16/04/12 up

HIV感染に対するARTの検査モニタリング:現法と新法での対費用効果と医療費への影響

Laboratory monitoring of antiretroviral therapy for HIV infection:Cost-effectiveness and budget impact of current and novel strategies;

Ouattara E, Robine M, Eholié S, MacLean R, Moh R, Losina E, Gabillard D, Paltiel A, Danel C, Walensky R, Anglaret X, Freedberg K;

Clinical Infectious Diseases (Mar 2016)

BACKGROUND

HIVに対するARTの最適な検査モニタリングについては意見が分かれている。西アフリカのコートジボアールにおいて現法と新法によるモニタリング方法の影響について評価した。

METHODS

Cost-Effectiveness of Preventing AIDS Complications (CEPAC)-International Model を使用し、臨床的転帰、対費用効果、医療費への影響を11種類のART検査モニタリング方法に分けて比較した。検査モニタリング方法はCD4数とウイルス量(どちらかを使用するか、両方使用するか)、測定の頻度によって分けられた。 「適応」方法として、ARTでウイルスが抑制された患者について、初めは半年ごと、その後1年ごとのモニタリングをする方法も含んだ。ART開始の平均年齢は37歳で、平均CD4数は154/µL, CD4 とウイルス量検査のコストはそれぞれ11ドルと33ドルであった。半年ごとのCD4数のみのモニタリングが標準法として比較対象とされた。対費用効果はコートジボアールの2013年の一人当たりのGDP(1,500ドル)と関連させて評価した。

RESULTS

平均余命は標準法(半年ごとのCD4数のみのモニタリング)で16.69年、半年ごとのCD4数測定と免疫学的失敗とされたときのみウイルス量測定をする方法では16.97年、「適応」法でのウイルス量測定(初めは半年ごと、以後1年ごとの測定)で17.25年であった。初回ARTの治療失敗が判明した平均期間は標準法で3.7年、ルーチンでのウイルス量測定または「適応」法でのウイルス量測定では0.9年未満であった。免疫学的失敗時だけウイルス量測定をした方法は標準法よりコストが削減された。「適応」法でのウイルス量測定は、治療失敗時のみのウイルス量測定と比較し増分費用効果比(ICER)は4100ドル/YLS(救命年数)となり、5年間の医療費は標準法と比較し、310ドル/患者増加した。感度分析では、2回目のARTとウイルス量測定コストが同時にそれぞれ156ドル、13ドル減少するならば、「適応」法でのウイルス量測定の増分費用効果比(ICER)は1×GDP未満にまで達した

CONCLUSIONS

コートジボアールでは免疫学的失敗時のみのウイルス量測定はCD4数測定のみより、より効果的でより費用が低かった。「適応」法でのウイルス量測定はART失敗判明までの時間を減らし対費用効果もあり、コートジボアールや同様な地域では標準的にされるべきである。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

薬物使用を行っているMSMとHIVテストの関係について

Int J STD AIDS. 2016 Mar 21. pii: 0956462416640964. [Epub ahead of print]

Correlates of recent HIV testing among substance-using men who have sex with men.

Rowe C1, Matheson T2, Das M3, DeMicco E3, Herbst JH4, Coffin PO2, Santos GM2.

Abstract

MSMはHIV感染の危険にさらされており、薬物使用(アルコールなども含む)はHIVリスクと感染拡大の重要な要因となっている。そこで2009年3月から2012年5月まで、サンフランシスコ・ベイエリアで、HIV非感染、薬物使用者で18歳以上のMSM3242名を対象に横断研究を行い、過去6か月間の人口統計的特性、性的リスク、薬物使用について、電話による質問形式で調査した。人口動態学データと、最近のHIVテスト受検の有無の行動予測因子について多変量ロジスティック解析を行った。

全体の65%が過去6か月間にHIVテストを受けていた。多変量解析では、年齢の増加(aOR = 0.87, 95% CI = 0.84-0.90)、飲酒(<1 飲酒/日: 0.65, 0.46-0.92; 2-3 飲酒/日: 0.64, 0.45-0.91; 4 以上/日: 0.52, 0.35-0.78)、がHIVテストと負の関連を示した。

つまり年齢が高く、飲酒量が多いほどHIVテストを受けない傾向にあった。二人以上condomless anal intercourse partnersがいる場合、HIVテストを受ける傾向があった。しかし一方でHIV感染が不一致のcondomless anal intercourse partnerの場合はHIVテスト受検についてあきらかな関連がなかった。

高齢でアルコール多飲傾向にあるMSMについては、HIVテストを受けるように働きかけることは有用であると考えられた。感染の危険の高い、HIV感染が不一致のパートナー(この場合HIV感染しているパートナー)がいる場合、HIVテストを積極的に受ける動機づけにはならいようだ。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

Predictors of opportunistic illnesses incidence in post combination antiretroviral therapy era in an urban cohort from Rio de Janeiro, Brazil;

Coelho L, Cardoso S, Amancio R, Moreira R, Ribeiro S, Coelho A, Campos D, Veloso V, Grinsztejn B, Luz P;

Source: BMC Infectious Diseases 16 (1), 134 (2016)

BACKGROUND

日和見感染症はART時代に入ってからもHIV感染症患者において入院や死亡の原因として未だに非常に多い。そしてそれは中から低所得の国において顕著である。今回の検討の目的は中所得国であるブラジルのART時代以後における日和見感染の中でも頻度の高い4疾患(結核、食道カンジダ、脳トキソプラズマ症、PCP)についてその予測因子を明らかにすることである。

 

METHODS

2000年1月から2012年12月まで18歳以上のHIV感染症患者2835例を最初に日和見感染症を発症するか死亡するまで経過観察した。Cox回帰モデルを用いてARTによる日和見感染症の発症の予測因子についての計算を行った

RESULTS

結核、食道カンジダ、脳トキソプラズマ症、PCPそれぞれの発症率は15.3, 8.6, 6.0, 4.8/1000人・年であった。ART無しではCD4数の最低値が高い程疾患の予防効果が高いが、登録時に何らかの日和見感染を伴っていることにより疾患の頻度が増えていた。ARTの継続期間は疾患の減少に有意に寄与していた。

CONCLUSIONS

ART時代に入っていながら日和見感染の頻度は依然として高いことがしめされたが、早期のART開始によって免疫機能の破綻を予防することにより日和見感染症の発症を予防することが可能である。cARTの迅速な開始に加えて早期診断も合わせて焦点をあて介入をすることは、ART時代以後のHIV感染患者の日和見感染症の発病率を減らすために欠かせないことである。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

FOXP3+Helios+ regulatory T cells, immune activation and advancing disease in HIV infected children;

Khaitan A, Kravietz A, Mwamzuka M, Marshed F, Ilmet T, Said S, Ahmed A, Borkowsky W, Unutmaz D;

Source: Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Mar 2016)

末梢血中で免疫寛容あるいは炎症反応をコントロールする。制御性T細胞(Treg)はCD4陽性細胞の機能を抑制する方向で働く細胞である。

これまでの報告では慢性HIV感染症において制御性T細胞は非HIV感染者にくれべた時、上昇あるいは低下しているという相反する結果が見られていた。

そこで制御性T細胞の検討でよく用いられるCD25とFOXP3を用いてチェックするとHIV感染状態においては免疫活性化の結果として一次的に上昇しているのではないかと仮定した。

HeliosはIkarosファミリーに属する転写因子で抑制活性の機能を発現している制御性T細胞のマーカーで、活性化後は上昇しないことがわかっている。つまりFoxP3とHeliosの両者が陽性であるということはof'bona fide'Tregsということを示すと考えられる。

今回、制御性T細胞をFoxP3とCD25あるいはHeliosを共発現するサブセットを測定し、胎児性HIV感染症の小児においてHIV感染症の進行との関係を検討した。

HIV陽性小児の場合はFoxP3と共発現するHeliosのほうがCD25より強いものが多かった。ARTの有無に関係なく、HIV陽性小児では選択的にメモリーFoxP3陽性Helios陽性制御性T細胞が優性であった。

メモリー制御性T細胞はCD4:CD8比の低下、血漿中HIV RNA量の増加、そして免疫系の活性化といった HIVの臨床的な増悪と関連していた。さらに無治療のHIV陽性小児では制御性T細胞と活性化T細胞のバランスが悪くなっていた。最終的に免疫活性化マーカーであるCD38とKi67が陽性で、消耗のマーカーであるPD-1が陽性であるメモリー制御性T細胞はメモリーCD4陽性細胞と表現型的には類似性を示した。

つまりHIV感染小児ではHIV感染症の進行に伴ってメモリー制御性T細胞の破壊が進行することが示された。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

高齢なHIV感染男性と非感染男性におけるmodified-FRAXによる骨折予測

Fracture prediction with modified-FRAX in older HIV-infected and uninfected men;

Yin M, Shiau S, Rimland D, Gibert C, Bedimo R, Rodriguez-Barradas M, Harwood K, Aschheim J, Justice A, Womack J;

Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Mar 2016)

BACKGROUND

FRAX®は、骨粗鬆症による主な骨折(脊椎、前腕、股関節、肩などの臨床的な骨折)や股関節部のみの骨折について、およそ10年間の臨床的な骨折リスクをコンピュータベースで計算するのに有効である。骨折予防のための治療目安として広く使用されているが、HIV感染者におけるリスクについては過小評価される可能性がある。HIVは続発性骨粗鬆症の原因であると考え、HIV感染者においてもFRAXの算出を推奨する専門家もいる。

METHODS

骨密度測定・10年間で観察された脆弱性骨折発生がなく、2つの因子(続発性骨粗鬆症の既往歴、両親の股関節骨折歴)以外は2000年からほぼ完全であるデータをModified-FRAXとし、Veterans Aging Study Virtual Cohort (VACS-VC)より、24451人のHIV感染と非感染の高齢男性(50-70歳)を調査した。Modified-FRAXの正確性はHIVの感染状態によりobserved/estimated (O/E) ratio(実際の骨折率を予測骨折率で割った比)で比較した。

RESULTS

modified-FRAXの正確性はHIV感染男性(O/E=1.62, 95%CI: 1.45, 1.81)のほうが非感染男性(O/E=1.29, 95%CI: 1.19, 1.40)よりも低かったが、HIVを続発性の骨粗鬆症の原因に含めると改善された(O/E=1.20, 95%CI: 1.08, 1.34)。しかし、薬物療法の適応とされるFRAX閾値としてModified-FRAXにより同定されたのは、骨折発生があった男性のうち3-6%のみであった。

CONCLUSIONS

Modified-FRAXはHIV感染高齢男性のほうが非感染男性より骨折率が過小評価されることが多かった。HIVが続発性の骨粗鬆症として含まれた場合には正確性は改善したが、まだ骨折例を発見するには不十分であった。高齢HIV感染者におけるスクリーニングと治療のためにFRAXをどのように使用するのか、またriskを階層化するためのHIVに特異的な指標をどのように定義するのか、さらなる調査が必要である。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

ベッドサイドで行う尿中Lipoarabinomannan 定量を指針として抗結核治療を開始するとHIV陽性入院患者の死亡率が低下した。(実用的、並行群間比較、多国間、非盲検、無作為化対照試験)

Lancet. 2016 Mar 9. pii: S0140-6736(15)01092-2. doi: 10.1016/S0140-6736(15)01092-2. [Epub ahead of print]

Effect on mortality of point-of-care, urine-based lipoarabinomannan testing to guide tuberculosis treatment initiation in HIV-positive hospital inpatients: a pragmatic, parallel-group, multicountry, open-label, randomised controlled trial.

Abstract

BACKGROUND:

HIV関連の肺結核は、診断が非常に難しく、結果として死亡率が高い。呼吸器以外の症状や、喀痰が採取できない、排菌量が少ないなどで、核酸増幅法や塗抹検鏡法が有用でない場合がおおい。そこでベッドサイドで可能な、尿検体を用いたイムノクロマトグラフィー検査:lipoarabinomannan assay (LAM)をもちいて、LAMの結果を指標に抗結核薬治療を開始し、死亡率が改善するかどうか検討した。

METHODS:

南アフリカ共和国の4施設、タンザニアの2施設、ザンビアの2施設、ジンバブエの2施設、計10病院で、実用的、並行群間比較、多国間、非盲検、無作為化対照試験を行った。18歳以上のHIV感染者、少なくとも1つ以上結核の症状(発熱、咳嗽、盗汗、体重減少)があり、入院が必要な重症患者を対象とした。エントリーするまでの60日以内に抗結核薬の治療がされた患者は除外した。

LAM+従来の結核診断セット(塗抹検鏡、Xpert-MTB/RIFによるPCR法、結核菌培養検査)と、従来の結核診断のみの2群(1:1)に無作為抽出した。エントリー時に少なくとも30mlの尿検体をあつめ、LAMテスト群の患者にはリサーチナースがLAMテストをベッドサイドで行った。

このLAMテストが陽性の場合、看護師は抗結核薬の開始を推奨した。参加した内科医師は、LAMテストの結果にかかわらず、治療開始の有無について判断した。患者も医療関係者もテストの結果やグループ割り当てについてはわからないようにした。T 最初のエンドポイントは8週目で死亡率を評価した。

FINDINGS:

2013年1月1日から2014年10月2日の間に、8728名の患者をスクリーニングし、その内LAMテスト群1336名、LAMテストを行わない群1323名に振り分けた計2659名に対し解析を行った。そのうち108名が主に基準を満たさない理由で治療を受けず、また23名は同意が得られない、解析データのコピーミスなどの理由により除外された。残った2528名(LAMテスト群1257名、LAMテストなし1271名)で最終的な解析を行った。

全体の8週後の死亡率は、LAM群で261(21%)、no LAM群では317(25%)、絶対減少率は4%(95% CI 1-7)(治療法の差によりどれくらい危険度を下げるか、両群の発症率の差。ここでは25%-21%)であった。 相対リスク減少は17%(95% CI 4-28)で(LAMテストにより17%のリスク軽減が図れた)、各国間で調整したリスク比は0.83 (95% CI 0·73-0·96)、p=0.012であった。時間事象分析では、LAMテスト群で100人年あたり159名死亡、no LAM群では100人年あたり196名の死亡(hazard ratio adjusted for country 0·82 [95% CI 0·70-0·96], p=0·015)であった。LAMテストによる重症な有害事象は認めなかった。

INTERPRETATION:

結核が疑われた入院中のHIV感染者が、ベッドサイドで行うLAMテストの結果により抗結核薬を開始すると、8週の死亡率を減らすことができた。資源が限られた環境下で、重症例や高度の免疫抑制、自己排痰が困難な症例などの場合、LAMテストを実施することにより、HIV感染入院患者に対して有用性がもたらされる可能性が高い。

Lipoarabinomannan:リポアラビノマンナン(LAM)。結核菌に最も多く含まれる特徴的なリポグリカン(脂質を含む多糖)

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

Dolutegravir as maintenance monotherapy: first experiences in HIV-1 patients;

Rokx C, Schurink C, Boucher C, Rijnders B;

Journal of Antimicrobial Chemotherapy Online (Feb 2016)

BACKGROUND

Dolutegravir (DRV)はHIV-1感染症におけるARTの推奨薬である。ARTに関連する毒性、薬剤相互作用、コストを考えると治療のオプションはまだ検討する必要がある。 DRVは耐性誘導しにくい薬剤であり、維持療法での単剤治療が可能かもしれない。この治療戦略の正当性はまだ確認されていない。

METHODS

前向き症例集積研究としてARTによりウイルス学的にコントロールされた5例についてDRVの単剤治療に変更する。全例HIV-RNAが50コピー以下の検出限界以下にコントロールされており、現在のレジメンあるいは他の候補薬にたいして禁忌事項があった。HIV-RNAは治療開始時、4、8、12週およびその後は6週毎に測定した。患者はHIV-RNAが50コピーを超えた場合にはもともとおこなっていたレジメンのARTに戻すこととした。

RESULTS

5例ともに1年半以上HIV-RNAが50コピー以下にコントロールされていた。 全例がキードラッグはNNRTIであった。

4例がすべてのポイントでウイルス量50コピー以下を維持した。1例(末期腎不全合併例でカルシウム剤の内服をおこなっていた)はART導入前のHIV-RNA量が625000コピーでCD4の最低値は120の症例であり、ARTによって30週目で8150まで低下していた。

DRVの血中トラフ濃度は0.18mg/lであった。  この患者は耐性は獲得しておらず、アドヒアランス不良ということもなかった。そしてこの症例は以前のレジメンにもどしたところ検出限界以下に低下した。

CONCLUSIONS

今回の検討でDRV単剤治療はcARTでウイルス量がコントロールされた患者の維持療法として有望である可能性が示唆された。将来的に前向き無作為化試験での確認が必要である。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

Predictors of dual control of HIV and diabetes;

Zuniga J, Nguyen M, Holstad M;

AIDS Care 1-4 (Feb 2016)

ABSTRACT

糖尿病はHIV感染者が併存疾患として診断される最も数の多い疾患の一つである。両疾患のもつ免疫、血管系への影響を考慮するとHIV、糖尿病両者の良好なコントロールが重要である。 今回、後方視的研究によってHIVと糖尿病の両者のコントロールに影響する因子について検討した。 ライアンホワイトが支援するHIVクリニックにおいて25歳以上で抗HIV薬を服用して6ヶ月以上経過し、かつ糖尿病と診断された患者を対象とした。 コントロールの指標はHIV RNAが検出限界以下 (例log10 HIV1-viral load <1.6≒20) であること、HbA1c ≤7%とした。 結果として最適なコントロール症例は186例中半分以下であった。ロジスティック回帰分析によって年齢、インスリンの使用、アフリカ系アメリカ人であることが関連する因子であった。 HIV患者は現在は生命予後が長期になっており合併疾患の予後の改善には薬剤のアドヒアランス向上にもっと注力すべきである。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

HIV陽性MSMにおけるC型肝炎ウイルス感染率について:システマティックレビューとメタ解析

Int J STD AIDS. 2016 Jan 28. pii: 0956462416630910.

Prevalence of hepatitis C virus infection among HIV+ men who have sex with men: a systematic review and meta-analysis.

Abstract

2000年以降、HIV陽性男性同性間性的接触者でのHCV感染が増加してきている。性的接触により血液暴露を受け、HCV伝播が起こると報告されていが、現在までHIV陽性MSM全体でのHCV罹患率と、静注薬物使用との関連についてはあまり分析されていない。

この研究では、HIV陽性MSM間で、世界的なHCV抗体の罹患率、活動性のHCV感染罹患率についてシステマティックレビューとメタ解析を行った。

42のレポートからHIV陽性MSMの抗HCV抗体の罹患率を解析したところ、HIV陽性MSMでは、最終的な抗HCV抗体の統合罹患率は、8.1%であり、活動性のHCV罹患率は5.3%-7.3%と推定された。

HIV陽性MSMの中で、静注薬物使用者、非薬物使用者の抗HCV抗体罹患率は、それぞれ40.0%、6.7%と静注薬物使用者のほうが高かった。

継時的にみると、HIV陽性MSM間においてHCV罹患率は全体と、非薬物使用者で著明に増加していたが、静注薬物使用者では著名に減少していた。

全HIV陽性MSM患者と、HIV陽性MSM非薬物使用者では、双方ともHCV罹患率がさらに増加傾向であった。

HIV陽性MSMでのHCV統合罹患率は1945-1965までの米国における出生コホートより高かった。

HIV陽性MSMにおいて(中程度ではあるが)、HCV罹患率が上昇傾向なので、今後HCVへ対応する機会が増え、今後緊急度の高い問題となることが予想される。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

IL15 polymorphism is associated with advanced fibrosis, inflammation-related biomarkers and virologic response in HIV/HCV coinfection;

Jiménez-Sousa M, Berenguer J, Rallón N, Pineda-Tenor D, Echevarria T, Soriano V, García-Álvarez M, Vazquez-Morón S, Restrepo C, Carrero A, Benito J, Resino S;

Liver International (Feb 2016)

BACKGROUND & AIMS

HCV感染において自然免疫と獲得免疫双方においてIL-15は重要な役割を果たしている。今回はIL-15のrs10833の肝疾患の重症度とPEG-IFN+RBVの治療効果についてHIV/HCV合併感染の患者において検討した。

METHODS

後方視的にpegIFN-α+RBV療法を導入した315例を検討した。肝線維化の程度については286例で検討されていた。IL15 rs10833 と IL28B rs12980275についてはGoldenGateでタイピングした。

【主要評価項目】

a)肝生検での肝線維化の程度およびelastgraphyによる肝硬化度(≥9.5 Kpa)

b)SVR達成率

福次評価項目

いくつかの炎症性血清マーカーの推移

RESULTS

rs10833 のAA genotypeは繊維化の程度が高く(adjusted odds ratio (aOR)=2.30; p=0.019)、男性で多く (aOR=2.24; p=0.040)、HCV RNA <500,000 IU/mL (aOR=5.14; p=0.018)であり、IL28B rs12980275は AG/GG genotypes (aOR=2.51; p=0.046)が多かった。

さらにrs10833 AA genotypeは有意に高レベルのHGF(adjusted arithmetic mean ratio (aAMR)=1.50; p=0.016)、sICAM-1(aAMR=1.57; p=0.025)、sVCAM-1 (aAMR=1.56; p=0.007)と相関していた。

最終的にrs10833 AA genotypeの患者はSVR達成率が高く (aOR=3.12; p=0.006)、とくに男性でその傾向が有意で(aOR=3.69; p=0.005)その他GT1/4 の患者(aOR=3.59; p=0.006)、高度の繊維化症例(aOR=4.64; p=0.021), HCV-RNA ≥500,000 IU/mL (aOR=3.92; p=0.007)、IL28B rs12980275 AG/GG genotype (aOR=2.98; p=0.041)で有意であった。

CONCLUSIONS

IL15 rs10833 AA genotypeの存在はHIV/HCV合併患者において高度の肝線維化と、炎症マーカーの高値と相関し、pegIFN-α+RBV治療におけるSVR到達率が高いことが明らかとなった。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

Low prolactin and high 20alpha-hydroxysteroid dehydrogenase contribute to lower progesterone in HIV-infected protease inhibitor-cART exposed pregnant women;

Papp E, Balogun K, Banko N, Mohammadi H, Loutfy M, Yudin M, Shah R, MacGillivray J, Murphy K, Walmsley S, Silverman M, Serghides L;

Journal of Infectious Diseases (Jan 2016)

BACKGROUND

PIベースのcARTが行われているHIV感染妊婦でプロゲステロン濃度が低いことが報告されている。これは低体重出生といった出生時リスクの原因となる可能性がある。そこで我々はそのメカニズムについて検討した。

METHODS

42人の感染女性ならびに31人のHIV感染妊婦について血清中のプロゲステロンとプロラクチン、脂質そしてプロゲステロン代謝に関連する遺伝子の発現を検討した。

PIベースのcARTの効果について詳細に検討するためIn vitroの検討に加えてマウスモデルを用いた。

RESULTS

PIベースのcARTが行われているHIV感染妊婦は血清中のプロゲステロンが低値(p=0.026)でプロゲステロンを不活化する20α-HSDがコントロール群に比較して上昇していた。[HIV陽性群の中央値 2.5 、IQR (1.00-4.10)でコントロール群は それぞれ0.89 (0.66-1.26), p=0.002であった。]

プロラクチンもキーとなる調節因子は20α-HSDであり、コントロール群に比して有意な低下(p=0.012)が見られた。この減少はマウスでも同様であった。 また、PIベースのcARTによるプロゲステロンの減少はtrophoblas cellの20α-HSDの抑制によって改善した。

CONCLUSIONS

今回のデータによりPIベースのcARTによってプロゲステロンの減少がみられ、少なくとも原因の一つとして20α-HSDの増加そしてその結果としてプロラクチンの低下を引き起こすことをあげることができる。

HIV/AIDS関連ニュース一覧にもどる

HIV感染女性での卵巣予備能低下について

AIDS. 2016 Jan 16. [Epub ahead of print]

Decreased ovarian reserve in human immunodeficiency virus infected women: A matched cohort study.

Abstract

OBJECTIVE:

HIV感染が直接的、もしくは間接的に卵巣機能に与える影響を調べるために、抗ミュラー管ホルモンの測定をもちい、HIV陰性の女性と比較検討した。

DESIGN:

2008年1月から2013年12月まで、第3次大学病院にてコホート研究を行った。HIV陽性で補助生殖医療を希望している201名の群と、HIV陰性で年齢、不妊症などの条件を合わせた女性603名とで比較検討した。

METHODS:

データは半構造的調査票を用いて前向きに集めた。HIV陽性、陰性の女性で血清抗ミュラー管ホルモンを測定し比較した。抗ミュラー管ホルモンに影響する因子を調べるため、後方多重線形回帰を行った。

RESULTS:

血清AMHは、HIV陽性グループで、明らかに低下していた(3.0 ± 2.8 vs. 3.7 ± 3.5 ng/ml; respectively, p = 0.001)。HIV陽性女性のAMH変化についての関連因子を調べたところ、卵管疾患とAMHレベルの低下との間に関連がみられた。多変量線形回帰分析を行うと、HIV陽性女性では年齢、BMI、ウイルス量の増加がAMHレベルの低下と関連があった。一方CD4陽性細胞数の上昇は、AMHレベルの増加と関連があった。

CONCLUSION:

血清AMHレベルは、コントロール群よりHIV陽性群のほうが低値であった。HIV陽性群では年齢、BMI、ウイルス量がAMHレベルに影響していた。