11/22/02配信分

Mesalamine Effective in Controlling Refractory Diarrhea in HIV patients

By Ed Susma


薬剤不応性のHIV感染症関連下痢に対して、6週間にわたってMesalamine(商品名 Asacol)を投与したplacebo controlled trialでその有効性が証明された。


大腸炎の内視鏡的所見でも組織学的所見においてもその指標が有意に改善していたという。67th annual scientific meeting of the American College of Gastroenterology (ACG)のポスターセッションで発表されたもので、HARRTを行っても治らないHIV感染に伴う難治性の下痢にMesalamineの効果があるかどうかを治験するのが目的であった。一日2.4 mg の Mesalamine またはplaceboを6週間内服した20名を対象とした。15名がMesalamine群に分けられた。Colonoscopyでの観察を含みBiopsyActivity Index, the Colonoscopy Activity Index, the AIDS Diarrhea Index, and the Disease Activity Indexを比較し、大腸炎の程度を評価したところ、いずれの指標でも有意な改善を認めたという。

Antiretroviral Drugs Reduce Tryptophan Degradation in HIV-1 Positive PatientsA DGReview of :"Effective Antiretroviral Therapy Reduces Degradation of Tryptophan in Patients with HIV-1 Infection"

CLinical Immunology10/10/2002
By Mark Greener

Idoleamine(2,3)-dioxygenase(IDO)の活性はHIV患者においてT細胞の反応を弱める重要な因子かもしれない

オーストリアの研究で、45人のHIV-1患者のTryptophan,kynurenine,neopterinの血漿レベルをベースラインと6ヵ月間の治療後に測定した。治療終了時にはHIV-1 RNAレベルは1000 copies/ml以下であった。

抗レトロウイルス治療の開始前では、正常人に比べ患者のtryptophan値は低下し、kynurenine値は上昇していた。治療中は、tryptophan値の平均は上昇し、kynurenine値は低下した。結果としてkynurenine-tryptophan比(IDOにより触媒されるtryptophan分解のマーカーとなる)は低下した。しかしながら正常人レベルにまでは達しなかった。

治療前のtryptophan値はneopterin値と逆の相関にあった。kynurenine値はウイルス量やneopterun値と相関していた。しかしkynurenine値はCD4細胞数とは関連していなかった。これらのデータからHIVの増殖は免疫反応を活性化し、tryptophan分解に影響していると考えられた。

Kynurenine-tryptophan比の変化はこの仮説をさらに支持する。
kynurenine-tryptophan比はneopterine値やウイルス量と良く関連するがCD4細胞数との関連は薄かった。さらにkynurenine-tryptophan比はHIV RNA値の変化よりneopterine値の差により強く関連していた。

HIV 感染者において免疫活性はneopterinの産生や、tryptophanの分解を誘発する。HIV感染でtryptophanの変化は増加し、抗レトロウイルス治療はその変化を一部戻そうとする。これらの発見は免疫活性がインターフェロンγによるIDOの活性化と関連している事を示唆する。このメカニズムはHIVにおいてT細胞の反応を弱める重要な因子かも知れない。

Nosocomial Infections In HIV Patients Not Solely Catheter-Related

A DGReview of :"Nosocomial infections among HIV-positive and HIV-negative patients in a Brazilian infectious diseases unit." American Journal of Infection Control (AJIC)        

10/10/2002     By David Loshak


中心静脈カテーテルの使用だけでは、HIV陽性患者の血流感染と関連性がない。HIV陽性患者における院内感染のリスクを明らかにするために、ブラジルの研究者たちがHIV陽性、陰性の患者において21ヶ月にわたり院内感染の発生率を調べた。その結果、HIV陽性患者は陰性患者に比べ、血流感染にかかり易いものの、中心静脈カテーテルによる感染は、HIVの感染の有無に関係なく同程度であった。
 
HIV陽性患者の方が、中心静脈カテーテルや尿道カテーテルの使用が明らかに多い と推察されるが、カテーテルそのものが血流感染を拡大させているということは なかった。
 
疾病予防&コントロールセンターの院内感染におけるクライテリアを使って評価 するとHIV陽性患者は1000人あたり8.16の院内感染の率だったが、これはHIV陰性患者 の3.94の2倍の割合であった。
 
血流感染は尿路感染、血管感染、肺炎などにつぎ、院内感染のほとんどの原因と なっている。
 
HIV陽性患者は陰性患者に比べstaphylococcus aureusによる院内感染症にかかり易い。 他の院内感染の要因(acinetobacter baumanii, klebsiella pneumoniae, pseudomonas aeruginosa, coagulase(-) staphylococcus)は両方のグループで見られた。 
Risk of Progression To AIDS And Death In Women Initiating Highly Active Antiretroviral Therapy

CD4細胞数が350-200の間は、HAARTを延期する、ということは、HIVの治療に関しては、一般的である。

女性に関したHIV の研究で、CD4細胞数が200以下、またはウイルス量が50000copies/ml以上 の場合、AIDSに移行しやすいようである。

1054人 のHIV 感染者に対し、HAART開始からAIDS移行の間隔が調査された。平均は、3.4 年であった 。

553人は、HAART開始時は、AIDSではなかったが、11%はAIDS発症した。CD4数が350以上の人 に対し、200-350の人がAIDS発症した 割合は、0.93であった。また、200以下の人の 場合は、2.48であった。
 
ウイルス量が5000copies/ml以下 の場合と比較し、AIDS発症の危険率は、5000-50000copies/ml の場合で1.39、50000copies/ml以上の場合で2.09であった。

501人は、HAART開始時に、AIDSで あり、CD4数が350以上の人 に対し、死亡の危険は、200-350の場合で1.97、200以下の人の 場合で3.35 であった。
 
ウイルス量が5000copies/ml以下 の場合と比較し、死亡の危険率は、5000-50000copies/ml の場合で1.90、50000copies/ml以上の場合で3.70であった。

Infants Born To Mothers Infected With HIV-1 Have Worse Cardiovascular Status

A DGReview of :"Cardiovascular status of infants and children of women infected with HIV-1 (P(2)C(2) HIV): a cohort study."

Lancet 2002 Aug 3;360(9330):368-73.


母から児へのHIV垂直感染が、生後まもなく診断され持続する心血管系奇形の頻度と相関することが報告された。 またHIVの状況に関わらず、HIV感染している母親からの新生児は、健康児に比べて心機能が有意に悪いことも証明された。
子宮内の環境が潜在的な心奇形の形成に決定的な要因になっていることを示唆しているという。

HIV感染している母親から生まれた600人の児をコホートに4から6ヶ月毎に5歳まで心血管系機能を測定、フォローアップした。93人の児がHIV陽性で、463人は非感染児であった。HIVに感染していない母から生まれた195人の健康な児を対照コホートとした。HIV陽性母由来で自らは感染していない児に比べ、感染した児の心拍数はどの年齢でも有意に多いという結果がでた。しかし両群ともに左心室分画の短縮化が生後8ヶ月の時点で同等に認められた。

HIV感染児の左心室分画短縮化は生後20ヶ月までコントロールに比べて有意に低い状態が残った。左心室容積は生直後は、感染児、非感染児ともに同等であったが、4から30ヶ月からは、有意に感染児の方が高い値を示すようになっていた。