18/04/18 up

クリプトコックス髄膜炎による長期死亡率と後遺症について

原題: Long-term Mortality and Disability in Cryptococcal Meningitis: A Systematic Literature Review

出典: Clinical Infectious Diseases 66 (7), 1122-1132 (Mar 2018)

クリプトコッカス髄膜炎は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者における髄膜炎の主要な原因の一つであり、HIV陰性者とっても問題となる。これまで、クリプトコックス髄膜炎の長期的な予後に関する統合解析は実施されていなかった。そこで今回、HIV感染者および非HIV感染成人を対象に、死亡率および障害に対するクリプトコックス髄膜炎(Cryptococcus neoformansおよびCryptococcus gattii による)の長期(≧3ヶ月)影響に関するシステマティックレビューを行った。

その結果、エビデンスの質としては限られているが、クリプトコックス髄膜炎の生存と障害への長期的な影響は大きいものと推定された。1年間の死亡率については、HIV未感染者を対象としたオーストラリアにおけるC. gattii 感染症群の13%から、マラウィにおけるHIV感染者を対象とした、フルコナゾール単独治療群の78%まで、幅が見られた。また、生存者の1年間の障害発生率は、オーストラリアにおけるC. gattii感染症群の19%から、台湾の非HIVおよびHIV感染コホートの70%以上に及んでいた。

初期からの治療介入、障害の早期発見、リハビリテーションへのアクセスは、患者の生存と生活の質を著しく改善する可能性がある。

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HIV感染女性におけるヒトパピローマウイルス(HPV)の検出や遺伝子型同定とHPV / HIV共感染との関係

Detection and genotyping of human papillomavirus (HPV) in HIV-infected women and its relationship with HPV/HIV co-infection;

Badial R, Dias M, Stuqui B, Melli P, Quintana S, Bonfim C, Cordeiro J, Rabachini T, Calmon M, Provazzi P, Rahal P; Medicine (Baltimore) 97 (14), e9545 (Apr 2018)

HPVは癌の発症との関連に応じて、高リスクと低リスクが同定されている。HPV感染は、HIVの共感染によって促進され得る。

ここでは、HPVの有病率および遺伝子型ならびにHPV / HIV共感染に影響を及ぼす危険因子を調査した。

40人のHIV陽性患者で、2年連続して80の子宮頸部スワブサンプルを採取した。ポリメラーゼ連鎖反応およびDNA直接シークエンシングを用いてHPV遺伝子型を同定した。

HPV / HIV共感染の危険因子および子宮頸部病変の発生に関し統計学的解析を行った。

HPV DNAは59サンプル(73.75%)で検出され、高リスクHPVが優勢(59.3%)であった。最も一般的なタイプはHPV56(17%)、続いてHPV16(15.3%)であった。患者年齢は、子宮頸癌のリスク(P = .84)や異なった年におけるHPV有病率(P = .25 / P = .63)に影響しなかった。CD4値も試験サンプルにおける子宮頸部病変のリスクに影響しなかった(P = .15 / P = .28)。

初年度分析試料(P = .12)においてHIVウイルス力価は子宮頸部病変の増加と相関しなかったが、翌年分析された試料群における子宮頸癌リスクには影響した(P = 0.045)。

HIVに感染した患者は、HPV共感染の高い罹患率を示し、HPV16およびHPV56が最も一般的な遺伝子型であった。これを考慮すると、HIV感染患者においてHPV56感染に対する感受性の増加に免疫不全が寄与する可能性がある。

HIVウイルス力価と病変との関連から、HIVウイルス力価が高いHIV / HPV共感染患者を監視することの重要性も確認された。

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HIV感染者における脳卒中の発症率は、女性および非ヒスパニック系黒人で最も高い

原題: Stroke incidence is highest in women and non-Hispanic Blacks living with HIV in the ALLRT cohort

著者: Chow F、Wilson M、Wu K、Ellis R、Bosch R、Linas B

出典: AIDS誌(2018年3月)

目的:

HIV感染者における初回脳卒中/一過性虚血発作(TIA)および関連する危険因子の発生率を調べる。

対象と方法:

観察コホート研究により、ALLRT(AIDS臨床試験グループ)群における、ART開始後のHIV感染者における脳卒中/ TIAの発症率を調査した。脳卒中/ TIAの危険因子として、ポアソン回帰モデルにより、ベースラインおよび時間変化する共変量を評価した。

結果:

脳卒中/ TIAの発生率は1000人年(PY)あたり1.69であった。発生率は、女性(1000 PY当たり2.88、男性は1.40)と非ヒスパニック系黒人(2.51、ヒスパニック系/その他の人種は0.77、白人は1.56)で高値であった。多変量モデルでは、年齢、性別の有意な相関が見られた(p = 0.01)。女性の脳卒中/ TIAのリスクは、若年時に高い傾向があったが、高齢では男性がより高かった。他の脳卒中/ TIAの危険因子には、高血圧、高LDL、HIV RNA> 200コピー/ mLが含まれていた。体重過剰とCD4/8比高値は、脳卒中/ TIAに対して保護的であった。

結論:

HIVに罹患している女性および非ヒスパニック系黒人は、脳卒中/ TIAの発生率が最も高かった。脳卒中のメカニズムを理解し、HIV感染の脳卒中リスクを軽減することを目的とした観察および介入研究に、これらのリスクのあるグループを含めるための協調的な努力が必要である。HIV感染者における脳卒中リスクを低減する戦略として、血管リスク因子を標的に、HIV診療の一環とした、多面的アプローチを採るべきである。

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HIV曝露前予防:Review

HIV Preexposure Prophylaxis: A Review; Riddell J, Amico K, Mayer K;

Journal of the American Medical Association (JAMA) 319 (12), 1261-1268 (Mar 2018)

Importance

アメリカでは約40000人、世界的には200万人が毎年HIVに新規感染している。多剤併用抗レトロウィルス療法薬であるテノフォビルジソプロキシルフマレート(TDF)/エムトリシタビン(FTC)は、1日1回服用の単一錠として投与され、HIV感染を予防することが示されているが、アメリカでは利益を得ることができるはずの人々の20%未満でしか使用されていない。

Observations

2010年から2018年の間に発表された英文記事を特定するために、曝露前、予防、HIV、PrEPという検索語を用いて、2018年2月15日にPubmedで検索した。4つのプラセボ対照無作為臨床試験では、TDF /FTCを毎日投与する曝露前予防(PrEP)はMSM男性、高リスク異性愛者、注射器具を共有する注射薬ユーザーにおいてHIV獲得を有意に減少させることが実証された。毎日のTDF /FTC内服での有効性は90%を超えるが、服薬の程度と高度に相関する。 TDF /FTCは安全で耐容性が高い。副作用のために、PrEPを中止されるのはわずか2%である。性感染症はPrEPを使用する人々の間でよくみられる。 PrEPに使用された場合、TDF /FTCに対する耐性はまれであり(<0.1%)、通常、HIV感染獲得から7日~10日以内のHIV抗体/抗原検査で偽陰性となる診断前の急性HIV感染者に不注意にPrEPが処方されると生じる。HIV獲得の高リスク例を同定し、PrEPへのアクセスを確実にし、投薬の遵守を最大限にするための、効果的な方法が必要とされる。

Conclusions and Relevance

TDF /FTCは、HIV感染を予防するための効果的かつ安全な治療法である。 HIV獲得リスクのある患者のためTDF /FTCの処方を増やすことは、新規のHIV感染を減らす可能性を秘めている。

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エファビレンツの使用に伴う自殺行為のリスク:START試験より

原題:Risk of Suicidal Behavior With Use of Efavirenz: Results from the Strategic Timing of Antiretroviral Treatment Trial

出典:Clinical Infectious Diseases (Mar 2018)

背景:

複数の無作為試験で、エファビレンツ(EFV)に伴う自殺のリスク増大が示されてきた。 START(Strategic Timing of Antiretroviral Treatment) 試験では、CD4細胞数が高値で治療未経験のHIV陽性成人を、ART即時導入群と導入待機群に無作為化した。

方法:

初回のARTレジメンは、無作為化に先行して選択された。比例ハザードモデルを用い、レジメンにEFVを含むか含まないかを区別したうえで、ART即時導入群と導入待機群との間で、自殺と自傷行為の発生率を比較した。

結果:

4684人の参加者のうち、271人(5.8%)が何らかの精神疾患と診断されていた。 EFVは3515人(75%)に使用され、精神疾患が有る場合(40%)、無い場合(77%)より、EFVの使用が少ない傾向があった。

ART即時導入群と導入待機群との間で、自殺行動の頻度に差はみられなかった(危険率[HR]、1.07、P = .81)。サブグループ解析では、EFV使用は、自殺行動リスクの上昇と関連していることを示唆された。ART即時導入群と待機導入群とで、EFVを服用している場合の自殺行動のハザード比は3.31(P = 0.03)で、EFVを含まないレジメンの場合は1.04(P = 0.93)であった。即時導入群内においては、既存の精神疾患がある場合にリスクが高かったが、治療レジメンによる違いはみられなかった。

結論:

即時ART群でEFVを使用した場合は、対照群と比較して自殺行動のリスクが高かった。また、精神疾患を有する場合は、よりリスクが高かった。

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HIVにおける重篤な非エイズ状態:初期ARTの利益

Serious Non-AIDS Conditions in HIV: Benefit of Early ART; Lundgren J, Borges A, Neaton J; Current HIV/AIDS Reports (Mar 2018)

PURPOSE OF REVIEW

HIVの最適な制御は、早期診断とその後の抗レトロウイルス療法(ART)の開始によって達成することができる。早期にART開始されたHIV陽性成人の臨床上の利点を文書化した2つの大規模ランダム化試験(TEMPRANOおよびSTART)が最近発表された。主要な所見は、重篤な非AIDS(SNA)状態に焦点を当てて概説されている。

RECENT FINDINGS

2つの試験からのデータは、HIV感染の初期にARTを開始することにより、日和見感染および侵襲性細菌感染のリスクが著しく減少することを示した。

これは、ウイルス複製を制御することによって治療される早期感染において、HIVが免疫障害の原因となっていることを示している。興味深いことに、STARTでは、癌のリスクの顕著な減少(感染に関連するおよび関連のないタイプの癌の両方)が観察された。

日和見感染の結果と同様に、初期ARTのこの抗癌効果は、免疫系が重要な発癌過程にどのように影響するかを示している。

STARTでは、早期ART開始が腎機能を維持していることを示唆するいくつかの証拠もあったが、臨床結果は不明である。反対に、悪影響は認められなかったが、試験は代謝関連疾患のアウトカム、肺疾患、または神経認知機能に明確な効果を示さなかった。

HIVは感染後すぐに免疫障害を引き起こす。ARTはこの害を少なくとも部分的に逆転させる。 免疫障害の生物学的性質は、自然免疫活性化のメカニズムおよび臨床的影響と同様に、さらに解明する必要がある。 TEMPRANOとSTARTの結果に基づき、ARTは感染の危険性を低下させるため、HIVの診断後にすべての人にARTが開始されるべきである。

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腹部肥満のリスク上昇、LDLコレステロール上昇、高トリグリセリド血症

原題:Higher Risk of Abdominal Obesity, Elevated LDL Cholesterol and Hypertriglyceridemia, but not of Hypertension, in People Living with HIV: Results from the Copenhagen Comorbidity in HIV Infection (COCOMO) Study

著者:Gelpi M ら

出典:Clin Infect Dis

背景:HIV感染患者は、非感染者よりも平均余命が短く見積もられ、その原因の一部は、心血管疾患(CVD)の過剰なリスクによって説明される。我々は、コントロール良好なHIV感染者群と、背景をマッチした対照群を対象に、HIV感染と腹部肥満、高LDLコレステロール血症、高トリグリセリド血症および高血圧との関連性を調べた。

方法:コペンハーゲンで実施された臨床研究、COCOMO試験に登録された1,099例のHIV葉性シャと、年齢・性別をマッチした未感染対照者12,161例を対象とし、採血、血圧測定、身長測定が行われた。既知の危険因子に合わせて調整されたロジスティック回帰モデルを用いて、HIVが腹部肥満、LDL-C上昇、高トリグリセリド血症および高血圧と独立して関連していたかどうかを評価した。

結果:HIV感染は、腹部肥満(調整オッズ比(aOR):1.92 [1.60-2.30] 1.49-2.08])、LDL-C上昇(aOR:1.32 [1.09-1.59])、中性脂肪上昇(aOR 1.76 [1.60-2.30])のリスクが高く、高血圧のリスクが低かった(aOR:0.63 [0.54-0.74])。腹部肥満のオッズは、高齢でより強かった(p-相互作用0.001)。腹部肥満は、LDL-Cの上昇(aOR:1.44 [1.23-1.69])、高血圧(aOR:1.32 [1.16-1.49])、および高トリグリセリド血症(aOR:2.12 [1.86-2.41])と相関していた。CD4最低値およびHIV感染期間は、腹部肥満の存在と相関していた。(aOR:1.71 [1.12-2.62]およびaOR:1.37 / 5年[1.11-1.70])の存在と関連していた。

結論:腹部肥満はアテローム形成性の代謝性因子(高LDL-C、高血圧および高トリグリセリド血症)と関連し、特に高齢のHIV感染者でその傾向が強かった。こうした患者群に対し、心血管リスクを軽減するために、効果的な介入が必要である。

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HIVが抑制された患者はドルテグラビルからビクテグラビルへ安全に切り替えられた

Patients With Suppressed HIV Safely Switched From Dolutegravir to Bictegravir

Presented at CROI

2018年に開催されたレトロウィルスと日和見感染症(CROI)年次会議で発表された第3相試験の結果によれば、HIV感染が十分に抑制された患者は、ドルテグラビルベースのレジメンから最新のインテグラーゼインヒビター、ビクテレビルを含むレジメンに安全に切り替えることができる。

3月5日の口頭発表で、パリのセントルイス病院のJean-Michel Molinaは、効果を失うことなく、追加の有害反応を引き起こさずにスイッチを達成できると主張した。

ビクテグラビルとエムトリシタビン、テノホビルアラフェナミド併用で治療した282人の患者のうち、264例の患者は48週後にウイルス力価が50 copies アッセイを用いた検出限界以下に到達した。それと比較してドルテグラビル、アバカビル、ラミブジンのレジメンのままであった281例の患者では267例であった(P = .59)。

「私たちの研究は、別のレジメンに切り替える必要のある患者に効果的な選択肢があることを示している」とMolina博士は述べた。 結果は、有効性に対する非劣性の基準の範囲内であった。

患者は、ビクテグラビル50mg /エムトリシタビン200mg/テノホビル25mgを1日1回、またはドルテグラビル50mg /アバカビル600mg /ラミブジン300mgを1日1回の用量で無作為に割り付けられた。すべての被験者が48週間追跡された。B型肝炎感染活性を有する患者、治験薬に対する耐性を有する患者はこの研究から除外した。

「治療により出現した耐性はどちらの群でも認められなかった」と Dr. Molinaは述べた。

有害事象は各群で非常に類似していた。 ビクテグラビル群の約79.8%で何らかの有害事象が報告された。一方ドルテグラビル群では80.1%だった。 上気道感染は各群の10%で発生し、患者が報告した最も一般的な有害事象であった。 ビクテグラビル群の8%およびドルテグラビル群の16%は、薬物関連有害事象を経験した。ドルテグラビル群においては消化器系イベントおよび異常な夢がより多くみられた。

検査上の異常は、ビクテグラビル群の17%、ドルテグラビル群の11%において認められ、肝酵素の上昇はビクテグラビル群でより多くみられた。

ビクテグラビル群の中央値年齢は47歳、ドルテグラビル群では45歳であった。ビクテグラビル群の約88%が男性であり、ドルテグラビル群では90%であった。 対象者の約73%が白人、21%が黒人であった。 CD4陽性細胞数の中央値は732細胞/μLであり、ドルテグラビル群では661細胞/μLであった。両方の群においてベースライン時の推定糸球体濾過率の中央値は101mL /分であった。

[Presentation title: Switch to Bictegravir/F/TAF From DTG and ABC/3TC. Abstract 22]

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米国における慢性のうつ病とHIVの経過との関連

原題:Association of Increased Chronicity of Depression With HIV Appointment Attendance, Treatment Failure, and Mortality Among HIV-Infected Adults in the United States;

出典:JAMA Psychiatry

背景:

うつ病は一般にHIVの成人に罹患し、HIVの管理を複雑にする。 HIVの罹患者のうつ病は慢性的かつ再発しやすい傾向があるが、この慢性疾患とHIVアウトカムとの関連性はほとんど注目されていない。本研究の目的は、うつ病の病態とHIVケアにおける複数の指標との関連性を調べることである。

方法:

2005年9月22日から2015年8月6日まで、6つの米国の大学の医療センターでHIVプライマリケアを受けている、うつ病患者5927を対象とした。アウトカムは予約日に来院しない、HIV RNAウイルス量(75コピー/ mL以上)、および全死因死亡であった。うつ病の重症度は、うつ病の日数(PDD)として評価された。

結果:

10767人年のフォローアップ期間中、5927人の参加者(5000人の男性、926人の女性、および1人の中間者;年齢中央値、44歳[範囲、35-50歳])の中央PDD(うつ病の発症日)は14%(四分位範囲、0%-48%)であった。フォローアップ中に55040人の予定された受診者のうち10361人(18.8%)がキャンセルし、28455人のウイルス負荷が6191人(21.8%)検出され、死亡率は100人年あたり1.5人の死者であった。うつ病の日数のパーセンテージは、これらの結果と用量反応関係を示した。 PDDが25%増加する毎に予約キャンセルのリスクが8%増加し(リスク比1.08,95%CI 1.05-1.11)、検出可能なウイルス負荷のリスクが5%増加(リスク比、1.05; 95%CI、1.01-1.09)、死亡ハザードの19%の増加(ハザード比、1.19; 95%CI、1.05-1.36)した。これらの推定は、うつ病が無い(PDD、0%)場合と比較して、PDD 100%を過ごした患者は、 予約キャンセルのリスク増大(リスク比1.37, 95%CI 1.22-1.53​​)、検出可能なウイルス負荷のリスク増加(リスク比1.23,95%CI 1.06-1.43)、死亡率2倍(ハザード比2.02 ; 95%CI、1.20-3.42)という結果であった。

結論:

うつ病の慢性化は、HIV感染の経過中、複数のポイントでの治療失敗の可能性を高めた。うつ病で費やされた時間の割合のわずかな増加でさえ、臨床的に有意な負の転帰の増加をもたらした。このようなプロトコルが経過を短縮し、うつ病の再発を予防し、臨床転帰を改善する効果を理解するために、HIV感染者のうつ病を迅速に特定し適切に治療するための臨床試験が実施されるべきである。

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最近のアバカビルの使用は、HIV感染成人のタイプ1およびタイプ2心筋梗塞のリスクを増加させる

Recent abacavir use increases risk for Types 1 and 2 myocardial infarctions among adults with HIV;

Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes (Feb 2018)

BACKGROUND

アバカビル(ABC)が心筋梗塞(MI)のリスクを増加させるかどうか、そしてこのようなリスクがHIV感染成人においてタイプ1(T1MI)またはタイプ2(T2MI)心筋梗塞によって異なるかどうかに関しては長期にわたり混乱がある。

METHODS

NA-ACCORD参加者において2001年から2013年のMIの発生を同定した。バイアスおよび時間依存交絡に対処するために、離散時間限界構造モデルで粗(HR)および調整されたハザード比(aHR)および95%信頼区間を推定した。 解析はT1MIおよびT2MIについて別々に行った。感度解析では、Framingham Risk Score(FRS)がMI発生に対するABCの影響を修飾するかどうかを評価した。

RESULTS

抗レトロウイルス療法を開始した8,265人の成人において29,077人年、123のMIイベント(65 T1MI、58 T2MI)が認められた。 追跡期間の中央値は2.9(四分位範囲1.4,5.1)年であった。ABC開始者は注射薬物使用歴、C型肝炎ウイルス感染、高血圧、糖尿病、腎機能障害、高脂血症、低CD4数(200未満/ mm3)、AIDSの病歴を有することが多い傾向にあった。複合的なMIの予後リスクは過去6ヵ月間にABCを使用した患者(aHR = 1.84 [1.17,2.91])で高かった。T1MIではaHR = 1.62 [1.01]、T2MIではaHR = 2.11 [1.08 、4.29]であった。FRSはMIに対するABCの影響を修飾しなかった(p = 0.14)。そして、MSMにおいてFRSを組み合わせた場合でも最近のABC使用による予後への影響を減少させなかった。

CONCLUSIONS

最近のABCの使用は、既知の危険因子やFRSで調整後、MIと関連していた。しかし、T1MIリスクのスクリーニング法では、すべてまたはほとんどのABC使用関連MIのリスクを識別することはできない。

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大腿部の筋肉量低下は、HIV感染者およびHIV非感染者の間の冠動脈狭窄と関連している:多施設エイズコホート研究(MACS)より

原題:Low thigh muscle mass is associated with coronary artery stenosis among HIV-infected and HIV-uninfected men: The Multicenter AIDS Cohort Study (MACS)

出典:Journal of Cardiovascular Computed Tomography (Jan 2018)

背景:

HIVに感染した個体は、サルコペニアおよび心血管疾患の両方のリスクが高い。低筋肉量と潜在的な冠動脈疾患との関連性が存在するのか、HIVの病状によって影響されるのかは不明である。

方法:

2010年から2013年の間に、大腿CTおよび冠動脈石灰化の非造影心臓CTを受けた、513人の男性参加者(72%のHIV感染者)の横断的析を行った。このうち379人は、非石灰化冠動脈プラークおよび冠状動脈狭窄50%以上の冠動脈CT血管造影も行った。多変量調整ポアソン回帰を用いて、低筋量(サンプル中のHIV非感染個体の20パーセンタイル未満)とCAC、NCPおよび閉塞性狭窄との間の関連の有病率リスク比を推定した。

結果:

大腿の筋肉量低下は、HIV血清状態(20%)と同様であった。低筋肉量と冠動脈石灰化または非石灰化冠動脈プラークとの関連はなかった。しかし、大腿筋肉量の低下は、人口統計学および従来の冠動脈疾患リスク因子を考慮した調整後に、閉塞性冠動脈狭窄の2.5倍高い有病率と有意に関連していた[PR 2.46(95%CI 1.51,4.01)]。この関連は、脂肪細胞、炎症および身体活動の調整後も有意なままであった。HIV血清状態(p-interaction = 0.90)によって有意な相互作用はなかった。

結論:

今回の分析で、大腿部の筋肉量低下は無症候性の閉塞性冠動脈狭窄と有意に関連していた。大腿部の測定が閉塞性CADのリスクが高い個体を同定するために有用かどうか確認するために、より大きなサンプルサイズおよび前向きの解析を含む、追加の研究が必要である。

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治療未経験HIV陽性者におけるマラビロク強化抗レトロウイルス療法による脳機能パラメーターの変化:ランダム化コントロール試験

Changes in Cerebral Function Parameters with Maraviroc Intensified Antiretroviral Therapy in Treatment Naïve HIV-Positive Individuals; A Randomised Controlled Study;

Mora-Peris B, Bouliotis G, Ranjababu K, Clarke A, Post F, Nelson M, Burgess L, Tiraboschi J, Khoo S, Taylor S, Ashby D, Winston A; AIDS (Feb 2018)

BACKGROUND

マラビロク強化抗レトロウイルス療法(ART)は、認知能改善と関連している可能性がある。

METHODS

治療未経験で認知症無症状のHIV陽性者が、標準ART(Arm1;テノホビル - エムトリシタビン+アタザナビル/リトナビル)またはマラビロク強化ART(Arm2:アバカビル - ラミブジン+ダルナビル/リトナビル/マラビロク)に1:1ベースで無作為に割り付けられた。

48週間にわたって、認知機能(CF)試験の詳細な評価を行い、プロトン磁気共鳴分光法を用いて脳代謝物を測定した。主なエンドポイントは、CF変化に関連する因子を評価した治療群によるCFの平均変化とした。

RESULTS

無作為化された60人の被験者(30人のArm1および30人のArm2)のうち、58人が男性であり、44人が白人であった。治療群は同様の疾患特性を有しており、CD4+数のベースラインの平均(SD)はArm1で428(209)、Arm2で414(229)細胞/μLであった。48週時点で、研究手順を完了した患者の55/56において血漿HIV RNAは50コピー/ mL未満であった。CFは48週間にわたって改善した(平均変化z-スコア[SD] はArm1で0.16 [0.09] 、Arm2で0.25 [0.08]、両群間の差はP = 0.96)。前灰白質n-アセチルアスパラギン酸/クレアチン(NAA / Cr)比で、Arm1(比変化0.071 [SD 0.16])はArm2(変化-0.097 [SD 0.18]、P = 0.009)に対しより大きな増加がみられたが、これはCFの変化とは関連していなかった(P = 0.17)。

CONCLUSIONS

マラビロク強化ARTは、ARTを開始する被験者においてCFに明らかな利益をもたらさなかった。標準的なARTでは神経代謝物(NAA / Cr)の改善が認められた。 将来の研究では、認知障害のある被験者においてマラビロク増強ARTに焦点を当てるべきである。

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HIV感染リスク、病気の進行に伴う腸組織移入タンパク質レベルの研究

Study Links Gut-Homing Protein Levels With HIV Infection Risk, Disease Progression.

HIV感染と健康予後にα-4β-7と呼ばれる腸組織移入タンパク質の高レベルを示すCD4 + T細胞の割合が関連していることが初めて発見された。この研究で、細胞表面α-4β-7高レベル発現CD4 + T細胞が多い女性はHIVに感染する可能性がより高く、少ない女性よりもウイルスによる免疫系損傷をより急速に受けることがわかった。

「我々の知見は、HIVが優先的に感染するα-4β-7発現CD4 + T細胞の頻度が高いと、より多くのHIV感染CD4 + T細胞が消化管に移動し、腸ベースの免疫細胞に大きな損傷をもたらすことを示唆する。」とメリーランド州ベセスダ国立衛生研究所(NIH)のアレルギーと伝染病研究所(NIAID)のAnthony S. Fauci医師は述べた。

Science Translational Medicine掲載の研究では、HIV獲得直前の女性59人から採取した血液中の高レベルα-4β-7発現CD4 + T細胞の割合が、HIV陰性のままであった106人の女性と比較された。18〜40歳女性で、2007年から2010年までCAPRISA 004試験で南アフリカのKwaZulu-NatalでHIV予防のためのテノフォビル・ゲルの安全性と有効性を評価した。

高レベルα-4β-7発現CD4 + T細胞の割合は、CAPRISA 004研究の女性とケニアの41人の女性セックスワーカーにおいてHIV獲得リスクに控えめな影響を与えた。 HIVの獲得リスクは、α-4β-7タンパク質の1%増加ごとに18%増加した。高レベルα-4β-7発現CD4 + T細胞の割合は、HIVがどれくらい迅速に免疫系を傷つけるかに強く影響した。CD4 + T細胞は、感染前のα-4β-7レベルが高い女性では低い女性の2倍速く減少した。さらに、感染後数ヶ月以内の血液中のHIV量は、感染前のα-4β-7レベルが低い女性よりも高い女性のほうが多かった。感染前のα-4β-7の高さと、腸損傷の生物学的マーカーの高さは関連しており、免疫系損傷のメカニズムは腸へのHIV関連損傷である可能性が高い。

HIVが特に腸において、感染のごく初期にα-4β-7発現CD4 + T細胞を標的とすることが発見された。バンコクのタイ赤十字社で行われた米国軍事HIV研究プログラム主導のRV254臨床試験の調査で、HIV診断直後に抗レトロウイルス療法(ART)を開始しても、腸からのCD4 + T細胞の減少を防げず、枯渇した細胞の再構成も促進されないことを発見した。

「これらの所見は、HIV感染者の消化管におけるCD4 + T細胞を回復させるためには、ARTに加えた介入が必要であることを示唆している。」と南アフリカダーバンにおけるAIDS研究プログラムのライル・マッキノン博士は語った。「介入の1つとして、潰瘍性大腸炎やクローン病治療のためにFDA承認されているベドリズマブという抗α-4β-7抗体があり得る。」 これと関連する知見に基づいて、ARTと併用したベドリズマブ短期治療がHIV感染者の持続的なHIV寛解をもたらすかどうかを判断するため、NIAIDは2017年に早期臨床試験を開始した(NCT02788175)。研究はベセスダのNIH臨床研究センターで行われ、予備的結果は今年後半に予定されている。

SOURCE: National Institutes of Health

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即時ART導入により、CD4数高値例のどのような群でメリットが大きいか?

原題:Which HIV-infected adults with high CD4 T-cell counts benefit most from immediate initiation of antiretroviral therapy? A post-hoc subgroup analysis of the START trial;

出典:Lancet HIV (Jan 2018)

背景:

CD4数が500個/μL以上で無症状の成人に対し、抗レトロウイルス療法(ART)の即時開始が推奨されているが、リソースが限られた環境では可能とは限らない。今回、即時治療による利益が最も大きい個人のサブグループを特定することを目標とした。

方法:

START試験はARTで治療されていない無症候性HIV陽性成人のランダム化比較試験であった。 CD4数が500個/μL以上の参加者は、即時ARTを受けるか、CD4数が350/μL未満になるまでART導入を延期するか、ランダムに割り当てられた。 この研究の主要評価項目は、AIDS規定疾患、AIDSによる死亡、重大な非AIDS疾患または非AIDS関連死であった。事後解析で、即時ART群と遅延ART群で、全体およびサブグループにおけるイベントの発生率と絶対リスク低下を評価した。サブグループは研究プロトコールで事前に指定されたか、またはHIV感染者の罹患率および死亡率に関連するベースライン特性に基づいて事後的に形成された。連続的な特徴については、異なるカットオフが臨床的に有意義でない(例えば、50歳以上)場合を除いて、サブグループのカットオフ点として近似尺度を選択した。1つの主要な出来事を防ぐためにARTを1年間直ちに治療するのに必要な数を推定した。サブグループ間の絶対リスク減少の異種性は、ブートストラップ試験で評価した。START試験はClinicalTrials.gov番号NCT00867048に登録されている。

結果:

2009年4月15日から2013年12月23日まで、5つの大陸の35カ国から4684名の参加者が登録された。そのうちの2325名が即時ARTに、2359名が遅延ARTに割り当てられた。主要エンドポイントは、即時ART群(100人年あたり0・58事象)の42例および、遅延ART群の100例(100人年当たり1 37の事象)に発生した。

即時ART群では100人年当たり絶対リスク低下は0・80(95%CI 0・48-1・13)であり、1つの事象を防ぐために直ちに治療する必要があった(症例)数は126(95%CI 89-208) であった。即時ARTによる絶対リスク低下の有意な異質性は、年齢(p = 0,0000)、ベースラインにおけるCD4対CD8比(p = 0・0007)、および血漿HIV RNAウイルス量(p = 0・033)で認められた。即時治療による絶対リスクの低下が最も大きい群は、50歳以上で、CD4対CD8比が0,5未満、および血漿HIV RNAウイルス負荷が50,000コピー/ mL以上の症例であった。

結論:

無症状、未治療でCD4数が500/µL以上の症例の中では、高齢でCD4/CD8比が低く、ウイルス量が多い場合に、治療導入の優先順位が高いと考えられた。

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アメリカにおけるHIV感染高齢者の癌リスク

Cancer risk in older people living with human immunodeficiency virus infection in the United States;

Mahale P, Engels E, Coghill A, Kahn A, Shiels M; Clinical Infectious Diseases (Jan 2018)

Background

HIV感染者(PLWH)では癌リスクが増加する。生存率の改善はPLWHの高齢化をもたらした。我々は高齢のPLWH(50歳以上)の癌リスクを評価した。

Methods

HIV / AIDS Cancer Match Study(1996-2012)のデータを用い、高齢のPLWHにおけるカポジ肉腫(KS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、および子宮頸部、肛門、肺、肝臓、口腔/咽頭、乳腺、前立腺、結腸癌のリスクを一般集団と比較して標準化罹患比(SIR)および過剰絶対リスク(EAR)を計算することにより評価した。HIV診断をされてからの時間による癌リスクをポアソン回帰を用いて算出した。

Results

183,542人のPWH高齢者のうち10,371のがんを同定した。リスクは有意にKS(SIR = 103.34)、NHL(SIR = 3.05)、ホジキンリンパ腫(SIR = 7.61)、子宮頸部(SIR = 2.02)、肛門(SIR = 14.00)、肺(SIR = 1.71)、肝臓 (SIR = 2.91)、口腔/咽頭(SIR = 1.66)の癌で増加し、乳腺(SIR=0.61)、前立腺(SIR = 0.47)、結腸(SIR = 0.63)の癌では減少していた。 SIRはすべての癌で年齢とともに減少した。しかし、EARは、肛門、肺、肝臓、口腔/咽頭の癌で年齢とともに増加した。癌リスクは、HIV診断後5年以内がほとんどの癌で最も高かった。 KS、NHL、肺がん、ホジキンリンパ腫はHIV診断から時間を経るほど、リスクが減少した。

Conclusions

高齢PLWHでは癌リスクが上昇する。SIRは年齢と共に減少するが、EARはいくつかの癌ではより高く、高齢PLWHにおける癌発生率の絶対的な超過を反映している。 いくつかの癌ではHIV診断後最初の5年間が高リスクであり、早期のHIV診断および迅速な治療開始の必要性が強調される。

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セカンドラインARTにおけるNRTI変更と転帰の関連

原題:Assessing the association between changing NRTIs when initiating second-line ART and treatment outcomes

出典:Source: J Acquir Immune Defic Syndr

背景:

抗レトロウイルス治療(ART)で初回治療により治療が失敗した場合、2次治療におけるヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)変更の重要性は、(同時に用いられる)プロテアーゼ阻害剤の高い有効性の影響もあり、定まっていない。

対象:

国際疫学データベース(International Epidemiologic Databases to Evaluate AIDS)から、南アフリカ共和国とザンビア共和国における6290例の成人症例の臨床データを用いた。

方法:

標準的なART初回治療薬を開始し、治療失敗と判定された症例を対象とした。Cox比例ハザードモデルを使用して、2次治療におけるNRTI変更の影響を、同内容のNRTIを継続した群と比較した。南アフリカのデータはウイルス量が利用可能で、治療失敗は、2件の連続したHIV RNA量 > 1,000 copy/mLの場合と定義した。ザンビアでは、2回連続してCD4数<100µLの場合と定義した。

結果:

南アフリカでジドブジンを含む治療を開始した症例のうち、2次治療におけるウイルス学的治療失敗のハザード比(調整値)は、テノホビルに変更した群でジドブジン継続投与群と比べて0.25(95%CI:0.11 - 0.57)であった。同様に、テノホビルで治療開始された南アフリカの症例のうち、2次治療でジドブジンに切り替えた場合、治療失敗の減少と相関していた(調整ハザード比 0.35 [95%CI:0.13 - 0.96])。ウイルス量を含まないザンビアのデータからは、有意な結果は得られなかった。

結論:

2次治療におけるNRTIの変更は、南アフリカでの臨床転帰の改善と関連していた。テノホビルで治療開始した症例、または特定のNRTIが禁忌の症例においては、2次治療でのNRTI選択に関する追加の臨床試験研究が必要である。

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