Abstract P23]

※ジドブジンとスタブジンは、DNA中のチミジンと類似の構造を持つため、HIV-RNAの逆転写を阻害し、ウイルス増殖を阻害する。チミジンとまとめて述べられている場合は、この構造をもつ逆転写阻害剤(ジドブジン・スタブジン)のことをさしていると解釈しました。

FDAは中咽頭カンジダ症に対しミコナゾール口内錠を承認した。

FDA Approves Miconazole Buccal Tablets for Oropharyngeal Candidiasis

ニューヨーク、2010年4月16日。米国食品医薬品局(The US Food and Drug Administration(FDA))は、ミコナゾール口内錠を、成人・16歳以上の未成年での中咽頭カンジダ症の治療薬として承認した。 ミコナゾールは、50mg力価で、患者にとって、無味無臭であり、食事や飲水といった日々の活動の邪魔をしない便利な治療手段である。 FDAの認可は、3つの第2相試験に基づいている。 一つ目の研究は、577人のHIV患者に対し、ランダムに振り分けて、ミコナゾールとクロトリマゾールを、二重盲検・ダブルダミーで投与するという形で行われたものであった。HIV陽性患者に、1日5回投与したとき、ミコナゾールは、中咽頭カンジダ症の症状や兆候をクロトリマゾールと同様に改善させるという結果であった。 2つ目は、ランダム化、非盲検化、他施設共同比較試験で、頭頚部がんに対し放射線治療が行われた282名の患者が参加した。この実験では、ミコナゾールはこの患者群において−しばしば唾液量が低下しているが−、安全かつ効果的であることが示された。

ミコナゾールは、ガムに接着するように作られた口内錠である。砕いたり、噛んだり、飲み込んだりしないように患者に指導しなければならない。 治験の間に、ミコナゾールにおいて報告が多かった副作用(2%以上)は、下痢(6.0%)、悪心(4.6%)、頭痛(5.0%)、味覚異(2.9%)、上腹部痛(2.5%)、嘔吐(2.5%)であった。 ミコナゾールは、ミコナゾール過敏症の患者、濃縮乳やそれを含む製品に過敏症がある患者には禁忌である。アナフィラキシー反応や過敏症のような、アレルギー反応がミコナゾール投与により報告されている。

SOURCE: Par Pharmaceutical Companies, Inc.(2010/05/26 15:13)

※ミコナゾール:アゾール系の抗真菌薬。カンジダをはじめとして、白癬症の治療等に用いられる。剤刑としては、クリームやゲルといった外用薬、膣錠(カンジダ膣炎)、注射剤などが日本で承認されている(フロリードD)。ほかに、シャンプーもある。口内錠は日本では当然未認可。

※ダブルダミー:臨床試験で2つの試験治薬の区別がつく場合、医薬品等時に盲検を維持する技法。たとえば、AとBの比較を行う場合、一方に実際のA製剤とプラセボとしてB製剤の偽薬を、もう一方にA製剤の偽薬と実際のB製剤を投与し、2種類のうちどちらを実際に内服しているかを被験者にわからない状態にすること。(インターネット、治験ナビより)

HIV治療におけるネビラピン長期服用の安全性と効果

原題:Long-Term Nevirapine Safe and Effective in Treating HIV, With No Deterioration of Lipid Profile: Presented at ECCMID

By Chris Berrie

2010年4月12日、オーストリア・ウイーン

第20回ヨーロッパ臨床微生物と感染症学会において、レトロスペクティブな研究に基づいて、ネビラピン(NVP)ベースの長期にわたるHAARTは、HIV感染者において脂質に関連した増悪を認めることなく、安全で効果が高いという発表がなされた。 「HIV感染症の治療で中心となる、プロテアーゼ阻害剤を含むHAARTは、通常高コレステロール血症と高中性脂肪血症とに関連している。しかしNVPは脂質に及ぼす影響が限定的である」と主任研究員であるCristina Hidalgo博士(スペイン・マドリッド)は述べた。

「NVPを含むHAARTを対象とした全ての研究は観察期間が短期であった。この長期間の観察によって、我々は10年間副作用と臨床およびウイルス学的な治療効果を観察した」。 本研究における107名の対象者(平均年齢34.8歳、男性が81%)には、NVPを含むHAARTを初回治療として受けた群(12.1%)、ウイルスが検出限界以下となっていた前治療(PIベース)からのスイッチ群(75.7%)、前治療が失敗した群(12.1%)が含まれていた。HIVの感染経路は、性的接触が82.2%、注射によるものが17.8%であった。NVPが開始される時点で、CD4陽性リンパ球数は最低値が266.5個、平均は549個であった。NVPを前薬からのスイッチとして処方された81名において、その理由は処方の単純化(58%)、リポジストロフィー(19.7%)、高脂血症(7.4%)、そしてその他の毒性(14.8%)であった。

NVP治療は200mgを1日1回服用で開始し、それから200mg1日2回となった。132ヶ月におよぶフォーローアップ期間の後、対象者のNVPを含むHAART治療期間は平均で63ヶ月であった。 そのうち43名(40.1%)がウイルス検出限界以下を維持していた。8名(7.5%)でカポジ肉腫を発症し、3名(2.8%)はAIDS指定疾患以外の理由により死亡した。 NVP不要を中断した64名の理由は、42.2%が計画的治療中断で、その他ウイルス学的失敗(21.9%)、毒性(17.2%)、治療方針の変更(9.4%)、そして理由不明(9.4%)であった。 26名(24.3%)でベースラインの血清コレステロール値が240mg/dLより高くかった(平均278mg/dl)が、これは観察終了時に248mg/dlと有意に減少していた。同様に、8名(7.5%)で血清中性脂肪がベースラインで400mg/dlを超えていた(平均972mg/dl)が、観察終了時には521mg/dlまで有意に減少していた。

ヒダルゴ博士のチームは、血清コレステロールレベルは不変で、中性脂肪レベルは減少するなど、NVPを含むHAARTが脂質代謝に及ぼす影響は殆ど認められなかったと結論づけた。「ネビラピンは他の薬剤と違って、脂質に関わる副作用を持たない。安全で長期間にわたって使用可能である。そしてプロテアーゼ阻害剤と比べてより良い結果が得られた」と、ヒダルゴ博士はまとめた。

HIV患者において、市中MRSA感染率は6倍高い

Community Acquired MRSA Infection Rates 6 Times Greater in Patients With HIV

2010年3月24日、シカゴ。journal clinical infectious disease、4月1日号に掲載された研究によれば、HIV患者においては、市中メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(CA-MRSA)感染のリスクが高い。John H. Stroger博士( Hospital of Cook County and Rush University Mical Center, イリノイ州シカゴ)とその同僚は、市中MRSAの危険性は、HIV患者の方が、HIV陰性患者より6倍高いことを報告した。

電子データを利用し、この研究の著者は、2000年〜2007年までに、クック群健康病院(regional Cook Country Healthand Hospital System)の受診患者のうち、市中MRSA感染症を発症したHIV陽性患者について、レトロスペクティブに検討した。研究者らは、患者の郵便番号(ZIP code)を利用し、各症例の地理的分布を検討した。

クック群における全人口中の市中MRSA感染患者数は、第1期(2000年〜2003年)から第2期(2004年〜2007年)の間で著名に増加していた。HIV陰性患者では、61例から253例(患者10万人対)と約4倍に増加、HIV陽性患者でも、411例から1474例(患者10万人対)とほぼ4倍に増加した。

(ここでHIV陽性と陰性の間に6倍の差があるということのようです)

「HIVが市中MRSA感染の原因になっているわけではないが、われわれの研究から、HIVと市中MRSA感染症の関連が明らかになった」とKyle Popovich(Rush University Medical Centar)は述べた。「次の段階は、この感染を引き起こしているのは何かを明らかにすることだ。われわれは、感染の危険性はハイリスク患者の地域性に基づく社会的なネットワークと関連して増加していると考えている。」 市中MRSA感染のよく知られた危険因子として、託児所、刑務所、運動選手、軍隊などといった非常に親密なヒトとヒトの接触が存在する集団であるということがあげられる。 この研究は、刑務所の拘留者、薬物乱用者の治療施設や避難所、援助施設といった高い罹患率の郵便番号に住む人々が、市中MRSA感染の重要な予備軍であることを明らかにした。 しかし、この論文の著者は、「市中MRSA感染はクック群全体に蔓延している。流行が始まった当初は特定の郵便番号の地域に集中していたが、現在はその範囲を超えて広がっている。第1期の間は、HIV陽性患者でのMRSAが高率であったのは、クック郡の郵便番号の10%の地域であったが、第2期には21%の地域にまで拡大した。」と述べている。

「以前はハイリスク群ではなかった集団でもMRSA感染がみられる。われわれは流行の感染を抑えるため、これらの地域に十分な教育を行うとともに、予防手段を考じるための研究を行なわなう必要がある。」とPopovich博士は述べた。

SOURCE: Rush University Medical Center

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