13/09/04 up

「HIV感染患者の帯状疱疹に関する医療提供者の知識不足は、予防接種を妨げる原因の一つである」

原題:PROVIDERS' LACK OF KNOWLEDGE ABOUT HERPES ZOSTER IN HIV-INFECTED PATIENTS IS AMONG BARRIERS TO HERPES ZOSTER VACCINATION;

著者:AZIZ M, KESSLER H, HUHN G;

出典:INTERNATIONAL JOURNAL OF STD & AIDS 24 (6), 433-9 (JUN 2013)

帯状疱疹の知識、ワクチンの有効性と安全性に対する認識、ワクチンの推奨度に関する認識は、HIV感染患者に対する医師の予防接種実施に影響を与える可能性がある。

今回の調査では、医療従事者の予防接種実施状況だけでなく、帯状疱疹に対する知識を定量化した。

回答者は272件(1700件中、16%)であった。

成人の水痘帯状疱疹ウイルスの感染率とHIV感染患者の帯状疱疹の発症率について、医療従事者の正解率はそれぞれ14%、10%であった。医療従事者はHIV感染者での帯状疱疹の再発率(正解率41%)、ワクチンの効果(正解率47.5%)、帯状疱疹ウイルスの再活性化に対する防御機構(正解率66%)についても、知識が十分で無かった。大多数の医療従事者(88%)は、帯状疱疹が重篤な病態であることに同意した。そして、73%が予防接種が重要と考えていた。

75%の医療従事者はHIV感染の状態に関わらず、帯状疱疹ワクチンを実施しなかった。

ワクチンの安全性や予防効果に対する懸念、帯状疱疹伝播のリスク、経済的な問題と、米国感染症学会(IDSA)のガイドラインが策定されていないことが、それぞれワクチン接種の障害として挙げられた。

CDCガイドラインが明快であるとする医療従事者は、わずか38%であった。

そして、50%はHIV感染者に対するワクチン接種にあたり、臨床試験が必要と考えていた。

医療従事者の間で、予防接種の重要性は認識されているものの、ワクチンの安全性に関するデータと、CDCからのはっきりとしたガイダンスが存在していない。

帯状疱疹に関する教育が、医療従事者に対して必要である。

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Recurrent lower gastrointestinal bleeding due to primary colonic Kaposi's sarcoma in a patient with AIDS;

Ling J, Coron R, Basak P, Jesmajian S;

Source: International Journal of STD & AIDS (Aug 2013)

Kaposi肉腫の発生はHIV感染症関連悪性腫瘍としてもっとも普遍的なものでAIDS患者では高い罹患率と死亡率である。

原発性の内臓カポジ肉腫(皮膚病変のないもの)で今回の報告にある下部消化管出血を来すものはまれである。

カポジ肉腫は腸管のどこに出現してもよく、消化器症状は時に非特異的で慢性の貧血や嘔吐、下痢、腸閉塞などである。

こういった患者では輸血を繰り返す必要のある重度の腸管出血はきわめてまれである。臨床医は腸管のカポシ肉腫で内臓病変だけの場合もあることを念頭に置かなければならない。下部消化管出血を来したAIDS患者においては内視鏡的な生検は診断に有用である。

消化管出血の鑑別疾患にカポシ肉腫を念頭に置いておくべきである。

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「ヒト白血球抗原B57では、HIVコントローラにおけるHCVの排除を説明できない」

原題:HUMAN LEUKOCYTE ANTIGEN B57 DOES NOT FULLY EXPLAIN HEPATITIS C CLEARANCE IN HIV CONTROLLERS;

著者:ASHER A, SANTOS G, EVANS J, DOKUBO E, LEE T, MARTIN J, DEEKS S, TOBLER L, BUSCH M, HUNT P, PAGE K;

出典:AIDS (AUG 2013)

目的:

HIVコントローラ(訳注:HIV複製を低レベルに抑え込み続ける感染者)は、高い頻度でC型肝炎ウイルス(HCV)感染を自然に排除する。

本研究の目的は、HIVコントローラでのHCV排除における、ヒト白血球抗原(HLA)B57と、他の遺伝子多型の役割を評価することである。

研究デザイン:

前向きコホート研究を行った。

方法:

SCOPE研究(Study of the Consequences of Protease Inhibitor Era)の登録患者は、酵素抗体法(EIA3)によりHCV抗体を、さらに核酸増幅法によりHCV RNAの検査を受けた。

我々は、HCVクリアランスを示しているHIVコントローラと非コントローラの割合を比較した。

そして、多変量ポアソン回帰モデルにより有病率比(APR)の推定を行い、さらに、HCVクリアランスの遺伝子的および免疫学的な予測因子を評価した。

結果:

HIV/HCV血清が陽性であった279例のうち、HIVコントローラは48例であった。

HIVコントローラは、HIV非コントローラと比較して、自然発生的なHCVクリアランスを起こしやすく(58対38%、P=0.01), HLA B57を持つ頻度も高かった(33対10%、P < 0.01)。

また、HIVコントローラはHLA B57が無い場合でも、HCVクリアランスが起きやすかった(59対36%、P=0.013)。HLAB57、IL28B、年齢、性別と人種/民族性により調整した多変量解析によると、HIVコントローラでは、HIV非コントローラとくらべてHCVの排除が起きやすい傾向があった[APR 1.95; 95%信頼区間(CI)1.35-2.82; P < 0.001]。

結論:

HLA B57は、HIVコントローラで多く認められるにもかかわらず、HCVクリアランスへの関与は確認されなかった。

HIVとHCVのコントロールに寄与する免疫学的宿主または遺伝要因の更なる検証は、両方のウイルスに対する新しい治療法やワクチンの開発に役立つ可能性がある。

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Tubular and glomerular proteinuria in HIV-infected adults with estimated glomerular filtration rate ≥ 60 ml/min per 1.73 m2;

Reynes J, Cournil A, Peyriere H, Psomas C, Guiller E, Chatron M, Cristol J, Badiou S;

Source: AIDS 27 (8), 1295-302 (May 2013)

OBJECTIVE

HIV患者における糸球体障害あるいは尿細管障害の頻度についてコホート研究で検討しそれぞれの腎障害において関与する因子について明らかにする。

DESIGN

1210例のHIV患者の外来単位での経過観察における横断研究 (Montpellier/France).

METHODS

随時尿たんぱく/クレアチニン比 (uPCR), 尿中アルブミン/クレアチニン比(uACR)そして尿中アルブミン/尿たんぱく比 (uAPR)を検討した。

糸球体障害はuACR 30 mg/g以上あるいはuPCR 200 mg/g 以上でuAPRが0.4以上を伴う時と定義した。

尿細管障害はuPCR 200 mg/gであるか、あるいはuAPRが0.4以下 と定義した。

MDRD計算式でeGFRが60 ml/min per 1.73 m2である1158例について多因子解析で独立したそれぞれのたんぱく尿について関与する因子を検討した。

RESULTS

尿たんぱくの頻度はeGFR 60 ml/min per 1.73 m2の患者で18.2% で尿細管性たんぱく尿症例が50.7% であった。

糸球体性のたんぱく尿に関連する因子については年齢 [OR 1.34/10-year increment (95%CI: 1.081.66)]、糖尿病 [OR 3.37 (95%CI: 1.53-7.44)]、そして高血圧[OR 2.52 (95%CI: 1.36-4.66)]であった。

尿細管性のたんぱく尿については年齢[OR 1.43 (95%CI: 1.14-1.79)]、現在のTDF使用 [OR 3.52 (95%CI: 1.86-6.65)]、HCVとの合併感染[OR 1.62 (95%CI: 1.00-2.65)], AIDS期 [OR 1.83 (95%CI: 1.18-2.82)], CD4陽性細胞数が200以下 [OR 2.48 (95%CI: 1.31-4.70)]であった。

CONCLUSION

今回の研究で尿細管障害の危険因子としては主にHIV感染症に関連するものやその治療薬(TDF)が指摘され、糸球体障害は年齢や高血圧、糖尿病といったHIV非関連の因子が主体であることが明らかになった。

腎機能が正常あるいは正常より少しだけ低下しているような患者でuPCRやuACRおよびuAPRを計測することは早期にCKDを診断し管理していくことに役立つかもしれない。

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Accelerating prevention of mother-to-child transmission of HIV:Ten-year experience of Universal Antenatal HIV Testing Programme in a low HIV prevalence setting in Hong Kong;

Lin A, Wong K, Chan K, Chan W;

Source: AIDS Care (Jul 2013)

香港はHIV感染率が低い地域で0.01%未満とされている。

国際出生前HIV検査プログラム(UATP)はすべての一般産科に2001年9月に導入された。

2008年には迅速検査がひろがって出生前に検査をうけない妊婦が発生しないように対策がとられた。

今回の検討はUATPと迅速検査の有効性を検討するものである。

2001年9月から2011年12月までプロセスと結果についてモニタリングして評価するために担当者は検査量ベースと患者ベース両方の統計からそれぞれHIV陽性妊婦の情報を毎月の報告書からピックアップした。

総数479,160例が出生前検査を受け、2675例が迅速検査を施行されていた。

UATPは98%カバーされ、迅速検査は80.4%がカバーされていた。

2008年1月における迅速検査の施行によって出産前にHIV感染が判明した妊婦の率は2006年の84.9%から99.5%に増加していた。

UATPによるHIVの罹患率は0.02%で、迅速検査では0.1%と報告されている。

プログラムから特定されたHIV感染妊婦78例中の53例(68%)は地元で出産している。

43例(81%)の妊婦は帝王切開で出産された。50例(94%)は抗レトロウイルス薬を使用された。

迅速検査の施行前に3例が分娩にいたりHIVに感染した。

UATPおよび迅速検査は広く受け入れられ、香港では効率的に胎児のHIV感染の予防に寄与している。

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HIV感染患者における急性心筋梗塞後の転帰:フランス病院医学情報データベースからのデータの分析

原題:OUTCOMES AFTER ACUTE MYOCARDIAL INFARCTION IN HIV-INFECTED PATIENTS:ANALYSIS OF DATA FROM A FRENCH NATIONWIDE HOSPITAL MEDICAL INFORMATION DATABASE;

著者:LORGIS L, COTTENET J, MOLINS G, BENZENINE E, ZELLER M, AUBE H, TOUZERY C, HAMBLIN J, GUDJONCIK A, COTTIN Y, QUANTIN C;

出典:CIRCULATION 127 (17), 1767-74 (APR 2013)

背景

急性心筋梗塞に罹患したHIV陽性患者を対象に、院内致死率と1年の予後を評価した。

方法と結果

PMSIデータベース(Program de Medicalisation des Systemes d'informatique)における、2005年1月1日から2009年12月31日までの、277,303例の急性心筋梗塞による入院患者のデータを分析した。生存患者は、退院後に1年の間追跡された。HIV感染患者は、感染してない患者と比較された。対象患者の中で、HIV感染患者(n=608)は0.22%を占めた。

全ての原因による院内死亡率と1年後の死亡率は、HIV非感染群で、感染群より低かった(3.1%対8.1%[P < 0.001]、1.4%対5.5%[P < 0.001])。さらに、データベースから年齢と性別に基づいて、HIV非感染者2例に対してHIV感染者1例の比率でマッチングさせ、分析した(n=1824)。虚血性心筋症は、HIV感染群(7.6% vs 4.2%、P=0.003)で、より頻度が高かった。入院と1年の死亡率は、2つの群で同程度だった(3.1%対2.1%[P=0.168]と1.4%対1.7%[P=0.642])。

ただし、12ヵ月の時点で、心不全症状を原因とする入院は、HIV非感染群の頻度が、HIV感染群よりも有意に高かった(3.3%対1.4%; P=0.020)。単変量解析の結果、HIV感染症、糖尿病、虚血性心筋症の既往歴、経皮的冠動脈形成術は、心不全の発生と相関していた。多変量解析によると、HIV感染症(オッズ比2.82、95%信頼区間1.32-6.01)、糖尿病と経皮的冠動脈形成術は、心不全の独立した予測因子であった。

結論

本研究は、急性心筋梗塞の後、HIV感染症の状態が長期リスクに影響することを証明した。一方で、HIV患者者と非感染者における短期間のリスクは同等であった。

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Cryptococcal Infections: Changing Epidemiology and Implications for Therapy;

La Hoz RM, Pappas PG;

Source: Drugs (Apr 2013)

開発国においてもARTが導入されるようになってHIV感染症関連のクリプトコッカス症は減少傾向であるが、サハラ以南の地域ではAIDS患者の間で依然として高い死亡率と罹患率が続いている。

疾患の流行を阻止するための重要な進歩としてクロプトコッカス抗原のlateral flow assay(LFA CrAg)の活用があげられる。資源の限られた地域でも診断に役立つツールでHIV陽性患者でLFA CrAgが陽性でリスクのある患者にFLCZの先制攻撃的アプローチを行う。

固形臓器移植患者における前向き研究の結果が示され、侵襲性真菌感染症の3番目に位置し、より早期に診断してより有効な治療を行うことが重要とされた。

クリプトコッカスガッティ(Cryptococcus gattii)のアウトブレイクが以前リスクが低かった地域であるBritish Columbia, Canada およびアメリカ北西部で見られたことは、この病原体についての新しい視点の必要性を示している。

C. gattii と C. neoformans感染症の共通点と相違点を理解することは宿主におけるこれら疾患を鑑別するのに役立つ。

両病原体は免疫正常者にも免疫抑制宿主にも発症し肺、中枢神経系、あるいは全身に播種性の感染様式をとる。

治療薬の推奨については感染部位、重症度、Cryptococcusの種別、宿主の免疫状態そして経済的な要因が考慮される。

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Co-administration of atazanavir/ritonavir and zinc sulphate: impact on hyperbilirubinemia and pharmacokinetics;

Moyle G, Else L, Jackson A, Back D, Yapa M, Seymour N, Ringner-Nackter L, Karolia Z, Gazzard B, Boffito M;

Source: Antimicrobial Agents & Chemotherapy (May 2013)

Background

ATVはウリジン二リン酸-グルクロン酸転移酵素1A1の抑制により間接ビリルビンの上昇が見られる。硫酸亜鉛(ZnSO4)はGilbert(ジルベール)症候群患者において間接ビリルビンの抑制効果があることがしられている。そこで今回は硫酸亜鉛を単回ないし14日間使用することによる血中総ビリルビン、間接、直接ビリルビンの変化について検討した。

Methods

HIV感染症患者でATV/ritonavirを含むレジメンで安定し、かつ総ビリルビン値が>25mmol/Lの患者を対象に硫酸亜鉛Solvazinc© 錠125mg/日を14日間内服させた。

ATV/rとビリルビンの血中濃度は内服前(phase1)、内服後2, 4, 6, 8, 24時間(単回内服後phase 2)そして内服14日後 (phase 3)で検討した。

硫酸亜鉛の有無によるビリルビンやATV/rの濃度変化はgeometric mean ratios (GMR)で評価した。そして90%信頼区間についてはPhase1を基準に計算した。

Results

16例で研究の継続ができた。硫酸亜鉛の内服は問題なかった。 そして総ビリルビンは統計学的に有意差をもって低下した。AUC0-24 はphase2で16% および 17% 低下しphase3では20% の低下がみられた。研究期間中の直接、間接ビリルビンCmax(最高血中濃度)およびAUC0-24 は17%と19%がphase 2でphase 3では20% と23%であったが有意な差ではなかった。

Atazanavirの GMR (90% CI)は トラフ濃度、CmaxおよびAUC0-24 はそれぞれ0.74 (0.62-0.89), 0.82 (0.70-0.97), 0.78 (0.70-0.88)であった。

Conclusions

硫酸亜鉛の内服は総ビリルビンおよび間接ビリルビンATVの暴露が減少することで低下する。硫酸亜鉛の内服追加は症例を選んで選択することで有用かもしれない。

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顧みられない熱帯病(NTD)での使用薬と抗レトロウイルス剤との薬物相互作用

原題:Drug-drug interactions between antiretrovirals and drugs used in the management of neglected tropical diseases: important considerations in the WHO 2020 Roadmap and London Declaration on Neglected Tropical Diseases;

著者:Seden K, Khoo S, Back D, Prevatt N, Lamorde M, Byakika-Kibwika P, Mayito J, Ryan M, Merry C;

出典:AIDS 27 (5), 675-86 (Mar 2013)

顧みられない熱帯病(NTD; neglected tropical diseases)として知られる感染症群は、世界中で人口の1/6にあたる、10億人に影響を及ぼす。NTDは身体と精神に病的状態を引き起こし、貧困のサイクルに大きく影響する。NTDが関わる死亡は、1年あたり53万4000件にものぼる。

NTDの中でも土壌を介した寄生虫感染症と、節足動物の媒介によるリーシュマニア症、トリパノソーマ症は、経済的に恵まれず、取り残された地域でお起こる。

すべての低所得国には、少なくとも5種類のNTDを同時に存在すると見積もられる。NTDの個別の疾患は、死亡率に関するデータに直接反映されることがないため、政治的にも見過ごされがちである。

地域的には、NTDとHIVは有病率が高い地域として共通しており、複雑な薬剤の組み合わせや、薬物相互作用などが懸念される。この論文では、NTDで使用される薬剤と抗HIV薬との相互作用について、現時点で判明している情報を概説した。

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Tobacco Use and Cessation in HIV-Infected Individuals;

Browning K, Wewers M, Ferketich A, Diaz P;

Source: Clinics in Chest Medicine 34 (2), 181-190 (Jun 2013)

HIV感染症患者における喫煙率は40%から84%と報告されており米国における全喫煙率より高い、今日まで様々なたばこの依存に関する研究がHIV感染症患者を対症に行われた。その結果、現在指摘できる禁煙の成功と節制の障壁になる要因も含めた将来の研究の推奨は禁煙への動機づけを改善させることや、2群間で比較するような大規模な多施設研究を計画すること、それから有効な禁煙補助薬の使用といったものである。

これらの検討の結果の差はHIV感染症患者の将来のたばこに起因する疾患の増加を予防することに寄与するだろう。

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