08/02/26配信分

HIV患者における成長ホルモン放出因子の代謝に与える効果

Metabolic effects of a growth hormone-releasing factor in patients with HIV.

Falutz J, Allas S, Blot K, Potvin D, Kotler D, Somero M, Berger D, Brown S, Richmond G, Fessel J, Turner R, Grinspoon S. Montreal General Hospital, McGill University Health Centre, Montreal. N Engl J Med. 2007 Dec 6;357(23):2397-9.


背景:
 HIVに感染した多くの患者で、抗レトロウイルス治療中に内臓脂肪が蓄積する。このプロセスは心血管系のリスクの増大と関連している。我々は、内臓脂肪を減少させるために、成長ホルモン放出因子のアナログであるテサモレリンを用いて評価を行なった。

方法:
 無作為に412人の腹部脂肪を蓄えたHIV患者(うち86%が男性)を選び、26週間にわたって、毎日テサモレリン2mgを皮下注する群とプラセボの群に分けた。プライマリーエンドポイントはCT上で内臓脂肪がベースラインと比べ変化したかで、セカンダリーエンドポイントは中性脂肪、総コレステロールに占めるHDLコレステロールの割合、IGF-T(insulin-like growth factor I)〔*訳注1〕のレベル、自己評価の身体像とした。グリセミック〔*訳注2〕で血糖やインシュリンレベルも計測した。

結果:
 内臓脂肪は、テサモレリン群で15.2%減少したが、プラセボ群では5.0%増加していた。中性脂肪は50mg/dlの低下に対して、プラセボ群では9mg/dlの増加が見られた。総コレステロールに占めるHDLコレステロールの割合は0.31の減少に対し0.21の上昇であった(P<0.001 for all comparisons)。総コレステロール及びHDLコレステロールはテサモレリン群で顕著に改善していた。IGF-Tのレベルはテサモレリン群で81.0%の増加を示し、プラセボ群で5.0%の低下(P<0.001)であった。 有害事象は両群とも明らかな差はなかったが、有害事象を理由にstudyを止めたのは、テサモレリン群の患者のほうが多かった。グリセミックでの計測では、両群で明らかな差は認められなかった。

結論:
 26週間のテサモレリン連日皮下注は、内臓脂肪や脂質を低下させた。治療関連で中心性肥満をきたしているHIV患者にとって有用である可能性がある。

(ClinicalTrials.gov number, NCT00123253 [ClinicalTrials.gov] .). Copyright 2007 Massachusetts Medical Society. PMID: 18057338 [PubMed - indexed for MEDLINE]

* insulin-like growth factor I IGF-T…GHの作用により肝臓で産生されるホルモンで,その血中濃度はGHの総分泌量を反映する。

* Glysemic index (グリセミック指数)…ご飯やパンなどの炭水化物は種類によって、食べた後血糖値が上昇する時間には差があり、この血糖値の上がり方が早いか遅いかを指数にしたのがGI。GIはグルコース(ブドウ糖)を100として基準。


サハラ以南アフリカの成人の細菌性髄膜炎に対するコルチコステロイド

Corticosteroids for bacterial meningitis in adults in sub-Saharan Africa.

College of Medicine, Blantyre, Malawi


背景:
  サハラ以南アフリカでは,細菌性髄膜炎は頻度の高い疾患であり,高い死亡率を伴う.コルチコステロイドを用いた補助療法は,先進国では成人の死亡率を低下させることが示されているが,発展途上国や進行ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染下に関しては十分に検討されていない。

方法:
  マラウイのブランタイアで,入院時診断が細菌性髄膜炎であった成人を対象として,デキサメタゾン(16 mg を 1 日 2 回,4 日間)の無作為化二重盲検プラセボ対照試験と,セフトリアキソン(2 g を 1 日 2 回,10 日間)の筋肉内投与と静脈内投与とを比較する非盲検試験を行った.主要転帰は,無作為化後 40 日の時点での死亡とした。

結果:
  計 465 例の患者(90%は HIV 陽性)をデキサメタゾン群(233 例)とプラセボ群(232 例)に無作為に割り付け,各群においてさらに,セフトリアキソン筋肉内投与(230 例)とセフトリアキソン静脈内投与(235 例)のいずれかに割り付けた.40 日の時点での死亡率は,intention-to-treat 解析ではコルチコステロイド群(231 例中 129 例)とプラセボ群(228 例中 120 例)とで有意差は認められず(オッズ比 1.14,95%信頼区間 [CI] 0.79〜1.64),また,肺炎球菌性髄膜炎であることが確認された患者(コルチコステロイド群 129 例中 68 例に対し,プラセボ群 143 例中 72 例)に解析を限定した場合にも,有意差はみられなかった(オッズ比 1.10,95% CI 0.68〜1.77).身体障害と死亡の複合転帰,聴覚障害,有害事象に関して,群間で有意差はなかった.セフトリアキソン静脈内投与群(230 例中 121 例)とセフトリアキソン筋肉内投与群(229 例中 128 例)のあいだで,死亡率に差はなかった(オッズ比 0.88,95% CI 0.61〜1.27)。

結語:
  HIV 感染の有病率が高い地域の成人の細菌性髄膜炎に対して,デキサメタゾンを用いた補助療法を行ったところ,死亡率,罹患率はいずれも低下しなかった.同条件下で,細菌性髄膜炎に対するセフトリアキソンの筋肉内投与は,静脈内投与に比べて劣ることはなかった.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN31371499)

(N Engl J Med 2007; 357 : 2441 - 50 : Original Article.)


Study Shows Suppressing Herpes Virus May Reduce Infectiousness of HIV

ARLINGTON, VA -- November 15, 2007


 HIVとHSV-2の合併感染の男性患者に対して抗HSV薬を使用すると血中および直腸の分泌物中のHIVのウイルス量の低下がみられ感染の危険が低下する可能性があることが報告された。この研究は11月15日号のJournal of Infectious Diseases誌に掲載された。


 ほとんどのHIV感染者は性器ヘルペスの原因となるHSV2にも感染している。これまでの研究でパートナーへのHIV感染のリスクはHSVにより発症する性器の潰瘍性病変の存在により高率となることが知られている。またHIV・HSV2の合併感染の患者およびin vitroにおける実験ではHIVウイルス量によりHSVのreactivationが増加することが示されている。

 ワシントン大学のConnie Celum医師、Richard Zuckerman医師およびペルーの研究グループがHSV2の抑制がHIVの感染性に対してどのように影響するか検討した今回の無作為化したプラセボ対象比較クロスオーバー試験において、小グループのMSMに対して抗HSV治療をおこなった。

 ペルー在住の22歳から41歳までの20人をエントリーした。患者は抗HIV治療の既往も現時点での抗HIV薬治療も受けていない。
バラシクロビル500mg一日2回内服群とプラセボ郡に無作為に割り付けた。8週後にwashout期間をおいてプラセボとバラシクロビル群をスイッチして8週間継続した。

 患者は治療中、週に3回クリニックを受診し受診ごとに直腸分泌物が採取され血液は週に1回採取されHIV量のチェックもおこなわれた。Dr. Celumらの研究グループはHSVのreactivationを押さえるためのバラシクロビル内服により8週の間に血液中のHIV量が50%、直腸分泌物中のHIV量が30%減少したことを明らかにした。この減少はHIVの感染性において非常に大きなインパクトを与えた。今回の研究ではHSVをコントロールするためのバラシクロビルしか加えていないためHSVのreactivationがHIVのreplicationを増やすというこれまでのエビデンスを支持するものである。


 研究者は現在進行中のもうひとつの臨床試験でHSVの抑制がHIVの感染性を低くしてそして抗レトロウイルス薬の開始をおくらせるかどうか答えがでるだろうとコメントした。

 今回の研究はバラシクロビルを販売しているGlaxoSmithKlineの資金協力およびNIHの研究費でおこなった。

SOURCES: Journal of Infectious Diseases


Tenofovir/Emtricitabine Lowers HIV Resistance in Women Given Nevirapine

LONDON, U.K. --November 6, 2007


 分娩時に内服するNNRTIのNVPの耐性をTDF/emtricitabineを追加することで減らすことが報告された。

 NNRTIのNevirapineは分娩時に母子感染を40%減少させることが報告されており、かつ、安全で安価で使用しやすいため50万人の経産道的に感染する新生児がいる開発国では広く使用されている。

 しかしながら分娩時にnevirapineを使用した後、19-75%の女性、そして少数ではあるが感染した新生児の33-87%でNNRTIに対する耐性が誘導されるという問題がある。
Birmingham 大学のBenjamin Chi医師らは397例のHIV感染妊婦をエントリーしたランダマイズされた試験で解析した。これらのうち198例はtenofovir300mgとemtricitabine200mgを一回内服する群に199例は追加内服市内郡に割り付けた。

 AZTとNVPはすべての症例に使用された。本試験では分娩後6週時点でNNRTIの耐性率を検討した。研究者らは介入により53%耐性が減少したことが判明したと報告した。全体として介入群で12%、コントロール群では25%の危険度であった。副反応としては母体側に貧血と新生児側には敗血症と肺炎が介入群とコントロール群それぞれにみられ、介入が起因したと判断されるものはみられなかった。

 結論としてAZTとNVPを使用するだけでなくtenofovirとemtricitabineを一回併用して内服するのは2週後と6週後におけるNNRTIの耐性変異を減少させた。最大の効果を得るためにはレジメンの変更が必要であるかもしれない。NVPとともに使用する追加レジメンが重要なのではなく、分娩後数日は併用療法が考慮されるべきであるということが、患者のためあるいは地域の健康へのインフラ整備の上で考慮されるべきであろう。

 Brigham and Women's Hospital, Harvard School of Public Healthの Shahin Lockman医師やJames McIntrye医師らの追加のコメント
「短期間のAZTとNevirapine内服療法にtenofovir/emtricitabineの一回内服を追加することはCD4数が高値である女性におけるNVP耐性を抑制するために新しく、効果が期待できかつ実行可能な方法であり真剣に導入への取り組みをおこなうべきである。」

SOURCE: The Lancet


Improvement Still Needed in HIV Testing in High-Risk Groups


DURHAM, NC --October 22, 2007


 米国では2000年以来HIV検査の割合は、これまでHIV検査を受けたことがある人の3分の1、ウイルス感染のハイリスク群である人々では4分の1以下程度とまだ低いまま推移している。検査受診率を分析をしたDuke大学の研究者たちは依然として検査の受診率が低いハイリスク群へ検査受診がひろがるようにリスクの低い人々も含めて国家的なHIV検査の推進に向けた努力を行うように主張している。ハイリスク群は検査を受ける気持ちが強いことがわかった。しかし彼らの行動はその意図とマッチしていない。 とDuke University's Center for Health Policyの Brian Wells Pence博士らがArchives of Internal Medicineでコメントした。

 146,868人の健康調査の解析によりHIVのハイリスク群、うつ病、アルコール依存者らすべてにおいて検査を受ける意図と実際の行動とでのギャップが明らかにされたが、ローリスク群では観察されなかった。最新の声明で、一般へHIV検査を広げることを強調しているが、このような取り組みはよりハイリスク群に検査を受けさせるための対価として考えるべきではないとPenceはコメントした。今回の我々の解析はハイリスク群の人たちは自分たちが検査を受けなければならないことを知っていることを示唆しておりこのような一群の検査へのアクセスに焦点をあてることで検査を増やすことができるかもしれない。アルコール依存やその他の精神的なケアを受けている患者の周辺では検査を受ける機会増えるかもしれない。

 AIDSへの危険の高い人々はコンドームを使用しない性交や静注薬物使用者が含まれている。彼らは解析のため2000年から6年間連続した国民健康調査のデータを収集した。これらの政府による調査は毎年35000世帯以上で幅広いデータを集積しており、アメリカ人全体のある時点での平均的な健康状態を得ることを目的としている。Duke大の調査グループは、将来HIV検査を受ける意志をもったグループとすでに過去に受けたグループという特定の部分に焦点をあてた。全体として実際に検査を受けた数が受けようと計画している数を上回ったことがわかった。しかし、ハイリスク群では逆であった。ハイリスク群で来年検査を受けようと考えている人が27%であったが、実際に検査を受けたことがある人は11%であった。「我々の解析で個人あるいは構造的な障壁によりある一定の個人とくにハイリスク群では検査を受ける気持ちと実際の検査行動との解離がすすんでいく。例えば、プライマリーケアへのアクセスが絶たれた人たちは検査への意欲が行動へ発展しないように見えた。 同様のことが、うつや、アルコール依存の人々でも見られた。

 CDCの予想を支持した形の結果であったためHIV検査は日常診療でのルーチン検査として含むことが容認された。Duke大の研究チームは検査を受けた人の44%がたとえば、出生前訪問看護や、その他の定期外来予約時のようなhealth care systemにより検査が促されたことがわかった。 そしてHIV検査を広めるために日常診療の中に組みこんだCDCの努力は成功していると結論付けた。???

 また、マイノリティの女性は白人男性より検査を受ける意志があることがわかった。約110万人のアメリカ人がHIVに感染していてそのうちの4分の1程度は自分が感染していることに気づいていない。そしてこの気づいていない少数派の半分以上が新たなHIV感染にかかわっていると考えられておりCDCの最優先課題としてHIV検査が位置づけられている。

  この研究はthe National Institute of Alcoholism and Alcohol Abuseによってサポートされている。

SOURCE: Duke University