11/12/28 up

HIV感染小児における、スタブジンからジドブシンへの薬剤変更に伴うリポジストロフィーからの回復

原題:Recovery From Lipodystrophy in Human Immunodeficiency Virus-infected Children After Substitution of Stavudine With Zidovudine in a Non-nucleoside Reverse Transcriptase Inhibitor-based Antiretroviral Therapy;

著者:Aurpibul L, Puthanakit T, Taejaroenkul S, Sirisanthana T, Sirisanthana V;

雑誌:Pediatric Infectious Disease Journal (Nov 2011)

背景:

スタブジンをジドブジンに変更することによって、HIVに感染した小児でリポジストロフィーが回復する可能性がある。

方法:

我々は、タイ北部のチェン-マイ大学病院で2002年から2004年にリポジストロフィーの研究で登録されたHIV感染症にを対象に、前向きの調査を行った。2006年にスタブジンはジドブジンに変更された。対象となった全ての小児は、試験開始時と24、48、72,96週後の時点で、リポジストロフィーに関する臨床項目(欧州の基準に準拠)と腰/臀部のサイズを評価された。ウエスト/ヒップの比は、年齢と性別を調整したうえで、健常なタイの小児の正常範囲に基づくZ-scoreに変換された。

結果:

45例のリポジストロフィー症例(脂肪肥大症 36例、脂肪萎縮症45例)が登録された。薬剤変更後、48週と96週の時点での回復率は脂肪肥大症では40%、47%、脂肪萎縮症では59%、73%であった。脂肪萎縮症の回復率は、脂肪肥大症よりも高かった。96週の時点で、リポジストロフィーが残存していたのは、8例であった。

臨床的に、重大な有害事象は確認されなかった。

結論:

スタブジンからジドブジンに代替することにより、HIV感染小児でリポジストロフィーの軽減、および回復が認められた。

ペグ化されたリポソーマルドキソルビシンの有効性

原題:Pegylated Liposomal Doxorubicin: A Review of its use in Metastatic Breast Cancer, Ovarian Cancer, Multiple Myeloma and AIDS-Related Kaposi's Sarcoma;

著者:Duggan ST, Keating GM;

ソース:Drugs 71 (18), 2531-58 (Dec 2011)

ペグ化されたドキソルビシンのリポソーマル製剤(ドキシル)は、心毒性の軽減と、薬物動態の改善という点で、従来のドキソルビシンよりも剤型として優れている。

ここでは、転移性の乳癌、 進行性の卵巣癌、 再発あるいは難治性の骨髄腫、AIDSに関連したカポジ肉腫の症例を対象に、ドキシルの効果と忍容性、同時にその薬理学的な特性についてまとめた。

3件の無作偽化されたオープンラベル、多施設試験では、ドキシルによる単剤治療が、従来のドキソルビシンあるいは、カペシタビン(転移性乳癌に対する第一選択薬)と同等の効果を示した。

また、タキサン系難治性の転移性乳癌においても、ビノレルビン単剤かマイトマイシンとビンブラスチンの併用と同等であった。

ドキシル単剤は、 プラチナ製剤あるいはパクリタキセルに不応性の進行性の卵巣癌に対して、トポテカン、ジェムシタビンの単剤と同等の有効性を示した(3種類の多施設共同試験に基づく)

さらに、進行性の卵巣癌に対し、プラチナ製剤による治療を既に受けている場合も、ドキシル、カルボプラチン併用群でパクタキセル、カルボプラチン併用群よりも、無増悪進行生存が有意に長かった。

再発あるいは不応性の多発性骨髄腫で、ドキシルとボルテゾミブによる併用は、ボルテゾミブ単剤よりも有効であった。

無作偽化された多国間試験でも、ドキシルはエイズに関連したカポジ肉腫に対して有効であった。

ドキシルは従来のドキソルビシンや、他の抗癌剤と比較しても、比較的安全性が高かった。良くみられる副反応としては、骨髄折制、 手掌足底感覚異常症、 口内炎があったが、いずれも適切な支持療法によって対処可能であった。

結論として、ドキシルは種々の悪性疾患において、有用な選択肢である。

サイトメガロ網膜炎に対するガンシクロビル硝子体内維持投与: 低投与量・中等度力価レジメンの効果;

Intravitreal Ganciclovir Maintenance Injection for Cytomegalovirus Retinitis: Efficacy of a Low-Volume, Intermediate-Dose Regimen; Teoh SC, Ou X, Lim TH; Ophthalmology (Dec 2011)

Source: Ophthalmology

OBJECTIVE:

ART未施行のHIV陽性患者で、サイトメガロ(CMV)網膜炎の新規発症者に対して、低投与量・中等度力価(1.0mg/0.02ml)ガンシクロビルの硝子体内維持投与臨床効果について検討した。

DESIGN:

非ランダム化後ろ向き介入試験

PARTICIPANTS:

シンガポール感染症センターにおいて網膜専門医に診断された、ART未施行HIV感染者24名のCMV網膜炎(34眼)について検討を行った。

INTERVENTION:

標準的な寛解導入療法であるガンシクロビル硝子体内投与(2.0mg/0.04ml)週2回を行った後、維持投与として1.0mg/0.02mlのガンシクロビルを週1回硝子体内投与した。

MAIN OUTCOME MEASURES:

無増悪期間、視力、合併症について検討した。増悪は画像検査により判定した。

RESULTS:

無増悪期間中央値は152日であった(平均380.1日、95%信頼区間; 240.8-519.4)。観察期間中央値は95日(平均 207.9日)。3眼で裂孔原性網膜剥離が認められたが、1858投与で眼内炎は認められなかった。対側眼でのCMV網膜炎の発症は17.6%で認められた。6か月間以上の硝子体内注入にかかるコストは、硝子体内埋め込み型持続放出療法による治療の11.7%、ガンシクロビル静脈内投与・バルガンシクロビル内服の継続投与に比し11.1%と見積もられた。

CONCLUSIONS:

埋め込み型持続放出療法やバルガンシクロビル内服が利用できない、もしくは高価すぎるような発展途上国においては、週1回の低投与量・中等度力価(1.0mg/0.02ml)ガンシクロビル投与は有効な治療手段である。このレジメンにより長い無増悪期間が得られ、視力も保たれていた。また最低限の網膜合併症を認めたのみであった。

生活習慣是正とメトホルミンがアテローム性動脈硬化に及ぼす影響

原題:Effects of Lifestyle Modification and Metformin on Atherosclerotic Indices among HIV-Infected Patients with the Metabolic Syndrome;

著者:Fitch K, Abbara S, Lee H, Stavrou E, Sacks R, Michel T, Hemphill L, Torriani M, Grinspoon S;

雑誌:AIDS (Nov 2011)

背景

脂質異常、高血圧、肥満を含む代謝異常はHIV感染者に一般的に見られるが、冠状動脈のカルシウム沈着を介して心血管疾患の増加に関与している。我々は、「生活習慣の是正」と「メトホルミン」が、メタボリック症候群をもつHIV患者で心血管疾患を減らすと仮説を立てた。

研究デザイン

50名のメタボリック症候群をもつHIV 感染者を対象に、生活習慣是正とメトホルミンの効果を確認するため、無作為のプラセボ-コントロール対照試験を行った。

方法

心血管系と代謝における代表的な指標として冠動脈石灰化を測定した。

結果

対象者におけるHIVの感染期間は、平均14 ± 1年で、抗レトロウイルス治療の期間は、平均6 ±1年であった。

生活習慣是正は冠動脈石灰化の進行に影響を及ぼさなかったが、メトホルミン使用群では、冠動脈石灰化の進行が有意に緩徐であった。メトホルミンは、冠動脈石灰化に対して生活習慣是正よりも有意に大きな影響を及ぼした。また、メトホルミン治療群は、石灰化したプラークの容積の増加が有意に少なかった。

結論

メトホルミンは、HIVに感染したメタボリツク症候群患者で、プラークの進行を予防する。

訳注:メトホルミン→ビグアナイド系薬剤に分類される経口糖尿病治療薬。

日本での商品名はメトグルコ®、メルビン®、グリコラン®

慢性肥大型外陰部ヘルペス性疑似腫瘍;

Chronic Hypertrophic Vulvar Herpes Simulating Neoplasia; B Domfeh A, Silasi DA, Lindo F, Parkash V; International Journal of Gynecological Pathology (Nov 2011)

Source: Int J Gynecol Pathol

40歳の女性HIV感染患者で、外陰部に2か月の経過で増大する3.5cm大の角化性腫瘍を認めた症例を提示する。

切除腫瘍の病理組織学的な検索では、慢性肥大型外陰部ヘルペス性疑似腫瘍と診断された。この病変に関する病理学文献が少なく、組織及び臨床的特徴からみても希少であることから、臨床医及び病理医双方にとって診断はしばしば困難となる。

しかしながら、適切な治療を行うために正確な診断が必要である。関連する文献について検索し考察を行った。

抗レトロウイルス治療中のHIV感染患者における重要な薬剤間相互作用:HIV治療薬と非HIV治療薬間の新しい相互作用についてのUpdate

Important Drug-Drug Interactions in HIV-Infected Persons on Antiretroviral Therapy: An Update on New Interactions Between HIV and Non-HIV Drugs; Tseng A, Foisy M;

Current Infectious Disease Reports (Nov 2011)

抗レトロウイルス治療の進歩がHIVを慢性の管理しやすい疾患へと変えた。

患者はしばしばHIVと同時に他の合併症に対する治療も必要とし、結果として、抗レトロウイルス治療薬(ARVs)と他の薬剤との薬物動態学的相互作用への関心が高まっている。

プロテアーゼ阻害薬とNNRTIはCYP450や他の輸送体系に含まれるため、臨床的に重要な薬物相互作用のリスクと関連する可能性が高い。逆転写酵素阻害薬であるアバカビルはCYP3A4、2D6、2C9の弱い抑制作用があることがin vitroで証明されているが、CYP450系に含まれる臨床的に重要な相互作用とは関連しない。

インテグラーゼ阻害薬であるラルテグラビルはCYP450系に含まれないため、他の薬物との相互作用を最小限にとどめたい場合に適した選択枝となるだろう。このレビューでは最近の報告の中からARVsと抗腫瘍薬、移植関連の免疫抑制薬、C型肝炎に対する抗ウイルス薬、抗真菌薬、マラリア治療薬、ステロイド、向精神薬、経口避妊薬、抗凝固薬、肺高血圧治療薬、漢方薬を含む他の薬剤との臨床的に重要な薬物相互作用についてのデータをまとめている。相互作用が疑われる場合には、頻回のモニタリングが必要とされ、容量調節や代替治療も必要となるかもしれない。

皮膚薬剤有害事象が見られた患者に抗結核薬を再導入することの有用性

Outcomes of reintroducing anti-tuberculosis drugs following cutaneous adverse drug reactions

Lehloenya RJ, Todd G, Badri M, Dheda K;

International Journal of Tuberculosis and Lung Disease 15 (12), 1649-57 (Dec 2011)

背景:

結核に関連した皮膚有害事象の転帰のデータには限界がある。初回抗結核薬治療を皮膚有害事象後に再導入するかどうかは、議論の余地があり、一定の見解がない。

方法:

南アフリカ、ケープタウンで、皮膚科病棟に入院した298名のCADR患者の記録をレトロスペクティブに調査した。

結果:

TB関連のCADRは、298例の患者のうちの65例であった。これらのうち、60/65(92%)は、HIV感染患者であった(CD4陽性細胞数中央値107 cell/mm3)。抗結核薬は46/65の(71%)患者で再導入された。そのうち、23/46(50%)は再反応が見られた。最も多かった再反応は、掻痒感で11/23(48%)、次に肝炎で9/23(39%)にみられた。23例の再反応のうち、13例(57%)は軽度、6例(26%)が中等度、4例(26%)が重症であった。再反応がみられた患者のうち、リファンピシン(RMP)は13/23(57%)、イソニアジドは 5/23(22%)、ピラジナミドは3/23(13%)、エタンブトール、ストレプトマイシン、オフロキサシンはそれぞれ1/23(4%)であった。以前のTB治療の不足(用量における面?効果の面?)とRMPの再投薬は、再反応の発症にそれぞれに関係していた。

結論:

再反応が一般的であり、大多数は非致命的ではあるが、TBの治療薬は高容量が必要で、大きな負担となる。すべての一次抗結核薬はCADRを生じることがあり、RMPは以前の報告より強く関連する。これらのデータは、高いHIV有病率における抗結核薬関連のCADRに対するマネージメントの手助けとなる。

3TCを含むレジメンを中断したあとのHIV患者において潜在性B型肝炎の再活性化についての解析

Molecular analysis of hepatitis B virus (HBV) in an HIV co-infected patient with reactivation of occult HBV infection following discontinuation of lamivudine-including antiretroviral therapy;

Costantini A, Marinelli K, Biagioni G, Monachetti A, Ferreri ML, Butini L, Montroni M, Manzin A, Bagnarelli P;

BMC Infectious Diseases 11 (1), 310 (Nov 2011)

BACKGROUND:

潜在性B型肝炎感染(OBI)血清学的にすでに改善した状態であるのにHBV DNAが検出される場合のことである。しかしOBIは臨床的には無症状である が、免疫不全状態の患者において時に肝炎の再発が起こる。

CASE PRESENTATION:

我々はHIV感染状態でHBc抗体陽性の患者が3TCを含むレジメンを中断したときに重度の肝炎症状がみられたケースを報告する。HBVのDNAを解析したところ増悪初期のサンプルから再感染の可能性を除外できるHBsAgのエスケープミュータントが検出された。 しかし、遺伝子配列についてはいくつかの異なる点がこの再燃するまでの9年間で見られた。FTC/TDFを含むARTを再開したところ血中HBV DNAが検出限界以下のコントロールが得られた。

CONCLUSION:

今回の症例提示でHBVはたとえ血清学的には潜在性であっても持続感染していることと、OBIの再活性化はARTでコントロールできることが強調できる。

HIVに感染したブラジル人における骨密度の低下について

原題:Low Bone Mass Prevalence, Therapy Type, and Clinical Risk Factors in an HIV-Infected Brazilian Population;

著者:Pinto Neto LF, Ragi-Eis S, Vieira NF, Soprani M, Neves MB, Ribeiro-Rodrigues R, Miranda AE;

雑誌:Journal of Clinical Densitometry 14 (4), 434-9 (2011 Oct-Dec)

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染した患者では、骨密度(BMD)の低下がみられる場合がある が、どのような因子が関与するかは、依然として明らかでない。

さらに、我々の知る限りでは、ブラジルに当てはまるような報告は存在しない。今回の目的は、ビクトリア(ブラジル)で外来通院するHIV感染患者を対象に、BMDを評価することである。

300例のHIV感染患者を対象に、BMDを二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)で測定し、年齢、性、CD4細胞数、HIVウイルス量、そして現在の抗レトロウイルス療法との相関を、多変量解析によって調査した。

世界保健機関(WHO)の基準に基づき、BMDの低下は、登録患者300人の54.7%(95%信頼区間:49.1-60.3%)で認められた。年齢の中央値は46歳(四分位数間領域:39-52)で、男性58%、88.5%は抗レトロウイルス療法を88.5%が受けており、喫煙者は21.4%であった。

多重ロジスティック・モデリングの結果、BMDと独立して関連している因子として、以下のものが特定された:①男性、②ボディ・マス・インデックス25未満、③閉経期、④HIVウイルス量が検出限界以下。一方、ジドブジンとネビラピンの使用は、BMDの低下と逆に相関していた。 本研究で、約300人のブラジルにおけるHIV感染被験者の中で、BMDの低下はしばしば認められており、HIVの外来診療で定期的にDXA試験を行う必要性が支持された。

UGT1A1*28変異遺伝子はHAARTによる重度の高ビリルビン血症の予測因子である―南ブラジルでの検討;

Turatti L, Sprinz E, Lazzaretti RK, Kuhmmer R, Agnes G, Silveira J, Basso R, Pinheiro C, Silveira M, Almeida S, Ribeiro J, Mattevi VS; AIDS Research and Human Retroviruses (Nov 2011)

Source: AIDS Res Hum Retroviruses

HAARTによりHIV感染患者の生存が改善している。しかしながら、HAARTによる有害事象が、その継続の主要な妨げとなってきている。いくつかのプロテアーゼ阻害剤(主にATV、IDV)では、肝臓でのビリルビン抱合に働くUGT1A1の阻害作用が知られている。UGT1A1遺伝子のプロモーター領域(UGT1A1*28, rs8175347)での変異が、血清ビリルビン値や高ビリルビン血症を来す閾値に影響を与える可能性が考えられている。HAARTを受けている患者について、UGT1A1*28変異遺伝子と高ビリルビン血症の関係を評価するため、我々は375名の抗レトロウイルス治療を受けているHIV陽性患者を検索した。UGT1A1*28変異遺伝子を有する患者は、重度の高ビリルビン血症の高リスク群であった(有病率; PR = 2.43、95%信頼区間(CI) 1.08~5.45、P = 0.032)。またATV使用群も同様に高リスク群であった(PR = 7.72, 95% CI = 3.14 - 18.98, P<0.00)。この研究において、初めてブラジル人のHIV感染患者で検討が行われた。UGT1A1*28変異遺伝子は重度の高ビリルビン血症の予測因子であり、特にATV使用者ではその傾向が強かった。

性別、HIVの病状と精神疾患:アルコール関連病態の全国疫学調査

Gender, HIV status, and psychiatric disorders: results from the National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions;

Lopes M, Olfson M, Rabkin J, Hasin DS, Alegría AA, Lin KH, Grant BF, Blanco C; Journal of Clinical Psychiatry (Oct 2011)

Source: J Clin Psych

目的:

HIV epidemicから30年以上経過した今、母集団におけるHIV陽性者の精神疾患の有病率はわかっていない。HIV陽性者とHIV陰性者の間で12カ月の精神疾患の有病率を性別とHIVの病状で層別化して比較した。

方法:

2004年から2005年に米国の成人を対象とした大規模で全国的で代表的な調査であるアルコール関連病態の全国疫学調査2の参加者に対して面接を行った(34653)。診断的な面接については、アルコール乱用と関連障害面接スケジュールDSM-Ⅳ versionを用いた。

結果:

HIV陰性の同性愛者と比較すると、HIV陽性者は気分障害(odds ratio [OR]=6.10; 95% confidence interval [CI], 2.99-12.44)、大うつ病性障害(OR=3.77; 95% CI, 1.16-12.27)、不安障害(OR=4.02; 95% CI, 2.12-7.64)、人格障害(OR=2.50; 95% CI, 1.34-4.67)が多い傾向があった。HIV陰性同性愛者に関しては、HIVの病状が気分障害(OR=7.17; 95% CI, 2.52-20.41)に影響しており、不安障害(OR=3.45: 95% CI, 1.27-9.38)、人格障害(OR=2.66; 95% CI, 1.16-6.10)は女性より男性に有意に多くみられた。

結論:

HIVの病状は女性より男性で有意に精神疾患と関連していた。HIV陽性男性はHIV陰性男性に比べ精神疾患の有病率が高かった。それと対比して、HIV陽性女性はHIV陰性女性と比べ精神疾患が有意に多いとは言えなかった。

新たに診断されたキューバの患者におけるHIV-1遺伝的多様性

HIV-1 genetic diversity in newly diagnosed Cuban patients

Machado Zaldivar LY, Blanco de Armas M, Dubed Echevarr A M, D Az Torres HC, Ruiz Gutierrez NM, V Ldes de Calzadilla N, Romay Franchi D, Lobaina Barthelemy LI

AIDS Research and Human Retroviruses (Nov 2011)

HIV-1の遺伝的多様性についての知識は、疫学的調査における基本的な前提となる。本研究において、2009年から2010年の間にHIV感染と診断された142名のキューバ人患者のHIV-1遺伝子多様性を分析した。HIV-1亜型は、HIV-1のpol遺伝子の部分的なRT-PCRと塩基配列決定法で測定された。系統発生分析法では、47検体(33.1%)がサブタイプB、95検体(66.9%)が非Bサブタイプ、すわなち、G、HとCサブタイプならびに、CRF19_cpx、CRF18_cpx、CRF BGのリコンビナントが含まれることを明らかにした。また、キューバで初めてCRF05_DFを検出した。組換え型の分析では、CRF18_cpx/CRF19_cpxの存在を示した。本研究はHIV-1の高い遺伝的多様性と周到な集団の新しい遺伝子多型の循環を確認した。そして、それはキューバで継続的な疫学的調査を維持することの重要性を示した。

ラルテグラビルによる治療の強化は、脳脊髄液中のHIV-1感染または免疫活性化に影響しない

原題:Raltegravir Treatment Intensification Does Not Alter Cerebrospinal Fluid HIV-1 Infection or Immuno-activation in Subjects on Suppressive Therapy;

著者:Dahl V, Lee E, Peterson J, Spudich SS, Leppla I, Sinclair E, Fuchs D, Palmer S, Price RW;

雑誌:Journal of Infectious Diseases(2011年10月)

背景 抗レトロウイルス療法によってヒト免疫不全ウイルス型1(HIV-1)RNAが血漿中で検出限界以下に抑制されていたとしても、HIV-1の感染と免疫の活性化は中枢神経系内で持続し、ことによると継続した脳損傷につながる可能性がある。我々は、抗ウイルス療法の強化が脳脊髄液中の感染と免疫活性化を減弱させると仮定した。 方法 12週間の無作為非盲検予備的研究で、インテグラーゼ阻害剤、ラルテグラビルの追加(治療強化)の有無により二群間を比較した。脳脊髄液と血漿中の、HIV-1 RNAを測定し、また、脳脊髄液と血液における免疫活性化は、ネオプトリン濃度(訳注:インターフェロンの放出状態を反映し、免疫異常疾患,全身性感染症等でも上昇)とCD4(+)とCD8(+) T細胞表面抗原発現によって評価された。 結果 第一義的分析は、14例の強化療法あり群と、9例の強化療法なし群とを比較した。すべてのサンプルのHIV-1 RNAレベルの中央値は、血漿(<.9コピー/mL; P < .0001)で脳脊髄液(<.3コピー/mL)より低く、そしてラルテグラビルはHIV-1 RNA、脳脊髄液中のネオプトリン濃度、CD4(+)とCD8(+) T細胞活性化に影響を及ぼさなかった。 結論 ラルテグラビルによる強化療法は、鞘内での免疫活性化を弱めなかったか、あるいは試験開始時のウイルス抑制のために、被験者で脳脊髄液 HIV-1 RNAレベルを変えなかった。ラルテグラビルによる強化療法の有無に関わらず、脳脊髄液のHIV RNAレベルは、登録された被験者で非常に低かった。 Clinical Trials Registration. ClinicalTrials.gov (NCT00672932).

CD4細胞数の最低値は、長期ART後のHIV貯蔵量に関する独立した予測因子である;

CD4 T cell nadir independently predicts the magnitude of the HIV reservoir after prolonged suppressive antiretroviral therapy; Boulassel MR, Chomont N, Pai NP, Gilmore N, Sékaly RP, Routy JP; Journal of Clinical Virology (Oct 2011)

Journal of Clinical Virology (Oct 2011)

BACKGROUND;

CD4細胞内のHIV-1組み込みDNA量は、CD4数やHIV-1 RNA量と独立した、HIV-1感染症の予測因子であると報告されている。しかしながら、有効なARTが行われている間のHIV-1貯蔵量との関連は依然不明である。

OBJECTIVES;

ARTによりウイルス血症が抑えられている成人HIV-1感染患者に対して、HIV-1貯蔵量と関連ある要素を評価することを目的とした。

STUDY DESIGN;

35名の、ARTを受けHIV-1 RNA量が測定感度以下となっている患者がエントリーされた(測定感度以下となっている期間は平均3.2年間)。高感度PCRによりCD4細胞内のHIV-1組み込みDNA量を評価した。

RESULTS;

HIV-1組み込みDNAは平均して、10(6) CD4細胞あたり、300±7 copies (10~1408)であった。単変量解析では、HIV-1組み込みDNA量は、HIV感染期間・ART施行期間・HIV-1 RNA量が測定感度以下となってからの期間・HIV-1感染からART開始までの期間・ART開始前のHIV-1 RNA量とそれぞれ関連がみられなかった。一方で、CD4最低値やCD4/CD8比とは逆相関が認められ、関連はやや薄いもののCD4細胞数とも逆相関がみられた。多変量解析では、CD4最低値のみがHIV-1組み込みDNA量の有意な予測因子であった。(p=0.025)。

CONCLUSIONS;

ウイルス血症の抑えられているHIV-1感染成人において、CD4最低値はHIV-1貯蔵量の強い予測因子であった。ART開始前のCD4細胞の消耗の程度により、ART継続中のHIV-1貯蔵量も決まると考えられる。

HIV母子感染の疫学と予防における傾向:周産期のHIV調査の結果

Five-year trends in epidemiology and prevention of mother-to-child HIV transmission, St. Petersburg, Russia: results from perinatal HIV surveillance

Kissin DM, Mandel MG, Akatova N, Belyakov NA, Rakhmanova AG, Voronin EE, Volkova GV, Yakovlev AA, Jamieson DJ, Vitek C, Robinson J, Miller WC, Hillis S; BMC Infectious Diseases 11 (1), 292 (Oct 2011)

要約:

ロシアのHIV流行に生殖可能年齢の女性が関係しており、周産期のHIV感染を増加させる可能性がある。

方法:

HIV症例報告と周産期のHIV調査システムを使用し、2004年から2008年にサンクトぺテルブルグで出産した女性をレトロスペクティブに調査した。母子感染に関連して社会的背景・周産期の状況・臨床因子を薬物使用歴で層別化した。そして、周産期のHIV伝播感染率をカイ二乗、Cochran-Armitage testを使用して比較した。

結果:

出産したHIV感染女性で、これまでに薬物使用歴がある女性(IDUs)の比率は、2004年は62%であったが、2008年には41%と減少していた(P<0.001)。 プログラムの改善は、2004年から2008年の以下の臨床因子の改善につながった。(すべてP < 0.01):28週未満での治療開始(IDU 44-54%,非IDU 45-72%)、免疫状態のモニタリング(IDUs 48%-64%、非IDUs 58%-80%)、ウイルス学的状態のモニタリング(IDUs 8%-58%、非IDUs 10%-75%)、二剤・三財での抗レトロウイルス治療(IDUs 9%-44%、非IDUs 14%-59%)。 周産期のHIV感染は、2004年の5.3%(95%CI 3.5-7.8%)から当初は増加し、2005年は8.5%(95%CI6.1-11.7%)であった。その後2006年には5.3%(95%CI 3.4-8.3%)、2007年は3.2%(95%CI 1.7-5.8%)と低下した。しかし、分娩、出産前にHIV検査を施行していない女性の比率は、かわらなかった。

結論:

IDUsの割合の減少とHIV感染女性に対する臨床サービスの改善は、周産期のHIV伝播を減少させた。そして、妊娠前・妊娠中の女性への援助およびHIV検査を増加させることによって更に減少させることができる。

HIV感染者における結核感染者の抗HIV薬の開始時期について

Earlier versus later start of antiretroviral therapy in HIV-infected adults with tuberculosis;

Blanc FX, Sok T, Laureillard D, Borand L, Rekacewicz C, Nerrienet E, Madec Y, Marcy O, Chan S, Prak N, Kim C, Lak KK, Hak C, Dim B, Sin CI, Sun S, Guillard B, Sar B, Vong S, Fernandez M, Fox L, Delfraissy JF, Goldfeld AE, CAMELIA (ANRS 1295–CIPRA KH001) Study Team;

New England Journal of Medicine (NEJM) 365 (16), 1471-81 (Oct 2011)

BACKGROUND

HIV感染者において結核は死亡の原因となる重要な疾患である。抗結核薬開始と抗HIV薬開始の関連を検討したしっかりしたデータがない。

METHODS 結核の診断時にCD4数が200かそれ以下でHIV薬の内服をしていない患者においては抗HIV薬の開始のタイミングが死亡と相関するという仮説をたてて検証した。 

6ヶ月の結核標準療法を開始(HREZ or SM)した後に無作為に早期治療開始群(抗結核薬開始2週後)と結核治療開始後8週後に開始する群に割り付けた。レジメンはAZT、3TC、EFVとした。 一次エンドポイントは生存である。

RESULTS

661例が登録され平均25ヶ月観察した。平均のCD4数は25でウイルス量は5.64 log(10)コピーであった。死亡のリスクは早期にARTを開始した群で332例中59例の死亡(18%)となり329例中90例死亡(27%)した8週経過後のART開始群より有意に下回った。 (hazard ratio, 0.62; 95% confidence interval [CI]; 0.44 to 0.86; P=0.006).

IRS発症のリスクは早期ART開始群で有意に上昇した。(hazard ratio, 2.51; 95% CI, 1.78 to 3.59; P<0.001). 割り付けに関わらず平均してCD4数は治療開始後に114上昇しウイルス量は治療開始から50週目で96.5%が検出限界以下まで低下した。

CONCLUSIONS CD4数が200以下で結核を発症したHIV患者において抗結核薬を開始してから2週間でART開始をすると有意に生存率が改善する。

(Funded by the French National Agency for Research on AIDS and Viral Hepatitis and the National In stitutes of Health; CAMELIA ClinicalTrials.gov number, NCT01300481.).

エルテグラビルの効果と安全性

原題:Efficacy and safety of once daily elvitegravir versus twice daily raltegravir in treatment-experienced patients with HIV-1 receiving a ritonavir-boosted protease inhibitor: randomised, double-blind, phase 3, non-inferiority study;

著者:Molina JM, Lamarca A, Andrade-Villanueva J, Clotet B, Clumeck N, Liu YP, Zhong L, Margot N, Cheng AK, Chuck SL, for the Study 145 Team

ソース:Lancet Infectious Diseases (Oct 2011)

目的:

エルテグラビルは、1日1回投与が可能なHIV-インテグラーゼ阻害剤で、リトナビルによってブーストされる。今回の目的は、治療失敗の経験をもつ患者を対象とし、エルテグラビルの有効性と安全性を、もうひとつのインテグラーゼ阻害剤である、ラルテグラビルと比較することである。

方法:

我々は、無作為抽出二重盲検による第3相試験を、13カ国234施設で行った。血漿HIV-RNAが1000コピー/mL以上(CD4数は問わない)で、少なくとも2種類の系列の抗レトロウイルス薬投与を6ヶ月以上受けているか、それらに対して耐性を持っている症例を対象とした。対象者は、非盲検の薬剤として、リトナビル・ブーストされたプロテアーゼ阻害剤ともう1剤を背景として投与された。コンピューターで1:1の比率で患者をエルテグラビル群(n=361)とラルテグラビル群(n=363)に割り付けた。プラセボ錠剤によって、両群間の用法・用量の違いはマスクされた。プライマリー・エンドポイントは、ウイルス学的効果の達成(HIV-RNA<50コピー/mL)と、48週以上の維持であった。

結果:

エルテグラビル群から10例、ラルテグラビル群から12例が脱落した。エルテグラビル群207例(59%)がウイルス学的に有効であり、ラルテグラビル群は203例(58%)であったことから、非劣性と判定された(p=0.001)。重篤な有害事象は、エルテグラビル群が3例、ラルテグラビル群が7例であった。死亡例はエルテグラビル群が2例、ラルテグラビル群が8例であった。有害事象の内容として、エルテグラビル群では下痢、ラルテグラビル群で肝酵素の上昇が見られた。

考察:

エルテグラビルは、リトナビル・ブーストされたプロテアーゼ阻害剤と併用する場合においては、治療経験のある患者に対して、ラルテグラビルと同等の有効性と安全性を持っていた。 エルテグラビルは1日1回投与が可能であるため、1日2回投与のラルテグラビルよりも、患者のアドヒアランスが改善する可能性がある。

HAART実施期(1997-2008)における、HIV感染小児抗酸菌感染症の減少;

Reduction in Mycobacterial Disease Among Human Immunodeficiency Virus-infected Children in the Highly Active Antiretroviral Therapy Era (1997-2008); Jensen J, Alvaro-Meca A, Micheloud D, Díaz A, Resino S;

Pediatric Infectious Disease Journal (Oct 2011)

BACKGROUND;

HIV感染小児は抗酸菌感染症の高いリスクを認めている。この研究はHAART実施期におけるHIV感染小児での抗酸菌感染症について、その比率の変化を推定することを目的とする。

METHODS;

我々は後ろ向き研究を実施した。1997年から2008年の期間でスペインの医療機関で得られた検査結果から分析を行った。HAART初期段階(1997-1999)、HAART中期段階(2000-2002)、HAART後期段階(2003-2008)に分けて解析を行った。

RESULTS;

1307名のHIV感染小児と5228名のHIV非感染小児について分析を行った。HIV感染小児では同様の頻度で結核と非結核性抗酸菌感染(NTM)が認められ、HIV非感染小児よりもその頻度は高かった(P<0.001)。HIV感染小児では、結核感染の中で肺結核が最も多く(15/42 [35.7%])、NTMの中では播種性抗酸菌症が最多であった(9/42 [21.4%])。抗酸菌感染全体の発症率(HIV感染小児1000人・年 当たりの発症)は、徐々に低下が認められた(1997-1999; 5.88、2000-2002; 4.20、2003-2008;1.63、p<0.03)。結核のみでの解析にても有意な減少が認められ(1997-1999; 3.53、2000-2002; 0.84、2003-2008; 1.31)、さらにNTMについても減少が認められた(2000-2002; 3.36、2003-2008; 0.32、P= 0.002)。

CONCLUSIONS;

HAART実施期となり、HIV感染小児での抗酸菌感染症の発症は減少が認められた。しかし、依然として一般集団と比較すると高い発症率がみられている。

1998-2007年における妊娠中のB型肝炎C型肝炎とHIV/AIDS共感染の予防と最近の傾向

Prevalence and Temporal Trends of Hepatitis B, Hepatitis C, and HIV/AIDS Co-infection During Pregnancy Across the Decade, 1998-2007; Salihu HM, Connell L, Salemi JL, August EM, Weldeselasse HE, Alio AP;

Journal of Women's Health (Oct 2011)

Abstract

背景:

妊娠中の肝炎感染率の社会人口統計学的な特徴についてのデータは限られている。この研究では、1998-2007年のフロリダの妊婦におけるB型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の単独感染およびHIV/HBV、HIV/HCV共感染について調査した。

方法:

出生記録と関連した病院退院データをもとに、1998-2007年のフロリダにおけるすべての出生について分析した。

結果:

対象者は1,700,734人の単生児とした。妊娠中のHBV感染の有病率は出生10万に対して64.5から123.5に上昇していた(p<0.0001 for trend)。同様に妊娠中のHCV感染の有病率は出生10万人あたり17.0から125.1に増加していた(p<0.0001 for trend)。白人女性に比べ黒人女性ではHBV感染が2倍以上多かった(調整rate ratios[ARR]=2.24; 95%CI=1.97-2.53)。HCV感染に関しては、白人の母親に比べ、黒人の母親は69%(ARR=0.31, 95%CI=0.25-0.39)、ラテンアメリカ系の母親は51%(ARR=0.49, 95%CI=0.41-0.60)少なかった。

結論:この期間中、HBVの有病率全体は増加していたが、黒人女性の感染率が注目すべき高さであった。同様に、白人女性はHCV感染率が注目すべき高さであった。この結果は、出産可能年齢の女性におけるHBV/HCV感染に対して、予防、スクリーニング検査、ワクチン接種の改善を要求している。

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