10/08/20 配信分

Long-term nonprogressive disease among untreated HIV-infected individuals: clinical implications of understanding immune control of HIV.

JAMA. 2010 Jul 14;304(2):194-201.

Migueles SA, Connors M.

National Institute of Allergy and Infectious Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland 20892, USA.

Abstract

2008年において世界中で3300万人がHIV感染症に罹患していると報告されている。この中で0.5%未満とされているが、臨床的に20年以上も抗HIV薬を内服せず無症状で気鋭かしている患者集団が存在する。

彼らは抗HIV薬を内服している患者と同様でCD4数は安定しHIV量も低値で推移している。

無治療で長期未発症の患者について頻度やその機序についてはよくわかっていない。

しかし、この群に属する患者においては宿主の全身的は免疫反応に影響する因子としてHLAclass I拘束性のHIV特異的CD8細胞が最初に反応していることがわかってきた。

この患者群はHIV感染の長期的なコントロールの可能性や次世代のHIVワクチンや免疫治療の開発について希望を与えてくれる。

今回の報告では患者の臨床経過についてレビューを行い、多くのコホートによるノンプログレッサーの特徴について検討している。

効率的なHIV/AIDSワクチンのデザインも強調され、またHIV感染における長期未発症についての機序や医学的な発見がこういった患者の間での臨床研究によってもたらされた。

PMID: 20628133

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HIVはCD4値が高い患者においても死亡リスクを増加させるかもしれない

HIV appears to moderately increase mortality risk even in people with high CD4 count

NEW YORK 2010年7月15日

HIVは抗レトロウイルス治療を受けていないCD4 >350 cells/ulの患者においてもわずかながら死亡リスクを増加させるかもしれない、という新しい研究がLancetの電子版に掲載された。抗レトロウイルス治療はそのような患者における死亡リスクを減少させることができるかもしれないため、この知見に基づき、CD4 >350 cells/ulの患者で抗レトロウイルス治療を開始することのリスクと利点について研究をさらに続ける必要がある。

この論文はロンドン医科大学のHIV Epidemiology and Biostatistics Groupに所属するRebecca Lodwick医師、Andrew Phillips氏とその同僚によるものである。この研究はヨーロッパと北アメリカの23の集団からデータを集めて行われた。標準化死亡比は年齢と性別で調整し、感染原因別に層別化して算出された。20〜59歳で、抗レトロウイルス治療前に少なくとも1回以上CD4 >350 cells/ulであった患者が対象となった。死亡率は感染原因別に男性同性愛者、異性愛者、注射によるドラッグ使用、その他の4つのグループに分けて調査された。

40,830人(80,682人年(患者数と観察した年数の積))のデータが分析された。419人が死亡し、そのうち401人が標準化死亡比を使用して分析された。男性同性愛者が100人(標準化死亡比1.30、一般の人と比較して30%の死亡リスク増加)、異性愛者68人(標準化死亡比2.94、約3倍の死亡リスク増加)、注射によるドラッグ使用者203人(標準化死亡比9.37、9倍以上の死亡リスク増加)、その他30人(標準化死亡比4.57)であった。CD4 350-499 cells/ulの患者と比較すると、CD4 500-699の患者では死亡率が23%低く、CD4 >700の患者では34%低かった。

著者によると、死亡リスクの増加は注射によるドラッグ使用者と異性愛者ではかなり大きく、男性同性愛者では比較的小さかった。ドラッグ使用者と異性愛者での死亡リスクの増加は、HIV感染そのものの影響というよりは社会経済的要因や生活習慣が影響した結果であると考えられる。むしろ、男性同性愛者の死亡リスクの増加については、HIV感染そのものによる影響である可能性がある。この知見は、HIV感染者の死亡リスクの増加はHIV感染自体の影響ではなく社会環境因子による影響かもしれない、とする他の研究結果と一致する。

HIVは抗レトロウイルス治療を受けていないCD4 >350 cells/ulの患者においてもわずかながら死亡リスクを増加させるかもしれない、と著者は結論づけた。抗レトロウイルス治療はそのような患者における死亡リスクを減少させることができるかもしれないため、この知見に基づき、CD4 >350 cells/ulの患者で抗レトロウイルス治療を開始することのリスクと利点について研究をさらに続ける必要がある。

Massachusetts総合病院のIngrid Bassett医師とBrigham女性病院並びにハーバード医科大学のPaul Sax氏は、論文に付随する解説において、貧困層の患者においても同様の結果が得られるかどうか尋ねた。貧困層においては感染レベルが高いため、HIV感染が死亡リスクの増加に及ぼす影響がより大きい可能性がある。

この研究は、早期のHIV感染症の死亡率増加を分析した最も大規模な観察研究の一つである。欧米のガイドラインで推奨されているよりもCD4数が高い時点で抗レトロウイルス治療を開始することでこのリスクを減少させることができるかどうかは、まだわかっていない。抗レトロウイルス治療をすぐに開始する群と治療開始を遅らせる群を比較する試験が、現在少なくとも1件進行中である。この結果は数年後に明らかになるであろう。臨床医はHIV感染早期における超過死亡(予測以上の死亡発生数)を招くと考えられるような慢性疾患のスクリーニング、予防、危険因子の治療などを積極的に行わなければならない。この危険因子には、喫煙、注射によるドラックの使用、脂質異常症、高血圧、糖尿病、肥満、ウイルス性肝炎などが含まれる。HIV感染も、こういった相対的な免疫能の低下と共に、死亡リスクを増加させる因子の一つであると考えられる。

SOURCE : The Lancet

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HIV/HCV共感染の血友病患者ではHAARTにより肝機能保護が期待できる

 

Patients With Haemophilia Co-Infected With HCV/HIV Derive Liver Benefits From HAART: Presented at Haemophilia 2010

Thomas R. Collinsによる報告

2010年7月13日。HCVとHIVの共感染がある血友病患者は、高率に重篤な肝機能障害をきたす。しかし、HAARTにより、HCVによる危険性を減らすことができると、血友病世界会議にて発表された。

「HIVと共感染した患者は、末期肝障害・肝細胞癌への進行が早いということが実証されている。」7月12日、Olga Katsarou博士(National Reference Center for Bleeding Disordersアテネ、ギリシャ)は述べた。「1996年のHAARTの導入により、AIDS関連疾患の罹患率の低下がみられ、生存期間が延長したため、劇的にHIVの自然歴は改善した。

しかし、HCVの進行についてのHAARTの影響は、以前議論の余地があり、明確でない状態である。効果的であることの兆候があるにもかかわらず、である。

324人の患者がこの研究に参加した。164名がHCV単独感染、160名がHCV/HIVの共感染であった。

77患者がHCV治療を受けた。57人のHCV患者と20名のHCV/HIVの共感染患者であった。HCV/HIV共感染患者66名がHAARTを最低3カ月受けた。

34名の患者が、重篤な肝関連障害を発症した。12名がHCVグループ、22名がHCV/HIV共感染であった。

HCV/HIV共感染患者は肝関連障害の発生率が、HCV単独感染患者(危険率1)と比べ、約10倍高かった(危険率9.6、P<0.001)。

HAARTを受けている共感染患者での肝関連障害の発生率は、HCV/HIV共感染患者全体と比べ、5分の1であった(危険率1.7)。

HCV治療を受けた群では、HCV単独感染群全体と比し、肝障害の危険性が約40%低かった(危険率0.62)。しかし、統計学的に有意差はなかった。

「われわれの研究では、HCV感染患者の重篤な肝関連障害の累積罹患率は、HCV感染時と比べ高いことを明らかにした。」katsarou博士は述べた。「早期からのHAARTでは肝毒性による負の影響があるが、逆にHIVと共感染した血友病患者では、末期肝不全への進行のリスクを軽減できるようだ。」

[Presentation title: Incidence of Liver-Related Morbidity in a Cohort of Haemophilia Patients: The Impact of HAART on HCV Progression. Abstract 16FP04]

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母体および乳児への抗レトロウイルス薬治療がHIV-1の母子感染を減少させる

 

Maternal or infant antiretroviral drugs to reduce HIV-1 transmission.

 

N Engl J Med. 2010 Jun 17;362(24):2271-81.

 

University of North Carolina Project, Lilongwe, Malawi

Abstract

背景

マラウィ―において、母乳栄養中の28週間に、母体への抗レトロウイルス薬3剤併用治療と乳児へのnevirapine予防投与がHIV-1母子感染をどの程度減少させるかを調査した。

方法

HIV-1陽性でCD4+リンパ球250/mm3以上の母乳栄養中の2369人の母親を、母体に抗ウイルス治療を行う群、乳児にniverapine予防投与を行う群、抗ウイルス治療を行わない群(コントロール群)にランダムに割り当てた。すべての母親は、産前に単一用量のniverapineと一週間のzidovudine+lamivudineの予防投与を受けた。生後2週の時点でHIV-1陰性であった乳児について、Kaplan-Meier法を用いて生後28週におけるHIV-1感染の累積リスクと累積死亡を推定した。感染率および死亡率はlog-rank検定を用いて比較した。

結果

5%の乳児が生後2週の時点でHIV-1陽性であった。生後2週から28週までのHIV-1感染リスクは、母体治療群(2.9%)、乳児予防投与群(1.7%)に比べ、コントロール群(5.7%)で有意に高かった(p<0.001)。生後2週から28週までの乳児のHIV-1感染リスクと死亡の合計は、コンロトール群では7.0%であり、母体治療群では4.1%(p=0.02)、乳児予防投与群では2.6%(p<0.001)であった。母体が白血球減少をきたした割合は、乳児予防投与群(2.6%)、コントロール群(2.3%)と比べ、母体治療群で6.2%と高かった。乳児予防投与群の1.9%が薬剤による過敏症反応を起こした。

結論

母乳栄養中の28週間に、母体への抗レトロウイルス薬治療または乳児へのniverapine予防投与を行うことで、HIV-1の母子感染を減少させることができる。

(Clinical Trials. gov number, NCT00164736.) 2010 Massachusetts Medical Society

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ボツワナにおける、新婦・授乳中患者への抗レトロウイルス薬療法

Antiretroviral regimens in pregnancy and breast-feeding in Botswana.

N Engl J Med. 2010 Jun 17;362(24):2282-94. Shapiro RLら。

要約

背景:妊娠中のHIV-1母子感染の予防に最も効果的なHAARTのレジメン、そして、その授乳中の効果についてはよく分かっていない。

方法:560名のHIV感染妊娠女性(CD4細胞数200細胞/mm3以上)を、ランダムに分け、アバカビル(サイアジェンR)、ジドブジン(レトロビルR)、ラミブジン(エピビルR)(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤群)または、ロピナビル・リトナビル合剤(カレトラR)とジドブジン・ラミブジンの合剤(コンビビルR)を加えた群(プロテアーゼ阻害薬群)を、妊娠26週〜34週までの間から、産後6カ月まで投与した。170名のCD4細胞数が170細胞/mm3以下の患者については、ネビラピン(ビラミューンR)とジドブシン・ラミブジン合剤(コンビビルR)を投与した(観察群)。乳児には、ネビラピン(ビラミューンR)単回投与とジドブシン(レトロビルR)投与を4週間行った。

結果:400コピー/ml以下へのウイルス抑制率は高く、それぞれのグループの出産時では有意な差は見られなかった(NRTi群96%、PI群93%、観察群94%)。授乳中も差は見られなかった(NRTI群92%、PI群93%、観察群95%)。6カ月の時点で、709人中8人の新生児(1.1%)が感染していた(95%信頼区間0.5〜2.2)。6名が子宮内感染(4例がNRTI群、1名がPI群、1名が観察群)で、2名が授乳中の感染(2名ともNRTI群)であった。治療制限に及ぶような副作用はNRTI群で2%、PI群は2%、観察群で11%であった。

結論:妊娠から、産後6カ月までのHAARTのレジメンでは全てにおいて、高いウイルス抑制効果がみられた。全体での母子感染の発生率は1.1%であった。 (ClinicalTrials.gov number, NCT00270296.)

2010 Massachusetts Medical Socie ty

PMID: 20554983 [PubMed - indexed for MEDLINE]

*薬剤の商品名は、論文自体には書いてありません。

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