07/31/02配信分

Ethnicity Appears to Have No Impact on Outcomes in HIV Patients Treated with Highly Active Antiretroviral Therapy

XIV International AIDS Conference


デンマークのグループから、HAARTの効果に人種差は影響を与えなかったという報告がなされた。

2001年以前にHAARTが開始された389人のコーカサス系患者(95%はデンマーク人)と135人の非コーカサス系の患者(2人のみデンマーク人)での比較で、後者の3分の1はサハラ以南の出身者であった。前者は男性が多く、後者は女性が多かった。平均年齢は40歳に対し33歳であった。
レジメンは患者-医師に任され、服薬1年後のウイルス量500以下の達成率は、前者78%、後者76%であった。一方、臨床的に病状の進行が認められた割合も前者15%、後者11.9%で有意差はなかった。

Dual Protease Regimen More Effective than Single Protease Regimen for HIV Salvage Therapy

XIV International AIDS Conference(JAMA 2002;288:169-180)


HIV感染者に対するsalvage療法で、アンプレナビルを用いたダブルプロテアーゼインヒビターによる治療が、一剤のプロテアーゼインヒビターを含む治療よりも、より効果的であったことが報告された。
 1998年から2000年にかけて481人の治療歴のある患者を対象に、アンプレナビル+ネルフィナビルが選択された群139名、インジナビル選択された群69名、サキナビル選択された群116名、アンプレナビル+プラセボが選択された群157名にランダムに振り分けられた。全ての患者はエファビレンツ、アバカビル、アデフォビル(抗HIV薬としてはもう使用されていない)が併用された。

 ダブルプロテアーゼインヒビター群は35%の患者でウイルス量検出限界以下を達成できたのに対し、他の群の平均は23%に過ぎず、p=0.002で有意差を認めた。

しかし、著者らは、40%の患者でトライアル中止例が出たことも報告している。
これは、一剤以上の薬をやめてしまわざるを得ない患者が多かったことの反映で、一日最大40錠にも及ぶ服薬量の多さがあっても、ほとんどの患者は飲みつづけようというモチベーションはもっていた。服薬の強要はしなかったし、新しい錠型やブースター効果としてのリトナビルの併用は錠数を減少でき、より有用なsalvageレジメンがデザインできたであろう。副作用など他の因子の関与
が考えられ、今後はフュージョンインヒビターやインテグラーゼインヒビター登場も待たれる。

 エファビレンツの服薬歴がなかった患者のウイルス量検出限界以下の達成率は70%と高く、服薬したことのある患者では16%であったことも付け加えている。
他の薬剤を用いたダブルプロテアーゼでの成績も34から36%であり、有意差はなさそうで、PI単剤よりはよさそうだ、と結論できる。

AIDS 2002: Resistance to Anti-AIDS Drugs Found in 13 percent of Newly Infected Patients

スペイン発-HIVに新たに感染した場合の13.2%が2種の抗ウイルス薬に耐性である。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校のFrederick Hecht 博士は、"この研究はHIVが手元にある薬剤で安易に治療される病気である、という考えが見直されるべきだ。"と述べている。
この研究結果は、スペインで開かれた第14回国際エイズ会議で発表され、また、Journal of the American Medical Association(JAMA) に掲載された。

Hecht 博士は、高リスクのSEXが、通常の治療薬が効かなくなっているウイルスを感染させることになっていて、別のレジメンで治療を開始せざるを得ない患者もいる、と報告している。

Hecht 博士らは、サンフランシスコで新たに感染した225人の患者のウイルスについて解析した。それらのウイルスは、検出された2年毎に(1996-1997,1998-1999,2000-2001)3つの群に分けて解析された。
最初の2年間は、2種の抗ウイルス薬に耐性であるウイルスは、1-2%であったが、最後の2年間は13.2%であった。

ViroLogic研究所で、耐性検査が行われたが、そこのNicholas Hallmann博士は、薬剤耐性を持つHIV が増えているために、最初に不十分な治療を行うことがないよう、医療者は耐性ウイルスの現状を知るべきである、と述べている。

ViroLogic研究所では、CDC、NIH等からのグラントにより、phenotypicな耐性検査も行った。
Hecht 博士は、耐性ウイルスを持っていない場合は、多剤併用療法で、ウイルス量が検出感度以下になるには約1ヶ月かかるが、耐性ウイルスを持つ患者の場合は、3ヶ月はかかる、と述べている。また、現在ある3系統の薬剤に全て耐性を示すウイルスもいる。

この研究は、一方で、予防の大切さを示している。

Exposure to Hepatitis C Has No Effect on Antiretroviral Treatment Outcomes in HIV Patients

メリーランド州バルチモアでのHIV感染患者の研究で、HCV陽性患者は、HCV陰性患者と比較して、抗ウイルス療法で治療した場合、同様の臨床経過をたどる、という結果が明らかになった。
この結果は、スペインで開かれた第14回国際エイズ会議で発表された。

John-Hopkins 大学の研究者は、その約半数はHCV陽性患者である、2000人のHIV陽性患者の経過を追った。彼等は、HCVへの感染は、致死率やAIDSへの進行、HAARTによる免疫再構築にも影響を与えない、とした。

HIV陽性でHCV陽性患者は、HIVだけ陽性の患者と比較した場合の明らかな違いは、抗ウイルス療法が施行されていないことである。このグループでは、AIDSに進行し、死亡する確率が高くなっている。HIV、HCVともに陽性の患者では、抗ウイルス療法を受けた場合は、死亡率やCD4数は、HIVだけ陽性の患者と違いは認められなかった。

National Institute on Drug Abuse (NIDA) の総長であるGlen Hanson博士は"アメリカやヨーロッパではHIV陽性患者の3人に1人はHCVも陽性であり、彼等の多くは、薬物注射常習者である。HIV、HCVともに陽性の患者についてもっと研究がなされなければならない。"と述べている。

John-Hopkins 大学のMark Sulkowski 博士のチームは、この問題に触れ、HIV、HCVともに陽性の患者では、肝障害が進行すると考えられるため、抗ウイルス療法が施行されない傾向があった、としている。

1995年から2001年にかけて、患者の治験が行われた。全てHIV陽性であり、治験にエントリーされる時は、AIDS の診断はついていなかった。定期的な間隔で、患者の観察と検査が行われた。抗ウイルス療法が施行された患者は、治療開始4週、その後12週毎に経過を追った。また、CD4数は、治療開始1年後、2年後、3年後で評価した。
1995人の患者が治験可能であり、その内の44.6 %、873人がHCV も陽性であった。
この群は、HCV陰性群と比較して、より高齢で、African-Americanが多く、薬物注射常習者が多かった。

この治験の間、1199人の患者は、抗ウイルス療法を受けていた。HCV陽性患者では54%が、またHCV陰性患者の67%が抗ウイルス療法を受けていた。
この治験にエントリーされたHCV陽性患者の中で、致死率の高いCD4数が50-200の値であった人は429人いた。しかし、抗ウイルス療法が有効であった場合を考慮すると、HCV陽性は、独立してはCD4数や死亡とは関連していなかった。

NIDAに支援されたこの治験は、Journal of the American Medical Association(JAMA)
に掲載される。
NIDAは、NIH の中のひとつの部門であり、薬物注射問題の多くを手掛けている。
詳しい内容は、ホームページ http://www.drugabuse.gov. で参照される。