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合併症2005.4月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS38(5):505-508,2005 Taylor, M M et al Use of the Serologic Testing Algorithm for Recent HIV Seroconversion (STARHS) to Identify Recently Acquired HIV Infections in Men With Early Syphilis in Los Angeles County.
<ロサンゼルス郡の早期梅毒男性患者において最近のHIV感染を同定することを目的とした、最近のHIVセロコンバージョン(STARHS)のための血清学的検査アルゴリズムの使用>
(速報)早期梅毒男性患者から得られた梅毒トレポネーマ粒子凝集反応陽性の血清検体をスクリーンしてHIV-1抗体を調査し、これら男性患者がHIVを梅毒感染に随伴して獲得したのか、あるいは臨界期に獲得したのかを同定した。HIV-1陽性検体の検証には、低感受性HIV-1抗体酵素免疫測定法(最近のHIVセロコンバージョン[STARHS]のための血清学的検査アルゴリズム)を用い、最近約6カ月以内のHIV感染を同定。HIV感染は全体で17%/年、男性同性愛者では26%/年に上り、早期梅毒男性患者に限らずハイリスク集団でのHIV感染者数を評価する場合に、STARHSがサーベイランスツールとして有用である可能性が示唆された。
JAIDS38(5):538-544,2005 Wohl, D A et al Cytomegalovirus Viremia, Mortality, and End-Organ Disease Among Patients With AIDS Receiving Potent Antiretroviral Therapies.
<強力な抗レトロウイルス療法を受療するAIDS患者でのサイトメガロウイルス血症、死亡、終末器疾患>
AIDS患者においてサイトメガロウイルス(CMV)血症とCMV疾患および死亡との関連を検証した。CMVセロポジティブAIDS患者において、血漿CMV DNA PCRを用いたCMVウイルス血症の検知は、死亡の予測因子。また全原因死亡リスクに関して付加的な予後情報を提供するものでもあり、CD4陽性細胞数やHIVウイルス量検査のみから得られる情報よりも有用。
AIDS19(6):593-601,2005 Konopnicki, D et al Hepatitis B and HIV: prevalence, AIDS progression, response to highly active antiretroviral therapy and increased mortality in the EuroSIDA cohort.
<B型肝炎とHIV:EuroSIDAコホートにおける罹患率、AIDS進展、HAARTへの応答、死亡の増大>
EuroSIDAコホート(ヨーロッパのHIVセンター72カ所で9802名の患者データを解析)におけるB型肝炎ウイルス(HBV)/HIV-1共感染率を評価し、HBV 感染がAIDSへの進展、全原因死亡、肝疾患関連死亡、HAARTへの応答に及ぼす影響を検証した。B型肝炎表面抗原を498名(9%)のHIV感染者に認めた。HBV慢性共感染でHIV感染者の肝疾患関連死亡が有意に増大したが、AIDSへの進展あるいはHAARTへのウイルス学的/免疫学的応答には影響を認めなかった。
AIDS19(6):634-635,2005 Dilley, J W et al The decline of incident cases of HIV-associated neurological disorders in San Francisco, 1991-2003.
<サンフランシスコにおけるHIV関連神経障害の発生数の減少;1991-2003年>
(手紙)サンフランシスコでは公衆衛生局がAIDS症例サーベイランス活動を実施しており、病理学/検査/死亡の報告をレビューし、AIDS患者の疾患について同定および報告を行っている。著者らはこれに基づいて1991-2003年の中枢神経系(CNS)障害の診断の年間発生件数を分析した。AIDS関連痴呆は1992年3.71/100 AIDS患者から、2002年0.34、2003年0.24に減少。他のCNS日和見疾患も劇的ではないが減少。結果は、HAARTの導入と広汎な利用が、サンフランシスコにおいてAIDS関連痴呆の新規診断およびHIV関連神経障害の劇的減少をもたらしたとする考え方を強く支持するものであった。
AIDS19(7):641-652,2005 Kamin, D S et al Cardiovascular disease in HIV-positive patients.
<HIVポジティブ患者における心血管疾患>
(エディトリアルレビュー)HAART受療は、脂肪代謝異常やインスリン抵抗性など従来型の心血管危険因子の増悪に関連する。本レビューではHIVポジティブ集団における心血管危険因子の病因、有病率、治療を考察。疾患予防を目的とした脂質代謝異常および異常グルコースホメオスターシスの薬理学的戦略について、非薬剤戦略と合わせレビュー。
AIDS19(7):729-731,2005 Thiebaut, R et al Change in atherosclerosis progression in HIV-infected patients: ANRS Aquitaine Cohort, 1999-2004.
<HIV感染者のアテローム性動脈硬化症の進展における変化:ANRS Aquitaineコホート、1999-2004年>
(手紙)HIV感染者233名における36カ月間の頸動脈内膜?中膜厚(IMT)の変化について報告。IMT中央値は当初12カ月間増大したが、36カ月までには減少。脂質低下薬およびプロテアーゼ阻害薬を含まないHAARTによる治療は増大し、喫煙率は低下。HIV感染者のアテローム性動脈硬化症の進展はコントロール可能と考えられる。

合併症2005.3月
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AIDS19(3):273-278,2005 Steininger, C et al Cytomegalovirus genotypes present in cerebrospinal fluid of HIV-infected patients.
<HIV感染患者の脳脊髄液中のサイトメガロウイルス遺伝子型>
(短報)HIV感染患者の脳脊髄液(CSF)中のサイトメガロウイルス(CMV)株と一般集団でのCMV脳炎のそれとを、糖蛋白B(gBn)-遺伝子のN-末端での遺伝的変化の観点から比較したところ、双方のCMV株に大きな相違を認めた。CMVの遺伝子内組換えはHIV感染進展者においては一般的なことであり、生物学的特性の変化した新たなCMV株の供給源である可能性がある。
AIDS19(3):343-345,2005 Negredo, E et al Reversal of HIV-1-associated osteoporosis with once-weekly alendronate.
<アレンドロン酸週1回投与でHIV-1関連骨粗鬆症が改善>
(手紙)骨粗鬆症を有するHIV-1感染患者をアレンドロン酸70mg週1回+食事指導群(11名)と食事指導単独群(14名)に無作為に振り分け調査した。96週時点で骨粗鬆症を有したのは、アレンドロン酸群27%に対し食事指導単独群96%。脊骨ミネラル密度(BMD)の増加を48週時点で検知し、その後も増大。2年後、転子BMDが改善。HIV-1関連骨粗鬆症にアレンドロン酸週1回経口投与は、有効かつ安全な治療である可能性がある。

合併症2005.2月
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JAIDS38(2):115-123,2005 Stein, J H Body Composition and Metabolic Changes in Antiretroviral-Naive Patients Randomized to Didanosine and Stavudine vs. Abacavir and Lamivudine.
<ジダノシンとスタブジンvs アバカビルとラミブジンに無作為化した抗レトロウイルス療法未経験患者における体型と代謝変化>
(レビュー)いくつかの観察研究からHAARTと心血管疾患との関連が示唆されている。本稿ではHAART受療患者での心血管リスクをレビューし、新たなガイドラインの実施についても検討。
JAIDS38(2):238-246,2005 Rauch, A et al Chronic Hepatitis C in HIV-Infected Patients: Low Eligibility and Applicability of Therapy With Pegylated Interferon-[alpha] Plus Ribavirin.
<HIV感染患者における慢性C型肝炎:Pegインターフェロン-αとリバビリン併用療法の適格性および適用性の低さ>
(手紙)Pegインターフェロン(IFN)-αとリバビリン(RBV)併用療法の適格性および適用性について、スイスの代表的HIV/慢性C型肝炎(HCV)共感染患者コホートで前向きに評価した。適用/除外基準はHIV/HCV共感染患者でのpegIFN-αとRBV併用治療で一般的に用いられている治療プロトコールに準拠。治療不適格は77%で、2つ以上の除外基準に該当したのは73%、4つ以上が33%。適格者は女性ではわずか10%、男性では31%。
AIDS19(2):127-135,2005 Rempel, H C et al HIV-1 Tat inhibits neprilysin and elevates amyloid [beta].
<HIV-1 Tatがネプリリシンを阻害しアミロイドβを上昇>
加齢はアミロイドβ(Aβ)の蓄積および痴呆の危険因子である。HAART導入以降HIV-1感染者の寿命は延びており、ウイルスのトランス作用転写活性化因子であるHIV-1 Tatが、ネプリリシン(NEP;神経エンドペプチダーゼ)による脳内Aβ分解に及ぼす影響を検証した。結果、HIV-1感染者の脳内に認められるTatがAβ分解酵素であるNEPを阻害することを観察。Aβはコントロールに比べHIV-1感染者からの脳切片標本で有意に増大。HIV-1とともに老いていく感染者にとって密接な関わりを示唆する結果である。
AIDS19(2):163-168,2005 Grimwade, K et al Effectiveness of cotrimoxazole prophylaxis on mortality in adults with tuberculosis in rural South Africa.
<南アフリカ地方部居住の成人結核患者の死亡に対するコトリモキサゾールを用いた予防法の有効性>
(短報)南アフリカ地方部において、活性ヒト結核菌(TB)を有する成人(HIVステータスとは無関係に)の死亡率低減にコトリモキサゾールが及ぼす効果を評価した。結果、TBを有する成人を対象としたコトリモキサゾールによる予防法は、死亡率低下に実行性が有り、安全で効果的であると考えられる。介入開始時点において、HIV血清学的有病率は78%と推定。コトリモキサゾール投与群の6カ月時点の死亡率は、コントロールに比べ29%低かった。
AIDS19(2):203-204,2005 Nath, A et al Tat and amyloid: Multiple interactions.
<Tatおよびアミロイド:多くの相互作用>
(エディトリアルコメント)効果的な抗レトロウイルス療法の普及に伴い、若い年代で感染した患者の生存が延び高齢化を迎えようとしている。これに伴い、痴呆との関連において今後非常に重要となってくると思われる、Tat(ウイルスのトランス作用転写活性化因子)およびアミロイドの脳の加齢との相互作用について考察。

合併症2004.12月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS37(4):1464-1469,2004 Yoon, C et al Case-Control Study of Diabetes Mellitus in HIV-Infected Patients.
<HIV感染患者における真性糖尿病のケースコントロール研究>
HIV感染患者における真性糖尿病発症の関連特性を対象患者49名(真性糖尿病発症)およびコントロール2群(年齢、性別等の一致98名/非一致196名)において評価。多変量解析の結果、家族歴、BMI、ALTが真性糖尿病に関連し、病因として遺伝的要因、体型、肝損傷の複雑な相互作用が示唆された。HCV感染およびプロテアーゼ阻害薬服薬は有意な要因ではなかった。
JAIDS37(5):1556-1562,2004 Vincent, S et al Nelfinavir Induces Necrosis of 3TCF44-2A Adipocytes by Oxidative Stress.
<ネルフィナビルは酸化ストレスによって3T3F44-2A脂肪細胞壊死を誘導>
ネルフィナビルが3T3F44-2A脂肪細胞系に及ぼす影響を評価した結果、活性酸素の細胞内増大を仲介として、ネルフィナビルが脂肪細胞壊死を誘導することが示された。この有害効果はアスコルビン酸塩によって相殺できると思われる(研究ではアスコルビン酸塩で壊死細胞の割合は70%低減)。
JAIDS37(5):1574-1576,2004 Kumarasamy, N et al Incidence of Immune Reconstitution Syndrome in HIV/Tuberculosis-Coinfected Patients After Initiation of Generic Antiretroviral Therapy in India.
<インドでのHIV/結核共感染患者におけるジェネリック薬品による抗レトロウイルス療法開始後の免疫再構築症候群の発生件数>
(短報)発展途上国での免疫再構築症候群(IRS)の発生件数を報告。HIV/結核共感染患者144名を72人年追跡し、11名がジェネリック薬品による抗レトロウイルス療法開始後6カ月以内にIRS発症。臨床IRS発症までの時間中央値は42日(範囲10-89日)、発生率は15.2症例/100患者年。
JAIDS37(5):1584-1586,2004 Estanislao, L et al A Randomized Controlled Trial of 5% Lidocaine Gel for HIV-Associated Distal Symmetric Polynerupathy.
<HIV関連多発性神経障害のための5%リドカインゲルの無作為化試験>
HIV関連の多発性神経障害(感覚線維)に対する5%リドカインゲルの鎮痛効果と安全性について二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施し確認した結果(被験者64名)、安全性は認めたが(有意な有害効果なし)、疼痛治療には無効(疼痛スコアに有意差なし)であった。
JAIDS37(5):1599-1603,2004 Santos, E S et al The Utility of a Bone Marrow Biopsy in Diagnosing the Source of Fever of Unknown Origin in Patients With AIDS.
<AIDS患者において原因不明の発熱の原因を診断する際の骨髄生検の有用性>
骨髄生検および吸引は、AIDS患者での原因不明の発熱(FUO)の原因を診断するには不可欠のものと考えられている。この侵襲的診断法が価値あるものか、FUOを有するAIDS患者72名で後ろ向きに解析したところ、1)骨髄吸引および生検の診断ツールとしての感受性は、異常な血液指標を有する患者の場合でさえ低く、2)骨髄生検は非ホジキンリンパ腫症例の診断にも有用ではなかった。
JAIDS37(5):1604-1609,2004 Glesby, M J et al Herpes Zoster in Women With and at Risk for HIV: Data From the Women's Interagency HIV Study.
<HIV感染およびハイリスク女性における帯状疱疹:Women's Interagency HIV研究データ>
帯状疱疹リスクはHAART時代においてさえ、HIV感染女性で非感染女性に比べ高いという仮説をWomen's Interagency HIV研究データから検証した結果、帯状疱疹はHIV感染女性においては免疫抑制度合に関連するが、CD4数が高い女性でもHIV非感染女性と比較するとリスクが高いことを確認。全追跡調査期間7.5年、HIV感染者1832名、非感染者489名。発生件数はHIV感染者337名(18.4%)、非感染者7名(1.4%)。
JAIDS37(5):1610-1615,2004 Mathews, William C et al Measurement Characteristics of Anal Cytology, Histopahology, and High-Resolution Anoscopic Visual Impression in an Anal Dysplasia Screening Program.
<肛門形成異常のスクリーニングプログラムにおける、肛門の細胞学、組織病理学、高分解能肛門鏡ビジュアルインプレッションの測定特性>
1)各種の連続肛門細胞学的検査の符合性、同時肛門細胞学的検査と組織病理学との符合、高分解能肛門鏡ビジュアルインプレッションと組織病理学との符合について評価し、2)同時細胞学的カテゴリーによって重度形成異常の罹患率を評価することを目的に研究した。結果、スクリーニング法の再現性は最高でも中等度で、肛門および子宮頸部形成異常スクリーニングについての他の研究データと類似したもので、測定方法の標準化と改善が不可欠。肛門上皮内癌生検3の罹患率は、0%(細胞学正常)、21%(異型扁平上皮細胞)、27%(低度扁平上皮内変性)、54%(高度扁平上皮内変性)。
JAIDS37(S1):S262-S276,2004 Moyle, G J et al Efficacy of Selected Treatments of HIV Wasting: A Systematic Review and Meta-Analysis.
<HIVるいそう治療の選択肢の有用性>
組換えヒト成長ホルモン(rhGH)、テストステロン、蛋白同化ステロイドを用いたHIVるいそうの治療効果を評価するため、1996年以降出版の研究報告について体系的レビューとメタアナリシスを行った(合計18件の研究)。非脂肪組織(LBM)の増加に関して3種全ての治療がプラセボに比較して有意な効果を発揮。今回の評価でのメタアナリシスでは3種治療間の効果に統計的有意差は観察しなかったが、FDAが承認する投与量のrhGHが、他の2種治療に比べ機能性やQOL改善の点で有利であるように思われる。
JAIDS37(S1):S277-S279,2004 Wanke, Christine Pathogenesis and Consequences of HIV-Associated Wasting.
<HIV関連るいそうの病因と予後>
HIV感染者において体重減少はネガティブな予後指標で、6カ月間の体重減少がわずか3-5%であっても死亡率の上昇がはっきりと見てとれる。このことは部分的には、他の感染症、傷害、癌等でも認められる体重減少と代謝性悪液質との相関によるものである。しかし、HIV感染患者の悪液質は、一般に「るいそう」と称され、カロリー摂取不足、胃腸機能障害、あるいはエネルギー消費異常とは無関係の代謝異常などにもまた起因し、あるいはこれらにより悪化する。HIVるいそうにおいては、蛋白エネルギー栄養不良の潜在的原因の改善および体重減少に寄与する他要因の双方に対する治療が必要である。
JAIDS37(S1):S280-S283,2004 Kotler, Donald Challenges to Diagnosis of HIV-Associated Wasting.
<HIV関連るいそうの診断におけるチャレンジ>
HIV感染者でるいそうとして特徴付けられる蛋白エネルギー栄養不良の臨床発現には様々なものがあり、さらにこれらは経時的に変化する。当初、蛋白エネルギー栄養不良は極度の体重減少と体細胞の消耗を特徴としていたが、最近、脂肪異栄養症のような無関係の同時発生的な代謝異常がHIVるいそう診断を困難にしている。HIVるいそう診断には体細胞量測定が比較的正確であるが、臨床家が体細胞量の評価の至適ツールを必ずしも利用できるとは限らない。実際的にはHIVるいそうは進展期では自明の診断であるが、HIVるいそうの早期徴候の解釈には、鑑別診断に含まれるその他合併症を熟知していなければならない。
JAIDS37(S1):S284-S288, 2004 Wanke, C et al Collaborative Recommendations: The Approach to Diagnosis and Treatment of HIV Wasting.
<共同推奨:HIVるいそうの診断と治療へのアプローチ>
HIV感染患者で一般にるいそうと称される非脂肪組織の減少はHAART時代において予後の大きな脅威である。重度免疫不全のない場合でもるいそうは進展する。HIVるいそうのリスクと原因の解明について詳細が明らかにされつつあることから、るいそうの診断と治療のガイドラインを再評価することは時宜を得たことである。様々な治療法が体重減少の予防に有効であると考えられるが、HIVるいそうの鍵となる判断基準である体細胞量を回復するための薬理学的選択肢は非常に限られている。HIVるいそうに関心のある臨床家と研究者が会合し、現在の臨床データに乗っ取って現行ガイドラインを評価した。
AIDS18(17):2221-2234,2004 Braitstein, P et al Special considerations in the initiation and manegement of antiretroviral therapy in individuals coinfected with HIV and hepatitis C.
<HIV/HCV共感染患者での抗レトロウイルス療法開始および管理において特別に考慮すべき事柄>
MEDLINEおよびPubMedのデータベースから、HIV/HCV共感染に関する文献を検索し、抗レトロウイルス療法(ART)に対するHIVのウイルス学的/免疫学的応答にHCVが及ぼす影響、共感染患者におけるARTの安全性と忍容性、さらに、肝損傷への免疫抑制と回復との関連性を考察。結果、HIV/HCV共感染患者においてはART開始のCD4細胞数閾値を高く設定する方が良いように思われる。これは免疫抑制および回復がHCV関連肝疾患発症に影響を及ぼし、また、CD4細胞数がより低い場合にARTへの良好な免疫応答が得られない可能性があるため。さらにHCV関連のミトコンドリアおよび代謝異常の発現とART毒性間で重複する病的状態について臨床家の慎重な管理が必要。
AIDS18(17):2277-2284,2004 Sulkowski, M S et al Hepatotoxicity associated with protease inhibitor-based antiretroviral regimens with or without concurrent ritonavir.
<リトナビルでのブースト有/無のプロテアーゼ阻害薬ベース抗レトロウイルスレジメンに関連した肝毒性>
リトナビル(RTV)でのブースト有/無のプロテアーゼ阻害薬(PI)ベース抗レトロウイルス療法(ART)に伴う有意な肝酵素上昇の発生件数を検証し、また、慢性ウイルス性肝炎がその進展に果たす役割を規定する目的で、PI未経験HIV感染患者1161名を対象に前向きに解析した。RTVブースト(ロピナビル、インジナビル、サキナビル)あるいは非ブーストPIベースART(インジナビル、ネルフィナビル)受療患者を比較。グレード3または4の肝酵素上昇は、ネルフィナビル11%、ロピナビル/RTV(200mg/日)9%、インジナビル13%、インジナビル/RTV(200?400mg/日)12.8%、サキナビル/RTV(800mg/日)17.2%。慢性ウイルス性肝炎を有する患者(63%)ではリスクは有意に高いものであったが、C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の大半が肝毒性を発現しなかった(ネルフィナビル服薬84%、サキナビル/RTV74%、インジナビル86%、インジナビル/RTV90%、ロピナビル/RTV87%)。代替PIベースレジメン(ネルフィナビル)と比較すると、ロピナビル/RTVは、HCV感染/非感染患者での肝毒性の有意なリスク増大に無関係であることが示唆された。
AIDS18(17):2285-2293,2004 Puoti, M et al Hepatocellular carcinoma in HIV-infected patients: epidemiological features, clinical presentation and outcome.
<HIV感染患者における肝細胞癌:疫学的特徴、臨床症状、予後>
HIVセロポジティブ者における肝細胞癌(HCC)の主な特徴をHIVセロネガティブ者と比較検証(イタリアの3種の癌登録データベースとイタリア肝癌プロジェクトへの報告症例を使用)。HCCを有するHIV感染患者41名を同定。年齢と性別を調整した多変量解析で、HIV感染とC型肝炎ウイルス(HCV)感染、浸潤性腫瘍および/または発現時結節外転移との関連を確認。HIV感染は個々に生存期間の短さに関連。HIV感染患者でのHCCは潜在的C型慢性肝炎に主に関連し、転帰はよりアグレッシブであり、HIV/HCV共感染患者の管理ではC型肝炎治療を含めた予防的戦略を実施すべきである。
AIDS18(17):2313-2318,2004 Dorrucci, M et al The effect of hepatitis C on progression to AIDS before and after higtly active antiretrovial therapy.
<HAART導入前後においてC型肝炎がAIDSへの進展に及ぼす影響>
(短報)HAART導入前後においてHIV疾患進展にC型肝炎ウイルス(HCV)感染が及ぼす影響を、HIV血清変換者多施設前向き研究データを用いて評価。1052名の登録患者中595名(56.6%)がHIV/HCV共感染患者。追跡調査期間中央値は9.7年。HAART導入前時代においてHCV感染はHIV疾患進展の決定因子ではなかったが、HAART導入以降、共感染患者ではより速い疾患進展を経験。これは部分的には、異なる抗レトロウイルスレジメンに費やした人-時間の相違で説明可能。
AIDS18(17):2319-2324,2004 van Asten, L et al Infection with concurrent multiple hepatitis C virus genotypes is associated with faster HIV disease progression.
<複数遺伝子型併存のC型肝炎ウイルス共感染はより速いHIV疾患進展に関連>
(短報)HIV疾患進展におけるC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型の重要性を解明するため、HIV/HCV共感染薬物使用患者126名を対象に検証。HCVの遺伝子型毎に臨床的進展(AIDS)と免疫学的進展(CD4陽性T細胞数200 x 106個/L)を研究。HCV遺伝子型1型(全体の48%)および複数HCV遺伝子型(全体の5%)感染はより速い免疫学的進展に関連。複数HCV遺伝子型感染はより速い臨床的進展にも関連。HAART導入前時代のデータに限定して解析した場合、ハザード比は一層増大し、HCV遺伝子型がHIV疾患進展に及ぼす影響は、HAARTの効果で低減する可能性を示唆。
AIDS18(17):2337-2339,2004 Claire, T et al Increased risk of adverse pregnacy outcomes in HIV-infected women treated with higtly active antiretroviral therapy in Europe.
<ヨーロッパのHAART受療HIV感染女性において妊娠予後の有害リスク増大>
(手紙)有害な妊娠予後にHAARTの関与が懸念される(ヨーロッパ共同研究で得られた一部知見の報告)。生児出生4372件中(1986-2004年4月末登録)、2000?2004年の期間、早産率が24.9%に上昇。妊娠前開始の出生前HAART受療が重篤な早産に強く関連。新生児死亡率が高いというエビデンスが得られ(妊娠34?36週出生;0.66%、34週未満;7.37%)、早産増加の潜在的重要性が示された。

合併症2004.11月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS18(16):2163-2170,2004 Marine-Barjoan E et al Impact of antiretroviral treatment on progression of hepatic fibrosis in HIV/hepatitis C virus co-infected patients.
HIV/C型肝炎ウイルス共感染患者における肝線維症の進展に抗レトロウイルス治療が及ぼす影響
患者対照研究でHIV感染が肝線維症の重症度に及ぼす影響を調査し、関連ファクターを同定した。登録患者は、HIV/C型肝炎ウイルス共感染(HIV/HCV)患者116名とHCV(のみ)患者235名で両者ともHCV未治療。共感染患者では他方に比べF3?F4のMetavirスコアを有する患者数が有意に多かった。共感染患者において、重症肝線維症(F3?F4)患者をゼロ-中等度(F0?F4)の患者と比較した場合、前者ではトランスアミナーゼおよびフェリチン値がより高く、CD4細胞数はより低値で、また、ヌクレオシド類似体/非ヌクレオシド類似体およびプロテアーゼ阻害薬での治療継続期間中央値は両者で同等であったとは言え、前者では感染想定日からHAART開始までの遅延時間が有意に長かった。肝線維症進展率平均はHAART受療患者で有意に遅延。HIV/HCV共感染患者において、抗レトロウイルス療法を早期に開始することで肝線維症の進展を遅延させる可能性がある。
AIDS18(16):2171-2178,2004 Krawczyk C S et al Factors associated with chronic renal failure in HIV-infected ambulatory patients.
HIV感染外来患者の慢性腎不全に関連したファクター
HIV関連慢性腎疾患の発症に関する幾つかのファクター(HIV RNA量やCD4陽性細胞数など含)の役割を検証するため、コホートベースのネステッド患者対照研究を実施した。CD4陽性細胞数最低値<200 x 106個/L、HAART受療56日以上、高血圧が疾患と関連。HAART受療56日以上でCD4陽性細胞数最低値および高血圧との関連が緩和され、HAARTでの治療が慢性腎疾患の発症リスクを低減する可能性を示唆。
AIDS18(16):2215-2216,2004 Mathur R et al Reactive iris lymphoid proliferation presenting as the AIDS-defining event in an HIV patient with systemic lymphoma.
全身性リンパ腫を有するHIV患者におけるAIDS定義イベントの主症状としての反応性虹彩リンパ球性増殖
(手紙)AIDS定義イベントとしての反応性虹彩リンパ球性増殖に関する症例報告。患者は54歳男性、左眼の疼痛、赤み、視野のかすみを主訴として来院したが、2年前の白内障の手術後、網膜剥離を合併していた。患者は、表面的には慢性術後眼内炎を有したが、重篤な前部ブドウ膜炎および虹彩リンパ球性増殖を特徴的に有し、最終的にはHIVおよびAIDS関連全身性リンパ腫と診断され、HAART開始後死亡。
AIDS18(16):2218-2219,2004 Adeyemi O M et al Cryptococcosis in HIV-infected individuals.
HIV感染患者におけるクリプトコックス症
(手紙)著者らは、HAART導入後時代においてアフリカ系、年齢の高さ、異性愛リスクの存在、HIV診断あるいはAIDS定義疾患の未経験はクリプトコックス症の予測因子であるとの知見を得た。HIV感染入院患者(Cook郡病院;米国シカゴ)におけるクリプトコックス症について院内データベースを検索/解析し報告。1999年9月から2002年7月の期間の全HIV入院患者1562名(2736入院)中クリプトコックス症患者37名(65入院)。

合併症2004.10月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS18(15):2039-2045,2004 Bonacini, M et al Survival in patients with HIV infection and viral hepatitis B or C: a cohort study.
<HIV感染とB型/C型肝炎を有する患者の生存:コホート研究>
HIVとウイルス性肝炎共感染を有する患者の生存をHIV感染患者472名で評価。HIV/ウイルス性肝炎共感染患者ではHIV単独感染患者(126名)に比較して肝疾患での死亡率が高かったが(複数肝炎28%、HIV/HBV15%、HIV/HCV13%、HIV単独6%)、HIV死亡については同等。B型肝炎共感染はC型肝炎に類似した肝臓の予後に関連。HAARTでの免疫学的抑制のコントロールおよびCD4細胞数200 x 106個/L以上は、良好な肝臓の予後に関連し、HIV/ウイルス性肝炎共感染患者においては優先的事項とすべきである。
AIDS18(15):2047-2053,2004 Zellweger, C et al Long-term safety of discontinuation of secondary prophylaxis against Pneumocystis pneumonia: Prospective multicentre study.
<ニューモシスティス肺炎に対する二次的予防中断の長期安全性:前向き多施設研究>
抗レトロウイルス薬併用療法を受療しCD4細胞数増加を維持するHIV感染成人78名において、ニューモシスティス肺炎(P. jirovecii肺炎)に対する二次的予防中断の長期安全性を評価。CD4細胞数中央値380 x 106個/Lで二次的予防を中断。二次的予防を中断後の追跡期間中央値は40.2カ月で、合計235人年の追跡。P. jirovecii肺炎再発例は同期間皆無。したがって発生率は100人年につき0(95%信頼限界上限値1.3例/100人年)。P. jirovecii肺炎に対する二次的予防中断は、抗レトロウイルス薬併用療法を受療しCD4細胞数増加を維持するHIV感染者においては長期間でさえ安全であることが示された。
AIDS18(15):2075-2079,2004 Buchacz, K et al Syphilis increases HIV viral load and decreases CD4 cell counts in HIV-infected patients with new syphilis infections.
<新たに梅毒に感染したHIV感染患者において、梅毒がHIVウイルス量を増大させCD4細胞数を減少させる>
(短報)一期/二期梅毒を有するHIV感染男性52名において、梅毒感染期間のHIV RNA量とCD4細胞数を梅毒感染前/梅毒治療後データと比較検証した。30名(58%)が抗レトロウイルス療法を受療。梅毒感染期間のウイルス量は、梅毒感染前データと比較すると平均0.22 RNA log10コピー/mL高く、梅毒治療後では平均?0.10 RNA log10コピー/mL低かった。梅毒感染期間のCD4細胞数は、梅毒感染前よりも平均?62個/mm3少なく、梅毒治療後では平均33個/mm3多かった。HIVウイルス量増加およびCD4細胞数減少は、二期梅毒で抗レトロウイルス療法を受療していない男性で実質的に多く認めた。

 

合併症2004.9月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 37(1):1125-1131,2004 Canchis, P Wilfredo et al Intrahepatic CD4+ Cell Depletion in Hepatitis C Virus/HIV-Coinfected Patients.
<C型肝炎ウイルス/HIV共感染患者における肝臓内CD4陽性細胞の減少>
C型肝炎ウイルス(HCV)/HIV共感染特異免疫反応は、肝炎を増大し、肝の繊維化を加速、治療反応の低下に関連する。肝臓内リンパ球と肝細胞の表現型をHCV/HIV共感染患者38名、HCV(非HIV共感染)患者41名において定量化した(肝門部および小葉部それぞれ5カ所でCD4陽性細胞数を計数)。結果、HIV共感染患者では肝門部CD4陽性細胞数がより少なく、小葉部リンパ球アポトーシスが増大しており、このことがHCV感染の自然歴に影響を及ぼす可能性がある。
AIDS 18(13):1805-1809,2004 Farel, Claire et al Serious ophthalmic pathology compromising vision in HCV/HIV co-infected patients treated with peginterferon alpha-2b and ribavirin.
<PEGインターフェロンα-2bとリバビリン治療を受けたHCV/HIV共感染患者における重篤な病的視力低下>
(短報)HIV共感染のC型肝炎(HCV)慢性患者におけるPEGインターフェロンα-2b(PEG-IFNα-2b)とリバビリン治療に関連した眼性変化を23名の患者を対象に、40-88週間追跡し研究。8名(35%)の患者が綿状白斑および白内障を含む眼病を発症した。2名に色彩視力低下を認めたがその後回復、内1名は抗HCV療法中止後回復した。PEG-IFNα-2b治療を受けた患者の網膜や視力変化についてより注意深くモニターする必要がある。
AIDS 18(13):1819-1826,2004 Laney, A Scott et al Repeated measures study of human herpesvirus 8 (HHV-8) DNA and antibodies in men seropositive for both HHV-8 and HIV.
<ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)およびHIV双方にセロポジティブ男性におけるHHV-8 DNAと抗体の反復測定研究>
ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)セロポジティブで免疫抑制を有する男性患者においてHHV-8感染の自然歴と病因を研究するため、87名のHHV-8/HIVセロポジティブ男性患者から唾液と血液を採取し検証した。HHV-8セロポジティブ男性では、疾患不在の状況でも、唾液や血液中にウイルスを一般的に観察。カポジ肉腫(KS)の存在と末梢血単核細胞中HHV-8 DNAとは強く相関し、抗ヘルペス薬がKSの発症あるいは進展を抑制させる可能性を示唆。血清検定は、最大限の感受性を達成するため複数のエピトープを標的とすべきである。HHV-8複製は高い抗体価、あるいは抗体がマーカーとなるその他の免疫機能によって制限されると思われる。
AIDS 18(14):1933-1941,2003 van der Sande et al Incidence of tuberculosis and survival after its diagnosis in patients infected with HIV-1 and HIV-2.
<HIV-1およびHIV-2感染患者における結核罹患率および結核診断後の生存率>
結核(TB)罹患およびTB診断後の生存がHIVタイプよりもむしろCD4細胞数に関連しているのか検証するため、HIV-1およびHIV-2感染患者における臨床/免疫学的データを後ろ向きに評価した。TB罹患診断は2012名中159名で、観察期間中4973人年。105/159名(66.0%)において診断を直接鏡検あるいは培養で確認。TB罹患率はCD4細胞数200x106個/L未満の患者群で最大(HIV-1;9.1/100人年、HIV-2;8.8/100人年)。CD4細胞数を補正後、TB罹患率あるいはTB診断後死亡率にHIVタイプによる有意な差異は認めなかった。

 

合併症2004.8月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS18(12):1734-1737,2004 Gouskos T, et al Severe hepatitis and prolonged hepatitis B virus-specific CD8 T-cell response after selection of hepatitis B virus YMDD variant in an HIV/hepatitis B virus-co-infected patient.
HIV/B型肝炎共感染患者におけるB型肝炎ウイルスYMDD変種選択後の重症肝炎およびB型肝炎ウイルス特異CD8T細胞の長期応答
(手紙)HIV/B型肝炎ウイルス(HBV)共感染者においてラミブジン耐性HBVが原因となり引き起こされた重篤な肝炎について報告。ラミブジン耐性HBVは重症肝炎発症の6カ月前に検知。患者の血清から分離したHBVゲノム塩基配列決定から、ウイルス複製を回復したと考えられるHBVポリメラーゼの代償性変異を同定することはできなかった。しかし、強力なHBV特異CD8T細胞応答を確認し、結果的に重症肝炎が引き起こされた可能性がある。

合併症2004.7月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 36(4):890-899,2004 Pollack H, et al Perinatal Transmission and Viral Evolution of Hepatitis C Virus Quasispecies in Infants Coinfected With HIV.
<HIV共感染乳児におけるC型肝炎ウイルス準種の周産期伝播とウイルス進化>
HIV/C型肝炎ウイルス(HCV)共感染乳児3名および2名の母親において、HCV周産期感染について検証し、その後のHCV準種のウイルス進化について評価した。結果、母親から子へ複数のHCV変異体が伝播していた。これら変異体の子での早期変異は母親の抗体に関連し、生後1年以降の変異は乳児の免疫学的圧力を反映すると思われる。選択的免疫圧力の存在あるいは不在が、HCV負荷あるいは肝トランスアミナーゼ値に影響を及ぼすことを示唆する傾向は認められなかった。
JAIDS 36(5):1020-1027,2004 Arzoo K K, et al T-Cell Lymphoma in HIV-Infected Patients.
<HIV感染患者におけるT細胞リンパ腫>
南カリフォルニア大学AIDSリンパ腫登録患者からT細胞リンパ腫症例11件を同定し、これを同時期にB細胞リンパ腫と診断され治療を受けたHIVセロポジティブ患者418名と比較検証した。T細胞リンパ腫例は全AIDSリンパ腫患者の3%を占めた。T細胞リンパ腫はHIV感染患者において典型的な一連の病型を示す。T細胞リンパ腫症例ではB細胞リンパ腫症例と異なり、皮膚および骨髄へのより高い浸潤傾向を示した。生存中央値は、T細胞リンパ腫患者およびAIDS関連B細胞リンパ腫患者で同等。
JAIDS 36(5):1041-1050,2004 Trepanier L A, et al Plasma Ascorbate Deficiency Is Associated With Impaired Reduction of Sulfamethoxazole-Nitroso in HIV Infection.
<HIV感染において血漿中アスコルビン酸欠乏症はスルファメトキサゾール-ニトロソの減損に関連>
HIV感染におけるスルファメトキサゾール-ニトロソ(スルホンアミド過敏症反応を仲介すると考えられる代謝産物)の解毒作用欠損でのアスコルビン酸欠乏症の役割を検証(HIV感染者51名/健康ボランティア26名)。結果、アスコルビン酸欠乏症はスルファメトキサゾール-ニトロソの解毒作用欠損に関連し、HIVポジティブ患者では一般的であることが判明。アスコルビン酸サプリメント(500-1000mg)を毎日摂取している患者は血漿中アスコルビン酸濃度が高く、スルファメトキサゾール-ニトロソの解毒作用欠損は認められなかった。アスコルビン酸欠乏症(あるいはサプリメント摂取)はグルタチオンまたはシステインの濃度変化に無関係。HIV感染においてアスコルビン酸欠乏症は、チオールの状態とは無関係に、薬剤無毒化減損の重要な決定要因である可能性がある。
AIDS 18(10):1413-1421,2003 Yerly S, et al HIV-1 co/super-infection in intravenous drug users.
<静注薬物使用者におけるHIV-1共/重複感染>
静注薬物使用者におけるCRF11とサブタイプB双方の共/重複感染を調査した。最近感染した患者58名中、3名がB/CRF11共感染、25名がB感染、28名がCRF11感染、2名が他のサブタイプ感染であることをベースライン時に同定。共感染患者3名において、血漿中およびプロウイルスDNA中にCRF11とサブタイプB双方が同定され、追跡調査期間中持続。患者58名中40名の追跡調査時サンプルのBおよびCRF11特異PCRから、当初CRF11感染患者で一過性のB重複感染を観察。慢性静注薬物使用者156名中5名が予期しないウイルス血症の上昇を経験し、内2名は当初B感染後何年間も未治療で無ウイルス血症を有したが、症候性CRF11重複感染を発症し、高いウイルス量とCD4細胞数の減少を伴った。
AIDS 18(10):1459-1463,2004 Glynn J R, et al Trends in tuberculosis and the influence of HIV infection in northern Malawi, 1988-2001.
<北部マラウイ(1988?2001)における結核の傾向とHIV感染の影響>
(短報)アフリカの地方部における結核(TB)の発生率とパターンの変化およびそれらがHIVから受ける影響の程度について検証。HIVに起因する新たなスミアポジティブTB症例の割合は1988?1990年の17%から2000?2001年の57%に増大したが、HIVを考慮しない場合、スミアポジティブTB症例の推定割合は0.78/1000から0.45/1000に減少。TB症例は事実上増大し若年成人および女性に主に影響を及ぼしている。HIV関連TBの流行はそのピークを過ぎたという可能性を示唆するエビデンスもある。
AIDS 18(11):1549-1560,2004 Hart A M, et al Acetyl-l-carnitine: a pathogenesis based treatment for HIV-associated antiretroviral toxic neuropathy.
<アセチル-L-カルニチン:HIV関連抗レトロウイルス中毒性ニューロパシーのための病因に基づく治療>
最大33カ月間のアセチル-L-カルニチン(ALCAR)経口投与(1500mg1日2回)効果を、抗レトロウイルス中毒性ニューロパシーを有するHIVポジティブ患者21名で評価。治療6カ月後、感覚小神経繊維の平均免疫染色部は増大し(表皮100%p=0.006、真皮133%p<0.05)、その増大量は全ての神経繊維タイプ(表皮16%p=0.04、真皮49%p<0.05、汗腺60%p<0.001)あるいは交感神経繊維(汗腺41%p<0.0003)の増大を凌いだ。治療6カ月後、対照群と比較すると、表皮、真皮、汗腺の神経支配はそれぞれ92%、80%、69%に達した。治療24カ月後、神経支配の改善は維持(表皮と真皮)あるいは安定(汗腺)した。ニューロパシーのグレードは76%の患者で改善し、19%の患者で変化なし。HIV RNA量、CD4およびCD8細胞数には研究期間を通じ有意な変化は認めなかった。
AIDS 18(11):1602-1604,2004 De Luca A, et al Liver fibrosis stage predicts early treatment outcomes with peginterferon plus ribavirin in HIV/hepatitis C virus co-infected patients.
<HIV/C型肝炎ウイルス共感染患者において、肝繊維症のステージは、PEGインターフェロン-αとリバビリン併用療法の早期治療結果を予測するものとなる>
(短報)核酸系逆転写酵素阻害薬のMIV-310(アロブジン)は、in vitroで高度に変異したHIV株の複製を強力に阻害する。治療経験豊富な患者15名(ベースライン時ウイルス量中央値:3.93log10コピー/mL、CD4細胞数中央値:360個/mm3、最低2つのチミジン関連変異(TAM)を保有)においてMIV-310の効果を検証。現行治療に加えMIV-310を1日1回7.5mg投与し4週間試験。4週間後、ウイルス量減少の中央値は?1.13 log10。スタブジン服薬患者4名では?0.57 log10で、スタブジン非併用患者11名の?1.88 log10に比べ興味深い結果となった。TAM 2?3株を有する患者では、ウイルス量減少の中央値は?1.60 log10で、4/5変異株を有する患者では?1.88 log10。MIV-310投与中止後全被験者でウイルス量のリバウンドを観察。MIV-310への忍容性は高く、重大な有害イベントおよび治療中断は皆無。

合併症2004.6月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 36(3):861-868 Biggar R J, et al Cancer Risk in Elderly Persons With HIV/AIDS.
<HIV/AIDS高齢者における癌リスク>
AIDS高齢者における癌リスクのプロフィールを検証。1981年?1996年までのAIDSデータから60歳以上のAIDS高齢者8828名中 1142例の癌症例を同定した。一般集団に比べたAIDS発症後2年間におけるカポージ肉腫の相対リスク(RR)は545(95%信頼区間、406-717)。この間、子宮頸部癌は報告無し。AIDS発症前60カ月?発症後27カ月での非AIDS定義の癌(548例)のRRは1.3(1.2?1.4)。この期間、発生件数が異常に多かった癌タイプは若年成人AIDS患者の場合と同様。AIDS高齢者癌リスクプロフィールは総体的に若年成人AIDS患者と類似したものといえる。
JAIDS 36(3):869-875 Shire N J, et al Occult Hepatitis B in HIV-Infected Patients.
<HIV感染患者における不顕性B型肝炎>
活動性および不顕性B型肝炎ウイルス(HBV)の罹患率および有意性を240名のHIV-1ポジティブ米国コホート(HAART未経験)において評価した。HBアンチコアIgG抗体を有するHIV感染者約10%に不顕性HBVを観察。ウイルス量および血清中アラニンアミノトランスフェラーゼ値は低かったが、このHIV感染患者サブセットのスクリーニングは、抗レトロウイルス療法および免疫再構成関連の発赤リスクの点から重要であると思われる。
AIDS 18(9):1241-1250,2004 Kennedy J M, et al Peripheral neuropathy in lentivirus infection: evidence of inflammation and axonal injury.
<レンチウイルス感染における末梢性神経障害:炎症と軸索傷害のエビデンス>
遠位感覚性多発神経障害(DSP)はHIV-1感染の主な神経関連合併症である。レンチウイルス(ネコ免疫不全ウイルス;FIV)に感染したネコを用いて、末梢神経疾患について調査した。FIVがネコにおいてヒトでのHIV-1と類似した神経疾患および免疫抑制を引き起こすためである。実験の結果、FIV感染に伴い、ネコ神経内に多量のウイルスを認め、軸索傷害およびマクロファージ活性化で定義される末梢性神経障害が急速に発症。この実験結果はHIV関連DSPの1つのモデルとなるものと思われる。

 

合併症2003.9月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS 17(14):2119-2121,2003 Costigliola P (Italy) et al Need for liver transplant in HIV-positive patients: first results of a specific survey in Italy, Project HOST [Letter]
[HIV患者における肝移植の必要性:イタリアにおける特異的調査、プロジェクトHOSTの初報告]
イタリア感染症施設38箇所でChildAグレード以上の肝硬変を有するHIV患者135例が、肝移植待ちリストをシミュレートするために登録。Child-Turcotte-Pughスコア算出のために臨床データを収集し、一般除外クライテリアに当てはめ、統合ネットワーク臓器シェア階層クライテリアを集め、HIV臨床ステータスを評価した。HIV感染選択クライテリアは肝移植に適当なHIV患者を減らすのに強力であり、実験的プロトコール作成の際には注意深く考慮される必要があった。
AIDS 17(14):2141-2142,2003 Aceti A (Italy) et al Alanine aminotransferase decrease in HIV-hepatitis C virus co-infected patients responding to antiretroviral therapy [Correspondence]
[抗ウイルス療法の奏効したHIV/HCV合併患者におけるALT低下]
DiazらはHIV/HCV合併患者で抗ウイルス薬治療後に肝酵素が正常化し、抗ウイルス薬は肝硬変への進展リスクを減らす可能性を報告した。6ヶ月以上の抗ウイルス治療を受けている1,325例のHCV±のHIV患者を検討したところ、HCV合併が肝障害発現のリスクファクターであり、12ヵ月後抗ウイルス治療無効の患者では有効患者より肝障害発現率が高かった。
J Infect Dis 188(6):891-897,2003 Hisada M?(NCI, USA) et al Increased Hepatitis C Virus Load among Injection Drug Users Infected with Human Immunodeficiency Virus and Human T Lymphotropic Virus Type II
[HIV及びHTLV-II感染IDUにおけるHCVウイルス量増加]
1987―1991年に米国9州でIDU6,570人のコホートでHCVウイルス量を検討。HCV検出は性、人種及びウイルスグループ(HIV±/HTLV-II±)とは関連しなかったが、地域差あり。HCV量は女性より男性で高値。HIV又はHTLV-II合併でのウイルス量増加は白人で他人種より高かった。ウイルス量はHIV+/HTLV-,HIV-/HTVL+,HIV+/HTLV+でHIV-/HTLV-と比し、各0.50,0.22,0.56Log高かった。HTLV-II感染は白人ではHCV量を増加させるが、他人種では増加させなかった。
AIDS 17(14):2109-2116,2003 Serraino D (Italy) et al Epidemiological aspects of major opportunistic infections of the respiratory tract in persons with AIDS: Europe, 1993-2000
[AIDS患者の呼吸器の主な日和見感染の疫学的様相、ヨーロッパ、1993-2000年]
1993-2000年のAIDS日和見感染のカリニ肺炎(PCP)、肺結核(PTB)、再発性細菌肺炎(RBP)の疫学。AIDS患者142,447例のAIDS指標疾患181,296件を調査。西欧ではPCPが、東欧ではPTBが最も多かった。西欧のPTBは北部より南部で多く、一定に増加。RBPは1998年まで増加し以後は減少。若年がPTB高リスクと関連。ヘテロと比しホモ男性はPCPリスクが高値。IDU、輸血者はRBPリスク増加。
AIDS 17(14):2129-2131,2003 Sungkanuparph S (Thailand) et al Opportunistic infections after the initiation of highly active antiretroviral therapy in advanced AIDS patients in an area with a high prevalence of tuberculosis [Letter]
[結核有病率の高い地域の進行AIDS患者におけるHAART開始後の日和見感染]
プロスペクティブ多施設試験で、CD4超低値の進行AIDS患者におけるHAART開始後の日和見感染の発現率と種類を調査。HAARTが奏功しCD4が中央値9から48週で168に上昇した60例を検討したところ、14例で日和見感染20件が見られ、種類としては結核、MAC、再発性クリプトコッカス髄膜炎、帯状疱疹、トキソプラズマ及び性器ヘルペスだった。
AIDS 17(14):2063-2070,2003 Churchyard G J (South Africa) et al Efficacy of secondary isoniazid preventive therapy among HIV-infected Southern Africans: time to change policy?
[南アフリカのHIV患者におけるINH二次予防投与の効果:方針変更の時期?]
HIV患者に対するINH二次予防投与有/無(338/221例)での結核(TB)発現率を比較した観察試験。TB総再発率はINH投与で55%減少。INHの効果はCD4及び年齢で補正後も変わらず。CD4が200未満及び200以上の患者でTB再発を1例予防するためのINHは各5、9/人・年。予防効果は特にCD4低値例で大きかった。TB流行地域での二次予防についてガイドラインを拡大する必要がある。
J Infect Dis 188(5):643-652,2003 Fry A?M?(CDC, USA) et al Multistate Evaluation of Invasive Pneumococcal Diseases in Adults with Human Immunodeficiency Virus Infection: Serotype and Antimicrobial Resistance Patterns in the United States
[HIV感染成人における侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の多州評価:米国における血清型及び抗生剤耐性パターン]
AIDSではIPD発現率が高く、長期ST合剤予防投与を受ける。Emerging Infections Program NetworkのActive Bacterial Core surveillanceの1998-1999年のデータからHIV感染者及び非感染者のIPDを比較した。IPD2,346例中HIV/AIDSは18%。ST合剤非感受性株を除いても、決まった血清型が非感染者と比しHIV/AIDSではより普通に見られた。これら血清型の感染のリスクファクターはHIV/AIDS、それ以外の免疫不全状態及び黒人だった。HIV/AIDSはST合剤非感受性のリスクファクターではなかった。
J Infect Dis 188(5):666-670,2003 Gordon S?B?(Malawi) et al Pulmonary Immunoglobulin Responses to Streptococcus pneumoniae Are Altered but Not Reduced in Human Immunodeficiency VirusInfected Malawian Adults
[肺炎連鎖球菌に対する肺免疫グロブリン(Ig)の反応はマラウイのHIV患者で変化しているが減少はしていない]
HIV患者では下気道の抗炎球菌被膜ポリサッカライド(Pn-specific)Ig作用が欠如している可能性がある。気管支肺胞洗浄液中の総IgG及びIgMはHIV患者で非感染者と比し高値。Pn-specific IgG及びIgMは同等。肺炎球菌感染症罹患後、その時点での感染がなくても、気管支肺胞洗浄液中Pn-specific IgG及びIgMはHIV患者で非感染者より高値だった。
HIV Med 4(4):346-
[インデックス]
Crothers K?(UCSF, USA) et al Recurrence of Pneumocystis carinii pneumonia in an HIV-infected patient: apparent selective immune reconstitution after initiation of antiretroviral therapy
[HIV患者におけるカリニ肺炎再炎:抗ウイルス治療開始後の明らかな選択的免疫再構築]
抗ウイルス療法で持続的免疫反応の得られた患者ではカリニ肺炎二次予防の中断は安全との報告がいくつか見られるが、ST合剤中止後3ヶ月以内に再炎した症例を経験した。抗ウイルス薬で3年以上CD4>200を維持しており、同様に播種性MAC及びヒストプラズマに対する免疫再構築を発現し、そのため治療も中止した。
AIDS 17(14):2143-2145,2003 Padte N (Aaron Diamond Res C, USA) et al Sustained viremia during highly active antiretroviral therapy with accelerated proviral DNA decay in the setting of infection with syphilis [Correspondence]
[梅毒感染状態における加速的プロウイルスDNA崩壊を伴ったHAART治療中の持続的ウイルス血症]
症例報告。HAARTで18ヶ月ウイルス抑制後、3ヶ月連続ウイルス検出。その後治療変更なく17ヶ月間ウイルスは検出されていない。耐性変異なし。プロウイルスDNA検査の結果、HIV-1RNA検出限界以上は活性化されたリザーバーから生じた可能性があると示唆された。梅毒感染による免疫刺激による活性化と推測した。
AIDS 17(13):2002-2003,2003 Pearson R D (Canada) HIV (AIDS), maternal malaria and prolactin
[HIV(AIDS)、母親のマラリア感染及び黄体刺激ホルモン]
HIV患者では妊婦のマラリア感染特異的パターンが消失する、また、HIV感染女性のマラリアは非HIV感染者と比し貧血が2倍、と報告されている。著者はマラリア感染における重篤な貧血に黄体刺激ホルモンが関与している可能性を報告した。黄体刺激ホルモンは、母親のマラリア感染の謎の失われたピースなのか?
AIDS 17(14):2133-2136,2003 Fernandes A P M (Brazil) et al HLA markers associated with progression to AIDS are also associated with susceptibility to cytomegalovirus retinitis [Letter]
[AIDS進展に関連するHLAマーカーはCMV網膜炎(CMV-R)に対する感受性とも関連する]
ブラジルでCMV-R±のAIDS患者124例において、AIDS急速進展と関連するHLAマーカーの頻度を検討。AIDS進展関連HLAマーカーはCMV-Rなしと比しありの症例で有意に上昇。これらHLAマーカーの存在はAIDSとCMV-Rの療法に同時に罹患しやすくするのかもしれない。
JAIDS 34(1):84-90,2003 Franceschi S (France) et al Incidence of AIDS-Defining Cancers After AIDS Diagnosis Among People with AIDS in Italy, 1986-1998
[イタリアで1986-1998年のAIDS患者におけるAIDS診断後のAIDS指標癌の発現率]
カポシ肉腫の発現率は1986-1992年と1997-1998年の間に変わらず低下。女性のカポシ肉腫及び男女の非ホジキンリンパ腫の最初の減少は1993-1996年と1997-1998年の間に見られた。HAARTの好ましいインパクトを示すものである。減少は各年齢、感染経路に渡って認められたが、CD4が高度に抑制されたAIDS患者に比しCD4>50のAIDS患者で顕著だった。侵襲性子宮頸癌のAIDS患者に占める割合は1993-1996年から1997-1998年に増加したが、発現率は評価できなかった。
AIDS 17(14): 2136-2138,2003 Uberti-Foppa C (Italy) et al Long-term effect of highly active antiretroviral therapy on cervical lesions in HIV-positive women [Letter]
[HIV感染女性の子宮頸部病変に対するHAARTの長期効果]
治療の変更なく臨床的に安定したHIV女性及びウイルス増加によりHAARTに変更したHIV女性のパピロマウイルス関連子宮頸部病変に対するHAARTの長期効果をプロスペクティブに検討。病変縮小が見られたのは臨床的安定例と同じグループにおけるHAART治療例であり、HAART時代であっても侵襲的病変に対する厳格な予防レジメンの必要性が示唆された。
AIDS 17(13):1963-1968,2003 Gichangi P B (Kenya) et al Impact of HIV infection on invasive cervical cancer in Kenyan women
[ケニア女性における侵襲性子宮頸癌(ICC)に対するHIV感染のインパクト]
ケニアのICC367例、フィブロイド226例を対象としたケースコントロール試験。ICCはフィブロイドより高齢。HIV陽性率は各15,12%だが、35歳未満ではICCで有意に高値。HIV陽性ICCはHIV陰性ICCより平均10歳若年。ICCのHIV陽性の80%、陰性の77%はFIGOステージIib以上。しかし未分化腫瘍を有するオッズはHIV陰性と比し陽性で3倍高値。
AIDS 17(13):1998-2000,2003 Stebbing J (UK) et al Natural killer cells are not infected by Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus in vivo, and natural killer cell counts do not correlate with the risk of developing Kaposi's sarcoma
[ナチュラルキラー(NK)細胞はin vivoでカポシ肉腫(KS)関連ヘルペスウイルスに感染されず、NK細胞数はKS発現リスクと相関しない]
生来の免疫システムはKS発症をコントロールしていると考えられるが、KS発現リスクはNS細胞最低値と相関せず、NS細胞数はKS崩壊中の有意な増減が見られない。KS関連ヘルペスウイルス複製はin vivo又はin vitroで証明されず、NK細胞がKS崩壊に貢献しないことが示唆された。それらの役割は感染早期に起こる事象に限定されると考えられる。
AIDS 17(13):2006-2007,2003 Rey J (France) et al Intensive chemotherapy with rituximab is safe and effective in AIDS non-Hodgkin's lymphoma
[リツキシマブによる集中化療はAIDS非ホジキンリンパ腫に安全かつ効果的]
HAARTにより、AIDS悪性腫瘍に対しよりアグレッシブな治療が可能となった。CODE+リツキシマブ、CHOP+リツキシマブの有用性がすでに報告された。今回の検討は、CHOP1コース→高用量CHOP3コース→高用量MTX→Ara-C、リツキシマブ併用。6例中CR5例、追跡期間は短いが有効性と安全性が示唆された。
AIDS 17(14):2146?-2148,2003 Manfredi R (Italy) et al Rituximab alone proves effective in the treatment of refractory, severe stage III AIDS-related non-Hodgkin's paediatric lymphoma [Correspondence]
[再発性重度ステージIII AIDS関連非ホジキン小児リンパ腫の治療においてリツキシマブ単独は有効]
出生よりHIV感染していた14歳少女の症例報告。非ホジキンリンパ腫を発症し、MACOP-Bを投与したが効果は少なく、リツキシマブ4サイクルで奏効。4ヵ月後再発が疑われ再投与で消失。HAARTをddI+d4T+LPV/RTVに変更しHIVも奏効。
AIDS 17(14): 2117-2119,2003 Maso L D (Italy) et al Lung cancer in persons with AIDS in Italy, 1985-1998 [Letter]
[1985-1998年のイタリアのAIDS患者における肺癌]
HAART導入前後のイタリアのHIV/AIDS患者(PWA)の肺癌発現率を比較。PWA12,104例中、肺癌21例。PWAの肺癌発現率は一般人口より高値だが、HAART導入後は増加なし。
AIDS 17(13):1917-1923,2003 Bruera D (Argentina) et al Decreased bone mineral density in HIV-infected patients is independent of antiretroviral therapy
[HIV患者における骨密度(BMD)減少は抗ウイルス治療とは無関係]
HIV患者の骨密度についての横断試験。調査対象142例、A:未治療患者、B1:PI以外の治療1年以上、B2:PIを含む治療1年以上、C:健常対照群。Cに比しHIV患者ではBMDが有意に低値だが、A,B1,B2間に差なく、抗ウイルス治療とは無関係。骨減少及び骨粗しょう症もCと比し感染者で高く、未治療・治療群で差なし。骨形成・吸収マーカーは各群同等。各部位で感染期間とBMDとの間に有意な相関性あり。
AIDS 17(14): 2142-2143,2003 Yang A (Abbott Lb, USA) et al Lack of correlation between SREBF1 genotype and hyperlipidemia in individuals treated with highly active antiretroviral therapy [Correspondence]
[HAART治療患者におけるSREBF1ジェノタイプと高脂血症との間に関連なし]
SREBF1は脂質代謝遺伝子を活性化する転写因子である。SREBF1ジェノタイプと総コレステロール又はTGとの関連をd4T+3TC+LPV/RTVorNFV初回投与臨床試験で検討したところ、SREBF1ジェノタイプと脂質上昇との間に関連は見られなかった。
AIDS 17(14):2071-2075,2003 Braitstein P (Canada) et al Interventional cardiovascular procedures among HIV-infected individuals on antiretroviral therapy 1995-2000
[1995-2000年の抗ウイルス治療施行HIV患者における介入的心血管処置(ICP)]
抗ウイルス薬投与を受けた5,082例中、63例でICPの記録あり。97イベントがあり72%は1999年以降。1000人あたりの年齢調整イベント率は年々増加したが、一般人口では増加は見られなかった。多変量解析で登録時年齢の10年あたりの増加及び抗ウイルス薬治療期間が有意に関連した。
AIDS 17(13):1897-1906,2003 Eggers C (UCSF, USA) et al Delayed central nervous system virus suppression during highly active antiretroviral therapy is associated with HIV encephalopathy, but not with viral drug resistance or poor central nervous system drug penetration
[HAART施行時のCNSウイルス抑制遅延はHIV脳症に関連するが、薬剤耐性又は乏しいCNS薬剤移行とは関連しない]
HIV患者40例でHAART前後にCSF及び血漿サンプルを採取。CSF中のウイルス減少速度の遅さ及び部位による違いの大きさ(CSF slope/血漿slope)がHIV脳症と相関。CDCステージによる急速なCSF反応、CD4値又は抗ウイルス薬数及びそれらのCSF移行とは関連がなかった。CSF中ウイルス量減少の遅さはCSF又は血漿中薬物濃度低値とも薬剤耐性とも関連がなかった。

 

合併症2003.8月
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
J Infect Dis 188(4):571-577,2003 Kellerman SE (CDC, USA) et al Prevalence of Chronic Hepatitis B and Incidence of Acute Hepatitis B Infection in Human Immunodeficiency Virus-Infected Subjects
<HIV感染者における慢性HBV有病率及び急性HBV感染発現率>
1998-2001年の成人/青少年HIV感染スペクトラムプロジェクトにおけるHIV患者での急性/慢性HBV感染の発現率とリスクファクター及びHBVワクチン接種状況を調査。HIV患者16,248例中、急性HBV発現率は12.2件/1000人・年で、黒人、アルコール依存者、薬物静注者、AIDS発症歴ありの患者で高く、3TCを含む抗ウイルス療法、3TCを含まない抗ウイルス療法または1回以上のHBVワクチン接種例で低かった。ワクチン非摂取群での慢性HBV感染有病率は7.6%で、一般人口での有病率より高かった。HBVは依然としてHIV患者の共存症として重要だが、抗ウイルス療法とワクチン接種は疾患の低下に関連した。
AIDS 17(12):1803-1809,2003 Rosenthal E (France) et al Mortality due to hepatitis C-related liver disease in HIV-infected patients in France (Mortavic 2001 study)
<フランスにおけるHIV患者のHCV関連肝疾患による死亡>
HAART導入から5年後の末期肝疾患(ESLD)による死亡についてのコホート試験。参加25,178例中、2001年に265例が死亡;AIDS関連死129例、ESLD死38例、その他98例。ESLD死38例中36例はHCV合併例。ESLD死は1995年1.5%、1997年6.6%、2001年28%。この期間の死亡原因としての肝細胞癌の有病率もアルコール消費も有意に増加。
Clin Infect Dis 37(4):584-589,2003 Quintero JC (Spain) et al Epidemiological, Clinical, and Prognostic Differences between the Diseases Caused by Mycobacterium kansasii and Mycobacterium tuberculosis in Patients Infected with Human Immunodeficiency Virus: A Multicenter Study
<HIV患者におけるM.kansasiiとM.tuberculosisによる疾患の疫学、臨床及び予後の差>
1995-1999年に診断されたM/kansasii25例とM.tuberculosis75例を対象とした多施設比較試験。多変量解析でM.tuberculosisに関連した因子は薬物静注歴及び間質X線パターン、M.kansasiiに関連した因子はAIDS診断歴及び日和見感染合併だった。臨床及びX線の特徴は両群同等だったが、疫学及び予後は異なった。M.Tuberculosisiに比べM.kansasiiは免疫抑程度とHIV進行とより密接に関連していた。
AIDS 17(12):1859,2003 Jalba M-S (NY City Dep Hlth Ment Hygiene/Tuberculosis Cntl Program, USA) A starting point to a better detection of active and latent tuberculosis infection in HIV-positive individuals [Correspondence]
<HIV患者における活性型及び潜在性結核のより良い同定の出発点>
ChapmanらによるHIV患者における活性/潜在性結核の迅速同定法は、躍進ではなく出発点である。環境的マイコバクテリア感染症を考慮しなくてはならない。
AIDS 17(12):1860-1861,2003 Chapman A (UK) et al Response to letter from Jalba re: Rapid detection of Mycobacterium tuberculosis infection in HIV-infected Zambians by enumeration of RD1 gene product-specific T cells [Correspondence]
<Jalbaのレターに対する返答>
特定地域での更なる試験等の必要性について同意する。
Clin Infect Dis 37(4):559-566,2003 Koehler JE () et al Prevalence of Bartonella Infection among Human Immunodeficiency Virus-Infected Patients with Fever
<発熱を呈したHIV患者におけるバルトネラ感染症の有病率>
バルトネラ感染症は診断が難しく、症状は非特異的である。SFで発熱を呈したHIV患者382例を調査したところ、68例がバルトネラ感染症だった。12例でB henselaeまたはB Quintanaあるいは両者が検出された。バルトネラ抗体は発熱患者の17%で検出され、培養陽性またはPCR陽性患者の75%が含まれていた。バルトネラ感染による発熱の臨床的特徴同定の試験において、バルトネラ感染症と関連する因子は細菌性血管腫症状及びAl-Ph上昇のみだった。末期HIVで不明熱の患者におけるバルトネラ感染症有病率は従来の報告より高値だった。
AIDS 17(12):1717-1730,2003 Dukers NHTM (Netherlands) et al Human herpesvirus 8 epidemiology: what we do and do not know
<HHV-8の疫学:わかっていることとわからないこと>
HHV-8の、特にアフリカを中心とした疫学総説。アッセイ法、KS疫学との相関性、感染伝播、感染症自然歴等。
Clin Infect Dis 37(3):456-457,2003 Biglione MM (Argentina) et al A Possible Case of Myelopathy/Tropical Spastic Paraparesis in an Argentinian Woman with Human T Lymphocyte Virus Type II
<HTLV-II感染のアルゼンチン女性におけるミエロパチー及び熱帯痙攣性不全対麻痺(HAM/TSP)の可能性>
HTLV関連のミエロパチー及びHAM/TSPを特徴付ける神経障害を呈した患者で、ウエスタンブロット及びPCRでHTLV-IIが判明。アルゼンチンにおける最初の症例であり、HTLV-II感染に関連するHAM/TSPはHTLV-I陰性患者で起こることが示された。
JAIDS 33(5):655-657,2003 Murphy EL (UCSF, USA) et al Increased Human T-Lymphotropic Virus Type II Proviral Load Following Highly Active Retroviral Therapy in HIV-Coinfected Patients [Letter]
<HIV合併患者におけるHAART開始後のHTLV-IIプロウイルス量の増加>
HIV/HTLV-II合併でHAARTを開始した2例について。1例はHAARTによりHIV抑制達成、1例は失敗、両者ともHLTV-IIは増加。HTLV-IIウイルス量はCD4数と相関。2例のみのデータだが、HAARTはHTLV-II感染促進作用を有することが示唆された。
Clin Infect Dis 37(4):567-578,2003 Erice A (Univ Minnesota, USA) et al Cytomegalovirus (CMV) and Human Immunodeficiency Virus (HIV) Burden, CMV End-Organ Disease, and Survival in Subjects with Advanced HIV Infection (AIDS Clinical Trials Group Protocol 360)
<進展HIV患者におけるCMV及びHIV増殖、CMV末端組織疾患(EOD)及び生存(ACTG-360)>
DMV EOD既往歴のない403例を中央値151週追跡、56例が死亡し、21例がCMV EOD発症。そのうち20例は登録時CD4≦50、HIV RNA>1万、CMV DNAの検出限界以上の増加がCMV EOD発症に関連した。試験開始時CD4≦100かつHIV RNA>1万、追跡時CMV DVA>200あるいはCMV EOD発症が生存率低下と関連した。CD4≦50かつHIV RNA>1万の症例は血中のCMV DNAスクリーニングをすべきで、検出されたらCMV予防薬を考慮する必要があるかもしれない。
AIDS 17(12):1847-1851,2003 Engels EA (NCI, USA) et al Detection and quantification of Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus to predict AIDS-associated Kaposi's sarcoma
<AIDS関連カポシ肉腫(KS)予測のためのKS関連ヘルペスウイルス(KSHV)の同定と定量>
NY及びワシントンのホモセクシャル男性HIV感染者132例のコホートスタディ。31例がAIDS関連KS発症(3.1/1,000人・年)。K8.1抗体陽性、CD4低値、HIV RNA高値で発症が高かった。ケースコントロールスタディにおいて、評価対象70例中9例でKSHV血症が認められたが、全般に低レベル。LSHV血症はKSリスク上昇と相関。K8.1抗体陽性患者では、KSHV血症を有する例でKS発現率が10倍高値だった。同様にコントロールと比しEBV量は高かった。HIV/KSHV合併例では、KSHV血症がKS発症ハイリスク群の同定となる。
AIDS 17(12):1787-1794,2003 Skiest D J (Univ Texas SW Med C, USA) et al Survival is prolonged by highly active antiretroviral therapy in AIDS patients with primary central nervous system lymphoma
<一次CNSリンパ腫(PCNSL)合併AIDS患者におけるHAARTによる生存延長>
1995-2001年に大きなcounty teaching HP1施設でPCNSLの生存率を調査。PCNSL症例は25例、診断時CD4中央値は12、HIVは5.3Log(10)コピー。16例死亡、生存期間中央値87日。診断後HAARTを受けた患者で生存が有意に長かった(死亡ハザード比0.06)。HAART施行7例中6例生存、非施行18例は全例死亡(追跡期間中央値667日)。診断後ウイルス量減少が0.5Log以上及びCD4の有意な上昇例で生存ベネフィットが見られた。頭部RT施行13例は生存長期。RTもHAARTも受けなかった症例の生存期間はわずか29日。
J Infect Dis 188(4):555-562,2003 Hawes SE (Univ Wachington, USA) et al Increased Risk of High-Grade Cervical Squamous Intraepithelial Lesions and Invasive Cervical Cancer among African Women with Human Immunodeficiency Virus Type 1 and 2 Infections
<HIV-1/2感染のアフリカ人女性におけるハイグレード子宮扁平上皮内病変(HSILs)及び浸潤性子宮頸癌(ICC)のリスク上昇>
HIV-1,HIV-2、HPV感染、HIV量及びCD4数と関連するHSILs及びICCのリスクを、セネガルの外来クリニック受診の4,119女性を対象に評価。HIV感染はハイリスクHPV子宮感染率増加と関連した。ハイリスクHPV感染女性では、HIV-1感染またはHIV重感染例でHIV非関連例と比しHSILsまたはICC診断が多いようだった。この現象はハイリスクHPVに感染していない女性では見られなかった。HIV感染女性では、血漿中HIV RNA量高値及びCD4低値がハイリスクHPV感染高リスク及び子宮頸部異常の度合いと関連した。さらにHIV-2陽性女性はHIV-1陽性女性と比しHSILsまたはICC発症が多いようだった。
Clin Infect Dis 37(4):579-583,2003 Beltran S (France) et al Increased Prevalence of Hypothyroidism among Human Immunodeficiency Virus-Infected Patients: A Need for Screening
<HIV患者における甲状腺機能低下の有病率増加:スクリーニングの必要性>
多施設横断調査でHIV患者における甲状腺機能低下の有病率とリスクファクターを検討。調査対象350例の有病率は16%;明確例2.6%、無症候例6.6%、フリーT4値低下6.8%。無症候性機能低下の有病率は女性より男性患者で高かった。恒常性機能低下例と機能正常性代謝低下例とのケースコントロール試験において、多変量解析でd4T服用とCD4低値が甲状腺機能低下と関連。このような患者、特に男性ではスクリーニングを考慮すべきである。

 

合併症2003.7月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 33(3):329-335,2003 Shiramizu B (Univ Hawaii, USA) et al Correlation of Single Photon Emission Computed Tomography Parameters as a Noninvasive Alternative to Liver Biopsies in Assessing Liver Involvement in the Setting of HIV and Hepatitis C Virus Coinfection: A Multicenter Trial of the Adult AIDS Clinical Trials Group
[HIV/HCV合併での肝評価における非侵襲的代替法としてのSPECTパラメータの肝生検との関連]
SPECTパラメータと肝病期との関連についてのパイロットスタディ。多くのSPECTパラメータは構造の組織学的変化、繊維化及び肝硬変と関連し、そのうち2つのパラメータはSPECT/生検46ペアのうち39を正確に類別した。有用性が示唆され、更なるプロスペクティブスタディが必要とされる。
JAIDS 33(3):365-372,2003 Klein MB (Canada) et al The Impact of Hepatitis C Virus Coinfection on HIV Progression Before and After Highly Active Antiretroviral Therapy
[HAART前後のHIV進行に対するHCV合併の影響]
レトロスペクティブコホート。対象はHCV陽性125例(薬物静注者83%)、陰性1,076例。HCV陽性患者は明確なHAART恩恵を受けていなかった。HAART前時代と比べたHAART時代ハザード比は、日和見感染0.74、死亡1.78、入院2.1。対照的にHCV陰性患者では全転帰について率の低下が見られ、日和見感染、死亡、入院のハザード比は0.49、0.28、0.51.HCV陽性患者の死亡と入院は主に非AIDS規定感染症及び薬物静注の合併症よるものだった。
AIDS 17(11):1649-1657,2003 Cooley L (Australia) et al Prevalence and characterization of lamivudine-resistant hepatitis B virus mutations in HIV-HBV co-infected individuals
[HIV/HBV合併患者における3TC耐性HBVの有病率と特徴]
HIV患者1,719例のコホート調査で慢性HBV合併33例を同定、3TC耐性なしのウイルス増加群(1)、3TC耐性ありのウイルス増加群(2)及び非ウイルス増加群(3)の3群に分けられた。野生型HBV保有者と比較し、(2)群はHBV-DNAが有意に高かったが、3TC投与期間、HBVジェノタイプ、HIVウイルス量/CD4値は差なし。(2)は(1)(3)よりALT高値。3例でrtV173L+rtL180M+rtM204Vを含むBVポリメラーゼおける特徴的な変異が認められた。このウイルスはin vitroでの”ワクチン逃避”変異の特徴を有していた。
HIV Med 4(3):241-249,2003
[インデックスページ]
Lincoln D (Australia) et al HIV/HBV and HIV/HCV coinfection, and outcomes following highly active antiretroviral therapy
[HIV/HBV、HIV/HCV合併感染とHAART後の転帰]
オーストラリアHIV観察データベース(AHOD)登録の2,086例について調査。77%でHBV、82%でHCV、70%で両者の検査あり、そのうちHBV抗原陽性6.3%、HCV抗体陽性13.1%。多変量解析でHIV/HBV合併リスクファクターはHCV合併だった。HIV/HCV合併リスクファクターはHIV感染経路及びHBV合併。初回HAART開始12ヵ月のAIDSフリー生存およびHIV検出限界の観点での効果は、HIV/HBV,HIV/HCV両群ともHIVのみと同等だったが、HIV/HCVのCD4増加はHIVのみより悪かった。
Clin Infect Dis 37(1):101-112,2003 Korenromp EL (Switzerlands) et al Effects of Human Immunodeficiency Virus Infection on Recurrence of Tuberculosis after Rifampin-Based Treatment: An Analytical Review
[リファンピンベースの治療後の結核再発に対するHIVの影響:分析的レビュー]
治癒後の結核再発についてのプロスペクティブ試験47をレビューし、HIVとリファンピンの影響を評価した。多変量解析でHIV陰性例の再発率は治療期間減少と共に増加した(年100人あたりの再発数は、リファンピシン治療期間7ヵ月/5-6ヵ月/2-3ヵ月以上でそれぞれ1.4/2.0/4.0件)。HIV感染者の再発リスクは各治療期間でそれぞれ2.2/2.1/3.4件であり、HIV感染状態と治療期間との間に有意な相関が見られた。再発率は背景の結核発現率とともに増加し、非HIV患者では治療終了からの時間経過とともに減少したが、HIV患者では減少しなかった。HIV流行国では結核再発はWHO推奨どおりリファンピシンベース治療6ヶ月以上施行で減少するだろう。
Clin Infect Dis 37(2):285-291,2003 Fardet L (France) et al Human Herpesvirus 8-Associated Hemophagocytic Lymphohistiocytosis in Human Immunodeficiency Virus-Infected Patients
[HIV患者におけるHHV-8関連血球貪食性リンパ組織球増多症]
HIV感染者のHHV-8関連血球貪食性リンパ組織球増多症(HL) 5例のレトロスペクティブレビュー。全例肺症状あり、しばしば致死的。HLエピソード中央値は6回。4例はHL関連カポシ肉腫、3例は多中心性キャッスルマン病あり。CD4中央値200セル/mm3、HIV量は全例定常状態。発作時は全例PBMC中HHV-8高値で、3例では発作前値より有意に増加。2例死亡、3例生存でHAARTと共にエトポシド治療施行(追跡期間中央値3年)。
JAIDS 33(3):411-412,2003 Tassie J-M (France) et al Systematic Screening of Cryptococcal Antigenemia in HIV-Positive Adults in Uganda [Lettre]
[ウガンダのHIV陽性成人におけるクリプトコッカス抗原血症の系統的スクリーニング]
ウガンダの施設でHIV患者197人をスクリーニング。7.4%がWHOステージ4、50.8%がCD4<50。
J Drug Dermatol 2(2):189-191, 2003 Scheinfeld N (St.Luke's Roosevelt HP C, USA) Diffuse ulcerations due to disseminated histoplasmosis in a patient with HIV
[HIV患者における播種性ヒトプラスマ症によるびまん性潰瘍形成]
播種性ヒトプラスマ症はAIDS規定疾患の一つで、無治療では致死性である。播種性ヒトプラスマ症によるびまん性潰瘍形成の初めての報告。d4T+3TC+IDV治療でCD4値525の時に発症、イトラコナゾール単剤で軽快。
AIDS 17(11):F17-F22,2003 Portsmouth S (UK) et al A comparison of regimens based on non-nucleoside reverse transcriptase inhibitors or protease inhibitors in preventing Kaposi's sarcoma
[カポシ肉腫(KS)予防のためのNNRTI又はPIベースレジメンの比較]
HIV-1患者8,640例を対象としたHAART導入前後のKS発現率についてのプロスペクティブコホート。KS発症例は1,204例、1995年以前の30/1000例・年から2001年では0.03/1000例・年に減少。多変量解析でのKS予測因子は年齢、CD4最低値及び抗HIV薬のクラスだった。予防効果はNNRTIベースとPIベースで同等。HAART中でのKS発現例のほとんどはウイルス学的失敗のエビデンスを有していた。
JAIDS 33(4):506-512,2003 Currier JS (UCLA, USA) et al Coronary Heart Disease in HIV-Infected Individuals
[HIV患者における冠動脈疾患(CHD)]
カリフォルニアメディケイド加入のHIV陽/陰性例の投薬データをレビュー。分析対象は3,083,209人、うちHIV陽性28,513例。若い男性(34歳以下)及び女性(44歳以下)感染者では非感染者より有意にCHD発現率が高かった。18-33歳の感染者で治療を受けている患者の発現危険率は未治療者と比較し2.06。他の年代では治療とCHDに相関関係なし。
AIDS 17(11):1714-1715,2003 Alp S (Germany) et al Long-time survival with HIV-related pulmonary arterial hypertension: a case report
[HIV関連肺高血圧症の長期生存例:症例報告]
症例報告。胸痛と呼吸困難で入院、3ヶ月間で悪化。入院前検査で肺高血圧症診断。シルデナフィル投与で軽快、ioloprost吸入追加でさらに改善。HIV患者での肺高血圧症発現率は0.5%で、非感染者の2500倍。
AIDS 17(11):1711-1713,2003 Datta D (UK) et al The diagnostic yield of stool analysis in 525 HIV-1-infected individuals
[HIV-1患者525例における便座の分析の診断的収穫]
多くのHIV患者が種々の原因の下痢を呈する。便座検出菌はCD4≦200とそれ以上とでは異なり、CD4値が低い群では原因菌の検出率がCD4高値群より高かった。上/下部消化管内視鏡検査で細菌以外の要因も判明、HAART時代では細菌を原因とする下痢は減り、CD4高値では便座分析の有用性は低下している。

 

合併症2003.6月
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
AIDS 17(10):1531-1537,2003 Charalambous S (South Africa) et al HIV infection and chronic chest disease as risk factors for bacterial pneumonia: a case-control study
[細菌性肺炎に対するリスクファクターとしてのHIV感染及び慢性胸部疾患:ケースコントロール試験]
細菌性肺炎109例とコントロール400例のHIV患者を対象としたコホート調査。コントロールと比し肺炎例で結核既往歴、病前X線異常の有病率が有意に高値だったが、他の変数は同等。多変量解析でHIV感染、及び病前X線異常がリスクファクターだった。
Chest 123(6):1977-1982,2003 Diaz PT (Ohio State Univ, USA) et al Respiratory Symptoms Among HIV-Seropositive Individuals
[HIV陽性者における呼吸器症候群]
AIDS関連呼吸器疾患既往歴のないHIV患者127例及び年齢と喫煙歴を一致させたHIV陰性者を対象に調査。呼吸困難、咳、1粘液分泌過多を含む呼吸器症状はHIV群で有意に多かった(それぞれ41.6vs7.7%、40vs25%、41.9vs23.1%)。HIV群では現在/過去の喫煙が最も重要な予測因子だった。3TC使用と呼吸困難の有意な減少が相関した。
AIDS 17(9):1410-1411,2003 Lascaux A-S (France) et al Late cerebral relapse of a Mycobacterium avium complex disseminated infection in an HIV-infected patient after cessation of antiretroviral therapy [Correspondence]
[抗ウイルス薬中止後のHIV患者におけるMAC播種性感染の遅延性脳内再発]
症例報告。播種性MACの治療を3年受け、HAART中止後CD4が急激に73まで低下し、遅延的にMAC脳内再発を来した。CD4が100以下に低下したら予防投与を再開すべきである。
JAIDS 33(2):140-145,2003 Naik E (Univ South Florida, USA) et al The Complexity of HLA Class II (DRB1, DQB1, DM) Associations With Disseminated Mycobacterium Avium Complex Infection Among HIV-1-Seropositive Whites
[HIV-1陽性白人における播種性MAC感染(DMAC)関連HLAクラスIIの複雑性]
DMAC患者ではコントロールと比較しDMA*0102対立遺伝子の発現頻度は低かった。特異的DMA及びDMB変化を伴うあるいは伴わないDRB1対立遺伝子のコンビネーションはDMACとコントロールとの間の分布において有意に異なったが、すでに関連していたクラスII対立遺伝子(DRB1*1501及びDRB1*0701)両者はDMA*0102存在下より非存在下でDMACと強く正相関していた。DMACの発現及びタイミングにおけるDRB1及びDN対立遺伝子コンビネーションの明確なジョイント効果は、クラスII疾患関係が遺伝子多型よりも生物学的に尤もらしい相互作用コンビネーションによってより予測されるかもしれないことを示唆した。
J Infect Dis 187(12):1967-1971,2003 Morris L (South Africa) et al Human Immunodeficiency Virus1 RNA Levels and CD4 Lymphocyte Counts, during Treatment for Active Tuberculosis, in South African Patients
[南アフリカの患者における活動性結核治療中のHIV-1 RNA量及びCD4リンパ球数]
活動性結核を有するHIV-1患者111例を対象に、結核治療6ヶ月間のウイルス量とCD4を検討したところ、ウイルス量は1ヵ月目で有意に増加し、3ヶ月及び6ヵ月目で初期値に戻っていた。逆にCD4値は1,3,6ヵ月目で増加していた。CD38発現とHLA-DRは治療期間を通して高値で、血漿中IL-6は時間と共に減少した。
AIDS 17(9):1398-1400,2003 Nachega J (South Africa) et al Tuberculosis active case-finding in a mother-to-child HIV transmission prevention programme in Soweto, South Africa [Letter]
[南アにおけるHIV母児感染予防プログラムにおける活動性結核症例同定]
南アの母児感染予防プログラムにおいて活動性結核の調査を行ったところ、調査438例中49%で5mm以上の反応が認められ、120例について更に現在の病状検査を行った。活動性結核の有病率は11%と高値で、患者同定及び予防治療の必要性が強調された。
JAIDS 33(2):184-190,2003 CASCADE Collaboration (Europe) Impact of Tuberculosis on HIV Disease Progression in Persons With Well-Documented Time of HIV Seroconversion
[HIV抗体陽転時期の明確な患者におけるHIV病期進行に対する結核のインパクト]
結核はin vitroでHIV複製を促進する。19コホート試験で陽転時期の明確な患者における結核のインパクトを検討。4,398例のHIV患者のうち29%がAIDS発症。罹病期間が同じAIDS患者では、結核の有無により予後に差は見られなかった。
AIDS 17(9):1411-1413,2003 Morlese J F (UK) et al Plasma IL-6 as a marker of mycobacterial immune restoration disease in HIV-1 infection [Correspondence]
[HIV-1患者におけるマイコバクリア感染免疫再構築疾患に対するマーカーとしての血漿IL-6]
IL-6が免疫再構築疾患のマーカーとなり得ることが示唆された1例の症例報告。
Eur Respir J 21(5):785-788,2003 Rocha M (Portugal) et al The role of adherence in tuberculosis HIV-positive patients treated in ambulatory regimen
[外来治療の結核合併のHIV患者におけるアドヒアランスの役割]
70例の結核合併HIV外来患者を対象に、抗結核薬のアドヒアランスと転帰について調査。結核の悪転帰(非治癒又は死亡)はアドヒアランス例で22.9%、非アドヒアランス例で35.9%、アドヒアランスのみが決定因子だった。アドヒアランスは現在の薬物静注、治療合併症及びメタドン使用と関連していた。
JAIDS 33(2):247-252,2003 Erbelding E J (Baltimore City Hlth Dep, USA) et al New Sexually Transmitted Diseases in HIV-Infected Patients: Markers for Ongoing HIV Transmission Behavior
[HIV患者における新たなSTD:現在進行中のHIV伝播行動に対するマーカー]
ボルチモアで1993-1998年にHIV検査陽性者を対象としたコホート。HIV感染者は男性796例、女性354例、その後STD感染は男性で13.9%、女性で11.9%。STD感染者は男性では多数のセックスパートナー、セックスワーカーとの接触と関連し、女性では30歳未満と関連していた。
J Infect Dis 188(1):118-127,2003 Ohmit SE (Wayne State Univ Sch Med, USA) et al Longitudinal Study of Mucosal Candida Species Colonization and Candidiasis among Human Immunodeficiency Virus (HIV)Seropositive and At-Risk HIV-Seronegative Women
[HIV陽性及び感染リスクのある女性における粘膜カンジダ族のコロン形成及びカンジダ症に関する縦断調査]
HIV感染女性868例、HIV感染高リスク女性437例を対象に、口腔・膣カンジダ症をプロスペクティブに調査。コロン形成及びカンジダ症獲得率は口腔、膣ともHIV陽性で高かった。粘膜コロン形成はHIV陽性でより持続することが示されたが、持続的な粘膜カンジダ症は示唆されなかった。ウイルス量高値は口腔・膣コロン形成及びカンジダ症の発現率及び持続のオッズ上昇と有意に関連し、口腔カンジダ症及び膣コロン形成についてHAARTの有意な減少効果が認められた。細胞性免疫(CD4<500)は口腔コロン形成またはカンジダ症のオッズ上昇と有意に関連したが、膣に関しては関連が認められなかった。
JAIDS 33(2):146-152,2003 Uberti-Foppa C (Italy) et al Pretreatment of Chronic Active Hepatitis C in Patients Coinfected With HIV and Hepatitis C Virus Reduces the Hepatotoxicity Associated With Subsequent Antiretroviral Therapy
[HIV/HCV合併患者の慢性活性HCV前治療は引き続く抗ウイルス治療に伴う肝毒性を減弱する]
HCV前治療あり(IFN-α±リバビリン)となしの患者の抗ウイルス薬治療による肝障害を調査。肝障害は前治療ありで4/66例、なしで6/39例。CD4ほか種々のファクターで調整後の抗ウイルス薬中断リスクはHCV未治療例及び抗ウイルス薬開始時のALTが高い例で有意に高かった。
AIDS 17(9):1363-1367,2003 Paris R (Thailand) et al The association between hepatitis C virus and HIV-1 in preparatory cohorts for HIV vaccine trials in Thailand
[タイでのHIVワクチン試験に対する予備コホートにおけるHCVとHIV-1との関連]
ワクチン試験参加者を対象に調査。HIV非感染者でのHCV有病率は男性8.3%、女性4.2%。HCV/HIV合併は男性50.7%、女性3.4%。IDU男性では96.4%がHCV陽性。女性ではIDUなし。HCVは男性ではHIV感染と相関していたが、女性では相関せず。potential confounding調整解析後も、男性ではIDUでないHCVはHIV-1と強く相関していた。
Clin Infect Dis 36(12):1564-1571,2003 Neau D (France) et al Comparison of 2 Regimens that Include Interferon-α-2a plus Ribavirin for Treatment of Chronic Hepatitis C in Human Immunodeficiency Virus-Coinfected Patients
[HIV合併慢性C型肝炎患者におけるIFN-α-2a+リバビリンを含む2レジメンの比較]
68例を対象としたオープンラベル無作為比較試験。IFN-α-2a投与量はA群:6MU 週3回 24週→3MU 週3回、B群9MU毎日 2週→3MU毎日 22週→3MU 週3回 24週、12週でウイルス消失がなければ16週にリバビリン追加。持続的ウイルス抑制は15%のみ。従来のIFN-α-2aとリバビリンの併用は、HCV/HIV合併患者には効果が低かった。
Clin Infect Dis 36(12):1602-1605,2003 Gandhi RT (Massachusetts GP, USA) et al Isolated Antibody to Hepatitis B Core Antigen in Human Immunodeficiency Virus Type-1Infected Individuals
[HIV-1感染者におけるHBc抗原に対する単離抗体]
HIV-1患者651例を対象にHBs抗原及びその抗体を検査したところ387例が両方陰性、そのうち142例で更にHBc抗原の抗体(anti-HBc)検査をしたところ60例が陽性、HIV-1単独よりHIV-1/HCV合併例で多かった(16vs80%)。HIV-1/HCV合併例でのHBVスクリーニングには注意が必要。
AIDS 17(10):1572-1574,2003 Haverkamp M (Netherlands) et al The effect of lamivudine on the replication of hepatitis B virus in HIV-infected patients depends on the host immune status (CD4 cell count)
[HIV患者におけるHBV複製に対する3TCの効果は宿主の免疫状態(CD4)に依存する]
小規模レトロスペクティブ調査を行ったところ、3TC治療によるHBV複製に対するCD4依存的反応が認められた。この点で、HBVは日和見感染と捉えられるかもしれない。
AIDS 17(10):1581-1582,2003 Fabris P (Italy) et al Occult hepatitis B virus infection in HIV/hepatitis C virus co-infected patients [Correspondence]
[HIV/HCV合併患者における隠れたHBV感染]
2002年にNunezらがHIV/HCV感染者の隠れたHBV感染はしばしば見られるわけではない、と報告したが、過去の報告や我々の知見とは異なるものである。HBV DNA検査の感受性の違いが考えられる。HBV感染を正確にとらえるために肝生検が必要と考えられる。
JAIDS 33(2):121-124,2003 Mbopi-K?ou F-X (UK) et al Genital Shedding of Herpes Simplex Virus-2 DNA and HIV-1 RNA and Proviral DNA in HIV-1- and Herpes Simplex Virus-2-Coinfected African Women
[HIV-1/HSV-2合併アフリカ女性におけるHSV-2 DNA及びHIV-1 RNAの性器での排出]
中央アフリカ共和国での調査で、HIV-1/HSV-2抗体陽性率及びHIV-1/HSV-2性器排出率が高いことが判明した。
AIDS 17(9):1394-1396,2003 Ait-Arkoub Z (France) et al No influence of human herpesvirus 8 infection on the progression of HIV-1 infection in initially asymptomatic patients [Letter]
[初期無症候性HIV-1患者における病期進行に対しHHV-8感染は影響なし]
71例のHIV-1患者を対象にHHV-8の長期無進行(LTNP)状態への影響を6年にわたり検討。最終的に75%の患者でLTNP状態は消失したが、この進行はHHV-8抗体陽性又はDNA血症とは関連しなかった。
AIDS 17(9):1407-1408,2003 de Jong RB (Netherlands) et al Sustained high levels of serum HHV-8 DNA years before multicentric Castleman's disease despite full suppression of HIV with highly active antiretroviral therapy [Correspondence]
[HAARTによるHIV抑制にも関わらず多中心性キャッスルマン病(MDC)の数年前の血清HHV-8 DNA高値の持続]
MDCはHIVでの高度免疫抑制化でHHV-8及びカポシ肉腫と関連するリンパ増殖性疾患で、致死的であるが、早期のHAARTにより生存が延長する可能性が報告されている。今回、HAARTによりHIVは完全に抑制されていたが、HHV-8高値が2年以上続き急速な致死性MCDを発症した症例を報告。カポシ肉腫症例ではHAARTによりHIVだけでなくHHV-8抑制もターゲットとすべきである。
AIDS 17(9):1409-1410,2003 Marrache F (France) et al Prolonged remission of HIV-associated multicentric Castelman's disease with an anti-CD20 monoclonal antibody as primary therapy [Correspondence]
[初期治療としての抗CD20モノクローナル抗体によるHIV関連中心性キャッスルマン病(MDC)の長期寛解]
近年、シドフォビルと抗ヒトIL-6モノクローナル抗体投与時に再発後部分的に化療で維持されたが、HAARTと抗CD20モノクローナル抗体で14ヶ月寛解した症例が報告されている。今回,重篤な免疫障害でMCDを発現し、抗CD20モノクローナル抗体を開始し6ヵ月寛解を維持した症例を報告する。
AIDS 17(10):1582-1584,2003 Ojanguren J (Spain) et al Epstein-Barr virus-related plasmablastic lymphomas arising from long-standing sacrococcygeal cysts in immunosuppressed patients [Correspondence]
[免疫抑制患者における長期仙尾骨嚢から現れるEBV関連形質芽球リンパ腫]
2例の症例報告。このような例は未報告だと思われる。
Infection 31(3):172-173,2003 Quiros-Roldan E (Italy) et al HIV/HTLV Co-infection: Frequency and Epidemiological Characteristics among Patients Admitted to an Italian Hospital
[HIV/HTLV合併感染:イタリアの医療施設来院患者における頻度と疫学的特徴]
2000年後期のHIV来院患者599例(イタリア人472例、外国人127例)についてHTLV有病率を調査したところ、72例がHTLV-II陽性。、1例を除きイタリア人で、ほとんどが薬物静注での感染例だった。
JAIDS 33(2):206-210,2003 Hladik W (CDC, USA) et al Kaposi's Sarcoma in Uganda: Risk Factors for Human Herpesvirus 8 Infection Among Blood Donors
[ウガンダにおけるカポシ肉腫:供血者におけるHHV-8感染のリスクファクター]
ウガンダ供血標本からHIV,HBs抗体又は梅毒陽性203例と陰性203例を選び、HHV-8について調査。総陽性率は40%で、HBs抗体陽性で陰性と比較し高く、HIV陽性で陰性と比較し高かった。年齢の相関はなかった。4種の検査を用いたが、ORF65EIA検査は他の検査との一致率が低く、検討を要する。
AIDS 17(10):1580-1581,2003 Bani-Sadr F (France) et al Relapse of Kaposi's sarcoma in HIV-infected patients switching from a protease inhibitor to a non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor-based highly active antiretroviral therapy regimen [Correspondence]
[PIベースからNNRTIベースのHAARTに切り替えたHIV患者におけるカポシ肉腫の再発]
PIからNNRTIに切り替え数ヵ月後にカポシ肉腫を再発した症例を5例経験した。抗ウイルス効果/免疫学的効果が認められても注意が必要である。
AIDS 17(10):1521-1529,2003 Hoffmann C (Univ HP Kiel, USA) et al Response to highly active antiretroviral therapy strongly predicts outcome in patients with AIDS-related lymphoma
[HAARTに対する効果はAIDS関連リンパ腫(ARL)患者の予後を強く予測する]
1990-2001年の多施設コホート試験。全身性ARL203例を調査したところ、生存期間中央値は9.0ヶ月で、単変量解析で60歳未満、AIDS既往歴なし、CD4≧200、Hb>11、ステージI-II、節外病変なし、HAART有効及びCRが長期生存と関連する因子だった。多変量解析で生存と関連する因子はHAART有効、CR、AIDS既往歴なし及び節外病変なしだった。
J Infect Dis 188(1):128-136,2003 Schuman P (Wayne State Univ Sch Med, USA) et al Longitudinal Study of Cervical Squamous Intraepithelial Lesions in Human Immunodeficiency Virus (HIV)Seropositive and At-Risk HIV-Seronegative Women
[HIV陽性及び感染リスクのある女性における子宮頸部扁平上皮内病変(SILs)の縦断調査]
HIV感染女性774例、HIV感染高リスク女性391例を対象に、子宮頸部細胞診異常の発現率及び進展と回復の関連を5.5年にわたり検討。フォロー中にHIV陽性の35%、陰性の9%にPapテストでSILs発現を発見、7%がハイグレード。SILs発現率はHIV陽性で1.5、陰性で2.6件/100人・年。SILs発現及び進行リスクはCD4<500のHIV陽性及びHPV感染女性で高かった。SIL回復はウイルス量高値のHIV陽性で低いようだった。HAARTの有用性は認められなかった。
Arch Pathol Lab Med 127(5):589?592,2003 Demopoulos BP (Cornell Univ, USA) et al Non?Acquired Immunodeficiency Syndrome-Defining Malignancies in Patients Infected With Human Immunodeficiency Virus
[HIV患者における非AIDS規定悪性腫瘍]
1993-97年に癌発症HIV患者57例と、同時期のHIV非感染者を比較。年齢は対照群のほうが有意に高かった。肺、皮膚、陰茎、咽頭、下及び結腸癌はHIV患者で発症年齢が低かった。HIV患者で喫煙及び不法薬剤使用頻度が高かった。またHIV患者の方が病期が低く、ステージ0の有病率が高いことによるものだった。
AIDS 17(10):1443-1449,2003 Gasnault J (France) et al Critical role of JC virus-specific CD4 T-cell responses in preventing progressive multifocal leukoencephalopathy
[進行性多巣性白質脳症(PML)予防におけるJCV特異的CD4細胞反応の決定的役割]
JCVは広く存在し、高度免疫不全時のみPMLを引き起こす。HIV+/-、尿中JCV排出+/-の4群及び現在PML+、PML既往歴+の2群でJCV特異的CD4反応を測定。JCV排出-は全例有意な抗JCV CD4細胞増殖なし。JCV排出+のHIV-全例及びHIV+の約半数でJCV特異的CD4反応陽性。現在PML+は全例有意な反応は見られず、PML既往歴+のほとんどで反応陽性。JCV特異的反応の回復はCSFからのJCV消失と関連していた。
AIDS 17(10):1539-1545,2003 Dore G J (Australia) et al Marked improvement in survival following AIDS dementia complex in the era of highly active antiretroviral therapy
[HAART時代のAIDS痴呆症候群(ADC)後の生存の著明改善]
1993-95の前HAART時代と1996-2000年のHAART時代でのADCを調査。ADCは前HAART時代の5.8%からHAART時代6.8%に増加、AIDS発症後生存期間は19.6ヶ月から39.6ヶ月に延長、ADC発症後生存期間も11.9ヶ月から48.2ヶ月に延長、他のAIDS規定疾患よりも改善が大きく、特にCD<100のADCで寄与が大きかった(5.1ヶ月から38.5ヶ月)。
Crit Care Med 31(6):1848-1850,2003 Schleicher GK (South Africa) et al Effect of human immunodeficiency virus on intensive care unit outcome of patients with Guillain-Barre syndrome
[ギラン・バレー症候群(GBS)発現患者のICU転帰に対するHIVの影響]
南アにおけるレトロスペクティブ試験。対象患者は1995-2000年にGBSでICU対応し、HIV背景やGBS検査所見のある13例(HIV陰性7例、陽性6例)。ICU滞在/呼吸器必要日数、CSF/電気生理学/感染症の所見は両群差なし。全例免疫グロブリン投与。死亡はHIV陽性1例、陰性0例。HIV陽性例のCD4中央値は332。両群に転帰の差は認められなかった(特にCD4>200で)。
JAIDS 33(2):279,2003 Scapellato P G (Argentina) et al CD4 Cell Count Among HIV-Infected Patients With an AIDS-Defining Disease: Higher Count in Patients Coinfected Than in Those Not Coinfected With Human T-Cell Lymphotropic Virus Type I [Letter]
[一つのAIDS指標疾患を発現したHIV患者におけるCD4値:HTLV-I非合併例と比較し合併例で高値]
未治療でAIDS指標疾患を一つ発症した症例のCD4、ウイルス量をレトロスペクティブに調査したところ、HTLV-I合併例で非合併例よりCD4が高値だった。プロスペクティブ試験を要する。
JAIDS 33(2):267-273,2003 Dworkin M S (CDC) et al AIDS Wasting Syndrome: Trends, Influence on Opportunistic Infections, and Survival
[AIDS消耗性症候群:傾向、日和見感染に対する影響及び生存]
消耗症候群の発現率は1992-1999年に掛け減少し、特に1995年以降は顕著だった。AIDS及び非AIDS指標疾患発現率は消耗症候群診断時又は診断後に一般に高かった。生存改善と有意に関連した因子は、消耗症候群診断から診断時又は診断後の抗ウイルス治療開始までの期間のCD4≧200だった。オキサンドロロン処方は生存の改善と関連したが、有意ではなかった。消耗性疾患の治療が予後の改善に結びつく可能性を支持する結果となった。
HIV Clinical Trials. 4(3):150-163, 2003 Hengge UR (Germany) et al Oxymetholone for the Treatment of HIV-Wasting: A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Phase III Trial in Eugonadal Men and Women
[HIV消耗性疾患治療のオキシメトロン:生殖器正常の男女における二重盲検無作為プラセボコントロール第III相試験]
消耗を呈する89例の生殖器正常の男女を対象にオキシメトロンの効果を検討。オキシメトロンは50mg bidまたはtid 16週投与。オキシメトロン投与群はプラセボと比較し体重増加、BCM増加、食欲、摂食量等が有意に良好。最も重要な副作用は肝関連毒性で、ALT,ASTまたはγGTの5倍以上の上昇はtid43%、bid25%、プラセボ8%。本剤は有用と考えられ、100mg/d bidと150mg/d tidが同等と考えられた。
AIDS 17(10):1577,2003 Skiest DJ (Univ Texas, USA) The importance of co-morbidity in older HIV-infected patients [Correspondence]
[高齢のHIV患者における病期合併状態の重要性]
我々は7年前に高齢HIV患者における病気合併の生存に対する影響を発表したが、Tumbarelloらも今年同じような発表をおこなった。HAART時代になっても高齢患者の病気合併が生存に影響している。高齢者でもHAARTが必要で、一般に反応性もあり、早期発見が重要である。
NEJM 348(23):2323-2328,2003 Calabrese LH (Cleveland Clin, USA) et al Successful Cardiac Transplantation in an HIV-1-Infected Patient with Advanced Disease
[進行したHIV-1患者における心臓移植の成功]
進行AIDS患者における心臓移植の症例報告。AIDS発症後、カポシ肉腫治療でリポ化ダウノルビシン投与で進行性呼吸困難発症、タキソールに変更後も持続。2001年2月に心臓移植実施、現在は仕事に復帰。
NEJM 348(23):2323-2328,2003 Roland ME et al Responding to Organ Failure in HIV-Infected Patients
[HIV患者における臓器不全に対する応答]
HIV患者の臓器移植に関するミニレビュー。

 

合併症2003.5月
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
Clin Infect Dis 36(10):1295-1304,2003 Salmon-Ceron D (France) et al Interferon-Ribavirin in Association with Stavudine Has No Impact on Plasma Human Immunodeficiency Virus (HIV) Type 1 Level in Patients Coinfected with HIV and Hepatitis C Virus: A CORIST-ANRS HC1 Trial
[IFN-リバビリン+d4TはHIV/HCV合併患者の血漿中HIV-1量に影響しない:A CORIST-ANRS HC1試験]
HIV/HCV合併患者30例を対象に、d4Tとリバビリンのウイルス学的効果及び細胞内相互作用を検討。d4Tを含む治療を受けている患者を、HCV非治療とIFN+リバビリン3ヶ月投与の2群に分けた。IFN+リバビリン併用で、試験開始と3ヵ月後のHIVレベルに差は見られなかった。HCV非治療群と比較し、IFN+リバビリン群では細胞内d4T三リン酸残存量が低い傾向が認められた。同様の傾向が最高濃度にも認められた。d4Tとリバビリンの併用で短期的なHIV量に対する影響は見られなかった。in vivoでは相互作用の可能性が示されているが、安全に併用可能だった。
Clin Infect Dis 36(10):1313-1317,2003 Tedaldi EM (Temple Univ, USA) et al Prevalence and Characteristics of Hepatitis C Virus Coinfection in a Human Immunodeficiency Virus Clinical Trials Group: The Terry Beirn Community Programs for Clinical Research on AIDS
[HIV臨床試験グループにおけるHCV合併の有病率と特徴:Terry Bein CPCRA]
CPCRAのHIV臨床試験登録2705例の登録時HCV/HIV合併率は16.6%。多変量解析で、男性では登録時合併率は、IDU経歴、高齢、抗ウイルス薬未投与、アフリカ系アメリカ人またはラテン系及び男性との性交渉経験なしと関連があった。CD4やHIV量とは関連しなかった。
JAIDS 33(1):119-120.2003 Gisselquist D (Indpendent Consultant) et al Uncontrolled Herpes Simplex Virus-2 as a Cofactor in HIV Transmission [Letter]
[HIV伝染における共因子としての非コントロールHSV-2]
Sutcliffeらはマラウイの砂糖農園でのHSV-2既往歴による高いHIV発現率を報告したが、静注を介した伝染が考慮されていない。9試験のメタアナリシスを行ったが、彼らの算出したリスクは高すぎるようだ。
AIDS 17(8):1253-1256,2003 B?r A (German) et al Spectrum of bacterial isolates in HIV-positive patients with skin and soft tissue infections: emergence of methicillin-resistant Staphylococci [Letter]
[HIV患者の皮膚及び軟部組織感染症から分離された細菌のスペクトル:MRSAの出現]
1995-2000年にHIV患者の皮膚及び軟部組織感染症から分離された細菌を非感染者と比較。最も多かったのは黄ブ菌、コアグラーゼ陰性ブ菌族、連鎖球菌族、大腸菌及び緑膿菌。MRSA検出は年々増加。変化する細菌スペクトルとその耐性パターンを知ることは皮膚軟部感染の適切な治療のために必須である。
Clin Infect Dis 36(10):1329-1331,2003 Vibhagool A (Thailand) et al Discontinuation of Secondary Prophylaxis for Cryptococcal Meningitis in Human Immunodeficiency Virus-Infected Patients Treated with Highly Active Antiretroviral Therapy: A Prospective, Multicenter, Randomized Study
[HAART投与のHIV患者におけるクリプトコッカス髄膜炎の二次的予防薬の中止]
急性クリプトコッカス髄膜炎治療に成功し、二次的な予防薬を受け抗ウイルス薬未治療の患者を対象に、CD4>100かつウイルス量が3ヶ月検出限界以下を維持したときに二次的予防薬を中止する群と継続する群に分けた。中央値48週で、両群ともクリプトコッカス髄膜炎の発症なし。
J Infect Dis 187(11):1748-1755,2003 Maslow JN (Tulane Univ Med C, USA) et al Latent Infection as a Source of Disseminated Disease Caused by Organisms of the Mycobacterium avium Complex in Simian Immunodeficiency VirusInfected Rhesus Macaques
[SIV感染アカゲザルにおけるMAC有機体によって引き起こされた播種性疾患の原因としての潜在性感染]
AIDS患者のMAC感染は病原株への最近の曝露かまたは潜在感染の再活性化か不明である。SIV感染サルで調べたところ、MACリスクファクターはSIV/Delta(B670)による感染、SIV関連腫瘍または日和見感染症の診断及び誕生場所だった。MACの独自の株を有するSIV非感染及び感染サルはそれぞれ潜在性及び再発感染を有していると考えられたが、K128A株感染動物は最近感染したと考えられ、これらのことからアカゲザルでは両方の機序が起こっていると考えられた。
J Clin Oncol 21(10):1922-1927,2003 Powles T (Chelsea Westminster HP, UK) et al Multicenter study of human immunodeficiency virus-related germ cell tumors
[HIV関連生殖細胞癌の多施設試験]
HIV男性で精巣生殖細胞腫瘍(GCT)が増加している。英国の6施設で調査したところ、35例が同定された。診断された年齢中央値は34歳、そのときのCD4中央値は315、組織系はセミノーマ74%、60%がステージ1で他は転移あり。全体で6例が再発し、3例がGCTで死亡、7例はHIVによる死亡、2生率は81%。セミノーマ発現は非HIV感染者と比較し5.4倍高かったが、非セミノーマは差なし。
JAMA.289(18):2393-2399 Pollock BH (Univ Texas Hlth C, USA) et al Risk Factors for Pediatric Human Immunodeficiency Virus-Related Malignancy
[小児HIV関連悪性腫瘍のリスクファクター]
1992-1998年に26施設で新たな癌を発現した小児43例についてリスクファクターを検討。NHL28例、B細胞ALL4例、HD1例、平滑筋肉腫8例、胚芽腫1例、神経鞘腫1例。EBV量≧50がCD4≧200の小児でのみ強いリスクファクターだった。AZTはCD4の量に関わらず防止効果を示さなかった。HIV感染経路もリスクとは関係なし。HIV小児の発癌病因はまだ不明。
J Neurovirol9(2):222-227,2003 Albright AV (Univ Pennsylvania, USA) et al Pathogenesis of human immunodeficiency virus-induced neurological disease
[HIVによる神経疾患の病因論]
総説。直接的、非直接的HIV神経病因メカニズムを調べるため、現在の研究は神経侵入、HIV-1媒介神経損傷及びアポトーシスのメカニズム及び脳内ウイルスの画分化発展にフォーカスされている。最近の研究をレビューし、確立された原理を短く紹介する。
J Neuroimmunol 138(1-2):156-161,2003 Schutzer SE (New Jersey Med Sch, USA) et al Autoimmune markers in HIV-associated dementia
[HIV関連痴呆(HAD)の自己免疫マーカー]
HADの病因は明らかではない。活性化マクロファージの産生物の関与が示唆されているが、自己免疫減少が少なくともマーカーとして関与することも示唆されている。検討したところ、明確な抗脳抗体がHIV+HAD患者で12例中11例に、HIV+HADなしの患者で19例中7例に検出されたが、非HIVでは検出されなかった。原因病理遺伝学的関連はまだ明確ではないが、マーカーとなり得ることが示唆された。
JAIDS 33(1):116-118.2003 Smith C A (St.Luke's Med C, USA) et al Screening Subtle HIV-Related Cognitive Dysfunction: The Clinical Utility of the HIV Dementia Scale [Letter]
[微妙なHIV関連認識能のスクリーニング:HIV痴呆スケール(HDS)の臨床的利用]
最も汎用されるHDSの検証。明らかな痴呆というよりむしろ神経精神的異常を有する患者の同定を目的とした今回の検証は、痴呆と非痴呆の区別を目的とした従来の検証とは結果が異なり、感受性は低かった。HDSを否定するものでないが、神経精神評価には更に慎重な工夫が必要である。
Semin Nephrol 23(2):200-208,2003 Herman ES (Mount Sinai Med C, USA) et al HIV-associated nephropathy: Epidemiology, pathogenesis, and treatment
[HIV関連腎症:疫学、病因論及び治療]
HIV関連腎症(HIVAN)はしばしば見られ、局所性糸球体硬化症で急激な腎機能悪化を引き起こす。HIV患者の慢性腎障害の最も多い原因で、黒人に多い。これはHIV-1の腎細胞への感染による直接的影響により起こり、ウイルスが腎細胞内で活発に増殖することがわかっている。メカニズムは明らかではないが、感染細胞は増殖とアポトーシスの両方を示す。治療にはステロイドやACE阻害剤、HAARTが用いられ、特にHAARTにより著明な改善が得られる。
Semin Dial 16(3):233-244,2003 Rao TK (State Univ NY, USA) Human immunodeficiency virus infection in end-stage renal disease patients
[末期腎疾患患者(ESRD)におけるHIV感染]
総説。血清学的及び疾患ウイルスマーカーの診断技術の向上及びHAART導入により、HIV感染者の予後は劇的に改善している。過去20年でESRDのHIV患者の管理経験は集積されてきている。腹膜透析及び血液透析は両者とも有効な治療法であり、多くの施設でHIV患者の腎移植が始められている。ESRDのHIV患者の種々の局面を紹介する。
AIDS 17(8):1179-1194,2003 Friis-M?ller N (Denmark) et al Cardiovascular disease risk factors in HIV patients - association with antiretroviral therapy. Results from the DAD study
[抗ウイルス治療に伴うHIV患者における心臓疾患(CVD)リスクファクター:DAD試験結果]
1999年に開始した国際的コホート試験参加の17,852例を対象に、CVDリスクファクター保有率とHIV病期、抗ウイルス薬使用との関連を調査。25%がCVDリスク年齢で、年齢と共にPI±NRTI使用頻度上昇。CVD既往歴あり1.4%、喫煙者51.5%。総コレステロール上昇有病率は未治療患者と比しNNRTI投与患者で高値だが、PIまたはNNRTI+PI投与患者では高くなかった。治療中止患者はNRTI投与患者同様、コレステロール値が未治療患者と同等。CD4高値、HIV RNA低値、リポジストロフィー臨床症状あり、NNRTI及びPI長期投与及び高齢も総コレステロール上昇と関連した。HIV患者は多くのCVDリスクファクターを保有。特にNNRTI+PI治療効果のあった高齢者では高リスク。
AIDS Read 13(4):189-190, 2003 Naval-Srinivas RM (Univ South Carolina, USA) et al Significant Decrease in Hemoglobin and Hematocrit Levels in a Virologically Controlled HIV-Infected Patient
[ウイルス学的にコントロールされたHIV患者におけるヘモグロビン及びヘマトクリット値の著明な低下]
ケーススタディ。ABC+d4T+RTV/SQV、ST合剤投与8週後にウイルス抑制達成。その12週後にヘモグロビン及びヘマトクリット値著明低下。検査の結果、ヒトパルボウイルスB19による赤血球形成不全(PRCA)と診断。抗ウイルス治療継続のまま赤血球輸血で回復。PRCA診断法、HIVとの関係などを考察。

 

合併症2003.4月
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報告者
タイトル
サマリー
Clin Infect Dis 36(8):1039-1046,2003 Fultz SL (Univ Pittsburgh Sch Med, USA) et al Testing, Referral, and Treatment Patterns for Hepatitis C Virus Coinfection in a Cohort of Veterans with Human Immunodeficiency Virus Infection
[HIV感染退役軍人のコホートにおけるHCV合併の検査、紹介及び治療パターン]
HIV感染退役軍人におけるHCV合併患者の検査、紹介及び治療を、患者及び医療者サーベイ、検査施設、薬局及び病院の投薬歴を用いて調査。対象は881例、うち43%がHCV合併。30%が調査時点アルコール消費、酒減量/中止カウンセリングを受けていたのは1/3のみ。HCV治療指示を受けている合併患者では医学的及び精神的両方の疾病の共存を含む禁忌率が高かった。HCV治療が指示され治療禁忌のない65例で、生検を受けたのは18%のみでIFN投与は3%。合併例では治療指示されるケースが多いが、禁忌も多い。医療者はHCV悪化を加速し肝細胞癌リスクを高め治療効果を減じるアルコール消費に注意しなければならない。
AIDS 17(7):1023-1028,2003 P?rez-Olmeda M (Spain) et al Pegylated IFN-α2b plus ribavirin as therapy for chronic hepatitis C in HIV-infected patients
[HIV患者における慢性HCV治療としてのペグ化IFN-α2b+リバビリン]
68例のHIV/HCV合併患者を対象に、ペグ化IFN-α2b(peg-IFN) 150μg/w×12w→10μg/w)+リバビリン400mg1日2回 投与。副作用による投与中止は10例で、ddI服用の1例で膵炎発現、重度体重減少70%。治療終了時(HCV-3は6ヵ月、HCV-1/4は12ヶ月)のHCV消失50%。30%が再発し、持続的効果は35%。効果予測因子はHCV-3とHCV量低値。忍容性は概ね良好だが、リバビリンとNRTIとの相互作用による膵炎、体重減少あり。効果はHCV単独感染より低かった。治療期間延長の検討を要する。
HIV Med 4(2):120-126,2003 Neau D (France) et al T-lymphocyte populations in hepatitis C and HIV co-infected patients treated with interferon-alfa-2a and ribavirin
[IFN-α2a+リバビリン投与を受けているHCV/HIV合併患者におけるTリンパ球のポピュレーション]
CD4>250、HIV<10,000のHCV/HIV合併患者36例に、IFN 6MU 3回/週24週後 3MU 3回/週24週投与または 9MU 毎日 2週後 3MU 毎日 24週投与。抗HCV治療中はCD3CD4及びCD3CD8細胞は減少し、治療終了後は初期値に回復。リンパ球減少症は主にCD8細胞に関してで、CD4は増加したが、3例で可逆的なCD4減少が見られた。HIVによりCD3CD8比率は増加し、これは健常人やHCVのみと比較しHIV/HCVで大きかった。HCV/HIV合併患者では高用量IFN療法により中等度で一過性のCD4減少々が認められた。
J Infect Dis 187(8):1327-1331,2003 Kemper CA (Santa Clara Valley Med C,USA) et al Safety and Immunogenicity of Hepatitis A Vaccine in Human Immunodeficiency Virus-Infected Patients: A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Trial
[HIV患者におけるHAVワクチンの安全性及び免疫原性:二重盲検無作為プラセボコントロール試験]
 
HAV陰性のHIV患者133例を対象に、不活性化HAVワクチンの試験を実施。患者はワクチン2ドーズ及びプラセボの3群に無作為に割り付け、6ヵ月試験。9ヶ月目の陽転率は、CD4≧200では68%に対し、CD4<200では9%。ワクチンの忍容性は良好、HIVの経過及びウイルス量には影響なかった。
Clin Infect Dis 36(9):1177-1185,2003 San-Andres F-J (Spain) et al Incidence of Acquired Immunodeficiency Syndrome-Associated Opportunistic Diseases and the Effect of Treatment on a Cohort of 1115 Patients Infected with Human Immunodeficiency Virus, 1989-1997
[1989-1997年のHIV患者1,115例を対象としたコホートにおけるAIDS関連日和見感染症(OD)発現率と治療効果]
スペインで1989-1997年にAIDS関連OSの傾向をコホート調査。対象は1,115例で、331例がAIDS発症。有意に減少を示した疾患は食道カンジダ、肺及び肺外結核及びトキソプラズマ脳症だった。アドヒアランス良好患者はODリスクが低かった。カリニ肺炎予防薬のアドヒアランス良好患者はトキソプラズマ脳症及びカリニ肺炎リスクが低かった。AIDS関連OSの発現率低下は主に予防投与を行っている患者で減少した。抗ウイルス薬及びカリニ肺炎予防薬に対するアドヒアランスはODリスク減少と関連していた。
HIV Med 4(2):127-132,2003 Meynard JL (France) et al Impact of highly active antiretroviral therapy on the occurrence of bacteraemia in HIV-infected patients and their epidemiologic characteristics
[HIV患者における細菌血症発現に対するHAARTの影響及び疫学的特徴]
1995-1998年に28床感染症病棟入院HIV患者74例に細菌血症が認められ、31例はHAARTを受けていた。発現率は1995年に比べ1998年は有意に低下。P.aureginosa血症は急激に低下。カテーテル関連感染症も有意に低下。院内感染と市中感染の比率は不変。HAART施行患者におけるリスク相関因子はCD4<100及び外因性装置の使用だった。HAART導入で細菌血症は著明に低下したが、CD4低値例では依然としてリスクが高かった。
American Thoracic Society homepage ATS/CDC/IDSA(USA) Treatment of Tuberclosis (Revised Guideline, 2003/4)
[結核治療(改訂ガイドライン、2003/4)]
米国胸部疾患学会/CDC/米国感染症学会の共同の結核治療ガイドライン最新版(リソースの整備された国用)。最新の薬物療法、固定用量併用療法、副作用のモニタリングと管理、薬物相互作用等について。治療完遂のために直接観察下治療が推奨され、4つの推奨レジメンを掲載。いずれも2ヶ月の初期治療期間とその後4-7ヶ月の継続期間に分かれる。治療開始時にはHIV検査が推奨される。HIVに合併する結核治療は複雑で、専門家が必要とされる。
AIDS 17(7):1102-1104,2003 Fisk T L (Emory Univ, USA) et al Detection of latent tuberculosis among HIV-infected patients after initiation of highly active antiretroviral therapy [Letter]
[HAART開始後のHIV患者における潜伏性結核の発見]
HAART開始後の110例を対象に、潜伏性の結核のための皮膚テストを実施。4つの抗原のうち1つ以上に対する皮膚テスト反応陽性は89%で認められ、CD4≧100の患者で最高だった。皮膚テストはCD4が100以上に回復した場合潜伏性結核の同定または除外に信頼性の高い方法である。
AIDS 17(7):1053-1061,2003 Zachariah R (Malawi) et al Voluntary counselling, HIV testing and adjunctive cotrimoxazole reduces mortality in tuberculosis patients in Thyolo, Malawi
[自発的カウンセリング、HIV検査(VCT) 及び付加的ST合剤がマラウイのThyoloにおいて結核患者の死亡率を減少する]
1061例の結核患者に抗結核薬及びVCT、HIV合併の場合はST合剤を提供(介入群)し、VCTとST合剤を提供しなかったコントロール群925例と比較。介入群の検査前カウンセリング、検査及び検査後カウンセリング受容率は96,91,88%。HIV陽性率は77%。963例がST合剤を受け14例が軽度の皮膚症状を発現。コントロール群と比較した死亡リスクは0.81で有意差あり。抗結核治療中の死亡1例を予防するために必要なVCT及びST合剤の数は12.5だった。VCT及びST合剤は適切で安全であり、結核患者の死亡率を低下させた。
AIDS 17(6):940-941 ,2003 Gervasoni C (Italy) et al Pneumocystis carinii pneumonia after the discontinuation of long-term antiretroviral therapy in an HIV-1-infected pregnant woman [Correspondence]
[HIV-1感染妊婦における長期抗ウイルス治療中止後のカリニ肺炎]
症例報告。カリニ肺炎でHIV陽性判明、以後5年間抗ウイルス療法でウイルス量は検出限界以下だったが、CD4は500未満。妊娠を機に抗ウイルス薬を中止したところカリニ肺炎再発、ST合剤とHAARTで回復。妊娠自体で免疫が抑制される可能性がある。妊娠した場合抗ウイルス治療を中止するかどうかは、よく検討する必要がある。
J Infect Dis 187(9):1388-1396,2003 Stover CT (Emory Univ, USA) et al Prevalence of and Risk Factors for Viral Infections among Human Immunodeficiency Virus (HIV)-Infected and High-Risk HIV-Uninfected Women
[HIV感染女性及びハイリスク非感染女性におけるウイルス感染の有病率とリスクファクター]
HIV感染女性871例及びハイリスク非感染女性439例を対象に調査したところ、CMV,HBV,HCV,HSVタイプ1,2の抗体保有率及び子宮膣洗浄液中のヒトパピロマウイルスDNA検出率はいずれも50%以上で、一般人の保有率より2-30倍高かった。HIV患者で最も高く、5種以上の感染は44.2%に見られ、若年(16-25歳)で高い傾向が見られた。多変量解析で関連因子として薬物静注やコマーシャルセックスなどの行動だけでなく低収入、低教育及び黒人が挙げられた。恵まれない女性やハイリスクの女性はHIVと他のウイルス合併感染しやすく、重篤な続発症の危険が高いだろう。
  
Clin Infect Dis 36(8):1063-1066,2003 Wright ME (NIAID, USA) et al Extensive Retinal Neovascularization as a Late Finding in Human Immunodeficiency Virus-Infected Patients with Immune Recovery Uveitis
[免疫再構築ブドウ膜炎発症のHIV患者における最近の(遅れた?)所見としての広汎な網膜血管新生]
HAART施行中全身的抗CMV療法を中止した不活性CMV網膜炎を有するHIV患者16例のプロスペクティブ調査。15例が免疫再構築ブドウ膜炎(IRU)を発症し、うち3例で広汎な網膜血管新生がみられ、更にその1例は再発性硝子体出血のため硝子体切除を必要とした。4年以上抗CMV療法不要の患者でも、CMV網膜炎の既往歴があれば眼科的フォローアップを継続的に行う必要があると考えられた。
AIDS 17(7):1110-1111,2003 Peck R (Vanderbilt Univ, USA) et al Progressive outer retinal necrosis in a 73-year-old man: treatment with valganciclovir [Correspondence]
[73歳男性における進行性外網膜壊死(PORN):valganciclovirによる治療]
73才のHIV患者が左眼視力低下を訴え、急速に進行し3日で失明した。CD420、ウイルス量22万でHAART開始、CMVが同定されガンシクロビル静注開始。2日後にVZVは検出されたがCMV,HSVは検出されず、バルガンシクロビル経口に変更し回復。PORNはAIDS発症初期に起こり得て、経口バルシクロビルが有効かもしれない。
AIDS 17(6):801-808,2003 Lednicky J A (Baylor Coll Med, USA) et al Polyomavirus JCV excretion and genotype analysis in HIV-infected patients receiving highly active antiretroviral therapy
[HAARTを受けている患者におけるポリオーマウイルスJCV排出及びジェノタイプ分析]
安定的にHAARTを受けているHIV70例及び非感染者68例の血液及び尿を採取。JCV排出はHIV感染における僅かな免疫機能抑制により増加することが示唆された。JCV排出は健常なコントロール群と比較し、若いHIV患者で多かった。ジェノタイプ1と4はHIV患者で多く、タイプ2はHIV非感染者で多かった。主要タイプは民族により異なり、進行性多巣性白質脳症に伴うJCVジェノタイプは感染ポピュレーションの人口動勢を反映すると考えられる。
Clin Infect Dis 36(9):1191-1194,2003 Nolan RC (Australia) et al Parvovirus B19 Encephalitis Presenting as Immune Restoration Disease after Highly Active Antiretroviral Therapy for Human Immunodeficiency Virus Infection
[HIVに対するHAART後の免疫再構築疾患として発現したパルボウイルスB19脳炎]
症例報告。パルボウイルスB19感染でAIDSを発症しRBC形成不全の若年患者が痛みのない進行性の左腕運動障害をHAART開始4週後に発現。神経画像診断により前部頭頂に多層性の病変が認められ、脳生検を含む拡大検査でパルボウイルスB19感染を伴う免疫再構築関連脳病変と判明した。
Clin Infect Dis 36(8):1067-1069,2003 Watt G (US Army Med Comp) et al Decrease in Human Immunodeficiency Virus Type 1 Load during Acute Dengue Fever
[急性デング熱発病中のHIV-1ウイルス量の減少]
症例報告。急性デング熱発病時(非回復期)に、予想外のHIV-1ウイルス量の一過性減少が認められた。ツツガムシ病及び麻疹発病中にも起こるのと同様に、デング熱発病中にウイルス複製が抑制される可能性が示唆された。
Clin Infect Dis 36(8):1047-1052,2003 Berenguer J (Spain) et al Clinical Course and Prognostic Factors of Progressive Multifocal Leukoencephalopathy in Patients Treated with Highly Active Antiretroviral Therapy
[HAART治療を受けている患者における進行性多巣性白質脳症(PML)の臨床経過と予後因子]
スペインの11施設のAIDS関連PML118例を対象に生存率、神経機能及び予後因子を検討。PML診断後63.6%が中央値2.2年の時点で生存。生存者の神経機能は治癒/改善33例、不変/悪化40例、不明2例。試験開始時CD4値が唯一の予後因子。CD4<100の患者の死亡オッズ比はCD4≧100と比較し2.71。PMLの1/3がHAARTにもかかわらず死亡。
J Neurovirol 9(Suppl 1):73-80,2003 Cinque P (Italy) et al The effect of highly active antiretroviral therapy-induced immune reconstitution on development and outcome of progressive multifocal leukoencephalopathy: Study of 43 cases with review of the literature
[HAARTによる免疫再構築の多病巣性白質脳症(PML)の発症及び転帰に対する影響:文献レビューによる43症例]
43例中8例(19%)では、HAART開始21-55日で発症し、CD4上昇及びウイルス量減少を示していた。4例はPMLで死亡。ウイルス量初期値以外で、免疫再構築PMLを未治療または治療失敗の患者のPMLと鑑別する変数は見出せず。PML発症時に未治療だった23例で検討したところ、死亡/生存両群でHAARTの効果パターンに差は認められなかったが、生存群の約半数でHAART開始はPML発症から3ヶ月以上経ってからだった。HAARTによる免疫再構築での発症例があり、HAARTの直接的悪影響は考えられないが、PML発症直後のHAART開始及びその後のウイルス抑制はPMLの悪転帰に関連することもあると考えられる。
AIDS 17(7):1111-1113,2003 Moulignier A (France) et al Primary cerebral lymphoma presenting as diffuse leukoencephalopathy [Correspondence]
[びまん性白質脳症として発現した一次的脳リンパ腫(PCNSL)]
PCNSLはCD4<50で起こり得る。CD4 400-500、ウイルス量100-300で発症した症例を報告。組織学的にPCNSLと診断されたが、臨床及び画像的に進行性白質脳症と類似し、HIV関連脳症や進行性多巣性白質脳症、他の脱髄性疾患、毒性または代謝性異常と鑑別が困難だった。
JAIDS 32(5):527-533.2003 Mbulaiteye S M (NCI, USA) et al Immune Deficiency and Risk for Malignancy Among Persons with AIDS
[AIDS患者における免疫不全と発癌のリスク]
AIDS発症時のCD4値がわかり追跡期間中生存していた82,217例について、AIDS発症時CD4と発癌との関係を検討。カポシ肉腫(KS)、NHL及び子宮頸癌に関する標準化発現率(SIR)258,78及び8.8。CD4 100低下ごとのRRはKSが1.36、NHLが1.48。NHLのサブタイプの中でCD4低値と最も強く関係していたのは免疫芽球性リンパ腫とCNSリンパ腫だった。子宮頸癌のSIRはCD4値によって差がなかった。非AIDS関連腫瘍については総合結合リスク、特異的タイプについてのリスクいずれもCD4低下とは関連なかった。KS及びNHLリスクは免疫能と関連する。
AIDS 17(6):861-866,2003 Sarker D (UK) et al Leptomeningeal disease in AIDS-related non-Hodgkin's lymphoma
[AIDS関連NHL患者における髄膜疾患]
AIDS関連NHLにおける髄膜疾患の臨床組織学的特徴の評価と、髄膜疾患を発現しなかったAIDS患者と予後を比較。176例の全身性AIDS関連NHL患者を調査したところ、18例が髄膜病変あり。髄膜病変はバーキットリンパ腫及び脊椎側/鼻傍病変と有意に関連あり。髄膜病変の有無で生存に差なく、1年生存率はそれぞれ25,33%。高リスク患者21例に予防的髄膜内化療を行い、19%が再発。髄膜病変を示す患者及び髄膜再発患者での長期生存は稀だった。
AIDS 17(6):941-942 ,2003 Cerme?o J R (Venezuela) et al Balantidium coli in an HIV-infected patient with chronic diarrhoea [Correspondence]
[慢性下痢を呈したHIV患者における大腸バランチジウム(B.coli)]
大腸バランチジウムはヒトでも稀に見られる病原性原虫であり、熱帯地域でいくつか流行が認められる。HIV患者における初めての感染症例報告。日和見感染なく下痢が5ヶ月続いた。入院時CD4は283。患者は治療を受けずに死亡(死因不明)。流行地域では下痢の原因として考慮すべき。
JAIDS 32(5):572-573.2003 Thakur C P (India) et al Kala-Azar (Visceral Leishmaniasis) and HIV Coinfection in Bihar, India: Is This Combination Increasing? [Letter]
[インドBiharにおける内臓リーシュマニア症とHIV合併感染:この合併症は増加しているか?]
ブラジル、スーダン、インド、ネパール及びバングラデシュで全世界の内蔵リーシュマニア症の90%が発症している。インドでは特にBiharで多い。Biharでの調査の結果、内蔵リーシュマニア症とHIVの両方とも患者数が増えていることにより両方の合併例も増加していると考えられた。
HIV Med 4(2):145-148,2003 Calza L (Italy) et al Disseminated histoplasmosis with atypical cutaneous lesions in an Italian HIV-infected patient: another autochtonous case
[イタリアのHIV患者における非定型皮膚病変を有する播種性ヒストプラスマ症:症例報告]
播種性ヒストプラスマ症はアメリカやアフリカ、東アジアの風土病として知られている地域ではしばしば見られるAIDS指標疾患だが、ヨーロッパでは稀で、通常は風土病地域から戻った患者や過去に海外から輸入された潜在感染に対する内因反応に引き続いて認められる。今回のイタリア国内発症例は海外への渡航を否定しており、ヨーロッパのどこかでヒストプラスマの風土病が存在している可能性が示唆された。本症例はイタリアにおけるヒストプラスマ症の5例目の報告である。
AIDS 17(6):927-930 ,2003 Collazos J (Spain) et al Hyperlipidemia in HIV-infected patients: the protective effect of hepatitis C virus co-infection [Letter]
[HIV患者における高脂質血症:HCV感染合併の防御効果]
大規模なスタディーで、高脂質血症と抗ウイルス薬投与期間、血清コルチゾール値、リポジストロフィーの存在、特定の抗ウイルスレジメン及び特にHCVなしとの間に関連性を認めた。HCV合併患者では非合併者と比較し高脂質血症がかなり少なく、特に抗ウイルス薬と投与患者で顕著である。

合併症2003.3月
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
Clin Infect Dis 36(5):645-651,2003 Mussini C (Italy) et al Discontinuation of Secondary Prophylaxis for Pneumocystis carinii Pneumonia in Human Immunodeficiency Virus-Infected Patients: A Randomized Trial by the CIOP Study Group
『HIV患者におけるPカリニ肺炎の二次感染予防の中止:CIOPスタディグループによる無作為化試験』
多施設オープンラベル無作為化比較試験の報告。対象症例はPCPの既往歴がありHAART≧3ヶ月の使用でCD4>200に増加した患者。146例が登録、うち77例は予防中断群。2年以上経過で、治療中断群で決定的PCPが1例、推定PCPが1例発症。ほとんどの患者で予防投与は中断可能だったが、CD4>200という中断基準は充分とは言えなかった。
Clin Infect Dis 36(7)917-921,2003 Eigenmann C (Switzerland) et al Low Incidence of Community-Acquired Pneumonia among Human Immunodeficiency Virus-Infected Patients after Interruption of Pneumocystis carinii Pneumonia Prophylaxis
『カリニ肺炎予防の中断後のHIV-1患者における市中肺炎の発現率は低い』
カリニ肺炎予防(TMP-SMC)を中断した患336例と、中断可能だが継続した患者75例とで、細菌肺炎の発現率を比較したところ、発現率に有意差は認められなかった。CD4>200を持続している患者では、予防薬としてのST合剤中止で細菌性肺炎は有意に増加しない。
J Infect Dis 187(7):1046-1052,2003 Aberg JA (UCSF, USA) et al A Study of Discontinuing Maintenance Therapy in Human Immunodeficiency Virus-Infected Subjects with Disseminated Mycobacterium avium Complex: AIDS Clinical Trial Group 393 Study Team
『播種性M.avium複合体(MAC)感染HIV患者における維持療法中断に関する試験:ACTG393』
HAART施行中に播種性MAC治療中断の可能性をプロスペクティブに検討。対象患者は、マクロライドベースの治療を12ヶ月以上施行し症状がなくHAARTを16週以上施行しCD4>100の48例。CD4中央値240でMAC治療を中断したところ、47例は中断継続可、1例のみ局所MAC骨髄炎発症。治療中断追跡期間中央値77週で、MAC感染発現率は1.44/100例・年。抗MAC治療中断は概ね安全と考えられた。
J Infect Dis 187(6):901-908,2003 Wakefield AE (Univ Oxford, USA) et al Limited Asymptomatic Carriage of Pneumocystis jiroveci in Human Immunodeficiency Virus Infected Patients
『HIV患者におけるPneumocystis jiroveciの限定的非症候性』
HIV患者16例の気管支肺胞洗浄液47サンプルを検討したところ、35サンプルでP.jiroveciが検出され、うち18サンプルはニューモシスチス肺炎(PCP)を有さず別の診断がなされた患者からのものであった。7例はPCP発症後≦9.5ヶ月に渡りP.jiroveciの無症候性保菌者だった。その全例でジェノタイプは変化していた。無症候性保菌はP.jiroveci伝染に役割を果たし、将来の感染に対するリザーバーを提供している可能性がある。
AIDS 17(4):575-584,2003 Anglaret X (France) et al Pattern of bacterial diseases in a cohort of HIV-1 infected adults receiving cotrimoxazole prophylaxis in Abidjan, C?te d'Ivoire
『コートジボアールAbidjuanでcotrimoxazole予防投与を受けているHIV-1患者のコホートにおける細菌感染症のパターン』
WHO/UNAIDSは、アフリカのCD4<500のHIV患者にST合剤予防投与を推奨している。予防投与を受けている448例についてコホート調査したところ、全細菌感染症及び要入院重篤細菌感染症は36.8及び11.3/100人・年だった。細菌感染症が入院の第一理由で、次いで非特異的腸炎、急性の予期せぬ熱発、結核だった。重篤な細菌感染症としては、腸炎が最も多く、次いで侵襲性尿路感染症、肺炎、細菌血症、上気道感染及び皮膚感染だった。CD4≧200の患者との細菌感染ハザード比は3.05。75種の細菌が検出され、非チフスのサルモネラ、E coli、シゲラ族、肺炎連鎖球菌等だった。
JAIDS 32(3):345-346,2003 Nkoumou M O (Gabon) et al Bacterial and Mycobacterial Meningitis in HIV-Positive Compared with HIV-Negative Patients in an Internal Medicine Ward in Libreville, Gabon [Letter]
『ガボンの内科病棟におけるHIV患者と非感染者との細菌性及び抗酸菌髄膜炎の比較』
ガボンの内科病棟で、HIV感染者と非感染者の細菌性髄膜炎の発現率や症状、起炎菌を検討。HIV患者では細菌性髄膜炎がしばしばみられ、S.pneumoniaeが最も多い。非感染者ではS.PnemoniaeとN.meningitisだけだた、HIV感染者ではE.coli、M.tuberculosisも認められた。非感染者と比較した相対リスクは20倍高かった。一般細菌による髄膜炎の進展は非感染者と同等か良好だった。早期ワクチン接種は有用だろう。PCP/Toxo予防投与も一般細菌髄膜炎発症率を下げるだろう。結核性髄膜炎は特にHIV患者で認められ、概ねCD4が低く予後不良だった。結核予防処置と抗ウイルス薬により発現率が低く出来るだろう。
Clin Infect Dis 36(5):652-662,2003 Holmes CB (France) et al Review of Human Immunodeficiency Virus Type 1Related Opportunistic Infections in Sub-Saharan Africa
『サハラ以南アフリカにおけるHIV-1関連日和見感染症のレビュー』
サハラ以南アフリカにおける日和見感染発現率、それに関するCD4値及び死亡に関する文献をレビュー。1999-2002年4月のMedlineデータベース及び全体レビュー及び臨床試験登録のコクランデータベースを検索。その結果、死亡に関与の大きい日和見感染症は結核、細菌感染及びマラリアだった。CD4値を検討したいくつかの報告では、日和見感染診断時のCD4値は様々だった。日和見感染予防のタイプ及びタイミングに関する施策は地域特異的であり、更なる試験が緊急に必要である。
AIDS 17(4):640-641,2003 Lafaurie M (France) et al Remission of disseminated infection caused by Encephalocytozoon intestinalis with highly active antiretroviral therapy [Correspondence]
『HAARTによるEncephalocytozoon intestinalis播種性感染症の寛解』
AIDS患者ではしばしば腸管微胞子虫症による慢性下痢や体重減少が見られ、主にEncephalocytozoon bieneusiによる。HAARTによりEncephalocytozoon intestinalis播種性感染の寛解した1症例を報告する。
AIDS 17(4):625-627,2003 Chen A (Canada) et al Induction of HIV-1 long terminal repeat-mediated transcription by Neisseria gonorrhoeae [Letter]
『淋菌によるHIV-1 LTRを介した転写の誘発』
淋菌感染はHIV感染を増加させるが、機序は明確でない。著者らの検討の結果、淋菌の曝露によりJurkat CD4セルラインに由来物においてHIV-1 LTRからのNF-κB依存的転写が誘発されることがわかった。このことから淋菌感染はウイルス発現の局所刺激を介してHIV-1伝染に直接的に影響することが示唆された。
Clin Infect Dis 36(6):789-794,2003 Mirza SA (CDC) et al The Changing Epidemiology of Cryptococcosis: An Update from Population-Based Active Surveillance in 2 Large Metropolitan Areas, 1992-2000
『クリプトコックス症の変化する疫学:1992-2000年の2つの大都市地域におけるポピュレーションベースアクティブサーベイでの最新情報』
米国アトランタ及びヒューストンで740万人を対象に調査。クリプトコックス症は1,491例あり、89%がHIV関連。AIDS患者1,000例あたりの年間発現率は、2地域とも1992年に比べ2000年では有意に減少。ポワソン回帰分析で、白人よりアフリカ系アメリカ人のAIDS患者での発症が多かった。クリプトコックス症診断前から抗HIV療法を受けていた患者は1/3未満だった。この地域でクリプトコックス症を発症するHIV患者はヘルスケアへのアクセスの限定された患者であることが示唆された。このような患者にHAARTやHIVのルーチンケアを広げる必要がある。
AIDS 17(5):721-726,2003 Myers R P (France) et al Serum biochemical markers accurately predict liver fibrosis in HIV and hepatitis C virus co-infected patients
『血清生化学的マーカーはHIV/HCV合併患者における肝繊維症を正確に予測できる』
非侵襲性の肝繊維症マーカーを検討したところ、多変量解析で最も有望だったのはα2-マクログロブリン、アポリポプロテインA1、GGT及び性別だった。この5指標を含むインデックスにより、肝生検の必要性は減少した。
AIDS 17(5):783-784,2003 Bruno R (Italy) et al Rapid hepatitis virus-DNA decay in co-infected HIV ?hepatitis virus ‘e-minus ’patients with YMDD
mutations after 4 weeks of tenofovir therapy
『TDF4週投与後のYMDD変異を有するHIV/eマイナスHBV重感染患者における急速な肝炎ウイルスDNA崩壊』
HIV/HBV合併患者ではHBVだけの患者より3TC耐性(YMDD変異)が起こりやすく、2-4年後に50-90%である。3TC150mgBIDを含む治療を受けている患者にTDF300mgQDを追加したところ、全例4週後にはウイルス量は検出限界以下を達成、忍容性も概ね良好。長期試験を行うべきである。
JAIDS 32(3):348-349,2003 Rodriguez-Guardado A et al Hepatitis C Virus in Patients With HIV Infection and Lipodystrophy [Letter]
『HIVでリポジストロフィを呈した患者におけるHCV』
逆転写酵素同様ミトコンドリア障害を有するHCVのリポジストロフィ(LD)に対する影響を検討。HCV/HIV合併患者ではLDが多く、LDとHCV感染は関連していた。しかしHCV/HIV合併患者でLDありとなしとで比較すると、HCV-RNA量、HCVジェノタイプ、TGは同等だった。
AIDS 17(5):784-786,2003 Mazeron M-C (France) et al Quantitative markers for cytomegalovirus disease in HIV-infected patients receiving highly active antiretroviral therapy
『HAART施行のHIV患者におけるCMV疾患に関する定量的マーカー』
CMV DNAを2種のPCRアッセイ(semiQ-PCR、CobasアンプリコアCMVモニター;ロシュ)及びbDNAアッセイ(バイエル)で測定。それぞれの検出限界は100コピー/1.5×10(5)PBL、10コピー/1.5×10(5)PBL、1000コピー/10(6)PBLだった。
J Infect Dis 187(5):777-784,2003 Weinberg A (Univ Colorado,USA) et al Mutations Conferring Foscarnet Resistance in a Cohort of Patients with Acquired Immunodeficiency Syndrome and Cytomegalovirus Retinitis
『AIDS及びCMV網膜炎患者のコホートにおけるフォスカルネット耐性を与える変異』
30検体でCMV pol遺伝子のシーケンスを実施しフォルカルネット耐性変異を検討。9検体がフォスカルネット耐性で、V787L及びE756Qが検出された。ジェノタイプ耐性を保有は、DHA法によるとIC50>600μMの9検体中7検体で、IC50≦600では30検体中2例のみだった。PRA法では5検体がIC50>400でジェノタイプ耐性を有し、感受性を示した13検体中1検体のみがジェノタイプ耐性を有していた。18検体中16検体でPRAとDHAへのタイプが一致した。フォルカルネット治療を受けた44例では、薬剤耐性増加が網膜炎進展リスクを高めた。治療開始6,9,12ヵ月後のフォルカルネット耐性発現率は13,24,37%だった。
AIDS 17(5):761-763,2003 Pignatelli S et al Human cytomegalovirus glycoprotein N genotypes in AIDS patients [Letter]
『AIDS患者におけるヒトCMV gpNジェノタイプ』
HCMV臨床分離株には遺伝子多型が認められる。エンベロープgpNをエンコーディングするORF UL73には4つのゲノム変異(gN-1,2,3,4)を示す。AIDS29例及び臓器移植レシピエント50例におけるgpNジェノタイプの分布を免疫能の正常な111例と比較したところ、HIV患者ではgN-1を有するHCMV株が優勢だった。
JAIDS 32(3):347-348,2003 Navarro J-T (Spain) et al Improved Outcome of AIDS-Related Lymphoma in Patients With Virologic Response to Highly Active Antiretroviral Therapy [Letter]
『HAARTの抗ウイルス効果の見られた患者におけるAIDS関連リンパ腫の転帰の改善』
HAART導入前後のAIDS関連NHL(ARL)の発現率と特徴を比較。CNSリンパ腫は16%から5%に減少。相違が見られた特徴として、女性比の増加、年齢の増加はGerardらと同様だったが、我々の調査ではHAART導入後の症例ではCD4は増加しLDHは低下していた。Gerardらと同様、HAART導入でNHL発現率は変わらないが転帰は改善された。HAARTによる抗ウイルス効果はARL転帰にも良い影響を及ぼしている。
Curr Opin Investigat Drug 3(11):1643-1646, 2002 von Giesen HJ (Germany) et al Drug treatment for HIV-1-associated dementia
『HIV-1関連痴呆に対する薬物治療』
HAARTはHIV-1関連痴呆を予防するが、種々の病理メカニズムが存在するため全例が予防できるわけではない。HAARTとしてはAZTまたはd4TとNNRTIを含めるべきである。PIも全身的なウイルス抑制効果を有するので、ウイルスのCNS進展を抑制する可能性がある。
Am J Psychiatry 160(3):547-554,2003 Vitiello B et al Use of Psychotropic Medications Among HIV-Infected Patients in the United States
『米国のHIV患者における向精神薬の使用』
HIV Cons and Services Utilization Study databeseで1996年初期に1回以上のケアを受けた症例のうち、1,489例が適格かつ評価終了。向精神薬使用は27.2%で、その系統は多い順に向うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬及び精神刺激薬。大うつ病及び気分変調患者での抗うつ薬及び抗不安薬の使用は43.2、34.2%のみだった。向精神薬使用はアフリカ系アメリカ人で最も低かった。
JAIDS 32(4):464- 465 ,2003 Vecchiet J (Italy) et al Increased Production of Oncostatin-M by Lymphomononuclear Cells From HIV-1-Infected Patients With NeuroAIDS [Letter]
『神経AIDS発症のHIV-1患者からのリンパ単核球によるオンコスタチン-M(Onc-M)産生増加』
近年、IL-6ファミリーであるOnc-Mが強力な神経障害のメディエーターであることが示されている。HIV-120例及び健常人8人を対象に検討したところ、HIV-1陽性で神経障害を呈している患者では、神経障害のない場合と比較してOnc-Mが高レベルで産生していることがわかった。これは臨床症状、免疫状態、ウイルス変数とは相関なかったが、年齢とは関係が認められた。
AIDS 17(5):699-710,2003 Hengge U R (Germany) et al Double-blind, randomized, placebo-controlled phase III trial of oxymetholone for the treatment of HIV wasting
『HIV消耗治療に関するオキシメトロンの二重盲検プラセボコントロールPhaseIII試験』
HIV消耗に対するオキシメトロン(同化ステロイド)50mgBIDまたはTIDを16週間投与。実薬BID,TIDはプラセボと比較し有意に体重を増加(各3.0、3.5kg)。BCM(Body cell mass)も試験開始時から各12.4、7.4%増加。自己評価では食欲、摂食量、体調、weaknessの減少の点で改善が認められた。最も重要な副作用は肝毒性。BIDで27%、TIDで35%の患者がALT5倍以上の上昇。オキシメトロンは有用で、BIDとTIDは同等だったが、肝毒性が強かった。