11/10/28 配信分

肺胞上皮下への抗感染症薬の浸透:抗真菌薬、抗結核薬、その他各種抗感染症薬について

Penetration of Anti-Infective Agents into PulmonaryEpithelial Lining Fluid: Focus on Antifungal, Antitubercular and Miscellaneous Anti-Infective Agents;

Rodvold KA, Yoo L, George JM;

Clinical Pharmacokinetics 50 (11), 689-704 (Nov 2011)

上皮下の組織液(ELF)は時に細胞外の肺感染の場として重要である。

これまでの25年間で抗真菌薬や抗結核薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬について肺内の薬剤浸透について検討したものは少ない。抗真菌薬については薬剤濃度がBAL液中と細胞内で異なることがさまざまな剤型や投与法によって示されている。

エアロゾル化したAMPH-Bやリポ化したAMPH-Bそして脂質複合体形式のAMPH-BはELF中あるいはBAL中が経静脈的な投与後に血中濃度よりも高いことが示されている。

anidulafungin と micafunginは治療開始後3日目までの平均濃度は0.04 から1.38 μg/mLの間であり、ELFと血中のAUC比が0.18から 0.22であることが示されている。

アゾール系薬剤についてはVRCZの経静脈的投与においてもっともELFが高くなる(range 10.1-48.3 μg/mL)。 そして血中濃度との比では最大7.1である。

itraconazole と posaconazoleの経口投与後においては0.2-1.9 μg/mLで血中濃度との比は<1である。

ファーストラインおよびセカンドラインの抗結核薬についåて健康成人とエイズ患者において検討した研究がある。血中濃度との比はINHとEBとPZA、ETHは>1でありRPTは0.2 から0.32であった。RFPはマクロファージ内の濃度が非常に高かった(血中145-738 μg/mL、ELF 3.3-7.5 μg/mL)。

RFBの同様のデータはなかった。性別やAIDSの状況や喫煙歴による差はなかった。

肝臓でのアセチル化が遅い場合は血中濃度およびELF中の濃度がアセチル化の早い場合より上昇した。

DapsoneのELFへの浸透は良好で、使用後48時間を超えたところでの血中濃度との比が0.65-2.91であった。一日一回のpentamidine吸入後のBAL中の濃度は点滴した場合より高い。平均のBAL液中濃度は15から32日のインターバル(月1回ないし2回)で一回300 ないし600 mgを使用した場合6.5 から 28.4 ng/mLであった。PCPを発症した人と未発症の人での差はなかった。

Zanamivir(リレンザ)の最高濃度は持続静注3mg/hrと吸入10mg1日2回そして静注200mg一日2回という異なる投与方法でも141-326 ng/mLで同様であった。

症例報告のデータからNFVとSQVのELF濃度は検出感度以下でrtvブーストしたtipranavirとlopinavirではそれぞれ2.20 μmol/L と 14.4 μg/mLと検出されるのと対象的である。

 

ELFとBALの濃度の違いが臨床的にどのような意味があるかは明らかにはなっていないが、薬剤の細胞外のスペースへの薬剤移行について検討し、投与量の再評価をすべきである。

※RPTは血中濃度のピーク値が高く半減期が非常に長いためよりインターバルの長い間欠療法に適した薬剤として期待された。

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予防投与歴と抗レトロウイルス耐性:HIV予防の代償?

Pre-Exposure Prophylaxis and Antiretroviral Resistance: HIV Prevention at a Cost?;

Hurt CB, Eron JJ, Cohen MS;

Source: Clinical Infectious Diseases (Oct 2011)

予防投与(PrEP)、すなわちHIV非感染者がハイリスクな性的接触によるウイルス感染を防ぐために抗レトロウイルス薬を使用することは、the Centre for the AIDS Programme of Research in South Africa(CAPRISA)004とthe Pre-Exposure Prophylaxis Initiative (iPrEx)の2つ研究で成功を認められた。

これらの成功はTDF2とPartners PrEP trialsという研究でも肯定的な結果を上乗せされた。

しかし、CAPRISAでは、抗体陰性の参加者にテノホビル耐性が生じており、iPrExではテノホビル/エムトリシタビンの投与を受けていた2人の抗体陰性者に急性HIV感染がおこり、のちに2人ともエムトリシタビン耐性であることが判明した。

似たようなケースはTDF2でもみられ、このケースでは両方のARVsに耐性を示していた。

これらの症例は、予防投与のためのARVs使用による耐性変異の性質を既存の文献から検討するよう我々に促している。我々は、PrEPによって選択された変異のインパクトについて、ARV投与によっていかに素早く変異が出現するかという点と、ARV耐性の個人レベルおよび公衆衛生的な重要性について考察する。

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トレポネーマに対する免疫測定による梅毒のスクリーニング:血清学的結果の不一致に対する分析と臨床管理における意味;

Screening for Syphilis With the Treponemal Immunoassay: Analysis of Discordant Serology Results and Implications for Clinical Management;

Park IU, Chow JM, Bolan G, Stanley M, Shieh J, Schapiro JM;

Journal of Infectious Diseases (Sep 2011)

Backgraound;

トレポネーマに対する化学発光分析(CIA)での梅毒のスクリーニングによって、従来の方法では検出できなかった患者が陽性と判定される(例えば、CIA陽性・rapid plasma regain(RPR)陰性)。我々は、梅毒の血清学的検査が不一致となる患者について、その臨床的特徴と管理の方法を明らかにしようと考えた。

Methods;

2007年8月~10月の間にカイザーパーマネントノーザンカリフォルニアにおいて、CIA陽性・RPR陰性となった患者の梅毒トレポネーマ粒子凝集法(TPPA)を行った。臨床・人口統計学的特徴、梅毒罹患歴、CIA値がTPPAとともに調べられた。

Results;

21623名のうち、439名(2%)がCIA陽性で、その58%(255/439)がRPR陰性であった。さらに、72%(184/255)がTPPA陽性で28%(71/255)が陰性だった。TPPA陽性者では、男性、HIV陽性、同性愛者、梅毒治療歴(57% vs 9%)の項目が有意で、高いCIA値を示した(9.8 vs 1.6)(それぞれp < 0.0001)。CIA陽性・RPR陰性・TPPA陰性の患者31名を再検査したところ、7名(23%)でCIA陰性に血清反転化していた。

Conclusions;

TPPA検査と臨床・行動評価を併用することが、CIA陽性・RPR陰性患者の管理に役立つと考えられる。TPPA陽性患者は、梅毒罹患歴と梅毒の疫学的リスクが高い傾向にあった。有病率の低い集団では、CIA陽性・RPR陰性・TPPA陰性の場合、CIA偽陽性となっている可能性が考えられた。

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HIV感染患者におけるアルテメテル/ルメファントリンとネビラピンベースの抗レトロウイルス療法間の相互作用

The interaction between artemether-lumefantrine and nevirapine-based antiretroviral therapy in HIV-1 infected patients;

Kredo T, Mauff K, Van der Walt JS, Wiesner L, Maartens G, Cohen K, Smith P, Barnes KI; Antimicrobial Agents & Chemotherapy (Sep 2011)

ソース:Antimicrob Agents Chemother

背景:

アフリカでは、アルテメテル・ルメファントリンがマラリアの、ネビラピンを基盤としたレジメンが抗レトロウイルス療法(ART)の、それぞれ第一選択治療として一般に推薦されている。アルテメテル、ルメファントリンとネビラピンは、チトクロームP450 3A4によって代謝されることから、薬物相互作用を起こす可能性がある。

方法:

平行群間の薬物動態研究により、HIV感染患者の2つの群(ART未施行群とネビラピンをベースとしたART治療群)での濃度時間関係が得られた。

両群は、推奨量のアルテメテル・ルメファントリンを投与された。

患者は、集中的に薬物動態学的サンプリング(0 - 72時間)を行うために入院し、その後21日目まで外来でのサンプリングを受けた。

ルメファントリン、アルテメテル、ジヒドロアルテミシニンとネビラピンの濃度は、確立されているLC-MS/MS法によって測定された。

主要評価項目は、7日目のルメファントリン濃度であった(これがマラリアの治療効果と関連する)。

結果:

36例の患者(32人の女性)が登録された。7日目のルメファントリン濃度の中央値は、ネビラピンベースのART群とART未施行群で、それぞれ622ng/mL(185-2040)と336ng/mL(29-934)(P=0.0002)であった。

アルテメテルのAUC(0-8時間)(p < 0.0001)の中央値とジヒドロアルテミシニンのAUC(60-68時間)(p=0.01)は、ネビラピン群でより低かった。

アルテメテルとジヒドロアルテミシニンを同時に投与した場合、ネビラピン群だけで、ルメファントリン濃度は時間とともに減少し(GMR 0.76(95%CI 0.65-0.90);p < 0.0001)、体重で調整したアルテメテル投与により増加した(GMR 2.12(95%CI 1.31-3.45);p=0.002)。

有害事象は両群でほぼ同等で、ルメファントリン濃度が最大になる時間において、心電図でのQTc時間とPR間隔も差がなかった。

結論:

ネビラピン・ベースのARTは、アルテメテルとジヒドロアルテミシニンAUCを減少させたが、予想外にルメファントリン濃度を増加させた。

ルメファントリン代謝の抑制機序は、いまだ明らかでない。HIV感染合併のマラリア患者におけるネビラピンとアルテメテル・ルメファントリンの相互作用を調査することが、早急に求められる。

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