検査・モニタリング2005.1月
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JAIDS38(1):1-4 Bi, X et al Modified Dynabeads Method for Enumerating CD4+ T-Lymphocyte Count for Widespread Use in Resource-Limited Situations.
<資源不足の状況下で広汎な利用を目指したCD4陽性Tリンパ球数計数の修正Dynabeads法>
HIV-1感染者のCD4陽性Tリンパ球数計数に関して、Dynabeads法の利用の可能性が示唆されている。本法の費用をさらに低減し手順を簡略化するため、Dynabeadsのボリュームを小さくし、ウオッシュ回数を増し、染色過程を省略し、CD4細胞数を光学顕微鏡下で直接計数するようにした。血液サンプル246件のCD4細胞数を計測して、フローサイトメトリと比較したところ、結果は有意な相関を示した。修正Dynabeads法を用いた1件の検査費用は使い捨て材料の費用を含めても$3以下と見積もられ、資源不足の状況下において抗レトロウイルス療法のモニタリングに有用である
JAIDS38(1):23-30,2005 Aziz, S et al Replication of M-tropic HIV-1 in Activated Human Intestinal Lamina Propria Lymphocytes Is the Main Reason for Increased Virus Load in the Intestinal Mucosa.
<腸管粘膜におけるウイルス量増大の主な理由は、活性化ヒト腸管粘膜固有層リンパ球でのMトロピックHIV-1複製>
胃腸管はHIV大量複製が早期に行われる部位であり、CD4陽性T細胞の顕著な減少に関連する。この部位でのHIV複製増大の基本的特徴を検証するとともに、T細胞刺激がM/TトロピックHIV株の複製に及ぼす影響についても研究した。MトロピックHIV-1株は腸管粘膜固有層単核細胞において、一方、TトロピックHIV-1株は末梢血単核細胞で選択的複製を示した。検証の結果、ホーミングマーカCD103発現ではなく、腸管における標的細胞の活性化状態の上昇が、HIVの大量生産に直接的に関連することを観察。
AIDS18(18):2430- Bleeker-Rovers, C P et al F-18-Fluorodeoxyglucose positron emission tomography for visualization of lipodystrophy in HIV-infected patients.
<HIV感染患者におけるリポジストロフィの明視化のためのF-18-蛍光デオキシグルコース陽電子断層撮影法>
(手紙)F-18-蛍光デオキシグルコース(F18FDG)陽電子断層撮影法(FDG-PET)を用いてグルコース-アップテイクを明視化することで、活性化リポジストロフィをモニターできると仮説を立てた。リポジストロフィを有するHAART受療HIV感染者4名中3名で、皮下F18FDGアップテイクの顕著な増大を観察したが、リポジストロフィのないHIV感染コントロールではこれを認めず、これがリポジストロフィの明視化に適切なツールであることが示唆された。
AIDS19(1):77-84,2005 McGarrigle, C A et al Investigating the relationship between HIV testing and risk behaviour in Britain: National Survey of Sexual Attitudes and Lifestyles 2000.
<英国におけるHIV検査とリスク行動との関連性を調査:性的態度およびライフスタイルに関する2000年国民調査>
英国においてHIV検査は比較的一般的に実施されているが、今だに集団ベースの献血および出産前スクリーニングプログラムに大きく関連。これに対し、自発的秘密裡のHIV検査は今だハイリスク(性的または薬物静注)行動またはハイリスクを有する集団サブグループとの関連が高い。未診断HIV感染を低減するための戦略には、HIV検査をさらに標準化し広範囲に利用されるよう努力が要求される。

 

公衆衛生・疫学2005.4月
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JAIDS38(5):531-537,2005 Hightow, L B et al The Unexpected Movement of the HIV Epidemic in the Southeastern United States: Transmission Among College Students.
<米国南東部におけるHIV感染の予期しない動向:大学生の間での伝播>
18-30歳男性の新規HIV診断を調査している州サーベイランス記録(米国ノースカロライナ州)をレビューし、HIV感染男性のリスク行動と人口統計学的情報を大学生および非大学生とで比較した。結果はHIV感染が大学生にも流行していることを示すもので、レビューした735件の記録中、84件(11%)が大学生。
JAIDS38(5):553-559,2005 ERA Traial Assays Investigators A Randomized Controlled Trial of the Value of Phenotypic Testing in Addition to Genotypic Testing for HIV Drug Resistance: Evaluation of Resistance Assays (ERA) Trial Investigators.
<HIV薬剤耐性のため遺伝子型検査に加え表現型検査を付加することの有用性に関する無作為化試験>
ウイルス学的失敗を経験し、治療選択肢が限られているHIV-1感染者において、遺伝子型耐性検査に加え表現型耐性検査を実施することの臨床的有用性を評価したが、付加価値は認められなかった。登録患者は311名、遺伝子型耐性検査のみ群と遺伝子型+表現型耐性検査群に無作為に振り分け検証したが、12カ月後のウイルス量の減少平均は2群とも同等。
JAIDS38(5):578-583,2005 Kabugo, C et al Long-Term Experience Providing Antiretroviral Drugs in a Fee-for-Service HIV Clinic in Uganda: Evidence of Extended Virologic and CD4+ Cell Count Responses.
<ウガンダのFee-for-Service HIVクリニックにおける抗レトロウイルス療法提供に関する長期経験:ウイルス学的/CD4陽性細胞数の長期応答のエビデンス>
ウガンダでHIV患者ケアに携わるFee-for-Service(抗レトロウイルス薬[ARV]薬剤費患者負担)HIVクリニックでの長期経験から得られたことについての報告。クリニックでは4年以上にわたりHIV患者ケア・管理を成功裡に行い(生存および治療継続の確率;1年目0.56、2年目0.46、3年目0.40、4年目0.35)、治療継続患者はARVに対しウイルス学的・免疫学的長期応答を有し、その結果は先進諸国での観察に類似。アフリカ諸国における患者の経済的負担の軽減やその他の障壁を撤廃し治療中断を少なくするという戦略については、治療継続に報奨金を付与することも含め、今後一層の調査が必要である。
JAIDS38(5):590-597,2005 French, T et al Correlation of a Brief Perceived Stress Measure With Nonadherence to Antiretroviral Therapy Over Time.
<短期知覚ストレス測定と抗レトロウイルス療法へのノンアドヒアランスとの経時的相関>
改訂版の知覚ストレススケールと抗レトロウイルス療法へのノンアドヒアランスとの関連性について調査した。知覚ストレスの最大四分位のスコアを得た患者は最小四分位の患者に比べ、2倍以上のノンアドヒアランス傾向をベースラインおよびフォローアップ1で有し、フォローアップ2ではその傾向は5倍以上となった。
JAIDS38(5):598-602,2005 Kilewo, C et al Mortality During the First 24 Months After Delivery in Relation to CD4 T-Lymphocyte Levels and Viral Load in a Cohort of Breast-Feeding HIV-1-Infected Women in Dar es Salaam, Tanzania.
<タンザニア、ダル・エス・サラームの母乳養育を行うHIV-1感染女性コホートにおけるCD4Tリンパ球数およびウイルス量と関連した分娩後24カ月以内の死亡>
分娩後24カ月以内の死亡について、登録時(妊娠36週)CD4Tリンパ球数およびウイルス量との関連において、母乳養育を行うHIV-1感染女性コホート(266名)で検証した(タンザニア)。分娩後24カ月以内の死亡率は全体的に6.7%。CD4細胞数およびウイルス量は双方とも死亡の独立した危険因子。免疫抑制が重症であるほど、あるいは登録時ウイルス量が高いほど死亡率は高かった。妊娠後期においては2年以内死亡の予測因子として、CD4リンパ球数がウイルス量よりも有用。
JAIDS38(5):603-614,2005 MacKellar, D A et al Unrecognized HIV Infection, Risk Behaviors, and Perceptions of Risk Among Young Men Who Have Sex With Men: Opportunities for Advancing HIV Prevention in the Third Decade of HIV/AIDS.
<男性同性愛若年者における非認知HIV感染、リスク行動、リスク理解:HIV/AIDS第三10年間でのHIV予防推進機会>
男性同性愛若年者(MSM)において非認知(非自覚)HIV感染の数量的度合と分布について評価し、非認知HIV感染について、その罹患率と肛門性交、感染リスク認識の低さ、HIV検査遅延などの関連要素についても評価。研究参加者5649名中573名(10%)がHIVポジティブで、内、77%が自分の感染を知らなかった。非認知感染者中439名が過去6カ月に合計2253名の男性セックスパートナーを有し、肛門性交51%、感染リスクを低いと認識していた者59%、前年にHIV検査を受けていない者55%。
JAIDS38(5):615-617,2005 Sherman, G G et al Dried Blood Spots Improve Access to HIV Diagnosis and Care for Infants in Low-Resource Settings.
<資源の限られた地域において乾燥血斑でHIV診断へのアクセスと乳幼児ケアを改善>
(短報)HIV周産期曝露を経験した乳幼児に対し、適切なケア提供の一環としてのHIV診断へのアクセス改善を目的として、生後6週の乳幼児から乾燥血斑を採取し、Roche Amplicor HIV-1 DNA検査(Vr. 1.5)の精度を評価した(南アフリカ)。Roche Amplicor検査は100%の感受性と99.6%の特異性を発揮し、資源の限られた地域において乾燥血斑によるHIV DNA PCR法の有用性を示唆。
JAIDS38(5):618-621,2005 Minga, A K et al Behavior Assessment of Blood Donors Facing the Risk of HIV Infection, Abidjan, Cote D'Ivoire, 2001-2002.
<HIV感染リスクに直面している供血者の行動評価;コートジボアール、アビジャン、2001-2002年>
(短報)アビジャンの国立輸血センターでは毎年約30名の定期的供血者のHIV血清陽転を検知しており、直接面談による調査を実施した。HIVネガティブ定期的供血者ではHIVポジティブ供血者に比べよりリスクの高い行動が判明(複数セックスパートナー有;68%)。コンドーム使用については、HIVネガティブ供血者17%、HIVポジティブ供血者55%。
JAIDS38(5):622-626,2005 Villamor, E et al Wasting During Pregnancy Increases the Risk of Mother-to-Child HIV-1 Transmission.
<妊娠期間中るいそうがHIV-1母子感染リスクを増大>
(短報)妊娠期間中のるいそうがHIV-1母子感染リスクを増大させるか検証した。体重増加が167g/週以上の女性に比較した場合、妊娠期間中の体重減少は、子宮内母子感染、出生時HIVポジティブまたは死産、出生時HIVポジティブまたは早期新生児死亡のより高いリスクに関連。後期トリメスターの体重増加率は子宮内/早期母乳養育伝播リスクに逆相関。
AIDS19(6):539-547,2005 Tucker, J D et al Surplus men, sex work, and the spread of HIV in China.
<中国における過剰な男性人口、セックスワーク、HIVの流行>
(エディトリアルレビュー)中国において、性行動、セックスワーク、過剰な男性人口が複合的にHIV伝播に及ぼす影響を、人口統計学的および行動データを用いて説明。社会学的見地から、過剰な男性人口とセックスワーカーが将来の中国でのHIV流行および今後の介入の成否に甚大な影響を及ぼすと考える。
AIDS19(6):603-609,2005 Semrau, K et al Women in couples antenatal HIV counseling and testing are not more likely to report adverse social events.
<夫婦で出生前HIVカウンセリングと検査を受けた女性において、有害な社会的イベントの報告がより増大するということはない>
HIV母子感染予防を目的に夫婦での出生前HIVカウンセリングが促進されてきた。本研究では、出生前HIVカウンセリングを夫婦で受けた女性と単独で受けた女性とを比較し、HIV検査とネビラピン服薬、検査後の有害な社会的イベント(身体的暴力、言葉による虐待、離婚、別居など)経験について調査した。夫婦でカウンセリングを受けた女性の方が単独での女性に比しHIV検査の受容率は高かった(96% vs. 79%)が、ネビラピン服薬率の改善は認めなかった。出産後6カ月時点で、HIVポジティブ女性324名中28%が有害な社会的イベントを最低1回経験したと報告したが、カウンセリングの夫婦あるいは単独受診による差異はなし。
AIDS19(6):611-619,2005 Dandona, L et al Sex behaviour of men who have sex with men and risk of HIV in Andhra Pradesh, India.
<インドのアンドラプラデシュ州における男性同性愛者の性行動とHIVリスク>
インドでの男性と性交を有する男性(MSM)の性行動情報を入手するためアンドラプラデシュ州において大規模サンプルを対象に調査したところ、彼らの男性および女性双方との非防御性交率が高いことが判明し、インドのHIV予防活動ではMSMおよび彼らの妻にも焦点を置く必要があり、また大都市部のみに限定せず地方部でも活動の必要性があることが示唆された。2785名(41.8%)のMSMが既婚者で3354名(50.4%)が過去3カ月以内に女性と膣/肛門性交を行い、内2818名(84%)はコンドーム非使用。さらに、1585名(25.9%)はコンドームを使用せず男性と肛門性交、女性と膣/肛門性交を行っていた。
AIDS19(7):675-684,2005 Burkala, E J et al Compartmentalization of HIV-1 in the central nervous system: role of the choroid plexus.
<中枢神経系でのHIV-1の区画:脈絡叢の役割>
脈絡叢に認められるHIV-1の遺伝型および表現型の構成およびそれらの脳および末梢リンパ組織におけるウイルスとの関連性について検証した。脈絡叢には複製能力に優れたウイルスが存在し、それは脳に認められるウイルスに明確ではないにしろ酷似したもので、また、末梢のウイルスとの類似性の高いウイルスもいくつか観察した。ウイルスenvおよびpol配列の区画から、検証した各組織において特異的選択圧が存在することが示唆された。研究の結果、脈絡叢が中枢神経系親和性を有する薬剤耐性株の進化を促進する環境を提供している可能性が示唆されたが、HIV-1変株のレザバーとなる可能性は薄い。
AIDS19(7):699-708,2005 Iliff, P J et al Early exclusive breastfeeding reduces the risk of postnatal HIV-1 transmission and increases HIV-free survival.
<出生後早期の母乳養育排除が生後HIV伝播リスクを低減し、HIV非感染生存を増大>
HIV感染女性4495名と彼女達の乳児2060名(生後6週時点HIVネガティブ)を対象に母乳養育とHIV伝播との関連を調査した。母乳養育排除に比較した生後6カ月、12カ月、18カ月時点での生後伝播リスクの増大は、早期混合母乳養育ではそれぞれ4.03、3.79、2.60、母乳養育のみの場合は2.63、2.69、1.61。出生後早期の母乳養育排除が母乳養育に関連したHIV伝播リスクを低減すると思われる。
AIDS19(7):709-716,2005 Zamani, S et al Prevalence of and factors associated with HIV-1 infection among drug users visiting treatment centers in Tehran, Iran.
<イランのテヘランの治療施設に通院する薬物使用者におけるHIV-1罹患率と感染関連要因>
イランのテヘランの薬物治療施設に通院する患者におけるHIV-1罹患率と感染関連要因を同定する目的で、611名(男性588/女性23名)を登録して研究した。男性の静注薬物使用者の罹患率は15.2%で、刑務所での注射針共有経験がHIV-1感染の主な関連要因であった。静注薬物非経験者の罹患率は5.4%で、性交時のコンドーム非使用がHIV-1感染の有意な関連要因であった。
AIDS19(7):717-725,2005 Watts, H et al Rising incidence and prevalence of orphanhood in Manicaland, Zimbabwe, 1998 to 2003.
<ジンバブエManicalandにおける孤児の増大(1998-2003年)>
ジンバブエ東部Manicalandにおける孤児の発生件数およびその概要を調査した結果、孤児数および孤児発生率はHIVに起因して増大傾向にある。全体的に非孤児の中で片親を失った割合は27.5/1000人年。片親の小児中、死亡した親がベースライン時HIVポジティブであった小児は82%。非孤児に比較すると、父親死亡または両親死亡の孤児ではベースライン時の家を離れた小児がより多数に上っている。非孤児に比べ孤児の死亡率は高く、母親を失った小児で死亡率が最も高い。
AIDS19(7):727-729,2005 Nacher, M et al Risk factors for late HIV diagnosis in French Guiana.
<仏領ギアナにおけるHIV診断遅延の危険因子>
(手紙)仏領ギアナにおけるHIV診断遅延の危険因子について1952名の患者を対象に研究した。診断時30%の患者でCD4リンパ球数が200/mm3未満。年齢、男性、外国籍がCD4細胞数の低さに個別に関連。HIVの情報や検査の促進活動を実施する際には、少数民族のために数種類の言語を用いる必要がある。

 

女性・妊娠・母子感染・小児2003.9月
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AIDS 17(14):2053-2061,2003 Chenadec J L (France) et al Perinatal antiretroviral treatment and hematopoiesis in HIV-uninfected infants
[周産期抗ウイルス治療とHIV非感染出生児の造血]
AZT母児感染予防投与は出生児貧血を起こすが、さらに持続的造血障害が示唆されている。予防投与(ATZ単剤/併用)+/-のHIV感染母親からの非感染出生児4000人以上を18ヶ月追跡。AZT暴露を受けた新生児ではHgb値が一過性に低下。年齢等を考慮した多変量解析で、それ以外の血小板、好中球、リンパ球(総・CD4+/CD8+)もわずかに低かった。暴露期間と各血球系との間に負の相関を認めた。併用療法では単剤よりも15ヶ月例にわたり血球減少が大きかった。
AIDS 17(14):2089-2098,2003 Bertolli J (CDC, USA) et al Decision analysis to guide choice of interventions to reduce mother-to-child transmission of HIV
[HIV母子感染(MTCT)抑制のための介入の選択のガイドのための決断分析]
MTCT予防として周産期短期AZT投与、出産時及び新生児短期NVP投与、授乳禁止及び早期授乳中止の4手段による子供の死亡の差、授乳児と比較した授乳介入児の死亡リスク比(R)等を検討、R≦1.5では予防投薬+授乳介入が出産時早期死亡抑制に最も効果的。R>1.5及びR>1.9では早期授乳中止と授乳禁止は介入なしより死亡が多かった。授乳禁止と比較した出生後予防投与の比較効果はRの値により差があった。1つの介入がどのRにおいても授乳を介したHIV感染を25%低下させるとすれば、早期授乳中止単独よりも効果的だろう。今回の評価モデルは簡便で地域ごとに適用可能である。
JAIDS 34(1):37-44,2003 Pasquale M P D (Vanderbilt Univ Med C, USA) et al Differences in HIV-1 pol Sequences From Female Genital Tract and Blood During Antiretroviral Therapy
<抗ウイルス治療中の女性の生殖器及び血液のHIV-1polシーケンスの違い>
治療中の女性性器でHIVは増殖しているか、子宮頸内膜は優勢なウイルスソースかどうかを検討。治療失敗患者の膣頸部分泌液及び血漿両者で、薬剤と一致する耐性変異を検出。しかし変異はしばしば両試料で異なり、系統発生学的分析で系統の違いが示され、性器での増殖が示された。膣頸部洗浄液と子宮頸内膜分泌液のウイルスは明確に異なり、子宮頸内膜は膣頸部洗浄液中ウイルスの唯一のソースでないことが示唆された。
J Infect Dis 188(6):850-855,2003 Biggar R?J?(S Africa) et al The Risk of Human Immunodeficiency Virus-1 Infection in Twin Pairs Born to Infected Mothers in Africa
<アフリカの感染した母親から生まれた双子におけるHIV-1感染のリスク>
母子感染のリスクファクターとしての誕生順及び出産経路を、マラウイで1994-1998年に誕生した双子315組で検討。抗ウイルス薬投与なし。子宮内感染は誕生順で差なし。経膣出生児の周産感染も誕生順で差がなく、帝王切開では感染リスクが有意に低かった。

 

病理・基礎研究2003.9月
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AIDS 17(13):1871-1879,2003 Fiebig E W (UCSF, USA) et al Dynamics of HIV viremia and antibody seroconversion in plasma donors: implications for diagnosis and staging of primary HIV infection
[血漿ドナーにおけるHIVウイルス血症のダイナミクスと抗体陽転:一次HIV感染の診断とステージングのかかわり]
新規感染者の連続的サンプルを用いたレトロスペクティブ試験。A:1984-94年に抗HIV酵素免疫アッセイで検出された51ドナー435サンプル、B:1996-98年にp24抗原スクリーニングで検出された44ドナー145サンプル。Aにおけるウイルスマーカーの連続的出現パターンは高度に首尾一貫し、引き続く6ステージの期間の定義と概算が可能だった。Bではp24抗原陽転時のウイルス量は1万コピー時の回帰分析により算出され、前陽転フェーズ20.5hにおけるダブリングタイムに相当した。したがって検出限界50コピーのRNA検査はp24抗原試験の約7日前に、センシティブ抗HIV検査の12日前にHIV感染を検出するだろう。
AIDS 17(13):1881-1888,2003 Hazenberg M D (Netherlands) et al Persistent immune activation in HIV-1 infection is associated with progression to AIDS
[HIV患者における持続的免疫活性化はAIDSへの進展と相関する]
抗体陽転時期のわかっている患者を対象に、陽転前後のCD4、CD8活性化マーカー発現をプロスペクティブに検討。陽転前CD4低値又はCD4活性レベル増加が陽転後のAIDS進展リスク増加と相関。AIDS進展はCD4、CD8療法のナイーブ細胞の喪失と相関。CD8活性化の予測価が確認され、さらにCD4低値及びCD4分画、CD8分画の比の増加またはCD4活性化マーカー発現の増加がAIDS進展の独立的予測因子だった。
AIDS 17(13):1907-1915,2003 Hunt P W (UCSF, USA) et al Continued CD4 cell count increases in HIV-infected adults experiencing 4 years of viral suppression on antiretroviral therapy
[抗ウイルス治療で4年間のウイルス抑制を経験しているHIV患者におけるCD4増加の持続]
1998年以前にHAARTを開始し48週までにウイルス量<1000コピーを達成した患者423例のCD4変化についてのコホート試験。ウイルス量<1000コピーを持続している患者では4年にわたり持続的なCD4増加が認められた。HAART3年目から4年目にわたるCD4増加は治療前CD4が50未満、50-199、200-349、350以上の患者でそれぞれ中央値89、86、95、88。治療前CD450未満の患者では、4年までに88%が200以上、59%が350以上を達成。3から4年目CD4増加と関連する因子は治療前CD4低値、若年、女性及び低レベルウイルス血症低頻度だった。
AIDS 17(13):1983-1985,2003 Rodriguez B (Univ HP Cleveland, USA) et al Plasma levels of B-lymphocyte stimulator increase with HIV disease progression
[Bリンパ球刺激因子(BLyS)の血漿レベルはHIV進行と共に上昇]
HIV-1患者101例及び健常対照18人のBLySを測定。BLySレベルはHIV患者で高値で、CD4減少と共にBLyS及び総血清グロブリン値が増加。さらにBLySレベルはCD4<100で指数的に増加。BLyS及びグロブリン値はHIV進行と共に増加することから、HIV感染の高γグロブリン血症においてBLySが働いている可能性が示唆される。
AIDS 17(13):1985-1988,2003 Agnew L L (Australia) et al Altered lymphocyte heat shock protein 70 expression in patients with HIV disease
[HIV患者におけるリンパ球heat shock protein(HSP) 70発現の変化]
HIV患者20例及び対照15例のリンパ球におけるHSP発現を測定。Heat-shock後のHSP70増加、HIV患者および対照で各4.52倍、2.60倍と、HIV患者で有意に高値。
AIDS 17(13):2009-20011,2003 Finkel D G (Saint Michael's Med C, USA) et al Women have a greater immunological response to effective virological HIV-1 therapy
[女性では効果的な抗HIV-1治療に対する免疫学的反応が大きい]
ウイルス学的効果の見られた症例の免疫学的効果の性差を検討したところ、CD4の増加は女性のほうが高かった。機序は不明。
AIDS 17(14): 2015-2023,2003 Lange C G (Case Western Reserce Univ, USA) et al Nadir CD4+ T-cell count and numbers of CD28+ CD4+ T-cells predict functional responses to immunizations in chronic HIV-1 infection
[CD4数最低値及びCD28+CD4+細胞数はHIV-1慢性感染者における免疫に対する機能的反応を予測する]
HAARTで12ヶ月以上効果が見られたHIV-1患者29例と対照群に混合ワクチンを接種し、免疫反応を検討。循環CD4細胞数正常にもかかわらず、HAART導入前CD4最低値は免疫反応を予測したが、現在のCD4数は予測しなかった。同様にCD4の共刺激分子CD28発現も免疫反応の独立的予測因子だった。HAART導入の遅延は、循環CD4細胞数の正常化にも関わらず機能的免疫修復を障害する。
AIDS 17(14):2025-2033,2003 Freel S A (Univ NC, USA) et al Envelope diversity, coreceptor usage and syncytium-inducing phenotype of HIV-1 variants in saliva and blood during primary infection
[初期感染時の唾液及び血中のHIV-1株のエンベロープ相違性、共レセプター使用及びシンシチウム誘導フェノタイプ]
初期感染17男性の唾液及び血液サンプルのHIV-1wp比較。同一又は非常に近いHTAバンド及びC1/C2、V3エンコード3領域における推定アミノ酸シーケンスパターンが両サンプルで認められた。V1/V2HTAにより評価した場合、10例は単一のメジャーウイルス株を有し、7例は多種だが高度に関連した株を有していた。2例は血中に唾液中と同一だが比較的多種のV1/V2株を有していた。性感染ペアは一般に異なる株を示したことから、初期感染時のひとつのマイナー株の伝染もしくは急速な変異が示唆された。全例R5非SI株を有していた。
AIDS 17(14): 2035-2044,2003 Lau B (John's Hopkins Univ, USA) et al Rapid declines in total lymphocyte counts and hemoglobin concentration prior to AIDS among HIV-1-infected men
[HIV-1感染男性におけるAIDS発症前の総リンパ球(TCL)数及びヘモグロビン(Hgb)濃度の急速な低下]
推定屈曲ポイント以前では、TLC及びHgbマーカーの傾きは全例ほぼゼロ。その後AIDS発症者では両マーカーとも急速に低下。TLC10%以上、Hgb2.2%以上の低下がAIDS発症者の77%で見られたが、非発症者では23%のみ。AIDS発症者ではCD4が350から200のときに急速低下が始まり、中央値約1.6年でAIDSに進展した。
JAIDS 34(1):7-19,2003 Frank I (C Biomed Res, USA) et al Presentation of Exogenous Whole Inactivated Simian Immunodeficiency Virus by Mature Dendritic Cells Induces CD4+ and CD8+ T-Cell Responses
[成熟樹状細胞(DC)による外因性全非活性化SIVの出現はCD4及びCD8陽性T細胞反応を誘導する]
化学的に活性化したAT-2 SIVを機能的エンベロープ糖タンパクと共に用いて、ウイルスと樹状細胞の相互作用を調べ、T細胞に対するDCによるSIV抗原の発現の質を評価するin vitroシステムを開発した。AT-2 SIVは確実にT細胞及びDCと相互作用し、そのため自然のSIV特異的反応の評価が可能である。SIV感染サルの血液又はリンパ節のCD4及びCD8陽性細胞はIFNγを産出し、種々のAT-2 SIV株に対するにおいて増殖した。反応はビリオンの定量的エンベロープ糖タンパク濃度の機能として有意なばらつきはなかった。DCによるAT-2 SIV由来の抗原の出現は匹敵する抗原をもつ単球による出現よりも強かった。SIV-pulsed成熟DCはCD4及びCD8両方の反応を刺激したが、未熟DCは主としてCD4細胞を刺激した。
JAIDS 34(1):50-57,2003 Kousignian I (France) et al Modeling the Time Course of CD4 T-Lymphocyte Counts According to the Level of Virologic Rebound in HIV-1-Infected Patients on Highly Active Antiretroviral Therapy
[HAART治療のHIV-1患者におけるウイルスリバウンドレベルによるCD4数の経時変化のモデリング]
フランスHIVデータベース登録の初回HAARTでウイルス量検出限界以下の3,736例を対象に、ウイルスリバウンドのCD4経時変化に対する影響を検討。リバウンドの程度により4群に分け比較したところ、全群CD4は経時的に継続的増加。リバウンドの程度が低いほどCD4上昇が大きかった。増加スピードは6ヵ月後以降低下し、リバウンドの最も高い群ではほぼゼロだった。
JAIDS 34(1):76-83,2003 CASCADE Collaboration (EU) Differences in CD4 Cell Counts at Seroconversion and Decline Among 5739 HIV-1-Infected Individuals with Well-Estimated Dates of Seroconversion
[抗体陽転(SC)時期の明確なHIV-1患者5,739例における陽転時のCD4の違いと減少]
SC時のCD4数は性別、暴露経路、年齢により有意に異なり、女性、血友病男性、IDU及びSC時40歳以上の症例で高かった。CD4低下率は性差なく、潜伏期間を通して男女差は一定。CD4傾斜とSC時年齢との間に一定の相関があり、高齢者では傾斜が急だった。SCから5年後の高齢者と若年者とのCD4差中央値は90。CD4低下率中央値は急性感染期に診断された症例で有意に急だった。1994年以降に陽転した症例におけるCD4の早い減少についてのエビデンスは得られなかった。急なCD4低下傾斜を示す血友病患者を別として、CD4傾斜に暴露経路による差はなし。免疫状況に基づくHAARTあるいは他の介入開始前に人口統計学的因子を考慮することは意義があると示唆された。
J Infect Dis 188(6):856-863,2003 Dorak M?T?(Univ Alabama, USA) et al Influence of Human Leukocyte AntigenB22 Alleles on the Course of Human Immunodeficiency Virus Type 1 Infection in 3 Cohorts of White Men
[白人男性対象のコホート3試験におけるHIV-1感染症の経過に対するHLA-B22対立遺伝子の影響]
白人男性でHLA-B22サブグループは早い病期進行と関連している。ほぼ同時期に陽転した白人ホモセクシャル男性671例はHLA-A,B及びCだった。感染初期のウイルス量はB22陰性例より陽性例で多かった。容認されている進行マーカーと独立的に、B22陽性例ではAIDSまでの期間が短かった。B22(*55及び56)陽性白人はB*35及び53の一部又は全てと同程度に転帰が悪いようだ。B22は白人よりアジア人で高頻度である。
J Infect Dis 188(6):864-872,2003 Koning F?A?(Netherlands) et al Decreasing Sensitivity to RANTES (Regulated on Activation, Normally T CellExpressed and Secreted) Neutralization of CC Chemokine Receptor 5Using, NonSyncytium-Inducing Virus Variants in the Course of Human Immunodeficiency Virus Type 1 Infection
[HIV-1感染症経過におけるCCR5使用非シンシチウム誘導(SI)ウイルス株のRANTES中和に対する感受性低下]
HIV-1感染者の約半数で、CXCR4使用SIウイルスがAIDS早期進行に先立ち発現する。他の患者では、CCR5使用(R5)非SI(NSI)ウイルスが感染を通して存在している。R5のみを有する患者の進行のばらつきの機序は明確でない。今回R5,NSIウイルスを有する患者のΒ-ケモカイン感受性を調べたところ、感染進行例ではRANTES中和に対するウイルスの感受性が有意に低下しており、長期生存例では増加していなかった。
J Infect Dis 188(6):873-882,2003 Papasavvas E?(Child HP Philadelphia, USA) et al Presence of Human Immunodeficiency Virus1Specific CD4 and CD8 Cellular Immune Responses in Children with Full or Partial Virus Suppression
[完全又は一部ウイルス抑制された小児におけるHIV-1特異的CD4及びCD8細胞免疫応答の存在]
感染児48例で抗ウイルスT細胞反応を評価。症例はCD4が定常又は減少、ウイルスレベルは種々、抗ウイルス療法あり/なし。ウイルス量が<40及び<5万でCD4が安定したことのある例ではウイルス量>5万の症例と比し抗HIV T細胞増殖反応が増加、CD38+細胞が減少、CD8+/CD28+比が高値。CD8+細胞活性レベルは治療でウイルス抑制されない患者で高かったが、各群有意差なし。抗HIV CD4+及びCD8+細胞反応レベルは相関しなかったが、これらのレベルは特異的T細胞サブセット割合と相関した。CD4安定は完全又は部分的ウイルス抑制をもたらした治療の結果として、抗HIV CD4+反応レベル増加及びT細胞活性化低下と相関した。

 

耐性2005.4月
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JAIDS38(5):545-552,2005 Descamps, D et al French National Sentinel Survey of Antiretroviral Drug Resistance in Patients With HIV-1 Primary Infection and in Antiretroviral-Naive Chronically Infected Patients in 2001-2002.
<HIV-1一次感染者および抗レトロウイルス薬未経験慢性感染者における、抗レトロウイルス薬薬剤耐性に関するフランス国内センチネルサーべイ(2001-2002)>
HIV-1一次感染者(303名)および抗レトロウイルス薬未経験慢性感染者(363名)において、抗レトロウイルス薬遺伝子型薬剤耐性の出現率および非Bサブタイプ罹患率を調査した(フランス)。2001-2002年の期間、未治療患者でのHIV-1耐性出現率は以前の調査に比較し有意に高いものではなかったが、非Bサブタイプの罹患率は増大し、急性感染者の24%(1999-2000年;19%)、慢性感染者の33.2%(1998年;10%)が非BサブタイプHIV-1株を有した。
AIDS19(6):630-632,2005 Wirden, M et al Clonal analyses of HIV quasispecies in patients harbouring plasma genotype with K65R mutation associated with thymidine analogue mutations or L74V substitution.
<チミジン類似体変異またはL74V置換に関連した血漿遺伝子型K65R変異を持つ患者におけるHIV準種のクローン解析>
(手紙)血漿遺伝子型検査でチミジン類似体変異(TAM)またはL74V置換を伴うK65R変異を有する患者において、HIV準種のクローン解析を実施した。K65RとTAM(M41L、D67N、T215Y/D、L210W、K219Eなど)は同一ウイルスに提示されることが示された。K65RとL74V置換双方が認められたクローンは皆無。さらに、S68GとV75I変異は必ずしもK65Rに関連してはおらず、それら自体の特異な耐性効果を有する可能性がある。
AIDS19(7):653-661,2005 Schenal, M et al Distinct patterns of HIV-specific memory T lymphocytes in HIV-exposed uninfected individuals and in HIV-infected patients.
<HIV曝露非感染者およびHIV感染者におけるHIV特異記憶Tリンパ球の明瞭なパターン>
HIV曝露非感染者とHIV感染者において、HIV特異記憶Tリンパ球のパターンが異なるのか検証した。観察から、HIV曝露非感染者において非感染細胞と中枢記憶(CM)とが非対称的であり、ハイリスクのセロネガティブ者への曝露がCM/効果記憶比を変化させるほどに大きいことを示唆。後期エフェクターおよびナチュラルキラー細胞の増大をHIV曝露非感染者で認め、感染予防に関してこうした細胞の役割が示唆される。
AIDS19(7):731-733,2005 Johnston, E et al Panel of prototypical infectious molecular HIV-1 clones containing multiple nucleoside reverse transcriptase inhibitor resistance mutations.
<多数の核酸系逆転写酵素阻害薬耐性変異を含む感染性分子HIV-1クローンのプロトタイプのパネル>
(手紙)個々の核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)への耐性に関わる逆転写酵素変異の共通パターンを含むHIV-1組換え体感染性クローンのパネルを作成し、米国公衆衛生研究所AIDS Research and Reference Reagent Programmeに提出した。新たな抗レトロウイルス製剤の活性をこの薬剤耐性クローンのパネルに対して試験することで、多くのNRTI耐性ウイルスへの相対的活性を同定可能。

 

ワクチン関連2005.2月号
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JAIDS38(2):124-134,2005 Van R et al Body Composition and Metabolic Changes in Antiretroviral-Naive Patients Randomized to Didanosine and Stavudine vs. Abacavir and Lamivudine.
<ジダノシンとスタブジンvs アバカビルとラミブジンに無作為化した抗レトロウイルス療法未経験患者における体型と代謝変化>
マカク哺乳仔に生後3週間の期間、シミアン免疫不全ウイルス(SIV)構造蛋白Gag、Pol、Envを発現する組換え型ポックスウイルスワクチン(ALVAC-SIVまたは修正ワクシニアウイルスAnkara [MVA]-SIV)による複数回の免疫処置を施して研究した。生後4週間、有毒なSIVmac251を毎日繰り返し口腔内接種したところ、免疫処置を施したマカクでは無処置のマカクに比し感染発生が有意に少なかった。ヒト乳児においても、ポックスウイルスベースのHIVワクチンが母乳からの早期/後期HIV感染に対して防護的効果を発揮する可能性がある。
JAIDS38(2):135-141,2005 Rychert, J et al The Antibody Response to SIV in Lactating Rhesus Macaques.
<泌乳期アカゲザルにおけるSIVへの抗体応答>
HIV母乳感染モデルとして、授乳中アカゲザル14頭において乳汁および血漿中の体液性免疫応答の特徴を検証したところ、HIV感染女性のそれに匹敵するものであり、HIV母乳感染において抗体の機能的役割を解明するのにSIVアカゲザルモデルが有用であることを示唆。
AIDS19(2):137-144,2005 Lova, L et al Hydroxyurea exerts a cytostatic but not immunosuppressive effect on T lymphocytes.
<ヒドロキシ尿素はTリンパ球への細胞増殖抑制効果を発揮するが免疫抑制効果はない>
ヒドロキシ尿素(HU)は用量依存性細胞増殖抑制効果を有するにもかかわらず、免疫抑制効果を発揮しないことを検証したところ、HUは、活性化を変化させることなく、また、明らかに免疫抑制効果を有することなく、Tリンパ球に細胞増殖抑制効果を発揮した。全体的なHIV特異免疫応答の障害なしに、単一細胞レベルでのサイトカインの生成増大が、活性化CD4Tリンパ球百分率の低下を補填すると思われる。

 

2003.6月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 33(2):211-218,2003 Farley J (Univ Maryland Sch Med, USA) et al Assessment of Adherence to Antiviral Therapy in HIV-Infected Children Using the Medication Event Monitoring System, Pharmacy Refill, Provider Assessment, Caregiver Self-Report, and Appointment Keeping
[Medication Event Monitoring System(MEMS)、薬局詰替え、医療者評価、介護人自己報告及び来院持続行動を用いたHIV患児における抗ウイルス治療アドヒアランスの評価]
種々のアドヒアランス評価を、3剤以上の治療を受けている垂直感染児26例と介護人を対象に6ヵ月間比較検討。MEMSによるアドヒアランスは12.7-97.9%であり、対象者の42%がアドヒアランス80%未満だった。MEMSアドヒアランス80%以上と6ヵ月後のウイルス量検出限界以下とは相関していた。MEMSほどではないが薬局詰替え率もウイルス効果と相関し、両者併用で最も有用率が高かった。
JAIDS 33(2):253-258,2003 Alcoba M (Spain) et al Assessment of Adherence to Triple Antiretroviral Treatment Including Indinavir: Role of the Determination of Plasma Levels of Indinavir
[IDVを含む3剤併用療法のアドヒアランスの評価:IDV血漿中濃度の測定の役割]
IDVを含むHAARTを6ヶ月以上服用している106例を対象に、3方法(質問表、薬局訪問時期の正確さ及びIDV血中濃度)でアドヒアランスを評価したところ、3方法による評価の一致率は低かった。アドヒアランス評価にゴールドスタンダードはなく、いくつかを組合わせると欠点を最小化することが可能。IDV濃度測定はそれ以上の追加情報をもたらさないと思われた。更なる検討を要する。
JAIDS 33(2):276-277,2003 Wagner G J (USA) et al Assessing Usual Care in Clinical Trials of Adherence Interventions for Highly Active Antiretroviral Therapy [Letter]
[HAARTのアドヒアランス介入臨床試験における通常のケアの評価]
アドヒアランス介入試験で”通常のケア”が行われてるが、多岐にわたるものであり、ケア自体の評価が必要である。
AIDS 17(9):1383-1387,2003 Liechty C A (SF GP, USA) et al Doubts about DOT: antiretroviral therapy for resource-poor countries
[DOT(直接監視下療法)についての疑念:リソースの乏しい国での抗ウイルス治療]
結核に対するDOTの効果、リソースの豊富な/乏しい国での抗HIV療法のアドヒアランス、アドヒアランスと耐性の関連及びHIV/結核に対するスティグマについての文献をレビューしたところ、HIV DOTは未熟と考えられた。DOTが自己服薬療法より優れるということの曖昧なエビデンス、リソースの乏しい国はアドヒアランスに関しては特別なケースだという誤った仮定、耐性に対する良好なアドヒアランスの逆説的インパクトの可能性、証明されていない抗ウイルス薬のHIV伝染予防効果及び毎日の内服に対する潜在的なstigmatizationなどが認められた。
AIDS 17(9):1417-1418,2003 Nieuwkerk P T (Netherlands) Electronic monitoring of adherence to highly active antiretroviral therapy changes medication-taking behaviour? [Correspondence]
[HAARTアドヒアランスの電子的モニタリングは服薬行動を変えるか?]
HowardらによりMEMSを用いたアドヒアランス調査が報告されたが、月を追ってアドヒアランスの低下が見られている。MEMSは単独で用いられた場合にアドヒアランスを正確に把握できる方法であるが、服薬行動を改善するものではない。
Clin Infect Dis 36(12):1572-1576,2003 Wohl DA (Univ North Carolina, USA) et al Adherence to Directly Observed Antiretroviral Therapy among Human Immunodeficiency Virus-Infected Prison Inmates
[HIV感染収監者における直接監視下(DOT)抗ウイルス療法のアドヒアランス]
31例の収監者を対象にDOTのアドヒアランスをプロスペクティブに評価。アドヒアランス中央値は、ピル数による評価で90%、電子モニターキャップで86%、自己評価で100%。電子モニターキャップによるアドヒアランスは、32%の患者で90%以上。91%で、投薬記録によるアドヒアランスは電子モニターキャップでの評価より高かった。DOTの利用でもアドヒアランスは確実ではなかった。
AIDS 17(10):1565-1568,2003 Desai N (SUNY Downstate MC, USA) et al Lactate levels in children with HIV/AIDS on highly active antiretroviral therapy
[HAART施行のHIV/AIDS小児における乳酸値]
HIV/AIDS小児127例から静脈血乳酸値データ251件を採取。104例はHAART中。非症候性高乳酸血症(>2mmol/L)は41例、肝機能異常や致死性アシドーシスはなし。非症候性高乳酸血症はNRTI又はPI治療、治療レジメンによらずウイルス量検出限界以下と関連。乳酸値はアドヒアランス評価に有用と示唆された。

 

免疫・遺伝子 2005.4月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS38(5):509-517,2005 Zhao, X-Y et al Functional Analysis of Naturally Occurring Mutations in the Open Reading Frame of CCR5 in HIV-Infected Chinese Patients and Healthy Controls.
<HIV感染中国人患者および健康コントロールでのCCR5のオープンリーディングフレームにおける自然発生変異についての機能的解析>
HIVコレセプタのCCケモカインレセプタ(CCR)5の多型性を香港在住中国人成人1099名(HIVネガティブ;785名、HIVポジティブ;314名)で調査した。CCR5のオープンリーディングフレームに変異体を認めたが、発生数にHIV感染/非感染での相違はなし。最も優勢なCCR5変異体はR223Qで、出現率は0.046であったが、in vitroでHIV感染への影響は認めなかった。299(FS)に類似した、第3膜貫通ドメインに位置するG106R変異体では、ECL2でのコンホメーションの変化を通じたHIVコレセプタ機能低下をin vitroで認めた。
JAIDS38(5):584-589,2005 Duggal, P et al The Effect of RANTES Chemokine Genetic Variants on Early HIV-1 Plasma RNA Among African American Injection Drug Users.
<静注薬物使用のアフリカ系米国人においてRANTESケモカイン遺伝子変異体が早期HIV-1血漿中RNAに及ぼす影響>
血清変換日が明白な静注薬物使用者198名において陽転後2年以内にHIV-1血漿中RNAを測定し、ケモカインレセプタおよびケモカインRANTESの遺伝子変異体を同定した。早期HIV-1血漿中RNAについてのRANTESハプロタイプの線形回帰で、RANTES R1ハプロタイプにホモ接合を有する者のウイルス量が低いことを認めた(非RANTES R1ハプロタイプを有する者に比しほぼ1/2 log10ユニット)。RANTESの遺伝子変異体はRANTES遺伝子発現をダウンレギュレートし、早期HIV-1血漿中RNAを増大させる可能性がある。
AIDS19(6):549-554,2005 Harrigan, P R et al Rare mutations at codon 103 of HIV-1 reverse transcriptase can confer resistance to non-nucleoside reverse transcriptase inhibitors.
<HIV-1逆転写酵素のコドン103での稀な変異が非核酸系逆転写酵素阻害薬に対し耐性を付与>
2カ所のデータベースの合計70,000 件以上の臨床サンプルからK103置換を検証したところ、K103N/R/Sを1カ所のデータベースのサンプルの29/1.8/0.9%に、もう1カ所のデータベースのサンプルの16/1.5/0.4%にそれぞれ観察した。K103T/Q/H置換はごく稀(0.2%未満)。異常なコドン103置換の出現率は過去5年間一定であるが、K103Sについては双方のデータベースで4倍以上に増大。K103R/Q置換を有する臨床分離株は非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)に対して表現型感受性を維持しており、一方、K103T/S/H置換を有する臨床分離株では10倍以上のNNRTIへの感受性低下を示した。K103T/S/H置換は、治療歴が判明している患者の中でNNRTIが奏効しなかった患者に主に認められた。K103T/S/H置換を有する組換え体において、部位特異的変異体のNNRTIへの感受性低下を確認した。
AIDS19(6):555-562,2005 Stone, S F et al HIV patients on antiretroviral therapy have high frequencies of CD8 T cells specific for Immediate Early protein-1 of cytomegalovirus.
<抗レトロウイルス療法受療患者ではサイトメガロウイルス極初期蛋白1特異CD8T細胞の出現率が高い>
免疫不全であったHIV患者で現在HAARTによりHIV血症を検出限界未満に維持する(最低6カ月)患者において、サイトメガロウイルス(CMV)特異CD8T細胞の出現率と表現型を評価した。コントロール(HIVセロネガティブ)に比し、HIV患者ではIE-1特異、IFNγ産生パーフォリンポジティブCD8T細胞数が増大していた。IE-1はCMV再活性化時に早期に発現するため、こうした細胞がCMVの病原性発揮レベルにまでの複製抑制に重要である可能性がある。
AIDS19(6):563-567,2005 Kvale, D et al Divergent in vitro and in vivo correlates of HIV-specific T-cell responses during onset of HIV viraemia.
<HIVウイルス血症発症時のHIV特異T細胞応答のin vitroとin vivoにおける相違>
(短報)末梢血単核細胞(PBMC)におけるHIVウイルス血症発症時のin vitroの HIV特異細胞性応答をin vivoのそれと比較し研究したところ、HIVウイルス血症再発時応答が互いに異なるという知見を得た。両者のHIV関連免疫応答に関する代理マーカについて臨床的関連性を今後の研究で比較検討する必要がある。
AIDS19(6):627-630,2005 Puissant, B et al Decrease of Lewis frequency in HIV-infected patients: possible competition of fucosylated antigens with HIV for binding to DC-SIGN.
<HIV患者におけるルイス型出現率の低下:DC-SIGNへの結合におけるフコシル化抗原のHIVとの競合の可能性>
(手紙)HIV感染におけるヒトABOグリコシルトランスフェラーゼおよびルイス型と分泌者のフコシルトランスフェラーゼの多型性の影響について検証し、健康供血者に比し、HIV感染患者で有意なLea-b+表現型の出現率低下を認めた。結果、ルイスb抗原がHIV感染に若干の防御的効果を有することが示唆され、これは恐らくDC-SIGNへの結合におけるルイス抗原のHIVとの競合によるものと考えられる。
AIDS19(7):663-673,2005 Fang, R Ho T et al Disease progression in macaques with low SIV replication levels: on the relevance of TREC counts.
<SIV複製度合の低いマカクにおける疾患進展:TRECカウントとの関連性において>
長期弱毒化感染の病原性を確認し、そうした感染期間でのT細胞ダイナミクスについて詳細を明らかにする目的で研究した結果、弱毒化SIV感染の病因において胸腺が主な役割を果たし、ウイルス負荷が低い場合、胸腺からの継続的アウトプットによってCD4T細胞のホメオスターシスが維持されることが示唆された
AIDS19(7):734-735,2005 Harrer, E G et al A conserved HLA B13-restricted cytotoxic T lymphocyte epitope in Nef is a dominant epitope in HLA B13-positive HIV-1-infected patients.
<Nefで維持されたHLA B13-制限細胞傷害性Tリンパ球エピトープは、HLA B13-ポジティブHIV-1感染者において支配的エピトープ>
(手紙)HLA B13-制限極小Tリンパ球(CTL)エピトープのRQDILDLWI(RI9、HIV-1Nefのアミノ酸106?114)について報告。ほとんどの患者でRI9特異CTL出現率が他のエピトープに対するCTLの出現率を上回り、RI9がHLA B13-ポジティブHIV-1感染者において支配的エピトープであることが示唆された。HLA B13とHIV-1感染での良好な経過との関連性について既に発表されているが、この関連性はこの支配的Nefエピトープの認識によってもたらされるのではないかと推測され、このHLA B13エピトープをHIV-1特異ポリトープワクチンのデザインで考慮すべきではないかと考える。