11/02/09 配信分

Noncirrhotic portal hypertension in HIV infection;

Vispo E, Morello J, Rodriguez-Novoa S, Soriano V; Current Opinion in Infectious Diseases (Dec 2010)

目的:HAART時代において西欧諸国のHIV感染者の肝疾患は罹患率および死亡率が高い合併症の一つである。多くのケースは原因(ウイルス性肝炎、脂肪肝炎、アルコール性肝障害、薬剤性など)が特定できるとしても肝臓の異常の原因が不明な例もあり、そのなかには肝硬変のない症例での門脈圧亢進症(NCPH)がその一つである。

最近の知見: 2006年にHIV感染者における第一例目が報告され注意喚起された。典型的には食道静脈瘤からの出血をともなうような明かな肝疾患がなく、時に死に至る。興味深いことにほとんどの症例で肝機能検査異常がないのに高度の門脈圧亢進がみられる。肝生検では、門脈の末梢での巣状の閉塞を伴う広範な門脈の消失が特徴である。(massive absence of portal veins along with focal obliteration of small portal veins)  詳細な原因検索によって抗ウイルス薬(とくにddI)がこの状態に関与していることが示唆された。その他としては腸管からの菌の侵入(microbial translocation)が亢進することと、血栓形成亢進状態が関与していると考えられている。

まとめ:NCPHはHIV患者で報告が増えてきているがまだ不明な部分が多い病態である。 一般的には門脈圧亢進を疑わせる臨床症状(消化管出血など)の存在に注意する必要がある。HIV感染から長期間をへてさらに抗ウイルス薬治療を長く経験した症例でこの病態が見られる。  多くの症例で過去も含めてddIの内服を行っている。ddIの中止と食道静脈瘤破裂予防とその治療が最も有効な対処法と考えられている。

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HIV陽性患者における急性C型肝炎

Acute hepatitis C infection in HIV-positive patients; Vogel M, Boesecke C, Rockstroh JK; Current Opinion in Infectious Diseases 24 (1), 1-6 (Feb 2011)

Source: Curr Opin Infect Dis

レビューの目的:この10年間、男性と性接触を持つHIV陽性男性の間で急性C型肝炎(AHC)感染症が流行している。最初の大流行はヨーロッパで観察され、最近では米国やオーストラリアでも認められる。HIV陽性患者におけるAHC感染症の対応に関する無作為対象試験はいまだ十分ではないが、臨床試験、コーホート研究の発表データによってこれらの患者の疫学的傾向、自然経過や治療に関して知ることができる。

最近の知見:データによると、診断後4週間以内のC型肝炎ウイルス(HCV)RNAの推移によって、HIV感染患者におけるAHC感染症の自然経過を予測することが可能である。また診断後24週以内に抗ウイルス療法を始めると、HCVの遺伝子型にかかわらず60%から80%の高い奏効率を得ることができる。抗ウイルス療法に関しては、(リバビリン追加に関するデータは十分ではないが、)リバビリン併用のペグ・インターフェロンはすべてのHCV遺伝子型に推奨されている。

サマリー:AHC感染症の流行を抑えるために、"予防"に再度焦点を合わせる必要がある。通常のスクリーニングはAHC感染の診断に有用であり、さらに適切な自然経過のモニタリングを可能とし、早期抗ウイルス療法へのアクセスとなる。

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3つ以上の耐性変異があるHIV患者でのmaraviroc治療適応における表現型と遺伝子型の指向性決定の比較

Comparison of phenotypic and genotypic tropism determination in triple-class-experienced HIV patients eligible for maraviroc treatment; Vandekerckhove L, Verhofstede C, Demecheleer E, De Wit S, Florence E, Fransen K, Moutschen M, Mostmans W, Kabeya K, Mackie N, Plum J, Vaira D, Van Baelen K, Vandenbroucke I, Van Eygen V, Van Marck H, Vogelaers D, Geretti AM, Stuyver LJ;

Journal of Antimicrobial Chemotherapy Online (Dec 2010)

背景:HIV-1の指向性の確認は、CCR5阻害剤の利用の必要条件である。この研究は、臨床における遺伝子型の指向性テスト、日常的にHIV治療を受けている患者の表現型の指向性テスト(PTT)の相関関係を評価した。

Original Trofile Assayを行った49名の血漿(TM)が3つ以上の耐性変異がある(triple-class-experienced)、治療変更を必要とした患者から得られた。ウィルス指向性は、2つの独立したPTT分析評価(Trofile Biosciences、サンフランシスコ、CA(USA)とVirco、Beerse、ベルギー)から、3つ以上の指向性を生み出す変異と定義された。もし定義が整わないならば、クローナルなPTTが指向性検索を終えるために実行された。

この2段階のアプローチは、基準となる指向性の定義を可能にした。基準となる指向性の結果からCCR5指向性(R5)(maravirocによる治療の適応がある患者)の検体が35/49、非R5として定義された検体が14/49であった。非R5サンプル[FDA/European Medicines Agency( EMEA)によるとmaraviroc治療の適応がない患者]グループは、CXCR4(X4)サンプルとCCR5/CXCR4(R5/X4)サンプルを含んだ。このTM群のPTTsと比較し、GTTsはより高い感度(97%)とより高い陰性適中率(91%)を示し、ほぼ同等の特異度と同等の陽性適中率であった。臨床試験データからの近年の報告から結論付けると、われわれのデータは、maraviroc開始前の指向性決定のツールとして、GTTsを使用することを支持する。

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結膜カポジ肉腫の治療におけるMitonycin Cの病巣内投与

Intralesional Mitomycin-C for the Treatment of Conjunctival Kaposi Sarcoma; Korn BS, Park DJ, Kikkawa DO; Ophthalmic Plastic and Reconstructive Surgery (OPRS) (Dec 2010)

Source: Ophthal Plast Reconstr Surg

結膜円蓋の右下方に進行性に拡大する色素病変を呈した38歳のHIV男性が症例として提示された。Biopsyが施行され、カポジ肉腫と診断された。Mitomycin Cの病巣内投与が行われ、結果として肉腫は完全に回復した。36か月のfollow upで再発は認められなかった。我々の知る限りでは、この症例は結膜カポジ肉腫に対するMitomycin Cの病巣内投与が成功した最初の例である。

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HAART時代のHIV感染患者における高率な心エコー異常について

High Prevalence of Echocardiographic Abnormalities among HIV-infected Persons in the Era of Highly Active Antiretroviral Therapy.

Clinical Infectious Diseases 52 (3), 378-386 (Feb 2011)

Abstract

背景:現在抗HIV剤併用療法(HAART)が広く行われているが、HIV感染者は心血管系疾患の高リスク群である。しかしHIV感染者群にける心構造や心機能の無症候性の異常についてはあまり知られていない。

方法:効果的治療世代における、HIV/AIDS患者の自然経過を理解する研究(SUN Study)は、基本的な心エコー検査を行った656名のHIV感染者に対する前向き・観察・多方面コーホート研究で、2004年から2006年に行われた。筆者らは左心室収縮期機能障害(LVSD)、拡張期機能障害(DD)、肺高血圧(PHTN)、左室肥大(LVH)、左房拡大(LAE)の罹患率と関連要因について調べた。

結果:研究に参加したHIV感染者は以下の通りである。平均年齢41歳、女性24%、非ラテンアメリカ系黒色人種29%、HAART治療歴あり73%、平均CD4陽性細胞数462個/μLであった。評価可能であった対象者のうち、LVSD 18%、DD 26%、PHTN(右室圧>30㎜Hg) 57%、LVH 6.5%、LAE 40%であった。多変量解析では、左心室収縮機能障害(LVSD)に関する有意な要因として心筋虚血歴、高感度C反応性蛋白(hsCRP)高値、最近の喫煙歴があげられ、拡張期機能障害(DD)に関してはhsCRP高値と高血圧、肺高血圧症(PHTN)に関しては最近のリトナビル服用、左室肥大(LVH)に関しては高血圧、糖尿病、非白人人種、肥満度指数(BMI)高値(25以上)の女性、hsCRP値の上昇、最近のアバカビル服用歴、左房拡大(LAE)に関しては高血圧、最近のマリファナ使用であった。

結果:このHIVコーホート研究において、無症候性の機能的、構造的心異常は、一般より比較的若年齢層により多かった。この心異常は予測または対処可能なリスク(喫煙、高血圧、糖尿病、BMI高値、薬物使用等)と関連していた。慢性HIV病の対応において、最も優先されるべきことは生活習慣を改善することである。

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タンザニア北部のHIV感染/非感染の成人・思春期入院患者における侵襲性細菌・真菌感染

Invasive Bacterial and Fungal Infections Among Hospitalized HIV-Infected and HIV-Uninfected Adults and Adolescents in Northern Tanzania;

Crump JA, Ramadhani HO, Morrissey AB, Saganda W, Mwako MS, Yang LY, Chow SC, Morpeth SC, Reyburn H, Njau BN, Shaw AV, Diefenthal HC, Shao JF, Bartlett JA, Maro VP; Clinical Infectious Diseases 52 (3), 341-8 (Feb 2011)

(349-351ページのLevineとFaragによる解説を参照)

背景:抗レトロウイルス療法(ART)の時代にも関わらず、アフリカの病院でのヒト免疫不全ウイルス(HIV)共同感染のパターンについて記載された研究報告はほとんどない。

方法:タンザニアのMoshiにおいて、1年間の間に、体温が38度以上の13歳以上の入院患者を登録した。標準化された病歴と身体検査試験を行い、病院での記録を集計した。登録患者には、HIV抗体テスト、好気性菌と抗酸菌培養、マラリアの検査を行った。HIV感染した患者についても、血清クリプトコックス抗原テストとCD4細胞数検査を行った。

結果:登録された403人の患者のうち、年齢の中央値は38歳(14-96歳)であった。217人(53.8%)は女性で、157人(39.0%)はHIV感染患者であった。HIV感染患者のうち、CD4細胞数の中央値は98cells/μL(1-1,105cells/μL)で、20人(12.7%)はARTを受けていた。そして、29人(18.5%)はST合剤の予防投与を受けていた。サルモネラ属チフス菌の感染者が26人(23.2%)、肺炎球菌感染が24人(21.4%)、Cryptococcus neoformans感染症が17人(15.2%)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis complex)感染が12人(10.7%)、Plasmodium falciparum感染が8人(7.1%)、大腸菌感染が7人(6.3%)といった侵襲性性感染の所見が112人(27.7%)に見られた。HIV感染は、結核とC. neoformansの血液感染だけでなく、大腸菌、肺炎球菌またはP.falciparum感染症に関連がみられた。HIV患者は、サルモネラ属に対してはチフス菌血流感染症でオッズ比0.12(P = 0.001)と抵抗性のように見えた。

結論:チフス菌と肺炎球菌が侵襲性感染症全体では最も一般的な原因であるが、結核とC. neoformansはタンザニアのHIV感染入院患者の間の血流感染症の主要な原因であった。我々は、サルモネラ属に対してH IV患者は抵抗性であることを示した。HIVとの共感染は、タンザニアでの発熱患者の主要な原因と説明された。

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ザンビアの対立遺伝子が不一致のカップル間での異性間HIV-1感染における機能的KIR2DS4対立遺伝子の影響

Impact of a Functional KIR2DS4 Allele on Heterosexual HIV-1 Transmission among Discordant Zambian Couples; Merino A, Malhotra R, Morton M, Mulenga J, Allen S, Hunter E, Tang J, Kaslow RA;Journal of Infectious Diseases (Jan 2011)

Source: J Infect Dis

キラー細胞免疫グロブリン様レセプター(KIRs)とそのHLAリガンドは、相互に作用してナチュラルキラー(NK)細胞機能を調節する。KIR遺伝子の内容と対立遺伝子はHIV-1感染とその病原性に関与すると報告されている。

我々は、ザンビアのルサカで、対立遺伝子が不一致の566組のカップル間での異性間HIV-1感染におけるKIR遺伝子の影響を調査した。KIR2DS4*001は、機能的活性化受容体をコード化しているKIR2DS4の唯一の対立遺伝子として知られており、カップルにおいて相対的に高いウイルス量を持つパートナーと関連しており(β[standard error (SE)], .17 [ .8] log (10); p= .04)、HIV-1陰性のパートナーへの感染の促進にも関連している( relative hazard [RH], 2.00; p= .004)。後者の関連は感染の方向(男性→女性または女性→男性)や陰部潰瘍の有無、推定リガンド(HLA-Cw*04)とは独立している。

HIV-1陰性であったパートナーのKIR遺伝子変異がない場合、HIV-1ウイルスの獲得やセロコンバーションに続く早期のウイルス量増加と関連する。NK細胞機能の分析がKIR2DS4*001のHIV-1感染における役割をさらに明らかにするであろう。

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