16/06/10 up

Rilpivirine Pharmacokinetics Without and With Darunavir/ritonavir once daily in Adolescents and Young Adults;

Foca M, Yogev R, Wiznia A, Hazra R, Jean-Philippe P, Graham B, Britto P, Carey V, King J, Acosta E, Cressey T, IMPAACT P1058A Team ;

Source: Pediatric Infectious Disease Journal (May 2016)

BACKGROUND

Rilpivirine (RPV)は最近開発された一日一回内服のNNRTI系薬でありまだ、小児には承認されていない。しかし治療失敗経験している13歳から15,6歳くらいの思春期の症例にはレジメンの単純化および有害事象を最小限にする目的で使用されることがある。一方でDarunavir/ritonavir (DRV/r)も一日一回内服でこの年代の症例への使用がふえているためRPVの薬物動態に影響を与えるかもしれない。 そこで今回、若年者におけるRPVとDRV/rtvの併用症例において薬物動態を評価した。

METHODS

HIV感染し、RPV25mgを使用されている12歳以上24歳までの症例で、併用薬としてDRV/r800/100mgあるいはその他の薬剤を使用している症例を登録した。 そして集中的な24時間の血液サンプリングを実行し、薬物動態学的計算はノンコンパートメントモデルをつかって計算された。ターゲットとなる薬物濃度については成人のデータをもとにそれぞれのレジメンの適切性を検討した。

RESULTS

RPV内服でDRV/rが使用された症例が14例、DRV/rを使用されていないレジメンの症例が15例登録された。DRV/r未使用レジメンでのRPVのAUC0-24hおよびCmax、C24 h(投与後24hの血中濃度⇒トラフ)はそれぞれ2.38 µg.hr/mL (1.92-2.94), 0.14 µg/mL (0.12-0.18), and 0.07 µg/mL (0.03-0.10)で成人とほぼ同じであった。DRV/rのPKはRPV併用で変化はなかった。ところがDRV/rとの併用でRPVの濃度は有意に上昇しAUC24, Cmax そしてC24hは6.74 µg.hr/mL (4.89-9.28), 0.39 µg/mL (0.27-0.57), 0.23 µg/mL (0.17-0.32)であった。

CONCLUSIONS

思春期年齢でのRPV血中濃度は、DRV/rなしであれば成人とほぼ同様であったが、併用によってRPVのPKデータは2から3倍上昇することが示され、有害事象の発生に十分注意しなければならない。

疾病負担の高いアフリカにおけるHIV抗体陽性結核患者の感染性

Infectiousness of HIV Seropositive Tuberculosis Patients in a High-burden African Setting;

Martinez L, Sekandi J, Castellanos M, Zalwango S, Whalen C;

American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine (May 2016)

RATIONALE

HIV抗体陽性結核患者の接触調査についての政策勧告は何度か変更されている。これらの勧告に報告されている現在の疫学的根拠は報告の質が低いことが問題とされており、HIV抗体陽性例と陰性例の感染性についていくつかの大きな調査がサハラ以南のアフリカで行われている。

OBJECTIVE

我々はHIV抗体陽性と陰性の結核患者について家庭内接触による感染性を評価し、可能性のある修飾因子について調査した。

METHODS

ウガンダのカンパラで初回肺結核エピソードである成人が同定された。現地作業員が患者の家庭を訪問し、同意を得て家庭内接触を調査した。潜在性結核感染はツベルクリン反応で測定され、修正されたポアソン回帰モデルを使用して相対危険度が算出された。潜在性結核感染とHIV抗体状況、そのほかの因子との相互関係について標準的な評価が行われた。

MEASUREMENTS AND MAIN RESULTS

家庭内接触中潜在性結核感染はHIV抗体陽性結核例で577/878 (65.7%)、陰性例で717/974 (73.6%)(RR=0.89, [95% CI, 0.82-0.97])であった。さらなる階層化をすると、結核患者の空洞性病変(p<0.0001)と塗沫陽性(p=0.02)がHIV抗体陽性例の感染性を修飾した。症例の咳の期間とは関連がみられなかった。(p=0.49)

CONCLUSIONS

この調査ではHIV抗体陽性結核例は塗沫陰性、空洞性病変の欠如がみられるときのみ抗体陰性患者より感染性が低いことが示唆された。 これらの結果は過去の調査の不均一性を説明し、高い疾病負担背景のある場合には結核接触調査はHIV陽性患者を含むべきであるということを示唆する論拠となるかもしれない。

Antiretroviral Therapy May Not Be Enough to Reduce HIV-Associated Arterial Inflammation

BOSTON -- May 25, 2016 -- Initiating antiretroviral therapy (ART) soon after diagnosis of an HIV infection did not prevent the progression of significant arterial inflammation in a small group of previously untreated patients.

Source: DGNews

JAMA Cardiology誌に報告された知見によるとART単独ではHIV感染者の心血管系疾患のリスクを増大させる動脈の炎症所見の増悪を有意に改善させるのには十分でないことが示唆された。

「我々のこれまでの研究でHIV感染患者にみられる持続的な炎症が、破裂して心臓発作の原因となる冠動脈のプラーク形成のハイリスクになりうるということを示してきた。」と筆頭著者であるボストンのMassachusetts General Hospital (MGH)のMarkella Zanni医師がコメントした。

「我々の知見はHIV感染者でARTをうけている患者でも動脈の炎症を減らすためのなんらかの戦略の必要性を示唆している。」

これまでの数々の研究からHIV感染患者は非HIV感染者で同等の生活習慣リスクをもった患者の50%から75%程度心筋梗塞や脳血管障害のリスクが高いことが示唆されている。

2012年にハーバード大ならびにMGHのSteven Grinspoon医師(今回の報告でも共同著者になっている)らのグループからJAMAで報告された研究によるとHIV感染者にみられる動脈の炎症は心疾患がみられる患者と同レベルであることが示されている。そして被験者は研究登録時に少なくとも3ヶ月以上のARTをうけていたがART前から開始後にかけて炎症が進行しているのかどうかは不明であった。

ARTは免疫系の活性化レベルを減少させることは明らかであり、今回の研究ではARTが果たして血管の炎症は抑制するのか減少させるのかどうか検証するためにデザインされた。

12例の未治療HIV感染患者を登録した。この患者群は平均11ヶ月前にHIVの診断がなされている。そして年齢をそろえた12例の非HIV感染者を対照群として、免疫系ならびに炎症性因子を比較するために登録した。今回の登録例においてはHIV感染以外には自己免疫疾患や炎症性疾患、冠動脈疾患の既往歴はなく、有意な心血管疾患リスク因子をもっていなかった。

研究登録時と6ヶ月後にFDG-PET検査を施行した。患者はプラークの有無をみるために冠動脈CTをおこない、さらに血液検査で脂質、免疫系に関与する因子そしてHIV RNA量の測定をおこなった。

ARTによって患者はCD4陽性細胞が上昇し、HIVRNAが低下するが6ヶ月後には80%の患者で炎症が増加した。リンパ節内や脾臓では炎症は減少したがこれまでの研究でしめされてきたようにすでにARTをうけていても動脈の炎症は増加した。 研究開始時に25%の患者である程度の冠動脈プラークがみられたが、6ヶ月にはこれらのプラークはすべて拡大していた。さらに何名かは新たにプラークが出現していた。

「さらなる検討にてHIV感染者における持続的な免疫活性化と動脈炎症ならびにプラークの出現との関係をより詳細に理解する必要がある。」Grinspoon医師は語った。

「ARTのレジメンによる効果の比較も行う必要がある。さらにARTにくわえる免疫調整戦略によって動脈の炎症をおさえてプラークを安定化させ、冠動脈疾患のリスクを低下させるかどうか検討する必要がある。」

急性期HIV感染の間に治療を開始された後のウイルス学的失敗はまれである。

Virologic failure is uncommon after treatment initiation during acute HIV infection;

Crowell T, Phanuphak N, Pinyakorn S, Kroon E, Fletcher J, Colby D, Tipsuk S, Karnsomlap P, Laopraynak N, O'connell R, Robb M, Ananworanich J, RV254SEARCH010 Study Group ;

SOURCE: AIDS (May 2016)

OBJECTIVE

慢性期HIV感染では、ARTが開始されると一般的に迅速にHIV-RNA が減少し、24週以内にウイルス学的抑制を誘導する。本研究の目的は急性期HIV感染症の間にARTが開始された後のウイルス動態と治療成功のための共通な基準を調査することである。

METHODS

患者は前向きに登録され、タイのバンコクで2009年5月~2015年7月に急性期HIV感染症時のARTが提供された。テノホビル(TDF)、ラミブジン(3TC)またはエムトリシタビン(FTC)、エファビレンツ(EFV)にラルテグラビル(RAL)とマラビロク(MVC)が併用または併用されないレジメンが含まれた。参加者はいくつかのポイントでHIVRNAが測定された。((1)2週時の1log減少(2)4週時の2log減少(3)24週時の < 1000 copies/mL。 )それぞれのポイントで関連した因子、抑制された時期、ウイルス学的な一時的急上昇が調査された。

RESULTS

264人が急性期HIV感染症時にARTを開始された。年齢の中間値は27歳で96%が男性であった。2週間時HIV-RNA 1-log減少に6.5%が到達しなかった。 4週間時では11%が2-log減少に到達しなかった。24週時には1.1%がHIV RNA<1000 copies/mLに到達せず、 1.5% が HIV RNA<200 copies/mLに到達しなかった。Fiebig stage Iの間にARTが開始された患者はそのほかのすべてのステージの患者よりウイルス学的抑制までの時間の中間値が短く(4 [IQR 2-8] vs. 8 [IQR 4-12]weeks, p<0.001)、7.3%にそれに続くウイルス学的一時的急上昇がみられた(ほかのステージでは16.1%, p=0.23)。

CONCLUSIONS

ウイルス学的失敗は急性期HIV感染の間にARTが開始された患者においてまれであった。急性期HIV感染時のART開始は有効で、臨床医は治療24週後にウイルス学的失敗をモニターすることができる。

Illness Perceptions, Medication Beliefs, and Adherence to Antiretrovirals and Medications for Comorbidities in Adults with HIV Infection and Hypertension or Chronic Kidney Disease;

Weiss J, Konstantinidis I, Boueilh A, Fierer D, Gardenier D, Barber M, Kang T, Kress A, Ericson K, Lira M, Yostos M, Bogner H, Wisnivesky J, Wyatt C;

Source: Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (May 2016)

BACKGROUND

HIV感染症患者の死亡率は合併疾患の状況によって徐々に増えてきている。病気に対する認識や考え方がどのようにアドヒアランスに影響し、合併症の薬剤とART の薬剤とでアドヒアランスがどのようにことなるかについての検討はアドヒアランス介入に新たな情報提供として必要である。

METHODS

HIV感染している成人で高血圧合併(n=151)あるいは慢性腎臓病(CKD)合併(n=41)を登録した。病気に対する認識とHIVや高血圧あるいは慢性腎臓病の薬剤に対する考え方を評価し、ARVおよびそれぞれの合併疾患の薬物アドヒアランスについてはエレクトロニカルに10週間経過をみた。

RESULTS

内服回数、一回用量、内服時間のアドヒアランスは高血圧やCKDの薬剤のアドヒアランスとは有意な差はなかったが、降圧薬と比較するとARVについてはより時間を厳守していた(78%vs68% p=0.01)

患者はHIV薬についての理解はよりよかった。降圧薬と比較すると、より慢性的なものであること、ネガティヴな印象をもっていてよりエモーショナルであった。そして患者はARVを降圧薬やCKD薬以上に必要性が高いと考えていた。

ARVの効果については現実的な見方(realistic view)をしており(r=-0.20;p<0.05)、HIVに対する理解の高さ(r=0.21;p<0.05)がARVのアドヒアランスに相関していた。

CONCLUSIONS

HIV感染症患者はARVと他の合併症薬とでアドヒアランスに有意な差はないが、HIVに対してより脅迫的な印象をもっていたり、より重要であると考えている。

このことから共存疾患の薬剤を含めることでARVのアドヒアランス維持を改善する介入が可能である。

抗INF-γ自己抗体陽性患者におけるクリプトコッカス症:HIV感染患者と異なった臨床兆候

Cryptococcosis in anti-interferon-gamma autoantibodies-positive patients: a different clinical manifestation from HIV-infected patients;

Chetchotisakd P, Anunnatsiri S, Nithichanon A, Lertmemongkolchai G;

Japanese Journal of Infectious Diseases (May 2016)

播種性NTM感染症は抗IFN-γ抗体陽性患者においてもっともよくみられる特徴である。クリプトコッカスはこれらの患者で重複感染を起こす。1992-2013年の間の患者についてレトロスペクティブにマッチングされた症例対照研究をSrinagarind病院で行った。

クリプトコッカス症と播種性NTM症のある非HIV感染患者(症例群)とマッチングさせたクリプトコッカス症のあるHIV感染患者(コントロール群)について診療録を調査した。症例群は16人、コントロール群は32人であった。

症例群16人のうち10人が血清検査可能であり、すべてがIFN-γ抗体陽性であった。コントロール群と比較し、症例群は有意に高齢であり、疾病期間が長く、髄膜炎の存在が少なかったが、骨関節、肺/胸膜、皮膚感染症の存在が多かった。症例群では有意に脳脊髄液培養/染色陽性と血清クリプトコッカス抗原陽性が少なかったが、膿や皮膚の培養/染色は陽性が多かった。

今回はIFN-γ抗体陽性の播種性NTM症患者におけるクリプトコッカス症の初めての大規模な研究である。クリプトコッカス症の臨床的兆候はHIV感染患者と異なっていた。これらの患者で認められる臨床兆候は診断や適切な治療時期を改善するかもしれない。

Clinical Profile, Acute Care, and Middle-Term Outcomes of Cocaine-Associated ST-Segment Elevation Myocardial Infarction in an Inner-City Community;

Shitole S, Kayo N, Srinivas V, Alapati V, Nordin C, Southern W, Christia P, Faillace R, Scheuer J, Kizer J;

Source: American Journal of Cardiology 117 (8), 1224-30 (Apr 2016)

コカインは冠動脈疾患のリスクとしてよく知られているが、特に都市部の社会的経済的に問題のある状況において関連する行動や臨床的コカイン関連ST上昇性心筋梗塞(cocaine-associated ST-segment elevation myocardial infarction:STEMI)の予後といった詳細情報は不足している。

コカイン関連STEMI症例の経皮的冠血管インターベンションの組織的なあるいは長期の経過観察データが利用できていない。

今回の研究では都市内部の大きな保険システムから患者を登録することで前向きにコカイン関連と非コカイン関連STEMIについて予後、急性期マネージメントそして中間解析結果の特徴について検討した。

1003症例が登録され、60%は黒人とヒスパニックであった。コカイン非関連のSTEMIとコカイン関連STEMI(n = 58)を比較するとより若年で男性が多く、社会経済的に低レベルで、喫煙、アルコール摂取も多くHIV感染者も多かった。しかし、糖尿病、高血圧は少なかった。コカイン使用例は薬剤溶出性ステントによる治療をうけている数あるいはβ-遮断薬を退院時に処方されている数が少なかった。経過観察の中央値2.7年の間の全死亡率、全再入院率そして心血管関連の再入院ないし死亡率について、全死亡率、全再入院率はコカイン非使用群で高かった(31.4 vs 32.4 per 100 person-years, p = 0.887)が、コカイン使用者と非使用者で統計的に有意な差は無く、調整ハザード比も有意差がなかった。

結論として低所得者層においてコカイン使用者はより若年であるが相当数のSTEMI症例がみられ、より一般的な心血管関連の高リスク行動や習慣が同様に高くみられた。

このデータからコカインの常習や関連する行動をターゲットにしたプログラムが不利な状況におかれたコミュニティにおいて疾患の予防に寄与するのに重要であることが示唆された。

HIVとHCVの重感染患者はProprotein Convertase Subtilisin Kexin 9 (PCSK9)がより高いにも関わらず、LDL-Cがより低い:明らかな"PCSK9-脂質パラドックス"

HIV and Hepatitis C-Coinfected Patients Have Lower Low-Density Lipoprotein Cholesterol Despite Higher Proprotein Convertase Subtilisin Kexin 9 (PCSK9):

An Apparent"PCSK9-Lipid Paradox"; Kohli P, Ganz P, Ma Y, Scherzer R, Hur S, Weigel B, Grunfeld C, Deeks S, Wasserman S, Scott R, Hsue P;

Source: Journal of the American Heart Association 5 (5), (2016)

BACKGROUND

PCSK9阻害剤はLDL-Cを減らし、一般人口の予後を改善する。HIV感染患者では心血管系イベントのリスクが増加し、脂質異常症やHCV重感染の割合も高い。PCSK9阻害は魅力的な治療となりうる。

METHODS AND RESULTS

臨床ベースのコホートから567人の患者(HIV/HCV重感染者110人とHIV単独感染患者385人、非感染者コントロール72人)についてPCSKレベルを比較した。平均年齢は49歳でLDL-C中間値は100mg/dl(四分範囲77-124mg/dl)、21%はスタチンを内服していた。3グループで古典的なリスク因子の割合は同等であった。総コレステロール、LDL-C、HDL-Cはコントロールと比し重感染患者で低かった(P<0.001)。PCSK9はHIV/HCV重感染患者がコントロールより21%高く(95% CI 9-34%, P>0.001)、HIV単独感染者より11%高かった(95% CI 3-20%, P=0.008)。心血管リスク因子調整後もHIV/HCV重感染者はPCSKレベルがコントロールよりも有意に20%高かった(95% CI 8-33%, P=0.001)。コントロール群からHIV単独感染者、HIV/HCV重感染者へとIL-6は段階的に増加しPCSKレベルと相関していた(r=0.11, P=0.018).

CONCLUSIONS

LDL-Cレベルが低いにも関わらず、PCSKレベルはHIV/HCV重感染者で増加していた。同時に、前アテローム性のサイトカインIL-6、免疫の上昇がみられた。HIV/HCV重感染者においてPCSK阻害剤をターゲットとした効果を判定するために臨床試験が行われるべきである。