16/09/09 up

Updated Recommendations on the Use of ART for the Treatment, Prevention of HIV in Adults

CHICAGO -- July 12, 2016 –

Source: DGNews

IAS-USAが成人のHIV感染症患者のARTの推奨レジメンおよび代替レジメンならびに内服開始時期さらに、ハイリスク症例における抗HIV薬の暴露前、暴露後の予防内服法についても記載を更新した。

前回2014年版と比較すると治療としてのART、そしてHIV感染症の予防領域において大きな進歩がみられたため今回の改定となった。IAS-USAの委員により2014年以降のHIV診療領域の査読システムのある学術誌および国際学会で発表された論文や報告をレビューして前回より変更のあった事項や新たなエビデンスをまとめた。そのため広範囲に論文を検索しており、今回の推奨についてはそれぞれのエビデンスの質を考慮して評価した。

 

より新しいデータによってARTはCD4数にかかわらずHIVを血中に検出できるすべての症例で開始することが容認された。推奨される最適なARTレジメンについては2種類のNRTIにインテグラーゼ阻害薬を組み合わせるものである。他の有効なレジメンとしては2種類のNRTIとブーストされたPIを含むものである。

治療内容を変える理由としては利便性、認容性、単純化、新たな薬剤相互作用が予想される場合、妊娠ないし妊娠を予定している場合、食事との関係、ウイルス学的失敗、薬剤の有害事象が生じた場合である。

治療導入前には血液検査所見の評価必要である。そして治療中は治療反応性、有害事象、アドヒアランスをモニタリングすることが推奨される。

 

ハイリスク群においてはTDF/FTCの連日内服が暴露前予防内服として推奨される。暴露後予防として使用する場合はできるだけ早期(as soon as possible)に内服を開始するべきである。

「ARTはHIVの治療と予防の基礎となるものであり、すべての血中にHIVが検出される個人に治療を開始するべきであり、そのレジメンは2NRTI+INSTが望ましい。PrEPについてはリスク群に対して考慮される感染予防戦略である。効果的に使用されれば現時点でHIVを抑制することができ、新たな感染を予防することができる。治療によりHIV感染者の生存率は非感染者に近づくことができる。」と著者らはコメントしている。

また編集委員であるフェンウェイヘルスのKenneth H. Mayer医師と Douglas S. Krakower医師らは「今回のIAS-USAの委員ガイドラインはこれまでの35年の臨床研究の結果やっと手に入れた成功である。治療の最適化や新たな感染を予防すること、患者の加齢の問題においてはまだ問題は残っているがこれらも有効なARTが解決へ導いてくれるだろう。ただ、歴史家は流行の初期には感染者の発見のペースを早めることができたが、これからもつづくかどうかと心配しているかもしれないが、科学的、行動分析学的研究と一般社会との融合によって常に新たな問題を引き起こし続けるこの世界的流行疾患の将来における成果の達成を疑うことはできない」とコメントした。

High-risk alcohol use and associated socio-demographic, health and psychosocial factors in patients with HIV infection in three primary health care clinics in South Africa;

Huis In 't Veld D, Pengpid S, Colebunders R, Skaal L, Peltzer K;

Source: International Journal of STD & AIDS (Jul 2016)

アルコール摂取はHIVの病期そして治療の効果にマイナスの影響を与えるかもしれない。我々はHIV感染患者においてアルコール摂取と社会人口統計学的因子、健康ならびに心理社会的因子との相関を検討した。

今回の研究の結果はハイリスクなアルコール接種者でアルコールの減量による利益を最も受けそうな患者の選択の一助になるかもしれない。

南アフリカのプレトリアにある3カ所のプライマリーケアクリニックにおいて2012年1月から6月までに受診したHIV感染患者を対象にAlcohol Use Disorder Identification Testによるアルコール摂取のレベル、患者の社会人口統計学的特徴、HIV関連情報、WHOQoL-HIVBrefによるQOLによる健康指標、HIVスティグマ、うつ的症状、そしてARTのアドヒアランスについて検討を行った。

分析は記述統計学および二変量と多変量によるロジスティック回帰分析で行われた。総症例数は2230例(1483例が女性)となり、年齢の中央値は37歳、四分位値は31-43歳で99.5%がアフリカ系黒人で1975例 (88.6%)はARTが開始されており治療期間の中央値は22ヶ月(四分位値 9-40ヶ月)であった。 非飲酒者は64%であった。そして8.9%は低リスクの飲酒者で25.1%の患者は危険あるいは有害な飲酒者と定義づけられ、2.0%がアルコール依存の可能性があった。

多変量解析では高リスクな飲酒者は男性、未婚者、喫煙者、WHOQoL-HIVBrefアンケートでのindependenceのレベルが高い人、そしてよりうつ傾向の強い場合が低リスク飲酒者に比して有意な傾向があった。

今回の検討で南アフリカのプライマリーケアクリニックにおいてHIV感染者(特に男性)では危険なあるいは有害な飲酒者が多いことが示された。全例でアルコール習慣をチェックして関連要因を取り出し、リスク減少のための介入の効果を評価すべきである。

血清学的に異なったカップル間のARTが行われているHIV陽性パートナーとのコンドームなしの性行為とHIV伝播リスク

Sexual Activity Without Condoms and Risk of HIV Transmission in Serodifferent Couples When the HIV-Positive Partner Is Using Suppressive Antiretroviral Therapy.

Journal of the American Medical Association (JAMA) 316 (2), 171-181 (Jul 2016)

Importance:

予防段階としてのARTの有効性と対費用効果を評価する主要な因子はHIV-RNAウイルス量が抑制された状態での経肛門、経腟コンドームレスセックスを介するHIV伝播の絶対的なリスクである。

Objective :

HIV陽性パートナーがHIV-1RNA量200copies/mL以下の時のカップル内でのコンドームレスセックスのHIV伝播(ヘテロセクシュアルとMSM)確率を評価すること

Design, Setting, and Participants:

前向き観察研究PARTNER(Partners of People on ART-A New Evaluation of the Risks) studyが14のヨーロッパの国々の75の臨床施設で行われ、2010年9月〜2014年5月までのコンドームレスセックスが報告された1166人の血清学的に異なったカップル(HIV陽性パートナーはARTで抑制)が登録された。観察期間となるカップル年に対する適応基準はコンドームレスセックスとHIV-1RNA 200 copies/mL 以下であった。HIV陰性パートナーが感染した場合系統発生学的に伝播か判定するために、匿名の系統発生学的分析でカップルのHIV-1ポリメラーゼとエンベロープのシークエンスを比較した。

Exposures:

ARTでウイルス学的に抑制されているHIV陽性パートナーとのコンドームレスの性行為

Main Outcomes and Measures:

カップル内でのHIV陰性パートナーへのHIV伝播

Results :

1166人の登録されたカップルのうち888カップル(平均年齢42歳 [IQR, 35-48]; 548 ヘテロセクシュアル[61.7%]と340 MSM [38.3%]) が1238カップル年を観察された (follow-up中間値, 1.3 年[IQR, 0.8-2.0])。

ベースラインでのコンドームレスセックスは中間値で2年間(IQR, 0.5-6.3)であった。ほかのパートナーとのコンドームレスセックスはHIV陰性MSMで108人(33%)、ヘテロセクシュアルで21人(4%)報告された。

経過観察中、カップルは1年間で中間値 37回(IQR, 15-71) のコンドームレスセックスを報告した。MSMカップルではおよそ22000コンドームレスセックス行為、ヘテロセクシュアルではおよそ36000であった。

11のHIV陰性パートナー(10 MSM; 1 ヘテロセクシュアル; 8人がほかのパートナーとコンドームレスセックスを報告した。) がHIV陽性となったが、フォローアップの間系統発生学的に伝播と関係しておらず、カップル内での伝播率はゼロで95%信頼区間の上限は100カップル年あたり0.30であった。

コンドームレスanal sex では95%信頼区間上限100カップル年あたり0.71であった。

Conclusions and Relevance :

ARTで抑制された状態にあるHIV陽性パートナーと血清学的に異なるヘテロセクシュアル・MSMカップルでは、コンドームレスセックスはカップル当たり中間値1.3年の経過観察期間中カップル内でのHIV伝播は認められなかった(95%信頼区間上限値100カップル年あたり0.30)。さらなる長期的な経過観察がより詳細なリスクの推定のために必要である。

Recent trends and patterns in HIV-1 transmitted drug resistance in the United Kingdom;

Tostevin A, White E, Dunn D, Croxford S, Delpech V, Williams I, Asboe D, Pozniak A, Churchill D, Geretti A, Pillay D, Sabin C, Leigh-Brown A, Smit E, UK HIV Drug Resistance Database ;

HIV Medicine (Aug 2016)

OBJECTIVES

2000年代早期からイギリスでは薬剤耐性HIV-1の伝搬が減少してきた。 今回の報告は2010年から2013年のイギリスにおける薬剤耐性HIVの伝搬の特徴とその傾向を検討したものである。

METHODS

耐性検査は2010年から2013年の間に未治療患者を対象に2009年のWHOの耐性基準ならびにインテグラーゼ阻害剤については2013年改正のIAS-USAの耐性リストから決定された。 ロジスティック回帰分析を行って人口動態と耐性発生率について計算した。

RESULTS

薬剤耐性ウイルスの伝搬は16,425例中に1223例(7.5%)見つかった。 2010年の8.1%から2013年は6.6%と有意に減少していた。(P=0.02) 薬剤耐性ウイルスの発生率は異性愛者や女性(6.4%)に比較してMSM(8.7%)において高かった(P=0.008)。この差は主にNRTIの耐性率の発生が少なくなっていることで生じていた。 頻度の高い耐性変異はK103N(2.2%)、T215 revertant(1.6%)、M41L(0.9%)、L90M(0.7%)と続いている。

第一選択されるARTレジメンにおける耐性変異の獲得としてはNNRTIであるRPVの用量設定試験(6.2%)とEFV(3.4%)で最も高く、TDFを含むPIベースレジメンが最も低かった。ART未施行患者でインテグラーゼの耐性を検討した101例では1例も耐性は見つからなかった。

CONCLUSIONS

最近は薬剤耐性ウイルスの伝搬は減少していることが観察された。しかし、減少はMSM間で認められ異性愛者においては不変であった。インテグラーゼを含む最近の第一選択で推奨されているレジメンに関連する薬剤耐性の伝搬は低い状態であった。

HIV検査導入30年後の感染後期受診HIV感染患者:日和見感染の分布と早期診断時見逃された日和見状態について

The late-presenting HIV-infected patient 30 years after the introduction of HIV testing: spectrum of opportunistic diseases and missed opportunities for early diagnosis;

Tominski D, Katchanov J, Driesch D, Daley M, Liedtke A, Schneider A, Slevogt H, Arastéh K, Stocker H;

HIV Medicine (Aug 2016)

OBJECTIVES

目的はHIVに感染した後期受診者の特徴と日和見感染の診断、より早くHIV感染早期と診断するために見逃された日和見状態について調査すること。

METHODS

ドイツ、ベルリンのVivantes Auguste-Viktoria Hospital の感染性疾患部門に入院したHIV感染と新規に診断されたすべての成人の医療記録を後方視的コホート研究により再考した。

RESULTS

2009年から2013年までの5年間で270人が感染後期受診者として同定された。

もっとも多いAIDSと定義される状態は食道カンジダ症(n = 136; 51%)、消耗性症候群(n = 106; 40%)、ニューモシスチス肺炎(n = 91; 34%)であった。

55人(21%)は、以前医療機関を受診した際に少なくとも1つHIV指標状態を呈していたが、HIV検査を推奨されていなかった。

女性患者とヘテロセクシャル男性(non-MSM)は、以前にHIV指標状態を呈していたが検査をされていないという機会がより多かった[オッズ比(OR) 4.7; 95% 信頼区間 (CI) 2.2-10.0; P<0.001; and OR 2.4; 95% CI 1.2-5.1; P<0.01, respectively]。

もっとも多い指標状態の見逃しは白血球減少 (n = 13; 24%), 血小板減少 (n = 12; 22%),口腔内カンジダ症 (n = 9; 16%), 原因不明の体重減少 (n = 7; 13%), 帯状疱疹 (n = 5; 9%)、子宮頚部異形成・癌 (女性n = 4; 20% )であった。

指標状態の発症とHIV感染診断までの中間期間は 158.5日 [四分範囲(IQR) 40-572 days]であった。

食道カンジダ症と原因不明の体重減少は日和見感染が見逃された時期とHIV感染診断時期までの期間がもっとも短かった。

HIV検査が記録されている指標状態で行われていれば、55入院で全コスト500 000ユーロ以上、もっとも重要なことには6人の院内死亡が防げたかもしれなかった。

CONCLUSIONS

指標状態はいまだ臨床家に見過ごされている。女性やnon-MSM男性はHIV検査を行われずに指標状態を呈しているもっとも高いリスクとなっている。

Evaluation of a demand-creation intervention for couples' HIV testing services among married or cohabiting individuals in Rakai, Uganda: a cluster-randomized intervention trial;

Matovu J, Todd J, Wanyenze R, Kairania R, Serwadda D, Wabwire-Mangen F;

Source: BMC Infectious Diseases 16 379 (2016)

Abstract

Background:

HIVカウンセリングを組み合わせた検査(HCT)をカップルに対して行うことはほとんど行われていない。そこでこれまでカップルに対するHCTを受けたことが無い結婚あるいは同棲しているカップルを対象にdemand-creation intervention trialをおこなった。

Methods:

HIVの罹患率が異なる地区(9-43%の範囲)であるウガンダのラカイ地区および南西地区において2014年2月~9月にかけてクラスター・ランダム化試験としておこなった。

6つの集団について介入をうける群か受けない対照群とするかをコンピュータによるランダム化で決定した。

介入群はスモールグループに分けて男性にフォーカスしたインタラクティブセッションを開催し、エキスパートカップルからの証言を受けられ、さらにパートナーと一緒に医療機関で検査が受けられるテストクーポン券をもらえる。対照群は一般的な成人の健康教育セッションを受けることができるがクーポンはもらえない。

今回の研究の主目的は12ヶ月後のカップルHCTの上昇である。ベースラインは2013年11月から2014年2月の間に経過観察したデータとし経過観察後のデータは2015年の3月と4月にチェックした。そして介入群と対照群についてカップルHCTによる効果をポアソン回帰モデルでITT解析をおこなった。 データ解析はSTATA統計ソフトver.14.1を用いた。

Results:

2135人の結婚ないし同棲している個人に対して介入前のインタビューを行った。 42%(846人)がこれまでカップルHCTを受けたことがあった。

これまでカップルHCTを受けたことがない1174人のうちの697人は介入群として、477人は比較対照群とした。

そして介入群の中の73.6%(513人)、比較対象群の82.6%(394人)が継続してインタビューできた。

インタビュー継続できた人々のなかで介入群は72.3%(371人)で、対照群は65.2%(257人)でHCTを行った。

カップルHCTをうける率は介入群で高かった(20.3%対13.7%)。調整した有病率は1.43(95%CIが1.02、2.01、P=0.04)であった。

Conclusion:

今回の結果から小グループでのカップルを対象とした男性に焦点をあてたエキスパートカップルによる強調はHCTを増加させることが示された。

ブラジルでのHIV感染成人における心血管疾患の罹患率と死亡率に対する従来の危険因子とHIV特異的な危険因子

Traditional and HIV-specific risk factors for cardiovascular morbidity and mortality among HIV-infected adults in Brazil: a retrospective cohort study;

Diaz C, Segura E, Luz P, Clark J, Ribeiro S, De Boni R, Eksterman L, Moreira R, Currier J, Veloso V, Grinsztejn B, Lake J;

BMC Infectious Diseases 16 376 (2016)

BACKGROUND

副反応として代謝プロファイルと関連する可能性のある抗レトロウイルス療法(ART)は低、中間所得国で一般的に使用されている。我々は心血管疾患(CVD)と関連した罹患率と死亡率の危険因子をARTで治療されているHIV感染成人についてブラジルのリオデジャネイロで調査した。

METHODS

2000年から2010年までの病院記録と死亡率のデータからCVDに関連した出来事についてICD-10とCoding of Death in HIV に基づき、ARTを行われている18歳以上の成人を調査した。ポワソン回帰分析でCVDのリスクについて患者動態と臨床的特徴、ARTの薬剤やクラスなどの関連を評価した。

RESULTS

2960人の調査患者のうち、109人がCVDイベントを起こし、89人が入院、20人が死亡した。

調査患者のうち65%が男性、54%が白人、年齢の中間値37歳、ART治療期間中間値4.6年であった。CD4Tリンパ球底値の中間値は149 cells/mm3であった。経過観察最終時点でのウイルス学的抑制率は60%であった。

多変数モデルでは過去からイベントまでの間にHIV-1RNA量が検出可能であったこと、CVDの既往、ARTの期間がより短いこと、調査開始時40歳以上、CD4リンパ球底値50 cells/mm3 以下、白人以外の人種、男性、高血圧の既往が有意にCVDイベント発生と関連していた(p < 0.05、相関の強さ順)。

多変量モデルでは長期使用としてのテノホビル、ジドブジン、エファビレンツ、リトナビルでブーストされたアタザナビル、ダルナビル、ロピナビルがCVDイベントリスク減少と関連していた。

新規の使用としては、テノホビルとブーストされたアタザナビルの使用は危険因子の減少と関連していた一方で、スタブジン、ネビラピン、ブーストされていないネルフィナビル、 インジナビルの使用はCVDイベントリスクの増加と関連していた。

CONCLUSIONS

CVDイベントリスクについて、ウイルス学的抑制とCD4陽性Tリンパ球数の維持が従来のCVD危険因子と同様に重要であった。CVDリスクにおけるARTの総合的な有効性と資源が乏しい国において代謝的に第一選択・第二選択とするべきARTの必要性が強調された。