11/10/13 配信分

HIV感染/未感染の妊娠していない女性における、細菌性膣疾患とビタミンD欠乏

原題:Bacterial Vaginosis and Vitamin D Deficiency Among Nonpregnant HIV-Infected and Uninfected Women in the United States;

著者: French AL, Adeyemi OM, Agniel DM, Evans CT, Yin MT, Anastos K, Cohen MH

雑誌: Journal of Women's Health (Aug 2011)

目的:

HIVに感染あるいは感染していない、妊娠していない女性を対象に、ビタミンD欠乏と細菌性膣炎との間の関係を評価する。

方法:

シカゴとニューヨークからの女性を含むthe Women's Interagency HIV Studyのサブスタディで、細菌性膣炎とビタミンD欠乏の間の関係、人口統計学と疾患の特徴が調査された。ビタミンD欠乏症(deficiency)は、25 (OH) vitamin Dが20ng/mL未満、ビタミンD不足(insufficiency)は20ng/mL以上30ng/mL未満と定義された。細菌性膣炎は、アムゼルの基準(訳注※)によって定義された。

結果:

非妊娠女性602名(HIV感染者480名と非感染者122名)の観察を通し、細菌性膣炎は19%で見つかった。ビタミンD欠乏は59.4%で見つかった、そして、ビタミンD不足は24.4%で見つかった。多変量解析において、黒人の人種は、細菌性膣炎で最も有意な予測因子であった(補正オッズ比[AOR]5.90(95%信頼区間2.52-13.8[CI])。ビタミンD欠乏は、独立してHIV感染女性の間の細菌性膣炎と相関していたが(AOR 3.12、95%CI 1.16-8.38)、HIV感染していない女性では相関していなかった。ビタミンD濃度と細菌性膣炎の有病率間の負の線形相関が、HIV感染女性(r=-0.15、p=0.001)で認められた。

結論:

ビタミンD欠乏は、この群で非常に一般的だった。そして、有意にHIV感染女性におけるの細菌性膣炎と関連していた。これらの予備的な所見により、HIV感染女性におけるビタミンDと細菌性膣炎との関係について、更なる疫学的、機械的な検査が正当化されることを示唆した。

※細菌性膣炎(細菌性膣炎)に関するAmsel基準は、総合的に細菌性膣炎の診断につながる4つの基準:

①膣液検体の高いpH(本来4.5以上、現在4.7以上)、

②「臭気」試験(検体のアルカリ処理、続いて嗅覚試験によるアミン臭気の検出)、

③膣液均一性、

④手がかり細胞(clue cells)の存在

Amsel, R., et al., Am.J. Med. 74:14-22 (1983)による報告に基づく。

高いpHが、残りの3つの基準の少なくとも2つと一緒に満たされれば陽性

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総リンパ球数はHIV関連死亡率に対するよい指標で、リソースの限られた環境ではHIV治療開始の指針となりえる。

Total lymphocyte count is a good marker for HIV-related mortality and can be used as a tool for starting HIV treatment in a resource-limited setting; Oudenhoven HP, Meijerink H, Wisaksana R, Oetojo S, Indrati A, van der Ven AJ, van Asten HA, Alisjahbana B, van Crevel R; Tropical Medicine and International Health (Sep 2011)

Source: Trop Med Int Health

Objectives;

CD4測定が高額すぎたり利用できないようなリソースの限られた環境では、総リンパ球数はCD4に変わり、HIV感染監視の指標になりえるかもしれない。

Methods;

インドネシアの都市部のHIVクリニックにおいて前向き研究で集められた患者データを使用した。致死率の予測はコックス回帰を用い、総リンパ球数とCD4の関連については線形回帰を用いて計算した。CD4 <200 cells/μl及び ≦350 cells/μlに対応する総リンパ球数を得るのにROC曲線を利用した。これらの解析から、総リンパ球数に基づいた治療アルゴリズムの構築を行った。

Results;

889名のART未施行患者が組み込まれ、66%がCD4 ≦200 cells/μl、81%がCD4 <350 cells/μlであった。ARTはCD4を基準に開始されたが、総リンパ球数とCD4数は同様に強い予後予測因子であった。総リンパ球数と√CD4の相関係数は0.70で、CD4 <200, ≦350 cells/μlに相当する総リンパ球数のカットオフ値は、それぞれ1500, 1700 cells/μlであった。総リンパ球数、性別、口腔カンジダ、貧血、BMIを基にした治療アルゴリズムは、WHO分類や総リンパ球数単独の場合よりも、予測値として優れていた。また、上記治療アルゴリズムにより1症例あたり14.05ドルの医療費節約につながると考えられた。

Conclusion;

総リンパ球数はHIV関連死亡率に関する良好な指標と考えられた。手頃なCD4測定が可能となるまでは、総リンパ球数を含んだシンプルなアルゴリズムが、リソースの限られた環境でのHIV治療に有用と考えられる。

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Randomized Trial Comparing Dose Reduction and Growth Factor Supplementation for Management of Hematological Side Effects in HIV/HCV Patients Receiving Pegylated-Interferon and Ribavirin;

Talal AH, Liu RC, Zeremski M, Dimova R, Dove L, Pearce D, Hassanein T, Doonquah L, Aboulafia D, Rodriguez J, Bonilla H, Galpin J, Aberg JA, Johnston B, Glesby MJ, Jacobson IM;

Source: J Acquir Immune Defic Syndr

INTRODUCTION::

HCV感染症の標準治療であるPeg化したインターフェロン (PEG-IFN)とリバビリン (RBV)の併用療法はHIV/HCV合併感染患者に対して高率に好中球減少や貧血を招き治療継続を妨げる。今回の研究の目的は血液学的成長因子を追加することと血液学的副作用を軽減するための治療薬の減量とで効果を比較することである。

METHODS::

92例のHIV/HCV合併感染 、未治療患者に対してPEG-IFN alfa-2b 1.5 μg/kg/wk and RBV 13 + 2 mg/kg/dayを最長48週間使用した。治療前に患者はリコンビナントのエリスロポエチン(rHuEPO)とG-CSFを単独ないし併用して用いる群と血液毒性がみられたらRBV、PEG-IFNどちらかないし両方の薬剤用量を減らす群にランダム化された。そして両群で貧血や好中球減少のコントロールやHCV感染症に対する効果について検討した。

RESULTS::

治療の間、43例が貧血をきたし、成長因子使用群でHuEPOを使用した症例が24例で薬剤減量は19例であった。一方25例で好中球減少がみられG-CSF使用例が10例で薬剤減量群が15例であった。経過観察中に両群ともに貧血は改善し好中球も増加するなど副作用自体に対する効果という点では有意な差はなかった。Sustained response percentagesは貧血に対するrHuEPOで 29% 、薬剤減量で21%(p=0.92)であり好中球減少に対する G-CSFは40%、薬剤減量では20%(p=0.46)であった。

CONCLUSIONS::

HIV/HCV合併感染感染患者に対してPEG-IFN/RBV でHCVの治療を行う際にみられる血液学的副作用の対策において成長因子製剤を追加する場合と治療薬を減量した場合とで統計学的な差はみられなかった。

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抗ウイルス薬治療の経験豊かな患者における、チプラナビルの役割

原題:Tipranavir in highly antiretroviral treatment-experienced patients: Results from a French prospective cohort;

Allavena C, Flandre P, Pugliese P, Valantin MA, Poizot-Martin I, Cabie A, Melliez H, Cuzin L, Duvivier C, Dellamonica P, Raffi F, On Behalf Of The Dat'aids Group;

出典:Scandinavian Journal of Infectious Diseases (Aug 2011)

背景:

抗レトロウイルスの使用歴が長く、かつ多剤耐性のヒト免疫不全ウィルス(HIV)感染患者に対しては、リトナビルによってブーストされたプロテアーゼ阻害剤(PI/r)を含む3種類の薬剤を優先して含むレジメンが推奨される。チプラナビル/r(TPV/r)(非ペプチド性PI)は、特にPIを含む通常の抗レトロウイルス薬に耐性の患者のために開発された。本論文は、複数のPI耐性を獲得している患者で、TPV/rの役割について述べる。

方法:

7箇所の医療施設で2003年から2007年の期間、ウィルス学的、免疫学的および安全性について検討した。ウイルス耐性の評価は、3種類の異なる遺伝子型の試験に基づいた。 評価の対象である207例の患者は、以前ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTIs)とPIを投与されていた。

結果:

TPV/rと併用された薬剤は、主に1つまたは2つのNRTIsであり、またエンフュービルタイドが患者の半分において使用されていた。12週後に、ウイルス量は患者の38%で50コピー/ml未満を達成し(エンフュービルタイド併用の場合44%)、CD4陽性細胞数の中央値は150から250/mm3まで増加した。遺伝子型の試験から、大部分の患者でウイルスがTPVに感受性であることが示唆された。脂質と肝酵素でわずかな水準の変化が見られた。そして、治療中断の10%未満は胃腸に関わるイベントに起因した。

結論:

TPV/rに、少なくとも1種類の有効な薬剤を追加したレジメンは、PIを含む通常の抗ウイルス薬に多剤耐性を有する患者における、有益なオプションである。

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HIVの監視体制、公衆衛生、臨床医学について―――壁は壊されるのか?

Fairchild AL, Bayer R; New England Journal of Medicine (NEJM) 365 (8), 685-7

Source: N Engl J Med

米国のHIV監視体制はデータ入力のみで、出力は不可能な強固なファイアーウォールで形作られてきた。今日、HIVの保護を継続するという観点と感染の伝播を改善するという観点との狭間で、HIV登録情報を公衆衛生での使用に拡大することが勧められてきている。

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小児におけるロピナビル/リトナビルの粉末と錠剤の薬物動態

Pharmacokinetics of Lopinavir/Ritonavir Crushed versus Whole Tablets in Children; Best BM, Capparelli EV, Diep H, Rossi SS, Farrell MJ, Williams E, Lee G, van den Anker JN, Rakhmanina N; Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Aug 2011)

Source: J Acquir Immune Defic Syndr

目的:

ロピナビル/リトナビル(カレトラ®)は小児HIV感染の第一選択薬となっている。小児科診療において、カレトラの錠剤はしばしば粉末化して投与される。この研究は、HIV感染児におけるロピナビル/リトナビルの錠剤と粉末を比較した。

研究デザイン:

この研究は、抗レトロウイルス治療の一部としてロピナビル/リトナビルを使用した小児患者の無作為化非盲検交差試験である。それぞれの対象者は、200/50mgのロピナビル/リトナビル剤の粉末と錠剤について、定常状態12時間薬物動態(PK)研究を行った。

方法:

PK血液サンプルは0(使用前)と使用後1,2,4,6,8,12時間後に採取された。ロピナビルとリトナビルの血漿中濃度は高速液体クロマトグラフィーを使用して濃度vs時間曲線下面積(AUC)とクリアランス(CL/F)を測定した。Wilcoxon符号順位検定を用いて粉末と錠剤のPK値を比較した。

結果:

12人の年齢中央値13歳(10-16際)の小児が、12時間ごとに550/138mg/m/dayのロピナビル/リトナビルを内服した。ロピナビルのAUCの中央値は粉末では92mg*hr/L、錠剤では144mg*hr/Lであり、AUC比は0.55であった(p=0.003)。リトナビルのAUCの中央値は粉末では7mg*hr/L、錠剤では13.3 mg*hr/Ldeari,AUC比は0.53であった(p=0.006)。

結論:

粉末化した200/50mgのロピナビル/リトナビル錠の小児に対する投与は、ロピナビルとリトナビルの曝露を、AUCで45%と47%、有意に減少させた。粉末化して投与する場合には、より高用量を必要であり、適切なロピナビル投与を確実にするために治療薬物モニタリングが必要かもしれない。できればロピナビル/リトナビルの錠剤を粉末化して投与することは避けるべきである。

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副腎のカポジ肉腫は、類上皮血管肉腫に似ている:症例報告

Kaposi sarcoma of the adrenal gland resembling epithelioid angiosarcoma: a case report; Huwait H, Meneghetti A, Nielsen TO; Sarcoma 2011 898257 (2011)

Source: Sarcoma

HIV感染患者はカポジ肉腫(皮膚と粘膜部位を含む)など、さまざまな腫瘍のリスクが増大することが知られている。カポジ肉腫の未分化な異型は、まれで、文献での報告は十分でない。それは、より侵襲的なふるまい、転移のリスク増大、組織学的に増加した細胞質、分裂速度、そして、まれに類上皮血管肉腫様の形態などの臨床的な特徴を持つ。 我々はここで、長期にわたるヒト免疫不全ウイルス感染の病歴をもつ64歳の男性で、高悪性度の未分化血管肉腫様の形態で、右の副腎腫瘍を呈した症例を呈示する。腫瘍細胞における、ヒト・ヘルペス・ウイルス-8の免疫組織染色は、強陽性であった。我々の知る限りでは、これは副腎の未分化カポジ肉腫の最初の報告である。

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