11/07/13 配信分

HIV感染患者における非肝硬変門脈圧亢進症

Source: Int J STD AIDS

Non-cirrhotic portal hypertension in HIV-infected individuals; Scourfield A, Waters L, Holmes P, Panos G, Randell P, Jackson A, Mandalia S, Gazzard B, Nelson M; International Journal of STD & AIDS 22 (6), 324-8 (Jun 2011)

非肝硬変門脈圧亢進症(NCPH)はジダノシン(ddI)投与と関連するといわれている。我々は非肝硬変門脈圧亢進症の数とその特徴を特定することを目指した。

HIV患者の集団の中で非肝硬変門脈圧亢進症の症例を同定し、後ろ向き症例研究を行った。累積抗レトロウイルス治療(ART)使用を測定し、統計解析を用いて同時期の門脈圧亢進症を持たない患者群と比較した。可能であればFibroScan®(肝臓の線維化を定量的に測定する検査)、心エコー、凝固系についての情報も収集した。

17人の患者が同定された。上部消化管出血が最も多く認められた。肝生検では13人(81%)の患者に軽度の門脈または門脈周囲線維化を認め、4人に結節性再生性過形成を認めた。

非肝硬変門脈圧亢進症グループではコントロール群と比べてddI投与が有意に長く認められた(59.5か月 vs 21.1か月、p=<0.001)。11人で肝臓エラストグラフフィー(エコーで線維化を測定する検査=FibroScan?)が行われており、6人(55%)で9.6kPa以上(メタヴィアスコアでF2以上に相当する)であった。心エコーは7人で施行されており、うち4人は肺高血圧症の診断基準を満たしていた。

この結果は、ジダノシン投与とNCPHが関連するというほかの報告とも一致する。我々のデータはまた肺高血圧症のリスクが増加していることも示唆している。

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HAART時代におけるABC使用と急性心筋梗塞、脳血管障害のリスクについて

Source: Clin Infect Dis

Abacavir use and risk of acute myocardial infarction and cerebrovascular events in the highly active antiretroviral therapy era; Bedimo RJ, Westfall AO, Drechsler H, Vidiella G, Tebas P; Clinical Infectious Diseases 53 (1), 84-91 (Jul 2011)

背景:いくつかの研究でARTでのABC使用により急性心筋梗塞(AMI)のリスクが上昇することが報告されている。

方法:在郷軍人健康管理局 の症例登録システムを使用してABCや他のNRTIの累積によるAMIのリスクや脳血管障害(CVA)のリスクについて検討した。さらに慢性腎臓病(CKD)についてABCとTDFによる違いやCKDによるHAART関連AMI、CVAイベントリスクへの影響についても検討した。

結果:19,424症例について76,376人・年の経過観察期間で解析した。年齢、高脂血症、高血圧、糖尿病、喫煙などのリスク因子について調整した後でABCによる1年間のAMIに対するハザード比は1.18 (95% confidence interval [CI], .92-1.50; P = .191)でCVAについては1.16 (95% CI, .98-1.37; P = .096) であった。

CKD合併時はABCがTDFにひして選択されることが多く(12.46% versus 7.15%; P = .0001)、そしてCKDがあることで有意にAMI、CVA発生のリスクが高かった。TDFもABCも使用していない患者とTDFを使用している患者を比較するとTDF使用者はAMI (HR, 0.16; 95% CI, .08-.33; P = .0001) とCVA (HR, 0.22; 95% CI, .15-.32; P = .001)のリスクは低かった。

CVAリスクについてはABCでも低かった。 (HR, 0.60; 95% CI, .45-.79)

結論:今回の検討ではABCの累積によるAMI、CVAのリスクは上昇しなかった。CKDの合併患者の場合はABCがTDFより有意に選択されている。 CKDはHAARTとは無関係にAMIやCVAイベントのリスクを高める。

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HIV陽性の女性における、受胎の時点での抗レトロウイルス療法の妊娠中の治療変更

原題:Treatment switches during pregnancy among HIV-positive women on antiretroviral therapy at conception

出典:AIDS (Jun 2011)

目的: 受胎時に抗レトロウイルス療法(ART、妊娠初期に推奨されないエファビレンツ、ジダノシンを含む)を受けていた女性における、ARTの内容と臨床状態を把握する。

方法: 英国の12のクリニックで観察されているHIV治療群の中から、1995年以降に妊娠・出産した女性を、記録と国家妊娠データとを適合させることによって、1537名抽出した。 治療と臨床データは、抗レトロウイルス療法を服用して妊娠している375人の女性に関して分析され、分析の内容には、妊娠中のレジメン変更と関連している因子を特定するために、ロジスティック回帰が含まれていた。

結果: 抗レトロウイルス療法中に妊娠した375人の女性のうち、39人(10%)は2剤による治療を受けており、3剤は306人(82%)、3剤以上は30人(8%)であった。

全体で116人の女性(31%)は、エファビレンツまたはジダノシンを含むレジメンで治療中に妊娠した(エファビレンツ:69人、ジダノシン:54人、両方:7人)。

全体として、38%(143人)は妊娠中にレジメンを変えた。そして、その44%(51人)はその時点でウイルス量が検出可能であった。検出可能なウイルス量は、レジメン変化のリスク増加と関連していた(補正オッズ比2.97、95%信頼区間(CI)[1.70、5.19])、一方、受胎時にエファビレンツを使用していた女性は他の薬剤を使用中の女性よりレジメン変更の頻度が約3倍であった(3.40[1.84、6.25])。レジメンの変更は、受胎時の年(訳注:年齢?)とも関連していた(0.89[0.83-0.96])。

結論: これらの所見から、妊娠を計画しているか、その見込みがある女性の間では、妊娠前にウイルス量を低下させ、また妊娠初期に推奨されない薬剤を回避するために、抗レトロウイルス療法の内容を十分に検討する必要があると考えられた

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抗レトロウイルス治療中の2型糖尿病HIV患者にエクセナチド*(バイエッタ®)を投与すると体重が減少しインスリン感受性と膵臓のβ細胞機能が改善する

Source: Ann Endocrinol (Paris)

原題:Exenatide improves weight loss insulin sensitivity and β-cell function following administration to a type 2 diabetic HIV patient on antiretroviral therapy

著者:Oriot P, Hermans MP, Selvais P, Buysschaert M, de la Tribonnière X

雑誌:Annales d'Endocrinologie (Jun 2011)

HIV感染に対するレトロウイルス薬(特に第1世代)の使用は、リポジストロフィー、脂肪肝、インスリン抵抗性といった副作用と関連し、これらの副作用は続発性糖尿病発症の誘因となったり、今ある糖尿病を増悪させたりする。

HIV治療を受けている2型糖尿病の肥満患者に対してインスリン治療の代替治療としてグルカゴン様蛋白-1(GLP-1)を使用することは実証されていない。

我々は、インスリン治療を中断しエクセナチド*で治療を行った47歳男性について報告する。

治療の最初の1年間エクセナチド*、メトホルミン**、レパグリニド***を併用したところ、体重が14kg減少し、体脂肪率は31%から25.5%に、腹囲は114cmから103cmにそれぞれ減少した。HbA1cが1.9%減少したことを反映して、HOMA-β(膵β細胞分泌を計算するのに使用される)は50%から78%に改善し、インスリン感受性は28%から51%に増加した。エクセナチドは抗レトロウイルス治療を受けているHIV感染2型糖尿病患者に対する新しい治療の選択肢になりうると考えられる。

*エクセナチド(バイエッタ®):GLP-1受容体作動薬。インクレチン関連薬。 血糖値が高い場合にインスリン分泌を増強し、血糖値が正常あるいは低い場合にはインスリンを増強しないという血糖コントロール作用や、グルカゴンの分泌を低下させ、肝臓における糖新生を抑制する作用などを持つ新しい糖尿病治療薬の一つ。日本未販売。

**メトホルミン(メルビン®、グリコラン®):ビグアナイド系糖尿病治療薬。

***レパグリニド:速効型インスリン分泌促進薬。日本未販売。

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A型インフルエンザ(H1N1)ワクチンによる急性全身炎症はHIV感染患者における内皮細胞機能の悪化の原因となる

Source: HIV Med

Acute systemic inflammation induced by influenza A (H1N1) vaccination causes a deterioration in endothelial function in HIV-infected patients; Vlachopoulos C, Xaplanteris P, Sambatakou H, Mariolis E, Bratsas A, Christoforatou E, Miliou A, Aznaouridis K, Stefanadis C; HIV Medicine (Jun 2011)

目的:2009年のパンデミック以降、HIV感染患者のA/H1N1型インフルエンザに対するワクチン接種は必須の予防処置であると提唱されてきた。この新しいワクチンの即時的な心血管系への影響についての大規模な調査は行われていなかった。我々はHIV感染患者を対象とした内皮細胞機能の指標に対するワクチンの影響を調査した。

方法: 我々はHIV患者24症例を対象とし、無作為化プラセボ(偽の注射接種)対照研究を行った。ワクチン群ではインフルエンザA/H1N1型に対する一価のアジュバント(免疫賦活剤)ワクチンを用い(n=16)、コントロール群には偽の注射処置を施した(n=8)。

内皮細胞機能は、流量依存性拡張(FMD)と炎症マーカーをワクチン接種前、8時間後、48時間後に評価した。

結果:FMDはワクチン後に悪化した(ベースライン 6.5±1.1%; 8h後 1.1±1.5%; 48h後 2.0±1.4%; p=0.04)。白血球数は8時間後に上昇しており、48時間も上昇した状態が持続していた。可溶性細胞接着分子1はワクチン接種後に減少し、48時間後が最も低かった。逆に、コントロール群では48時間後の白血球数の減少以外には内皮細胞機能や炎症マーカーに変化はなかった。

結論:インフルエンザA/H1N1型に対するワクチンによる急性全身炎症はHIV感染患者において内皮細胞機能の悪化を引き起こし、この影響は少なくとも48時間持続した。我々の発見は、HIV感染がもたらす高い心血管リスクという観点で重要な意味を持つかもしれない。内皮細胞機能に対する新しいワクチンの影響は、それが与える免疫防御に対して重みが検討されるべきである。

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携帯式血圧測定法によるHIV感染患者における高血圧と診察室高血圧:有病率と危険因子

Source: J Acquir Immune Defic Syndr

Hypertension and Isolated Office Hypertension in HIV-Infected Patients Determined By Ambulatory Blood Pressure Monitoring: Prevalence and Risk Factors; Ji B, M M, Fx Z, B A, M M, Fj PP, B SJ, Jm P, Jr A; Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Jun 2011)

目的:携帯式血圧測定法によってHIV感染患者の高血圧と診察室高血圧の有病率と危険因子を決定すること。

方法:310例の患者の断面調査を行った。診察室にて収縮期血圧140mmHg以上もしくは拡張期血圧90mmHg以上の患者において、利き腕ではない腕で、携帯式血圧測定法で24時間の血圧測定を行った。

結果:20例の患者(6.5%)は、以前に高血圧の診断を受けていた。携帯式血圧測定法で26例の患者が、診察室での血圧測定で17例の患者で高血圧が確認された。診察室高血圧と高血圧それぞれの有病率は、5.5%(IC95%;3-8)、14.8%(IC95%;10.8-18.8)であった。診察室高血圧は、office hypertention患者の39%にみられた。単変量解析において、高血圧と有意に関連した変数は、以下の通りであった:

年齢、胴囲、心臓血管病変、高血圧の家族歴、リポアトロフィー、メタボリックシンドローム、感染の持続期間、CD4最小値、HIV RNA<50 cp/mLと抗レトロウイルス治療歴。

高血圧の多変量解析においては、家族歴(OR 2.24;p = 0.027)、加齢(OR 1.08;p < 0.001)、複数の抗レトロウイルス療法レジメンの変更(OR 1.2;p = 0.001)、女性(OR 0.27;p = 0.02)が予防効果があった。

結論:HIV感染患者で携帯式血圧測定法を使用しての高血圧の罹患率は、15%であった。診察室高血圧がHIV感染患者のOffice hypertentionの39%で生じるので、携帯式血圧測定法は高血圧の診断を確認するために役立ち得る。高血圧は、男性、年齢と多くの抗レトロウイルス療法歴、家族歴と強く関係している。

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