12/03/02 up

HIV感染者の骨折における抗ウイルス療法の利点

原題: Overall benefit of antiretroviral treatment on the risk of fracture in HIV: nested casecontrol analysis in a health-insured population;

著者:Mundy LM, Youk AO, McComsey GA, Bowlin SJ;

雑誌:AIDS (Feb 2012)

背景:

骨折はしばしば認められるが、複数のリスクファクターと関係している。

HIV感染者を対象に、異なる抗ウイルス薬への曝露による骨折のリスクを、経時的な要素を含めて解析した。

方法:

HIV感染症を持つ被保険者で1997年1月から2008年3月にかけて医療機関を受診した、59,594名を対象とした。低負荷、非外傷性の骨折をICD-9-CMコードで識別した。

結果:

HIV感染者のうち、骨折をした2411名と、骨折していない9144名を比較した。抗ウイルス薬への曝露は、骨折リスクの軽減と相関していた。薬剤ごとの解析において、骨折のリスクが増加した薬剤は、ダルナビル、デラビルジン、サキナビル、リスクが低下した薬剤は、エファビレンツ、エムトリシタビン、ラミブジン、テノホビル、ジゾブジンであった。アバカビル、ジダノシン、ネルフィナビル、リトナビルとスタブジンは、曝露初期は骨折のリスクと相関していたが、曝露期間の増加とともにリスクの軽減を認めた。

結論:

今回の研究から、基本的にはARV薬による治療で骨折リスクの軽減が示唆された。薬剤ごとのリスクについては、さらなる研究が必要である。

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ネビラピン(NVP)の薬物動態とHIVに感染したサハラ以南のアフリカ人女性における皮疹と肝炎のリスク

Nevirapine (NVP) pharmacokinetics (PK) and risk of rash and hepatitis among HIV-infected Sub-Saharan African Women; Dong BJ, Zheng Y, Hughes MD, Frymoyer A, Verotta D, Lizak P, Sawe F, Currier JS, Lockman S, Aweeka FT, for the AIDS Clinical Trials Group Study 5208 Team; AIDS (Feb 2012)

Source: AIDS

目的:

ネビラピンの薬物動態を推測し、アフリカのACTG A5208/OCTANE studyで抗レトロウイルス治療を開始された女性における皮疹や肝毒性との関連を調べる。

デザイン:

CD4 <200 cells/mmのHIVに感染した非妊娠女性がネビラピン(導入期14日間1日1回内服の後1日2回内服)とテノホビル/エムトリシタビンによる治療に無作為化抽出され、14日目と28日目にネビラピンの血液検体を採取した。治療中またはネビラピン中止後7日以内に発症した皮疹と肝毒性は有害事象と判定された。

方法:

ネビラピンの薬物動態は集団薬物動態分析によってモデル化された。個別のベイズ理論による薬物動態の推定値がクリアランス、24時間曲線下面積(AUC)、推定血漿薬物濃度を計算するために使用された。

結果:

4週目のネビラピンクリアランスの中央値は2.0L/hrであった。359人の女性のうち、194人(54%)で何らかの皮疹を発症していた。Grade 2が82人(23%)、Grade 3が9人(3%)であった。Grade 3以上の皮疹がなかった女性でのクリアランスが2.0L/hrであったのに対し、Grade 3の皮疹を発症した例でのクリアランスの中央値は1.7L/hrであった(p=0.046)。Grade 3の皮疹を生じる可能性(Odds)はクリアランスが20%下がる毎に50%増加した(p=0.046)。皮疹または肝毒性のためにネビラピンを中止した例は治療前のCD4数 >250cells/mmの女性で有意に多かった(p=0.003)。

結論:

この研究では、ネビラピンを含む抗レトロウイルスレジメンで治療を開始したHIV感染アフリカ人女性におけるネビラピンクリアランスは、これまでの報告に比べ低かった。肝障害を伴わない重度の皮疹は高度のNVP曝露と関連していた。少数ではあるが、治療前のCD4 >250cells/mmの例は有意にNVP毒性と関連していた。

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黄熱病予防接種後の長期抗体保有には、血漿HIV-RNAが主要な決定因子となる―364名のHIV感染患者における検討

Pacanowski J, Lacombe K, Campa P, Dabrowska M, Poveda JD, Meynard JL, Poirot JL, Fonquernie L, Girard PM; Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Jan 2012)

Source: J Acquir Immune Defic Syndr

BACKGROUND:

HIV感染患者における、黄熱病予防接種の効果に関するデータは限られている。ワクチン接種後の中和抗体価(NT)に関して、CD4陽性T細胞数や血漿HIV-RNAが及ぼす影響についても相反する結果が報告されている。

METHODS:

黄熱病ワクチン接種歴のあるHIV患者について、継続的にNTを測定する前向き研究を行った。ワクチン不成功(NT<1:10)の危険因子の解析や、HIV診断日時・ワクチン接種日によるNTの程度の分析を、ロジスティック回帰モデルと一般線形モデルを用いて行った。

RESULTS:

登録された364名の患者のうち24名(7%)において、ワクチン接種後平均8.4年の経過でNT<1:10となっていた。HIV診断後ワクチン接種を行った患者(n=240)で検討すると、接種時血漿HIV-RNA検出が、NT<1:10と関連する唯一の危険因子であった。

HIV感染診断直後に初回のワクチン接種を行った79名での解析では、接種時HIV-RNA高値が、NT<1:10と固有の独立した危険因子であった(adjusted OR=3.73 per log10, 95% CI 1.14-12.28)。血漿HIV-RNA検出不能期間が短いほど、NT低値と相関を認めた(OR=1.05 per year, 95% CI 1.005-1.09)。同様に接種時の血漿HIV-RNA量が高いほど、NT低値と関連がみられた(OR=0.91 per log10, 95% CI 0.84-0.99)。

CONCLUSIONS:

抗体反応の主要な決定因子は、ワクチン接種時のHIV複製状況であった。CD4陽性T細胞数と抗体反応とに関連は認めなかった。

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A randomised comparison of safety and efficacy of nevirapine vs. atazanavir/ritonavir combined with tenofovir/emtricitabine in treatment-naïve patients; Dejesus E, Mills A, Bhatti L, Conner C, Storfer S; International Journal of Clinical Practice 65 (12), 1240-9 (Dec 2011)

Source: Int J Clin Pract

BACKGROUND

 未治療患者においてNVPとATV/rtvをKey drugとしてバックグランドにTDF/FTCを選択した第4相無作為比較試験(NEWART試験)のウイルス学的効果と安全性について報告する。この研究は 肝障害の頻度を減少させるために女性は<250 cells/mm(3)、男性は<400 cells/mm(3)というCD4数をベースに患者の登録をおこなった。

NEWART試験はこれまでのARTEN試験(同様のクライテリアでエンドポイントも同様:http://kkse-net.jp/newslog/90807.htmlで翻訳紹介)の結果をサポートし確認することが主たる目的として計画された。

METHODS

 152例の患者がNVP一回200mgを一日2回とATV/r(300/100mg)一日1回に1:1で無作為化されTDF/FTC(300/200 mg)がバックグランドドラッグとして追加された。すべての患者は登録時のCD4数が基準を満たしていた。 非劣性確認としてのプライマリーエンドポイントは48週時点でのウイルス学的効果(血中ウイルスRNA量が<50 copies/ml)である。

脂質濃度を含む安全性のデータについては、観察期間を通して記録された。

RESULTS 

プライマリーエンドポイントであるウイルス学的効果はNVP群で47/75(61.3%)でATV/r群で50/77 (64.9%)であった。有害事象の頻度は両群で同様であったが、NVP群では88%、ATV/r群では94.8%が少なくとも一つの有害事象を経験していた。

両群で9例ずつ(12%)が有害事象のために薬剤を継続できなかった。

48週時点でATV/r群に比してNVP群で有意に血中HDLコレステロール値が上昇していた。(NVP群9.6mg/dl、ATV/r群3.5mg/dl;p = 0.016)

また、治療開始後からの総コレステロール:HDL-C比の変化はNVP群で-0.38、ATV/r群で-0.02でp値は0.038であった。

CONCLUSIONS 

効果についてはARTEN試験の確認としてTDF/FTCとの併用でNVPがATV/rに対して非劣性であることが証明され、有害事象についても両群で同等であった。

しかし、HDL-Cの上昇やTC:HDL-Cの低下はNVP群がATV/r群に比して有意であった。

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ヨーロッパのB型肝炎とHIV共感染患者におけるラミブジン耐性突然変異

原題: Lamivudine resistance mutations in European patients with hepatitis B and patients co-infected with HIV and hepatitis B;

著者:Taramasso L、Caligiuri P、Di Biagio A、Bruzzone B、Rosso R、Icardi G、Viscoli C;

雑誌:Journal of Medical Virology 83 (11), 1905-8 (Nov 2011)

慢性B型肝炎患者における耐性パターンの評価を目的に、B型肝炎ウイルス(HBV)の初回治療後にウイルス血症が明らかとなった患者における、耐性突然変異の後ろ向き研究を行った。

HBVウイルス量はリアルタイム・ポリメラーゼ連鎖反応によって、HBV-DNAの置換はポリメラーゼ塩基配列決定試験によって調査した。

第一選択治療は、抗HBV薬の投与を受けた33例の患者(36%)のうちの12例で失敗した。

持続性のウイルス血症を有する12例の患者は全て、ラミブジン(LAM)の治療を受けていた。そのうち7例はポリメラーゼ塩基配列決定試験が可能であった。

LAM置換突然変異L180M + M204V/Iは、7例中6例で、付随的なV173L突然変異は3例で認められた。これらの突然変異は、HBs抗原性の変化にも関係があった。

抗HBV治療で初回から強力な薬を使用することで、将来的に耐性突然変異を減らせる可能性がある。

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パニック障害、社会不安に関連するHIV Symptom Distress(HIV症状による悩み)と不安感受性

HIV Symptom Distress and Anxiety Sensitivity in Relation to Panic, Social Anxiety, and Depression Symptoms Among HIV-Positive Adults; Gonzalez A, Zvolensky MJ, Parent J, Grover KW, Hickey M; AIDS Patient Care and STDs (Jan 2012)

Source: AIDS Patient Care STD

Abstract:

HIV/AIDSと負の感情障害との関連について言及した報告はあるが、これらの関連の根底にある過程について説明しようという取り組みは始まったばかりだ。

最近の研究はパニック障害、社会不安障害、HIV/AIDS患者の抑うつに関連するHIV症状による悩みと不安感受性の主作用および相互作用について検査しようとしている。

参加者は164人のHIV/AIDSの成人(女性17.1%:平均年齢48.4歳)で、バーモント州、ニューハンプシャー州、ニューヨーク州のAIDSサービス機構(ASO)から集められた。

白人が40.9%、黒人が31.1%、ヒスパニック系22.0%、その他6.1%であり、半数以上(56.7%)は年収1万ドル未満と報告されている。男性も女性も感染ルートは性的接触と報告されていた(それぞれ64.4%、50%)。

HIV症状による悩みと不安感受性は有意にパニック障害、社会不安障害、抑うつ症状と関連していた。

予測されたとおり、HIV症状による悩み、不安感受性はパニック障害、社会不安障害と有意な相互作用が認められたが、抑うつ症状との相互作用は認められなかった。

この結果は、不安感受性とHIV症状による悩みは、不安と抑うつを持つHIV/AIDSの患者において臨床的に関連があることを示唆している。不安や抑うつの問題において特にハイリスクであるHIV/AIDSの患者において、これらの要因を評価することは重要である。

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