09/10/02配信分

ウイルス量が抑えられたHIV感染患者においてリトナビルを除いた単純化HIV治療法は有鉤である:IASでの発表

Simplified HIV Regimen Without Ritonavir Effective in HIVPatients With Suppressed Viral Loads: Presented at IAS

(2009年7月23日、南アフリカ、ケープタウン、Charlene Laino)

二段階試験のうち無作為化ステージの結果によれば、最初の抗レトロウイルス療法によってウイルス量が抑制されている患者には、リトナビルを除くことによって治療法を単純化できると、第5回国際AIDS学会(IAS)HIV病原治療予防会議にて発表された。

 ペンシルバニア州フィラデルフィアThomas Jefferson大学、感染症・環境医学のKathleen E. Squires博士によれば、84週の治療時点において、リトナビル投与群の81%、リトナビルを投与されなかった患者では86%がウイルス検出感度以下(<50copies/ml)となり、有意差は認めなかった。Squires博士は7月22日の後期ブレーキングセッションで結果を発表した。

 多くの臨床家は毒性と薬物相互作用にためリトナビルの処方を好まないと、彼女は述べた。

 この研究では、未治療患者においてアバカビルとラミブジンに加えリトナビルでブーストしたアタザナビルが36週間投与された。

 終了時点でウイルス量が検出感度以下となった419例の患者が、アタザナビル300mgをブーストし続ける群と、リトナビルを除いてアタザナビル400mgに少し増量する群に無作為割付けされた。全ての患者でアバカビルとラミブジンは継続された。

 84週時点においてCD4細胞数はリトナビル投与群209例で240cells/mm3、リトナビル非投与群210例では259cells/mm3上昇し、有意差は認めなかった。

 リトナビルをすでに投与されていない患者では脂質代謝において若干の良い結果がみられたと彼女は述べた。コレステロール値はリトナビル非投与群で平均14mg/dL減少したのに対し、リトナビル投与群では6mg/dl増加した。中性脂肪値は非リトナビル群で34mg/dL、リトナビル群で4mg/dL低下した。 

 リトナビルブースト群患者の14%、リトナビル非投与群の10%にGrade2〜4の有害事象を認めた。最も一般的な有害事象は高ビリルビン血症で、試験期間中に非リトナビル群の4%およびリトナビル群の10%に認められた。

 この研究はグラクソスミスクラインによって出資された。

[Presentation title: Similar Efficacy and Tolerability of Atazanavir (ATV) Compared to ATV/Ritonavir (RTV, r), Each in Combination With Abacavir/Lamivudine (ABC/3TC), After Initial Suppression With ABC/3TC + ATV/r in HIV-1 Infected Patients: 84 Week Results of the ARIES Trial. Abstract WELBB103]

Abacavir Does Not Appear to Increase MI, Stroke Risk in Most HIV-Positive Patients: Presented at IAS

By Charlene Laino

CAPE TOWN, South Africa July 23, 2009

 多くのHIV患者においてAbacavir(ABC)は心筋梗塞と脳卒中のリスクを高めないことが第5回IASにおいて報告された。

 以前の研究でABC内服中のHIV患者において他のNRTIsを使用している患者より心筋梗塞が高率に発症することが示唆された。

 しかし、テキサス大のSouthwestern Medical CenterのRoger Bedimo医師により行われた研究では、相反する結果が報告された。

 今回の新しい研究では米国退役軍人症例情報の心筋梗塞や脳血管イベントの症例解析を行った。

 患者は1996年から2004年までの治療内容により1から4のカテゴリーに区分された。

(1) ABCを含んだHAART

(2) ABC以外のNRTIを使用したHAART

(3)HAARTとは定義できない抗HIV治療

(4)無治療

 患者総数は19,424例で平均4年の経過観察期間であり統計上76,376人・年の経過観察ということになる。

この間で278例の心筋梗塞があり、868例の脳血管イベントが報告されていた。

心筋梗塞を発症した人々は腎障害を含めてより基本的なリスクファクターをもっているように見えた。トータルで心筋梗塞の罹患率は3.69/1000人・年で、脳血管障害は11.68/1000人・年であった。

 未調整の解析でそれぞれでのABCの使用は27%の心筋梗塞リスクであり(p=0.57)、脳血管障害は17%であった(P=0.081)。これらはいずれも有意差は検出されなかった。

しかし、多変量解析で、年齢、高脂血症、高血圧、2型糖尿病、喫煙について解析すると、ABCと心筋梗塞、あるいは脳血管障害の相関は弱く、統計学的有意差は検出されなかった。

特に各年ごとのABCの使用は18%の心筋梗塞のリスクで(P=0.191)、脳血管イベントについては16%のリスクであった(P=0.096)。

 腎障害を併発している患者の場合は心筋梗塞のリスクはより高く、ABC使用により有意に高くなった。これはTDFの腎障害に関係して、腎障害のある患者はABCの処方が多くなる傾向があることが影響していると思われた。

このことは、腎機能はより重要な指標になりうるということを示唆しているかも知れない。一般人においても腎障害が心筋梗塞のリスクになりうるということが知られている。

[Presentation title: Abacavir Use and Risk of Acute Myocardial Infarction and Cerebrovascular Disease in the HAART Era. Abstract MOAB202]

Switching to a Nevirapine-Based Regimen Feasible in Children Previously Exposed to Single-Dose Nevirapine: Presented at IAS

By Charlene Laino CAPE TOWN, South Africa July 23, 2009

出産前に感染予防としてNevirapineno単剤治療を受けた経験のあるHIV感染小児に対してNevirapineをKeyDrugとして使用する治療を行ったとしてもウイルス量の維持することができた。

IASにおいて 南アフリカ、ヨハネスブルグのAshraf Coovadia 小児科医師はNevirapine耐性試験(NEVEREST)の結果を報告した。

現在のガイドラインではnevirapine単剤の治療を受けた小児においてはPIベースのレジメンを使用することが推奨されている。しかしこのレジメンはNVPを使用する場合より高コストであり、長期毒性もあるためCoovadia医師らはNVP単剤を経験している小児にたいして、PIベースのレジメンからNVPベースのレジメンへの切り替えが可能かどうか試験を行うことを考えた。

 試験は2才以下で母子感染予防として母親がNVPを内服したことのある195例のHIV感染小児を対象とした。小児はLPV/rtvにAZT/3TCを併用して治療開始し、3ヶ月ないしそれ以上の期間でウイルス量が400コピー以下になった時にそのままの治療で続ける群、99例とLPV/rtvをNVPに変更する群、96例に無作為に振り分けた。

NVP群において56.2%の患者が52週にわたってウイルス量が50コピー以下を維持し、LPV/rtvを継続した群の42.4%に対して有意差がみられた。 ([P = .01).

コピー数を1000以下でみてみるとLPV/rtv群では98%でNVP群の80%に比し有意差がみられた。(P = .007)

 ウイルス量50コピー以下でみてPIが不良だったのは内服アドヒアランスが不良だったことが原因として考えられる。事前にNNRTIの耐性がなかったことと、ウイルス量が<50コピー以下を維持していることがNVPに切り替え後もウイルスが抑えられ続けた要因と考えられた。

なお、試験において両群で2例が死亡している。(詳細は明記なし)

さらにNNRTIベースのレジメンについて研究していくことを考えているとコメントした。

[Presentation title: Randomized Clinical Trial of Switching to Nevirapine-Based Therapy for Infected Children Exposed to Nevirapine Prophylaxis. Abstract MOAB103]

Once-Daily Lopinavir/Ritonavir as Effective as Twice Daily Dosing in Treatment-Experienced HIV Patients: Presented at IAS

(2009年7月23日、南アフリカケープタウン、Charlene Laino)

 ロピナビル/リトナビル1日1回投与は既治療のHIV陽性患者の抗レトロウイルス療法の一部として認可されている1日2回投与と同等の有効性と安全性があると、研究者らは7月21日の第5回国際AIDS学会HIV病原治療予防会議にて報告した。しかし1日1回投与法はアドヒアランスを良好にしたとRoberto Zajdenverg博士(Projeto Prac,a Onze,ブラジル,リオデジャネイロ連邦大学)は述べた。以前の研究はロピナビル/リトナビルの1日1回投与と1日2回投与が未治療患者において同等の効果があることを示した。今回の研究(M06-802)は既治療患者においても同様であるかどうかを確かめるために設計された。この研究では抗レトロウイルス療法を受けていてウイルス量が1000copies/ml以上である患者599例が関与した。患者のうち300例はロピナビル800mgとリトナビル200mgを1日1回投与に、299例はロピナビル400mgとリトナビル100mgを1日2回投与に無作為に割付けられた。両群とも、患者の治療歴や耐性などによって選ばれた2種類の核酸系逆転写酵素阻害薬も投与された。48週の治療時点において、ロピナビル/リトナビル1日1回投与群の患者の55%がウイルス検出感度以下(<50copies/ml)となり、1日2回投与群の52%と比べ有意差を認めなかった。CD4細胞数の増加量も1日1回投与群135cells/mm3、1日2回投与群122cells/mm3で有意差を認めなかった。

 この薬剤は、研究者らが患者が処方通りに内服しているか確認できるように、電気的なキャップの瓶に錠剤を入れるようにして投与された。「この様式によって、我々は1日1回投与の方が1日2回投与よりも有意に良好なアドヒアランスが得られることを特定できた。」とDr.Zajdenvergは述べた。

 両群の計78%が研究を完遂したが、ほとんどの中断は有害事象によるものではなかった。1日1回投与群の5%、1日2回投与群の7%が副作用のためドロップアウトし、有意差はなかった。

 ロピナビル/リトナビルに関係した有害事象の最も一般的であったものは、下痢(1日1回投与群の14%、1日2回投与群の11%)と嘔気(それぞれ3%、7%)であった。

[Presentation title: Lopinavir/Ritonavir (LPV/r) Tablets Is Coadministered Once- (QD) or Twice-Daily (BID) With NRTIs in Antiretroviral-Experienced HIV-1 Infected Subjects: Results of a 48-Week Randomized Trial (Study M06-802). Abstract TUAB104]

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