03/6/17配信分

New Antiretroviral Agent, Enfuvirtide, Shows Promise In Treating
Multidrug-Resistant HIV-1 Infection

A DGReview of :"Efficacy of enfuvirtide in patients infected with drug-resistant HIV-1 in Europe and Australia"

New England Journal of Medicine (NEJM) 06/05/2003  By Joene Hendry


新抗ウイルス薬Enfuvirtideは多剤耐性HIV-1感染の治療に有望である

 北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアで行われた2つのphase 3 studyか得られたデータによると、新抗ウイルス薬enfuvirtideによる治療は、多剤耐性HIV感染患者に対し有意なウイルス抑制と免疫学的利益をもたらす。

Enfuvirtideは合成36アミノ酸からなるHIVのenvelope glycoprotein 41のfirst heptad-repeat regionに結合するpeptideである。以前多数の抗レトロウイルス薬で治療されたHIV感染患者において忍容性があり、血漿ウイルス力価を減少させる。

Dr. Lalezariらは、以前に少なくとも6ヶ0月間アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジルで治療された16歳以上の患者からのデータを解析した。
患者は3種類の抗レトロウイルス薬(少なくとも2種類のprotease inhibitorを含む)を内服しており、これらの薬剤に耐性がみられ、少なくとも血漿に5000 copies/mlのHIV-RNAがみられた。501人の患者が無作為にenfuvirtide 90mg、2回/日皮下注を24週と5つの抗レトロウイルス薬中3つを使用するback ground regimenを行う群とbackground regimenのみを行う群に2:1の割合で分けられた。

24週後、血漿HIV-1 RNA level変化の平均は有意にenfuvirtide群で良かった。Enfuvirtide群は1.696 logの減少に対し、control群では0.764logだった。また、Enfuvirtide群はCD4+細胞数平均増加が(76.2 cells/mm3)、control群より(32.1 cells/mm3)有意に大きかった。

次のstudyではDr. Adrianoらがフランス、スペイン、ベルギー、ドイツ、オーストラリア、イギリス、スイス、オランダ、スエーデン、イタリアで少なくとも3ヶ月治療を行われた512人の同様な患者データについて解析を行った。
患者は抗レトロウイルス薬の3種類のうちそれぞれから少なくとも1剤ずつの内服治療を行われ、各種類の薬剤に対し耐性があり、少なくとも血漿HIV-1 RNAは 5000 copies/mlだった。この患者群も無作為にbackground regimenのみの治療を受ける群とそれに90mg enfuvirtideを追加した群にわけられた。

24週後、血漿HIV-1 RNA levelは有意にenfuvirtide群が良かった。
enfuvirtide群は1.429 logの減少が見られたのに対し、control群では0.648 logの減少だった。平均CD4+ 細胞数は、有意にenfuvirtide群(65.5 cells/mm3)がcontrol群(38.0cells/mm3)に対し多かった。

どちらのstudyでも、注射部位の局所的反応以外には安全性、忍容性ともcontrol群と同様であった。両方の結果を総合すると、enfuvirtideの暴露がより長いと暴露期間を調節したあとでも、control群よりも肺炎の発生率が高く、eosinophiliaの発生率が高かった。抗レトロウイルス療法regimenにenfuvirtideを追加することは、以前多剤抗ウイルス療法を受け、多剤耐性HIV-1感染を受けている患者に、有意に利益をもたらす。



Decreasing Prevalence Of HIV In Blood Donors In Thailand

A DGReview of :"Temporal trends in the prevalence of HIV and other transfusion-transmissible infections among blood donors in northern Thailand,
1990 through 2001"

Transfusion 06/10/2003 By Guy Furness


1990年から2001年の間27605名の供血者に対するHIV検査によると、タイの2番目に大きいChiang Mai cityにおける供血者のHIV感染罹患率が、1991年〜1993年のピークから減少傾向にある。

Chiang Mai大学とJohns Hopkins大学の調べによると、タイ北部における血液製剤の供給は、HIV感染拡大の一般化にかかわらず安全になったとされている。さらに彼らは他の研究結果により、タイの供血者で観察されるHIV感染の減少傾向は、その地域の他国では珍しいと述べている。

本研究は1990年1月から2001年12月までChiang Mai大学病院とタイ赤十字血液センター施設に訪れた供血者を対象におこなった。 ドナーは17歳から60歳までで、体重が少なくとも45kgであった。彼らは良好な健康状態であり、肝炎、黄疸や違法薬剤の注射、既知のHIV針刺しなどがなく、ヘモグロビンレベル12.5g/dl以上が条件とされた。さらにドナーは、HIVに感染した可能性、または最近のHIVへの暴露の有無を質問形式によってスクリーニングされた。また、HIV-1、HIV-2抗体検査を行い、B型肝炎ウイルスはHBsAgアッセイを用い、梅毒感染の血清学的検査はVDRLテストで行なわれた。

全体の年間有病率は1991年の4.04%から2001年の0.28%に減少した。HIV抗体の罹患率は女性(0.64%)より男性(2.24%)で高く、またボランティアより輸血歴を有するド
ナーの方が高く、初回のドナーより供血を繰り返しているドナーのほうが抗体罹患率が高かった。また、これらのすべてのグループで、有病率の低下は観察された。梅毒に対する抗体検査では男女差はなかったが、HBV感染に関しては調査期間中一定の割合で認められた。

HIV罹患率の減少に対し、様々な要因の関連が考えられが、最も重要なことは、市民全体でHIVに対する知識を深め、血液バンクや国の保健機関によるHIV感染の危険性に関する教育であると研究グループは述べている。血液バンク以外での公共の教育やより広範なHIV検査は有効であると考えられており、最近の調査では、タイ北部成人人口の半数近くがHIV検査を受けているとされている。実際HIV感染者のほとんどが感染に関して自覚しており、供血者にはならない。
研究グループは、供血者におけるHIV有病率の減少はとても印象的であり、さらに女性、ボランティア、再供血者の動員の増加を可能にすると述べている。