12/07/18 up

HIV患者における肝硬変と肝細胞癌の有病率

The prevalence of cirrhosis and hepatocellular carcinoma in patients with HIV infection; Ioannou GN, Bryson CL, Weiss NS, Miller R, Scott JD, Boyko EJ; Hepatology (Apr 2012)

Source: Hepatology

肝硬変は、HIV感染患者の死亡の主要な原因として明らかになってきている。

1996-2009年の間で全国的に退役軍人医療システムでケアを受けたHIVと診断されたすべての患者(2009年でn=24040)において、肝硬変、非代償性肝硬変、肝細胞癌(HCC)のリスクファクターと有病率の時間的傾向を決定しようとしました。

HIV / HCV重複感染患者では、それぞれの有病率に劇的な増加を認めた。 肝硬変(3.5%→13.2%)、非代償性肝硬変(1.9%→5.8%)とHCC(0.07%→1.6%)。 HCV重複感染がないHIV患者においては、有病率はそれほど増加を認めなかった。

肝硬変(1.7%→2.2%)、非代償性肝硬変(1.1%→1.2%)、HCC(0.03%→0.13%) 肝硬変、非代償性肝硬変、HCCのあるHIV患者の大多数にHCV感染が存在しており、2009年ではそれぞれが66%、62%、80%の感染率であった。

肝硬変の独立した危険因子は、HCV感染(補正オッズ比[AOR]5.82、95%信頼区間5.0~6.7)、HBV感染(AOR2.40[2.0~2.9])、年齢(AOR1.03[1.02~1.04])、エスパニック民族(AOR1.76[1.4~2.2])、糖尿病(AOR1.79[1.6~2.1])、アルコール乱用(AOR1.78 [1.5~2.1])であり、一方、黒人(AOR0.56[0.48から0.64])およびHCVの根絶成功で(AOR0.61[0.4から0.9])低下する。

HCCの独立した危険因子は、HCV感染症(AOR10.0、[6.1~16.4]、HBV感染(AOR2.82[1.7~4.7])、年齢(AOR1.05 [1.03~1.08])およびCD4 陽性細胞数低値(AOR2.36[1.3-4.2])である。5999のHIV/ HCV重複感染患者のうち、994(18%)がそれまでに抗HCVウイルス薬による治療を受けており、そのうちの165(17%)持続的なウイルス学的応答(SVR)を達成している。

結論:肝硬変と肝細胞癌の有病率は、HCVの流行により、主にHIV感染患者の間で劇的に増加している。修正可能となりうる危険因子としてはHCV感染、HBV感染症、糖尿病、アルコールの乱用、CD4 陽性細胞低値がある。 (肝臓病学2012。)

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ニューモシスチス・イロベチイ肺炎:HIV感染者と非感染者における高分解能CT(HRCT)所見

Pneumocystis jiroveci Pneumonia: High-Resolution CT Findings in Patients With and Without HIV Infection; Kanne JP, Yandow DR, Meyer CA; American Journal of Roentgenology 198 (6), W555-61 (Jun 2012)

Source: Am J Roentgenology

目的:

この評論の目的は、HIV感染者とHIV非感染免疫不全患者におけるニューモシスチス肺炎のHRCT所見の範囲についての総説である。

結論:

ニューモシスチス肺炎は免疫不全患者によく発症する日和見感染症である。HRCTは肺炎が疑われるが胸部レントゲン写真が正常な免疫不全患者の評価に用いられる。ニューモシスチス肺炎でもっともよくみられるHRCT所見は、びまん性のスリガラス陰影である。浸潤影、結節影、囊胞、自然気胸を呈することもある。

*参照(本文より抜粋)

<HRCT所見>
・GGOが多い。
・末梢をスペアする陰影41%、モザイクパターン29%、びまん性24%
・GGOは上葉優位 ・non-HIVの方が陰影が派手 ・浸潤影はnon-HIVに多く、急速に進行する
・囊胞はHIV患者に多く、気胸の原因にもなる、また囊胞は治療すると改善する
・結節影(肉芽種性炎症)は5%程度で、初期のHIV患者にみられる
・小結節影やtree-in-budは少なく、他の感染の合併を疑う
・治癒期には線維化もみられる
・AIDS患者のchronic PCPでは線維化もみられる

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Using Tuberculin Skin Test as an Entry Point to Screen for Latent and Active Tuberculosis in Thai People Living with HIV;

Phanuphak N, Varma JK, Kittikraisak W, Teeratakulpisarn N, Phasitlimakul S, Suwanmala P, Pankam T, Burapat T, Tasaneeyapan T, McCarthy KD, M M, Cain KP, Phanuphak P; Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Apr 2012)

Source: J Acquir Immune Defic Syndr

BACKGROUND::

ツベルクリン検査(TST)によりイソニアジド予防投与(IPT)が有効である可能性が高い患者を同定することができる。また、TST結果によって結核(TB)の頻度が異なる可能性も指摘されている。HIV感染者(PLHIV)の潜在性及び活動性TBのスクリーニングと診断について、初期スクリーニングとしてのTSTを評価した。

METHODS::

2006年9月~2008年1月の間に、タイの赤十字病院に受診したPLHIVが登録された。TBの診断は、喀痰・尿・便・リンパ節穿刺・血液から得られたMTB陽性標本により行われた。症状スクリーニング(過去4週間に3週以上、咳・発熱・寝汗のいずれかが認められる)及び検査所見(喀痰塗末、胸部X線写真、CD4陽性細胞数)について、TST検査結果に応じて評価を行った。

RESULTS::

604名のPLHIVが登録され、151名(25.0%)でTST陽性であった。TBは33名で診断され、そのうち22名(14.6%)がTST陽性、11名(2.4%)がTST陰性であった。症状スクリーニング及び検査所見で異常のあるTST陰性者とTST陽性者に対して(PLHIV 604名のうち196名(32.4%))、MTB培養を行うことで、33名中29名(87.9%)の活動性TBが同定された。

CONCLUSIONS::

TSTはTBの高リスクPLHIV例を同定するのに有用である。資源の限られた状況ではTBスクリーニングや予防のため、MTB培養やその他の高感度試験を利用することが緊急に必要とされている。

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エファビレンツ重篤な過敏性反応:症例レポートと急速な脱感作プロトコルの開発

原題:Efavirenz Severe Hypersensitivity Reaction:Case Report and Rapid Desensitization Protocol Development;

著者:Khalili H, Farasatinasab M, Hajiabdolbaghi M;

雑誌:Annals of Pharmacotherapy (Apr 2012)

目的

長期のエファビレンツ脱感作プロトコルはこれまでにも報告されてきたが、急速脱感作プロトコルは、これまで公表されてこなかった。急速脱感作プロトコルが成功した重篤な過敏性反応の症例を報告する。

症例の概要

52歳のHIV陽性の女性で、抗レトロウイルス療法は1日2回ラミブジン150mg、1日2回ジドブジン300mgと1日600mgのエファビレンツで始められた。抗レトロウイルス療法を始めた9日後に、全身性斑丘疹発疹を呈した。クロルフェニラミンの投与にもかかわらず、皮疹は改善されなかった。エファビレンツ過敏性反応の疑いで、エファビレンツは5日間中止された、そして、皮疹が改善した時点で、同剤は毎日600mgで再開された。患者はその翌日、重篤な全身性そう痒性皮疹を呈した、そして、すべての抗レトロウイルス剤は中止された。1週後に、ラミブジンとジドブジンが再開となったが、これらの薬剤の忍容性は高かった。1:20,000の濃度から開始し、7時間かけて行う脱感作療法は成功した。患者は6週の間経過観察されて、過敏性反応の更なる徴候または症状を呈しなかった。

考察

エファビレンツ過敏性反応は、概して治療の最初の2週で観察される皮膚反応を含み、中等度の重症度で全身症状を伴わないことが殆どで、治療を継続していても改善がみられる。従来は、全身症状なしで皮疹を呈したエファビレンツの投与を受けた患者で、脱感作プロトコルがうまくいった場合が報告されてきた。しかし、これらのプロトコルは7日あるいは14日かけて行われた。この症例報告は、一部の患者のための選択肢として、急速脱感作プロトコルを提示した。

結論

エファビレンツは、抗レトロウイルス療法の基礎となる薬剤であり、過敏性反応によって治療の選択肢が制限されることを考えると、特に抗レトロウイルス薬の入手が限られる発展途上の国で、有効な脱感作プロトコルは重要である。

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Patient-Reported Symptoms on the Antiretroviral Regimen Efavirenz/Emtricitabine/Tenofovir;

Edelman EJ, Gordon K, Rodriguez-Barradas MC, Justice For The Vacs Project Team AC;

AIDS Patient Care and STDs (May 2012)

Abstract: 新規に診断されたHIV感染患者の80-90%はEFV/FTC/TDF(Atripla. 日本では未承認)のレジメンが選択される。しかしこれまでの検討では患者の忍容性は限られている。そこでEFV/FTC/TDF を経験した患者について症状の検討をおこなった。そして健康に関連するQOLへの影響について他のレジメンを選択された患者と比較した。 具体的には2008年2月から2009年8月のthe Veterans Aging Cohort Study の中でcross-sectional analysis(横断分析)を行い、EFV/FTC/TDF と他のcARTでの自覚症状について治療の特徴を調整したものと調整しないものでも比較しさらに疾患の重症度合わせての検討も行った。それからEFV/FTC/TDFの患者に与えるQOLについて検討した。今回検討した患者数は全部で1,759症例であったが、EFV/FTC/TDF群は他のcART群とくらべても 自覚症状は少なかった。EFV/FTC/TDFの使用は 健康関連のQOLとは関係なく、少なくとも部分的な関連しか指摘できなかった。

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The Biology of Atherosclerosis: General Paradigms and Distinct Pathogenic Mechanisms Among HIV-Infected Patients;

Lo J, Plutzky J; Journal of Infectious Diseases 205 Suppl 3 S368-74 (Jun 2012)

Source: J Infect Dis

心筋梗塞や脳卒中などのアテローム性動脈硬化症の合併症は、世界中で死亡や身体障害の主要な原因となっています。

最近のデータでは、HIV患者にはアテローム性動脈硬化症の発生率の増加を示唆され、HIV患者の死亡率に心血管死が強く関連している。したがって、アテローム性動脈硬化症のメカニズムをより深く理解し、HIV感染者ではこれらの応答が非感染者と同じなのか、異なるのかどうかをより深く理解することが必要とされます。

アテローム性動脈硬化症の主要な概念は見直され、炎症や代謝異常が主要なドライバーとされている。HIVのコンテキスト内でアテローム性動脈硬化症に関する最近の論文とつながります。

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結核治療4~12週での抗レトロウイルス治療の開始時期: TIME studyの結果から

Time to Initiate Antiretroviral Therapy between 4 Weeks and 12 Weeks of Tuberculosis Treatment in HIV-infected Patients: Results from the TIME Study; Manosuthi W, Mankatitham W, Lueangniyomkul A, Thongyen S, Likanonsakul S, Suwanvattana P, Thawornwan U, Suntisuklappon B, Nilkamhang S, Sungkanuparph S, for the TIME Study Team; Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (May 2012)

Source: J Acquir Immune Defic Syndr

BACKGROUND:: 結核(TB)合併HIV感染患者における、抗レトロウイルス治療(ART)の適切な開始時期については確立されていない。

METHODS:: HIV/TB共感染患者をランダムに以下の2群に割り付けた。結核治療開始後4週でtenofovir/lamivudine/efavirenzを始める群(4-week group)と12週で始める群(12-week group)。主要評価項目は1年間の全死亡率である。

RESULTS:: 156名の患者のうち、79名が4-week groupへ77名が12-week groupへ割り付けられた。平均CD4数は43 (IQR 47-106) cells/mlで平均HIV-1 RNA量は5.8 (IQR 5.4-6.3) log copies/mLであった。137患者年の観察期間中に11名(7%)の死亡が認められた。4-week groupでは7%の死亡率 (6/79, 100患者年あたり8.76)、12-week groupでは6% (5/77, 100患者年あたり7.25)であった (RR= 0.845, 95%CI= 0.247-2.893)。4-week groupの28名(35%)と12-week groupの25名(32%)が入院した (RR= 1.142, 95%CI= 0.588-2.217)。Grade 2-4の有害事象は、4-week groupで39% (31/79)、12-week groupで34% (26/77)であった (RR= 1.267, 95%CI= 0.659-2.435)。多変量解析では、低アルブミン (RR= 2.695, 95%CI= 1.353-5.475)とCD4数低値 (RR= 4.878, 95%CI= 1.019-23.256)が、独立した予後不良予測因子であった。ART開始後6カ月間において、4-week groupは12-week groupに比して、免疫再構築症候群の発症が高頻度であった (100患者月あたり8.86 vs. 5.02; P= 0.069)。

CONCLUSIONS:: CD4数<350 cells/mmでARTが開始されている中所得国においては、活動性結核合併HIV感染患者に対する速やかなARTは、12週からの開始と比較して延命効果を示さなかった。

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H1N1-associated Acute Retinitis; Rifkin L, Schaal S; Ocular Immunology and Inflammation (Apr 2012)

Source: Ocular Immunol Inflamm

Purpose: H1N1関連の両側急性網膜炎の初めての報告症例とその奏効した治療について示す。 Design: 症例報告 

Methods: 41歳のHIV陽性男性が急激な視力低下を伴い全ぶどう膜炎、網膜炎を来した。診断・治療的にvancomycinとganciclovirの硝子体内投与、エンドレーザーとともに硝子体切除が行われた。1ヶ月後、反対の眼にも同症状を来たし、同様の処置が行われた。

Results: ELISAイムノアッセイにてH1N1抗体が硝子体、血清の両方から明らかとなった。ヘルペスウイルスのPCRにて、HSV、CMV、VZVが陽性であった。細菌、真菌培養は陰性であった。1年の経過観察にて、両眼とも炎症の再発なく視力も20/20のままであった。

Conclusions:最近のインフルエンザA(H1N1)感染と急性網膜炎の既往のある患者においては、H1N1関連の網膜炎も鑑別疾患に入れるべきである。H1N1網膜炎は、他のウイルス性の網膜炎より予後がよいかもしれない。

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資源が限られた地域における、初回抗レトロウイルス治療のウイルス学的失敗後のロピナビル/リトナビル単剤治療

Lopinavir/ritonavir Monotherapy After Virologic Failure of First-line Antiretroviral Therapy in Resource-limited Settings; Bartlett JA, Ribaudo HJ, Wallis CL, Aga E, Katzenstein DK, Stevens WS, Norton MR, Klingman KL, Hosseinipour MC, Crump JA, Supparatpinyo K, Badal-Faesen S, Kallungal BA, Kumarasamy N; AIDS (Mar 2012)

Source: AIDS

目的:資源が限られた地域(RLS)の成人における二次抗ウイルス治療(ART)としてのロピナビル/リトナビル(LPV/r)単剤治療のウイルス学的奏効率を評価する。

デザイン:血漿HIV-1RNAが1000-200,000copies/mlであり初回治療として非核酸系逆転写酵素阻害薬3剤併用治療を受けた患者を対象とした非盲検パイロット研究。

方法:参加者はAIDS臨床研究グループ(ACTG)ネットワークに参加しているアフリカとアジアの5つの地域から集められた。すべての参加者はLPV/r 400/100mg 1日2回の投与を受けた。一次エンドポイントは24週後にウイルス学的失敗(VF)なしにLPV/r単剤治療を続けていることとした。ウイルス学的失敗に至った参加者はエムトリシタビンとテノボビル(FTC/TDF)をLPV/rに追加された。

結果:研究のため、ほとんどの対象者は薬剤耐性に関する遺伝子変異のスクリーニングを受けた。123人の患者が参加し、122人が24週の研究期間を完遂した。大部分が24週の時点でVFなしにLPV/r単剤治療を続けていた(87%)。24週の時点でHIV-1 RNA<400を達成した検体には超高感度アッセイを行った。これらの検体のうち、62例は<40 copies/mlであり、30例は40-200であった。15例がVFとなり、そのうち11例では耐性が確認され、2例では緊急のプロテアーゼ遺伝子変異があった。ベースラインのチミジンアナログ変異K56Rの存在は低いVF率を予測させた。VFとなりFTC/TDFを追加された13例とVFではないがFTC/TDFを追加された1例はHIV-1 RNA 400 copies/mlとなった。

結論:様々な資源が限られた地域で行われたこのパイロット研究は、セカンドラインのARTとしてLPV/r単剤が有望な方法であることを示している。

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HIVに関連した肺高血圧症

原題:HIV-related pulmonary arterial hypertension];

著者:Savale L, Lador F, Jais X, Montani D, Simonneau G, Humbert M, Sitbon O;

雑誌:Revue des Maladies Respiratoires 29 (4), 491-500 (Apr 2012)

肺高血圧症(PAH)は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)のまれであるが、潜在的に致命的な合併症である。PAHは伝播経路または免疫抑制の程度にかかわりなく、HIV-1かHIV- 2の感染で見られる場合がある。

高活性抗レトロウイルス療法(HAART)が行われる時代で、HIV感染患者の生存率が改善されているなかで、原因の分からない呼吸困難患者に対しては、アルゴリズムに従ってPAHの系統的スクリーニングを行うべきである。全ての症例において、右心カテーテル法は、肺高血圧の確定診断を行うために不可欠である。PAHの有病率は、HIV感染症患者において約0.5%である。

HIV関連のPAHの経過に関するHAARTの効果は、明らかではなかった。対照的に、PAHに対する特異的療法(例えばエポプロステノールとボセンタン)は、短期および長期の転帰に有効であることが証明された。特に一部の患者で、肺の血行動態と機能は、これらの治療で、完全かそれに近い状態まで正常化した。他のPAH-特異的療法の評価は、まだ明かで無い。

HAARTの出現と、PAHに対する特異的療法の発達によってHIV関連PAH患者の予後は、3年生存率が約70%まで改善した。

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初回治療におけるアトリプラの継続困難例について

Discontinuation of Atripla® as first-line therapy in HIV-1 infected individuals;Scourfield A, Zheng J, Chinthapalli S, Waters L, Martin T, Mandalia S, Nelson M;

Source: AIDS (Mar 2012)

BACKGROUND: EFVには中枢神経系の副作用について記載があるが多くは一過性であるとされている。今回初回治療としてアトリプラを使用した患者について転機を検討した。

METHODS: アトリプラを第一選択薬で使用した患者について我々のコホート集団から後方視的に解析した。 アトリプラを中止した症例についてそのデータを評価して有害事象を集計した。

RESULTS: 12ヶ月で472例がアトリプラを導入され383例(81%)がアトリプラを継続し98%がHIV-1 RNA量が検出限界以下であった。中枢神経系の有害事象については薬剤変更の理由として最も多く、63例(71%)であった。中枢神経系の有害事象の出現日の中間値は27日で (IQR 7-104 days)最も多かったのは夜間の異常な夢で28例 (44%)でみられた。不眠が27例(43%)で鬱が22例 (35%)であった。こういった有害事象で最初の0から4週以内に6例(10%)が薬剤変更となり、4例 (6%)は4-12週, 30例 (48%)は12-52週、そして23例 (36%)は52-96週で変更となっていた。  こういった患者63例中25例(40%)では(中断により?)症状は改善ないし消失していた。

DISCUSSION: アトリプラを使用した5分の1の患者で薬剤の変更が必要であった。そしてもっともよくみられる有害事象は中枢神経系の有害事象で内服開始後早期から見られることが多いが、継続することで月単位、年単位でも出現することがある。

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HIV患者が高感染性結核に罹患しているかを同定するための症状について:東南アジア

Symptom Screen for Identification of Highly Infectious Tuberculosis in People Living with HIV in Southeast Asia;

Kim L, Heilig CM, McCarthy KD, Phanuphak N, Chheng P, Nong K, Quy HT, Sar B, Cain KP, Varma JK; Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Apr 2012)

Source: J Acquir Immune Defic Syndr

BACKGROUND:結核はHIV患者間において主要な死因であり、またHIV患者間で頻繁に感染しあう。感染制御が実践されることにより感染は減らしうるが、隔離すべき患者を認識する、簡略でエビデンスに基づいた良い文献はない。限られた状況において、医療従事者が、HIV患者が感染性の高い結核に罹患しているかを認識・隔離するために使用できる単純で感度の高い症状、またそれら症状の組み合わせを特定しようとした。

METHODS:カンボジア、タイ、ベトナムにおける8つの外来施設において結核に対して広範な調査を行なった。痰塗抹で1つ以上、痰培養で増殖を認めた患者を高感染性結核患者とした。1000以上の症状、それらの組み合わせで感度、有病率を計算した。

RESULTS:1980人を調査し14%の272人が結核であった。そのうち40%の109人が高感染性であった。高感染性結核を検出する感度は、過去1ヶ月に体重減少(84%)、咳嗽(83%)、発熱(81%)、倦怠感(78%)の4つの症状を持つもので最も高かった。しかし、これらの症状は調査者の46-54%で認められている。体重減少、発熱、最近の咳嗽、盗汗の4症状(有病率26-47%)のうち2・3個あると感度72-90%であった。

CONCLUSIONS:現在WHOで結核の診断において推奨されている症状である体重減少、発熱、最近の咳嗽、盗汗の4つの症状のうち2・3個認めるものが、HIV患者においても高感染性結核を検出するのに感度が高かった。

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ジンバブエのHIV陽性青年における、多発あるいは異常なHPV垂直感染に伴う後天性の疣贅状表皮発育異常症 (高発癌性を呈する常染色体劣性の遺伝性疾患)

Acquired Epidermodysplasia Verruciformis Due to Multiple and Unusual HPV Infection Among Vertically-Infected, HIV-Positive Adolescents in Zimbabwe; Lowe SM, Katsidzira L, Meys R, Sterling JC, de Koning M, Quint W, Nathoo K, Munyati S, Ndhlovu CE, Salisbury JR, Bunker CB, Corbett EL, Miller RF, Ferrand RA; Clinical Infectious Diseases (Apr 2012)

Source: Clin Infect Dis

背景:我々は以前、HIV感染の有病率が高いジンバブエのハラレという地域において、HIVに垂直感染した青年の約4分の1が疣贅状表皮発育異常症(EV)様の皮疹を発症していたことを述べた。

方法:ハラレのEV様病変を有する4人のHIV感染青年において、臨床記録の再調査と患部の皮膚生検を行った。生検は組織学的検索とHPVのタイピングを行った。

結果:すべての患者はHIVと診断される数年前からの長期にわたる皮膚病変を有していた。すべての患者の皮膚生検の組織はEVと一致していた。それぞれの生検組織から、EV関連β-HPV5型が同定された(加えて1症例からは19型もみつかった)。皮膚疣贅と関連するHPV1型および2型もすべての生検組織から確認され、さらに陰部病変と関連するHPV6型、16型、52型も確認された(HPVに関連する3か所以上の陰部病変もみつかった)。ARTに伴う免疫再構築にもかかわらず、EV様病変はどの患者においても改善しなかった。

結論:これらの患者群において、EVは醜く汚名を着せられうる病変であり、治療は困難である。ARTは皮膚病変の進行に対して効果がないようである。HIVによる免疫不全と高度の紫外線に長くさらされた青年においては、潜在的な皮膚癌に対して頻繁な皮膚科的検索が必要である。

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抗結核薬TMC207(ベダキリン)のエファビレンツとの併用による安全性と相互作用

原題:Safety, Tolerability, and Pharmacokinetic Interactions of the Antituberculous Agent TMC207 (Bedaquiline) With Efavirenz in Healthy Volunteers:

雑誌:Source: J Acquir Immune Defic Syndr

背景: 薬物同士の相互作用は、HIV-1と結核菌の共感染の管理をより複雑にする。抗結核薬の治験薬である、ベダキリン(Bedaquiline: TMC207)は、チトクローム(CYP)4503Aによって代謝されるが、このCYP3Aは、抗レトロウイルス薬であるエファビレンツによって誘導される。

方法: 第1相薬物動態学的な相互作用の試験であった。健康なボランティアを対象に400mgのベダキリンを2回、最初は単独で、2回目は定常状態のエファビレンツとともに、それぞれ服用した。血漿中の薬物動態学的サンプリングを、ベダキリンとその代謝産物であるN-モノデスメチルに対して、ベダキリン服用後14日間行った。エファビレンツの代謝は、CYP2B6を規定する516/983遺伝子型に基づいている。

結果: 調査に参加した37例中、33例が完遂した。ベダキリンとエファビレンツ併用群、ベダキリン単独群との幾何平均は、薬物濃度時間曲線下面積(AUC:体内の薬物吸収量の指標)で0.82(90%信頼区間 0.75-0.89)、最高血中濃度(Cmax)は、1.00(90%信頼区間 0.88-1.13)であった。N-モノデスメチルについては、AUCの幾何平均が1.07(90%信頼区間 0.97-1.19)、Cmaxが1.89(90%信頼区間 1.66-2.15)であった。グレード3、4の臨床上明らかとなる有害事象は認められなかった。1例で無症候性のグレード3のトランスアミラーゼ上昇を認めたため、試験薬の服用が中止となっている。CYP2B6の遺伝子型によって階層化されたエファビレンツの濃度は、従来の発表と同等であった。

結論: ベダキリンの単回投与は、単独の場合も、定常状態のエファビレンツと併用の場合も、認容性に優れていた。エファビレンツがベダキリンの濃度に及ぼす影響は、臨床上重要とはいえない。

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d4Tの減量により末梢神経炎の発生頻度と重症度を改善させる効果

Effects of a reduced dose of stavudine on the incidence and severity of peripheral neuropathy in HIV-infected adults in South Africa;

Pahuja M, Grobler A, Glesby MJ, Karim F, Parker G, Gumede S, Naidoo K; Antiviral Therapy (Mar 2012)

Source: Antiviral Ther

BACKGROUND: 最新のWHOのガイドラインではd4Tが第一選択薬から外されたが、資源の限られた地域では依然として広く使われている。2006年にWHOは毒性軽減のためにd4Tの用量を40mgから30mgへ減量した。そこで我々はd4Tの用量変更前後で抹消神経炎の発症頻度や重症度を後方視的に検討した。

METHODS: 初回ART施行患者について後方視的に抹消神経炎の症状や徴候のある患者について抽出しその重症度についてDAIDSスケールによって評価した。  変更以前のWHOのガイドラインにそって治療が開始された患者を抽出し、d4Tが40mgで治療開始された症例は治療開始後6ヶ月以上経過していた。そしてガイドラインが変更になった後ですべての患者は30mgへ変更されている。

RESULTS: 475例が解析され235例のd4T40 mg使用例が含まれており、240例が30 mg 使用例であった。末梢神経炎の発症頻度は90.4/100 py (95% CI 75.9, 106.8)が40 mg使用群でみられ、40.5/100 py (95% CI 32.9, 49.3)が30mg使用群で見られた。 (incidence rate ratio 0.45; P<0.0001)  Grade3あるいは4の重度の末梢神経炎発症者の頻度は40mg群で8.3%、30mg群で 8.9%であり有意差はなかった(P=1.0)。多因子解析によると末梢神経炎のリスクは年齢が高いこと(hazard ratio [HR] 1.65, 95% CI 1.24, 2.19)、40mgを使用していること(HR 2.1, 95% CI 1.61, 2.74)、そして継続的な結核治療をうけていること (HR 1.41, 95% CI 1.06, 1.87)が関連していた。

CONCLUSIONS: 末梢神経炎の発症頻度は40mgで有意に高いが30mgでは容認できないほど高くはない。(つまり資源がかぎられた地域では今後もd4Tの使用は容認されるという・・・)

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エファビレンツを含む抗レトロウイルス治療を受けている患者におけるエトノゲストレル(合成プロゲステロン:経口避妊薬)による避妊失敗

原題:Contraceptive failure of etonogestrel implant in patients treated with antiretrovirals including efavirenz

著者:Leticee N, Viard JP, Yamgnane A, Karmochkine M, Benachi A

雑誌:Contraception 85 (4), 425-7 (Apr 2012)

HIV陽性女性の避妊は複雑な問題である。コンドームの使用が推奨されているが、しばしば補完的な避妊薬が処方されている。抗レトロウイルス治療は薬物相互作用によってホルモンによる避妊薬の効果に影響してしまう可能性がある。2例の予定外妊娠が、エファビレンツ内服中の患者におけるエトノゲストレルの使用に注意が必要であることを示唆している。

成人HIV感染者においてABCをふくむレジメンは炎症や血管内皮の活性化マーカーの低下作用が他のABCを含まないレジメンより弱い。

Initiation of an Abacavir-Containing Regimen in HIV-Infected Adults is Associated with a Smaller Decrease in Inflammation and Endothelial Activation Markers Compared to Non-Abacavir-containing Regimens; Hileman CO, Wohl D, Tisch D, Debanne S, McComsey G; AIDS Research and Human Retroviruses (Apr 2012)

Source: AIDS Res Hum Retroviruses

Background: Abacavirは心筋梗塞との関連がいくつか報告されている。これは炎症と血管内皮細胞の活性化が原因といわれている。

Methods:炎症と内皮細胞の活性化マーカーについて未治療患者を対象にAZT,3TCそしてABCにNNRTIを併用した群とこのレジメンからABCを除いた群で比較した。可溶性TNFR-IおよびII、高感度CRPそして可溶性vascular cell adhesion molecule-1 (sVCAM-1)をART前と24週後に重回帰分析を用いて比較した

Results: 37例が基準を満たし、そのうち12例がABCを含むレジメンであった。年齢の平均は37歳(27-45歳)であった。 32例が男性、アフリカ系アメリカ人が15例で 白人が15例。 CD4陽性細胞数の最低値の平均と治療開始前のHIV-RNA量の平均は230(180-301)と82,642 (34,400-204,703)コピーであった。 喫煙者は15例で7例に高血圧、1例が糖尿病で1例が高脂血症であった。 CD4陽性細胞数、HIV-1RNA量の変化については両群で有意差はなかった。  単因子解析にてsTNFR-I (p=0.05) and -II (p=0.04)は指数関数的に変化し両群で有意な差がみられ、sVCAM-1 (P=0.08)については有意差までは認められないが傾向は示された。 これらのマーカーはABC群で減少が少なかった。  交絡因子を調整して統計解析を行うとsTNFR-II と sVCAM-1はABCを含むレジメンで有意に減少の程度が低かった。

Conclusions: NNRTIを使用する際に、ABCを含むレジメンでは炎症性バイオマーカーの減少が不良。これはこの核酸アナログの炎症促進効果に起因すると思われる。

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Renal function in patients with HIV starting therapy with tenofovir and either efavirenz, lopinavir or atazanavir;

Young J, Schäfer J, Fux CA, Furrer H, Bernasconi E, Vernazza P, Calmy A, Cavassini M, Weber R, Battegay M, Bucher HC, the Swiss HIV Cohort Study; AIDS 26 (5), 567-575 (Mar 2012)

Source: AIDS

BACKGROUND:: TDFは腎機能の低下に関連していることがわかっているが、NNRTIよりrtvブーストしたPIのほうがより腎機能低下をまねくかどうかは明らかではない。

METHODS:: SWISS HIVコホートのデータの中でeGFRを解析した。初回治療でTDFを選択した患者でNNRTIかLPV/rか ATV/rのどちらかを併用した患者のeGFRの推移を検討した。

RESULTS::初回治療でTDFを選択し併用薬としてefavirenzを選択した群が84例LPV/rが69例、ATV/rが87例で、平均の経過観察期間はそれぞれ1.7年、1.2年そして 1.3年であった。 efavirenz群と LPV/r群のeGFRの違いは最初の6カ月で-2.6 ml/min per 1/73m [95% confidence interval (CI) -7.3 to 2.2) であったが、その後の6カ月の経過観察では0.0 ml/min per 1.73 m (95% CI -1.1 to 1.1) 群とefavirenzと ATV/r群の比較では同様に最初の6カ月で-7.6 ml/min per 1.73 m (95% CI -11.8 to -3.4) となり、その後の6カ月で-0.5 ml/min per 1.73 m (95% CI -1.6 to 0.7)

CONCLUSION::TDFとboosted PI併用群はNNRTI併用群より腎機能の低下が高度で、それはATV/r群のほうがLPV/r群より高度であった。

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イタリア、ラツィオ州における、HIV/AIDSサーベイランスと病歴、検査結果の組み合わせによるHIV新規感染率の推定

原題:HIV incidence estimate combining HIV/AIDS surveillance, testing history information and HIV test to identify recent infections in Lazio, Italy;

著者:Mammone A, Pezzotti P, Angeletti C, Orchi N, Carboni A, Navarra A, Sciarrone MR, Sias C, Puro V, Guasticchi G, Ippolito G, Borgia P, Girardi E, Study Group S;

雑誌:BMC Infectious Diseases 12 (1), 65 (Mar 2012)

背景: 最近新たに発生したHIV感染症を特定する手段として、HIV/AIDSのサーベイランス・システムにおける血清学的方法が用いられている。この方法によって、HIVの最近の伝播パターンを性格に把握できる可能性がある。また、この情報を利用して、2008年にKaronらによって提唱されるモデルによって、HIV感染症の発生率を推定することができる。

方法: 2004-2008年のHIV/AIDS調査からデータを用い、新規のHIV感染症症例を確認した。結合活性インデックス(avidity index)と最近の検査結果に基づいて、感染が最近かどうかを分類した。HIV感染者新規発生率の推定値は、実際に検出した患者数を、検出可能性で割ることで得られ、年齢、伝播の種類、性別と国籍によって階層化した。

結果: 対象期間に、新規HIV感染と推定される3,633例が地域のサーベイランス・システムに報告された、。Karonらのモデルを適用して、我々は、2004-2008年に、5,465件の新規感染があったと推定した(95%CI: 4,538-6,461)。 伝播によって種類を階層化して推定された感染症数は、異性間接触:2,599例、男性同性愛者(MSM):2,208例、麻薬常習者:763例であった。 2008年には、952例(625-1,229)の新規HIV感染症(100,000人年当たりの19.9の発生率)があり、MSM(100,000人年当たりの691)、麻薬常習者(100,000人年当たりの577)では、発生率は一般集団に関して比較的高いまま推移していた。

結論: これらの推定は、ラツィオ州のHIV感染症の伝播の頻度が、依然として高いことを示唆した。そして、大多数の新規感染が異性間で起こる一方で、MSMと麻薬常習者は大きな影響力をもっている。

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