11/08/05 配信分

未治療例に対するABC/3TCとTDF/FTCとの比較

Comparison of abacavir/lamivudine and tenofovir/emtricitabine among treatment-naïve HIV-infected patients initiating therapy; Tan DH, Chan K, Raboud J, Cooper C, Montaner JS, Walmsley S, Hogg RS, Klein MB, Machouf N, Rourke S, Tsoukas C, Loutfy MR, The Canoc Collaboration; Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Jun 2011)

Source: J Acquir Immune Defic Syndr

BACKGROUND::

未治療患者に対するABC/3TCとTDF/FTCについては議論がある。

METHODS::

治療失敗例(ウイルス学的失敗とNRTIの変更ないし中止があった症例)についてレトロスペクティブな解析を行った。

ウイルス学的失敗および、ウイルス学的失敗以外での薬剤変更に加えてウイルスの低下の程度もエンドポイントとして設定した。

静脈注射による感染以外の未治療患者を対象としてカナダ観察コホートのデータからABC/3TC あるいは TDF/FTCを含むレジメンでKey drugはEFV、NVP、LPV/rtv、ATV/rtvを用いて6ヶ月以上経過した患者について検討した。

多因子解析でHRやリスク因子について検討した。

RESULTS::

全症例 1764 (588 ABC/3TC, 1176 TDF/FTC)であった。 平均観察期間 (4文分位値)はABC群で 34 (23-50)ヶ月 TDF群は 20 (13-30) ヶ月であった。 治療失敗までの期間は両群間で有意差はなく、 (adjusted hazard ratio, aHR=0.96, 95%CI=0.80,1.17) (Vlや性別、居住地、3剤目の薬剤、ARTの継続期間、HLA B5701やウイルス量の測定回数で調整) ウイルス学的な失敗、 (aHR=0.84,95%CI=0.58,1.20)NRTIの変更、中止 (aHR=1.02, 95%CI=0.81,1.28),ウイルス低下の程度(aHR=0.96, 95%CI=0.83,1.10)といった個別の内容も有意差がなかった。 そしてkey Drugとの関連でも有意差がなかった。さらにウイルス量が10万コピー以下とそれより多い場合でも差がなかった。

CONCLUSIONS::

今回検討したデータからは両群において差はなかった。

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HAARTおよびリポジストロフィーがHIV/HCV重複感染患者の進行した肝線維症に及ぼす影響

Loko MA, Bani-Sadr F, Winnock M, Lacombe K, Carrieri P, Neau D, Morlat P, Serfaty L, Dabis F, Salmon D, for the ANRS CO 13 HEPAVIH Study Group;

Journal of Viral Hepatitis 18 (7), e307-e314 (Jul 2011)

抗レトロウイルス薬と、それに関連するリポジストロフィー、インスリン抵抗性が、HIV/HCV重複感染患者における進行した肝線維症にどのような影響を及ぼすかは、完全には解明されていない。

我々は進行した肝線維症(弾性度9.5KPaと定義※訳注)の有病率と、相関する因子について、HAART療法とその重大な副作用(脂肪異栄養とインスリン抵抗性)の影響に重点を置いて検討した。ANRS CO13 HEPAVIHスタディ(訳注:フランスで実施されたHIV/HCV共感染群を対象とする調査)に含まれる671例のHIV/HCV重複感染患者を対象とし、190例の患者(28.3%)で、進行した肝線維症が認められた。

単変量解析において、進行した肝線維症は、男性(性別)、ボディマス指数高値、静脈内の薬物使用によるHCV感染、CD4細胞数低値、抗レトロウイルス治療による長期間の治療歴、長期間のプロテアーゼ阻害薬・非核酸系逆転写酵素阻害剤・核酸系逆転写酵素阻害剤の使用、リポジストロフィー、糖尿病、homeostasis model assessment method(HOMA値:インスリン抵抗性の指標)の上昇と有意に関連していた。なお、進行した肝線維症と相関している抗レトロウイルス薬は、エファビレンツ、スタブジンとジダノシンであった。

多変量解析では、男性(オッズ比 2.0、95%信頼区間 1.1-3.5; P=0.018)、静脈内の薬物使用によるHCV感染(オッズ比 2.0、95%信頼区間 1.1-3.6; P=0.018)、リポジストロフィー(オッズ比 2.0、95%信頼区間 1.2-3.3; P= 0.01)、ジダノシン使用期間の中央値が5ヶ月以上(オッズ比 1.7、95%信頼区間 1.0-2.8; P=0.04)、そしてHOMA値の上昇(オッズ比 1.1 95%信頼区間 1.0-1.2; P=0.005)が、進行した肝線維症と有意に関連していた。

このように、HIV/HCV共感染に関連した肝障害において、ミトコンドリア毒性とインスリン抵抗性は、鍵となる役割を果たす可能性がある。そして、抗レトロウイルス療法の選択にあたり、これらの点を考慮すべきである。強いミトコンドリア毒性を持つ抗レトロウイルス薬(ジダノシンなど)あるいは、糖代謝に大きな影響をもつ薬剤は、使用を控えるべきである。

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高脂血症治療薬のロスバスタチンとダルナビル/リトナビル併用による定常状態薬物動態学的相互作用

Steady-State Pharmacokinetic Interactions of Darunavir/Ritonavir With Lipid-Lowering Agent Rosuvastatin; Samineni D, Desai PB, Sallans L, Fichtenbaum CJ; Journal of Clinical Pharmacology (Jun 2011)

Source: J Clin Pharmacol

HIVプロテアーゼ阻害薬はしばしば脂質異常症の原因となり、ロスバスタチンのような高脂血症治療薬が必要になる。しかし、これらの薬剤を同時に使用すると有害な薬物相互作用を示す。

この研究において(非盲検第Ⅰ相試験, n=12, HIV陰性者対象)、著者はダルナビル/リトナビルとロスバスタチン併用による薬物相互作用を評価した。対象者はロスバスタチン(10mg/日)またはダルナビル/リトナビル(600/100mg 1日2回)を7日間単独で内服し、7日間の休薬期間をはさんで、2剤併用治療を7日間行った。

薬物動態学のための集中血液検査と空腹時脂質検査をday7, 21, 35に行った。ダルナビル/リトナビルと併用することによって、ロスバスタチンの幾何学的な平均AUC(0-24h)は109から161ng・h/mlに上昇し(p<0.005)、C(max)は6.7から16.3ng/mlに増加した(p<0.001)。ロスバスタチン単独投与に比べ、ダルナビル/リトナビルとロスバスタチンの併用により、総コレステロールは10% (p=0.007)、中性脂肪は56% (p=0.011)増加し、それに対してHDLコレステロールは13%低下した(p=0.006)。

これらの薬剤の併用に起因すると考えられる有害事象は認められなかった。ロスバスタチン濃度はダルナビル/リトナビルとの併用によって上昇したが、脂質改善効果は鈍くなっていた。臨床的に有意な変化があるかどうかについて今後のさらなる研究が望まれる。

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HIVワクチンのタイにおける疫学的影響の予想:モデル・ベースの分析

Expected epidemiological impacts of introducing an HIV vaccine in Thailand: A model-based analysis; Schneider K, Kerr CC, Hoare A, Wilson DP; Vaccine (Jun 2011)

ソース:Vaccine(2011年6月)

背景:

タイで行われたRV144試験は、HIVワクチンの予防効果を示す初めての試験であった。そこで推定された最初の有効性は74%であったが、時間とともに効果は弱まった。

方法:

我々は、タイでの異なるリスク集団全体において、これまでの推移、および現在のHIVの傾向を反映させるための統計モデルを開発した。モデルは、RV144ワクチンと類似の特徴にをもつワクチンがさまざまな局面で使用された場合に、予防できたと予想される感染症者数を推定するのに用いられた。

結果:

ワクチンがない場合、我々は2011~2021年に期間に、成人の間でおよそ65,000名の新たなHIV感染症が発症すると推定した。ワクチンの効果漸減のため、ワクチン再接種が行われない限り、予防接種キャンペーンがある程度の長期の公衆衛生の有効性があると判明した。我々は、人口の30%へのRV144類似のワクチン接種が、次の10年間にHIV発生率を3%減少させる予測した。また、これと比較して、人口の30%への、年1回、または年2回のワクチン再接種がそれぞれ14%、23%の減少に帰着すると判明した。ワクチン再接種を行わない人口の60%では、7%の減少に帰着した。疫学的結果から、予防接種報道、ワクチンの有効性、ワクチンが提供した予防の継続期間、の3点がワクチンの有効性を決定していると判明した。

考察:

ワクチンが再接種されない限り予防効果が短期間に留まるため、我々のモデルは、タイでのRV144類似のHIVワクチン接種が、予防接種キャンペーンにより、適度の有益性があると予測した。1年または年2回のワクチン再接種は、予防接種キャンペーンの長期の公衆衛生利益を著しく増加させると予測された。しかし、ワクチンの実施(その経済状況と同様に)の実現する可能性はまだわからない。

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C型肝炎ウイルスは、HIV陽性男性の間に避妊用具を使わない性交によって感染する

原題:Hepatitis C Virus is Transmitted by Unprotected Sex Between HIV+ Men

Source: DGNews 2011年7月21日、ニューヨーク

C型肝炎ウイルス(HCV)の性的な伝播は、稀であるとされる。しかし、ある新しい研究により、他の男性と性的関係を持つHIVの男性(MSM)は、性的接触を介してHCVに罹患する危険性が高いとする証拠を示された。その研究の成績は、CDCによって、Morbidity and Mortality Weekly Reportの本日版で発表された。

HCVの伝播は、主に血液への曝露と、ハイリスク下での薬物の静脈内注射を通して起こる。しかし、シナイ山医療センターの研究者は、薬物を使用していないHIV陽性の男性の間でHCVの新たな感染者の大幅な増加を認め、これらの男性の間で性的な伝播の役割を調べるためにより詳細な情報を集めた。

研究者は、2005年10月から2010年12月の間に74人のHIV陽性の男性で、新しいHCV感染を特定したが、これらの症例で注射薬物使用を含むHCV感染の他のいかなる危険因子も認められなかった。これらの男性のうちの22人を抽出誌、HCV感染が無かった53名のHIV陽性のMSM対照群とマッチングの上比較したところ、最近HCVに罹患した男性は、コンドームを使用しない他の男性との肛門性交を、23倍の頻度で行っていることを見いだした。加えてHCV遺伝分析により、HCVがこれらの男性の社会的ネットワークの中に感染して、市全体の流行ち整合性を保っていることが示唆された。

ニューヨーク州、マウンドシナイ医大のダニエル・フィーラー博士は「C型肝炎が安定した関係の異性愛のカップル間で殆ど感染しない一方で、これは、ニューヨークでHIV感染したMSMの間では明らかに当てはまらない」と語った。「MSMと医療提供者は、通常、避妊用具を使わない受容的な性的交渉によってHCV感染が起こりうることを知らない」。「新しいHCV感染症の治癒率が初期治療で非常に高いという、良い知らせもある。

しかし危険に曝露されている男性が規則的に検査を行うことなく、これらの無症候性の感染症は見逃され、治療の機会が失われることになる」。「我々のスタディは、HIV感染したMSMがコンドームを用いて自分自身と他の人を保護するために処置をとらなければならないことを示唆する」とフィーラー博士は結んだ。「また、医療提供者はこれらの男性のC型肝炎の有無に関してスクリーニングすべきであるし、教育と援助プログラムにも、これらのリスクに関する情報が含まれるべきである」。

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Rilpivirine versus efavirenz with tenofovir and emtricitabine in treatment-naïve adults infected with HIV-1(ECHO): a phase 3 randomised double-blind active-controlled traial; Molina JM, Cahn P, Grinsztejn B, Lazzarin A, Mills A, Saag M, Supparatpinyo K, Walmsley S, Crauwels H, Rimsky LT, Vanveggel S, Boven K, ECHO study group;

Lancet 378(9787), 238-46(Jul 2011)

BACKGROUD;

EFVをTDF、FTCに加えたレジメンはHIV-1感染患者に対する初回治療として推奨される抗ウイルス療法となっている。Rilpivirineは新しいNNRTIで、これまでの第2相試験で、2種類のNRTIとの併用においてEFVと同等の有効性が示されている。今回TDF、FTCとの併用薬として、RilpivirinとEFVの有効性、安全性、寛容性を比較した。

METHODS;

第3相ランダム化2重盲検比較試験を実施した。対象はHIV-1に対する初回治療を行う18歳以上の成人患者で、VLが5000 copy/ml以上で使用される薬剤の感受性が確認されているものとした。試験は21の国、112の地域で実施された。25mg/日のRilpivirineもしくは1日1回600mg投与のEFVをTDF、FTCとともに使用した。本研究の主目的は48週時点での、Confirmed response(VL< 50 copy/ml、ITT-TLOVR algorithm)が得られた比率の非劣勢である。

FINDINGS;

346人の患者がRilpivirin群に344人がEFV群に割りつけられ、それぞれ287人(83%)、285人(83%)のConfirmed responseが48週時点で確認された。治療前のVLにより調整し解析を行ってもConfirmed responseにおける非劣勢(12%域値)が証明された。ウイルス学的治療失敗はそれぞれ13%と6%で、ITT-TLOVRによる解析では11%と4%に認められた。Grade2-4の副作用はそれぞれ55人(16%)と108人(31%)に認められ(p<0.0001)、副作用による治療中断(8人[2%] vs 27人[8%])、紅潮、めまい、悪夢はEFV群でより高頻度であった。血清脂質の上昇はRilpivirin群でより少なかった。

INTERPRETATION;

RilpivirineのEFVに対する非劣勢が証明された。ウイルス学的治療失敗は高頻度であったが、より安全で寛容性が高い特徴が示された。

FUNDING; Tibotec

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Ouagadougou (ワガドゥグー:ブルキナファソの地名)にあるSaint Camille Medical Centreの妊婦におけるHCVの有病率とHIVとの重複感染について

HCV prevalence and co-infection with HIV among pregnant women in Saint Camille Medical Centre, Ouagadougou; Zeba MT, Karou SD, Sagna T, Djigma F, Bisseye C, Ouermi D, Pietra V, Pignatelli S, Gnoula C, Sia JD, Moret R, Nikiema JB, Simpore J; Tropical Medicine and International Health (Jul 2011)

Source: Trop Med Int Health

目的:

Ouagadougou にあるSaint Camille Medical Centre (SCMC)の妊婦におけるHCVの有病率とHCV/HIV重複感染の比率を確定すること。

方法:

16~45歳の32週未満の妊婦607人についてHCVとHIVの迅速診断検査を行った。この施設はこの国のHIV母子感染予防計画の基準施設であるのだが、ほとんどの妊婦はこの研究が始まるまでHIV感染を知らなかった。cDNAのPCRと5'非翻訳領域のネステッドプライマーを用いてHCV RNAを抽出、定量した。トランスアミナーゼは分光光度法を用いて測定された。

結果:

女性の62.27%がHIVに感染していた。HCVの有病率はスクリーニング検査を受けた妊婦の2.14%であった:HIV陰性女性では1.75%、HIV陽性女性では2.38%であった。この有病率の差は統計学的に有意な差ではなかった(p=0.81)。HCV RNAはHCV抗体陽性女性全員から検出された。トランスアミナーゼはHCV感染者で有意に上昇していた(GPTはp=0.01、GOTはp<0.01)。HCV陽性妊婦に関連する危険因子には輸血と会陰切開が含まれていた。それに加え、感染は女性の教育レベルと関連していた。

考察:

この研究により明らかになった問題点は、より安全な医療行為を促進しHCV感染の主な危険因子と考えられる会陰切開を避ける努力をするべきだということである。

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歩行可能なHIV感染者における結核のスクリーニング目的の尿Lipoarabinomannan(リポアラビノマンナン)酵素結合免疫吸着検定法の診断の精度

Diagnostic Accuracy of a Urine Lipoarabinomannan Enzyme-Linked Immunosorbent Assay for Screening Ambulatory HIV-Infected Persons for TB; Gounder CR, Kufa T, Wada NI, Mngomezulu V, Charalambous S, Hanifa Y, Fielding K, Grant A, Dorman S, Chaisson RE, Churchyard GJ; Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Jul 2011)

Source: J Acquir Immune Defic Syndr

目的:

歩行可能なHIV感染者の間で尿lipoarabinomannan(LAM)試験の診断精度を評価すること。

研究デザイン:

断面研究

方法

Tembisa Main ClinicのHIV Clinic(南アフリカ共和国、エクルレ二都市圏)に定期通院しているHIV感染者に対して、結核(TB)の症状のスクリーニングを行った。痰と血液を抗酸性菌(AFB)とマイコバクテリウム塗沫・培養を行い、LAM酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)のための尿を採取した。リンパ節腫大のある参加者からは、穿刺吸引細胞診を行い、病理学的に評価した。妊娠していない参加者は、胸部X線を行った。

結果

参加者は422人で、年齢の中央値は37歳[31-44年:四分位範囲(IQR)]、CD4陽性 T細胞数の中央値は215/μL(IQR 107-347/μL)、抗レトロウイルス療法(ART)中の患者は212名(50%)であった。30名(7%)では、活動性結核があった。内訳は、肺結核(PTB)単独例が18例、肺外結核(ETB)単独例が5例、PTBとETB合併例が7例であった。TB症例の27%(95%CI 12-48%)は、抗酸菌培養陽性であった。細菌学的に陽性、または組織病理学的に診断した例と比較した尿LAMの感度と特異性は、それぞれ32%(95%信頼区間[CI]16-52%)と98%(95%CI 96-99%)であった。これらの差は統計的に有意でなかったが、尿LAMはより高度な細菌量のTB症例でより高い感度であった。

結論

尿LAM試験の感度は、マイコバクテリウム培養と置き換えるには不十分である。尿LAMの先行研究と対照的に、本研究は、定期通院中のより疾患の進行が低い、歩行可能なHIV感染患者の間で実施された。

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