09/09/17配信分

ロピナビル/リトナビル錠の1日1回投与は1日2回投与と同等の有用性を示す:IASでの発表

 

Once-Daily Lopinavir/Ritonavir Tablets Show Similar, Durable Efficacy as Twice-Daily Dosing: Presented at IAS

By Ed Susman CAPE TOWN, South Africa July 22, 2009

 HIV感染患者において、プロテアーゼ阻害薬であるロピナビル/リトナビルの1日1回投与錠は、96週時点で1日2回投与法と同等の有効性をもってウイルス量を検出感度以下にさせたことが、第5回国際AIDS学会(IAS)HIV病原治療予防学術集会にて発表された。

 intention-to-treat法にて規定した試験治療集団にて、1日2回投与法331例の69.2%、1日1回投与法333例の64.9%においてウイルス検出感度以下(<50copies/ml)を達成し、その差は統計学的には有意でなかった(P=.249)。「ロピナビル/リトナビルの1日1回投与の有効性はプロトコールで規定された判定基準において1日2回投与法に比較し非劣性を保っている」とDanielCohen博士(Abbott Laboratories, Abbott Park, Illinois)は7月20日に彼のポスター発表で述べた。

 「ロピナビル/リトナビル1日1回投与法の1日2回投与に匹敵する有効性は、CD4陽性T細胞数やHIV-1のRNA量によるサブグループ解析を行っても、変わらず認められた。」とCohen博士は述べた。彼はまた、96週の試験を通じて1日1回投与では1日2回投与に比較して安全性と認容性に臨床的有意差を認めなかったと発言した。

 研究者らは無作為化open-label(一重盲検)にて、HIVウイルス量が1000copies/ml以上のHIV未治療患者を選んだ。最初の8週間は全ての患者は液体ゲル状のロピナビル/リトナビル製剤を服用し、その後錠剤に変更された。全ての患者はまた、核酸系逆転写酵素阻害薬のテノホビルとエムトリシタビンを併用された。参加者の約80%は男性で、70%以上は白人であった。彼らの平均年齢は約39歳であった。

「以前からいわれているように、ロピナビル/リトナビル治療ではいくつかの脂質パラメーターが上昇する。1日2回投与に比べて1日1回投与において、中性脂肪と非HLDコレステロールの上昇量がわずかに少なく、LDL対HDL比がわずかに低いが、これらを除けば、脂質パラメーターの変化において投与頻度による影響は認めない。」とCohen博士は述べた。

 Cohen博士は、96週時点での所見は、投薬戦略を比較する48週の試験の結果と、1日2回投与と比べた1日1回投与法の非劣性を確証させたものであるとCohen博士は結論づけた。

 この研究はAbbott研究所により出資された。

[Presentation title: Comparable Safety and Efficacy With Once-Daily (QD) Versus Twice-Daily (BID) Dosing of Lopinavir/Ritonavir (LPV/r) Tablets With Emtricitabine(FTC) +Tenofovir DF (TDF) in Antiretroviral (ARV)-Naive,HIV-1-Infected Subjects: 96 Week Results of the Randomized Trial M05-730.Abstract MOPEB035]

スタチン系薬の投与はMaravirocの効果に影響しない。

Use of Statins Does Not Interfere With Efficacy of Maraviroc: Presented at IAS

 

By Charlene Laino CAPE TOWN, South Africa July 21, 2009

 MOTIVATE (Maraviroc Versus Optimized Therapy in Viremic Antiretroviral Treatment-Experienced Patients)試験のデータ解析により、Maravirocの抗ウイルス効果はHIV患者へのスタチン系薬の同時投与に影響を受けないことが明確となった。イギリス、ロンドンのChelsea and Westminster 病院 HIV 研究部門のGraeme Moyle医学博士は、6月20日の第5回IAS(International AIDS Society)HIV病原性、治療、予防に関する会議にてこの結果を報告した。

 CCR5(CC chemokine receptor 5)アンタゴニストであるmaravirocは、細胞表面のCCR5に結合することで、HIVCCR5向性株の細胞内侵入を防ぎ、細胞外膜のgp120との相互作用をブロックする。

 CCR5レセプターは、細胞膜内のコレステロールに富んだ脂質ラフトに存在する。

 HMGCoA還元酵素阻害剤であるスタチン系薬は、CCR5を変化させることで脂質ラフト数を減少させる可能性がある。とMoyle医学博士は述べた。

 この研究において、3クラス耐性があり、かつ既治療患者であるか、またはいずれか一方の条件を満たしている患者を対象に行われ、プラセボと比較して、maravirocが有効であったことが実証されたMOTIVATE1と2試験における累積データのpost hoc解析を研究者らは行った。

 患者はスタチン系薬がベースライン時以前まで、あるいはベースライン時に開始されていて、この研究を通して継続使用されていたか、あるいは、ベースライン以後少なくとも300日で中止された場合は、スタチン系薬使用群とみなした。

 2つの試験において、Maraviroc群840人中84人とプラセボ群209人中19人はスタチン系薬使用群であった。ベースラインの時点では、スタチン系薬非使用群と使用群では、同等のHIV-1RNA量であった。(スタチン系薬非使用群:4.9 (maraviroc群)対 4.9(プラセボ群) log10 copies/mL 、スタチン系薬使用群:4.6 (maraviroc群)対 4.5(プラセボ群) log10 copies/mL )48週におけるHIV-1RNA量の平均減少数は、2つのスタチン系薬群で比較すると、スタチン系薬非使用群では-1.7(maraviroc群) 対 -0.8 (プラセボ群) log10 copies/mL、スタチン系薬使用群では-1.9(maraviroc群) 対 -0.6 (プラセボ群) log10 copies/mLであった。

 48週時点において、HIV-RNA量50copies/ml未満の患者の比率は、スタチン系薬非使用群ではmaraviroc群対プラセボ群は47%対20%で、スタチン系薬使用群ではmaraviroc群対プラセボ群は57%対11%であった。

 スタチン使用群、スタチン非使用群での50copies/ml未満に達したMaraviroc群とプラセボ群間におけるオッズ比においては、有意差は認めなかった。とMoyle医学博士は述べた。

 CD4陽性細胞数の変化の中央値は、2つの群間で大まかに比較した。

 この研究はpfizer株式会社により資金提供を受けた。

[Presentation title: Concurrent Use of Statins Does Not Influence Efficacy of Maraviroc in MOTIVATE Studies. Abstract MOPEB039]

Non-Active Antiretrovirals Should Not Be Part of Effective Salvage Regimens: Presented at IAS

By Ed Susman CAPE TOWN, South Africa July 23, 2009

 研究者らはすでにいくつもの薬剤を使用してきたHIV感染患者に対して最後のオプションとしての治療を行う場合に活性のない薬剤を使用すると(例えば多くの場合はNRTIのいくつか)治療失敗の可能性が高まる可能性がある。

 「活性のないNRTIを使い続けるのは治療のコストを上げるだけでなく、薬剤相互作用や毒性をも高める可能性がある。」モントリオールのClinique Medicale l'ActuelのBenoit Trottier医師がコメントし、活性のないNRTIを使用していても耐性ウイルス患者に対してウイルス学的効果は得られないことを7月21日の第5回International AIDS Society(IAS) Conference on HIV Pathogenesis, Treatment and Preventionにおいて報告した。

 Trottier医師は116例の既治療HIV患者でウイルス量がコントロールされず、かつ活性のない薬剤を1剤、2剤、3剤と加えられている患者について治療失敗やウイルス量の推移について検討した。

 ウイルス量についてはNRTIsの数と反比例した。活性のないNRTIsを入れていない患者9例ではウイルス学的な効果が100%得られていた。1剤加えられている患者では89%であった。2剤では76%、3剤では40%であった。 ([P = .009). 「これは活性のない薬剤は新たなレジメンでウイルスを検出限界以下まで低下させるのに必要がないことが示唆されているがそれでもこれらの活性のない薬剤が何らかのインパクトを与える可能性はのこってはいる。」ボストンのNew England,研究所のCal Cohen, 医師はコメントしている。(今回の研究には参加していない施設である。)Trottier医師は「たとえ活性がないと知っていても多くの医師は新たな薬剤を追加するときに古い薬剤を継続し、サルベージ療法において科学的なエビデンスを欠いた治療を行っているのである。」とコメントした。

 さらに「いくつかの理由があるとすれば、活性のない薬剤でも他のNRTIの感受性をあげるとか、使用できる薬剤が1剤ないし2剤しかなくレジメンを作るのに外せないとかそういう状況であろう。」と追加した。

 まとめると「しかしながら今回の検討で活性のない薬剤を加えることで、その他の薬剤の効果をあげたりしないし、効果的なサルベージ療法の一部に含まれるべきではないことが示唆された。」としている

[Presentation title: Should Inactive Nucleoside/Tide Reverse Transcriptase Inhibitors (NRTIs) Still Be Used in Salvage Regimens, With New Classes/Generations of Antiretrovirals in Three-Class-Experienced, Multidrug Resistant Patients Abstract TUPDB205]

Treatment of HIV With Darunavir Appears as Successful in Treatment-Experienced Men as in Women: Presented at IAS

By Ed Susman

 Darunavirを使用したHIV治療は既治療男性患者において有効で、既治療女性患者においても同様に有効であった。

 強力なプロテアーゼインヒビター(PI)であるritonavirブーストのdarunavir(darunavir/ritonavir)は既治療女性患者、男性患者においても同様に、HIVを検出感度以下まで抑制するのために有効に作用することが、第5回IASのHIV病原性、治療と予防に関する会議にて報告された。

 6月20日の発表では、Gender, Race and Clinical Experience (GRACE) studyに参加した患者のうち約3分の2は女性であったとしている。

 試験の結果は、48週の治療期間を通して行われ、darunavir/ritonavir(600mg/100mg)と他の抗ウイルス薬を投与した既治療女性患者と男性患者のウイルス学的反応の割合において、統計学的に有意な差は認めなかった。加えて、有害事象に関して、臨床的に性別に関連した相違は認められなかった。GRACE studyはdarunavir/ritonavirが既治療男性患者、女性患者において、有効性と認容性を持っていることを示しただけでなく、参加患者を募集し、保持するユニークな戦略を通して、多くの女性患者や黒人患者をHIV臨床試験に登録することが可能であることを示した。とKathleen Squires医学博士( Division of Infectious Diseases, Thomas Jefferson University, Philadelphia, Pennsylvania)は述べた。

 GRACE studyは、将来どのようにHIVの研究が行われるべきかを具体化するための能力を持ち合わせている。支援不足、症状、小児医療の有用性や交通機関の不足などの、社会的なそして経済的な壁により、しばしば女性患者や黒人患者は、HIV臨床試験に参加することや治療を継続すること妨げられる。とSquires医学博士はさらに述べた。

 オープンラベルの市販後試験は、既治療男性患者と女性患者を対象に、darunavir/ritonavirの有効性、安全性、認容性における性差を比較した。その臨床試験には287人の女性と142人の男性が登録された。

 ウイルス学的反応におけるintent-to-treat time-to-loss解析の結果より、第48週で、既治療HIV-1感染女性患者の51% でウイルス量が検出感度以下(<50copies/ml)に達し、男性では59%であった。統計学的に有意差は認められなかった。

 臨床試験に参加した女性患者の平均年齢は41.7歳で、男性患者は45.2歳であった。そして女性患者の約3分の2が黒人で、男性では51.35%が黒人であった。また男性よりも女性患者において治療におけるコンプライアンスが不良かまたは試験が中止となる症例が多かった。しかしながら。ウイルス学的失敗は男女間で3%以下であった。

 この試験はOrtho Biotech Servicesより資金提供を受けた。

 [Presentation title: GRACE (Gender, Race, and Clinical Experience): 48-Week Results of Darunavir/r-Based Therapy in the Largest Trial in North America Focused on Treatment-Experienced Women. Abstract MOPEB042]

マラビロックは、既治療でないHIV患者では96週においても耐久性の治療効果をもっている〜IASでの発言(2009年7月21日、南アフリカ、ケープタウン、Charlene Laino)

Maraviroc Has Durable Treatment Effect at 96 Weeks in Treatment-Naive HIV Patients: Presented at IAS

 MERIT Study及びMERIT-ES研究の追跡再解析結果によれば、HIV未治療患者においてマラビロックは96週時点においてウイルス量を検出感度未満まで低下させ、エファビレンツに比べ有意にCD4T細胞数を上昇させた。両薬剤ともジドブジン/ラミブジンに併用され、この第5回国際AIDS学会(IAS)HIV病原治療予防集会において解析結果が報告された。

 「この耐久性のあるHIV治療法は、患者の病勢進行を遅らせ、より長く生存させる助けになることを、より保証できる治療が残っているという、重大な意味をもつ」とMichael Saag博士(アラバマ州バーミンガム、アラバマ大学AIDS研究センター)は述べた。「これらの結果はマラビロックの耐久性と安全性をさらに支持し、HIV未治療患者の現在利用可能な治療法の一つとして勧められる」と彼は7月21日に発言した。

 マラビロック対エファビレンツによる初期治療比較(MERIT)研究は、HIV未治療患者において、一定量のジドブジンとラミブジンにマラビロック300mgを1日2回投与もしくはエファビレンツ600mg1回投与を併用する効果と安全性を比べるために計画された無作為化二重盲検比較試験である。MERIT-ESで使われた感受性試験はMERIT studyの頃は使用できなかった。新たな解析によると、96週時点でウイルス量が検出感度以下(<50copies/ml)であった例はエファビレンツ群303例中の62.4%に比べ、マラベリック群では311例中58.5%であった。これは3.9%低いが信頼区間下限は11.5%であり、非劣性であるとSaag博士は発言した。加えて96週時点での治療継続率もマラビロック群66.9%、エファビレンツ群66.0%で同等だったと彼は述べた。MERIT-ESでスクリーニング時点で高ウイルス量(>10万copies/ml)であった患者群でも、ウイルス量検出感度以下を維持した例はマラビロック群56.0%、エファビレンツ群56.7%で同等だった。

 そのうえ、96週時点においてCD4T細胞数の増加はマラビロック群の方がエファビレンツ群よりも有意に多かった。増加数の中央値はそれぞれ212 cells/mm3と171 cells/mm3であり、41cells/mm3の差(95%信頼区間17〜65)であった。

 マラビロック群で96週時点において患者から報告された一般的な有害事象は、48週時点と同様に嘔気、頭痛、倦怠感と浮動感であった。エファビレンツ群の一般的な有害事象は嘔気、下痢、浮動感、嘔吐、異常な夢であった。

 この研究はファイザー製薬によって出資された。

[Presentation title: The MERIT Study of Maraviroc in Antiretroviral-Naive Patients With R5 HIV-1: 96-Week Results.Abstract TUAB103]

HIV Suppression Maintained Despite 2-Day Breaks in Drug Therapy:Presented at IAS

By Ed Susman CAPE TOWN, South Africa -- July 21, 2009

第5回の国際AIDS学会総会で5日間の内服と2日間の休薬を続ける臨床試験(FOTO regimen)の48週間の観察での結果について、ウイルスのリバウンドもなく安全に治療を行えたことが報告された。 以前行われた休薬期間をいれる臨床試験は様々な症状が出現したりウイルスのリバウンドが起こってくるなど不成功に終わっている。

 ハーバード大学のCal Cohen医師は7月20日のポスタープレゼンテーションで「私は今回の試験を薬物の中断療法とは考えていない。」とコメントした。

 さらに「今回の治療法は薬物動態的にみて薬物療法のもう一つの方法として考えている。今回の研究ではEFV、TDF、FTCという半減期の長い薬剤を用いた場合は短期間の“drug holiday“を患者に与えうることを示している。」とコメントした。

 今回の試験では60症例をエントリーした。そして、これらの患者はすべて1年以上(最大で18ヶ月)HIVが押さえられている患者であった。そして半分の患者を5日間の内服から2日間の休薬というサイクルで治療を行う群と連日内服する群に分けた。すべての患者は、HIVが抑えられており、治療開始時はすべて50コピー以下であった。今回の症例数で非劣性を証明するのには十分であった。

 FOTOレジメンは薬剤を少なくすることができる。(連日内服の28%)  しかし、この治療法は治療初期から導入するのは容認できない。まず、ウイルスを減少させてから、薬剤コンプライアンスが安定していることを確認しウイルス抑制が持続している患者において検討するべきである。

 FOTOレジメンを考慮することはできるがまだ60症例で検討した研究の報告でしかないのでもっと大規模な試験で確認されるまでは本当に容認することはできない。

 今回の試験が有益なのはあくまで適正な薬剤を適正に内服できる患者でのみあり、対象を広げるのは難しいかもしれない。

 Cohen医師は一緒にトライアルを広げる意志のある施設を探している。

[Presentation title: The FOTO Study: The 48 Week Extension to Assess Durability of the Strategy of Taking Efavirenz, Tenofovir and Emtricitabine Five Days On, Two Days Off (FOTO) Each Week in Virologically Suppressed Patients. Abstract MOPEB063]

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