18/08/13 up

HIV曝露前予防(PrEP)に対する高い遵守率は、梅毒のリスク増加と関連している

原題:High Adherence to HIV PrEP Appears to Be Associated With Increased Syphilis Risk :

情報源:the 22nd International AIDS Conference (AIDS 2018)

PrEP遵守試験(NCT01761643)のデータに基づき、男性あるいはトランスジェンダーの女性を対象に接触の機会を持つ398名の男性を対象とした。研究参加者はHIV未感染で、HIV感染のリスクが高く、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩およびエムトリシタビンを連日、2年まで服用した。12週ごとの受診時に、PrEPアドヒアランスの度合いを細胞内テノホビル濃度(TFV-DP)により評価し、さらに梅毒スクリーニング検査を受けた。PrEP遵守の度合いは、TFV-DPが1246 fmol/punch以上の場合を遵守率が高い群(1週間に7回の服用に相当)、1246 fmol/punchの場合を遵守率が高くない群と判定した。

その結果、PrEPの遵守率が高い患者では、梅毒の発生率が高かった。PrEPに対する遵守率が高い患者は、高くない患者と比較し、梅毒の発生率比(IRR)が12週時点で5.2(95%CI 2.0-13.8)、48週時点では3.4 (95%CI 1.5-7.9)であった。

TFV-DPが719 fmol/puch以上(1週間に4回の服用に相当)を適正な遵守率と定義し、それ以上と未満で層別化しても、PrEP遵守率が高い層で梅毒発生率の増加が認められ、12週時点で3.9 (95%CI 0.5-29.01)、48週時点で2.3(0.7-7.7)であった。梅毒の発生率は100人年あたり5.4で、2年間の研究機関で全26例であった。経時的なリスク行動の変化を見積もり、公衆衛生面の活動やPrEPプログラムに有用な情報を提供するためには、さらなる研究が必要である。

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ドルテグラビル+ラミブジンは、初回HIV治療として3剤併用療法に対し非劣性である

Dolutegravir Plus Lamivudine Is Non-Inferior to Triple Therapy as Initial HIV Therapy

the 22nd International AIDS Conference (AIDS 2018)

AMSTERDAM, the Netherlands -- July 26, 2018 –

治療未経験のHIV-1感染患者においてドルテグラビルとラミブジンの併用療法は、ドルテグラビル+ テノホビル/エムトリシタビンの3剤併用療法と比較して、ウイルス量を減らす点で非劣性であるとの報告が第22回国際エイズ会議(エイズ2018)で発表された。

アルゼンチン、ブエノスアイレスのFundaciónHuésped博士は、「この結果はドルテグラビルとラミブジンがHIV感染患者の初期治療の選択肢であることを示唆している」と述べている。

研究者らは、GEMINI試験の被験者について第48週の主要評価項目を評価した。この試験では、参加者を2剤レジメン(n = 716)または3薬剤レジメン(n = 717)に無作為に割り付け48週間治療を行い、オープンラベル治療を同じ治療課題でさらに96週間続けた。

患者はHIV-1 RNAの血漿レベルが1,000〜500,000コピー/ mLの間であり、以前ARTを受けていなかった場合(もし治療されたことがあったとしても最大で10日間)にGEMINI試験に登録する資格があった。さらに、患者はウイルス抵抗性やB型肝炎感染がなく、C型肝炎治療の必要性がないという証拠を示さなくてはならなかった。

48週目のGEMINI-1の主要結果は、HIV-1 RNA <50 copies / mLの血漿中濃度として定義されたSnapshotレスポンスにドルテグラビルとラミブジンを投与された患者の90%が達したに対し、3剤併用療法で治療された患者では93%だった。 2群間の調整された差は-2.6(95%信頼区間[CI]、-6.7〜1.5)であり、ドルテグラビル+ラミブジンは3剤併用療法に劣らなかった。

GEMINI-2では、2剤治療患者の93%、3剤療法群の患者94%がそれぞれスナップショット応答(調整された差、-0.7; 95%CI、-4.3〜2.9)に達した。

両試験をまとめた結果でも、ドルテグラビルとラミブジンを併用した患者の91%、3剤併用療法の患者の93%がSnapshotレスポンスに達し、調整した差は-1.7(95%CI、-4.4-1.1)であり、非劣性を示した。

安全性に関して、2剤治療患者の76%、3剤治療患者の81%で有害事象(AE)が報告された。薬物関連AEはそれぞれ患者の18%および24%で生じたが、重度AEはそれぞれ7%および8%であった。

Cahn博士は、「骨および腎機能マーカーのベースライン後の変化は、24週を通してドルテグラビル+ラミブジンが支持された」と述べた。

さらに、プロトコールで定義されたウイルス学的離脱基準(2剤群では6名、3剤群では4名)により治療を中止した患者のうち、試験薬物に耐性を示す、治療で出現したウイルス突然変異は認められなかった。

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成人HIV感染患者における細菌性市中肺炎

Community-acquired bacterial pneumonia in adult HIV-infected patients; Expert Review of Anti-infective Therapy 1-10 (Jul 2018)

the 22nd International AIDS Conference (AIDS 2018)

INTRODUCTION

積極的な抗レトロウイルス療法(ART)の施行にもかかわらず、市中肺炎(CAP)は依然としてヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者の罹患率および死亡率の主要原因であり、高い健康コストを招く。

Areas covered

この資料では、疫学、予後因子、微生物学的病因、治療および予防に焦点を当て、HIV感染集団における細菌性CAPに関する最新の出版物をレビューする。ここで論じたデータは、主にMedlineを使用したnon-systematic reviewと、関連記事からの参考文献から得られたものである。

Expert commentary

HIV感染患者は、細菌性CAPに対してより感受性が高い。 ARTは免疫応答を改善しCAP発生率を低下させるが、これらの患者は、変化した免疫性を示し免疫活性化が持続するため、肺炎のリスクの増加が部分的に続いている。

HIV感染患者におけるCAPのリスクおよび多菌性または非定型感染の可能性は、CD4細胞数に反比例する。 CAPを有するHIV感染患者の死亡率は6%〜15%であるが、ARTでよく制御されたHIV感染患者では、死亡率は低く、HIV陰性者と同等である。ARTでよく制御されたHIV感染患者での細菌性CAPに対して、ワクチン接種と禁煙は2つの最も重要な予防戦略となる。

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HIV関連神経認知障害のための新旧の認知スクリーニングツールの診断精度

原題 Diagnostic accuracy of new and old cognitive screening tools for HIV-associated neurocognitive disorders

著者 Trunfio M, Vai D, Montrucchio C, Alcantarini C, Livelli A, Tettoni M, Orofino G, Audagnotto S, Imperiale D, Bonora S, Di Perri G, Calcagno A

出典 HIV Medicine (May 2018)

目的 HIV関連認知障害(HAND)の診断用いられる複数のスクリーニングツール、① Frontal Assessment Battery、② International HIV Dementia Scale、③ Clock-Drawing Test、④ Three Questions Testについて、有用性を調査した。

方法 2010年から2017年にかけて横断研究を行った。10カ所の認知領域を含む包括的な包括的な診断バッテリーを用い、参照した。

結果:全部で650人の患者がスクリーニングされ、281人が包括的な神経系の評価を受けた。140人がHANDと診断された。感度、特異性、正確な分類率およびROC曲線は、それぞれ以下の通りであった:① Frontal Assessment Battery、40.7%、95.1%、68.3%、0.81、② International HIV Dementia Scale、74.4%、56.8%、65.4%および0.73、③ Clock-Drawing Testは30.9%、73.4%、53.8%、0.56、④ Three Questions Test、37.3%、54.1%および45.7%。前頭葉機能検査のカットオフを≤16にすると、感度、特異度、および正確な分類率がそれぞれ78.0%、63.9%および70.8%に改善された。

結論:Three Questions TestとClock-Drawing Testの診断性能は良好でなかった。International HIV Dementia Scaleでは特異度が低かった。Frontal Assessment Batteryは、カットオフ値を調整することにより分類の正確性が改善し、有用と考えられた。

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リンパ腫合併HIV感染患者の抗レトロウイルス治療の選択による生存:観察的多施設研究

Survival in HIV-infected patients with lymphoma according to the choice of antiretroviral treatment: an observational multicentre study;

HIV Medicine (Jun 2018)

OBJECTIVES

リンパ増殖性障害は、HIV陽性患者でしばしば観察される。 抗腫瘍化学療法中の多剤併用抗レトロウイルス治療(cART)は有益であるが、異なる抗レトロウイルス薬の組み合わせによる臨床予後についてはほとんど知られていない。この研究の目的は、現在の知識におけるこのギャップに対処することである。

METHODS

1998年から2015年の間、5つの大規模なイタリアのセンターで後ろ向き調査を実施した。 リンパ腫と診断されたHIV陽性患者が含まれ、人口統計学的、臨床的および治療的な変数が記録され、臨床転帰と関連付けられた。 生存のためのCox比例ハザードモデルを含む二変量および多変量解析が行われた。

RESULTS

合計399人の患者がこの研究に含まれた。リンパ腫の最も一般的なタイプは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLCLB; n = 164)、ホジキンリンパ腫(HL; n = 99)およびバーキットリンパ腫(BL; n = 57) 38名)、続いて形質芽球性リンパ腫(PBL; n = 38)、T細胞リンパ腫(TCL; n = 17)、無痛性リンパ腫(n = 10)そしてそれほど一般的ではないタイプ(n = 14)であった。327例は(評価可能な387例中)cART治療を受けていた。うち216例はPIベース、73例は非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)ベース、18例はインテグラーゼ阻害薬(INSTI)ベースであった(残りの20人は他のレジメンを受けた)。 5年生存率は57.5%(DLCLBは52.8%、HLは67.8%、BLは42.3%、PBLは60.6%、TCLは64.7%)であった。他の薬剤と比較したPIベースのARTは、患者全体(P≦0.001)およびNHL患者のみでの評価で予後不良と関連していた(P <0.001)。 PIで治療した患者では、grade 3-4の血液毒性がより多く観察された。最近のリンパ腫診断、良好なウイルス免疫学的状態、低いステージのリンパ腫および良好な予後指標は、予後良好と関連していた。

CONCLUSIONS

PIベースのcARTは、化学療法を受けているリンパ腫のHIV陽性患者の全生存期間の悪化および血液合併症と関連していた。

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脂質異常症をもつHIV-1感染例における、リトナビルからコビシスタットへの薬剤変更による中性脂肪の有意な改善

原題 Significant improvement in triglyceride levels after switching from ritonavir to cobicistat in suppressed HIV-1-infected subjects with dyslipidaemia

著者 Echeverria P, Bonjoch A, Puig J, Ornella A, Clotet B, Negredo E.

出典 HIV medicine. 2017;18(10):782-6.

背景 コビシスタットはチトクロームP450 3Aを阻害し、リトナビルの代替薬として使用されるようになった。リトナビルにくらべ、脂質代謝への悪影響が少ないことが期待されるが、実臨床における情報は限られている。

方法 ダルナビル+リトラビルによる治療を受けていた293例のHIV-1陽性例を対象に、リトナビルをコビシスタットに変更する前後での脂質代謝パラメータの推移を検討した。

結果:対象症例の52%が、ベースライン時点で脂質異常症を認めていた。薬剤の変更に伴い、全例でHIV-1RNAが50コピー未満を維持できており、CD4数の有意な変動も認められなかった。脂質異常症の有無、程度により層別化して解析した結果、総コレステロール、LDLコレステロール、HCLコレステロール、中性脂肪のいずれにおいても、有意な改善が認められた。

結論:HIV感染例において、ダルナビルのブースターとして用いられるコビシスタットは、リトナビルからの変更により、脂質異常症の経過に有益な影響を及ぼした。

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HIV感染者における梅毒の危険因子と発生率

原題:Risk factors and incidence of syphilis in HIV-infected persons, the HIV Outpatient Study, 1999-2015

著者:Novak R, Ghanem A, Hart R, Ward D, Armon C, Buchacz K

出典:Clin Infect Dis(2018年4月)

背景:

2000年以来、梅毒の発生率は、特に米国のMSMやその他の男性の間で増加している。我々は、16年間にHIV感染患者の間で新たに診断された梅毒感染の経時的な傾向および関連する危険因子を評価した。

方法:

1999年から2015年の間に米国の10カ所のHIV診療所を対象としたHIV外来調査(HOPS)コホート参加者からのデータを分析した。新規の梅毒症例は、検査結果および臨床診断に基づいて定義された。我々は、梅毒の発生率を評価し、新しい梅毒感染の社会的、臨床的および行動的危険因子のCox比例ハザード回帰分析を行った。

結果:

6888例のHIV感染者を調査し、うち641例は1回以上新規に梅毒と診断され、追跡期間の中央値は.5.2年であった。参加者は男性(78%)がほとんどで、年齢層としては31-50歳が多く、56%がMSMであった。

・梅毒の診断されたのは799件であり、100人年当たり1.8人の全体的発生率(95%信頼区間1.6-1.9)であった。

・罹患率(100人年)は、1999年から2015年にかけて、0.4(CI 0.2-0.8)から2.2(CI 1.4-3.5)に増加した。

・多変量解析の結果、梅毒のリスク因子として挙げられた項目は、年齢が18-30歳 (ハザード比1.3, CI 1.1-1.6,31-40歳との比較)、MSM(HR 3.1, CI 2.4-4.1, 非MSMとの比較)、非ヒスパニック系黒人(HR 1.6, CI 1.4-1.9, 非ヒスパニック系白人との比較)であった。

結論:

2015年までの梅毒発生率の上昇は、性的な面での感染リスクの存在を反映しており、HIV感染者のケアにおいて、予防介入の強化が必要性であることが示された。

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ロシア、サンクトペテルブルグのHIV陽性飲酒者における死亡率とHIV進行マーカーを改善するための亜鉛補給に関するランダム化比較試験設計

Design of a randomized controlled trial of zinc supplementation to improve markers of mortality and HIV disease progression in HIV-positive drinkers in St. Petersburg, Russia; Gnatienko N, Freiberg M, Blokhina E, Yaroslavtseva T, Bridden C, Cheng D, Chaisson C, Lioznov D, Bendiks S, Koerbel G, Coleman S, Krupitsky E, Samet J;

HIV Clinical Trials 1-11 (Apr 2018)

背景

ロシアではHIV流行が制御されていない状態が続いており、一人当たりのアルコール摂取量は世界で最も高いレベルである。 HIV陽性者の間でのアルコール使用はよくみられ、臨床転帰の悪化と関連している。アルコールの使用およびHIVはそれぞれ微生物トランスロケーションにつながり、その結果炎症を引き起こす。亜鉛補給は、恐らく腸の透過性に及ぼす影響によって、炎症のバイオマーカーのレベルを低下させる可能性がある。この論文では、ロシアのサンクトペテルブルクでの亜鉛補給の二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のプロトコールについて述べる。

方法

参加者(n = 254)は、2013年10月から2015年6月にかけて、ロシアのサンクトペテルブルクのHIV ・中毒の臨床ケア施設や非臨床施設から募集された。参加者は無作為に割り当てられ、亜鉛(男性15mg、女性12mg)またはプラセボのいずれかを毎日18ヶ月間投与された。次に述べるアウトカムについて、6ヶ月、12ヶ月、および18ヶ月で評価された:(1)死亡リスク(18カ月の主要アウトカム); (2)HIV疾患の進行; (3)心血管リスク; (4)微生物トランスロケーションおよび炎症。

遵守率については直接(リボフラビン=ビタミンB2)および間接(錠剤数、自己報告)尺度を用いて評価した。

結論

現在アルコールの使用を減らすための介入については有効性が限られているため、亜鉛補給は飲酒を継続しているHIV陽性者のアルコール使用による影響を軽減するために簡単で低コストな介入として試験するに値する。

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