08/11/19配信分

HIV感染者における肛門上皮内腫瘍の監視と経過観察が、診断技術の組み合わせによって、より効果的に行われた

原題:Combining Diagnostic Techniques Can Improve Surveillance and Follow-Up of Anal Intraepithelial Neoplasia in HIV Patients: Presented at ASCP

2008年10月17日、バルチモア

2008年米国臨床病理学会年次学会での発表によると、肛門の細胞診, 生検, そして高解像度の肛門鏡を組み合わせることによって、HIV感染者における肛門上皮内新生物の監視と経過観察が、より効果的に行われることがわかった。

オハイオ州シンシナティ大学のジョージ・C・チャン博士と同僚は、高解像度肛門鏡、生検所見と、肛門細胞診との相関を検討した。2005年から2007年の期間、チャン博士らは142例のHIV陽性男性患者を対象に、肛門上皮悪性新生物のスクリーニングを目的とする肛門細胞診を施行した。細胞診で異常所見を認めた患者に対しては、高解像度肛門鏡を施行した。「Reid's colposcopic index」に準拠して、病変が疑われる部位の生検を行った。細胞診と生検結果は、それぞれ別個に2名の技師が子宮頸部のパップテストで用いられる基準、「Bethesda criteria」に基づいて検討した。HIV感染症の病態を評価するため、肛門鏡の施行から4ヶ月以内のウイルス量を、細胞診、生検のReid'sスコアと比較した。

高解像度肛門鏡および生検は34例で施行された。Reid's スコアによると、9%が肛門上皮内新生物スコアTに分類され、スコアUが41%、スコアUかVが50%であった。生検結果は、正常が6%、低度扁平上皮内病変29%, 高度扁平上皮内病変56%, そして扁平上皮癌が6%であった。

Reid's スコアは、生検結果と良好な相関を示した (P =.04)。扁平上皮癌のうち2例は、スクリーニング目的の高解像度肛門鏡が事前に行われていなかった。細胞診が正常な患者は、細胞診で異常を認めた患者と比較してHIVウイルス量が有意に低かった (1,321vs 24,412 copies/mL, P = 0.02)。

チャン博士は肛門の細胞診、生検、高解像度肛門鏡の検査結果が一致していたと結論づけた。「これら3つの検査を組み合わせると、肛門上皮内新生物の監視と経過観察を、より効果的に行うことが期待される。さらに、3つの検査結果を比較することで、検査の質が保証される」。

炎症性マーカー、血沈と間欠的HIV治療による危険は関連がある

Markers of Inflammation, Blood-Clotting Tied to Hazards of Intermittent HIV Treatment

BETHESDA, Md October 21, 2008

PLoS Medicineで発表されたstudyによれば、炎症マーカーである血沈の高値が、間欠的な抗レトロウイルス療法と非AIDS疾患による高い死亡リスクと強く関連しているということである。

HIV感染患者に対し、継続的にARTを行う標準的治療と、CD4数に応じてARTを間欠的に行なう治療とを比較したstudy:Strategies for Management of Antiretroviral Therapy (SMART) studyの解析が行なわれた。

目標は、副作用の発現や薬剤耐性ウイルスの発生を招いている抗レトロウイルス薬の暴露を軽減できるかどうか決定することで、HIVを継続的に抑えている治療と同等、あるいは優っているという効果が期待された。残念ながらARTを間欠的に行なった場合では、病気が進行したり、死亡したりする例が2倍に達しているという結果が2006年に出て、studyは早期に中止された。

この結果を見直して、ミネソタ大学 (ミネアポリス)のJames D. Neaton博士らは、患者の中にはARTを休止することによって、HIVレベルが上がり、炎症や血沈を刺激するという仮説を立てた。

この仮説を確かめるために、研究者らはSMART studyの患者の血液サンプルから得た炎症性蛋白と血沈を精査した。Studyを開始した人々は、死亡リスクを高めるバイオマーカーであるインターロイキン6(IL-6)やD-ダイマーが、他のstudyの参加者のものと比べ、有意に高値であった。

study開始1ヵ月後の間欠的治療グループのIL-6やD-ダイマーは、継続的治療グループに比べ有意に上昇していた。

この観察結果に基づき、筆者はIL-6やD-ダイマーが有意に高値なHIV患者は死亡リスクが高いと結論づけた。SMART studyでのほとんどの死亡例は、非AIDS性疾患に起因していた。Studyに参加し、間欠的ARTを受けたボランティアで、これらのバイオマーカーが上昇しているものは、今後死亡リスクが更に高まるかもしれないと筆者は述べた。

 

SOURCE: National Institutes of Health/National Institute of Allergy and Infectious Diseases

FDAは未治療患者に対するDarunavirの適応を拡大した。

2008年10月22日 New York

FDA(アメリカ食品医薬品局)は未治療のHIV患者に対して、HIV併用療法の1つとしてDarunavirを1日1回投与することを承認した。また治療経験患者使用において、Darunavirを1日2回投与することも承認した。

48週間、未治療患者と治療経験患者に対して行われた2つの対照第3相試験と96週間、臨床的に進行した治療経験患者に対して行われ2つの対照第2相試験より得られた、HIV-RNA量とCD4数の解析に基づいて適応は決められた。

48週間のARTEMIS(Antiretoroviral Therapy With TMC114 examined in Native Subjects:未治療患者に対するTMC114による抗レトロウイルス療法調査 )trialの結果では、Darunavir(TMC114)投与群(n=343)の84%はウイルス量が検出感度以下(<50コピー/ml)となった。比べてLopinavir投与群(n=346)では、検出感度以下に達したのは78%であった。

CD4数のベースラインからの変化の中央値は、Darunavir投与群、Lopinavir投与群とも似ていて、統計学的な有意差は認められなかった。

共通した有害事象で2%以上認められたものは、少なくとも中等度程度のもので、下痢(6%)、頭痛(5%)、腹痛(4%)、嘔気(3%)、嘔吐(3%)、発疹(2%)であった。

48週間のTITAN(TMC114/r Treatment-Experienced Patients Native to Lopinavir:Lopinavir未使用の治療経験者におけるTMC114/r投与)trialの結果では、Darunavirを投与群(n=298)の77%はウイルス量が<400コピー/mlに到達し、対してLopinavir投与群(n=297)で<400コピー/mlに到達したのは67%であった。(p<0.0001)Darunavir投与群において共通して認めた有害事象で2%以上のものは、少なくとも中等度程度のもので、下痢(12%)、嘔気(7%)、発疹(6%)、腹痛(5%)、嘔吐(4%)、無力症(3%)、頭痛(2%)、腹部膨満(2%)、胃腸障害(2%)であった。

臨床的に進行した状態の治療経験者において行われた、96週間のPOWER(Performance of TMC114/ritonavir When Evaluated in Treatment-Experienced Patients with PI Resistance:PI抵抗性の治療経験患者に対するTMC114/ritonavir投与)trialの結果では、ウイルス量のベースラインから1.0log10(90%)の減少に到達した割合は、Darunavir投与群(n=131)で57%、比較して他のPI投与群(n=124) で10%であった。

SOURCE:Johnson & Johnson

ダルナビル/リトナビルはロピナビル/リトナビルにくらべてHIVの抑制効果が優れていた:ICAAC/IDSAでの発表より

Darunavir/Ritonavir Achieves Superiority Over Lopinavir/Ritonavir in Suppressing Human Immunodeficiency Virus: Presented at ICAAC/IDSA

2008年10月28日 ワシントンDC

HIV未治療群を対象とした臨床試験の結果、ダルナビル/リトナビルは他のHIV治療薬との併用により、ロピナビル/リトナビルを使用した群と比べて、すぐれた効果を示したとする研究結果が、第48回米国微生物学会(ICAAC)/第46回米国感染症学会(IDSA)合同の年次総会で発表された。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の主任研究者、アンソニー・ミルズ医師は、「1日1回服用のダルナビル/リトナビルによって、HIV未治療患者にとって、新たに、より効果的で耐用性にすぐれた選択肢が得られた」と話している。

TMC114(ダルナビル)によるHIV未治療者を対象とした第3相の無作為試験、ARTEMIS試験は、192週の間、プロテアーゼ阻害薬であるダルナビルとロピナビルの効果と安全性を比較した試験である。689例が登録され、343例がダルナビル服用群に、346例がロピナビル服用群に割り付けられた。参加者は、固定された用量のヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤エムトリシタビンと、ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤テノフォビルを、同時に服用した。

「HIV未治療者に対し、1日1回800/100 mgを服用するダルナビル/リトナビル群は、ロピナビル/リトナビル群と比較して非劣性であっただけでなく、統計学的に優れていた」と、ミルズ医師は10月26日のポスター掲示で示した。96週の時点で、ダルナビルを服用していた成人群の79%が、ウイルス量の検出限界以下(50コピー/mL未満)を達成した。一方、ロピナビル服用群(800/200 mg)では、71%であった(P = .012)。ミルズ医師によると、96週時の結果から示されたダルナビルの効果は、ウイルス量が多い患者、あるいはCD4陽性細胞数が少ない患者で、最も発揮されていた。さらに、ロピナビル/リトナビル服用群と比べ、ダルナビル/リトナビルでは副反応による治療中断例がより少なかった。ダルナビルを加えた併用療法は下痢の頻度が少なく、中性脂肪と総コレステロール値の上昇が平均してわずかであった。

[演題名:ARTEMIS: Efficacy and Safety of Darunavir/Ritonavir (DRV/r) 800/100 mg Once-Daily Vs Lopinavir/Ritonavir (LPV/r) in Treatment-Naive, HIV-1-Infected Patients at 96 Weeks. Abstract H-1250c]

未治療のHIV感染患者に対しての、ラルテグラビアによる治療は、エファビレンツに劣っていないことが証明された

Raltegravir Proven Noninferior to Efavirenz in HIV Patients Naive to Antiretroviral Therapy: Presented at ICAAC/IDSA

WASHINGTON, DC October 28, 2008 By Ed Susman

HIV感染患者の治療を始めるに当たって、インテグラーゼ阻害剤であるラルテグラビアを使用する治療は、同一のバックグラウンドのレジメンの基で、エファビレンツを使用する場合に比べ劣っていないことが示された。ということが第48回ICAAC(Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy)及び第46回IDSA(Infectious Diseases Society of America)の年次総会で報告された。

第3相STARTMRK studyには、抗レトロウイルス薬未治療のHIV感染患者が563人参加し、48週間にわたって、281人は日に2回400mgのラルテグラビアを内服し、282人は日に1回エファビレンツを内服した。ラルテグラビア群の86%、エファビレンツ群の82%でウイルス量は検出限界以下(50 copies/mL以下)となった(P < .001 for noninferiority)。

CD4陽性細胞数の増加でいえば、ラルテグラビア群の患者の方が数的に優位−平均で、ラルテグラビア群で189、エファビレンツ群で163−であったと、筆頭研究者のJeffrey Lennox博士(MD, Emory University, Atlanta, Georgia)は10月26日のoral late-breaker reportで述べた。ラルテグラビア群の患者の方がエファビレンツ群の患者より検出限界以下に達するのが早かったが、その人数は48週時点で変わりなかった。

「ラウテグラビアはエファビレンツより耐容性において優れていた。薬剤関連の有害事象は、281人のラルテグラビア患者の44.1%に対してエファビレンツ群282人の77%で認めた(P < .001)。」とLennox博士は付け加えた。中等度〜高度の有害事象は、ラルテグラビア群で約16%、エファビレンツ31.9%(P < .001)であった。

prespecified endpoint の8週時点での中枢神経系の有害事象はラルテグラビア群で10.3%、エファビレンツ群で17.7%(P = .015)で、48週時点では蓄積傾向にあったとDr.Lennoxは述べた。

脂質に関してもラルテグラビアに有利であった。ラルテグラビア群では平均で総コレステロールが10mg/dLの上昇であったが、エファビレンツ群では33mg/dL (P < .01)であった。同様に、LDL、中性脂肪でも有意差がみられたと、Dr.Lennoxは語った。

HDLコレステロールの増加については、エファビレンツ群で10mg/dL、ラルテグラビア群で4mg/dLと有意差を認めたが、総コレステロールに占めるHDLコレステロールの割合には変化は無かった。

このstudyに参加した総ての患者が、コンビネーション治療として逆転写酵素阻害薬のテノフォビルとエムトリシタビンを内服していた。

このstudyはMerck & Co., Incによって資金提供を受けた。

[Presentation title: STARTMRK, a Phase III Study of the Safety & Efficacy of Raltegravir (RAL)-Based vs Efavirenz (EFV)-Based Combination Therapy in Treatment-Naive HIV-Infected Patients. Abstract H-896a]

HIV感染妊婦に対してブーストされたSaquinavirは安全かつ有効であった。

Presented at ICAAC/IDSA  By Ed Susman

2008年10月29日 Washington,DC

「HIV感染妊婦は、HAARTにおいてritonavirでブーストされたプロテアーゼ阻害薬であるSaquinavirの保護作用を失っていない。」と研究者らは、第48回インターサイエンス会議(ICAAC)と第46回米国感染症学会(IDSA)にて述べた。

「saquinavirの血中濃度は妊娠に影響されない。」と主研究者で、タイのバンコクにあるオランダ、オーストラリア、タイHIV共同研究所のJasper van der Lugt医学博士は述べた。

Ritonavirに暴露されたAUCは妊娠期間中減少したが、全体的にみるとritonavir濃度の変化は結果に影響しなかった。そして調査を終了した31人の女性患者のうち25人はHIV陰性の児を出産した。残りの6人の児の状態は、follow upされていないので不明であるとvan der Lugt医学博士は述べた。また10月25日のポスター発表で「この調査においてウイルス学的失敗はなかった。」とも述べた。このstudyで、医師らは40人女性患者を集めた。3人は治験の薬物療法を優先するため中止し、他の6人は早い段階で調査研究から脱落した。この調査に参加した女性患者31人の平均年齢は29歳であった。

この調査の目的は、妊娠の過程において、ritonavirとsaquinavir間に薬理学的な相違があるかどうかを判定することであった。妊娠第二期(妊娠6カ月)以前の女性患者を登録した。

Saquinavirの血中濃度のAUCは、23.35mg/L(妊娠20週)〜20.64mg/L(妊娠33週)〜25mg/L(妊娠6カ月)に及び、これらに有意差は認めなかった。van der Lugt医学博士は述べた。

しかしながら妊娠中のritonavir血中濃度は6.73mg/L〜8.40mg/Lに及び、妊娠6カ月時には11.57mg/Lまで上昇した(P=0.030)。15人は妊娠中に薬物動態調査を完了し、9人は産後調査を完了した。

「妊娠はsaquinavirの血中濃度に影響を与えないと思われる。しかしながら産後に関しては、結論付けるには検体が少なすぎた。」とvan der Lugt医学博士は述べた。

患者らはsaquinavir/ritonavirの新しい合剤と2種の逆転写酵素阻害剤を投与された。

ブーストされたSaquinavirの新しい合剤を妊娠期間に使用することはよい選択肢である。とvan der Lugt医学博士は結論づけた。

資金提供:Roche Laboratories Inc

[Presentation title: Safety, Efficacy and Pharmacokinetics of Saquinavir Boosted by Ritonavir (1,000/100mg BID) in Pregnant HIV Infected Women. Abstract H-455]

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