07/04/05配信分

HIVは脂質低下治療への反応性を低下させる。:CROIでの発表

HIV Curtails Response to Lipid-Lowering Therapy: Presented at CROI


2007年3月5日 LA,CA〜

高脂血症治療( LLT)は一般人よりもHIV感染者では効果が少ない、ということがCROIで発表された。

数種類の脂質改善薬での大規模試験では、血清脂質レベルの低下は、HIV陰性者よりもHIV陽性者間では著明に少なかった。と2月28日のポスターセッションでMichael J Silverberg PhDが発表した。

HAARTは脂質代謝異常に関連しており、HIV陽性者はこれらの薬により冠動脈疾患が高リスクとなるため、これらの所見は懸念をもたらしている。とアメリカのオークランドにあるKPNCのリサーチ研究者のSilverbergDrは述べた。

後ろ向きコホート研究では、KPNCのHIV陽性患者が登録され、彼らは脂質代謝異常のためのAdult Treatment Panel(ATP)Vガイドラインに当てはめられ、LLT開始後1年間経過を見られていた。これらの患者はKPNCで治療中の脂質代謝異常のHIV陰性者と比較され、年齢、性別、脂質代謝異常の診断年月日など適合していた。HIV感染者のうち、74%が脂質代謝異常のカテゴリーの一つ以上当てはまっており、18%はすべて1カテゴリーにのみ当てはまっていた。

結果は、血清脂質での変化の割合と、LLT開始1年後のATPVの目標脂質レベルの達成が評価された。スタチン系はこれまでもっとも使われている脂質低下薬で、フィブラート系は2番目に使用されている。HIV感染者のうち41%は少なくとも1つの抗ウイルス薬を投与されていた。

対象者は脂質代謝異常のタイプによりコホートに振り分けられた。総コレステロールコホートには6862人(HIV感染者は907人)、LDLコホートには6496人(HIV感染者は695人)、トリグリセリドコホートには5182人(HIV感染者は511人)が分けられた。

1年後、総コレステロールはHIV感染者では平均で18.1%増加、HIV陰性者では22.5%減少した。LDLコレステロールレベルはHIVでは平均31.6%増加したのに対して、HIV陰性者では23.2%減少した。トリグリセリドレベルはHIVでは平均で35.9%増加したが、HIV陰性者では53.3%減少した(P<0.001 すべての比較で有意差あり)。

HIV陽性対象者にとっては、LLT開始1年後のATPVの目標達成のオッズ比は、総コレステロール、LDL、トリグリセリドのそれぞれで0.57、0.81.0.39だった(HIV陰性グループと比較して、P<0.05)。

NNRTIとPIを併用した薬剤治療は、HIV患者でATPVの目標を低下させているようであり、これらの所見が説明できるかもしれない。とDr.Silverbergは述べた。

HIV感染者ではより積極的な脂質を低下させる努力が心臓病の合併低下させるかもしれない。それは重要な問題であり、介入をすることがリスクを減少させるのではないか?と彼は付け加えた。

[Presentation title: Lipid-Lowering Therapy Responses in HIV-Positive and HIV-Negative Dyslipidemic Patients Enrolled in a Large Integrated Healthcare Delivery System. Poster 814]


ロピナビル/リトナビルの単剤治療で、中枢神経のHIV複製が抑制される:CROIでの発表

Lopinavir/Ritonavir Monotherapy Suppresses HIV Replication in Central Nervous System:Presented at CROI
By Ed Susman  LOS ANGELES, CA -- March 2, 2007 --


ロピナビル/リトナビル(カレトラ)での単剤治療が行なわれている患者ではHIVの複製がブロックされているようである。という研究結果が、第14回レトロウイルスと日和見感染症学会(CROI)で発表された。

対象は、調査プログラムの一環として施行中の研究に参加している40人のHIV感染患者で、単剤治療で検出限界以下のウイルス量を保持している。と、テキサス、ヒューストンの治療コンセプトの感染症スペシャリストであるJoseph Gather Jr.は述べた。「中枢神経系などの聖域はHIV複製をコントロールすることが困難であるが、抗ウイルス治療で限定された効果が可能かもしれない。」と、2月27日のポスタ−プレゼンテーションでDr. Gatheが語った。研究は、単剤治療での患者のHIVレベルをチェックすることから始まった。

ロピナビル/リトナビルが中枢神経でのHIV複製を抑制するかどうか調べるために、12人の患者が髄液穿刺に同意した。12人中11人で評価可能であった。1人は、外傷による血液の混入があり使用できなかった。

「ロピナビル/リトナビル単剤治療中の11人中10人で、髄液中のウイルス量は効果的にコントロールされていた。」と、Dr. Gatheは述べた。10人の患者のウイルス量は検出限界以下(50 copy/mL未満)で、11人目は747cellsであった。全員が検出限界以下(75 copy/mL未満)にまで抑制された。

髄液中のロピナビル/リトナビルの濃度も計測された。「髄液中のロピナビルの濃度は血清中に比べ非常に低かったが、髄液のウイルス蛋白を抑制するには十分なようであった。髄液中のロピナビルのレベルは標準範囲を超えている。」「抗ウイルス治療中の中枢神経系では耐性はなかったが、単剤治療と3剤による治療(HAART)ではどうなのかは、将来の研究で証明することになる。」とDr. Gatheは述べた。

[Presentation title: Single Agent Therapy With Lopinavir/Ritonavir Controls HIV-1 Replication in the Central Nervous System.Abstract 381]


成長ホルモンのプロドラッグは、HIV患者の内臓脂肪を15%低下させる

Growth Hormone Prodrug Reduces Visceral Fat by 15% in HIV Patients With Fat Accumulation Syndrome: Presented at CROI By Ed Susman


ロサンゼルス -- February 28, 2007 - 成長ホルモンのアナログであるTH9507は、HIV感染患者の内臓脂肪レベルを15%低下させることが 示された。この研究は14回CROIで報告された。 我々は、内臓脂肪の蓄積を8%減らすことが明確であることをFDAとともに検討している。 MGH/Harvardの準教授のSteven Grinspoon, MDは述べている。

我々はHIV感染患者において、内臓脂肪が15.2%低下すると考えている。 また、プラセボの患者では、内臓脂肪が5%上昇した。(p<.0001) この研究は、HIV275人にTH9507が投与され、137人の患者にプラセボが投与された。 両方のグループで毎日26週間皮下投与された。患者は主として男性が多く、 平均年齢は48歳であった。HIV患者のウイルス量は一定であった。

プライマリエンドポイントは、内臓脂肪の割合であり、これはCTで評価された。 80%の患者が26週間完遂できた。

内臓脂肪レベルは、Th9507群で低下した。総体重は変化なかった。 脂肪は腹部内蔵レベルから身体のほかの部分へ移動した。 Th9507群では、中性脂肪のレベルは著しく低下した。Th9507群では、 0.6mmol(22.8mg/dl?)低下し、プラセボ群では、0.1mmol(3.8mg/dl?)上昇した(p < .001)。 総コレステロール/HDLコレステロール比も著しく改善した。TH9507群では0.3上昇し、 プラセボ群では0.2低下した(p < .001)。両群で著しい副害反応は見られなかった。 TH9507はHIV患者の糖代謝を含んだ中心性内臓分布治療への新たなものになりうるかもしれない。

The study was supported by Theratechnologies, Inc, Montreal, Canada. [Presentation title: Effects of TH9507, a Growth Hormone Releasing Factor Analog, on HIV-associated Abdominal Fat Accumulation: A Multicenter, Double-Blind Placebo-Controlled]


低細胞数、感染期間が骨粗しょう症のリスクに関連する

 

[Presentation title: Factors Associated with Low Bone Mineral Density (BMD) in a Large Cohort of HIV-Infected U.S. Adults --Baseline Results from the SUN Study. Poster 836]


2007年3月2日ロサンゼルス CAにて〜

アメリカの4都市での700人のHIV患者に関するここ5年の前向き研究によると、低骨密度はHIV感染の重要な合併症である。主著者であるワシントン大学医学部の教官であるエドガー・オバートンが、2月28日に行われた、第14回日和見感染症とレトロウイルス会議( CROI) での発表でHAART時代のHIV/AIDS患者の自然経過を理解する研究( SUN スタディ)について述べた。 対象者の半数以上の52%が低骨密度となり、10%が骨粗しょう症だった。「これは本当に高い数字だ。」とDrオバートンは言った。一般的に骨粗しょう症の発生率は、国の健康と栄養調査によると、約1%である。

SUNスタディは、490人の男性と135人の女性でのHIV管理と生存に関連した合併症のリスクファクターを調べる目的でデザインされた。HAARTを受けたことがない患者のCD4は100-500/mm3で、HAARTを受けた患者のCD4は100/mm3以上だった。

2重X線吸高度解析では、骨密度は384人( 61%) で低値で残りの241人が正常値だった。低骨密度の患者のうちの31%がこれまでスタブジンを投与されたことがあり、正常骨密度の患者では21%だった( P=0.009)。平均BMIはそれぞれ低骨密度グループは25、正常グループは28だった。低骨密度患者はHIV感染歴が長く、負荷運動や、フルタイム勤務に従事しない傾向があった。この調査では、61人の患者が単純骨粗しょう症だった。

CD4最低値の平均は123/mm3で、低骨密度患者を含めた他の患者の平均は212/mm3だった( P=0.006)。これまでのCD4数も低値で、384/mm3であり、ほかの患者では447/mm3だった( P=0032) 。

骨粗しょう症患者は年長で、やせ、白人、喫煙、HIV感染歴が長く、フルタイム勤務をしない傾向にあった。

多変量解析では、低骨密度に関連した因子は、男性、BMI<23、46歳以上、運動をしておらず、無職か退職後だった。

骨粗しょう症関連因子は、BMI<23、46歳以上、ベースのCD4<308/mm3、HIVと診断されてから98ヶ月以上、だった。

これらの所見は、強力な抗ウイルス薬の時代でさえ、骨粗しょう症と低骨密度はHIV感染症の重要な合併症のままである、ということを示唆している、とDr.オバートンは述べた。とくに骨粗しょう症関連のリスクファクターをもつ患者においては、医師がHIV感染者では骨密度をモニターすることを推奨した。


プライマリーケアを担う医療従事者は、ロスアンジェルスのヒスパニックに対し、HIV検査をほとんど提供できていない

Few PCPs Offer HIV Tests to L.A. Hispanics LOS ANGELES, CA -- March 1, 2007 --


ロサンジェルスでは、AIDSが大流行した時期に患者層がヒスパニックへ大幅にシフトしたが、 プライマリーケアを担う医療従者達( primary care providers:PCPs)は、彼らに対し、 HIVの検査を受けることやsafer sexのアドバイスを提供することにしばしば失敗している。 と、UCLAのAIDS協会の調査研究が明らかにした。

調査結果はJournal of the National Medical Associationの3月号に発表され、 医師、看護師、医療助手を含んだPCPsについて2004年の3月から6月まで サーベイランスされたものであった。過去6ヶ月間に性行為感染症やsafer sexについて、 きちんとアドバイスをしていたのは41%のみであった。CDC(Centers for Disease Control)が 2001年に出した勧告では、HIVの高流行地域では医者は患者にルーチンでHIV検査を すべきとなっているが、調査期間中に20件以上のHIV検査を行なっていたPCPsは36%に 過ぎなかった。医療従事者は主としてヒスパニックのコミュニティーで診療しており、 患者の多数とスペイン語で会話しているのが57%との報告がある。 「ロスアンジェルスでは、ヒスパニックの新規AIDS患者が増えているにも関わらず、 PCPsは患者に対してHIVテストを提供しようとしていないことが明らかになった。」と Rosa Solorio, MD(assistant professor of family medicine at the David Geffen School of Medicine at UCLA and a co-author of the study)は語った。

1992年から2004年までのロスアンジェルス地域での統計では、新規AIDS患者に占める ヒスパニックのパーセンテージは年々増え続け、この地域における最も多い集団になっている。

このstudyはMitchell Kushner, MDによって行なわれたが、UCLAの公衆衛生学教室の 修士論文にもなっている。SolorioもUCLAのAIDS協会のメンバーでKushneのアドバイザーであった。 Kushneは現在、San Gabriel やPomona valleysも含んだPlanning Area 3で Health's medical director for Serviceである。

Kushner and Solorioは、白人の医師は、ヒスパニックやアジア、アフリカ系アメリカ人に比べ、 患者の性に関する病歴の聴取で劣ることも確認した。サーベイランスされた医療従事者のうち、 男性は59%で、非ヒスパニックの白人は25%、ヒスパニックは27%、アフリカ系が9%、 アジアや太平洋諸国系が33%、6%はその他であった。

このstudyは小規模のもの−働きかけた191人のうち85人のみがサーベイランスに応じた−だが、 白人の医師が、患者の性に関する病歴の聴取で劣ることが指摘された。 「我々は、性に関する病歴の聴取方法を改善しなければならず、更に白人で、もっと情熱的に 仕事をする医療従事者のパーセンテージを上げなければならない。」と、Kushnerは述べた。

サーベイランスに参加した87人の医療従事者のうち87%は、患者に対し6ヶ月間の間に少なくとも 1回はHIV検査を提供していたが、HIV検査の総数は、非常に低かった。6%の医療従事者は 1回もHIV検査を提供しておらず、1〜10回提供したのが27%、11〜20回が24%で、 20回以上は36%であった。7%は不明か、回答なしであった。

検査数が少なかったにも関わらず、6ヶ月間の間に、36%の医療従事者が1人以上の HIV検査陽性者を見出していた。 「この結果は、医療従事者が、主として症状のある患者に対してHIV検査を行なっていることを 示唆している。」 と、Solorioは語った。

郡の健康課によれば、AIDSと診断されたヒスパニックの多数は、HIV陽性からAIDSと診断されるまで 1年未満であった。従って、医療従事者はヒスパニックのコミュニティーに対し、 より早くHIVを見つけるチャレンジが必要である。

ロスアンジェルスはアメリカ国内ではニューヨークに次ぐ2番目のAIDS震源地である。 ロスアンジェルスでは、AIDS患者の人種、民族の分布が他の地域と比べ異なっていると Solorioは記している。郡の健康課によれば、2004年にロスアンジェルスでAIDSと診断された人種、 民族的なグループのうちで、ヒスパニックが48%と最大のものであったが、国全体では19%であった。

SOURCE: University of California, Los Angeles, Health Sciences


広範囲薬剤耐性結核が南アフリカで拡大している。

14th Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI)の報告


2007年3月1日 ロサンゼルスでの報告

非常に危険で驚異的な広範囲薬剤耐性結核が南アフリカで拡大した。これはこの国の9つの州全てで確認された。

「我々はこの広範囲薬剤耐性結核がどのようにして拡大していったのか、いまだに不明である。」南アフリカの医学研究所の結核研究担当のKarin Weyer医師は述べた。

南アフリカの多剤耐性結核の症例は約6000人に渡ると思われている。これらの症例を治療しても、その10%では失敗に終わる。つまり600人が広範囲耐性結核の患者である。

広範囲薬剤耐性結核の患者のほとんどはしかも悪いことにHIV感染している症例である。これらの症例では、数週間以内に死に至る。Weyer医師はプレナリーレクチャーで述べた。

世界AIDS学会において、南アフリカのKwaZulu州のrural病院で、HIV感染患者において、広範囲薬剤耐性結核感染した53人のうちの52人が死に至ったと報告された。この疾患はしかも他に感染した。つまり6人のヘルスケアワーカーが感染した。このうち4人のヘルスケアワーカーはHIVに感染していて、しかもそれらはみな死亡した。加えて、薬剤耐性の結核は、再度結核の制圧を世界レベルでできなくなることにつながる。

広範囲薬剤耐性結核のアウトブレイクは南アフリカに限られたものではないとWHOの結核制圧プログラム担当のPaul Nunn医師は述べている。世界的には約900万人の人々が結核に罹患している。一年間に1.6万人が死亡にいたっている。これらは広範囲薬剤耐性結核によるものが考えられ、米国、カナダ、インド、中国、ロシアを含んだ28の国で報告されている。

広範囲薬剤耐性結核は結核の基本的な領域とHIV感染のケアと予防活動でも注目されつつあり、薬剤耐性結核のマネージメントは重要である。世界的には年間650万ドルがこの広範囲薬剤耐性結核のコントロールに費やされている。

[Presentation title: Transmission of Extensively Drug Resistant TB in South Africa and Implications for Infection Control in Health Care Settings. Abstract 8]