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公衆衛生・疫学2005.4月
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JAIDS38(5):531-537,2005 Hightow, L B et al The Unexpected Movement of the HIV Epidemic in the Southeastern United States: Transmission Among College Students.
<米国南東部におけるHIV感染の予期しない動向:大学生の間での伝播>
18-30歳男性の新規HIV診断を調査している州サーベイランス記録(米国ノースカロライナ州)をレビューし、HIV感染男性のリスク行動と人口統計学的情報を大学生および非大学生とで比較した。結果はHIV感染が大学生にも流行していることを示すもので、レビューした735件の記録中、84件(11%)が大学生。
JAIDS38(5):553-559,2005 ERA Traial Assays Investigators A Randomized Controlled Trial of the Value of Phenotypic Testing in Addition to Genotypic Testing for HIV Drug Resistance: Evaluation of Resistance Assays (ERA) Trial Investigators.
<HIV薬剤耐性のため遺伝子型検査に加え表現型検査を付加することの有用性に関する無作為化試験>
ウイルス学的失敗を経験し、治療選択肢が限られているHIV-1感染者において、遺伝子型耐性検査に加え表現型耐性検査を実施することの臨床的有用性を評価したが、付加価値は認められなかった。登録患者は311名、遺伝子型耐性検査のみ群と遺伝子型+表現型耐性検査群に無作為に振り分け検証したが、12カ月後のウイルス量の減少平均は2群とも同等。
JAIDS38(5):578-583,2005 Kabugo, C et al Long-Term Experience Providing Antiretroviral Drugs in a Fee-for-Service HIV Clinic in Uganda: Evidence of Extended Virologic and CD4+ Cell Count Responses.
<ウガンダのFee-for-Service HIVクリニックにおける抗レトロウイルス療法提供に関する長期経験:ウイルス学的/CD4陽性細胞数の長期応答のエビデンス>
ウガンダでHIV患者ケアに携わるFee-for-Service(抗レトロウイルス薬[ARV]薬剤費患者負担)HIVクリニックでの長期経験から得られたことについての報告。クリニックでは4年以上にわたりHIV患者ケア・管理を成功裡に行い(生存および治療継続の確率;1年目0.56、2年目0.46、3年目0.40、4年目0.35)、治療継続患者はARVに対しウイルス学的・免疫学的長期応答を有し、その結果は先進諸国での観察に類似。アフリカ諸国における患者の経済的負担の軽減やその他の障壁を撤廃し治療中断を少なくするという戦略については、治療継続に報奨金を付与することも含め、今後一層の調査が必要である。
JAIDS38(5):590-597,2005 French, T et al Correlation of a Brief Perceived Stress Measure With Nonadherence to Antiretroviral Therapy Over Time.
<短期知覚ストレス測定と抗レトロウイルス療法へのノンアドヒアランスとの経時的相関>
改訂版の知覚ストレススケールと抗レトロウイルス療法へのノンアドヒアランスとの関連性について調査した。知覚ストレスの最大四分位のスコアを得た患者は最小四分位の患者に比べ、2倍以上のノンアドヒアランス傾向をベースラインおよびフォローアップ1で有し、フォローアップ2ではその傾向は5倍以上となった。
JAIDS38(5):598-602,2005 Kilewo, C et al Mortality During the First 24 Months After Delivery in Relation to CD4 T-Lymphocyte Levels and Viral Load in a Cohort of Breast-Feeding HIV-1-Infected Women in Dar es Salaam, Tanzania.
<タンザニア、ダル・エス・サラームの母乳養育を行うHIV-1感染女性コホートにおけるCD4Tリンパ球数およびウイルス量と関連した分娩後24カ月以内の死亡>
分娩後24カ月以内の死亡について、登録時(妊娠36週)CD4Tリンパ球数およびウイルス量との関連において、母乳養育を行うHIV-1感染女性コホート(266名)で検証した(タンザニア)。分娩後24カ月以内の死亡率は全体的に6.7%。CD4細胞数およびウイルス量は双方とも死亡の独立した危険因子。免疫抑制が重症であるほど、あるいは登録時ウイルス量が高いほど死亡率は高かった。妊娠後期においては2年以内死亡の予測因子として、CD4リンパ球数がウイルス量よりも有用。
JAIDS38(5):603-614,2005 MacKellar, D A et al Unrecognized HIV Infection, Risk Behaviors, and Perceptions of Risk Among Young Men Who Have Sex With Men: Opportunities for Advancing HIV Prevention in the Third Decade of HIV/AIDS.
<男性同性愛若年者における非認知HIV感染、リスク行動、リスク理解:HIV/AIDS第三10年間でのHIV予防推進機会>
男性同性愛若年者(MSM)において非認知(非自覚)HIV感染の数量的度合と分布について評価し、非認知HIV感染について、その罹患率と肛門性交、感染リスク認識の低さ、HIV検査遅延などの関連要素についても評価。研究参加者5649名中573名(10%)がHIVポジティブで、内、77%が自分の感染を知らなかった。非認知感染者中439名が過去6カ月に合計2253名の男性セックスパートナーを有し、肛門性交51%、感染リスクを低いと認識していた者59%、前年にHIV検査を受けていない者55%。
JAIDS38(5):615-617,2005 Sherman, G G et al Dried Blood Spots Improve Access to HIV Diagnosis and Care for Infants in Low-Resource Settings.
<資源の限られた地域において乾燥血斑でHIV診断へのアクセスと乳幼児ケアを改善>
(短報)HIV周産期曝露を経験した乳幼児に対し、適切なケア提供の一環としてのHIV診断へのアクセス改善を目的として、生後6週の乳幼児から乾燥血斑を採取し、Roche Amplicor HIV-1 DNA検査(Vr. 1.5)の精度を評価した(南アフリカ)。Roche Amplicor検査は100%の感受性と99.6%の特異性を発揮し、資源の限られた地域において乾燥血斑によるHIV DNA PCR法の有用性を示唆。
JAIDS38(5):618-621,2005 Minga, A K et al Behavior Assessment of Blood Donors Facing the Risk of HIV Infection, Abidjan, Cote D'Ivoire, 2001-2002.
<HIV感染リスクに直面している供血者の行動評価;コートジボアール、アビジャン、2001-2002年>
(短報)アビジャンの国立輸血センターでは毎年約30名の定期的供血者のHIV血清陽転を検知しており、直接面談による調査を実施した。HIVネガティブ定期的供血者ではHIVポジティブ供血者に比べよりリスクの高い行動が判明(複数セックスパートナー有;68%)。コンドーム使用については、HIVネガティブ供血者17%、HIVポジティブ供血者55%。
JAIDS38(5):622-626,2005 Villamor, E et al Wasting During Pregnancy Increases the Risk of Mother-to-Child HIV-1 Transmission.
<妊娠期間中るいそうがHIV-1母子感染リスクを増大>
(短報)妊娠期間中のるいそうがHIV-1母子感染リスクを増大させるか検証した。体重増加が167g/週以上の女性に比較した場合、妊娠期間中の体重減少は、子宮内母子感染、出生時HIVポジティブまたは死産、出生時HIVポジティブまたは早期新生児死亡のより高いリスクに関連。後期トリメスターの体重増加率は子宮内/早期母乳養育伝播リスクに逆相関。
AIDS19(6):539-547,2005 Tucker, J D et al Surplus men, sex work, and the spread of HIV in China.
<中国における過剰な男性人口、セックスワーク、HIVの流行>
(エディトリアルレビュー)中国において、性行動、セックスワーク、過剰な男性人口が複合的にHIV伝播に及ぼす影響を、人口統計学的および行動データを用いて説明。社会学的見地から、過剰な男性人口とセックスワーカーが将来の中国でのHIV流行および今後の介入の成否に甚大な影響を及ぼすと考える。
AIDS19(6):603-609,2005 Semrau, K et al Women in couples antenatal HIV counseling and testing are not more likely to report adverse social events.
<夫婦で出生前HIVカウンセリングと検査を受けた女性において、有害な社会的イベントの報告がより増大するということはない>
HIV母子感染予防を目的に夫婦での出生前HIVカウンセリングが促進されてきた。本研究では、出生前HIVカウンセリングを夫婦で受けた女性と単独で受けた女性とを比較し、HIV検査とネビラピン服薬、検査後の有害な社会的イベント(身体的暴力、言葉による虐待、離婚、別居など)経験について調査した。夫婦でカウンセリングを受けた女性の方が単独での女性に比しHIV検査の受容率は高かった(96% vs. 79%)が、ネビラピン服薬率の改善は認めなかった。出産後6カ月時点で、HIVポジティブ女性324名中28%が有害な社会的イベントを最低1回経験したと報告したが、カウンセリングの夫婦あるいは単独受診による差異はなし。
AIDS19(6):611-619,2005 Dandona, L et al Sex behaviour of men who have sex with men and risk of HIV in Andhra Pradesh, India.
<インドのアンドラプラデシュ州における男性同性愛者の性行動とHIVリスク>
インドでの男性と性交を有する男性(MSM)の性行動情報を入手するためアンドラプラデシュ州において大規模サンプルを対象に調査したところ、彼らの男性および女性双方との非防御性交率が高いことが判明し、インドのHIV予防活動ではMSMおよび彼らの妻にも焦点を置く必要があり、また大都市部のみに限定せず地方部でも活動の必要性があることが示唆された。2785名(41.8%)のMSMが既婚者で3354名(50.4%)が過去3カ月以内に女性と膣/肛門性交を行い、内2818名(84%)はコンドーム非使用。さらに、1585名(25.9%)はコンドームを使用せず男性と肛門性交、女性と膣/肛門性交を行っていた。
AIDS19(7):675-684,2005 Burkala, E J et al Compartmentalization of HIV-1 in the central nervous system: role of the choroid plexus.
<中枢神経系でのHIV-1の区画:脈絡叢の役割>
脈絡叢に認められるHIV-1の遺伝型および表現型の構成およびそれらの脳および末梢リンパ組織におけるウイルスとの関連性について検証した。脈絡叢には複製能力に優れたウイルスが存在し、それは脳に認められるウイルスに明確ではないにしろ酷似したもので、また、末梢のウイルスとの類似性の高いウイルスもいくつか観察した。ウイルスenvおよびpol配列の区画から、検証した各組織において特異的選択圧が存在することが示唆された。研究の結果、脈絡叢が中枢神経系親和性を有する薬剤耐性株の進化を促進する環境を提供している可能性が示唆されたが、HIV-1変株のレザバーとなる可能性は薄い。
AIDS19(7):699-708,2005 Iliff, P J et al Early exclusive breastfeeding reduces the risk of postnatal HIV-1 transmission and increases HIV-free survival.
<出生後早期の母乳養育排除が生後HIV伝播リスクを低減し、HIV非感染生存を増大>
HIV感染女性4495名と彼女達の乳児2060名(生後6週時点HIVネガティブ)を対象に母乳養育とHIV伝播との関連を調査した。母乳養育排除に比較した生後6カ月、12カ月、18カ月時点での生後伝播リスクの増大は、早期混合母乳養育ではそれぞれ4.03、3.79、2.60、母乳養育のみの場合は2.63、2.69、1.61。出生後早期の母乳養育排除が母乳養育に関連したHIV伝播リスクを低減すると思われる。
AIDS19(7):709-716,2005 Zamani, S et al Prevalence of and factors associated with HIV-1 infection among drug users visiting treatment centers in Tehran, Iran.
<イランのテヘランの治療施設に通院する薬物使用者におけるHIV-1罹患率と感染関連要因>
イランのテヘランの薬物治療施設に通院する患者におけるHIV-1罹患率と感染関連要因を同定する目的で、611名(男性588/女性23名)を登録して研究した。男性の静注薬物使用者の罹患率は15.2%で、刑務所での注射針共有経験がHIV-1感染の主な関連要因であった。静注薬物非経験者の罹患率は5.4%で、性交時のコンドーム非使用がHIV-1感染の有意な関連要因であった。
AIDS19(7):717-725,2005 Watts, H et al Rising incidence and prevalence of orphanhood in Manicaland, Zimbabwe, 1998 to 2003.
<ジンバブエManicalandにおける孤児の増大(1998-2003年)>
ジンバブエ東部Manicalandにおける孤児の発生件数およびその概要を調査した結果、孤児数および孤児発生率はHIVに起因して増大傾向にある。全体的に非孤児の中で片親を失った割合は27.5/1000人年。片親の小児中、死亡した親がベースライン時HIVポジティブであった小児は82%。非孤児に比較すると、父親死亡または両親死亡の孤児ではベースライン時の家を離れた小児がより多数に上っている。非孤児に比べ孤児の死亡率は高く、母親を失った小児で死亡率が最も高い。
AIDS19(7):727-729,2005 Nacher, M et al Risk factors for late HIV diagnosis in French Guiana.
<仏領ギアナにおけるHIV診断遅延の危険因子>
(手紙)仏領ギアナにおけるHIV診断遅延の危険因子について1952名の患者を対象に研究した。診断時30%の患者でCD4リンパ球数が200/mm3未満。年齢、男性、外国籍がCD4細胞数の低さに個別に関連。HIVの情報や検査の促進活動を実施する際には、少数民族のために数種類の言語を用いる必要がある。

公衆衛生・疫学2005.3月
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AIDS19(3):303-308,2005 Hu, D J et al Frequency of HIV-1 dual subtype infections, including intersubtype superinfections, among injection drug users in Bangkok, Thailand.
<タイ、バンコクの静注薬物使用者におけるサブタイプ間重複感染を含めたHIV-1サブタイプ二重感染の発生率>
バンコクの静注薬物使用者(IDU)の最近の血清変換者におけるサブタイプ間重複感染を含めたHIV-1サブタイプ二重感染の発生率と件数を評価するため、HIV-1ネガティブIDU 1,209名で追跡調査した。全体的な重複感染発生件数は2.2/100人年(95%信頼区間{CI}0.3?7.8)、サブタイプB一次感染後のCRF01_AE重複感染の1年間発生件数は3.9/100人年(95% CI 0.1?21.9)、CRF01_AE一次感染後のサブタイプB重複感染の1年間発生件数は1.5/100人年(95% CI 0.04?8.3)。
AIDS19(3):331-335,2005 Dorrucci, M et al Changes over time in post-seroconversion CD4 cell counts in the Italian HIV-Seroconversion Study: 1985-2002.
<イタリアHIV-血清変換研究における陽転後のCD4細胞数の経時的変化:1985-2002年>
(短報)陽転後早期のCD4細胞数の経時的変化について検証したところ、陽転直後からCD4細胞数の減少傾向が示唆され(年平均8.4 x 106個/L減少)、今後さらに調査する必要がある。
AIDS19(3):348-350,2005 Priddy, F et al Potential for medical transmission of HIV in Ethiopia.
<エチオピアにおけるHIVの医療上伝播の可能性>
エチオピア地方部の保健施設16カ所において、安全性が確保されていない医療上の注射によるHIV伝播について評価した。ほとんどの施設が使い捨て注射針/注射器を再使用していた。我々の分析方法の感受性自体に限界があるが、使用された針の洗浄液の分析ではHIV RNAは非検出。使い捨て注射針の再使用にも拘らず、この地方でのHIV伝播に医療上の注射が大きく寄与しているようには思われなかった。
AIDS19(4):357-370,2005 Prins, M et al Sex and the course of HIV infection in the pre- and highly active antiretroviral therapy eras.
<HAART時代前/後におけるHIV感染の性別と経過>
(レビュー)HAART 導入前/後においてHIV感染経過に性別が及ぼす影響について文献をレビュー。疾患進展率の性差を示すエビデンスはほとんど認めなかった。
AIDS19(4):407-411,2005 Green, D A et al Brain deposition of beta-amyloid is a common pathologic feature in HIV positive patients.
<HIVポジティブ患者においてβ-アミロイドの脳沈着は一般的な病的特徴>
HAART時代のHIVポジティブ患者において、“長期生存、高齢化、HAARTの二次的作用がβ-アミロイド蓄積に寄与する”とした仮説のもとに、β-アミロイド脳沈着の有病率と分布について分析を試みた。主に神経細胞体およびジストロフィ軸索突起に4G8および6E10抗体との免疫反応性を認めた。また多くの症例で、特に脈管周囲に多いが、細胞外プラークを同定。
AIDS19(4):413-421,2005 Smith, R J et al Evaluating the potential impact of vaginal microbicides to reduce the risk of acquiring HIV in female sex workers.
<女性セックスワーカーにおいてHIV感染リスクを低減する目的で使用される膣殺菌薬の影響を評価>
膣殺菌薬の使用で女性セックスワーカーでのHIV感染リスクを低減可能か?、殺菌薬の効果または使用を最大限活かすのに最も重要な要素は何か?、コンドーム使用に見合う殺菌薬の効果/使用のレベルはどの程度か?について検証した。結果、殺菌薬の使用で感染リスクは実質的に低減可能。殺菌薬の効果が低-中等度のものであっても、コンドーム使用を殺菌薬に替えたことによる感染リスク増大の確率は低い。
AIDS19(4):423-431,2005 Gardner, L I et al Efficacy of a brief case management intervention to link recently diagnosed HIV-infected persons to care.
<最近診断されたHIV感染者の治療についての簡単な症例マネージメント介入の有効性>
最近診断されたHIV感染者の受療の改善を目的とした簡単な症例マネージメント介入について有効性を評価した。結果、症例管理者による簡単な介入で、成功裡にHIV治療につながる割合が有意に高かった。簡単な症例マネージメントは、HIV感染者に診断確定後すぐに提供可能な、手ごろで有用なものである。
AIDS19(4):433-437,2005 Magoni, M et al Mode of infant feeding and HIV infection in children in a program for prevention of mother-to-child transmission in Uganda.
<ウガンダでの母子感染予防プログラムに参加する乳幼児における食事の与え方とHIV感染>
ウガンダ都市部病院での母子感染予防プログラムに参加する乳幼児306名において、食事の与え方がHIV感染に及ぼす影響を評価した。HIV感染割合は、母乳および母乳/調合乳の双方を与えた場合に比べ、調合乳のみを与えた乳幼児で有意に低かった。母乳養育による感染は主に生後1週間以内に発生。
AIDS19(4):443-445,2005 Loko, M-A et al Decreasing incidence of pregnancy by decreasing CD4 cell count in HIV-infected women in Cote d'Ivoire: a 7-year cohort study.
<コートジボアールのHIV感染女性においてCD4細胞数減少に伴い妊娠数が減少:7年のコホート研究>
(手紙)HIV感染女性473名を1551人年追跡調査した結果、CD4細胞数減少に伴う妊娠数と生産の減少を観察。HAART受療を要する女性はそうでない女性に比べ、出生前ケア施設への登録が傾向的により低い。
JAIDS38(3):241-253,2005 Rapatski, B L et al HIV Epidemics Driven by Late Disease Stage Transmission.
<疾患後期伝播におけるHIV疫学>
HIV疾患ステージ毎の精液の感染性について、ロバストネスのあるモデルを用いることで高分解評価を行った結果、これまでの研究がHIV伝播のダイナミクスのモデリングに利用してきた値に比し、症候性ステージの感染性は予想以上に高く強力であることが判明した。精液のステージ毎の感染性(率)は、早期0.024、無症候性期0.002、症候性期0.299。
JAIDS38(3):289-295,2005 Wood, E et al Why are Baseline HIV RNA Levels 100,000 Copies/mL or Greater Associated With Mortality After the Initiation of Antiretroviral Therapy?
<ベースラインHIV RNA量100,000コピー/mL以上が抗レトロウイルス療法開始後の死亡に関連するのは何故か?>
ベースラインCD4細胞数および血漿中HIV RNA量によって、ウイルス学的抑制(500コピー/mL未満)およびリバウンド(500コピー/mL以上)を予測することが可能か、良好なアドヒアランスを有するHIV感染者で評価した。結果は、ベースラインHIV RNA量100,000コピー/mL以上の場合、追跡期間中にHIV RNA抑制を達成する傾向が有意に低いことに関連した。このことがベースラインHIV RNA量と死亡との関連性を説明するものと思われる。
JAIDS38(3):314-319,2005 Ding, Y et al HIV Infection and Sexually Transmitted Diseases in Female Commercial Sex Workers in China.
<中国の女性セックスワーカーにおけるHIV感染と性感染病>
中国の女性セックスワーカー(FSW)におけるHIV感染と性感染病(STD)の罹患率を評価し、性行動パターンを調査するためクロスセクショナルサーベイ(621名登録)を実施。HIV抗体ポジティブは直接的FSW1名、間接的FSW1名(HIV感染罹患率はそれぞれ1.4%、0.2%)。STDの既往歴を49%が報告。不規則なコンドーム使用(87%)。
JAIDS38(3):320-328,2005 Li, X et al Interruption and Discontinuation of Highly Active Antiretroviral Therapy in the Multicenter AIDS Cohort Study.
<多施設AIDSコホート研究でのHAART一時中止と中断>
HIV感染男性患者コホートにおいてHAARTの一時中止と中断に関して、その決定因子および結果を検証。HAART一時中止の予測因子;若年、黒人、居住区域、HIV RNA高値、うつ病、HAART受療短期、アドヒアランス不良、ラミブジン非服薬。HAART中断の予測因子;若年、HIV RNA高値、うつ病、アバカビルかロピナビル服薬。HIV RNA量1,000コピー/mL未満の患者中、HAART一時中止7日未満およびHAART継続患者の内約5%でHIV RNA量が増加。より長期のHAART一時中止および中断患者では、有意に高いHIV RNA量の増加率を観察(35.7%/70.5%)し、CD4細胞数もより低値を観察。
JAIDS38(3):329-334,2005 Yadav, G et al Associations of Sexual Risk Taking Among Kenyan Female Sex Workers After Enrollment in an HIV-1 Prevention Trial.
<HIV-1予防試験登録後のケニア女性セックスワーカーにおける性的リスクを冒すことの影響>
HIV/性感染病(STI)セロネガティブ女性セックスワーカー(FSW)466名を登録して試験を実施し(ケニア、ナイロビ)、人口統計および性的リスク行為実行について3カ月毎に評価した。居宅および代価請求額が少ないFSWは、ベースライン時コンドーム使用が最も少なかったが、最大の改善かつ経時的維持を示した。自己申告によるコンドーム使用低レベル、クライアント数高値、飲酒はSTI高率に関連。
JAIDS38(3):335-341,2005 Hansmann, A et al Baseline Plasma Viral Load and CD4 Cell Percentage Predict Survival in HIV-1- and HIV-2-Infected Women in a Community-Based Cohort in The Gambia.
<ガンビアにおける共同体ベースコホートにおいて、ベースライン血漿中ウイルス量およびCD4細胞百分率がHIV-1/HIV-2感染女性での生存を予測>
HIV-1/HIV-2/非感染女性3群での全原因死亡率を検証/比較し、死亡に対するベースライン血漿中ウイルス量(PVL)およびCD4細胞百分率(CD4%)の予測値を評価した。HIV-1感染女性の生存は抗レトロウイルス治療導入前の先進国のそれに類似。HIV-2感染女性の生存率ははるかに高率であったが、PVL高値患者ではHIV-1感染女性と同程度の速度で死亡。
JAIDS38(3):342-347,2005 Solomon, L et al Managed Care for AIDS Patients: Is Bigger Better?
<AIDS患者の管理ケア:規模的に大きいほど良いのか?>
州(米国)の医療管理ケア制度において、AIDS患者の“ケアの質”に患者数(規模)が及ぼす影響について評価した。“ケアの質”の変動を州全体の管理ケア制度で観察。クオリティ・ケアを保証する規定があるにも関わらずこうした変動が存在。AIDS患者総数が多い施設ほど公衆衛生局ガイドラインへの遵守傾向は高く、高質のAIDSケアについて最高の機会を提供する可能性がある。
JAIDS38(3):348-355,2005 Spielberg, F et al Choosing HIV Counseling and Testing Strategies for Outreach Settings: A Randomized Trial.
<出先機関でのHIVカウンセリングと検査の選択戦略:無作為化試験>
無作為化試験で、1カ所の注射針交換場所および2カ所の浴場においてHIV検査とカウンセリングの種類を比較し、クライアントが検査結果を受領する確率の最も高い種類を検証した。従来のHIV検査に比べ、双方の場所における唾液検査および血液検査(即日)で有意に多数が検査結果を受領。カウンセリングを選択性にすることで、注射針交換所での検査数量が増大したが、浴場の場合増加しなかった。
JAIDS38(3):356-362,2005 Laeyendecker, O et al Molecular Epidemiology of HIV-1 Subtypes in Southern China.
<中国南部におけるHIV-1サブタイプの分子疫学>
中国南部都市部(BinyangとPingxian)において経時的に追跡調査されてきた静注薬物使用者コホートのウイルス学的/疫学的データを検証し、HIV-1感染の推進力となっているものを評価した。BinyangでのHIV感染の異常発生は強力な始祖効果を有し、V3の変化はわずか。Pingxianでは市内へのCRF01_AEの複数回の伝播があったと思われ、純粋に非経口的伝播で典型的に認められる異常発生に比べ、性的伝播を通じてより広汎に広まり、結果V3での変化が大。

公衆衛生・疫学2005.2月
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JAIDS38(2):142-146,2005 Kendrick, S R et al Outcomes of Offering Rapid Point-of-Care HIV Testing in A Sexually Transmitted Disease Clinic.
<性感染病クリニックでの迅速なHIV検査の提供結果>
都市部性感染病クリニックで1999年10月?2000年8月の期間、18歳以上の患者にHIV迅速検査を提供した。適格患者1977名中1,581名(80%)がHIV検査に同意し、内1,372名(87%)が迅速検査を受け、1,357名(99%)が検査同日に検査結果を得て検査後カウンセリングを受けた。HIV迅速検査は受容され実行性のあるものであった。結果、新たにHIV感染が判明した患者(37名;2.7%)に対するヘルスケアの開始が容易になされた。
JAIDS38(2):163-173,2005 Resch, S et al Cost-Effectiveness of HIV Screening for Incarcerated Pregnant Women.
<嵌頓妊婦に対するHIVスクリーニングの費用効果>
ハイリスクの嵌頓妊婦集団に対して、選択的HIVスクリーニング戦略(自発的出生前スクリーニング、ルーチンの出生前スクリーニング、強制的新生児スクリーニング)の臨床的/経済的効果を明らかにするため決定分析的モデルを作成し検証した。結果、強制的新生児スクリーニングが実行性のあるオプションでない場合、ルーチンの出生前スクリーニングが自発的なスクリーニングを上回る効果を有し、全くスクリーニングを実施しない場合に比べ費用節約となる。ルーチンの出生前スクリーニングはHIV予防/治療リソースの選択的使用に匹敵する。
JAIDS38(2):174-179,2005 Zhou, J et al The TREAT Asia HIV Observational Database: Baseline and Retrospective Data.
<TREAT アジア HIV観察データベース:ベースラインと後ろ向きデータ>
(短報)TAHOD(アジアでの治療研究、教育、AIDSトレーニング[TREAT アジア]HIV観察データベース)は最近設立された共同観察コホート研究で、アジア太平洋地域でのHIV疾患の自然歴を治療/無治療感染者を対象に評価することを目的としている。2004年5月末までに1,887名の患者が登録。HAART への応答を検証したところ、全体的に西欧諸国との類似を示唆。598名がHAARTを開始し、6カ月時点のウイルス量の評価では69%が検出限界未満を達成。
JAIDS38(2):180-190,2005 Stephensen, C B et al Immune Activation and Oxidative Damage in HIV-Positive and HIV-Negative Adolescents.
<HIVポジティブおよびHIVネガティブ青年の免疫活性化と酸化ダメージ>
HIVステータス、疾患重症度、免疫活性化、酸化ダメージにおける関連性をポジティブ265名およびネガティブ127名において検証した。年齢は14?23歳、ほとんどが女性(75%)で黒人(67%)。酸化ダメージの2つのマーカー(血漿中マロンジアルデヒドと蛋白カルボニル濃度)に相関はなく、いずれもポジティブ者でネガティブ者に比べ高いということはなかったが、男性、喫煙、マリファナ使用、免疫活性化、抗レトロウイルス療法受療に関連して酸化ダメージが増大。血漿中セルロプラスミンはポジティブ被験者で酸化ダメージの低減に関連したが、抗レトロウイルス療法受療者では非観察。
JAIDS38(2):191-195,2005   Antiretroviral Therapy, Hepatitis C Virus, and AIDS Mortality Among San Francisco's Homeless and Marginally Housed.
<サンフランシスコのホームレスおよび低所得者用住宅居住者における抗レトロウイルス療法、C型肝炎ウイルス、AIDS死亡率>
サンフランシスコのHIV感染ホームレス330名において死亡予測因子を同定する目的で調査を実施した。住宅状況とC型肝炎ウイルスは有意な死亡予測因子ではなかった。C型肝炎ウイルス感染はわずかであると思われる一方、本集団の主な死亡原因はHIV。持続的抗レトロウイルス療法が有意に死亡リスクを低減。
JAIDS38(2):196-201,2005 Nachega, J B et al HIV/AIDS and Antiretroviral Treatment Knowledge, Attitudes, Beliefs, and Practices in HIV-Infected Adults in Soweto, South Africa.
<南アフリカのソウェト居住HIV感染成人におけるHIV/AIDSおよび抗レトロウイルス療法についての知識、態度、信頼、実施状況>
南アフリカのソウェト(黒人居住区域)において、HIVおよび抗レトロウイルス療法(ART)についての知識、態度、信頼、実施状況を105名のHIVクリニックの患者を対象に検証した。HIV/AIDSの原因、伝播様式、ARTでのアドヒアランスの重要性については全体的に良好な知識を保有。70%がART未受療。59%がART副作用については心配していないと応えた。49%がARTでHIVが完治すると信じていた。
JAIDS38(2):202-207,2005 Cowan, F M et al The Appropriateness of Core Group Interventions Using Presumptive Periodic Treatment Among Rural Zimbabwean Women Who Exchange Sex for Gifts or Money.
<贈り物や金銭と交換にセックスを利用するジンバブエ地方部女性における予定的間欠的治療を用いたコアグループ介入の適切性>
ジンバブエ地方部女性セックスワーカーの特徴を把握し、HIV予防介入としての細菌性性感染病(STI)の予定的間欠的治療(PPT)の適切さと実行性を評価し、2つのレジメンの耐容性を比較するため、商業作物農場5カ所、鉱山2カ所において調査した(363名登録)。結果、贈り物や金銭と交換にセックスを利用する女性へのアクセスには実行性を有したが、そうした行為はまれであることが判明。細菌性STIの罹患率は低く、研究集団においてPPTは適切な介入ではないことを示唆。PPT後の急速な再感染が認められ、STI罹患率を低減するためPPTを1カ月間隔で実施する必要性が示唆された。
JAIDS38(2):208-212,2005 Teeraratkul, A et al Evaluating Programs to Prevent Mother-to-Child HIV Transmission in Two Large Bangkok Hospitals, 1999-2001.
<バンコク2カ所の大病院におけるHIV母子感染予防プログラムの評価、1999?2001年>
1998年バンコクの二大産科病院ではHIV母子感染予防を目的に包括的プログラムを実施した。分娩後HIV感染女性のクロスセクショナルサーベイを行い、プログラムを評価。予防サービス受容率は高率であったが(登録女性488名中443名、91%)、首尾一貫しない出生前ケア、烙印を押されることへの恐れ、HIVステータス開示困難から、サービスを拒否した女性もいた。出生前ジドブジン(ZDV)使用は347名(71%)、分娩中ZDV使用は372名(76%)。新生児495名全員に予防的ZDV投与を開始。
JAIDS38(2):213-218,2005 Bogart, L M et al Are HIV/AIDS Conspiracy Beliefs a Barrier to HIV Prevention Among African Americans?
<アフリカ系米国人においてHIV/AIDS陰謀説を信用することがHIV予防の障壁となっているか?>
アフリカ系米国人において、HIV/AIDS陰謀説(HIV/AIDSは連邦政府が黒人を抹殺するために作り出したウイルスであるという説)に対する信用とそれがコンドーム使用の徹底およびコンドームへの態度に及ぼす影響について検証したところ、HIV/AIDS陰謀説を信じることはHIV予防の1つの障壁となっていることが判明し、黒人でのコンドームに対する否定的態度の一面を表したものと思われる。
JAIDS38(2):219-227,2005 Marston, M et al Estimating the Net Effect of HIV on Child Mortality in African Populations Affected by Generalized HIV Epidemics.
<HIV流行に曝されているアフリカの集団においてHIVが小児死亡率に及ぼすネットの影響を評価>
HIVが小児死亡率に及ぼす影響を明らかにするため、「ネット」年齢特異死亡率の現実的推移を評価した。評価にはHIV感染児(直接的データ)または母親がHIV感染者の小児(間接的データ)の生存を計測したアフリカの研究データを用い、パターンは二重Weibullカーブで作成。結果、ネット生存は1歳で67%、5歳では39%。
JAIDS38(2):228-235,2005 Hammett, T M et al Correlates of HIV Status Among Injection Drug Users in a Border Region of Southern China and Northern Vietnam.
<中国南部とベトナム北部の国境地域の静注薬物使用者におけるHIVステータスの相関物>
中国南部(対象被験者294名)とベトナム北部(348名)の国境地域に居住する静注薬物使用者(IDU)におけるHIVステータスの相関物について報告。ロジスティック回帰解析から、中国のIDUでのHIVポジティブの最大予測因子は国境関連ファクター(国境に近接して居住、頻繁に越境して薬物を購入など)と若年。ベトナムにおいてはHIVステータスが行動の決定に影響(ある種のリスク低減行動がHIVポジティブの予測因子)。中国の被験者において国境関連ファクターが予測因子として認められるが、HIVポジティブはベトナムの被験者でより多数。
AIDS19(2):107-117,2005 Kotler, D P et al HIV infection and the gastrointestinal tract.
<HIV感染と胃腸管>
(エディトリアルレビュー)腸管粘膜がHIVや関連ウイルスの標的であることは、曝露ルートや粘膜免疫学に基づく考察によって以前から知られている。胃腸管におけるHIV感染分野での近年の進歩を明らかにすることを目的にレビューした。
AIDS19(2):169-178,2005 Duncombe, C et al HIV disease progression in a patient cohort treated via a clinical research network in a resource limited setting.
<臨床研究ネットワークを通じて治療を受けた、資源不足の状況下にある患者集団でのHIV疾患の進展>
タイの臨床研究ネットワークを通じて抗レトロウイルス療法(ART)を受けた成人患者集団417名でのHIV疾患の進展を検証した。追跡期間1,677人年において19名の患者に疾患進展を認めた。ART、適切なケア、CD4細胞/ウイルス量のモニタリング施設利用可能なタイのHIV感染者では、先進国と同等の疾患進展率を示した。本集団ではART開始をCD4細胞数が200 x 106/Lに至るまで延期することが可能と考える。
AIDS19(2):179-184,2005 Ven, P Van de et al Undetectable viral load is associated with sexual risk taking in HIV serodiscordant gay couples in Sydney.
<シドニーでのHIV血清不一致ゲイカップルにおいて、検出限界未満のウイルス量は性的リスク行動に関係する>
HIV血清不一致のゲイカップルにおいて、HIVポジティブパートナーのウイルス量が検出可能レベルではなく、むしろ検出限界未満であることが、非防御肛門性交(UAI)に関連するとした報告に関して、119名を登録して検証した。結果、血清不一致ゲイカップルのほとんどがUAIを行っていないが、UAIの発生傾向が有意に高くなるのは、HIVポジティブパートナーが検出限界未満のウイルス量を有する時(UAI報告:検出限界未満時39.4%vs検出可能時20.8%)。
AIDS19(2):193-201,2005 Groenewald, P et al Identifying deaths from AIDS in South Africa.
<南アフリカでのAIDS原因死亡を同定>
南アフリカにおいて、AIDS関連疾患に誤って分類されたHIV/AIDS死亡を定量化し検証したところ、AIDS死亡の大部分がAIDS関連疾患に分類されている可能性があり、HIVへの言及はなされていないことが判明した。南アフリカにおいては、HIV感染原因の死亡について誤った分類がなされているため、死亡統計を表面的数値から解釈することはできない。
AIDS19(2):219-220,2005 Ramos, J M et al Geography of medical publications. An overview of HIV/AIDS research in 2003.
<医学出版における地勢。2003年のHIV/AIDS研究の概観>
(手紙)2003年世界のHIV/AIDS関連出版数量を人口サイズ、国内総生産(GDP)、HIV感染症例数に正規化して比較した。得点の第1位は、出版総数では米国(5,723件:日本は8位373件)、全分野での出版率ではマラウイ(30.08%)、人口1,000万当たりの出版ではスイス(341.43件)、GDP100億ドル当たりの出版ではガンビア(280.61件)、HIV患者1,000人当たりの出版ではイスラエル(54.67件:日本は5位31.08件)。(日本:記載以外は20位ランク外)

公衆衛生・疫学2005.1月
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JAIDS38(1):43-46,2005 de Jong, B C et al Marijuana Use and Its Association With Adherence to Antiretroviral Therapy Among HIV-Infected Persons With Moderate to Severe Nausea.
<中等度から重度の悪心を有するHIV感染者におけるマリファナ使用およびその使用と抗レトロウイルス療法へのアドヒアランスとの関連>
抗レトロウイルス療法へのアドヒアランスをマリファナ使用に関連して検証した。その他の違法薬物使用はアドヒアランス不良と関連するが、悪心を有する患者において医薬としてのマリファナ使用は、アドヒアランスへの障害になるというよりもむしろ良好にするというデータを得た。マリファナとアドヒアランスとの因果関係を証明するため研究が必要である。
JAIDS38(1):57-60,2005 Latkin, C A et al Exploring the Role of Needle Selling in a Drug-Using Community in Baltimore, Maryland.
<メリーランド州バルチモアの薬物使用コミュニティにおいて注射針の販売が果たす役割を調査>
(短報)薬物使用コミュニティにおける注射針販売者およびその他との差異を検証し、販売された注射針の仕入れ先と本数を評価し、さらに販売関連ファクターを調査した。販売者は非販売者に比べ、傾向としてホームレス、HIVポジティブ、失業者、セックスパートナーおよび第三者と注射針を共有。最大頻度の注射針仕入れ先は注射針交換プログラム(NEP)。全サンプル内において注射針の販売は薬物静注および薬物経済の中での多くの役割に関連。薬物静注者にとって、注射針販売はNEPからの注射針入手に関連し、薬物経済の中で2つ以上の役割を有した。注射針販売者にトレーニングを施すことはリスク低減とHIV予防上、有効な戦略と思われる。
JAIDS38(1):61-68,2005 Lightfoot, M et al The Influence of Partner Type and Risk Status on the Sexual Behavior of Young Men Who Have Sex With Men Living With HIV/AIDS.
<HIV/AIDS若年同性愛男性の性行動にパートナーのタイプとリスクステータスが及ぼす影響>
HIV/AIDS若年同性愛男性の非防御性行動にパートナーのタイプとリスクステータスが及ぼす影響を検証した。結果は、パートナーの特徴がこれらHIV/AIDS若年男性のコンドーム使用行動に影響を及ぼし、パートナーのリスクに基づいてコンドーム使用を決定。このため予防介入では、パートナーのリスクステータスに関する正確な情報入手のための方法を加え、HIVセロコンコーダントのパートナーとの非防御セックスに伴う健康リスクについて教育する必要がある。
JAIDS38(1):69-73,2005 Williams, C T et al The Role of Depressive Symptoms in Predicting Sex With Multiple and Higt-Risk Partners.
<複数およびハイリスクパートナーとのセックス予測に抑うつ症状が果たす役割>
抑うつ症状と性的リスク行動との関連性を322名の薬物使用者の経時的データで検証したところ、複数パートナー(オッズ比1.55)/静注薬物使用者(オッズ比1.57)/クラック使用者(オッズ比1.37)において、セックスと高度の抑うつ症状が因果関係を有する可能性が示唆された。
JAIDS38(1):74-81,2005 Galai, N et al Prognostic Factors for Survival Differ According to CD4+ Cell Count Among HIV-Infected Injection Drug Users: Pre-HAART and HAART Eras.
<HIV感染静注薬物使用者において生存の予後予測因子はCD4陽性細胞数により異なる:HAART前とHAART導入後時代>
静注薬物使用者(IDU)の生存の予後指標をHAARTとは無関係にCD4陽性細胞数によって同定した(HIV感染IDU 1030名)。結果、HAART時代において生存は改善し、ハザード比はCD4陽性細胞500?351個/μL、350?201、200?101、100?51、50以下のグループそれぞれに0.42、0.36、0.24、0.21、0.25。短い生存は入院経験、AIDS、性感染症の存在に関連し、これはHAART導入前後で類似。CD4陽性細胞数最低値グループにおいては、敗血症または心内膜炎の既往、外来/救急処置室利用経験、飲酒が付加的な予後予測値を提供。薬物使用の指標を含め、臨床および行動的変数は生存に関し予後情報を提供するものであった。
JAIDS38(1):82-86,2005 Guzman, R et al Negotiated Safety Relationships and Sexual Behavior Among a Diverse Sample of HIV-Negative Men Who Have Sex With Men.
<多様なHIVネガティブ同性愛男性サンプルでの協議による安全策を講じた関係および性行動>
多様なHIVネガティブ同性愛男性(MSM)サンプルにおいて、協議による安全策(NS)の普及率、NSを実行するMSMの特徴、NSへのアドヒアランスを検証した。全参加者340名中76名(22%)がセロコンコーダントな主要パートナーとの関係を6カ月以上と報告。NSは血清学的一致の関係においてHIVネガティブ男性で一般的には実行されていたが(76名中38名がNS関係を有し、主要パートナーとの非防御肛門性交無し30名/有り8名)、NS規定ルールを遵守しない者もおり、自らも主要パートナーもHIV感染の危険にさらす可能性があった。NSルールへの完全なアドヒアランスを報告したのはわずか61%。
JAIDS38(1):87-95,2005 Magder, L S et al Risk Factors for In Utero and Intrapartum Transmission of HIV.
<子宮内および分娩中HIV感染の危険因子>
乳児における子宮内と分娩中HIV-1感染の予測因子を検証した(1990?2000年)。周産期HIV-1感染は経時的に有意に減少したが(1990?1992年;18.1%、1999?2000年;1.6%)、子宮内感染割合は増大(1990?1992年;27%、1999?2000年;80%)。母親の出産前ウイルス量および抗レトロウイルス療法が子宮内および分娩中HIV感染双方のリスクに関連。出生時低体重は子宮内感染に有意に関連し、年齢、出生前CD4陽性細胞割合、出生年、出生時体重、破水持続時間が分娩中HIV感染に関連。
JAIDS38(1):96-103,2005 Gebo, K A et al Racial and Gender Disparities in Receipt of Highy Active Antiretroviral Therapy Persist in Multistate Sample of HIV Patientes in 2001.
<HAART受療において人種/性格差は持続; 2001年 HIV患者複数州サンプル>
2001年においてHAART受療の人口統計学的格差はあるのか、また、外来ケアはHAART利用に関連しているのか検証したところ、1990年代中期よりHAART普及率は全体的に増加したものの、受療についての人口統計学的格差は存続していた。多変量解析において治療施設を調整すると、HAARTの有意な利用傾向増大に関連したのは、年齢41歳以上、男性、メディケード利用、メディケア利用、CD4数350個/mm3未満の成績が1回以上、年間4回以上の外来通院。HAART利用傾向が低かったのは、アフリカ系米国人と静注薬物使用の危険因子を有する者。
JAIDS38(1):104-109,2005 Taylor, G P et al The Seroepidemiology of Human T-Lymphotropic Viruses: Types I and II in Europe: A Prospective Study of Pregnant Women.
<ヒトTリンホトロピックウイルスの血清疫学:西欧でのI型/II型;妊婦での前向き研究>
ヒトTリンホトロピックウイルス(HTLV)-I/II型について、西欧において234,078名の妊婦で血清疫学的有病率を調査した。妊婦はローリスクの供血者やハイリスクの静注薬物使用者集団に比べ、一般集団をより反映する。抗HTLV-I/II型抗体を96名で検知(4.4/10,000)(抗HTLV-Iが73名、抗HTLV-IIが17名、6名は特異的に抗HTLVを観察したが型は非判別)。西欧における妊婦のHTLV-I/II型の血清疫学的有病率は供血者(0.07/10,000)に比し6倍高い。
AIDS18(18):2371-2380 Milush, J M et al Rapid dissemination of SIV following oral inoculation.
<SIV口腔内接種後の急速な播種>
マカクにおいてSIVの非外傷性口腔内接種後の伝播と播種について最も早期のイベントを評価したところ、接種後1?2日で局所および末梢リンパ節にSIVを認め急速な播種を観察した。接種後4日で何百というSIV-DNAコピーを検知し、7日後にその数が10,000コピー/1 x 106細胞を超えた。
AIDS18(18):2411-2418 Beck, E J et al The cost-effectiveness of highly active antiretroviral therapy, Canada 1991-2001.
<HAARTの費用効果;カナダ1991?2001年>
HAART導入前時代(1991年?1995年)と導入後(1997?2001年)において、AIDS/非AIDS患者で評価を実施した結果、HAARTはカナダでは費用効果のある介入であった。非AIDS患者において、入院日数平均は導入前1.6日、導入後0.8日/患者年。外来通院回数平均は2.8から5.5回/患者年に増加。総費用はUS$4,265 (導入前)、US$9,445(導入後)/患者年。進展時間中央値は6.3年 (導入前)、12.5年(導入後)。両期間間での1生存年獲得の費用増分はUS$14,587。AIDS患者において、入院日数平均は導入前13.3日から導入後4.4日/患者年に減少。外来通院回数平均は8.3から9.2回/患者年に増加。総費用はUS$9,099 (導入前)からUS$11,754(導入後)/患者年に増加。進展時間中央値は3.8年 (導入前)から13.3年(導入後)に増大。両期間間での1生存年獲得の費用増分はUS$12,813。
AIDS18(18):2425-2439 Brand, D et al First identification of HIV-1 groups M and O dual infections in Europe.
<HIV-1グループM/O重複感染をヨーロッパで初めて同定>
(手紙)フランスで同定されたHIV-1グループM/O重複感染2例について説明。当初、血清型タイピングで同定し、その後分子的特性付けで確認した。M/O重複感染が固有種グループOの認められるアフリカ赤道付近西部域以外で同定されたのはこれが初めてである。
AIDS18(18):2428- Gray, R et al Male circumcision and the risk of sexually transmitted infections and HIV in Rakai, Uganda.
<ウガンダのRakaiにおける割礼と性感染症およびHIVリスク>
(手紙)割礼/非割礼男性において性感染病やHIVの罹患率についてウガンダのコホートで評価したところ、性感染症または尿生殖器症状の有病率に割礼/非割礼男性での差異は認めなかったが、HIV罹患率は割礼男性で有意に低かった。包皮粘膜はHIVにおいては重要な標的組織と考えられる。
AIDS19(1):69-75,2005 Coeur, S L et al HIV and the magnitude of pregnancy-related mortality in Pointe Noire, Congo.
<コンゴPointe NoireにおけるHIVおよび妊娠関連死亡率の高さ>
コンゴにおいて生殖年齢にある女性の死亡率をHIV/妊娠状態によって調査し、妊娠期間中のHIV起因の超過死亡率を定量化した。死亡率はHIVネガティブ女性に比しポジティブでは32倍高く、HIV関連死亡の相対増加については、妊婦に比べて非妊婦で顕著に高かった。HIVポジティブ女性においては妊娠が生存ベネフィットを付与するように思われた。
AIDS19(1):85-90,2005 Pao, D et al Transmission of HIV-1 during primary infection: relationship to sexual risk and sexually transmitted infections.
<一次感染期間中のHIV-1伝播:性的リスクおよび性感染病への関連>
(短報)HIV-1一次感染期間中の感染伝播の促進要因は、高率のパートナー変更、非防御肛門性交、性感染病である。HIV-1一次感染期間にある個人をこれまで以上に積極的に同定すること、性感染病の管理、HAARTの全てが、伝播ネットワーク遮断に有用な方法と思われる。

公衆衛生・疫学2004.12月
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JAIDS37(4):1470-1476,2004 Kuyper, L M et al Gender Differences in HIV-1 RNA Rebound Attributed to Incomplete Antiretroviral Adherence Among HIV-Infected Patietnts in Population-Based Cohort.
<集団ベースコホートのHIV感染患者における、抗レトロウイルス薬への不完全なアドヒアランスによるHIV-1 RNAリバウンドでの性差>
HAART開始の抗レトロウイルス治療未経験HIV感染者において、HIV-1 RNAリバウンドまでの性と時間との関連性を検証。結果、女性患者でリバウンド率が高率である理由は主に不完全なアドヒアランスで説明されるという知見を得た。この集団の女性においては、薬物使用や不完全なアドヒアランスなどの心理社会的要因がリバウンドの予測因子となることが示唆される。
JAIDS37(4):1477-1488,2004 Chapplain, J-M et al Mitochondrial Abnormalities in HIV-Infected Lipoatrophic Patients Treated With Antiretroviral Agents.
<脂肪組織萎縮を有する抗レトロウイルス治療を受けたHIV感染患者におけるミトコンドリア異常>
長期NRTI治療HIV患者での臨床的脂肪組織萎縮症(LA)とミトコンドリア障害関連の筋障害における相関を検証。結果、長期NRTI治療患者での臨床的LAは、筋肉のミトコンドリア障害に関連し、患者では乳酸血症の急速な増強、呼吸鎖活性の障害(複合性IIIおよびIV)、ミトコンドリア組織酵素異常を観察した。
JAIDS37(4):1496-1499,2004 Crosby, R et al A Descriptive Analysis of HIV Risk Behavior Among Men Having Sex With Men Attending a Large Sex Resort.
<広大なセックスリゾートに参加する男性同性愛者でのHIVリスク行動の詳細な解析>
米国南部の有名なセックスリゾート(性的集会場所)に参加する男性同性愛者における様々なHIV関連リスク行動について評価した結果、こうした人々はHIV感染の実質的リスクを有することが判明。典型的なリゾート滞在中、平均4名のパートナーを持ち、約3分の2が肛門性交を経験し、内21%はコンドーム使用皆無、41%が常に使用したと回答。セックスリゾートはHIV予防にとって重要な場所と考えられる。
JAIDS37(4):1500-1513,2004 White, R G et al Can Population Difference Explain the Contrasting Results of the Mwanza, Rakai, and Masaka HIV/Sexually Transmitted Disease Intervention Trials?: A Modeling Study.
<Mwanza、Rakai、MasakaでのHIV/性感染病介入試験の対照的結果は集団の相違によるものか?:モデル研究>
Mwanza試験(タンザニア:性感染病の症候治療)、Rakai試験(ウガンダ:性感染病の集団治療)、Masaka試験(ウガンダ:性感染の有無における情報・教育・コミュニケーション)で観察されたHIVに及ぼす対照的影響が集団の相違によるものか検証し、各集団での介入戦略の有効性を予測する目的で研究を行った。性行動の集団的相違、治癒可能な性感染病の割合およびHIV流行段階によって、3試験で観察されたHIVに及ぼす対照的影響のほとんどが説明された。この研究から性感染病管理は、治癒可能な性感染病の罹患率が高い集団において(特にHIV流行の早期において)、有効なHIV予防戦略であるという仮説が支持された。
JAIDS37(4):1514-1519,2004 Huebner, D M et al A Longitudinal Study of the Association Between Treatment Optimism and Sexual Risk Behavior in Young Adult Gay and Bisexual Men.
<ゲイおよびバイセクシュアルの若年成人における治療楽観主義と性的リスク行動の関連性についての経時的研究>
HAARTについての治療楽観主義がHIVネガティブのゲイおよびバイセクシュアル若年成人男性における性的リスク行動に関係するのか検証したところ(サンプル数538名、年齢18-30歳)、関連性を認めた。しかし、治療楽観主義はその後の非防御肛門性交を予測せず、逆に非防御肛門性交が後の治療楽観主義を予測することが経時的解析で判明し、楽観主義は性的リスクに先行するというよりはむしろ、性的リスクから結果的にもたらされることがデータから示唆された。
JAIDS37(4):1520-1528,2004 Sow, P S et al Characteristics and Presenting Complains of Outpatients With Undiagnosed HIV Infection: Potential Utility in Selecting Subjects for HIV Testing.
<HIV感染未診断の外来患者の特性と主訴:HIV検査の被験者選択の有用性>
感染症クリニック外来患者(セネガル)で、HIV-1あるいはHIV-2感染患者を同定するための方法として、特定の人口統計学的/行動的特性および個々人の主訴を用いた方法の有用性を試験した。この方法によって外来男性患者の40%をスクリーニングし、HIV感染男性の84%を同定することができ、費用効果のあるアプローチであることが示唆された。
JAIDS37(4):1529-1533,2004 Vanhems, P et al The Incubation Period of Acute Retroviral Syndrome as a Multistep Process: A Parametric Survival Analysis.
<多段階の過程としての急性レトロウイルス症候群の潜伏期:パラメトリック生存解析>
急性レトロウイルス症候群(ARS)の潜伏期(incARS)に関するこれまでの評価を実証し、パラメトリック生存モデルを用いてincARS期間に発生する様々な段階について仮説をたてるため研究を行った。生存モデルからincARSは、ガンマおよび/または対数正規モデルを用いて、それぞれ平均26.4日および26.7日。ガンマモデルからincARS期間に3つの連続段階の存在が示唆され、それは、ウイルスによる上皮バリアの横断、ウイルス-宿主細胞の相互作用、ウイルスの全身性播種を確認している基礎科学の研究報告と合致。
JAIDS37(5):1543-1549,2004 Tuaillon, E et al Phenotypic Susceptibility to Nonnucleoside Inhibitors of Virion-Associated Reverse Transcriptase From Different HIV Types and Groups.
<異なるHIVの型および群からのビリオン関連逆転写酵素の非核酸系逆転写酵素阻害薬への表現型感受性>
非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)へのHIV感受性を評価するための血漿中逆転写酵素(RT)に基づく表現型検定を検証し、RTベース表現型を組換え型ウイルス検定(RVA)表現型および遺伝子型ベースの解析と比較し、グループO(域外値)およびNNRTIへのHIV-2感受性を遺伝子型多型との相関において評価した結果、1)血漿RTベース表現型はNNRTI耐性のモニターに簡易代替法として有用、2)本検定は高度に分岐したウイルス株に最適、3)HIV自然多型および薬剤耐性(中でも母子感染予防に広く用いられるネビラピンへの耐性)発現への影響に関する大規模疫学的調査に特に有用という結論を得た。
JAIDS37(5):1616-1619,2004 Hahn, J A. et al HIV Seroconversion Among the Homeless and Marginally Housed in San Francisco: A Ten-Year Study.
<サンフランシスコのホームレスおよび低コスト単身者用宿泊施設居住者におけるHIV血清変換:10年間の研究>
(短報)10年間のクロスセクショナル血清調査に繰り返し参加してきたホームレスおよび低コスト単身者用宿泊施設居住者において、HIV罹患件数と血清変換の危険因子を評価。HIVネガティブ者799名中6名の血清変換を認め、罹患率は0.30%/人年。ベースライン時30歳未満の人々の血清変換率は1.67%/人年で30歳以上に比べ有意に高い。HIV財源の使途について、予防と同時に治療に焦点を当てること、より若年のホームレスを対象にすべきであるなど、政策上の潜在的重要性が示唆される結果である。
JAIDS37(5):1620-1626,2004 Farquhar, C et al Antenatal Couple Counseling Increases Uptake of Interventions to Prevent HIV-1 Transmission.
<出産前の夫婦カウンセリングでHIV-1伝播予防介入の受容が増大>
HIV-1伝播予防のための介入受容について、パートナーの参加および夫婦カウンセリングが及ぼす影響をナイロビの出産前クリニックに通院する女性を対象に調査。ネビラピンをHIV-1ポジティブ女性に、コンドームを全参加者に配布。ネビラピン服薬HIV感染女性の割合は、夫婦でカウンセリングを受けた女性の88%、パートナーがクリニックには来院したが夫婦カウンセリングは受けなかった女性の67%、パートナーがクリニックに来なかった女性の45%。HIV-1予防介入の促進には出産前の夫婦カウンセリングが有用な戦略と思われる。
AIDS18(17):2253-2259,2004 Wilson, K M et al Incidence immunoassay for distinguishing recent from established HIV-1 infection in therapy-naive populations.
<未治療患者において、確立したHIV-1感染者から最近の感染者を識別するための罹患件数免疫学的検定>
最近のHIV-1感染について特異マーカを同定する目的で、抗体アイソタイプ特異HIV-1ウエスタンブロットを解析し、最近のHIV-1感染の指標となる相互作用を確認した。こうした反応を組換え型HIV-1抗原に基づき、抗体アイソタイプ特異ELISA法を用いてさらに定量化。抗p-24 IgG3反応性のための検定は、HIV感染罹患件数の推定に有用で、その推定値は疫学的調査およびワクチン臨床試験中の新たな感染のモニタリングや治療プログラム管理に適用できると考えられる。
AIDS18(17):2295-2303,2004 Aceijas, C et al Global overview of injecting drug use and HIV infection among injecting drug users.
<静注薬物使用の全世界的情況および静注薬物使用者におけるHIV感染>
全世界的な静注薬物使用(者)(IDU)普及率およびIDUにおけるHIV感染率、特に発展途上および過渡期にある諸国での普及率の算定を目的に、既存見積数値(1998?2003年)の照合とレビューを行った。IDU普及率に関して130カ国から見積を入手。世界のIDU者数は約1320万人、内1000万人(78%)以上が発展途上および過渡期にある諸国に居住。HIV感染率は78カ国から見積を入手。こうした見積が算出されたが、各国から入手した情報にはギャップがあり、エビデンスの信頼性もしばしば弱いものであった。
AIDS18(17):2305-2312,2004 Routy, J-P et al Factors associated with a decrease in the prevalence of drug resistance in newly HIV-1 Infected individuals in Montreal.
<モントリオールの新たなHIV-1感染患者における薬剤耐性の普及率減少に関連する要因>
HIV慢性感染者(CI)の後ろ向き解析を行い(1996?2003年、2328名)、ウイルス量平均値の変化および薬剤耐性(DR)普及率を評価し、最近の感染者(RI)180名の数値と比較(モントリオール)。結果、モントリオールの2000年以降のDR伝播の減少は(1997?2000年;13.0%から2001?2003年;4.0%へ)、CI患者で観察したウイルス量平均値の減少(1996から2000年にかけて1.34 log10減少しその後一定)と時期的に符合。ウイルス量減少に寄与する要因は、ルーチンな遺伝子型判定、抗レトロウイルス薬の利用。血漿中ウイルス量はDR伝播の主な予測因子であると思われる。
AIDS18(17):2339-2341,2004 Oyugi J H, et al Changes in HIV prevalence among young Thai men as defined by hepatitis C co-infection as a marker for mode of transmission.
<C型肝炎共感染を伝播様式のマーカとして定義したタイ人若年男性におけるHIV罹患率変化>
(手紙)タイでのHIV-1感染の流布をより把握するため、HIV-1伝播様式を示すC型肝炎ウイルス(HCV)に対する抗体を利用し検証した。1995年-2000年にかけてHCV共感染男性の割合は増加したが、HIV罹患率は一定。しかし、非共感染男性のHIV罹患率は低下(1.93?0.46%)。このことから、HIV-1の性的伝播が劇的に減少したにもかかわらず、非経口的伝播に関連したHIV-1感染には変化がないことが示唆される。

公衆衛生・疫学2004.11月
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JAIDS37(S4):S204-S214,2004 Sanchez, M A et al The Epidemiology of HIV Among Mexican Migrants and Recent Immigrants in California and Mexico.
カリフォルニアのメキシコ人移住者と最近の移民およびメキシコにおけるHIVの疫学
最近、カリフォルニアのメキシコ系移民およびメキシコにおいてHIV感染が急速に広まりつつあるとの懸念が幾つかの研究結果から示唆され、カリフォルニアおよびメキシコ両者において二カ国間の疫学的サーベイランスシステムを強化する必要性の重要度が高まっている。これによって HIV感染/性感染病/結核のハイリスク者に関する最新データの入手が可能となり、また、感染ダイナミクス、リスク行動、行動の決定因子に移住が及ぼす影響の評価機会も得られる。この懸念される脅威を評価し、介入計画を開発し実施することが必須である。
JAIDS37(S4):S215-S226,2004 Magis-Rodriguez, C et al Migration and AIDS in Mexico: An Overview Based on Recent Evidence.
メキシコにおける移住とAIDS:最近のエビデンスに基づく概要
メキシコにおける米国への移住とAIDS症例との関連性を概観し、メキシコ系移民の性行動を特徴付け、HIV/AIDS予防および臨床的注意活動について説明するため、AIDS症例データベース、罹患関連の各種研究、移民調査、政府関連省庁の情報を解析した。過去1年間の性行動では、パートナー数が増大、最も最近の関係でのコンドーム使用割合が増大、静注薬物使用が増大。2つの二カ国プログラムが疫学的調査活動を実施している一方、幾つかのイニシアチブでは革新的な方法を用い、移民への予防情報の提供にあたっている。
JAIDS37(S4):S227-S239,2004 Organista, K C et al HIV Prevention With Mexican Migrants: Review, Critique, and Recommendations.
メキシコ系移民におけるHIV予防:レビュー、批評、推奨
米国におけるメキシコ系移民のHIV予防に関する研究論文をレビューし、以下の観察および結論を得た。1)この特定トピックに関して研究が少ない、2)研究は過度の個人主義的行動科学的アプローチを反映し、個人的リスクファクター軽減を目的にデザインされ、HIVリスクに影響を及ぼす構造的/環境的ファクターにはほとんど関心が払われていない、3)メキシコ系移民の性行動に影響を及ぼす複雑でダイナミックな社会的/文化的変遷を理解するためのより良い理論的枠組みを開発する絶対的必要性がある。こうすることでユニークで多様なこのラテン系集団にHIV予防情報をより効率良く提供することができる。
JAIDS37(S4):S240-S251,2004 Solorio, M R et al HIV Health Care Services For Mexican Migrants.
メキシコ系移民へのHIV保健サービス
米国におけるメキシコ系移民へのHIV/AIDS保健サービスに関する研究論文をレビュー。そもそもメキシコ系移民を対象とした研究が少ないため、幾つかの特徴を共有するラテン系/ヒスパニック系に関する論文も含め検証。メキシコ系移民のヘルスケア問題の最前線にあるということから、カリフォルニアのデータには特に注目した。ここではHIVとともに生きるメキシコ系移民に提供される保健サービスの中で、質的改善の必要性のあるものに焦点を当て、今後の介入、研究、二カ国間合同研究に関して推奨を行った。
JAIDS37(S4):S252-S259,2004 Morin, S F et al Policy Perspectives on Public Health For Mexican Migrants in California.
カリフォルニアにおけるメキシコ系移民への公衆衛生政策展望
カリフォルニア在住のメキシコ系移民のHIV一次予防や治療へのアクセスに影響を及ぼす公衆衛生政策に焦点を当て、移民が直面する問題をより良く理解するため概念的モデルを用いて分析を試みた。HIV一次予防や治療へのアクセスに対して、障壁あるいは促進となる政策レベルで想定される介入について評価。障壁の中では、入国資格に基づく公衆衛生サービスの受容制限、教育の積極的差別是正措置上の限界、旅行/移住制限の法律について検討。促進の項目では、共同体/移民医療センター、言語的援助のための法律、予防やサービス提供範囲拡大を目的とした共同体ベースの住民グループの利用などについて検討。
AIDS18(16):2179-2184,2004 Lavreys L et al Hormonal contraception and risk of cervical infections among HIV-1-seropositive Kenyan women.
HIV-1セロポジティブケニア人女性におけるホルモン性避妊と子宮頸部感染リスク
ホルモン性避妊薬使用と子宮頸部感染症との関連性をケニアのHIV-1感染女性セックスワーカー242名で前向きに研究した。追跡調査中央値35カ月(HIV-1感染後)、799人年の調査を実施。蓄積注射可能な避妊薬の酢酸メドロキシプロゲステロンを使用する女性では、避妊していない女性に比べ、トラコーマクラミジア感染(ハザード比[HR]3.1)および子宮頸炎(HR比1.6)リスクが増大。経口避妊薬の使用は子宮頸炎リスク増大に関連(HR比2.3)。ホルモン性避妊は淋菌感染増大リスクとは無関係。
AIDS18(16):2185-2189,2004 Kozal M J et al Antiretroviral resistance and high-risk transmission behavior among HIV-positive patients in clinical care.
治療中のHIVポジティブ患者における抗レトロウイルス薬剤耐性とハイリスク伝播行動
(短報)HIV薬剤耐性とHIV感染リスク行動継続との関連性を治療中のHIVポジティブ患者333名で後ろ向きに研究した。過去3カ月間にHIV 性感染リスク行動(非防御性交)を行った治療中患者は全体の23%(合計1126回)で実質的に少数で、これら23%の患者の内24%(非防御性交合計207回)に抗レトロウイルス薬剤耐性HIVを認めた。しかし、耐性ウイルスを有するこれらのコアグループは(患者全体の約5%)、ハイリスクHIV伝播イベントの大部分を占め、実質的に多くのパートナーを耐性ウイルスに曝露させている。
AIDS18(16):2191-2195,2004 Hoffman I F et al Nonoxynol-9 100 mg gel: multi-site safety study from sub-Saharan Africa.
ノンオキシノール-9 100mgゲル:サハラ砂漠以南での多施設安全性試験
(短報)膣殺菌薬のノンオキシノール-9 (N-9)100mgゲルを陰部粘膜に使用した場合の安全性を第III相有効性試験に先立ち、HIV非感染女性180名で評価した。N-9群ではプラセボ群と比較して、陰部症状発症(38% vs 13%)および全上皮崩壊(20% vs 3%)の割合が有意に増大。これら知見のみでは判断材料として不十分であったが、52.5mgのN-9ゲルを用いたCOL-1492有効性試験の否定的結果と合わせ、100mg N-9ゲルの第III相有効性試験の中止を決定。
AIDS18(16):2199-2202,2004 Hardy G AD et al Tetanus vaccination with IL-2 during highly active antiretroviral therapy induces sustained and pronounced specific CD4 T-cell responses.
HAART施行中のIL-2併用の破傷風ワクチン接種で持続的な著しいCD4T細胞特異応答を誘導
(手紙)大規模免疫療法研究で、破傷風ワクチンに併用して投与したIL-2効果について登録患者2名のデータを報告する。1名の患者でIL-2投与により持続的応答が誘導されたが、これはワクチン接種とIL-2投与のタイミングに依存してもたらされたものと考えられる。
AIDS18(16):2208-2210,2004 Kendrick S R et al Comparison of point-of-care rapid HIV testing in three clinical venues.
3カ所の臨床施設でのpoint-of-care即時HIV検査の比較
(手紙)HIV検査の実施日にその結果が得られることで、自己のHIV感染を認識する患者数は増大すると考えられる。point-of-care(治療点)即時検査の受容性と実行性を3カ所の公共施設(性感染症クリニック、群刑務所、救急部門)で評価した。参加者の98%以上が結果を受け取り、新たに同定されたHIVポジティブの参加者中82%が治療を開始。point-of-care即時検査は実行性と受容性があり、治療開始率を改善すると思われる。

公衆衛生・疫学2004.10月
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JAIDS37(2):1237-1244,2004 Neuenburg, J K et al HIV-Producing T Cells in Cerebrospinal Fluid.
<脳脊髄液中のHIV生成T細胞>
脳脊髄液(CSF)中にHIV生成T細胞が存在するか、それらの割合と数量はCSFのウイルス量に相関するかを検証するため、フローサイトメトリックアッセイを用いて細胞内p24 HIV-1抗原を同定し、HIV-1生成T細胞を検知。ほとんどのCSF T細胞がHIV-1により生成されたものではなく、また、CSFの無細胞ウイルス量が高いときでも同様であった。CSF中のほとんどの活性化T細胞もまたHIV-1により生成されたものではないが、しかしCSF中のCD38+CD4T細胞のフラクションは独立してCSFのHIV生成T細胞のフラクションと関連。結果、CSFウイルス量の最大の予測因子がCSF白血球数合計であることに変わりはないが、HIV生成T細胞はCSFに存在し、その割合と数量はCSFの無細胞ウイルス量と相関する。
JAIDS37(2):1282-1287,2004 Atkinson, J O et al The Incidence of Kaposi Sarcoma Among Injection Drug Users With AIDS in the United States.
<米国の静注薬物使用AIDS患者におけるカポジ肉腫の発生件数>
AIDS患者でIDU/非IDU両者についてKS発生数をUS AIDSおよび癌登録データリンクから検証した。KSはAIDS患者全体で7099名に発症。発生件数は、男性同性愛者(MSM)でより高く(5.7/100人年)、異性愛男性で実質的により低く(0.7/100人年)、女性で最も低かった(0.4/100人年)。静注薬物使用に関連したKS相対危険度は、女性1.3、異性愛男性1.1、MSM 0.9。静注薬物使用はAIDS関連KSのリスク増大には無関係。
JAIDS37(2):1288-1294,2004 van der S, et al Body Mass Index at Time of HIV Diagnosis: A Strong and Independent Predictor of Survival.
<HIV診断時のBMI>
HIV診断時BMIが生存に及ぼす影響を評価した。BMIはHIV診断後3カ月以内の患者1657名(ガンビアのコホート)から入手。ベースライン時BMIが18以上の患者に比較した18未満の患者の死亡率のハザード比(HR)は3.4。ベースライン時BMI値16以下の患者の生存中央値は0.8年、これに対し22以上の患者では8.9年。ベースライン時BMI値18未満は、非常に有意な独立した死亡の予測因子であった。診断後6カ月以内の死亡予測について、BMI値18未満の感受性および特異性は、CD4陽性数200未満のそれに匹敵した。高度の臨床的、ラボ施設等サポート体制のない地域においては、BMIは抗レトロウイルス療法開始時期の決定に際して有用なガイドともなると思われる。
JAIDS37(2):1295-1306,2004 Buonaguro, L et al Screening of HIV-1 Isolates by Reverse Heteroduplex Mobility Assay and Identification of Non-B Subtypes in Italy.
<イタリアにおける逆ヘテロ二本鎖移動度検定によるHIV分離菌のスクリーニングおよび非Bサブタイプの同定>
HIVサブタイプの分布を改良型ヘテロ二本鎖移動度検定(heteroduplex mobility assay; HMA)である逆HMA(rHMA)を用いて(著者らラボで開発)、イタリア在住セロポジティブ63名で評価した。5つのサンプルがrHMAで非Bサブタイプ分類に合致する電気泳動パターンを示した。系統発生的分析から、rHMAを用いたサブタイプ分類予測を確認し、3つのサンプルが「Aファミリー」サブタイプ、2つが「G」サブタイプに分類された。2000?2001年にかけて異性愛者から分離した23の変株中、5つの非BサブタイプHIV-1分離菌を同定した。同時に、Bサブタイプ分離菌は、高いレベルのサブタイプ内ヌクレオチド分岐性を示し、それは通常のHIV-1分子の多様性に合致。
JAIDS37(2):1307-1312,2004 Kral, A H et al Injection Risk Behaviors Among Clients of Syringe Exchange Programs With Different Syringe Dispensation Policies.
<異なる注射器分配政策下での注射器交換プログラム利用者の注射リスク行動>
注射器分配政策の相違が利用者レベルでの注射関連HIVリスクに関係するか検証するため、カリフォルニアの注射器交換プログラム(SEP)23カ所に静注薬物使用者(IDU)531名を登録して研究した。SEPを注射器の交換配付方法によって3種類に分類(厳密に1本づつの交換/1本の交換に2-3本余分に配付/利用者からの返却本数に関わらず必要本数を分配)し、注射関連リスクを比較した。多変量ロジスティック回帰分析の結果、注射器再使用に関して、「必要本数分配」のSEP利用者のオッズ比がより低いものであった。注射器再使用の低減に、「必要本数分配」政策に基づくSEPが有用であると思われる。
JAIDS37(3):1404-1414,2004 Cohen, D A et al Comparing the Cost-Effectiveness of HIV Prevention Interventions.
<HIV予防介入の費用効果を比較>
ベルヌーイおよび比例変化モデルを用いてスプレッドシートツールを開発し、26個のHIV予防介入での相対費用効果を見積もった。介入での費用効果は、ハイリスク集団のHIV罹患率および1名当たりの費用という2つの要因に最も影響された。異性愛集団のような罹患率の低い集団では、最も費用効果のある介入はstructural intervention(マスメディア、コンドーム配布等)で、一方、高罹患率集団(男性同性愛者)では、リスク行動を変更するための個別対応介入が相対的に費用効果があった。全体的に最も費用効果のある介入は、性感染症クリニックのビデオを見せることと酒税を上げること。学校でのHIV予防プログラムの費用効果は最低。注射針の交換および規制緩和プログラムは、静注薬物使用者がHIV高罹患率を有する時に限り相対的に費用効果があった。
JAIDS37(3):1415-1422,2004 Mikhail, I S et al Association of Complementary and Alternative Medicines With HIV Clinical Disease Among a Cohort of Women Living With HIV/AIDS.
<HIV/AIDSと共に生きる女性コホートにおける相補/代替医療とHIV臨床疾患との関連>
相補/代替医療(CAM)使用とHIV臨床疾患指標との関連を、HIVポジティブ女性/年齢18?50歳/米国在住391名からデータを収集し評価した。約60%の研究参加者が1種類以上のCAMを利用。CAM使用の予測因子は、高教育水準、健康保険不在、長期疾患期間、感染数の多さ。最も一般的に使用されたCAMはビタミン(~36%)。ビタミン使用関連の社会人口学的変量は、高教育水準、長期疾患期間、およびアフリカ系に比べ白人でのより高い使用割合。
JAIDS37(3):1423-1430,2004 Thorpe, L E et al Effect of Hard-Drug Use on CD4 Cell Percentage, HIV RNA Level, and Progression to AIDS-Defining Class C Events Among HIV-Infected Women.
<HIV感染女性において麻薬使用がCD4細胞割合、HIV RNA量、AIDS定義クラスCイベントへの進展に及ぼす影響>
HIV感染女性コホート(1148名)において、違法な薬物(コカイン、ヘロイン、メタドン、または静注薬物)使用とCD4細胞割合、HIV RNA量、HIV感染クラスC診断回避、死亡との関連性を、違法薬物非使用者と比較して5年間前向きに調査検証した。ベースライン時40%が妊娠期間中の麻薬使用を報告。多変量解析では、麻薬使用はCD4細胞割合、HIV RNA量、または全原因死亡の変化に無関係。しかしクラスC診断リスクでは麻薬使用者が高率を示した(ヘルペス、肺結核、再発性肺炎)。麻薬使用女性患者は非致死的日和見感染リスクがより高い可能性がある。
JAIDS37(S2):S58-S67,2004 Wingood, G M S et al A Randomized Controlled Trial to Reduce HIV Transmission Risk Behaviors and Sexually Transmitted Diseases Among Women Living With HIV: The WiLLOW Program.
<AIDSとともに生きる女性においてHIV伝播リスク行動および性感染症を減少させるための無作為化試験:WiLLOWプログラム>
AIDSとともに生きる女性において、HIV伝播リスク行動および性感染症(STD)を減少させ、HIV予防上の心理社会的/構造的要因を向上強化するための介入効果を検証(無作為化試験;WiLLOWプログラム/女性患者366名を登録/米国)。12カ月の追跡調査期間中WiLLOWプログラム介入女性の報告では、対照群に比較し、非防御膣性交エピソード/コンドーム不使用が少ない傾向にあり、細菌性感染件数も少ない。また優れたHIVの知識とコンドーム使用による有効性を認識しており、コンドーム使用をセックスの障害と考える女性は少ない。
JAIDS37(S2):S68-S77,2004 Rotheram-Borus, M J et al Prevention for Substance-Using HIV-Positive Young People: Telephone and In-Person Delivery.
<薬物使用HIVポジティブ若年者における予防:電話および対面介入>
HIVとともに生きる若年者(YPLH;16-29歳175名)におけるHIVリスク行動および保健の実際を、予防介入受療への応答を通して15カ月間調査した。YPLHを18セッションからなる介入手段の実施方法によって(電話介入、対面介入、遅延型介入)3群に無作為に振り分けた。ITT解析の結果、対面介入群では、全体的/HIVセロネガティブのパートナーとの性活動でのコンドーム使用が有意に高い割合。YPLH解析前/後のデータから、遅延型介入群では他群に比べより少ないセックスパートナー数/薬剤数/情動的悩みが報告され、抗レトロウイルス薬使用が減少したことが判明。予防プログラムは有効性を維持しながら各種選択的に使用可能である。YPLHが麻薬を使用している場合、予防的介入を実施する前に薬物治療が必要と思われる。
JAIDS37(S2):S78-S87,2004 Fisher, J D et al Clinician-Initiated HIV Risk Reduction Intervention for HIV-Positive Persons: Formative Research, Acceptability, and Fidelity of the Options Project.
<HIVポジティブ者のための臨床家実施のリスク低減介入:選択可能なプロジェクトの形成的研究、受容性、適合度>
実地臨床でのHIVポジティブ患者におけるHIVリスク行動の強度とダイナミクスについて調査し、調査結果を用いてHIVポジティブ者のための臨床家実施のHIV予防介入をデザインし、その介入方法が臨床家および患者に受け入れられるか、また臨床家がその介入を実施した場合の適合度を評価すべく研究した。臨床家および患者への調査の結果、HIVポジティブ患者においてリスク性行動の存在の他、HIV予防情報、動機付け、行動スキルなどが著しく欠如していることが判明。こうした知見を理論ベースの臨床家実施HIV予防介入に組入れ研究したところ(実験的介入患者231名での1455回の来院)、介入は臨床家および患者両者に受け入れられるもので、臨床家が適切に実施可能であることが証明された。HIVポジティブ患者を治療する臨床家によるルーチンな実地臨床でのHIV予防介入が実施されるべきである。
JAIDS37(S2):S88-S94,2004 Richardson, J L et al Using Patient Risk Indicators to Plan Prevention Strategies in the Clinical Care Setting.
<患者のリスクインジケーターを用いた実地臨床での予防戦略計画>
実地臨床で患者個別の安全な性交に関するカウンセリング実施のための基本的要素を調査するため、HIVポジティブ男性と女性(840名)における非防御肛門/膣性交(UAV)および不開示(ND)の分布について、その交際関係に基づき検証した。UAVの頻度はパートナーを2名以上有する場合に比べ(50%)、1名の場合で低かった(26%)。NDはパートナーが1名の場合20%で、2名以上では60%。主なパートナー1名を有する場合、性的志向にかかわらずUAVに有意な差異はなし。セロネガティブ主パートナーとのUAVは16%-20%、セロポジティブパートナーとでは37%-46%。2名以上のパートナーを有する同性愛男性では、交際関係はより不特定パートナーとの短期間の傾向があり、UAVおよびNDのレベルもより高かった。パートナー数、交際関係のタイプ、パートナーのHIVセロステータスが性行動に影響を及ぼし、個々の患者に合わせた予防カウンセリングを実施する場合、これらが有用/効果的ベースとなると思われる。
JAIDS37(S2):S95-S100,2004 Myers, J J et al Written Clinic Procedures Enhance Delivery of HIV "Prevention With Positives" Counseling in Primary Health Care Settings.
<クリニックの書面によるカウンセリング手順が、一次医療でのHIV“ポジティブ患者の伝播予防”カウンセリング実施を促進>
HIV一次診療のサポートを得ているクリニックの出口調査で、患者がHIV予防カウンセリングを受けたかどうかを、クリニック(全16カ所)のアプローチを3種類にコード化し評価した(HIV感染患者614名)。「書面によるカウンセリング手順」を採用したクリニックの患者では、「カウンセリング手順のない」クリニックに比較すると、過去6カ月間のHIV予防カウンセリングの受領割合が有意に高い傾向を示した。「個々のカウンセラーがカウンセリングを実施」および「カウンセリング手順のない」クリニックでは、人種、性別、性的志向などの患者特性が予防カウンセリングの受領と関連したが、「書面によるカウンセリング手順」を採用したクリニックでは、こうした差異は認められなかった。「書面によるカウンセリング手順」はクリニックのスタッフに重要なガイドとなり、患者特性に関わりなく、ポジティブ患者の予防カウンセリング受領を促進させる。
JAIDS37(S2):S101-S109,2004 Wolitski, R J et al Prevention With HIV-Seropositive Men Who Have Sex With Men: Lessons From the Seropositive Urban Men's Study (SUMS) and the Seropositive Urban Men's Intervention Trial (SUMIT).
<HIVセロポジティブ男性同性愛者における予防:セロポジティブ都市部男性の研究(SUMS)およびセロポジティブ都市部男性での介入試験(SUMIT)から得られた教訓>
1996年-2002年にかけて米国で実施された、セロポジティブ都市部男性の研究(SUMS:456名)およびセロポジティブ都市部男性での介入試験(SUMIT:1168名)から得られた知見について解説/記載し、これら研究から得られた将来の研究および予防計画に関係する教訓などについて考察。研究から得られた主な知見:1)非防御性交の相関物;自己有効感、個人責任、薬物使用、精神的健康、情況的影響、2)HIVステータスの開示;多くのHIVポジティブ男性同性愛者にとって開示は困難な問題。多くがその主要パートナーに対しては開示していたが、非主要パートナーへの初回性交前の開示は50%未満。
JAIDS37(S2):S110-S118,2004 Purcell, D W JD et al Interventions for Seropositive Injectors-Research and Evaluation: An Integrated Behavioral Intervention With HIV-Positive Injection Drug Users to Address Medical Care, Adherence, and Risk Reduction.
<セロポジティブ静注薬物使用者?調査と評価:医療、アドヒアランス、リスク低減に注意を喚起するためのHIVポジティブ静注薬物使用者を対象とした総合的行動介入>
HIVポジティブ静注薬物使用者(IDU)を対象とした総合的行動介入およびベースライン時のサンプル特性について解説、記載。ベースラインの評価(参加者1161名)終了後、1)10セッションからなるピアメンタリング(同等者助言)介入群(HIV治療の利用向上、HIV薬物療法へのアドヒアランス改善、セックス/静注薬物リスク低減を目的にデザイン)と、2)8セッションからなるビデオテープ対照群とに無作為に振り分け臨床試験を開始(合計966名;ベースライン参加者中83%)。試験維持率はすべての追跡期間を通じて80%以上。ベースライン参加者中約79%が最近通院したと報告、49%がHAART受療中、19%がウイルス量検出限界以下。ほとんどが静注/非静注薬物使用。セックス/静注薬物リスクを有する参加者はそれぞれ25%。HIVポジティブIDUに対して総合的介入の必要性があり、データからこのようなアプローチがIDUに受け入れられるということが示された。
AIDS18(15):2055-2063,2004 Quigley, M A et al The impact of attending a behavioural intervention on HIV incidence in Masaka, Uganda.
<行動介入参加がHIV罹患率に及ぼす影響:ウガンダ、Masaka>
ウガンダ地方部での行動介入の共同体無作為化臨床試験で、HIV感染に対するこうした行動介入の有意な効果が見いだされない理由について検証。介入共同体の81%の人々、対照共同体の9%の人々が前年に最低1つの介入活動に参加したと報告。参加率は女性/55歳以上/寡婦で低かった。介入活動参加未経験者に比較して、最低でも1つの介入活動に参加したと報告した者ではHIV感染率が低く、女性ではこの効果は統計的に有意。介入活動に参加/非参加者間で行動変化における顕著な相違は認めなかった。全体的に介入は共同体に大きなベネフィットをもたらしてはいなかったが、介入参加女性においてHIV獲得リスクが低減。結果を元に将来の臨床試験に関して、その方法論的重要性を討議。
AIDS18(15):2065-2073,2004 Pinkerton, S D et al Cost-effectiveness of HIV postexposure prophylaxis following sexual or injection drug exposure in 96 metropolitan areas in the United States.
<米国大都市圏96カ所における性的/静注薬物暴露後のHIV暴露後予防の費用効果>
米国大都市統計地域(MSA)96カ所における性的/静注薬物関連暴露後のHIV暴露後予防(PEP)の費用効果を評価。MSA96カ所の費用?効用率は節約された1質調整生存年(QALY)当たり$4137-$39101の範囲。96カ所のMSAを統合すると、仮定PEPプログラムはほぼ20000クライアントに達し、合計費用は約$2200万。MSA全体での費用?効用率は節約された1QALY当たり$12567。PEPで阻止されたHIV感染の大半が、受動的肛門性交暴露を報告した男女。ほとんどの米国大都市統計地域において性的/静注薬物暴露後PEPは、現行HIV予防活動を補完する費用効果のあるものと考えられる。

公衆衛生・疫学2004.9月
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JAIDS 37(1):1170-1179,2004 Vanichseni, Suphak et al Sexual Risk Reduction in a Cohort of Injecting Drug Users in Bangkok, Thailand.
<バンコクの静注薬物使用者コホートにおける性リスクの低減>
性リスク行動低減を目的とした介入計画に長期参加(16カ月)することでポジティブな結果が得られるかを検証。静注薬物使用(IDU)登録患者806名中約40%が、各来院時調査(4カ月毎)で特定パートナーと非防御性交を行っていると報告し、こうした行動の経時的低減は認められなかった。不特定および買春パートナー(男性のみ)との非防御性交については調査初期には経時的に減少(期間限定的)。不特定パートナーとの非防御性交はアンフェタミン使用に関連。コンドームの使用は調査期間中にHIV血清変換した参加者で実質的に増加。HIVセロネガティブIDUの性リスク行動低減において、長期介入が短期介入よりも有効であるという結果は得られず、アンフェタミン使用者および特定パートナーと非防御性交を行っているHIVセロネガティブIDUを対象として、新たな介入計画が要求される。
JAIDS 37(1):1180-1186,2004 Baryarama, Fulgentius et al Using HIV Voluntary Counseling and Testing Data for Monitoring the Uganda HIV Epidemic, 1992-2000.
<HIVの自発的カウンセリングと検査データを用いたHIV流行のモニタリング(ウガンダ;1992-2000年)>
HIVの自発的カウンセリングおよび検査(VCT)を受けたクライアント(201,741名)においてHIV感染率の傾向を評価し、HIV流行のモニタリングにおけるVCTデータの有用性を検証。検査受診の理由が疾患によらない初回VCTクライアントからルーチンに収集したデータを解析。検査部位、夫婦の検査、結婚前検査を補正するモデルを開発し、HIV感染の補正後罹患率の傾向および年齢特異罹患率ピーク変化を評価、さらに、出産前クリニック(ANC)サーベイランスデータとVCT罹患率傾向を比較。1992-2000年、VCTクライアントのHIV罹患率は減少し(23%から13%へ)、ANCサーベイランスデータと類似。より高い年齢群(男40歳以上、女35歳以上)では罹患率減少は見られなかった。VCTデータはVCT計画が確立している地域では、HIV流行のモニタリングに有用で簡便なツールであると考えられる。
JAIDS 37(1):1187-1196,2004 Ouellet, Lawrence et al HIV Risk Practices Among Needle Exchange Users and Nonusers in Chicago.
<シカゴにおける注射針交換プログラム利用者/非利用者におけるHIVリスク行動>
注射針交換プログラム(NEP)利用と薬物静注リスク行動との関連を評価。静注薬物使用者(IDU)をシカゴのNEP利用者およびNEP非実施地域よりリクルートし、リスク行動について面接し、HIVカウンセリングと検査を行った。NEP通常利用者(注射針の少なくとも半数をNEPから入手;558名)と非NEP利用者(175名)を比較。多変量解析の結果、NEP通常利用者では、注射針の受動的共有、使用済注射針の貸与、クッカー(注射液を作るために麻薬を過熱する小さな容器)/コットン/水等の共有、1本の注射針の2回以上の使用に関してその傾向がより低かった。注射針を共有したIDU中NEP通常利用者の場合、共有回数はより少なく、より少ない人数の社会的により緊密な関係のパートナーや人との間で共有する有意な傾向があり、常に再使用前に使用済注射針を殺菌。NEP通常利用は、より低頻度/低リスクのHIV注射リスク行動に関連。
JAIDS 37(1):1197-1205,2004 Westheimer, Emily F et al Acceptance of HIV Testing Among Pregnant Women in Dar-es-Salaam, Tanzania.
<妊娠女性でのHIV検査の受容(ダル・エス・サラーム、タンザニア)>
出産前HIV検査の受容について相互に関連する事柄を単変量および多項ロジスティック回帰分析で評価。大半が既婚者(一夫一婦婚)(60.0%)、就学期間7年以下(75%)、未就業(70.4%)。全対象者(妊娠女性にルーチンな出生前ケアの一環として提供)14,235名中10,991名がHIVスクリーニングを受容(77.2%)。スクリーニングの受容に有意に関連したのはリクルート施設。施設の共変量に含まれる要素は、個々のカウンセラーの影響、待ち時間の長さ、その施設の運営時間など。年齢、教育、婚姻状況、パートナーの職業は検査受容に関する有意な予測因子。
JAIDS 37(1):1206-1215,2004 Harawa, Nina T et al Trends in HIV Prevalence Among Public Sexually Transmitted Disease Clinic Attendees in the Western Region of the United States (1989-1999).
<米国西部での公共の性感染病クリニック来院患者におけるHIV罹患率傾向(1989-1999年)>
米国西部の4カ所の都市部施設の性感染病患者についてHIV傾向を比較。1989-1999年、ルーチンな梅毒検査のために来院した患者から採取した血清残余物を用いて(来院件数256,819件)、非リンクサーベイでHIV抗体検査を行った。結果は医療記録から抽出した無名人口統計およびリスク情報にリンクさせた。女性とのみセックスを有する男性および女性での全体的なHIV血清学的累積罹患率は2%以下で経時的に減少し、薬物静注者でも8%未満。対称的に、男性とのセックスを有する男性において同数値は、シアトルでの13%からサンフランシスコでの30%の範囲となり、補正後年平均2.1%低下。
JAIDS 37(1):1218-1219,2004 Vento, Sandro et al Can We Really Identify HIV-1 Long-Term Nonprogressors?
<HIV-1長期非進展者の同定は可能か?>
(手紙)HIV-1長期非進展者(LTNP:10年以上にわたりCD4細胞数500個/μL以上を維持)は一般的に全HIV-1感染者の2-10%と推定されてきたが、「緩慢な進展者」が含まれている可能性がある。HIV-1感染10年後LTNPと同定された31名の無症候性治療未経験被験者のデータ(北イタリアの4施設)を後ろ向きにレビューしたところ、24名が現在でもLTNPの定義に合致。HIV-1感染進展に影響を及ぼす可能性のある要因(結果的にはLTNPの予測因子となる)の中では、ウイルス量のみが最も重要なものと思われた。感染時年齢、性別、CD8細胞数、CD4/8比率、静注薬物使用、性行動、飲酒、喫煙、B/C型肝炎共感染等の影響は観察しなかった。また、静注薬物常用歴、男性、多量飲酒が統計的にLTNPに関連する変数であるとの見解があるが、このコホートでは認めなかった。非進展を正確に予測するためにはより厳密な定義を用いる必要があるが、「検出限界以下のHIV-1 RNA量」はそれに加える必須事項と思われる。
AIDS 18(13):1827-1834,2004 Schackman, Bruce R et al The cost-effectiveness of elective Cesarean delivery to prevent hepatitis C transmission in HIV-coinfected women.
<HIV共感染女性においてC型肝炎伝播を予防するための選択的帝王切開分娩の費用対効果>
HIV-RNA量は抑制されているがC型肝炎ウイルス(HCV)RNA量は検出可能レベルにあるHIV/HCV共感染女性において、C型肝炎ウイルスの周産期伝播を予防するための選択的帝王切開分娩の正味の健康、コスト、費用対効果を検証した。結果、HIV/HCV共感染女性において2000件の出産/年(米国)と仮定すると、選択的帝王切開分娩を推奨することで、周産期HCV伝播の阻止件数は年90件増大し、50年に付き1名の母親の死亡リスクがある。選択的帝王切開分娩の推奨 vs. 現行の費用効果割合増分は、母子を1組とした質調整生活年に付き$3600-6100。
AIDS 18(13):1835-1843,2004 Keiser, Olivia et al All cause mortality in the Swiss HIV cohort study from 1990 to 2001 in comparison with the Swiss population.
<スイス一般集団と比較した1990-2001年のスイスHIVコホート研究での全原因死亡率>
1990-2001年のスイスHIVコホート研究での死亡率をスイス一般集団と比較した。標準化死亡率(SMR)と生命表を作成し性別とHIV感染者グループで層別化。ドロップアウトは感受性分析を用いるとともにドロップアウト前のCD4細胞数を分析して調査。研究期間中、10,977名が最低1回来院し、観察期間中央値は46カ月、死亡は3,630名、ドロップアウトは2,290名。SMRは1996年のHAART導入前の79.3から導入後15.3に減少。静注薬物使用(IDU)でHIVに感染した者でのSMRは98.2から1996年以降40.9に減少。その他のHIV感染者グループでのSMRは69.2から9.4に減少。IDUでは他の感染者グループに比べ1996年以降有意に低い生存率を示した。HAART導入以降全体的な生存率は大きく改善したが、コホートの平均寿命はスイス全集団のそれを下回るものである。また、サブグループにより死亡率に実質的相違があることに留意する必要がある。
AIDS 18(13):1845-1847,2004 Verma, Ravi Kumar et al Homosexual activity among rural Indian men: implications for HIV interventions.
<インド地方部男性の同性愛行動:HIV介入における潜在的重要性>
(手紙)インドの異なる5つの州の5地区から登録した18-40歳男性2910名のクロスセクショナルサーベイで、10%弱の未婚男性、3%弱の既婚男性が過去1年間に男性と非防御肛門性交を行っていたことが判明。男性同性愛行動を有する男性は別個の独立した性的カテゴリーに分類されず、女性パートナーとの性行動も報告している。こうした男性はそうでない男性に比べより多くの女性パートナーを有し、彼らの異性パートナーとの性行動の11%で肛門性交を行っていた。
AIDS 18(13):1847-1849,2004 Ramharter, Michael et al Shared breastfeeding in central Africa.
<中央アフリカにおける共同授乳>
(手紙)本研究は共同授乳がHIV垂直感染の新たな危険因子であることを説明するためデザインした。アフリカ中央部のガボンでクロスセクショナルサーベイを実施。母乳養育中の母親の40%が自分の子供以外にも授乳し、同程度の子供が補足的に他の女性から授乳されていることが判明。共同授乳で感染リスク保有者への曝露が増大するため、この事実について母乳養育に関する勧告の中でも検討する必要がある。
AIDS 18(13):1849-1851,2004 Sedyaningsih-Mamahit et al The use of blood donor data for HIV surveillance purposes.
<HIVサーベイランスを目的とした供血者データの利用>
(手紙)サーベイランス目的およびHIV罹患割合推定のため、供血者から得られたHIV罹患率データを50カ国を対象にレビューした。供血者のHIV罹患率に関するデータを成人HIV罹患率の公表推定値と比較し評価したところ、供血者は通常、一般集団の代用とはならないことが解析の結果示唆された。推定値が類似した19カ国の多くで、献血は主に軍の補充交替要員からのものであった。
AIDS 18(14):1867-1873,2004 Del Amo, Julia et al Monitoring HIV/AIDS in Europe's migrant communities and ethnic minorities.
<ヨーロッパの移住労働者コミュニティーおよび少数民族におけるHIV/AIDSのモニタリング>
(エディトリアルレビュー)ヨーロッパにおいてHIV伝播を減少させるためには移住労働者および少数民族でのHIV/AIDSの決定因子を把握することが非常に重要であり、これによって適格な予防的ヘルスケアサービスの開発と公衆衛生政策への情報提供が可能となる。サーベイランスシステムで移住労働者および少数民族のHIV/AIDSをモニターするために使用される変数を検証し、その利点と限界について考察。社会的弱者グループに対するHIV/AIDSサーベイランスを強化する方法を明らかにすべく推薦文書を作成。
AIDS 18(14):1943-1949,2004 Stolte, Ineke G et al Perceived viral load, but not actual HIV-1-RNA load, is associated with sexual risk behaviour among HIV-infected homosexual men.
<HIV感染同性愛男性では実際のHIV-1-RNA量ではなく知覚ウイルス量が性的リスク行動に関連>
HIV感染同性愛男性57名(平均年齢45歳)に質問し、HAART時代におけるHIV感染同性愛男性での性的リスク行動の時勢および非防御肛門性交の予測因子に焦点を当て研究した。リスクを伴うセックスは、不特定パートナーでは2000年の10.5%から2003年の27.8%に増大し、HIVステータスがネガティブあるいは不明の特定パートナーでは5.3%から10.7%に増大。自分のウイルス量をポジティブ(楽観的)に知覚している男性はHIVステータスがネガティブあるいは不明の特定パートナーとリスクを伴うセックスを行う傾向がより高く、こうした関連性は、実際のHIV-1-RNA量やCD4細胞数とは無関係。治療提供者は知覚ウイルス量についても患者と話し合う必要がある。

公衆衛生・疫学2004.8月
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
AIDS18(12):1707-1714,2004 Glass T R, et al Is unsafe sexual behaviour increasing among HIV-infected individuals?
HIV感染者において非防御性行為が増加?
HIV感染者において非防御性行為に変化が生じてきているのかを、スイスHIVコホート研究に登録している患者を対象に評価した。HIV感染者6545名から少なくとも1回、性行為に関するアンケートに回答が得られ(感染者1名当たりのアンケート回答中央値は5回)、このコホートにおいては非防御セックスの経時的増大のエビデンスはなかった。非防御セックスの報告は、女性、年齢15?30歳、HIVポジティブパートナー有、不特定パートナー有の感染者において、より多い傾向にあった。回答に経時的バイアスが生じるというエビデンスはなかった。
AIDS18(12):1715-1721,2004 Freeman E E, et al Factors affecting HIV concordancy in married couples in four African cities.
アフリカ4都市での夫婦におけるHIV一致に影響を及ぼす要因
アフリカ4都市における夫婦間のHIV伝播の危険因子を集団ベースクロスセクショナル研究データを用いて検証。少なくとも片方のパートナーがHIVポジティブである221組の夫婦において、単純ヘルペス2型(HSV-2)の状況が、正のHIV一致においてただ1つの有意な危険因子であることが判明。両配偶者ともHSV-2ネガティブの夫婦に比較した、HIV一致のオッズ比(年齢と居住都市を調整後)は、片方のパートナーがHSV-2ポジティブの夫婦で3.4、両配偶者ともHSV-2ポジティブの夫婦で8.6。本研究でHIV伝播促進においてHSV-2が1つの主な危険因子であることを確認した。
AIDS18(12):1661-1671,2004 Sweat M D, et al Cost-effectiveness of nevirapine to prevent mother-to-child HIV transmission in eight African countries.
アフリカ8カ国でのHIV母子感染予防におけるネビラピンの費用対効果
アフリカ8カ国のデータを用いてHIV母子感染予防におけるネビラピンの費用対効果を検証した。各国での年間平均プログラムコストはUS$480万。各国平均1898名の乳児がHIV感染を免れた。女性のHIV罹患率を1.25%低下、あるいはHIV感染女性での意図しない妊娠を16%低減することで、同等の乳児感染率低下が得られた。70%の効力を有する抗レトロウイルス薬のコストはUS$152と算出され、感染回避された障害調整生存年数(DALY)当たり47%の効力でネビラピンと同額であった。結果、ネビラピンによる予防の費用効果は保健システムのコスト、クライアント取込みの低さ、ネビラピンの有効性の低さに影響される。女性のHIV罹患率やHIV感染女性での意図しない妊娠を低減することで、同等の乳児感染率低下が得られることから、こうしたことを全体的な戦略に組み入れるべきである。

公衆衛生・疫学2004.7月
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
JAIDS 36(4):915-920,2004 Cranston R D, et al Self-Collected Versus Clinician-Collected Anal Cytology Specimens to Diagnose Anal Intraepithelial Neoplasia in HIV-Positive Men.
<HIVポジティブ男性での肛門上皮内腫瘍形成の診断における自己採取vs. 臨床家採取の肛門細胞診標本>
肛門上皮内腫瘍形成(AIN)コホート研究に参加し、臨床家採取の肛門細胞診と組織病理学的標本のある102名の男性同性愛者(MSM)を評価。参加者には細胞診自己採取キットを配付し、来院後1カ月後に標本を採取するよう要請。組織病理学的にAINを検知する異常肛門細胞診の感受性は、自己採取標本で68%、臨床家採取標本で70%。AIN 2およびAIN 3検知の感受性は前者71%、後者74%。生検で判明するAINを有するMSMが自己採取した肛門細胞診標本は、経験ある臨床家採取のものに匹敵する感受性を有したことから、自己採取による方法が可能と思われ、AINのスクリーニングを容易なものにできると考えられる。
JAIDS 36(4):951-959,2004 Girardi E, et al Delayed Presentation and Late Testing for HIV: Demographic and Behavioral Risk Factors in a Multicenter Study in Italy.
<HIV治療のための来院遅延と検査遅延:イタリアでの多施設研究における人口統計的/行動学的危険要因>
HIV治療のための来院遅延と検査遅延に関わる要因を検証するためHIV感染患者968名を調査した。来院遅延患者の定義は、初回HIVポジティブ検査結果と来院との間隔が6カ月以上ある患者(被験者中255名、26.3%)。検査遅延患者の定義は、初回HIVポジティブ検査結果を得た時点でCD4陽性T細胞数が200/mm3未満、あるいは臨床定義のAIDSを有する患者(被験者中280名、28.9%)。多項ロジスティック回帰分析によると、静注薬物使用は来院遅延の可能性を有意に増大させ、逆に検査遅延を低下させた。以前のHIVネガティブ検査結果は来院遅延と検査遅延の双方のリスク低減に関連。失業は来院遅延に、年齢の増大は検査遅延に大きく関連し、一方、初回HIVポジティブ検査結果時のHIVカウンセリングは来院遅延のオッズを著明に低減。HIV感染者の時宜を得た治療促進を目的とする介入では、来院遅延と検査遅延について差別化したプログラムを検討すべきである。
JAIDS 36(4):960-966,2004 Morin S F, et al Missed Opportunities: Prevention With HIV-Infected Patients in Clinical Care Settings.
<失われた機会:臨床的治療環境においてHIV感染患者に提供される感染予防対策>
HIV予防サービスに関してHIV感染者(618名)を対象に16箇所(米国)の主なHIV治療クリニックで出口調査を実施し、その状況把握のため、質的/詳細な面接調査を行った。その結果、ほとんどのクリニックにおいてHIV予防カウンセリングの提供はルーチンなサービスではないことが判明。これはHIV予防上の機会喪失を意味する。「安全なセックスと第三者への感染予防対策」に関して、一般的な話し合いをしたと報告したのは4分の1の患者。特定の性行為について話し合ったのはわずか6%。面接調査から明らかとなったカウンセリングサービス提供の障壁には、時間/トレーニング/人件費/提供者側の理解と責任感の欠如が挙げられた。
JAIDS 36(4):972-977,2004 Mahadevia P J, et al The Epidemiology, Treatment Patterns, and Costs of Cytomegalovirus Retinitis in the Post-HAART Era Among a National Managed-Care Population.
<米国管理ケア集団でのHAART導入後におけるサイトメガロウイルス網膜炎の疫学、治療パターン、費用>
米国管理ケア計画のデータ(1997年-2002年)を用いて後ろ向きコホート研究を実施し、HAART時代におけるサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎治療について、その疫学、治療パターン、費用を検証した。CMV網膜炎の発生件数は、1997年において10000 のHIVまたはAIDS症例に付き23件から、2001年同症例数に付き8件に減少。CMVエピソードの平均持続時間は192日、平均費用US$19,576。年齢/性別/保険種類/地域/HAART使用/AIDS定義疾患の共存を補正した多重線形回帰モデルによると、静脈内治療に比べ、眼球内および経口治療期間では治療期間に付きそれぞれ$7135および$6866の節約となった。
JAIDS 36(4):978-985,2004 Hessol N A, et al Cancer Risk Among Participants in the Women's Interagency HIV Study.
<諸機関の女性HIV研究(WIHS)における患者の癌リスク>
HIV感染/非感染ハイリスク女性における癌リスク同定のため、Women's Interagency HIV 研究 (WIHS)の発生件数データを集団ベースUnited States Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)登録データと比較した。対象者は、HIV感染者1554名、HIV非感染者391名、HIV血清変換者5名。研究追跡調査期間中48件の癌が診断された。SEERとの比較において、WIHS のHIV感染者ではすべての癌タイプ、カポジ肉腫、非ホジキンリンパ腫、肺癌に対して有意な発生率増大を観察。HIV非感染者でも肺癌発生率はSEERに比べ増大。HIV感染者における非ホジキンリンパ腫のHAART時代での発生率は、HAART導入前に比べ有意に低かったが、米国集団に比較したWIHS 参加HIV感染者における非ホジキンリンパ腫の発生件数は有意に高かった。
JAIDS 36(5):1006-1010,2004 Balakrishnan P, et al An Inexpensive, Simple, and Manual Method of CD4 T-Cell Quantitation in HIV-Infected Individuals for Use in Developing Countries.
<発展途上国での使用に供するHIV感染者における廉価で簡単な手動CD4T細胞の定量化>
安価な手動によるCD4陽性Tリンパ球数の定量化を検証するため、HIV感染者122名において、血球計を用いた細胞球検定(cytosphere assay)を、標準法であるが高価なフローサイトメトリに比較して評価した。比較した血球計の相関係数は0.97(信頼区間0.95?0.98)。CD4陽性Tリンパ球絶対数200/μL未満の計数における細胞球体検定の感受性、特異性、ポジティブ予測値、ネガティブ予測値は、それぞれ、94.9%、96.4%、92.5%、97.6%。細胞球体検定は簡単で廉価な方法であり、フローサトメトリとの比較で高い相関を示した。こうしたことから細胞球体検定は、特に資金の限られた発展途上国においてHIV進展および治療応答をモニターする際、高価なフローサトメトリに替わるCD4陽性Tリンパ球数の有用な評価法となると考えられる。
JAIDS 36(5):1028-1033,2004 G K A, et al Absolute CD4 Vs. CD4 Percentage for Predicting the Risk of Opportunistic Illness in HIV Infection.
<HIV感染での日和見感染症リスク予測のためのCD4絶対数 vs. CD4比率>
AIDS定義疾患の発症リスク予測に関し、CD4絶対数と CD4比率を15736組入手後(患者数2185名)、最大6カ月間評価した。結果、CD4絶対数はAIDS定義疾患の発症に強く関連していたが、CD4比率はこの限りではなかった。CD4比率は、AIDS定義疾患発症の短期リスクについてCD4絶対数を評価後に予測的情報を付加するものではないことが示唆された。CD4絶対数はより重要な免疫状態の基準であり、HIV感染成人での治療決定には、CD4比率ではなくCD4絶対数を用いることが望ましい。
JAIDS 36(5):1051-1056,2004 Saeng-Aroon S, et al Study of Antiretroviral Drug-Resistant HIV-1 Genotypes in Northern Thailand: Role of Mutagenically Separated Polymerase Chain Reaction as a Tool for Monitoring Zidovudine-Resistant HIV-1 in Resource-Limited Settings.
<北部タイにおける抗レトロウイルス薬耐性HIV-1遺伝子型の研究:資金不足の環境下でのジドブジン耐性HIV-1モニタリングを目的とする変異促進性により分類したPCR>
ジドブジン(AZT)/ジダノシン(ddI)あるいはAZT/ザルシタビン(ddC)の2剤併用療法を受療中のHIV感染者112名において、HIV-1逆転写酵素領域の配列を決定し、この配列決定法をM41LおよびK70R変異の検知において「変異促進性により分類したPCR(MS-PCR)」と比較。M41LおよびK70R変異の2方法を用いた検知での一致率は、それぞれ96.9%(93/96)、92.7%(89/96)。M41LおよびK70R MS-PCR では耐性変異を有するAZT耐性株の86.4%を検知。MS-PCR 検定を用いて未治療患者292名で、HIV-1薬剤耐性の有無をスクリーニングしたが、2名がM41LまたはK70Rいずれかの変異を有するウイルスを保有。多数のサンプル検査にMS-PCRを用いることは実行可能で(感受性が高く、廉価、実施が容易)、資金不足の環境下でのAZT耐性HIV-1伝播のモニターには有用なツールと考えられる。
JAIDS 36(5):1057-1066,2004 Weinhardt L S, et al HIV Transmission Risk Behavior Among Men and Women Living With HIV in 4 Cities in the United States.
<米国4都市におけるHIV感染男女でのHIV伝播のリスク行動>
3723名のHIV感染者に対し、HIV伝播リスクとなる性行動と薬物使用行動に関して面接調査を実施した。2名以上のセックスパートナーを有するのは女性および異性愛男性では4分の1未満で、一方、59%の男性同性愛者(MSM)が複数パートナーを持つと報告。非防御膣および肛門性活動は大抵の場合、HIVポジティブ者との間で行われた。HIVネガティブあるいは血清ステータス不明パートナーとの非防御膣および肛門性交を行ったと報告したのは、女性19%、MSM15.6%、異性愛男性13.1%。過去3カ月間に薬物を静注した304名の参加者中18%が自分が使用した注射器具を他人に貸与したと報告。
JAIDS 36(5):1067-1074,2004 Deren S, et al HIV Incidence Among High-Risk Puerto Rican Drug Users: A Comparison of East Harlem, New York, and Bayamon, Puerto Rico.
<ハイリスクのプエルトリコ人薬物使用者におけるHIV感染率>
ニューヨーク市在住プエルトリコ人(NY)およびプエルトリコ在住プエルトリコ人(PR)の間で、HIV関連リスク行動における大きな差異が明らかとなった。それぞれの場所におけるHIV感染率と血清変換者の特徴について、セロネガティブのプエルトリコ人静注薬物使用者およびクラック(コカイン)喫煙者(NY455名/PR268名)を対象に検証した(1998年-2002年)。血清変換者合計32名(NY9名/PR23名)で、血清変換率はNY 0.88/100人年、PR 3.37/100人年。PRにおいて血清変換に有意に関連する変数は、若年および薬物注射集会場所(パーティー)の利用。メタドン治療受療中は血清変換に対して防御的。NYではクラック使用が血清変換に有意に関連。
JAIDS 36(5):1075-1082,2004 Wade N A, et al Decline in Perinatal HIV Transmission in New York State (1997-2000).
<ニューヨーク州におけるHIV周産期伝播の減少(1997?2000年)>
1997年-2000年のニューヨーク州におけるHIV周産期伝播について報告。HIVポジティブ母親/乳児の分娩前、分娩時、新生児および小児医療記録について、出生前ケア、抗レトロウイルス治療(ART)、乳児感染状況をレビュー。HIV周産期伝播は1997年11.0%から2000年3.7%へと大きく減少。出生前抗レトロウイルス予防を全く行わない場合に比べ、単剤および併用療法による出生前ARTが双方ともHIV周産期伝播の減少に関連していた。
JAIDS 36(5):1083-1091,2004 Clarke C A, et al Population-Based Surveillance of HIV-Associated Cancers: Utility of Cancer Registry Data.
<HIV関連癌の集団ベースサーベイランス:癌登録データの有用性>
癌登録データがHIV関連癌の分類およびモニタリングに有用であるか、癌登録データから情報入手できる患者について、HIVステータスに関する情報の完全性と質を評価した。グレイター・サンフランシスコ・ベイエリア登録に1990年?1998年に報告された非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫(HL)、肛門癌について、患者のHIVステータスを示す6つの指標を、癌登録から入手した2つの情報源(癌記録と死亡記録)とカリフォルニアAIDS登録関連から検索して検証。結果、癌登録から検索した5つの指標による推定HIVポジティブ癌患者の検知率が、NHL患者で25%およびHL と肛門癌患者でほぼ50%も、AIDS登録関連での検知を上回るもので、少なくともこのベイエリアにおいては、癌登録データはHIV関連リンパ腫および肛門癌のモニタリングに関して有用な情報源となり、HAART時代にあって、AIDS登録関連に基づく方法よりもそのベネフィットは高いと考えられる。
JAIDS 36(5):1092-1099,2004 Tatt I D, et al Surveillance of HIV-1 Subtypes Among Heterosexuals in England and Wales, 1997-2000.
<イングランドとウェールズにおける異性愛者でのHIV-1サブタイプのサーベイランス:1997?2000年>
治療中HIV-1ポジティブ異性愛者976名において、HIV-1サブタイプの分子的多様性と人口統計学的特徴を調査した。結果、イングランドとウェールズの性感染病クリニックに通院するHIV感染異性愛者で高レベルの遺伝的多様性が認められた。最近では、サブタイプCが最も優勢で、特に若年世代で流行しており、このウイルス株の獲得から日が浅いことが示唆された。非B、CRF、URF感染は英国生まれの個人に高割合で観察され、移民と英国生まれとの間の混合割合と一致した割合であった。
JAIDS 36(5):1100-1102,2004 Oyugi J H, et al Multiple Validated Measures of Adherence Indicate High Levels of Adherence to Generic HIV Antiretroviral Therapy in a Resource-Limited Setting.
<資金不足の環境下、複数の実証されたアドヒアランス計測法で、ジェネリック薬を用いたHIV抗レトロウイルス療法に対する高いアドヒアランスが示された>
(短報)ジェネリック薬(スタブジン、ラミブジン、ネビラピンの合剤)を用いたHIV抗レトロウイルス療法を受療する34名の患者において、複数のアドヒアランス計測法とウイルス量抑制について、その対応性を評価(ウガンダ)。計測法は;3日間の患者自己申告/30日間ビジュアルアナログ測定計/服薬電子モニタリング/患者宅事前予告無し訪問によるピルカウント。全ての計測法において平均アドヒアランスは91?94%。治療12週時点でウイルス量400コピー/mL未満の患者は76%。全計測法が互いに緊密な相関を有し、さらに、それぞれの計測法が12週時点でのHIV量に有意に関連。患者自己申告と客観的計測法との間に有意な相違は観察しなかった。
AIDS 18(10):1363-1370,2004 Kinman L M, et al HIV in central nervous system and behavioral development: an HIV-2287 macaque model of AIDS.
<中枢神経系および行動発達におけるHIV:HIV-2 287 AIDSマカクモデル>
静脈および髄腔内注射のうちどの接種経路が、中枢神経系に確実に/高頻度でHIV感染を起こし、認知および運動発達に変化を及ぶすかをマカク乳仔において検証。いずれの経路によるHIV-2 287接種でも、脳脊髄液(CSF)中に検知可能なウイルスRNAおよび血中に増殖性感染を認めた。CSF中のウイルス検知はキノリン酸レベルの上昇に一致。全HIV感染マカクがウイルス感染後10週までに重篤で急速なCD4T細胞数減少を経験。HIV感染マカク、特に静脈経路での感染においては、認知および運動発達での遅延が認められ、神経病理学的変化に一致。
AIDS 18(10):1435-1442,2004 Pettifor A E, et al Early age of first sex: a risk factor for HIV infection among women in Zimbabwe.
<若年の初回性交:ジンバブエの女性におけるHIV感染の危険因子>
若年での初回性交(15歳以下)とHIV感染リスクとの関連性を、4393名の性行動に関する完全なデータ(面接調査/HIV検査)のある女性(18?35歳)のHIVステータスを解析して調査した。二項一般化線形回帰モデルでの解析の結果、若年初回性交を報告した女性でHIVリスクが増大し(相対危険1.30;95%信頼区間1.13?1.50)、早期初回性交は、その他同定した要因から独立したHIV感染の有意な予測因子であった。
AIDS 18(10):1453-1458,2004 Mercer C H, et al Increasing prevalence of male homosexual partnerships and practices in Britain 1990-2000: evidence from national probability surveys.
<1990?2000年の英国における男性同性愛パートナーシップおよび性行為の増大:英国見込調査からのエビデンス>
(短報)英国男性における同性愛経験の普及率と時期を評価し、男性同性愛者(MSM)の2000年における性行為とパートナーシップのパターンを調査し、1990年と2000年の間の行動と態度の変化を調査。2000年、2.8%の男性が過去5年間に男性とのセックス経験があると報告。MSM46.0%が過去5年間に5名以上のパートナーを有し、59.8%が前年に非防御肛門性交を行ったと報告。MSM33.0%が前年に1名以上の女性パートナーを持ったと報告。1990年と比較して、2000年人口に占めるMSMの比率およびこれらMSMで前年に受動的肛門性交を報告した男性の比率は有意に増大したが、HIVリスクの自己認識については有意な変化は認められなかった。
AIDS 18(11):1513-1520,2004 Gross K L, et al HIV-1 superinfection and viral diversity.
<HIV-1重複感染とウイルス変異>
微分方程式を含む数学的モデルを開発し、HIV-1の多様な変異に関してウイルス伝播と重複感染パターンを同定した。組換え型ウイルスを伴う高い感染率に必要なことは、高いウイルス感染性、性的に高度にアクティブなコアグループの存在、分岐的ウイルスの導入が、HIV-1流行性伝播初期に存在することである。HIV-1感染が十分に確立している地域において重複感染が限定的である場合は、単一のウイルスサブタイプの持続的優位性を説明するものと思われる。個人におけるウイルス組換え体比率と集団における組換え体のフラクションに強い相関は認めなかった。

公衆衛生・疫学2004.6月
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JAIDS 36(2):678-683,2004 Pyakurel P, et al Human Herpesvirus 8/Kaposi Sarcoma Herpesvirus Cell Association During Evolution of Kaposi Sarcoma.
<カポジ肉腫進展中のヒトヘルペスウイルス8とカポジ肉腫ヘルペスウイルス細胞との関連>
カポジ肉腫(KS)の生検29件(AIDS患者:AKS、n=22/HIV非感染者:固有KSあるいはEKS、n=7)を三重抗体法で免疫染色し、CD3陽性/CD68陽性/CD20陽性/CD45陽性のリンパ球および増殖(Ki67陽性)細胞を浸潤させることで、HHV-8感染および非感染(潜伏関連核抗原:LANA+/-)CD34陽性腫瘍紡錘細胞(SC)の特徴を明らかにすべく試験を実施した。結果、すべてのCD34陽性KS SCがLANA陽性というわけではなく、病変への非感染SCの新規補充を示唆。細胞増殖は一般に、後期に比べ早期AKSではるかに大きかった。LANA陽性SCは、高率のサイクリング(Ki67陽性)LANA陽性SCで示唆されたように、増殖のアドバンテージを有する可能性がある。LANA陽性だったのはわずかなマクロファージでリンパ球は皆無。
JAIDS 36(2):714-720,2004 Heard I, et al Contraceptive Use in HIV-Positive Women.
<HIVポジティブ女性での避妊薬(器具)使用>
フランスにおける過去10年間でのHIVポジティブ女性575名(妊娠可能年代)の避妊薬(器具)使用について検証。HIVセロネガティブパートナーを有する女性91%、セロポジティブパートナーを有する女性69%が避妊薬(器具)使用を報告。コンドーム使用は、HIVの血清学的状況がパートナーと一致しているカップルよりも不一致のカップルで高率。経口避妊薬および子宮内避妊器具使用は血清一致カップルでより高率。HIVセロネガティブパートナーを有する女性での経口避妊薬および子宮内避妊器具使用は、1998年にHAARTが導入された後減少し、コンドームを堅実に使用していないカップルではその使用率がより高率であった。
JAIDS 36(2):734-742,2004 Golden M R, et al Importance of Sex Partner HIV Status in HIV Risk Assessment Among Men Who have Sex With Men.
<男性同性愛者でのHIVリスクアセスメントにおけるセックスパートナーのHIVステータスの重要性>
性感染病(STD)を有する男性同性愛者(MSM)において、HIVポジティブ/ネガティブ/ステータス不明パートナーとの肛門性交における前12カ月のコンドーム使用頻度を質問した。自分がHIVポジティブであることを知らなかった1580名のMSM中433名(27%)および217名のHIVポジティブMSM中93名(43%)が、自分とは逆のHIVステータスあるいはステータス不明パートナーと非防御肛門性交(UAI)を行ったと報告。自分がHIVポジティブであることを知らなかった男性で、HIVポジティブあるいはステータス不明パートナーとUAIを行ったと報告したMSM251名中24名(9.6%)が、HIVポジティブ判定を得た。HIVポジティブあるいはステータス不明パートナーとのUAIは、未診断HIV感染同定に際し69%の感度と73%の特異度を発揮。パートナーのステータスを考慮しない場合の感度は80%であったが、特異度はわずか45%。パートナーのHIVステータスを含むリスクアセスメントに関してポジティブの予測値は最高の値を示した。
JAIDS 36(2):750-754,2004 Wood E Inability to Access Addiction Treatment and Risk of HIV Infection Among Injection Drug Users.
<静注薬物使用者における薬物中毒治療利用不能とHIV感染リスク>
薬物中毒治療を利用できない静注薬物使用者(IDU)がHIV感染ハイリスクを有するかを評価(Vancouver Injection Drug Users Study; 1157名を登録)。結果、HIV感染ハイリスクを有するHIVネガティブIDUにおいて、薬物中毒治療を利用できないことが注射器借用に独立して関連していた。中毒治療の供給不足によって結果的にはHIV伝播行為減少の機会を喪失することが示唆され、反対に中毒治療サービスを拡大することで(将来の)HIV感染における人的/財政的コストを実質的に削減する可能性がある。
JAIDS 36(3):777-782 Blaak H, et al HIV-2-Infected Individuals With Undetectable Plasma Viremia Carry Replication-Competent Virus in Peripheral Blood Lymphocytes.
<検出限界以下の血漿中ウイルス血症を有するHIV-2感染者が、末梢血リンパ球中に複製-コンピテントウイルスを保有>
検出限界以下の血漿中ウイルス血症を有し長期間にわたりCD4陽性T細胞数高値を維持しているHIV-2感染者6名から、最適化HIV共存培養プロトコールを用いて、感染性HIV-2変異体を分離することに成功。感染性ウイルスを有する末梢血単核細胞の出現頻度は低くかった。これらの感染者に比較すると、ウイルス血症を有するHIV-2感染者では、2-log高い感染負荷中央値を有した。HIV-2感染性負荷はCD4数に相関した。
JAIDS 36(3):783-790 Pires A, et al Initiation of Antiretroviral Therapy During Recent HIV-1 Infection Results in Lower Residual Viral Reservoirs.
<HIV-1感染後早急に抗レトロウイルス療法を開始することで残存ウイルスレザバーは減少>
抗レトロウイルス療法(ART)を受療したHIV-1感染者2群(感染早期群16名/慢性感染群10名。両群とも非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)ベースART)および長期非進展患者群(LTNP 13名:感染期間>8年、治療未経験、ウイルス血症抑制)において、プロウイルスHIV-1 DNAを測定し比較。結果、HIV-1感染早期にNNRTIベースARTを行うことでHIV-1 DNAをLTNP群に匹敵するレベルに低下させるが、慢性期で治療を開始した場合には明らかではなく、このことからART治療開始のタイミングとHIV-1レザバーの崩壊との関連性が示唆された。
JAIDS 36(3):808-816 Stone V E, et al Perspectives on Adherence and Simplicity for HIV-Infected Patients on Antiretroviral Therapy: Self-Report of the Relative Importance of Multiple Attributes of Highly Active Antiretroviral Therapy (HAART) Regimens in Predicting Adherence.
<抗レトロウイルス療法受療中のHIV感染者に対するアドヒアランスおよび平易さに関する視点>
薬剤数、薬剤の大きさ、服薬回数と時間、食事/水分摂取制限の有無、副作用など、10種類のHAART付帯要素へのアドヒアランスに関し、患者の認識を7種類の現行レジメンを比較して評価。抗レトロウイルスレジメンへのアドヒアランスに最も影響を及ぼすものは薬剤数、服薬回数、副作用であった。1日1回(QD)は好ましい服薬回数ではあったが、QDレジメンのスコアが他のレジメンに優るものではなかった。レジメンのうちアドヒアランス予測値が最も高かったのは、毎日2剤、食事制限無し、処方箋1枚/定額自己負担の1日2回(BID)レジメンで、予測値最低となったのは毎日13剤、食事制限あり、処方箋3枚/定額自己負担のBIDレジメン。
JAIDS 36(3):817-822 Robertson K R, et al No Gender Differences in the Progression of Nervous System Disease in HIV Infection.
<HIV感染での神経系疾患進展に性差はなし>
HIV関連の中枢および末梢神経系疾患の性差について、HIVネガティブ女性42名、ポジティブ女性52名、ポジティブ男性52名を対象に経時的に研究した(米国)。結果、HIVポジティブ男女では、ネガティブ女性に比べ神経機能低下が認められたが、HIVポジティブ男女間において神経機能低下率に相違があるというエビデンスは測定したパラメータからは観察されなかった。
JAIDS 36(3):835-844 Achkar J M, et al Infection With HIV Type 1 Group M Non-B Subtypes in Individuals Living in New York City.
<ニューヨーク市在住者におけるHIV-1グループM非Bサブタイプ感染>
ニューヨーク市在住者におけるHIV-1グループM非Bサブタイプ感染を検証するため、HIV-1非Bサブタイプ感染の危険因子を有することを基準にHIV-1セロポジティブ者97名を3カ所のクリニックから選択し調査した結果、幅広い範囲の様々なHIV-1グループMサブタイプの感染(主に移民集団)が明かとなった。同定されたサブタイプは97の血漿サンプル中53(55%)で、2個のサンプルのサブタイプは分類不能。
JAIDS 36(3):845-852 Basu I, et al HIV Prevention Among Sex Workers in India.
<インドのセックスワーカーにおけるHIV予防>
セックスワーカーにおける維持可能な共同体レベルのHIV予防介入プログラムの有効性を検証するため、性感染病(STD)/HIV介入プログラムであるSonagachi プロジェクトをモデルに試験を実施。200名のセックスワーカーを無作為に選択登録し15カ月間評価。全体的なコンドーム使用は非介入コミュニティー(11%)に比べ介入コミュニティー(39%)で有意に増大し、堅実なコンドーム使用者割合は非介入コミュニティーで16%減少したのに比べ介入コミュニティーでは25%増加。研究結果は、コンドーム使用が増大し、セックスワーカーにおいてHIV感染率を低く維持したことによりSonagachiモデルの介入の有効性を支持するものであった。
AIDS 18(9):1263-1270,2004 Dialyna I A, et al Anti-HHV-8/KSHV antibodies in infected individuals inhibit infection in vitro.
<In vitroにおいて感染者の抗HHV-8/KSHV抗体が感染を阻止>
ヒトヘルペス(HHV)ウイルス-8/カポージ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)の中和抗体(nAb)を検知する目的で実験を行った。HHV-8セロポジティブあるいはセロネガティブ被験者からの血清で前培養したトランスフォームド皮膚微小血管内皮細胞(tDMVEC)をHHV-8に感染させ、HHV-8感染阻止能力を有する抗体を測定。感染度合を48時間後に定量化。ヒト血清なしで最大61%の細胞がHHV-8に感染。HHV-8セロネガティブ血清でウイルスを前培養した場合このレベルに変動はなかった。1:10および1:50の希釈では、セロネガティブのコントロール群に比べ、HHV-8セロポジティブ血清は感染を有意に阻止。阻止のエンドポイントは1:100、5被験者の内1名の血清がウイルス感染を阻止。1:500の希釈では、セロポジティブあるいはセロネガティブ血清でのウイルス培養後、感染度合に有意差はなし。プロテインAを有する血清からの抗体除去によって阻止効果は逆転し、阻止が抗体仲介によることを確認した。
AIDS 18(9):1271-1280,2004 Amici C, et al Inhibition of herpesvirus-induced HIV-1 replication by cyclopentenone prostaglandins: role of I[kappa]B kinase (IKK).
<シクロペンテノンプロスタグランジンによるヘルペスウイルス誘導HIV-1複製阻止:IκBキナーゼ(IKK)の役割>
単純疱疹ウイルス(HSV)1型感染が、IKK仲介NF-κB(HIV-1複製の重要な調節因子)活性を誘導し、ヒトT細胞においてHIV-1発現を向上させるかを検証し、IKK阻害プロスタグランジンA1(PGA1)およびその他プロスタノイドがNF-κB仲介HSV-HIV相互作用に及ぼす影響を解析する目的で研究を行った。結果、慢性感染細胞において、IKKがHSV-1誘導HIV-1転写を誘発し鍵となる要素であることが示唆され、シクロペンテノンプロスタノイドがHSV-1誘導HIV-1再活性化の強力な阻害因子であることを同定した。
AIDS 18(9):1311-1320,2004 Xiridou M, et al Primary HIV infection as source of HIV transmission within steady and casual partnerships among homosexual men.
<男性同性愛者間での特定および不特定パートナーにおけるHIV伝播源としての一次HIV感染>
男性同性愛者間(アムステルダム)でのHIV伝播において一次あるいは急性HIV感染の寄与を評価し、一次HIV感染期間中の治療開始がHIV感染件数にどのような影響を及ぼすかを調査。一次感染は、特定パートナーよりも不特定パートナーからの伝播において、より重要な役割を有した。このため、特定パートナーが新たな感染の多数を占め、疾患の病期が進展期にあるような地域では、HIV伝播における一次HIV感染の寄与度合はやや低く、早期治療がHIV感染件数に及ぼす効果は限定的なものである。
AIDS 18(9):1321-1325,2004 Vincent E, et al Impact of HAART-related side effects on unsafe sexual behaviours in HIV-infected injecting drug users: 7-year follow up.
<HIV感染静注薬物使用者において、HAART関連副作用が危険な性行為に及ぼす影響:7年間の追跡調査>
HIV感染静注薬物使用者において、非脂肪異栄養症HAART関連副作用が非防御性行為に及ぼす影響を調査した。追跡期間中、192名中134名(70%)が不特定パートナーと最低1回危険な性行為を行ったと報告。3つ以上のHAART関連副作用を報告したのは464来院中273件。解析の結果、副作用の知覚が危険な性行為を行う判断に一役を担うことが判明。HIV予防介入ではHAART関連副作用が危険な性行為に及ぼすネガティブな影響を考慮する必要がある。薬物維持プログラムは性行為リスク低減に貢献。

 

公衆衛生・疫学2004.5月
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JAIDS 36(1): 553-561,2004 Lee C I, et al Simian Immunodeficiency Virus Infection of Hematopoietic Stem Cells and Bone Marrow Stromal Cells.
<造血幹細胞および骨髄ストローマ細胞へのシミアン免疫不全ウイルス感染>
シミアン免疫不全ウイルス(SIV)に感染した動物のin vivoにおける骨髄異常の特徴を見るため、アカゲザル胎生モデルを用い(ヒトAIDS〔HIV-1感染〕のそれと疾患が酷似している)、造血幹細胞(HSC)および骨髄ストローマ細胞のSIV感染を検証。データから次のことが示唆された。HSCのSIV 感染ではウイルス侵入に対して一定の分化が必要で、これはHIV-1感染ヒトでの知見と同様。SIV は、in vitroでCD4とCCR5を発現する骨髄ストローマ細胞に感染するが、感染骨髄ストローマ細胞はin vivoでは容易には観察されない。
JAIDS 36(1): 613-621,2004 Auvert B, et al Can Highly Active Antiretroviral Therapy Reduce the Spread of HIV? : A Study in a Township of South Africa.
<HAARTでHIV 伝播は減少するか?(南ア非白人指定地区での研究)>
HIV-1罹患率の高い南アフリカの非白人指定地区において、抗レトロウイルス薬併用療法の該当者数を見積もり、HIV-1伝播に関するHAART施行(WHOガイドラインに準拠)の影響を評価するためクロスセクショナル研究を実施。結果を米国DHHSガイドラインを用いた場合と比較。無作為抽出サンプルによる研究対象者数は年齢15?49歳の男女約1000名。WHOガイドラインに準拠したHAART施行の場合、HIV-1性感染減少にHAARTが及ぼす影響は比較的小さく(年間伝播リスク11.9%低減)、伝播低減は従来の予防法の強化に依存する結果となった。DHHSガイドラインに準拠した場合、WHOのそれをはるかに凌ぐHAART効果が期待される(年間伝播リスク71.8%)。
JAIDS 36(1): 622-629,2004 Rangsin R, et al The Natural Histroy of HIV-1 Infection in Young Thai Men After Seroconversion.
<タイ若年男性における血清変換後HIV-1感染自然歴>
AIDS発症および死亡を235名の男性(タイ陸軍従軍中の2年間に血清変換)で評価。5年生存率は82.3%、臨床的AIDS発症およびCD4陽性T細胞数200/μL未満までの時間中央値はそれぞれ、7.4年および6.9年。死亡率はHIVポジティブ男性で56.3件/1000患者年、HIVネガティブ男性6.1件/1000患者年。タイの若年男性では、先進国での類似した年齢コホート報告に比べ、HIV-1感染後のAIDSおよび死亡への進展がより急速であることが示唆された。
JAIDS 36(1): 630-636,2004 Espinosa A, et al Intersubtype BF Recombinants of HIV-1 in a Population of Injecting Durg Users in Argentina.
<アルゼンチン静注薬物使用者集団でのHIV-1インターサブタイプBF組換え体>
アルゼンチンの静注薬物使用者(IDU)21名において、HIV-1 gag、pol、vpu遺伝子領域の配列を解析。サブタイプB、F、C、A、B/F組換え体分離株の3領域の配列をCRF(circulating recombinant form:新たに流布している組換え体)12_BFおよび非CRF12_BFの配列と比較し、組換え部位遺伝子の特徴付けと同定を行った。全サンプルで試験した3つの遺伝子中少なくとも1つがBF組換え体であることが判明。12のサンプル(57%)がアルゼンチンCRF12_BFと同一パターンを有し、一方その他サンプルでは、3つの遺伝子中少なくとも1つで異なるパターンが示された。結果、これらフラグメントのCRF12_BFとの関連が系統発生的に立証され、BF組換え体の優勢が示された。
JAIDS 36(1): 637-638,2004 Olsen A, et al Low-Dose Iron Supplementation Dose Not Increase HIV-1 Load.
<低用量鉄補充でHIV-1ウイルス量が増大することはない>
鉄補充でHIV複製およびHIV感染率が増大すると示唆する観察データがある。過去の鉄に関する臨床試験に基づいて、鉄60mgを週2回、4カ月間投与してHIV-1ウイルス量に及ぼす影響を評価した。今回の検証ではウイルス量への鉄の影響は観察しなかったが、高用量鉄補充に関しては懸念が払拭されたわけではない。
JAIDS 36(1): 641-642,2004 Simona D G, et al The Influence of Hepatitis C Virus Coinfection on the Risk of Lipid Abnormalities in a Cohort of HIV-1-Infected Patients After Initiation of Highly Active Antiretroviral Therapy.
<HAART開始後HIV-1感染患者集団でのC型肝炎ウイルス重複感染が脂質異常リスクに及ぼす影響>
(手紙)抗レトロウイルス療法開始後、血漿脂質値が臨床的に有意なレベルに達するリスクについて、その他高脂血症関連ファクターとの関わりの中でC型肝炎ウイルス(HCV)感染の影響を観察コホートのデータベース(感染症三次医療施設:ローマ)を解析し評価。HCV重複感染者では、全コレステロール値の臨床的に有意な上昇リスクの減少と単独の関連が示された。高齢、男性、プロテアーゼ阻害薬ベースHAART(非核酸系逆転写酵素阻害薬ベースHAARTに比較し)が、その他有意な動脈硬化惹起性脂質プロフィールの予測因子であった。
AIDS 18(8): 1127-1135, 2004 Otten R A, et al Chronic HIV-2 infection protects against total CD4+ cell depletion and rapid disease progression induced by SHIV89.6p challenge.
<CD4陽性細胞総数減少およびSHIV89.6pチャレンジによる急速な疾患進展に対する防御としてのHIV-2慢性感染
HIV-1性感染リスクについてより理解を深めるため、メスのHIV-2曝露/未感染ブタオザルを用い、HIV-2相同分離株およびその後の異種SHIV89.6pによる膣内(IVAG)再チャレンジに対する感受性を研究。初回感染予防を目的とした曝露後予防レジメンは、持続的予防効果を持たないことが判明。HIV-2慢性感染ブタオザルでSHIV89.6p伝播に対して交叉防護がないことを観察し、ヒトHIV-2感染がHIV-1感染に対する防護とはならないことが示唆された。
AIDS 18(8): 1147-1158, 2004 Lambotte O, et al The lymphocyte HIV reservoir in patients on long-term HAART is memory of virus evolution.
<長期HAART 受療患者においてリンパ球HIVレザバーはウイルス進化のメモリー(記憶装置)>
長期間HAARTが有効な患者9名において(長期感染者で血漿中RNAが長期間検出限界以下、5名はHAART 以前に抗レトロウイルス療法を受療)、リンパ球HIVレザバーの動力学を調査。HAART前血漿中およびHAART施行時リンパ球レザバー中逆転写酵素をコード化し、env遺伝子(C2V4)とpol遺伝子(部分)の遺伝子多型領域を比較した。結果、HIVリンパ球レザバーは動的で、その多様性は主にHIV感染経過において循環血漿中ウイルスが成功裡にレザバーに保管されたことによるものであった。治療上の決定を行う際、耐性ウイルスがレザバー中に保管されていることを考慮に入れる必要がある。
AIDS 18(8): 1179-1186, 2004 Richardson J L, et al Effect of brief safer-sex counseling by medical providers to HIV-1 seropositive patients: a multi-clinic assessment.
<HIV-1セロポジティブ患者への安全なセックスについての医療従者による簡単なカウンセリングの効果:多施設評価>
HIV-1ポジティブ患者に対し、医療従者が安全なセックスについての簡単なカウンセリングを行うことの効果を検証。185名の患者(カリフォルニアのHIVクリニック6カ所に通院)を対象に、「自己申告の非防護肛門/膣性交(UAV)」を評価基準として試験した結果、危険なセックスによる望ましくない結果を強調した医療従者の簡単なカウンセリングで、リスク行動プロフィールを有するHIVポジティブ患者でのHIV伝播行動を低減可能であることが判明。ベースラインで2名以上のセックスパートナーを有する患者で、UAVが38%減少。
AIDS 18(8): 1195-1199, 2004 Wong M L, et al Long-term effects of condom promotion programmes for vaginal and oral sex on sexually transmitted infections among sex wokers in Singapore.
<シンガポールのセックスワーカーでの膣およびオーラルセックスに対するコンドーム使用促進計画が、性感染に及ぼす長期効果>
膣およびオーラルセックスに対するコンドーム使用促進計画の長期的影響を評価(シンガポールの売春宿での女性セックスワーカー)。膣性交コンドーム常用率は1995年以前(介入前)45.0%未満から2002年 95.1%に有意に増大し、これに呼応して子宮頸部淋病の発生率も低下(31件以上から2件/1000人月へ)。オーラルセックスでのコンドーム常用率は1996年以前(介入前)50.0%未満から2002年97.2%に有意に増大し、これに呼応して咽頭部淋病の発生率も低下(13件以上から4.7件/1000人月へ)。
AIDS 18(8): 1208-1210, 2004 Fischetti L, et al Higher viral load may explain the dominance of CRF02_AG in the moleculer epidemiology of HIV in Ghana.
<ガーナでのHIV分子疫学においてウイルス量が高いことがCRF02_AGの優勢を説明>
(手紙)ガーナ人血漿サンプル(無症候性供血者84名/AIDS患者150名)の系統発生的分析で、HIV-1 CRF02_AGへの63%の罹患率が判明。リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を用いて両者のHIV-1ウイルス量を定量した。CRF02_AG感染無症候性供血者では、他のHIV-1分子型への感染者に比べウイルス量が有意に高かった。CRF02_AGでのより高いウイルス量は感染性および罹患率の高さと一致している。
AIDS 18(7): 1009-1012, 2004 Sun B, et al Loss of macrophage-secreted lysozyme in HIV-1-associated dementia detected by SELDI-TOF mass spectrometry.
<SELDI-TOFマススペクトロメトリで検知したHIV-1関連痴呆におけるマクロファージ分泌のリゾチーム欠失>
(短報)HIV-1関連痴呆(HAD)を有するHIV-1セロポジティブ患者の単核細胞/マクロファージ(M/MΦ)から特異的に分泌されるタンパク質を同定するため、HAD、HIV-1感染者、対照群から分泌されたM/MΦタンパク質プロフィールを表面増強レーザーデソープション/イオン化(SEL-DI)-Time-Of-Flight(TOF)ProteinChip法で比較。試験の結果、HAD患者においてマクロファージ防御タンパク質であるリゾチームの持続的減少が示唆された。このことはまた、マクロファージの機能不全がHADによる重大な結果であることを示すものでもある。
AIDS 18(7): 1037-1041, 2004 Bonnet D, et al Arterial stiffness and endothelial dysfunction in HIV-infected children.
<HIV感染児における動脈のスチフネスと内皮機能不全>
(短報)HIV感染児の血管機能を研究するため、HIV感染児49名(抗レトロウイルス療法受療34名と未治療15名)と年齢性別がマッチする対照群24名でクロスセクショナル研究を実施。血管壁の硬さ(スティフネス)を増分弾性係数で評価したがHIV感染児で大きかった。内皮依存性拡張はHIV感染児で低かったが、非内皮依存性拡張は対照群と類似。HIV感染児は心血管リスク要因不在で血管機能不全を有した。
AIDS 18(7): 1043-1049, 2004 Sedgh G, et al Breastfeeding and maternal HIV-1 disease progression and mortality.
<母乳栄養と母親のHIV疾患進展と死亡率>
タンザニアのHIV感染女性において母乳栄養と疾患進展との関連を検証した。母乳栄養しなかった女性の死亡相対リスクは0.47で、多変量解析では、母乳栄養状態および全面的/部分的母乳栄養継続期間のいずれもがHIV-1疾患進展(死亡、CD4細胞数減少、貧血、過剰な体重減少)に無関係であった。本研究では、母乳栄養がHIV感染女性の健康に不利益を与えるとした仮説を支持する十分なエビデンスは得られなかった。
AIDS 18(7): 1051-1059, 2004 Mwapasa V, et al The effect of Plasmodium falciparum malaria on peripheral and placental HIV-1 RNA concentrations in pregnant Malawian women.
<マラウイの妊娠女性における熱帯熱マラリア原虫の末梢および胎盤HIV-1 RNA濃度への影響>
熱帯熱マラリア原虫への胎盤感染が末梢および/あるいは胎盤HIV-1 ウイルス量に及ぼす影響を、マラウイの胎盤マラリア感染/非感染のHIV感染妊娠女性で研究した。CD4細胞数やその他共変量を調整後の多変量解析で、胎盤マラリアは、幾何平均末梢HIV-1 RNA濃度の1.7倍の増大および胎盤HIV-1 RNA濃度2.0倍の増大に関連。胎盤マラリア感染は胎盤および末梢HIV-1 ウイルス量増大に関連しており、HIV母子感染リスクを増大させる可能性がある。
AIDS 18(7): 1061-1065, 2004 Notkola V, et al Impact on mortality of the AIDS epidemic in northern Namibia assessed using parish registers.
<ナミビア北部におけるAIDS流行が死亡率に及ぼす影響:教区記録による評価>
(短報)HIV感染の疫学的知識およびAIDS流行の影響を緩和するプログラム開発に向けた情報を得るため、ナミビア北部8カ所の福音主義ルター派教会の死亡記録(1956?2000年に結婚した4680組みの夫婦とその子供達の1980?2001年1月の出来事を収載)を分析(ポワソン回帰を使用)。1991?2000年の期間での新生児期後の死亡率は6倍以上、1?4歳児死亡率は3倍以上に増大。2000年までには、1993年に比べ、成人女性死亡率は3.5倍、男性2.5倍となった。成人死亡率の増大は男性30?54歳、女性25?49歳に集中。年齢による死亡率増大パターンは、完全にAIDS原因の仮説のそれと一致した。

 

公衆衛生・疫学2003.9月
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AIDS 17(14):2053-2061,2003 Chenadec J L (France) et al Perinatal antiretroviral treatment and hematopoiesis in HIV-uninfected infants
[周産期抗ウイルス治療とHIV非感染出生児の造血]
AZT母児感染予防投与は出生児貧血を起こすが、さらに持続的造血障害が示唆されている。予防投与(ATZ単剤/併用)+/-のHIV感染母親からの非感染出生児4000人以上を18ヶ月追跡。AZT暴露を受けた新生児ではHgb値が一過性に低下。年齢等を考慮した多変量解析で、それ以外の血小板、好中球、リンパ球(総・CD4+/CD8+)もわずかに低かった。暴露期間と各血球系との間に負の相関を認めた。併用療法では単剤よりも15ヶ月例にわたり血球減少が大きかった。
AIDS 17(14):2089-2098,2003 Bertolli J (CDC, USA) et al Decision analysis to guide choice of interventions to reduce mother-to-child transmission of HIV
[HIV母子感染(MTCT)抑制のための介入の選択のガイドのための決断分析]
MTCT予防として周産期短期AZT投与、出産時及び新生児短期NVP投与、授乳禁止及び早期授乳中止の4手段による子供の死亡の差、授乳児と比較した授乳介入児の死亡リスク比(R)等を検討、R≦1.5では予防投薬+授乳介入が出産時早期死亡抑制に最も効果的。R>1.5及びR>1.9では早期授乳中止と授乳禁止は介入なしより死亡が多かった。授乳禁止と比較した出生後予防投与の比較効果はRの値により差があった。1つの介入がどのRにおいても授乳を介したHIV感染を25%低下させるとすれば、早期授乳中止単独よりも効果的だろう。今回の評価モデルは簡便で地域ごとに適用可能である。
JAIDS 34(1):37-44,2003 Pasquale M P D (Vanderbilt Univ Med C, USA) et al Differences in HIV-1 pol Sequences From Female Genital Tract and Blood During Antiretroviral Therapy
[抗ウイルス治療中の女性の生殖器及び血液のHIV-1polシーケンスの違い]
治療中の女性性器でHIVは増殖しているか、子宮頸内膜は優勢なウイルスソースかどうかを検討。治療失敗患者の膣頸部分泌液及び血漿両者で、薬剤と一致する耐性変異を検出。しかし変異はしばしば両試料で異なり、系統発生学的分析で系統の違いが示され、性器での増殖が示された。膣頸部洗浄液と子宮頸内膜分泌液のウイルスは明確に異なり、子宮頸内膜は膣頸部洗浄液中ウイルスの唯一のソースでないことが示唆された。
J Infect Dis 188(6):850-855,2003 Biggar R?J?(S Africa) et al The Risk of Human Immunodeficiency Virus-1 Infection in Twin Pairs Born to Infected Mothers in Africa
[アフリカの感染した母親から生まれた双子におけるHIV-1感染のリスク]
母子感染のリスクファクターとしての誕生順及び出産経路を、マラウイで1994-1998年に誕生した双子315組で検討。抗ウイルス薬投与なし。子宮内感染は誕生順で差なし。経膣出生児の周産感染も誕生順で差がなく、帝王切開では感染リスクが有意に低かった。

 

公衆衛生・疫学2003.8月
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JAMA 290(6):806-814,2003 Selwyn PA (Albert Einstein Coll Med, USA) et al Overcoming the False Dichotomy of Curative vs Palliative Care for Late-Stage HIV/AIDS: "Let Me Live the Way I Want to Live, Until I Can't"
<末期HIV/AIDSに対する治療vs緩和療法の誤った二分法の克服>
抗HIV治療が発展し、末期患者の生存も改善。それに伴い広範囲な精神社会的なニーズや家族、ケアプランニングのサポートなどとともに種々の症状(HIVに伴う症状、副作用等)の管理の必要性も高まってきている。治療と緩和ケアを分離するのではなく、両者を併せた広範なケアモデルが必要。モデルケースを紹介し、症状や副作用に対する対処法などを紹介。
JAIDS 33(5):642-648,2003 Farley TA (Univ Sch Pub Hlth, USA) et al The Value of Screening for Sexually Transmitted Diseases in an HIV Clinic
<HIVクリニックにおけるSTDスクリーニングの価値>
ニューオリンズのHIVクリニックで淋病及びクラミジアの尿スクリーニング結果を分析したところ、有病率は各1.7、2.1%。18-29歳での有病率は、社会人口学的に同等なコミュニティと比し淋病は同等、クラミジアは低値。既存の数学的モデルに基づくと、当クリニックでの淋病、クラミジア患者を全例治療することにより、パートナーのHIV感染を9例回避し、スクリーニング費用以上の治療費用を抑えることが出来ると概算できた。HIVクリニックでのルーチンの淋病・クラミジアスクリーニングを考慮すべきである。
JAIDS 33(5):649-650,2003 Zhuang K (China) et al High Prevalence of HIV Infection Among Women and Their Children in Henan Province, China [Letter]
<河南省における女性及びその子供における高いHIV有病率>
中国における初期流行は薬物静注が中心で、'80年代後半に雲南省で始まり、現在は遠くに拡大。不法売血は非都市部での流行の主原因である。不法売血の行われている河南省で女性208人と子供159人の調査を実施。有病率は各50.9%、23.3%、リスク因子・感染成立時期は、女性は売血と輸血・1992-96年、子供は母児感染と輸血・1992-2002年。医師と政府両者が責任を持って治療と予防を行わなければならない。
AIDS 17(12):1811-1816,2003 Laurent C (France) et al Prevalence of HIV and other sexually transmitted infections, and risk behaviours in unregistered sex workers in Dakar, Senegal
<セネガルDakarにおける非登録セックスワーカーのHIV及び他STD有病率及びリスク行動>
2000年にDakarでサーベイを実施。年齢中央値29歳の女性390例をリクルート。売春歴は中央値24ヶ月、73.5%がレギュラーに売春実施。3/4が何らかのSTDマーカーを有し、HIV-1:6.0%、HIV-2:3.6%、HIV-1/2:0.4%、梅毒:23.8%、淋病:22.0%、クラミジア:20.0%、トリコモナス:22.4%、カンジダ:19.0%、細菌膣炎:28.8%。非登録の主な理由は合法システムとその手段を知らないこと(19.4%)、18.9%は登録拒否。1/3の女性は顧客がコンドームをほとんど又は全く使用しないと回答。
AIDS 17(12):1817-1825,2003 Crampin AC (UK) et al Trends and measurement of HIV prevalence in northern Malawi
<北部マラウイにおけるHIV有病率の傾向と測定>
細菌感染についてのケースコントロールスタディのデータによると、年齢と地域を標準化した女/男の'88-'90, '91-'93, '98-'01年の有病率は3.9/3.7%, 12.5/9.2%, 13.9/11.4%。'88-'93年はHIV有病率は非農業従事と関連し、教育とKaronga郡以外での出生で上昇した。'98-'01年では非農業従事は相変わらず相関したが、他の因子はなし。ANC(産科クリニック)サーベイでの'99-'01年の年齢・地域調整有病率は9.2%と低く、主に結婚と移動が原因と考えられる。
AIDS 17(12):1827-1834,2003 Nakiyingi JS (Uganda) et al Child survival in relation to mother's HIV infection and survival: evidence from a Ugandan cohort study
<母親のHIV感染及び生存と子供の生存との関連:ウガンダコホートスタディのエビデンス>
15村の約1万人について1998-2000年に追跡調査。3,727人が出生し415人死亡。3004人の子供の出生時の母親のHIV感染状況を確認したところ、218人は母親がHIV陽性。死亡リスクは母親が陽性の方が高かった。また母親が生存しているより母親が死亡した子供の方がリスクが高かった。子供の年齢と性別で調整後の子供死亡予測因子は、母親が末期疾患/死亡、母親のHIV陽性、双子、母親が10代及びmaternal absenceだった。
AIDS 17(12):1835-1840,2003 Abebe Y (Ethiopia) et al HIV prevalence in 72 000 urban and rural male army recruits, Ethiopia
<エチオピアにおける都市部及び非都市部の兵役72,000人におけるHIV有病率>
HIV有病率は、都市部リクルートで7.2%(地域により4.3-10.5%)、非都市部で3.8%であり、農夫、学生は各2.7、2.6%。有病率は予測より低値。都市部では高学歴が有病率と相関、非都市部ではオーソドックスなキリスト教徒よりイスラム教徒で有病率低値。Amhara地域の都市・非都市部ではリスクが高かった。

 

公衆衛生・疫学2003.7月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 33(3):356-364,2003 Strasfeld L (Montefiore Med C, USA) et al The Association of Hepatitis C Prevalence, Activity, and Genotype With HIV Infection in a Cohort of New York City Drug Users
[NYの薬物常用者のコホートにおけるHIVとHCV有病率、活性及びジェノタイプとの関連]
557人の現在/過去薬物常用者での調査。HCV陽性75%、うちHVC RNA検出75%。多変量解析でHCV抗体陽性は薬物静注歴、HIV陽性及び高齢と相関、薬物吸引とは逆相関。HCV陽性者においてHVC RNA検出限界以上はHIV陽性、男性及び静注歴と相関、HBV-s抗原陽性と逆相関。HVC RNA検出限界以上の患者ではウイルスレベルはHIVウイルス量、高齢及びジェノタイプ2a、2bと相関。HCV RNAレベルとHIVウイルス量とは免疫抑制レベルと独立的に相関することが示された。
JAIDS 33(3):373-379,2003 Miller M (Columbia Univ, USA) et al HIV and Hepatitis C Virus Risk in New and Longer-Term Injecting Drug Users in Oslo, Norway
[ノルウェイ オスロにおける新規/長期薬物静注者(IDU)におけるHIV及びHCVリスク]
1992、1994及び1997年の新規IDU(静注歴4年以下)と長期IDUとの薬物静注開始、リスクとリスク軽減実践、HIV/HCV自発検査と感染の差について検討。社会人行動性、リスク実践及びHIV/HCV検査の点で両群の区別はつきにくくなってきている。新規IDUではHIV有病率は依然低値だが、シリンジ交換プログラム参加の約3/2はHCV陽性。HCV感染状態の認識はシリンジ共用にインパクトがなく、静注歴の長さによらずほとんどのHCV感染者がシリンジ共有を行っていた。唯一のHCV感染因子は静注歴4年以下だった。両群の年齢差がなくなってきていることがHCV感染拡大に寄与しているかもしれない。
JAIDS 33(3):407-408,2003 Sinha PK (India) et al Usefulness of Voluntary Counseling and Testing Center for HIV/AIDS: Bihar as an Example [Lettre]
[HIV/AIDSに関する自発的カウンセリング/検査センター(VCTC)の有用性:Biharの例]
インドにおけるVCTCは1999年に予防プログラムの一環として開設され、その後各地に増え、東部のBiharでは2001年に開所した。約1年半で2,424人が来所。HIV頻度や背景などについての解析結果を報告。
JAIDS 33(3):408-410,2003 Manfredi R (Itay) et al HIV-Infected Immigrants From Non-European Union Countries and Antiretroviral Treatment: Comparison of Epidemiologic, Clinical, and Therapeutic Variables According to Patient Sex [Lettre]
[非EU加盟国からのHIV感染移民と抗ウイルス治療:患者の性による疫学、臨床及び治療の比較]
北部イタリアのHIV施設における非EU加盟国からの移民についての調査。2001-2年に来院の1,036患者の7.9%がEU加盟国以外からの移民。
JAIDS 33(4):470-475,2003 Peck R (Haiti) et al The Feasibility, Demand, and Effect of Integrating Primary Care Services with HIV Voluntary Counseling and Testing: Evaluation of a 15-Year Experience in Haiti, 1985-2000
[HIV自発的カウンセリング/検査(VCT)のプライマリーケアサービスへの統合の実行可能性、需要及び効果:配置での5年の成績]
1985年から1999年にかけてGHESKIO VCTセンターにHIVケア、結核ケア、STD治療及び産科ケアが順次統合された。センターでのVCTを新に求める人数は1985年142例から1999年8,175例に増加、女性、青年、無症状及び自発来院者の割合が増加。1999年には新規来院者の17%にAIDSケアを、6%に結核ケアを、18%にSTD管理を、19%に家族計画を提供。抗体不一致カップルの伝染は0/100人・年、垂直感染は11/100出産、これらはハイチの通常の期待値より低かった。
JAIDS 33(4):494-499,2003 Wolf K (Switzerland) et al Prevalence of Unsafe Sexual Behavior Among HIV-Infected Individuals: The Swiss HIV Cohort Study
[HIV感染者における非安全性行動の流行:スイスHIVコホート試験]
2000年にHIV患者4948例に質問票調査実施、95%から回答を回収。非安全性行動の報告は12%、75%が抗ウイルス療法を受け、25%がウイスル抑制されていた。6ヶ月間で55%はパートナー不変、19%は偶発的パートナーを有し、6%が両方を報告。性行為の報告は不変群82%、偶発群87%、コンドーム常時使用者はそれぞれ76,86%。非安全性行為はウイルス抑制又は抗ウイルス治療と関連せず、性別、年齢、民族、感染経路、パートナーのHIV感染状況、偶発的パートナー有及び一人住まいと関連していた。
JAIDS 33(4):500-505,2003 Macalino GE (Brown Univ Sch Med, USA) et al Drug Use Patterns Over Time Among HIV-Seropositive and HIV-Seronegative Women: The HER Study Experience
[HIV陽性/陰性女性における薬物使用の経時的パターン:HER試験]
HIV調査の多施設試験参加1,310女性(陽性871例、陰性39例)を対象に、薬物使用の変化を調査。試験参加から24ヵ月までは薬物使用は減少、その後30-84ヵ月は20%で一定。薬物使用変化はHIV感染有無で差は見られなかった。
JAIDS 33(4):513-520,2003 Morin SF (UCSF, USA) et al Community Consultation in HIV Prevention Research: A Study of Community Advisory Boards at 6 Research Sites
[HIV予防研究におけるコミュニティーコンサルテーション:6調査地区でのコミュニティアドバイザリーボード(CAB) の試験]
CABが如何に予防試験の質を向上させるかを、試験実施の6地区(LA、バーミンガム、アラバマ、ペンシルベニア、ザンビア、ペルー、タイ)で調査、CABメンバー36人、調査メンバー31人のインタビュー実施。その結果、CABが研究者と参加者とのパートナーシップ作りに寄与すると思われた。
JAIDS 33(4):521-525,2003 Conigliaro J (Canada) et al How Harmful Is Hazardous Alcohol Use and Abuse in HIV Infection: Do Health Care Providers Know Who Is at Risk?
[HIV感染における危険な飲酒及びアルコール依存の有害性:医療者はリスクの高い者を知っているか]
アルコールとHIV進行や薬剤毒性との関連及び医療者の飲酒に対する意識をプロスペクティブに調査。危険な飲酒者ではウイルス量検出可能な症例が有意に多かった。ICD-9アルコール疾患患者はALT又はAST高値、貧血、血球容量増加が有意に多かった。医療者はウイルス量検出限界以下、HCVなし及びAST正常例での危険な飲酒者を見逃し、肝炎及びCD4>200の例でのアルコール疾患を見逃していた。危険な飲酒は病期進行などに関連するため、医療者は飲酒についても注目する必要がある。
JAIDS 33(4):526-535,2003 Glynn JR (UK) et al HIV Risk in Relation to Marriage in Areas With High Prevalence of HIV Infection
[HIV有病率高値の地域における婚姻に関連したHIVリスク]
サハラ以南の若年層では男性より女性のHIV有病率が高く、男性は主に妻から感染すると考えられる。ケニア及びザンビアでクロスセクショナル調査を実施。既婚男性の少なくとも1/4が結婚相手以外から感染を獲得し、男女とも1/2未満が結婚相手から獲得していると推定した。多くの既婚男性が結婚相手以外から感染を獲得しているようである。
JAIDS 33(4):548-549,2003 Wolfe R (St. Luke's?Roosevelt HP C, USA) et al Screening for Substance Use, Sexual Practices, Mental Illness, and Domestic Violence in HIV Primary Care [Letter]
[HIVプライマリーケアにおける物質乱用、性習慣、精神疾患及びドメスティック・バイオレンスのスクリーニング]
HIVケアでは医療だけでなく精神社会的面も考慮しなければならない。HIV患者の38-42%が精神疾患を呈すると報告されている。1999-2000年の当施設(都市のHIVクリニック)の症例を無作為に337例選び、医療記録から2人が別々に物質乱用、性行動、精神疾患、ドメスティックバイオレンスの有無を3段階に評価したところ、物質乱用が最も多かった。しかしポジティブスクリーニングによるバイアスが存在するかもしれない。各施設でもスクリーニングの感受性向上、スタッフ研修が望まれる。
AIDS 17(11):1675-1682,2003 Marins JRP (Brazil) et al Dramatic improvement in survival among adult Brazilian AIDS patients
[成人ブラジル人AIDS患者における劇的な生存改善]
ブラジル国家データからAIDSケースを無作為に抽出、適格例2,821例について調査。生存期間中央値は1980年代診断例5ヵ月、1995年診断例18ヵ月、1996年診断例では58ヵ月。長期生存予測因子は、単変量解析では抗ウイルス療法、診断年、教育程度、性的曝露カテゴリー、女性及びカリニ肺炎予防、多変量解析では抗ウイルス治療のみが残った。発展途上国でも治療へのアクセスが生存に寄与することが示された。
AIDS 17(11):1683-1690,2003 Sinka K (UK) et al Impact of the HIV epidemic in sub-Saharan Africa on the pattern of HIV in the UK
[UKにおけるHIVパターンに対するサハラ以南アフリカでのHIV流行の影響]
2001年末の英国サーベイデータ等を調査。英国での診断例の21%がアフリカで感染した例で、その90%が異性間感染。アフリカでの感染例は急増。2000年の生存例の23%がアフリカ黒人で、その81%がロンドン在住。早期診断改善が母子/性感染予防及び治療/ケアアクセス提供の介入に重要である。
AIDS 17(11):1691-1694,2003 Vuylsteke BL (Belgium) et al HIV prevalence and risk behavior among clients of female sex workers in Abidjan, C?te d'Ivoire
[コートジボアールAbidjanにおける女性セックスワーカーの顧客におけるHIV有病率及びリスク行動]
女性セックスワーカーの顧客526例にインタビュー調査、うち80.4%から唾液サンプルを採取。コンドーム常時使用は92.7%と高値。唾液サンプル検査でHIV有病率は13.4%。多変量解析でHIV感染と関連した因子は年齢(高齢)、既婚又は同棲だった。有病率は比較的低くコンドーム使用率も高く、これを持続すべきである。
AIDS 17(11):1705-1707,2003 O'Leary A (CDC, USA) et al Association of negotiation strategies with consistent use of male condoms by women receiving an HIV prevention intervention in Zimbabwe
[ジンバブエにおけるHIV予防介入を受けた女性による男性の一貫したコンドーム使用に対する交渉ストラテジーの関与]
女性に対するHIVカウンセリングの重要事項の一つが、コンドーム使用交渉ストラテジーである。予防介入後に女性によって使用された6つのストラテジーの効果を調査したところ、1つは2ヵ月後の一貫したコンドーム使用と有意に相関していた。カウンセリング及び検査プロコールの開発について考察。
J Infect Dis 188(2):209-218,2003 Landay A (Rush Med Coll, USA) et al Correlates of Immune Activation Marker Changes in Human Immunodeficiency Virus (HIV)Seropositive and High-Risk HIV-Seronegative Women Who Use Illicit Drugs
[HIV陽性及びハイリスク陰性の非合法薬物使用女性の免疫活性マーカー変化に関連するもの]
HIV陽性及びハイリスク陰性の女性のCD4及びCD8における免疫の成熟度、機能及び活性化のフェノタイプマーカーのレベルと変化について検討。活性化レベルは非合法薬物使用者で有意に高いと予測したが、HIV量がマーカーレベルの最も強い予測因子で、HIV RNA量とCD4数がCD4活性化と関連し、非合法薬剤は関連しないとの結果が得られた。
J Infect Dis 188(3):397-405,2003 Gonzales JM (UCSF,USA) et al Lack of Detectable Human Immunodeficiency Virus Type 1 Superinfection during 1072 Person-Years of Observation
[1,082人・年の観察においてHIV-1重感染検出なし]
重感染によるシーケンス進化の結果起こった変化を明らかにするため、HIV-1患者のプロテアーゼ(PR)び逆転写酵素(RT)を試験した。1997-2001年に718例から2つ以上のPR,RTサンプルが得られ、37例で高度分岐シーケンスペアを有していた。そのうち16例で分岐は治療中断中の変異の消失あるいは治療再構築に伴う変異獲得の結果得られたものだった。Tat±gagシーケンスは治療中断のない患者からの分岐ペア21例中15例で検出できた。これらの遺伝子のシーケンスは選択的薬剤添加によって影響されず単元発生だった。治療患者からのPR又はRT遺伝子は高度に分岐する可能性があるが、これらの変化は通常重感染よりもむしろシーケンス進化の結果によるものである。
HIV Med 4(3):271-275,2003
[インデックスページ]
Rogers G (Australia) et al Depressive disorders and unprotected casual anal sex among Australian homosexually active men in primary care
[プライマリーケアにおけるオーストラリアのホモセクシャル男性におけるうつ病と非防御カジュアルアナルセックス]
オーストラリアのホモセクシャル男性460人を対象に調査。参加時の大うつ病エピソード(MDE)有病率は28%、気分変調障害(DD)は26%、両方は18%。MDEは性的活発度が低いようだったが、DDのみの症例はどちらもない症例よりカジュアルパートナーとの非防御アナルセックスが多いようだった。HIV病期によらずうつ症状は多かった。MDEなしのDD症例は非防御セックスのリスクが高い。
LANCET 361(9375):2125-2126,2003 Choi KH (China) et al Emerging HIV-1 epidemic in China in men who have sex with men
[中国のMSMにおけるHIV-1流行の出現]
北京のMSM481例のHIV抗体を調査したところ、15例(3.1%)がHIV-1陽性。試験参加者の49%が過去6ヵ月の間の非防御アナルインターコースを報告。HIV-1陽性と関連する因子は39歳以上及び20人以上の男性セックスパートナーを有することだった。39歳以上の男性のほとんどが既婚。MSM及びその妻を介したHIV-1拡大の危険性が示唆された。
LANCET 362(9377):22-29,2003 Mocroft A (UK) et al Decline in the AIDS and death rates in the EuroSIDA study: an observational study
[EuroSIDA試験におけるAIDS及び死亡率の低下:観察試験]
欧州の70のHIV治療施設の9,803例を対象に、HAART前(1994-95年)/早期(1996-97年)/後期(1998-2002年)のAIDS発症又は死亡率の変化を検討。AIDS発症/死亡率は1998年9月以降、8%/6ヵ月のペースで減少。全死亡率は直近のCD4≦20の患者ではHAART早期に比し後期で有意に低かったが、CD4>20の患者では同等。AIDS発症率はCD4によらず後期は早期より50%低下。多変量解析で、HAART早期に比しHAART前ではAIDS及び全死亡リスクは高く、後期では両者とも低かった。HAARTによる潜在的長期副作用はAIDS治療における有効性に影響しなかった。
Clin Infect Dis 37(Supple 1):S1-S3,2003 Volberding PA (UCSF, USA) Opportunities and Options for Treatment Research in Resource-Constrained Settings
[リソースの乏しい状況下における治療研究の機会とオプション]
HIV臨床研究は研究の盛んな状況下でさえ限界に瀕している。より観察的デザインやコホート経験の比較の試験はリソースの乏しい状況下でも実行可能であり、重要な情報を提供するだろう。
Clin Infect Dis 37(Supple 1):S4-S12,2003 Vermund SH (Univ Alabama, USA) et al Developing a Human Immunodeficiency Virus/Acquired Immunodeficiency Syndrome Therapeutic Research Agenda for Resource-Limited Countries: A Consensus Statement
[リソースの限られた国に対するHIV/AIDS治療研究アジェンダの開発:コンセンサスステートメント]
治療開始時期、治療法及び患者モニタリング法についてのステートメント。23カ国6大陸からの研究者、医療者、政策担当、製薬担当、アドボケイトらが抗ウイルス療法、治療アクセス、民族問題、国家問題及び継続性について討論。またHIVNATのような多国籍臨床試験ネットワークについても討議。リソースの限られた国での抗ウイルス薬提供は医療者及び何百万人ものHIV患者に非常に重要な事項である。継続性のあるアプローチ達成のためには、現地の能力開発をプロモートする現地の研究者やコミュニティ代表者の研究への参加が不可欠である。
Clin Infect Dis 37(Supple 1):S13-S24,2003 Kent DM (Tufts?New England Med C, USA) et al Suitable Monitoring Approaches to Antiretroviral Therapy in Resource-Poor Settings: Setting the Research Agenda
[リソースの限られた状況下における抗ウイルス治療に対する適切なモニタリングアプローチ]
開発途上国での治療効果、失敗、薬剤毒性、アドヒアランスあるいは耐性などの適切なモニタリングガイドラインが必要である。先進国とは異なる方法が必要とされる。
Clin Infect Dis 37(Supple 1):S25-S35,2003 Crowe S (Australia) et al Monitoring of Human Immunodeficiency Virus Infection in Resource-Constrained Countries
[リソースの乏しい国でのHIV感染症モニタリング]
スタンダードなHIVモニタリング方法は、フローサイトメトリーT細胞分析によるCD4値及びウイルス量の分子アッセイであるが、リソースの乏しい状況では適当でなく、低コストの方法が必要である。マニュアルCD4アッセイやウイルスモニタリングの超感度逆転写酵素/p24アッセイなどがある。総リンパ球数は迅速で安価だが、CD4細胞を厳密に反映するわけではない。各種アッセイ法をレビュー。

 

公衆衛生・疫学2003.6月
書誌事項・ソース・リンク
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JAIDS 33(2):171-174,2003 Holtgrave D R (Emory Univ, USA) et al Economic Implications of Failure to Reduce Incident HIV Infections by 50% by 2005 in the United States
[米国における2005年までに50%のHIV発現率減少の失敗に対する経済的含み]
今回の試算で、ゴールが達成されなかった場合、2010年までに13万人の余分な感染が起こり、最終医療費は$180億に達する。分析によると、いくつかのパラメータの変化が量的結果を変化させたとしても、予防努力が実際的に費用削減効果があるという基本的試算が変ることはない。
JAIDS 33(2):219-222,2003 Kannangai R (India) et al HIV-2 Subtype Circulating in India (South)
[南部インドにおけるHIV-2サブタイプの伝播]
HIV-2感染11例及びHIV-1/HIV-2合併1例のHIV-2サブタイプを検討したところ、全例がサブタイプAだった。現在までのところの、この12例を含む17例のHIV-2全例がサブタイプAである。
JAIDS 33(2):239-246,2003 Vidal N (France) et al High Genetic Diversity of HIV-1 Strains in Chad, West Central Africa
[中西部アフリカのチャドにおけるHIV-1株の高度遺伝学的多様性]
チャドの107株の遺伝学的サブタイプを検討。78株ではサブタイプおよびenvとgagの間のCRFdesignationが同じであり、サブタイプは4種、CRFは3種認められた。残り29株ではサブタイプまたはCRFdesignationの不一致が認められた。チャドのサブタイプ分布は近隣諸国と比較し特殊である。
JAIDS 33(2):166-170,2003 Chen SY (SF Dep Pub Hlth, USA) et al Unprotected Anal Intercourse Between Potentially HIV-Serodiscordant Men Who Have Sex With Men, San Francisco
[SFにおけるHIV抗体不一致のMSMの間の非防御アナルインターコース(UAI)]
世界的にMSMでのリスク行動が増加している。1999-2001年にSFのMSM10,579人を対象に調査したところ、2人以上のパートナーをもつUAIは12.7%で、年々増加。白人MSMの抗体不一致UAIは、年長者ほど抗体陽性者の間で、若年ほど抗体陰性者の間でが多かった。
JAIDS 33(2):191-193,2003 Chu P L (SF Dep Pub Hlth, USA) et al Viagra Use in a Community-Recruited Sample of Men Who Have Sex With Men, San Francisco
[コミュニティーでリクルートされたSFのMSMにおけるバイアグラ使用状況]
SFのMSM837例を対象にバイアグラ使用状況を調査。76%が過去6ヶ月間にアナルセックスを、49%はコンドーム常時使用を、全体の32%がバイアグラ使用を報告。白人、より高年齢、HIV陽性、不法薬剤使用、抗体不一致の可能性のある相手との非防御セックス経験例で使用頻度が高かった。バイアグラ使用の1/3以上は他剤を併用し、18%がamylnitrate(亜硝酸薬)だった。医師の処方によるバイアグラ入手は44%のみだった。バイアグラ使用者を予防や啓発のターゲットとすべきである。
JAIDS 33(2):194-198,2003 Liu A (Thailand) et al Rapid Whole-Blood Finger-Stick Test for HIV Antibody: Performance and Acceptability Among Women in Northern Thailand
[HIV抗体に対する迅速全血フィンガースティック検査:タイ北部の女性における実施及び許容状況]
1998-99年にタイ北部でSaliva Diagnostic Systemを用いて女性のHIV罹患率をコホート調査した。804女性の試験参加時の陽性率は3.1%、フィンガースティック検査陽性の25例で、静脈穿刺によりWBで確認。フォローアップで最来院した741例で調査したところ、56%は静脈穿刺よりフィンガースティック試験を、86%が迅速な結果報告を、79%が通常検査より迅速検査を好み、97%がこの試験方法に満足していた。
JAIDS 33(2):199-205,2003 Fisher D G (Univ Alaska, USA) et al Needle Exchange and Injection Drug Use Frequency: A Randomized Clinical Trial
[注射針交換と静注薬物使用頻度:無作為臨床試験]
注射針交換プログラム(NEP)は薬物静注を増加させるか? 1997-2000年にIDU653例をNEP群と薬局での指導群に無作為に割り付け、コントロール試験を実施、426例を6ヵ月、369例を12ヶ月追跡調査した。モルヒネ及びアンフェタミンについては、両群で注射回数、尿試験陽性頻度に差なし、コカイン使用は僅かに差あり。NEPが薬物静注を増加を誘発するという負の仮説を支持しなかった。
JAIDS 33(2):223-231,2003 Webster R D (Florida Interntl Univ, USA) et al HIV Infection and Associated Risks Among Young Men Who Have Sex With Men in a Florida Resort Community
[フロリダリゾートコミュニティにおける若いMSMの間のHIV感染とそれに関連するリスク]
主に白人とヒスパニック系のMSM100人を対象に調査。検査実施の15%がHIV陽性、白人とヒスパニック系で同程度。15%が過去1年間に非防御のUAIを、31%は本来のパートナー以外とのUAIを報告。HIV肛門感染は6.3%と見積もられた。
JAIDS 33(2):259-266,2003 Razak M H (Johns Hopkins Univ, USA) et al HIV Prevalence and Risks Among Injection and Noninjection Drug Users in Northern Thailand: Need for Comprehensive HIV Prevention Programs
[タイ北部における静注薬物/非静注薬物使用者(IDU/n-IDU)におけるHIV有病率とリスク:包括的HIV予防プログラムの必要性]
1999-2000年にアヘン及びメタンフェタミン依存試験参加の1,865例を対象に調査したところ、HIV有病率は10.3%、IDUでは30.0%、n-IDUでは2.8%。静注薬物使用が顕著なリスクファクターだった。タイでは性感染予防対策は成功したが、薬物静注者では依然有病率が高く、フォーカスした対策を要する。
AIDS 17(9):1369-1375,2003 Orrell C (South Africa) et al Adherence is not a barrier to successful antiretroviral therapy in South Africa
[南アフリカにおいてアドヒアランスは抗ウイルス薬治療成功に対する障壁ではない]
南アの公立病院で抗ウイルス薬第3相試験参加の289人のアドヒアランスを調査。アドヒアランス中央値は93.5%。1日3回服薬、英会話及び年齢は不十分なアドヒアランスの予測因子だった。社会経済状態、性及びHIV病期は予測因子ではなかった。ウイルス学的失敗の予測因子は初期ウイルス量及び1日3回服薬、不十分なアドヒアランス、年齢及びNRTI2剤治療だった。地元スタッフと同じ言語をしゃべることとシンプルな服薬が有益だった。経済状態はアドヒアランスに影響せず、治療アクセス制限因子として扱われるべきではない。
AIDS 17(9):1400-1402,2003 Kallestrup P (Denmark) et al Low prevalence of hepatitis C virus antibodies in HIV-endemic area of Zimbabwe support sexual transmission as the major route of HIV transmission in Africa [Letter]
[ジンバブエのHIV流行地域におけるHCV抗体有病率低値からHIV感染の主要経路が性感染であることが支持される]
近年アフリカでは薬物注射によるHIV感染拡大が示唆されている。HIV有病率の高いジンバブエの地域でHIV非感染者145人及び感染者124例を調査したところ、他の感染症としてHCV抗体を見出したに過ぎず、前述の仮説を支持しなかった。
AIDS 17(9):1402-1404,2003 Williams M L (Univ Texas, USA) et al HIV risk among a sample of drug using male sex workers [Letter]
[薬物使用男性セックスワーカー(MSW)の一サンプルにおけるHIVリスク]
ヒューストンにおける薬物使用MSWの特徴、薬物使用及び性的リスク行動について調査。339例につき過去30日の行動をサーベイしたところ、2万人以上のパートナーがカウントされ、2千人は女性だった。性的オリエンテーションによるリスクの差はあったが、ヘテロ/バイセクシャル男性はコンドームを使用しないことによるよりハイリスク状態ではなかった。
AIDS 17(9):1404,2003 von Matthiessen PW (Kettering MC, USA) et al Zoonotic diseases and at-risk patients: a survey of veterinarians and physicians [Letter]
[人獣共通伝染病及びリスクのある患者:獣医及び臨床医のサーベイ]
免疫不全患者に対する人獣共通伝染病の情報の提供状況を調査したところ、臨床医よりも獣医のほうがより患者と病気について話し合うケースが多く、同様に情報を集め提供していた。免疫不全者に対する人獣共通伝染病について、臨床医の注目度が低いことが示唆された。
Clin Infect Dis 36(12):1577-1584,2003 Duffus WA (Emory Univ SM, USA) et al Effect of Physician Specialty on Counseling Practices and Medical Referral Patterns among Physicians Caring for Disadvantaged Human Immunodeficiency Virus-Infected Populations
[貧しいHIV患者をケアする医師におけるカウンセリング実行及び医療委託パターンに対する医師の専門性の効果]
米国4都市で貧困HIV患者ケア医師317人を対象に自己評価サーベイを行い、76%が回答。HIV患者ケアに充分な時間を割いていると答えた感染症専門医は非感染症専門医より多かった。患者数50人以上の医師及び感染症専門医はコンドーム使用及びHIV感染のリスク軽減のディスカッションを行う傾向は低かった。高血圧や糖尿病合併患者は治療するより委託するという行為は、患者数50例未満、感染症専門医、及び個人病院での診療と関連していた。ターゲット医師に対し感染予防カウンセリングの重要性、受診時間の増加及び患者に対する一般医-専門医の共同マネージメントの研修の必要性が示唆された。
AIDS 17(10):1547-1556,2003 Scholes D (Univ Washington, USA) et al A tailored minimal self-help intervention to promote condom use in young women: results from a randomized trial
[若い女性へのコンドーム使用推進のためのテーラード最小セルフヘルプ介入:無作為試験の結果]
18-24才の異性接触のある1,210を、通常のケア群とテーラー介入群に分け6ヵ月追跡。通常群と比較し介入群ではコンドーム使用が有意に高く、特定のパートナーとの接触例が多かった。介入群ではコンドーム携帯、コンドームについてのパートナーとの話合い及び特定のパートナーとコンドームを使用する自己効果が高かった。
AIDS 17(10):1574-1576,2003 Hesketh T (UK) et al Using the premarital examination for population-based surveillance for HIV in China: a pilot study
[中国におけるHIVポピュレーションベースサーベイに対する婚前検査の利用:パイロット試験]
中国4施設に婚前検査に来院した全カップル計9952人の血液サンプルを検査。浙江省では陽性なし。雲南省では3742例中28例陽性、有病率0.75%。中国での婚前検査は自発カウンセリング/検査及び有病率の高い地域での匿名サーベイに利用されるべきである。
HIV Clinical Trials. 4(3):184-92, 2003 HolguA-n A (Spain) et al HIV-Positive Immigrants in the Canary Islands, Spain: Implications for Public Health in Europe
[スペインカナリー諸島におけるHIV陽性移民:ヨーロッパにおける公衆衛生へのかかわり]
アフリカ人にとってのヨーロッパへの玄関であるカナリー諸島でのHIV-1の遺伝学的相違について2000年に調査。HIV陽性移民33例の63.6%が非Bサブタイプ。カナリー諸島はヨーロッパへの新規株導入の高頻度の入り口と考えられる。

 

2003.5月号

書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
Clin Infect Dis 36(10):1290-1294,2003 Harrison PF (Alliance Microbicide Develop, USA) et al Topical Microbicides for Disease Prevention: Status and Challenges
[疾患予防のための話題の殺菌剤:状況と挑戦]
総説。HIVやSTDの流行を抑えるためには、治療器具や予防方法が必須である。話題の殺菌剤は、膣または直腸内に自己挿入するもので種々の剤形があり、必要な医療器具の一つに加えられるかもしれない。殺菌剤の開発等について総括する。
Clin Infect Dis 36(10):1305-1312,2003 McElroy PD (CDC, USA) et al Outbreak of Tuberculosis Among Homeless Persons Coinfected with Human Immunodeficiency Virus
[HIV合併のホームレスにおける結核の流行]
北部カリフォルニアで一群の結核患者を調査し、1株の拡大を確定した。レトロスペクティブコホートを実施し、ホームレスシェルター訪問記録と医療記録をレビュー。結核菌曝露の期間を確定し、シェルター住人に結核スクリーニングを提供、DNA鑑定を実施。最初のインデックス群9例に加え16例の患者を同定。全25例が同じDNAパターンを示した。一施設に対する疫学的リンクが1例を除き同定された。このシェルターの結核菌伝染場所としての早期認定は、調査にコンタクトするという革新的アプローチ及び分離株遺伝的タイピングを通じて促進できた。
Clin Infect Dis 36(10):1318-1323,2003 Howard AA (Albert Einstein Coll Med, USA) et al Association of Hepatitis C Infection and Antiretroviral Use with Diabetes Mellitus in Drug Users
[薬物静注者におけるHCV及び抗ウイルス薬使用の糖尿病との関連]
メタドン治療プログラムに登録しHCV試験参加の薬物静注者557例を対象に、糖尿病に関連する因子を検討。HCV感染は糖尿病と強く関連していることを見出した(オッズ比2.9)。HIV感染者では、抗ウイルス薬1年以上投与が糖尿病と関連し(オッズ比4.1)、PIを含む治療ではオッズ比は5.5だった。
JAIDS 33(1):82-87.2003 Woody G E (Univ Pennsylvania, USA) et al HIV Risk Reduction in the National Institute on Drug Abuse Cocaine Collaborative Treatment Study
[薬物依存コカイン共同治療試験における国立施設でのHIVリスク低下]
外来心理社会的治療を検討した試験に登録のコカイン依存者487例を対象にHIVリスクを調査。治療は週2-3回6ヶ月間提供され、クループカウンセリング(GDC)±個人カウンセリング(IDC)、認知治療または支持表現治療が含まれる。HIVリスクは主に多数パートナー及び非防御セックスだった。治療によりコカイン使用頻度は低下し、それによりHIVリスクは平均40%低下。IDC+GDC治療はHIVリスク軽減の点で他の治療と同等かそれ以上の効果を示し、有望な予防戦略と考えられる。
JAIDS 33(1):88-95.2003 Choopanya K (Thailand) et al HIV Risk Reduction in a Cohort of Injecting Drug Users in Bangkok, Thailand
[タイのバンコクにおける薬物静注者のコホートでのHIVリスク低下]
IDU治療試験参加によるHIVリスク行動の変化を調査。長期参加の806例を調査したところ、静注頻度が79%で減少、4%で不変、17%で増加だった。ハイリスク静注(高頻度かつシリンジ使い回し)は試験開始時42%から最終的に3%に低下。メタドン維持療法中は安定してリスク行動が低く、45日間解毒治療からの参加はリスク行動の低下に関連していた。
JAIDS 33(1):96-103.2003 McFarland W (SF Dep Pub Hlth, USA) et al Low Socioeconomic Status Is Associated With a Higher Rate of Death in the Era of Highly Active Antiretroviral Therapy, San Francisco
[低レベル社会経済状態(SES)はHAART時代の高死亡率と関連、SFでの調査]
SFにおいてSESとAIDS診断後の生存との関連を、HAART前後(1980-98/1996-2001年)に調査。CD4値などの調整後、高収入地区では1996年以後のAIDS診断後予後は良好だった。低収入地区ではどの時代でもHAART治療が少なかった。更にHAART前では生存とSESには相関は見られなかった。HAART使用で調整すると収入レベルによる生存の差は見られず、治療アクセス可否が生存に影響することが示唆された。
JAIDS 33(1):104-111.2003 Chan KS (RAND Hlth, USA) et al Combination Antiretroviral Therapy and Improvements in Mental Health: Results From a Nationally Representative Sample of Persons Undergoing Care for HIV in the United States
[抗ウイルス薬併用療法と精神衛生の改善:米国におけるHIVケア施行者の全国代表例]
1996-97年に登録したHIV患者2466例について、抗ウイルス薬併用療法による精神症状への影響を検討したところ、各治療群全てで精神症状の減少が認められた。抗ウイルス薬療法は、治療特異的及び全般改善の両方の効果があるように思われ、生存延長及びQOL改善に結びつくと考えられた。
AIDS 17(8):1201-1208,2003 van Asten L (Netherlands) et al Tuberculosis risk varies with the duration of HIV infection: a prospective study of European drug users with known date of HIV seroconversion
[結核リスクはHIV罹病期間によって異なる:HIV陽転時期のわかっているヨーロッパ静注薬物使用者(IDU)でのプロスペクティブ試験]
HIV陽転時期のわかっているヨーロッパのIDU683例を対象に、結核発症とHIV罹病機関の関係を検討。全般発現率は11.5/1,000人・年。CD4と地域で調整後の肺/肺外結核リスク比(RR)は、罹病期間3年以内と比し4-6年では2.8、7-9年では1.2、9年以上では4.6。地域別では、全地域の数値と比較し、アムステルダム13.1、バレンチノ地方15.8。
AIDS 17(8):1209-1216,2003 Sanders EJ (Netherlands) et al Mortality impact of AIDS in Addis Ababa, Ethiopia
[エチオピア アジスアベバにおけるAIDSの死亡インパクト]
アジスアベバでのAIDS死亡を、1987-2001年にレトロスペクティブに、2001年にはプロスペクティブに調査。5-14歳群に比べ25-49歳群では1987-2001年に死亡が有意に増加。35-39歳では2001年の死亡は1984年の5倍。HIVの死亡への強い影響が伺える。
AIDS 17(8):1217-1225,2003 Rotheram-Borus MJ (UCLA, USA) et al Four-year behavioral outcomes of an intervention for parents living with HIV and their adolescent children
[HIV患者及びその青年期の子供に対する介入の4年間の行動についての結果]
NYでのHIV患者及びその子供に対する介入の結果。介入群では標準ケアのみと比較して、10代で子供を作る子供が少なく、問題行動も少ない傾向が見られた。薬物依存や依存再発が少なく、そうでなければ能動的に対抗する姿勢が見られた。またかつて見られた問題行動や感情的ストレスの有意な減少が見られ、経時的に消失し48ヵ月後では有意には見られなかった。
AIDS 17(8):1227-1237,2003 Foss AM (UK) et al Shifts in condom use following microbicide introduction: should we be concerned?
[殺菌剤導入後のコンドーム使用のシフト:心配すべきか]
有効なHIV/STD殺菌剤が開発されたとしてコンドーム使用が減少することのHIVリスクへの影響を、数学的モデルを用いて推測。
AIDS 17(8):1243-1247,2003 Tao G (CDC, USA) et al Do physicians provide counseling with HIV and STD testing at physician offices or hospital outpatient departments?
[医師は内科病院または病院外来でHIV/STD検査を含むカウンセリングを提供しているか?]
1997-1998年の米国での調査。HIV/STD検査を含む個人病院救急外来受診者は12.7百万人。HIV/STD検査実施時カウンセリングは全受診者の35%、妊婦では28%。HIV/STD量検査実施時のカウンセリングは50%で、一方のみ実施時では少なかった(HIVのみの時21%、STDのみのとき37%)。HIV、STDまたは非尿生殖器症状による患者理由の受診時は、それ以外と比較してカウンセリングが多かった(65%)。
AIDS 17(8):1263-1264,2003 Vokow P (Mexico) The Mexican experience with the impact of banning the blood-plasma trade in preventing HIV transmission: 'what history ignores is meant to be repeated'
[HIV予防に関する売血禁止のインパクトに関するメキシコの報告]
売血による血液製剤を介したHIV伝播について、国際問題として再度考えなくてはならない。メキシコでの売血禁止は、製剤不足をもたらさなかった。

 

2003.4月
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
Clin Infect Dis 36(8):1030-1038,2003 Jain MK (Univ Texas Southwest Med
C, USA) et al
Changes in Mortality Related to Human Immunodeficiency Virus Infection: Comparative Analysis of Inpatient Deaths in 1995 and in 1999-2000
[HIV関連死亡率の変化:1995年及び1999-2000年の入院患者の死亡に関する比較分析]
1995年及び1999-2000年に死亡したHIV入院患者のレトロスペクティブ調査で、エイズ指標疾患による死亡はHAART実施前の1995年に比し、HAART時代で減少傾向がみられ、カリニ肺炎が重要な死因である。両時代ともエイズ非関連死の主因はエイズ指標疾患以外の感染症及び末期肝障害であった。HAARTを受けている1999-2000年に死亡した患者の85%はCD4<200であり、約半数は死亡時HAARTを受けていなかった。早期診断の改善をはかり、アドヒアランスを最大に高めることにより高リスク患者の生存率を高められるであろう。
Clin Infect Dis 36(9):1171-1176,2003 Schreibman T (Yale?New Haven HP, USA) et al Human Immunodeficiency Virus Infection Prevention: Strategies for Clinicians
[HIV感染予防:小児のためのストラテジー]
HIV感染流行の複雑性により、効果的予防法創設が発展的かつ挑戦的タスクとなっている。新たな感染の予防が重要性の増す課題となっている。予防と臨床ケアの統合が将来の予防活動の重要要素と認識されている。HIV予防は従来の公衆衛生モデルを超えて臨床ケア施設に拡大されるべきである。臨床医が現在診断や治療に注いでいる専門性やエネルギーは管理された現在の予防をはるかに超えている。臨床現場での予防努力の詳細及び効果をレビューし、臨床施設に行動カウンセリングと医学介入両方を統合する最もシンプルで効果的な推奨を挙げた。
AIDS 17(6):887-894,2003 Tyndall M W (Canada) et al Intensive injection cocaine use as the primary risk factor in the Vancouver HIV-1 epidemic
[バンクーバーのHIV-1流行における一次リスクファクターとしての集中的静注コカイン使用]
940人の抗体陰性者での109感染事例を中央値31ヶ月追跡。セロコンバージョン前6ヶ月間のHIV感染予測因子はコカイン静注、留置、住所不定、メタドン維持治療及び先住民族だった。コカイン静注は用量依存的にHIV感染に関与していた。コカインをあまり使用していない例と比較し、平均1日3回以上静注者ではHIVに接触する機会は7倍高かった。更に、HIV感染までの期間はコカイン常用者ではヘロイン使用とは独立的に早まっていた。
AIDS 17(6):895-904,2003 Weir S S (Univ NC, USA) et al From people to places: focusing AIDS prevention efforts where it matters most
[ヒトから場所へ:最も問題となっている場所へのAIDS予防努力の集中]
南アフリカの3都市(人口6-10万)及び1ビジネス地区(人口2万未満)の調査で、それぞれ200箇所以上及び64箇所を新たなセックスパートナー遭遇の盛んな場所と同定。
AIDS 17(6):905-910,2003 Mansergh G (CDC, USA) et al Rectal use of nonoxynol-9 among men who have sex with men
[同性愛男性(MSM)でのN-9の直腸内使用]
2001年にSFベイエリアでN-9使用状況を調査。573例をリクルートし、N-9を知っていたのは349例、うち192例がHIV予防に有効でないことを聞いており289例が使用経験あり。うち193例がアナルインターコース時に使用。うち79例は感染予防できると考えコンドーム非使用。年齢や民族により知識に差があり、啓蒙活動が必要。
AIDS 17(6):938-940 ,2003 Macharia D K (CDC, USA) et al Antiretroviral therapy in the private sector of Nairobi, Kenya: a review of the experience of five physicians [Correspondence]
[ケニアのナイロビの民営部門における抗ウイルス治療:5医師の経験のレビュー]
アフリカは貧しいが、ケニア、特にナイロビでは実質的労働者が多く民営部門による薬剤を入手できる。民営の開業医における投薬状況を調査したところ、薬剤が効果的に処方され、強制的に適切な治療が提供されモニタリングが行われ、北米やヨーロッパと同等の効果が得られていた。ケア内容は患者の経済性に左右され、シンプルで安価な方法が必要とされている。民間開業医の活用が重要である。
AIDS 17(6):942-944 ,2003 Chen S Y (SF Dpt Pub Hlth, USA) et al Are the recent increases in sexual risk behavior among older or younger men who have sex with men? Answer: Both [Correspondence]
[近年の性的リスク行動増加はより高齢、より若年いずれのMSMで起こっているか? 答えは両方]
STOP AIDS ProjectによるSFを初めとする北米都市の数千人のMSMを対象としたクロスセクショナルサーベイを調査したところ、HIV流行増加は若年層と高齢層の両方で性的リスク行動のレベルが高まっていることが判明した。
AIDS 17(7):1029-1038,2003 Xiridou M (Netherlands) et al The contribution of steady and casual partnerships to the incidence of HIV infection among homosexual men in Amsterdam
[アムステルダムのホモセクシャル男性の間でのHIV感染率に対する固定的及び一時的パートナーシップの影響]
アムステルダムでのコホート調査。現在、新規HIV感染の86%は固定的関係で起きている。HAARTによる感染性75-99%低下は、固定的関係での危険な行為50%増加により相殺されるだろうが、一時的関係で100%近く増加しても相殺されないだろう。HIV検査が42%から80%に上昇し、HAART服用率が70%から85%に増加すれば、固定的関係におけるリスク行動が100%に増加してもHAARTの効果に優ることはないだろう。予防介入として、特に固定関係におけるリスク行動及び検査の普及に取り組むべきである。
AIDS 17(7):1039-1044,2003 Grassly NC (UK) et al The economic impact of HIV/AIDS on the education sector in Zambia
[ザンビアの教育分野に対するHIV/AIDSの経済的影響]
初期教育教育に対するHIV/AIDSの影響は、教育省及びBESSIP(Baic Education Sub-Sector Investment Programme)に対し1999年で$1.3-3.1mil、1999-2010年で$10.6-41.3milと算出される。これらにはHIVのため休職する教師への給与(71%)、AIDSによる教師減少に対処するための教師へのトレーニング(22%)及び教育省による葬式費用(7%)が含まれるが、教育省によるアクティブケアや予防対処、AIDS孤児に対する費用は含まれない。教育省の年間予算に占める割合は低いが(1999年2.5%)、将来的な財源配置への含みを有している。
AIDS 17(7):1063-1069,2003 Brindeiro R M (Brazil) et al Brazilian Network for HIV Drug Resistance Surveillance (HIV-BResNet): a survey of chronically infected individuals
[HIV薬剤耐性サーベイランスのためのブラジルネットワーク(HIV-BResNet):慢性感染者の調査]
ブラジルの未治療患者における耐性変異及びサブタイプの調査。535例について調査したところ、一次変異はPI関連2.24%、NRTI関連2.36%、NNRTI関連2.06%。NRTIまたはNNRTI感受性低下につながる変異は稀(0.6-2.4%)。南の州でサブタイプCの割合が高く、他地域ではFが主要株だった。
AIDS 17(7):1071-1075,2003 Roy ? (Canada) et al HIV incidence among street youth in Montreal, Canada
[カナダのモントリオールの若い路上生活者におけるHIV発現率]
1995-2000年に14-25歳の路上生活者を対象にプロスペクティブコホート試験を実施。1,013人が登録し、登録時のHIV有病率は1.4%で6年後まで変らず。863例を選出し発現率を分析したところ、16例の陽転が認められ、発現率は0.69/100人・年。感染関連因子は単変量解析では薬物静注及びsurvival sexへの関与、多変量解析では薬物静注だけだった。薬物静注防止が公衆衛生で一番の優先事項である。
AIDS 17(6):937-938 ,2003 Youle M (UK) et al Could chemoprophylaxis be used as an HIV prevention strategy while we wait for an effective vaccine? [Correspondence]
[効果的ワクチンを待つ間、化学的予防がHIV感染予防に使用されるか]
近年非感染者でのNVPによる感染予防効果が報告された。今後もワクチン探求の努力は続けるが、付加的方法を見落とさないことも重要である。感染リスクの高いポピュレーションでは科学的予防は有益である。
JAIDS 32(5):499-505.2003 McNaghten A D (CDC, USA) et al Differences in Prescription of Antiretroviral Therapy in a Large Cohort of HIV-Infected Patients
[HIV患者の大規模コホート調査における抗ウイルス治療の処方の差]
処方に関与する因子を調査するため、米国10都市の100以上の病院で9530例を登録。女性及びアルコール依存で処方が減少する傾向あり。個人病院での登録、ヘテロセクシャル及びヒスパニックは処方と関連する因子だった。抗ウイルス薬治療歴のない患者では、CD4<500とウイルス量高値が処方と関連し、抗ウイルス薬投与歴のある患者では6ヶ月の間に平均2回以上受診の外来患者で処方傾向が高く、ウイルス量高値は処方傾向が低かった。HAARTの処方は、全患者で性別、人種、exposure mode、アルコール依存及び医師のタイプによって異なり、抗ウイルス薬治療歴のない患者ではCD4値、ウイルス量によって、治療歴のある患者では平均外来受診回数及びウイルス量によって異なった。
JAIDS 32(5):514-521.2003 Geskus R B (Netherland) et al Prediction of Residual Time to AIDS and Death Based on Markers and Cofactors
[マーカー及び補助因子に基づくAIDS及び死に至るまでの期間の予測]
治療しなかった場合にAIDSまたは死亡に至るまでの期間を算出するモデルを構築した。最も最近のCD4数、HIV-1 RNA量、フェノタイプ、年齢、陽転からの期間及び二つの遺伝学的補助因子に基づき、ホモセクシャル男性のアムステルダムコホート研究から算出した。CD4及びウイルス量が独立的に最も強い予測因子だった。HIVフェノタイプの予測価は若干低く、CD4高値例で予測価が大きく上昇した。CCR5-Δ32及びCCR2-64Iは加えても予測価は高まらなかった。いくつかは陽転からの期間が不明だと予測因子として働かなかった。予測にはCD4値、ウイルス量及び(CD4高値の場合)フェノタイプが同様に重要な因子であり、遺伝学的補助因子は有用性がなかった。
JAIDS 32(5):534-541.2003 Burchell A N (Canada) et al Voluntary HIV Testing Among Inmates: Sociodemographic, Behavioral Risk, and Attitudinal Correlates
[収監者での自発的HIV検査:社会人口統計学、リスク行動及び姿勢の相互関連]
オンタリオの刑務所で無作為に597収監者を登録、試験参加率は89%。HIV検査受診率は48%で21%が自主的検査。検査経験率は薬物静注(IDU)または性行動を介してHIV感染ハイリスク群で高かった。収監中の検査は独身、頻繁なIDU、収監前に偶発的セックスパートナーなし、肝炎既往歴、HIV検査受診歴、コミュニティ外でのHIV患者との親密な関係、内部でのHIV感染者を知っていること、収監の間に感染に気付くチャンスがあったもの、及び検査命令の支持と関連していた。収監中の検査に対する主要なモチベーションはIDUまたは施設内感染の恐怖だった。収監者の自発検査は促進されるべきで、収監者は適切なカウンセリングとリスク評価の情報を受けるべきである。
JAIDS 32(5):545-550.2003 Intern Collab HIV Optimism HIV Treatments Optimism Among Gay Men: An International Perspective
[ゲイ男性におけるHIV治療楽観視:国際的展望]
2000年に先進4カ国(オーストラリア、カナダ、英国、フランス)でゲイ男性におけるHIV治療楽観視について調査。いずれの国でも楽観視傾向は低く、特にパリでは低かった。楽観スコアとハイリスク性行動には相関性が認められたが、原因は確立できなかった。
JAIDS 32(5):551-559.2003 Alves K (Blood C Pacific, USA) et al Risk Factors for Incident HIV Infection Among Anonymous HIV Testing Site Clients in Santos, Brazil: 1996-1999
[ブラジルのサントスにおける1996-1999年の匿名HIV検査施設利用者におけるHIV感染発現のリスクファクター]
4年間の概算の全般HIV発現率は20.%(女性1.2%、男性2.7%)。女性では発現率増加が見られたが、男性は横ばい。ウイルス曝露と関連する因子は性産業歴、現在の梅毒感染、アナルセックス及びHIV陽性パートナーありだった。予防ストラテジーのターゲット抽出に有用である。
JAIDS 32(5):573-574.2003 Kannangai R (India) et al HIV-2 Sub-Epidemic Not Gathering Speed: Experience From A Tertiary Care Center in South India [Letter]
[スピードを増していないHIV-2サブタイプ流行:南インドにおける第3ケアセンターにおける経験]
インドで初めてHIV-2が報告されたのは12年前で、主要感染経路は異性間性行為と考えられる。2000-2001年の症例を調査したところ、HIV-2の有病率は1993-1997と同様か僅かに減少していた。対照にHIV-1感染はこの7年で倍増している。

 

2003.3月
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報告者
タイトル
サマリー
AIDS 17(4):585-594,2003 Ayisi J G (Keny) et al The effect of dual infection with HIV and malaria on pregnancy outcome in western Kenya
『ケニア西部における出産に対するHIV及びマラリア重感染の影響』
1996-1999年の出産2466件について調査したところ、妊婦のHIV陽性は24.3%、出産時マラリア感染22.0%だった。低体重児、早産、子宮内成長遅延(IUGR)、母親の貧血が各4.6,6.7,9.8,13.8%。マラリア感染無のHIV感染で出生児の体重は99g減少。マラリアはIUGR及び早産と関連し、初妊婦出生児は母がHIV陰性で145g、陽性で206gの体重減少が認められたが、多産婦では認められなかった。HIVとマラリア両者は出産後の母親の貧血の有意なリスクファクターであり、HIV陽性のマラリア感染者はHIV陰性のマラリア感染者または非マラリア感染者と比較し貧血リスクは2倍と考えられた。
AIDS 17(4):595-604,2003 Eijk A M (Kenya) et al HIV increases the risk of malaria in women of all gravidities in Kisumu, Kenya
『ケニアKisumuにいてHIVは経産婦のマラリアリスクを増加する』
第三トリメスターの妊婦5,093人を対象にHIV及びマラリアの検査を実施、陽性率は各20.1,24.9%。当該施設で出産した2,502人中、HIV、寄生虫血症、胎盤マラリアは24..5,15.2,19.0%。HIV陽性者では寄生虫血症が多く、寄生虫濃度が高く、寄生虫血症時の発熱が多かった。HIV陽性で胎盤感染の女性は慢性で中-高度色素沈着の徴候が多かった。HIVに起因するマラリア重感染は初妊婦34.6%、2回目出産41.5%、3回以上50.7%と上昇する。
AIDS 17(4):605-612,2003 Johnson K M (Univ Washington,USA) et al Sexual networks of pregnant women with and without HIV infection
『HIV感染有/無の妊婦における性的ネットワーク』
ペルーのマタニティクリニック受診妊婦を対象に、HIVと性ネットワークの関連を調査。HIV陽性妊婦のリスク行動は少なかったが、彼女らのパートナーの79%がHIV陽性。パートナーのリスクファクターは女性セックスワーカーまたは同性愛男性との接触。二/三次的ネットワークまで調査したところ、一夫一婦制の女性でも大きな性的ネットワークの存在が明らかとなった。
AIDS 17(4):613-618,2003 Alarcon J O (Peru) et al Determinants and prevalence of HIV infection in pregnant Peruvian women
『ペルー人妊婦におけるHIV感染の決定因子及び有病率』
ペルーで1996-1997年に妊婦12,436人を対象に調査。抗体陽性は0.5%、既婚者は22.6%のみ、2人以上のパートナーを有していたHIV陽性妊婦は12%のみ。多変量解析で、短期の付き合い、女性自身の2つのリスク行動(低年齢の初交、過去のパートナー多数)パートナーの2つのリスク行動(womanizer女性化及び不法薬物使用)認知、不十分な出産前ケア、更に4つのリスクがHIV感染と関連があった。
Clin Infect Dis 36(7)922-924,2003 Chakraborty R (UK) et al Viral Coinfections among African Children Infected with Human Immunodeficiency Virus Type 1
『HIV-1感染のアフリカの小児におけるウイルス感染合併』
ケニアの都市に居住のHIV感染児でCMV、HTLV-1,2、KSHV及びHBV,HCV,HGV合併を検査。全例CMVを合併していたが、HGVは5%、KSHVは15%だった。HGVの防御的役割は除外出来ないが、HIV-14感染患児への影響は少ないと考えられる。
J Infect Dis 187(5):725-735,2003 Moodley D (South Africa) et al A Multicenter Randomized Controlled Trial of Nevirapine Versus a Combination of Zidovudine and Lamivudine to Reduce Intrapartum and Early Postpartum Mother-to-Child Transmission of Human Immunodeficiency Virus Type 1
『HIV-1の子宮内及び産後初期の母児感染抑制のためのNVPとAZT+3TCとの多施設無作為割付コントロール試験』
分娩から産後初期の母子HIV-1感染減少に対する短期間NVP単独及びAZT+3TCの多施設オープン比較試験を実施。対象は南アフリカの公的病院11施設を受診した妊婦。72時間以内(子宮内)の感染を除く、生後8週間の新生児における新たなHIV-1感染はNVP群及びAZT+3TC群で各5.7%、3.6%。母子ともに薬剤による重大な副作用はみられず、発展途上国においては、母子感染率を低下させる上で、短期間の抗ウイルス療法は有効で安全であることが確認された。
J Infect Dis 187(5):736-740,2003 Richardson BA (Kenya) et al Breast-Milk Infectivity in Human Immunodeficiency Virus Type 1Infected Mothers
『HIV-1感染の母親における母乳感染性』
HIV-1感染女性の出生児358例を対象に、母乳哺育1日当たり及び母乳1リットル当たりの母乳を介したHIV-1感染を検討。新生児52例に母乳を介した感染が考えられた。母乳感染率は摂取母乳1リットル当たり0.00064、母乳哺育1日当たり.00028。この新生児が摂取した母乳1リットルあたりのHIV-1感染の可能性は異性間無防備性行為1回当たりのHIV-1感染率と同程度であった。母乳感染性は病気が進行した母親ほど著明に高かった。
J Infect Dis 187(5):741-747,2003 Rousseau CM (Fred Hutchinson Cancer Res C,USA) et al Longitudinal Analysis of Human Immunodeficiency Virus Type 1 RNA in Breast Milk and of Its Relationship to Infant Infection and Maternal Disease
『乳汁中HIV-1 RNA及びその新生児への感染と母体疾患への関連に関する縦断分析』
母乳中HIV-1量の経時的変動及び母子感染への関連について、抗ウイルス治療非施行のHIV感染妊婦275例を母乳哺育群と人工栄養乳哺育群に割り付け出産後2年間検討。母親の血漿中ウイルス量が高いほど、CD4値が低いほど、また生殖器分泌中にHIV-1DNAの検出される場合は、母乳中ウイルス量が増加しており著しい関連性が認められた。母乳哺育群の初乳/授乳初期乳汁は、出産14日後までよりウイルス量が有意に高値。新生児感染のあった母乳哺育群の母親は感染のない群と比べ、授乳期乳汁中ウイルス量は有意に高く、また一貫してより多くのウイルス排出がみられた。本試験の結果, 母乳哺育による新生児感染の危険性は出産後初期に最大となる母乳中のウイルス量に影響されることが示された。
JAIDS 32(4):380-387,2003 European Collaborative Study (UK) Exposure to Antiretroviral Therapy in Utero or Early Life: the Health of Uninfected Children Born to HIV-Infected Women
『子宮内または出生後早期の抗ウイルス治療への曝露:HIV感染女性から生まれた非感染児の健康』
HIV感染女性からの非感染出生児2,414人の健康を追跡(中央値2.2年、最長15.9年)。その結果、抗ウイルス薬曝露と先天異常または出生児低体重との間には関連は認められなかった。多変量解析では未熟が併用療法曝露と関連していた。また出生後早期の貧血が抗ウイルス薬曝露と関連していた。ミトコンドリア障害を示唆する臨床徴候との関連は認められず、重篤な副作用もなく、短-中期抗ウイルス薬投与は安全であった。
JAIDS 32(4):370-374,2003 Shiramizu B (Univ South California,USA) et al Placenta and Cord Blood Mitochondrial DNA Toxicity in HIV-Infected Women Receiving Nucleoside Reverse Transcriptase Inhibitors During Pregnancy
『妊娠中NTRI投与を受けたHIV感染女性における胎盤及び臍帯血中ミトコンドリアDNA毒性』
HIV感染(垂直感染予防NRTI投与)及びHIV非感染の女性の出産直後の胎盤及び臍帯血を採取しミトコンドリアDNA(mtDNA)を定量したところ、HIV感染女性では有意に少なかった。
AIDS 17(5):673-678,2003 Chakraborty R (UK) et al Persistent non-gastrointestinal metabolic acidosis in pediatric HIV-1 infection
『HIV-1感染児における非消化管性代謝性アシドーシスの持続』
HIV-1感染児202例をレビューしたところ、34例に持続性アシドーシスが認められ、うち16例ではSAG(血清アニオンギャップ)が上昇(1A群)、18例ではSAG正常でUAG(尿中アニオンギャップ)陽性(1B群)だった。アシドーシス群はカリニ肺炎予防薬投与例が多く、非アシドーシス群と比較し身長が有意に低かったが体重は同等。アシドーシス群では免疫不全が大きかった。
AIDS 17(5):779-780,2003 Boniotto M (Brazil) et al MBL2 polymorphisms are involved in HIV-1 infection in Brazilian perinatally infected children [Correspondence]
『MBL2多型がブラジルの母親から感染した小児のHIV-1に認められる』
ブラジルの3-8歳のHIV-1感染児114例を対象に、先天性免疫に対する重要なエフェクターであるMBPと呼ばれるレクチンをエンコードするMBL2の多型の出現頻度を検討。対立遺伝子0の頻度は感染児で有意に高かった。MBP低値はHIV-1垂直感染の重要なリスクファクターである可能性さ示唆された。
Pediatr Infect Dis J. 22(3):216-224,2003 Saez-Llorens X et al Forty-eight-week evaluation of lopinavir/ritonavir, a new protease inhibitor, in human immunodeficiency virus-infected children
『HIV感染患児における新規PI、LPV/RTVの48週評価』
未治療、抗ウイルス薬投与及びNNRTI未投与の6ヵ月-12歳の小児を対照としたオープンラベル多施設phaseI/II試験の報告。LPV/RTV 230/57.5mgまたは300/75mg BID投与、未治療群はd4T+3TCを、既治療群はNVP+NRTI1-2剤を併用。LPV薬物動態は体表面積あたりの投与量計算で年齢に非依存的だったが、NVP併用で低下した。48週でのウイルス量<400コピーは79%(ITT)、CD4増加は未治療群404、期治療群284cells/mL。副作用による試験中止は1例のみ。小児に対し持続的な効果と安全性が確認された。
Pediatr Infect Dis J. 22(1):48-55, 2003 Litalien C (France) et al Pharmacokinetics of nelfinavir and its active metabolite, hydroxy-tert-butylamide, in infants perinatally infected with human immunodeficiency virus type 1
『HIV-1周産期感染した乳児におけるNFV及び活性代謝物の動態』
2.3-8.5ヶ月の垂直感染乳児14例を対象に、NFV及びその活性代謝物M8の定常期濃度を検討したところ、乳児では年長の小児や成人と比較しCmaxやAUCが低かった。