09/04/22配信分

男性の包皮環状切除は、陰部ヘルペスとHPVの危険を減らすが、梅毒は減らさない

Male Circumcision Reduces Risk of Genital Herpes and HPV, But Not Syphilis

BETHESDA, Md March 26, 2009

3月26日のNEJMで公表された研究によると、環状切除術によって男性は、単純疱疹ウイルス2型(HSV-2)およびヒト乳頭腫ウィルス(HPV)に感染する危険を有意に減らすことができる。しかしこの研究では、環状切除術によって梅毒感染の危険を減らす効果は認めなかった。「男性の医学的環状切除術の有用性について、公衆衛生学的に累積された科学的根拠は今や圧倒的である」、「この新しい研究は、HIV、陰部ヘルペス、HPVの感染および陰部潰瘍を含めた危険性の減少に関して、環状切除術の実質的有益性を検証する。」と、試験責任者Thomas C. Quinn,MDとBethesda(国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)国際HIV・STD部門、メリーランド州)は述べた。

研究者は、環状切除術によるHIV感染予防効果を証明し、さらに梅毒やHSV-2を含む性感染症を防ぐ能力も評価したウガンダにおけるRakai保健科学プログラムの2つの並行試験からの標本を用いて検査した。彼らはまた、環状切除術のHPV感染に対する予防効果も評価した。

2 件の試験に、HIV およびHSV-2陰性で包皮環状切除歴のない15〜49 歳の男性 3,393人を登録し、2つの被験集団に任意に割り当てた。1,684例の介入群は外来で即、専門家によって環状切除術を施行された。対照群1709例は24か月後に環状切除術を受けた。研究者は6、12および24か月におけるHSV-2と梅毒感染を評価した。さらに、697例(治療群から352例; 対照群から345例)のサブグループには、登録時点と24か月時点におけるHPV感染の有無を評価した。

HSV-2感染の累積罹患率が対照群(10.3%)より介入群(7.8%)で有意に低かった。全体として、医学的包皮環状切除術が男性のHSV-2感染の危険を28%低下させた。両方の治験からの結合した結果から、介入群ではさらに、HPV有病率の35%低下を実証した。24か月時点でのサブグループ評価では、癌腫に関連するハイリスクHPVは、介入群の42例/233例および対照群の80例/287例に検知された。しかしながら環状切除は梅毒の発現率には影響しなかった。24か月時点で、梅毒は治療群の50例および対照群の45例に検知された。

「これらの知見は、特にアフリカのような高罹患率の地域ではHIV、陰部疱疹およびHPVの流行をコントロールする上で大きな公衆衛生学的意味を持っており、さらに言えば環状切除術施行率を拡大する努力がすさまじい利益をもたらすだろう」と試験責任者のDavid Serwadda博士(Makerere公衆衛生大学、ウガンダ、カンパラ)は述べた。

「私たちの研究の次の焦点は、男性の環状切除術が女性パートナーのHPV感染を減らす可能性を評価するために、Rakai治験で集められた追加のデータを分析することだ」と試験責任者RonaldH. Gray, MD (Johns Hopkins大学Bloomberg公衆衛生学部門、メリーランド州ボルチモア)は述べた。

(National Institutes of Health)

患者毛髪のプロテアーゼ阻害剤濃度により、ウイルス学的成功を予測することができる。

Levels of Protease Inhibitors in Hair Can Predict Virologic Success in HIV PatientsHIV

サンフランシスコ 2009年3月4日

2月20日号のjournal of AIDSに掲載された研究によると、治療中のHIV患者より採取した毛髪サンプルの抗レトロウイルス薬濃度を調査することは、治療の成功を強く予測することがわかった。

毛髪の抗レトロウイルス濃度が高いことが、治療におけるHIVウイルス抑制の成功に相関する。そして通常用いられる、その他の様々な指標よりも良好に反応を予測すると考えられた。筆頭研究者であるサンフランシスコ州、カルフォルニアのカルフォルニア州立大学サンフランシスコ総合病院positve health programのMonica Gandhi,MDは述べた。

Gandhi医学博士によると毛髪より、長期維持投与されている薬剤消費量の割合を反映する薬物濃度を解釈することができる。長期暴露された薬物の平均濃度を評価することは、薬物の血中濃度により得られる結果より、治療の反応を予測することができる。

研究者らは、抗レトロウイルス療法を行っている患者224人の後頭部から毛髪を10本採取した。1994年に立ち上げられた、現在進行中のリスクのある非感染女性を対象とした、HIV感染の多施設前向き研究であるWomen’s interagency HIV study(WIHS)から抽出した。毛髪の上層の頭皮に近い部分をカットし、頭皮から最も離れた部分にテープで印をつけ、アルミニウムホルムで束を包んだ。毛髪のサンプルは、解析するまで、プラスチックバック内に室温で保存した。

毛髪の抗レトロウイルス薬濃度は、新規のプロテアーゼ阻害剤ベースのレジメンで治療しているすべての女性において、強く、そして非依存性に治療反応に関連していた。ロピナビル/リトナビルを投与している患者では、ウイルス抑制におけるオッズ比(OR)は、ロピナビルを投与している患者のロピナビルの毛髪濃度(高3分位数>1.9ng/mg、低3分位数≦0.41ng/mg)に対して39.8(95%CI,2.8-56.4)であった。また自己申告のアドヒアランス、年齢、人種、開始時のウイルス量とCD4数とプロテアーゼ阻害剤使用歴をチェックした。

アタザナビルの投与を開始した女性では、ウイルス学的成功におけるORは、アタザナビル投与女性の毛髪濃度(高3分位数>3.4ng/mg、低3分位数≦1.2ng/mg)に対して、7.7(95%CI,2.0-29.7)であった。

処方された薬物使用量を微調整するために、この技術は使用できるかもしれない。とGandhi医学博士は述べた。

私たちは、毛髪の薬物濃度を測定し、ウイルス抑制と相関する濃度を発見し、処方された薬物量を減量することができる。もしウイルス制御のために必要な濃度を上回る濃度であった場合、薬物毒性を減少させることができる。そして私たちの次の段階は、資源の限られた環境で、この方法をテストすることである。このような環境では、採血やウイルス量のモニタリングは高額で、困難である可能性が高いからである。と彼女は結論づけた。この方法は薬物投与の評価を手助けするだけでなく、このウイルス学的成功との強い相関により、特にやりがいのある環境下で、治療の成功をモニタリングする方法として、低額で、非侵襲的なこの技術を利用することを可能にした。

P4503Aは、体内からメタドンを除去する効果はないと研究者は語る

P4503A Has No Effect on Clearing Methadone From the Body, Say Researchers

ST. LOUIS, Mo March 3, 2009

酵素P4503AにはHIV感染でプロテアーゼ阻害薬を服用している患者の体内からメタドンを除去する効果はないという事がAnesthesiology and online in the journal Drug and Alcohol Dependenceの3月号で発表された。

年余にわたって、酵素P4503Aは、体内からメタドンを除去する働きを負っていると信じられてきた。しかし、ヘルシーボランティアが、少量のメタドンと、P4503Aの活性を減弱させる原因とされているプロテアーゼ阻害薬を一緒に服用したところ、メタドンのクリアランスに関して減少が見られなかった。

「残念ながら、痛みに対してメタドンを使用することが増えており、有害事象やメタドンに起因する致死的なことが著増している。重要なメッセージは、直接的なメタドンの治療は、適切ではないかもしれないという臨床医によるガイドラインである。」と、筆頭研究者のEvan D.Kharasch, MD(Washington University School of Medicine, and Barnes-Jewish Hospital, St. Louis, Missouri)は語った。

Dr. Kharaschらは、メタドンと酵素P4503Aの相互関係を、腸管、肝臓において、ネルフィナビル、インジナビル、リトナビル使用と関連して観察した。

Studyのボランティアには、リトナビルとインジナビルが与えられた。この薬剤は両方とも酵素活性を著しく抑制する。もし、この酵素がメタドンのクリアランスを担うものであるならば、酵素を抑制することによって体内でメタドンが増加する原因になるはずである。しかし、研究者たちはメタドンレベルにそういった効果を認めなかった。

次のstudyでは、ボランティアはネルフィナビルが与えられた。これもまた、P4503Aの酵素活性を抑制した。メタドンの濃度は上昇するべきところであったが、実際には活性が半分に減弱していた。

「10年以上前から実地臨床家は、酵素P4503Aを含む薬剤相互作用が、メタドンの代謝を変える可能性について警告していた。添付文書には酵素を抑制し、メタドンのクリアランスを低下させる原因となる可能性が記載されていたが、研究者たちは、P4503Aが体内からメタドンをクリアランスする何の効果も示すことが出来なかった。従って添付文書は不適切、あるいはメタドンの動態、薬物相互作用のポテンシャルについてのガイドラインに沿って再評価される必要がある。」

「疼痛に対する治療が不十分であったり有害事象が出現する最もリスクの高い期間は、最初の2週間で、患者はメタドンを服用する。もし、我々が医療者にもっと良い内服に関するガイドラインを提供できれば、痛みに対してもっと良い治療ができ、死亡や有害事象を限られたものにできるのではと、信じている。」と、Dr. Kharaschは語った。

「HIV-AIDSの治療に対するリサーチも重要だ。プロテアーゼ阻害剤はP4503Aの活性に干渉を及ぼすが、P4502Bの活性は増強させる。このパラドックスは非常に珍しい。そして、これらの2つの酵素が多く薬物を代謝しているので、これらがどのようなシステムで体内に吸収され、クリアランスされているのか、もっと知ることができれば、薬物相互作用に関してのポテンシャルに対して、もっと多くのことを理解することができるようになるであろう。」と、続けている。

SOURCE: Washington University in St. Louis - School of Medicine

* Methadone (メタドン):ヘロインの誘導体の商品名

Smaller Effect on Renal Function Seen With Abacavir/Lamivudine Than Tenofovir/Emtricitabine in HIV-Infected Patients: Presented at CROI

By Danny Kucharsky MONTREAL February 12, 2009

HIV感染者においてカレトラ(LPV/rtv)を1日1回の内服key Drugとしバックボーンにツルバダ(TVD)とエプジコム(EPZ)を使用する比較試験においてツルバダ群は腎障害のリスクが高いことが報告された。

「今回の試験でみられた差は非常に小さく、HIV感染者はもともと30%程度までの割合で腎障害がみられているため、評価には注意が必要である」と発表者のJohns Hopkins 大学腎臓内科Derek Fine医師がコメントしている。

患者は腎障害が進行するまで無症状で気づかないことが多く、かつ高血圧や糖尿病、C型肝炎、CD4数が低い等のリスクをもっている患者も多い。アバカビル(ABC)では関連が低いとされるが、テノフォビル(TDF)はCcrの低下や近位尿細管障害の発生との関連が報告されており、これは腎における薬剤排出の問題に起因するといわれている。

今回の研究では Fine医師らは、HEAT trialと名付けた EPZとTVDの二重盲検比較試験の96週時点での688例の集計結果を報告した。

もともとHEAT studyは初回治療群に対してカレトラの一日一回療法をkeyとしてバックボーンのEPZとTVDの非劣性が証明された試験であった。

しかし96週時点でTVD群において多くの腎障害(うち近位尿細管障害5例)が報告された。さらに慢性腎障害に進行した症例はややTVD群に多いという結果もみられた。(15% vs 10%)。そしてStage3まで進行した慢性腎障害はやはりTVD群に多かった(11% vs 4%)。この結果96週を超える観察において腎障害が出現するリスクはEPZで少なく、たとえ腎障害が発現してもEPZの方が改善する症例が多いことがわかる。

Fine医師は HAARTの普及により生命予後が改善して長期生存者が増えるなかで腎疾患と薬剤副作用としての腎障害はとても重要な問題でありHAARTを受ける患者はルーチンで腎機能のモニタリングを行うことで腎障害の早期発見に努めるべきであると結論された。

[Presentation title:Assessment of Renal Findings of Abacavir/Lamivudine Compared With Tenofovir/Emtricitabine in Combination With Once-Daily Lopinavir/Ritonavir Over 96 Weeks in the HEAT Study. Abstract 744]

Long-term control of HIV by CCR5 Delta32/Delta32 stem-cell transplantation.

1: N Engl J Med. 2009 Feb 12;360(7):692-8.

N Engl J Med. 2009 Feb 12;360(7):724-5.

HIV感染には、CD4受容体と主にCCR5などのケモカインレセプターの存在が重要である。

CCR5対立遺伝子上の32塩基対欠損によるホモ接合体を認める場合、HIV-1感染に対して抵抗性を示す。そこで我々は、CCR5 delta32のホモ接合体を持っているドナーの幹細胞を、AML(急性骨髄性白血病)でHIVに感染している患者に移植した。移植し、抗レトロウイルス療法を中止した後20ヶ月、患者のウイルス量のリバウンドなく維持されていた。

この結果より、HIV-1感染を維持するために、CCR5は決定的な役割を担っていることが証明された。

2009 Massachusetts Medical Society

N Engl J Med. 2009 Feb 12;360(7):692-8.Related Articles, Links

N Engl J Med. 2009 Feb 12;360(7):724-5.

PMID: 19213682 [PubMed - indexed for MEDLINE]

母子感染HIV疾患の進行、死亡率、及び微量栄養素のレベルにおける 母乳栄養 対 人工栄養の効果

Effect of Breastfeeding vs Formula Feeding on Maternal HIV Disease Progression, Mortality, and Micronutrient Levels :Presented at CROI

By Bruce Wilson MONTREAL -- February 12, 2009

HAARTを受けている女性で、母乳栄養をしている場合、人工栄養にしている人と同様の死亡率であるが、6ヶ月間の母乳栄養では、人工栄養を使った場合と比べ、AIDSに進行する傾向が高い、というMashi母子感染予防(PMTCT)studyからの見解が、第16回レトロウイルスと日和見感染症学会(CROI)に於いて発表された。

WHOはHIV感染女性に、母乳に替わる栄養法を推奨しているが、殆どは、未だ母乳栄養であると、筆頭著者のShahin Lockman, MD(Brigham and Women's Hospital, Boston, Massachusetts)は語った。

以前に行なわれた臨床トライアルでは、母乳栄養は人工栄養に比べ3倍の死亡率(11%vs 4%)であったが、このstudyでは、そういった見解は得られなかった。中には、母乳栄養で、死亡率が下がったり、健康上のリスクが低下している場合もあった。

「これは、母乳栄養を選ぶ女性の方が、栄養開始段階では、より健康的であるからという理由によるものかもしれない。」と、Dr.Lockmanは語った。

HIVに感染した母において母乳栄養と人工栄養の影響を調べる為に、リサーチャーらはstudyに参加したボツワナの1200人のHIV感染母を無作為に振り分け、6ヶ月間母乳栄養をするグループ(乳児にはジドブジンを延長して使用)と、人工栄養するグループに分けた。トライアルの期間中にWHOのクライテリアを満たせば、HAARTを使用することは可能であった。

母らは平均して4.5年経過観察された。プライマリー複合エンドポイントはCD4数<200 cells/mm3、AIDS発症あるいは死亡で、intent-to-treat, Kaplan-Meier法で評価された。

プライマリーエンドポイントのAIDSへの進行あるいは死亡は、母乳栄養の場合で34%、人工栄養では28%であった。Dr. Lockmanは「この結果は、他の要因を調節していない段階では、境界線傾向であった。」と語った。

無作為に振り分けられた65人の母乳栄養群と66人の人工栄養群では、微量栄養素(ビタミンB12,A,E,セレニウム)、アルブミン、CRPもテストされた。母乳栄養群の女性のほうがCRPレベルが上昇していたが、それに対しての説明はなかったと、Dr. Lockmanは語った。

これらの混在した要素を除いて考えると、PMTCT studyは、HIV感染女性が我が子に栄養を与える手段として母乳を選択した場合、死亡率が高くなるということはないということを再保証したと、リサーチャーは結論づけた。

[Presentation title: The Effect of Breast Feeding vs Formula Feeding on Maternal HIV Disease Progression, Mortality, and Micronutrient Levels in a 1200-Person Randomized Trial, Botswana. Abstract 176]

HIV-Positive Patients With Pulmonary Tuberculosis at High Risk for Acquired Rifampicin Resistance When They Fail Standard Treatment: Presented at CROI

By Danny Kucharsky MONTREAL February 12, 2009

結核合併HIV感染症患者が、週三回の間欠的内服療法に失敗した時にはRFP耐性を獲得するリスクが高いことが第16回CROIにて報告された。報告者はインドChennai結核研究所のSoumya Swaminathan医師で2月10日に発表した。

この研究の目的はHIV患者と非HIV患者の結核について6ヶ月の標準療法における治療失敗とRFP耐性の獲得について評価することである。Swaminathan医師らはthe Indian Revised National TB Control Programにおいて結核研究所で行われた二つの無作為割り付けによる臨床試験を解析した。

すべての登録患者は新たに結核と診断され初期2ヶ月のEB、INH、RFPおよびPZA4者による連日内服からその後4ヶ月HRを週3回内服する治療レジメンを受けた。246例がHIV陰性で212例がHIV陽性ですべてが結核患者であった。

治療終了後、4%のHIV陰性患者で培養陽性が持続した治療失敗がみられ、HIV陽性者では8.9%であった。治療失敗しなかったHIV陽性患者とRFP耐性を獲得した患者を比較するとCD4陽性細胞の数が治療失敗しなかった群で低かった。(146対215 p<0.001)さらにリンパ球数についても同様であった。(16.6%対27.5%  p<0.001)さらに排菌レベルについては治療失敗しなかった群で高かった。(G2号以上の割合で42%対29%)

HIV陽性患者に発症した結核は非HIV患者より治療成績がわるくなるが、加えてHAARTを受けていない患者も治療失敗のリスクが2.6倍高いという結果が得られた。そしてRFP耐性獲得のリスクは24倍高くなることがわかった。

「免疫不全患者にはRFP耐性に対する緊急的なルールを作成する必要がある。そして今回の結果は現在HIV感染者において広く行われている結核治療に影響を与えるだろう。」とSwaminathan 医師は結論をのべた。

[Presentation title: Acquired Rifampicin Resistance in HIV-Infected and-Uninfected Patients With TB Treated With a Thrice-Weekly Short-Course Regimen. Abstract 783]

※日本における結核の標準療法はHRE(or S)+Z(2ヶ月)→HR(E)(4ヶ月連日)

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