HIV/AIDS関連文献情報
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免疫・遺伝子 2005.4月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS38(5):509-517,2005 Zhao, X-Y et al Functional Analysis of Naturally Occurring Mutations in the Open Reading Frame of CCR5 in HIV-Infected Chinese Patients and Healthy Controls.
<HIV感染中国人患者および健康コントロールでのCCR5のオープンリーディングフレームにおける自然発生変異についての機能的解析>
HIVコレセプタのCCケモカインレセプタ(CCR)5の多型性を香港在住中国人成人1099名(HIVネガティブ;785名、HIVポジティブ;314名)で調査した。CCR5のオープンリーディングフレームに変異体を認めたが、発生数にHIV感染/非感染での相違はなし。最も優勢なCCR5変異体はR223Qで、出現率は0.046であったが、in vitroでHIV感染への影響は認めなかった。299(FS)に類似した、第3膜貫通ドメインに位置するG106R変異体では、ECL2でのコンホメーションの変化を通じたHIVコレセプタ機能低下をin vitroで認めた。
JAIDS38(5):584-589,2005 Duggal, P et al The Effect of RANTES Chemokine Genetic Variants on Early HIV-1 Plasma RNA Among African American Injection Drug Users.
<静注薬物使用のアフリカ系米国人においてRANTESケモカイン遺伝子変異体が早期HIV-1血漿中RNAに及ぼす影響>
血清変換日が明白な静注薬物使用者198名において陽転後2年以内にHIV-1血漿中RNAを測定し、ケモカインレセプタおよびケモカインRANTESの遺伝子変異体を同定した。早期HIV-1血漿中RNAについてのRANTESハプロタイプの線形回帰で、RANTES R1ハプロタイプにホモ接合を有する者のウイルス量が低いことを認めた(非RANTES R1ハプロタイプを有する者に比しほぼ1/2 log10ユニット)。RANTESの遺伝子変異体はRANTES遺伝子発現をダウンレギュレートし、早期HIV-1血漿中RNAを増大させる可能性がある。
AIDS19(6):549-554,2005 Harrigan, P R et al Rare mutations at codon 103 of HIV-1 reverse transcriptase can confer resistance to non-nucleoside reverse transcriptase inhibitors.
<HIV-1逆転写酵素のコドン103での稀な変異が非核酸系逆転写酵素阻害薬に対し耐性を付与>
2カ所のデータベースの合計70,000 件以上の臨床サンプルからK103置換を検証したところ、K103N/R/Sを1カ所のデータベースのサンプルの29/1.8/0.9%に、もう1カ所のデータベースのサンプルの16/1.5/0.4%にそれぞれ観察した。K103T/Q/H置換はごく稀(0.2%未満)。異常なコドン103置換の出現率は過去5年間一定であるが、K103Sについては双方のデータベースで4倍以上に増大。K103R/Q置換を有する臨床分離株は非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)に対して表現型感受性を維持しており、一方、K103T/S/H置換を有する臨床分離株では10倍以上のNNRTIへの感受性低下を示した。K103T/S/H置換は、治療歴が判明している患者の中でNNRTIが奏効しなかった患者に主に認められた。K103T/S/H置換を有する組換え体において、部位特異的変異体のNNRTIへの感受性低下を確認した。
AIDS19(6):555-562,2005 Stone, S F et al HIV patients on antiretroviral therapy have high frequencies of CD8 T cells specific for Immediate Early protein-1 of cytomegalovirus.
<抗レトロウイルス療法受療患者ではサイトメガロウイルス極初期蛋白1特異CD8T細胞の出現率が高い>
免疫不全であったHIV患者で現在HAARTによりHIV血症を検出限界未満に維持する(最低6カ月)患者において、サイトメガロウイルス(CMV)特異CD8T細胞の出現率と表現型を評価した。コントロール(HIVセロネガティブ)に比し、HIV患者ではIE-1特異、IFNγ産生パーフォリンポジティブCD8T細胞数が増大していた。IE-1はCMV再活性化時に早期に発現するため、こうした細胞がCMVの病原性発揮レベルにまでの複製抑制に重要である可能性がある。
AIDS19(6):563-567,2005 Kvale, D et al Divergent in vitro and in vivo correlates of HIV-specific T-cell responses during onset of HIV viraemia.
<HIVウイルス血症発症時のHIV特異T細胞応答のin vitroとin vivoにおける相違>
(短報)末梢血単核細胞(PBMC)におけるHIVウイルス血症発症時のin vitroの HIV特異細胞性応答をin vivoのそれと比較し研究したところ、HIVウイルス血症再発時応答が互いに異なるという知見を得た。両者のHIV関連免疫応答に関する代理マーカについて臨床的関連性を今後の研究で比較検討する必要がある。
AIDS19(6):627-630,2005 Puissant, B et al Decrease of Lewis frequency in HIV-infected patients: possible competition of fucosylated antigens with HIV for binding to DC-SIGN.
<HIV患者におけるルイス型出現率の低下:DC-SIGNへの結合におけるフコシル化抗原のHIVとの競合の可能性>
(手紙)HIV感染におけるヒトABOグリコシルトランスフェラーゼおよびルイス型と分泌者のフコシルトランスフェラーゼの多型性の影響について検証し、健康供血者に比し、HIV感染患者で有意なLea-b+表現型の出現率低下を認めた。結果、ルイスb抗原がHIV感染に若干の防御的効果を有することが示唆され、これは恐らくDC-SIGNへの結合におけるルイス抗原のHIVとの競合によるものと考えられる。
AIDS19(7):663-673,2005 Fang, R Ho T et al Disease progression in macaques with low SIV replication levels: on the relevance of TREC counts.
<SIV複製度合の低いマカクにおける疾患進展:TRECカウントとの関連性において>
長期弱毒化感染の病原性を確認し、そうした感染期間でのT細胞ダイナミクスについて詳細を明らかにする目的で研究した結果、弱毒化SIV感染の病因において胸腺が主な役割を果たし、ウイルス負荷が低い場合、胸腺からの継続的アウトプットによってCD4T細胞のホメオスターシスが維持されることが示唆された
AIDS19(7):734-735,2005 Harrer, E G et al A conserved HLA B13-restricted cytotoxic T lymphocyte epitope in Nef is a dominant epitope in HLA B13-positive HIV-1-infected patients.
<Nefで維持されたHLA B13-制限細胞傷害性Tリンパ球エピトープは、HLA B13-ポジティブHIV-1感染者において支配的エピトープ>
(手紙)HLA B13-制限極小Tリンパ球(CTL)エピトープのRQDILDLWI(RI9、HIV-1Nefのアミノ酸106?114)について報告。ほとんどの患者でRI9特異CTL出現率が他のエピトープに対するCTLの出現率を上回り、RI9がHLA B13-ポジティブHIV-1感染者において支配的エピトープであることが示唆された。HLA B13とHIV-1感染での良好な経過との関連性について既に発表されているが、この関連性はこの支配的Nefエピトープの認識によってもたらされるのではないかと推測され、このHLA B13エピトープをHIV-1特異ポリトープワクチンのデザインで考慮すべきではないかと考える。

 

免疫・遺伝子 2005.3月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS19(3):241-250,2004 Bansal, A et al CD8 T-cell responses in early HIV-1 infection are skewed towards high entropy peptides.
<早期HIV-1感染におけるCD8T細胞応答は高エントロピーペプチドに対して非対称性を示す>
HIV-1疾患進展においてT細胞応答の特異的標的の根源となるメカニズムを解明する目的で、早期/急性感染者21名および慢性感染者88名の被験者から末梢血単核細胞を入手し、HIV特異CD8T細胞応答のクロスセクショナル分析を実施した。また、5名の早期感染者においてT細胞応答の経時的分析も実施。データから、CD8T細胞は早期感染においては様々なペプチドを選択的に標的とするが、その頻度は慢性感染期間に顕著に減少し、これはほとんどが細胞傷害性Tリンパ球の逸脱によることが判明した。
AIDS19(3):251-259,2005 Makedonas, G et al Comparison of HIV-specific CD8 T-cell responses among uninfected individuals exposed to HIV parenterally and mucosally.
<非経口あるいは粘膜経路によるHIV感染リスクを有する非感染者においてHIV特異CD8T細胞応答を比較>
HIV感染リスクを有する非感染者において、HIV特異CD8T細胞応答の出現にHIV曝露の経路が及ぼす影響を評価する目的で、2群間(1.性的経路20名、2.静注経路27名)で比較検証したところ、両群間で特徴的に類似したHIV特異CD8T細胞応答の出現を認めた。
AIDS19(3):261-271,2005 Almeida, M et al Different subsets of peripheral blood dendritic cells show distinct phenotypic and functional abnormalities in HIV-1 infection.
<HIV-1感染者において、末梢血樹状細胞の異なるサブセットが明瞭な表現型および機能的異常を示す>
HIV-1感染者におけるケモカインレセプタの分布と発現、末梢血(PB)単核細胞および樹状細胞(DC)による炎症性サイトカインのex vivo産生を分析するため、未治療進展患者30名のPBサンプルを研究した。結果、HIV-1と骨髄様DC/プラスマ細胞様DC双方との間に選択的相互作用が存在することが支持された。これは、in vivo免疫システムの活性化を反映して、炎症性サイトカインのHCV共感染独立性自然産生に関連しており、DC機能減損を一層助長する可能性がある。
AIDS19(3):341-342,2005 Alonso-Villaverde C et al The efavirenz-induced increase in HDL-cholesterol is influenced by the multidrug resistance gene 1 C3435T polymorphism.
<エファビレンツ誘導HDL-コレステロール増加は多剤耐性遺伝子1 C3435T多型性の影響を受ける>
(手紙)エファビレンツをベースとした治療を開始するHIV感染者59名において、ベースラインおよび12カ月時点の脂質を測定し変化を評価した。治療でHDL-コレステロール値が増大し、この変化は多剤耐性遺伝子1多型性(CC CT TT)の影響を受けたと思われる。
AIDS19(4):371-380,2005 Saitoh, A et al An MDR1-3435 variant is associated with higher plasma nelfinavir levels and more rapid virologic response in HIV-1 infected children.
<HIV-1感染児において、MDR1-3435変株は血漿中ネルフィナビル濃度および急速なウイルス学的応答に関連>
HIV-1感染児において、多剤耐性トランスポータ遺伝子(MDR1)およびチトクロームP450(CYP)遺伝子の単一のヌクレオチド多型性が、ネルフィナビルおよびエファビレンツの薬物動態とHAARTへの応答に及ぼす影響を検証した。MDR1-3435-C/T遺伝子型を有する小児は、C/C遺伝子型の小児に比し、治療開始8週時点でHAARTへのウイルス学的応答がより急峻で、血漿中ネルフィナビル濃度も高いことを観察。こうした知見から、ネルフィナビルを含むHAARTへのウイルス学的応答および薬物動態において、P-糖蛋白が重要な役割を果たす可能性がある。
AIDS19(4):381-389,2005 Moore, J S et al Increased levels of galactose-deficient IgG in sera of HIV-1-infected individuals.
<HIV-1感染者での血清ガラクトース欠損IgG量の増加>
HIV-1ポジティブ患者において血清中IgGの糖化を評価した。HIV-1感染者では健康コントロールに比べ、ガラクトース欠損IgG量が有意に高値。本欠損は全血清糖蛋白を評価した場合、主としてIgGに限定されたものであったが、全患者で最も影響を受けていたサブクラスはIgG1。
AIDS19(4):391-397,2005 Plantier, J-C et al HIV-1 resistance genotyping on dried serum spots.
<乾燥血清斑を用いたHIV-1耐性遺伝子型タイピング>
乾燥血清斑のHIV-1M群耐性遺伝子型タイピングの実行可能性を評価した。試験サンプルは、未治療患者、治療中患者、治療中断患者から入手。結果、抗レトロウイルス薬への耐性モニタリングおよびHIV多様性の分子疫学に関して、この乾燥血清斑による方法が実行可能であることが判明。サンプルの準備や保存および輸送が簡単で、本法は患者および疫学的モニタリングにとって重要なツールとなる可能性がある。

遺伝子 2004.12月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS37(4):1435-1444,2004 Francois-Bongarcon, V et al Cross-Clade CD8 T-Cell Responses to HIV IIIB and Chinese B' and C/B' Viruses in North American and Chinese HIV-Seropositive Donors.
<北米人および中国人HIVセロポジティブドナーでのHIV IIIBとチャイニーズB'およびC/B'ウイルスへの交差クレードCD8T細胞反応>
HIV変異はAIDSワクチンの障害となっている。HIV感染北米人および中国人ドナーから得たCD8T細胞を用いて、HIV IIIBと代表的B'(タイB)および組換え体C/B'ウイルス株の交差認識を比較した。結果、IIIBウイルスと優勢なチャイニーズウイルス株への交差クレードCD8T細胞反応が共通して認められた。
JAIDS37(4):1445-1453,2004 Zheng, J et al Ethanol Stimulation of HIV Infection of Oral Epithelial Cells.
<口腔上皮細胞のHIV感染におけるエタノール刺激>
受動的オーラルセックスや授乳時に口腔上皮細胞が体外HIVに感染する可能性がある。口腔内HIV感染に対して、アルコールが宿主防御機構を弱体化することが考えられ、HIV株であるNL4-3に緑色蛍光タンパク質強化遺伝子を挿入し、患者から得た口腔上皮細胞に感染させ観察した結果、細胞培養の状態において、商業的に入手可能なアルコール濃度で、口腔上皮細胞におけるHIVの感染効率を刺激することが示唆された。
JAIDS37(4):1534-1538,2004 Winkler, C A et al Dominant Effects of CCR2-CCR5 Haplotypes in HIV-1 Disease Progression.
<HIV-1疾患進展におけるCCR2-CCR5ハプロタイプの顕著な影響>
CCR2 64I、CCR5 Δ32、およびCCR5プロモータハプロタイプ+.P1.+のAIDS進展への相対寄与に関して、急速な進展患者および緩慢な進展患者を中間進展患者を含むコントロール群とそれぞれ比較し報告:1)CCR5 Δ32の早期予防的効果はその強度においてCCR5+.P1.+の早期感受的効果と類似、2)これら3つのファクターの影響は早期進展で強い傾向、3)長期間のAIDS非進展の維持にはCCR5あるいはCCR2の遺伝的変異以外のファクターが関与している。
AIDS18(17):2243-2252,2004 Capoulade-Metay, C et al New CCR5 variants associated with reduced HIV coreceptor function in southeast Asia.
<東南アジアにおいて新たなCCR5変異株がHIVコレセプタ機能低減に関連>
非白人においてHIV感染性に影響を及ぼすCCR5レセプタ遺伝子変異を同定するため、ベトナム人被験者3群(静注薬物使用HIV-1感染者47名/静注薬物使用HIV-1高曝露セロネガティブ者50名/HIV-1非曝露セロネガティブ者37名)をスクリーンした。5種類のCCR5コーディング領域の変異株を同定し、内G106RおよびC269F変異はレセプタおよびコレセプタ特性が大きく変化していた。この集団ではこれらのことによりHIV感染性および/または疾患進展に寄与する可能性がある。

 

遺伝子 2004.11月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS18(16):2109-2113,2004 Sturmer M et al Phylogenetic analysis of HIV-1 transmission: pol gene sequences are insufficient to clarify true relationships between patient isolates.
HIV-1伝播の系統発生的解析:pol遺伝子配列は患者の分離株との真の関連性を明確にするには不十分
(見解)異なるHIV-1ウイルス分離株の間にはゲノムレベルで高度の変異性がある。しかし、2つの分離株がソースを共有している場合、変異度合は伝播イベント後の経過時間に依存し、伝播時点ではそのウイルス分離株は事実上区別不能であったに違いない。この事実はenvおよびgag遺伝子で明らかにされた。こうしたことから、系統発生的解析は伝播イベントの調査に有用であると考える。
免疫 2004.11月
AIDS18(16):2202-2205,2004 Sheth P M et al HIV viral shedding in semen: lack of correlation with systemic virus-specific CD8 responses.
HIVの精液中流出:全身性ウイルス特異CD8応答との相関が欠如
(手紙)ウイルス特異CD8 T細胞はHIV管理において重要であるが、精液中のウイルス量とその関連性は明らかにされてはいない。HIV感染男性において、全身性HIV特異IFN-γ CD8応答と精液および血中ウイルス量との関連を検証したが、精液あるいは血中ウイルス量と全身性CD8T細胞応答との間に相関は認めなかった。HIVを有する精液における免疫上の相関物について今後さらなる研究が必要である。

 

遺伝子 2004.10月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS37(2):1228-1236,2004 McGowan, I et al Increased HIV-1 Mucosal Replication Is Associated With Generalized Mucosal Cytokine Activation.
<HIV-1粘膜複製の増大は全身性粘膜サイトカイン活性化に関連>
HIV-1感染患者において腸管粘膜サイトカインのプロフィールの特徴、またそれらの粘膜ウイルス量(MVL)との関連性を調査するため、腸管粘膜サイトカインのmRNAおよびHIV-1 RNAをリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量化した。検出限界以下MVL群(組織合計RNA 量50コピー未満/μg)では対照群に比べて、RANTES (regulated upon activation, normal T-cell expressed and secreted)、IL-2、IFN-γの発現が有意に低下。IL-6はすべてのHIV群で有意に増大。RANTES、IL-10、IFN-γは高MVL群(>5000コピー/μg)で増大。高MVL群の被験者はTヘルパー1および2、炎症惹起性サイトカインが増大し全身性の免疫活性化を有し、一方、MVLが検出限界以下の被験者では複数のサイトカインの発現が減少。こうした観察に対する病理学的根拠は明らかではないが、粘膜ウイルス複製のコントロールで抗レトロウイルス療法の成否に影響を及ぼす可能性がある。
JAIDS37(2):1313-1317,2004 Liu, C et al Lack of Associations Between HLA Class II Alleles and Resistance to HIV-1 Infection Among White, Non-Hispanic Homosexual Men.
<白人、非ヒスパニック系男性同性愛者のHIV-1感染に対して、HLAクラスII対立遺伝子と耐性との関連性はない>
多施設AIDSコホート研究(MACS)に登録しているハイリスクのセロネガティブ男性100名およびローリスクのセロコンバータ184名に関して、HLAクラスII対立遺伝子を分子的にタイピングした。単変量解析では、HIV-1感染についてHLAクラスIIと耐性/感受性との有意な関連は認めなかった。しかし、以前のMACSの分析で耐性と関係していた抗原提示2(TAP2)Ala 665変異体関連トランスポーターは、幾つかのHLAクラスII対立遺伝子と連鎖不平衡にあった。HLA-A*0205サブグループとTAP2 Ala 665変異体との間に成立した関連性を調整後、独立してHIV-1感染への耐性/感受性に関連するHLAクラスII対立遺伝子は皆無。主な組織適合性複合体のHLAクラスII-TAP領域におけるその他遺伝子的要因が関与していると思われる。
JAIDS37(2):1318-1323,2004 Nguyen, L et al Frequent Human Leukocyte Antigen Class I Alleles Are Associated With Higher Viral Load Among HIV Type 1 Seroconverters in Thailand.
<タイのHIV-1セロコンバータにおいて、一般的なヒト白血球抗原クラスI遺伝子が高ウイルス量に関連>
バンコクの前向きコホート研究で血清変換した静注薬物使用者128名のHLAクラスI対立遺伝子をタイピングした。血清変換後12カ月の時点で、もっとも一般的なHLA対立遺伝子を有する静注薬物使用者(最高の四分位HLAスコア)は、 非一般的HLA対立遺伝子を持つ者に比べると、より高いウイルス量(32055コピー/mL以上)に対してほぼ4倍のリスク増大を示した。こうした結果は、異なる集団でのHIV-1進化に関して宿主遺伝子の頻度依存性影響frequency-dependent effectsの重要性を支持するものであり、またHLA誘導のウイルス進化が、HIV-1感染早期においてウイルス血症コントロールに重大な影響を及ぼすことが示唆される。
AIDS18(15):1979-1989,2004 Alter, G et al Assessment of longitudinal changes in HIV-specific effector activity in subjects undergoing untreated primary HIV infection.
<未治療HIV一次感染を有する被験者におけるHIV特異エフェクター活性の経時的変化の評価>
HIV一次感染(primary infection:PI)におけるHIV特異免疫応答の自然進展の特徴を明らかにするため治療未経験PI被験者を対象に研究した。免疫応答は全検査時を通じてすべての被験者で認められたが、その応答パターンは治療経験PIに比較して有意に異なるものであった。未治療PI被験者では、個々のHIVペプチド特異T細胞応答の度合が経時的に劇的な変化を示したのに対し、早期治療PI被験者ではHIV特異免疫性は一定、あるいはPI後時間が経過して治療した被験者ではその強度/広がりが低減。未治療被験者では、HIV特異反応性の全体的強度が最低12カ月持続、一方、同定されたペプチド数は減少。HIV特異応答の強度とウイルス量との間に有意な関連が存在したことから、抗原負荷の変化に影響される可能性がある。
AIDS18(15):2009-2017,2004 European Collaborative Study Levels and patterns of neutrophil cell counts over the first 8 years of life in children of HIV-1-infected mothers.
<HIV-1感染の母親を持つ小児の生後8年間にわたる好中球数のレベルとパターン:ヨーロッパ合同研究European Collaborative Study>
HIV感染児156名および非感染児1533名を出生後最低8年間追跡調査。HIV感染児の好中球数は生後約4カ月後、非感染児に比べ例外なく実質的に低く、また、年齢/感染・非感染を問わず黒人の子供は白人に比べ好中球数が有意に低かった。非感染児では、男児および抗レトロウイルス薬(ARV)への暴露が、少なくとも8歳までは好中球数の低さに関連。HIV感染児では、進展した疾患とARV治療が好中球数に有意に関連。非感染児では感染児に比べ、予想を裏切る非常に長期にわたるARV暴露効果が認められ、またこれまでのリンパ球数での観察と同様に、人種/性別と好中球数との間に有意な関連性が見られた。こうした好中球数の低さと臨床的関連性について今後さらなる調査が必要である。
AIDS18(15):2087-2089,2004 Kaul, R et al HIV-1 Env-specific cytotoxic T-lymphocyte responses in exposed, uninfected Kenyan sex workers: a prospective analysis.
<HIV暴露/非感染のケニアのセックスワーカーにおけるHIV-1 Env 特異細胞傷害性Tリンパ球応答:前向き解析>
(手紙)ケニアの女性セックスワーカー39名を登録してHIVクレードB Envに対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答をスクリーンし(CTLポジティブ8名)、前向きに追跡調査した。年間HIV罹患率は5.8%。HIV-1暴露およびセックスワークの継続期間を含めた多変量解析モデルにおいてCTLは、年齢/最近のHIV-1暴露に独立して関連したが、防御とは前向きに関連しなかった。
AIDS18(15):2089-2091,2004 Beq, S et al IL-7 and Flt-3L plasma levels are increased during highly active antiretroviral therapy-associated IL-2 therapy.
<IL-2療法を伴うHAART受療中にIL-7およびFlt-3L血漿中レベルが増大>
(手紙)IL-2はHIVポジティブ患者においてCD4細胞数を増加させるためHAARTに併用されるが、そのメカニズムは明確ではない。今回IL-2療法初回サイクル時にIL-7およびFlt-3Lの血漿中レベルが増大したことを報告する。しかし、幹細胞因子レベルに変化は認めなかった。このことは、IL-2がCD4T細胞刺激は別にして、リンパ球産生性サイトカインへの刺激を通して間接的にリンパ球産生にも影響を及ぼすという仮説を支持するものと考えられる。
AIDS18(15):2096-2098,2004 Rademeyer, C et al Heterosexual transmission of multiple highly conserved viral variants in HIV-1 subtype C-infected seronegative women.
<HIV-1サブタイプC感染セロネガティブ女性における複数の保存度合の高いウイルス変株の異性間伝播>
(手紙)RNAポジティブで抗体ネガティブのHIV感染女性5名からサンプルを採取し、ウイルス集団の多様性を評価した。男性での研究結果と同様に、保存度合の高いウイルス変株を同定(平均ヌクレオチド多様性はp17p24で0.11%、C2C3で0.32%)。2名ではenv C2C3での多様性がgag p17p24に比較して(特性なく)低く、感染の極めて初期の段階におけるenvでの選択が示唆された。

 

遺伝子 2004.9月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS 18(13):1781-1785,2004 Shulman, Nancy S et al Genetic correlates of efavirenz hypersusceptibility.
<過度のエファビレンツ感受性亢進を示す遺伝的相関物>
(短報)過度のエファビレンツ感受性亢進を示す遺伝的相関物を同定するため、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)経験を有し、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)未経験患者444名からベースラインでの遺伝子型と表現型をペアで入手し研究したところ、215、208、118での変異が独立的にNNRTI感受性亢進に関連していた。215、208、118の3つの変異を用いたエファビレンツ感受性亢進遺伝子型スコアは、26の変異を用いたより複雑なスコアリングシステムと同程度の正確性をエファビレンツ感受性亢進の予測に発揮した。
AIDS 18(13):1787-1794,2004 Sista, Prakash R et al Characterization of determinants of genotypic and phenotypic resistance to enfuvirtide in baseline and on-treatment HIV-1 isolates.
<ベースラインおよび治療時HIV-1分離株におけるenfuvirutideへの遺伝子型と表現型耐性の決定因子の特徴付け>
ベースラインおよび治療時のenfuvirutide(ENF)感受性を、第II相臨床試験登録患者(ENF機能的単剤療法を28週間受けた患者と抗レトロウイルス薬の経口投与との併用療法を48週間以上受けた患者)のウイルスサンプルを用いて解析。ENF未経験患者(のサンプル)ではHIV-1 gp41 アミノ酸(aa)36?45の保存割合が高かった。ウイルス量リバウンドを経験した患者はENFへの感受性が低下し、gp41 aa 36?45での置換を認めた。治療時サンプルに最も共通して観察した置換は、36、38、40、42、43番目の位値。ENFに対するウイルス分離株の表現型感受性における治療時変化は一般的には、aa 36?45の遺伝子型変化に関連。データからENFに対する耐性出現においてHIV-1 gp41 aa 36?45の重要性を認めた。

 

遺伝子 2004.8月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS18(12):1629-1636,2004 Renjifo B, et al Preferential in-utero transmission of HIV-1 subtype C as compared to HIV-1 subtype A or D.
HIV-1サブタイプA またはDに比較したHIV-1サブタイプCの選択的子宮伝播
HIV-1 遺伝子型により母子感染の時期に相違が見られるかどうかをタンザニアの253名の感染児を登録したコホートで検証した。サブタイプにより伝播時期の分布が有意に異なることが判明。子宮伝播において、サブタイプA エンベロープ(A-env)またはサブタイプD env(D-env)あるいは双方複合のHIV-1に比べ、サブタイプC env(C-env)の割合が高かった。こうした結果から、サブタイプC env の優勢な地域で生まれる乳児の大半に、分娩時のレジメンだけで伝播予防を確実に行うのは困難であると考えられる。
AIDS18(12):1729-1732,2004 Zhao X-Y, et al A novel CCR5 mutation selectively affects immunoreactivity and fusogenic property of the HIV co-receptor.
新たなCCR5変異がHIVコレセプターの免疫反応性および fusogenic 特性に影響を及ぼす
(手紙)ヘテロ接合のCCR5変異体(118delF)キャリアについてその特性を研究した。CCR5オープンリーディングフレームの352?354に3つの塩基対欠損があり、結果、第3膜貫通ドメインに位置するphe-118残基が欠損。変異体タンパク質は第3細胞外ループ(ECL3)附近での抗原特異性を維持していたが、ECL2の抗原特異性は著しく低下。変異はさらにHIVコレセプター活性を排除。本キャリアでは、臨床上、HIV疾患の進展は緩慢。

 

遺伝子・免疫 2004.6月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 36(5):993-1005,2004 Zaharatos G J, et al [alpha]-Defensins Released Into Stimulated CD8+ T-Cell Supernatants Are Likely Derived From Residual Granulocytes Within the Irradiated Allogeneic Peripheral Blood Mononuclear Cells Used as Feeders.
<誘導CD8陽性T細胞上澄み液に放出されたα-ディフェンシンは、培養水路として使用され照射を受けた同種末梢血単核細胞中の残留顆粒球からもたらされると思われる>
我々は最近、ヒトα-ディフェンシンのin vitroでのHIV-1複製阻害能力を示し、α-ディフェンシンが大半のβ-ケモカイン非依存性抗レトロウイルス活性を説明するものであることを、誘導CD8陽性T細胞培養上澄み液で明らかにした。この結果を受けて、α-ディフェンシンを産生するCD8陽性T細胞の特異サブポピュレーションを定義する目的で追跡調査を実施。結果、照射を受けた同種末梢血単核細胞不在の場合には、誘導CD8陽性T細胞上澄み液はα-ディフェンシンを含有していないことが判明。このことから、α-ディフェンシンが末梢血単核細胞フラクション中の残留顆粒球からもたらされたものと規定した。
AIDS 18(10):1371-1381,2004 Roques P, et al Phylogenetic characteristics of three new HIV-1 N strains and implications for the origin of group N.
<3種のHIV-1 N新株の系統発生的特徴およびN群起源の推定>
HIV-1 N群株の特徴付けを行い、その疫学およびHIV-1 O株とM株、SIV cpzとの関連を明らかにするため、DNA増幅、塩基配列決定、系統発生的解析を行い検証した。ウイルスYBF106のゲノム完全長塩基配列を決定し、YBF116についてgag、 pol、 envの塩基配列を得、YBF115についてpol(インテグラーゼ)、env(gp41)フラグメントを得た。gag、 pol、5'-vif、nef配列は系統発生的にはHIV-1 M群により緊密に関連しており、一方、3'-vif、vpr、tat、 vpu、envはPan troglodytes troglodytes(チンパンジーの亜種)から得たSIVcpzにクラスターした。塩基配列解析からは薬剤耐性に関係すると考えられる変異は認められなかった。
AIDS 18(10):1383-1392,2004 Lichterfeld M, et al HIV-1 Nef is preferentially recognized by CD8 T cells in primary HIV-1 infection despite a relatively high degree of genetic diversity.
<HIV-1 Nefは比較的高い遺伝的多様性を有するにも関わらず、HIV-1一次感染においてCD8T細胞により選択的に認識される>
HIV-1一次および慢性感染において、クレイドB共通配列に対するHIV-1特異CD8T細胞応答の強度、範囲、タンパク特異性を比較し、ウイルス多様性が検知された応答の局在化に及ぼす影響を解析。結果、比較的高レベルの多様な塩基配列にも関わらず、HIV-1一次感染時、NefのクレイドB共通配列内のウイルス領域は選択的に認識された。急性および早期感染被験者において、Nef共通配列に対するNef特異CD8T細胞応答は、HIV-1特異CD8T細胞応答の全体的強度のそれぞれ94%および46%。未治療の慢性感染被験者では、より保存されたウイルス領域に対して、幅広い多様なCD8T細胞応答を観察し、Nefをターゲットにするウイルス特異T細胞応答はわずか17%。急性感染治療患者では当初のNefの免疫支配が持続したが、抗原への継続的曝露被験者では急速にgag、env、polへと移行した。
AIDS 18(11):1495-1501,2004 Price P, et al Alleles of the gene encoding IL-1[alpha] may predict control of plasma viraemia in HIV-1 patients on highly active antiretroviral therapy.
<IL-1αをコード化する遺伝子の対立遺伝子は、HAART受療HIV-1感染患者において血漿中ウイルス血症のコントロールの予測因子となる>
サイトカイン遺伝子での多型性が、HAARTを5年間にわたり受療するHIV-1感染患者での血漿中HIV RNA量のコントロールに影響を及ぼすかを検証したところ、IL1A遺伝子における?889位の対立遺伝子2の存在からコントロールの予測が可能であると考えられる(IL1A?889*2)。血漿中HIV RNA量が400コピー/mL以下の患者比率での評価で有意性が認められた(p=0.002)。HAART後48カ月時点での患者比率はおおよそ、IL1A (1, 1)患者0.76、IL1A (1, 2)患者0.51、IL1A (2, 2)患者0.32。結果は患者の治療前/治療中CD4T細胞数、薬剤レジメン、あるいは年齢とは無関係。IL6、TNFA、IL1B、IL12Bでの多型性では有意な影響は観察せず、IL1Aを統計モデルに組み込んだ場合これらは境界型を示した。IL1A?889は、IL1A+4845での非同義多型性と連鎖不平衡にあった。

遺伝子 2004.6月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 36(2):659-670,2004 Winchester R, et al Mother-to-Child Transmission of HIV-1: Strong Association With Certain Maternal HLA-B Alleles Independent of Viral Load Implicates Innate Immune Mechanisms.
<HIV-1母子感染:ウイルス量とは無関係のある種の母系HLA-B対立遺伝子との強い関連性が先天性免疫メカニズムを示唆>
ウイルス量が低く母子感染したほぼ半数(48%)の母親がHLA-B*1302、B*3501、B*3503、B*4402あるいはB*5001対立遺伝子を有したが、母子感染しなかった母親での割合は8%であった。逆に、ウイルス量が高いにも関わらず母子感染しなかった母親の25%がHLA-B*4901とB*5301対立遺伝子を有し、母子感染した母親では同割合は5%。小児のHLA-B対立遺伝子は感染リスクと関連を有するようには思われなかった。観察された関連性を説明する分子レベルでの基礎となるものに母系NK認識レパトアの定義が含まれ、これには母系HLA-B対立遺伝子によりエンコードされた多型リガンドを有するNK受容体が関与することが示唆される。
AIDS 18(9):1281-1289,2004 Kuhn L, et al Maternal versus paternal inheritance of HLA class I alleles among HIV-infected children: consequences for clinical disease progression.
<HIV感染児におけるHLAクラスI対立遺伝子の母系vs父系遺伝:臨床的疾患進展との関係>
ニューヨークのHIV感染児59名の集団において、AIDS診断および死亡までの時間と、母親あるいは父親から継承した子供のHLAクラスI対立遺伝子および母親と子供のHLA類似性との関連性を検証した。通常緩慢な疾患進展に関連するHLA対立遺伝子を有するHIV感染児では、対立遺伝子が父親からの遺伝の場合に限り、AIDSあるいは死亡への進展がより緩慢。対立遺伝子が母親に認められた場合、関連性はまったく観察されなかった。ホモ接合性を有する、あるいは1つ以上のHLAクラスI遺伝子座で双方の対立遺伝子を母親と共有する感染児は、AIDSあるいは死亡への強い進展傾向を有した。
AIDS 18(9):1327-1333,2004 Nguyen L, et al CCR5 promoter human haplogroups associated with HIV-1 disease progression in Thai injection drug users.
<タイの静注薬物使用者におけるHIV-1疾患進展に関連するCCR5プロモーターヒトハプログループ>
9つのCCR5ハプログループのうち特定のものが差次的に(白人およびアフリカ系アメリカ人において)HIV-1疾患進展に影響を及ぼすように考えられるが、この研究ではタイ人集団での影響を評価。最も一般的CCR5ハプログループはHHC(61.8%)で、以下HHE(15.6%)、HHF*2(14.6%)。HHEはCD4細胞数減少の加速に関連し、結果的にタイ人HIV感染者において疾患進展を加速させる可能性があり、今後さらなるアジア人集団を対象とした研究が必要である。
AIDS 18(9):1340-1342,2004 Marcelin A-G, et al Characterization of genotypic determinants in HR-1 and HR-2 gp41 domains in individuals with persistent HIV viraemia under T-20.
<T-20投与下でHIVウイルス血症を持続的に有する患者におけるHR-1およびHR-2 gp41ドメインでの遺伝子型決定因子の特徴付け>
(手紙)T-20を含む救済療法が奏効しなかった重度の治療経験を有するHIV-1感染患者30名においてgp41での遺伝子変化を解析した。本研究では、今尚有効であるとされる多数の薬剤の主要な役割をT-20と関連してウイルス学的応答の強度において確認。研究の結果、T-20への耐性を特徴付けるにはHR-1の塩基配列決定のみが必要であり、HR-2ドメインでの塩基配列決定は恐らくは不要であることが示唆された。
AIDS 18(9):1346-1347,2004 Fischer A, et al Is the Vpr R77Q mutation associated with long-term non-progression of HIV infection?
<Vpr R77Q変異体はHIV感染の長期非進展に関連するか?>
(手紙)VprはHIV-1の補助蛋白で、そのC末端ドメインは蛋白の二次機能に参与し、G2期の細胞分割を停止させアポトーシスを誘導する。これまでの研究で、C末端における点変異と欠失が蛋白の機能を変化させ、ウイルスの病原性に影響を与え、HIV感染の長期非進展のメカニズムに関係するとされてきた。ルワンダの感染患者29名(ほとんどがサブタイプA)およびルクセンブルグの患者26名(サブタイプBが主流)においてこれを検証したところ、R77QとHIV感染の長期非進展との間に関連性を見い出すことはできなかった。実際のところ、我々が観察したのはR77Qが疾患進展よりもウイルスのサブタイプに関連するということであった。

免疫 2004.6月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 36(2):671-677,2004 Hansjee N, et al Persistent Apoptosis in HIV-1-Infected Individuals Receiving Potent Antiretroviral Therapy Is Associated With Poor Recovery of CD4 T Lymphocytes.
<強力な抗レトロウイルス療法受療中のHIV-1感染者におけるアポトーシスの持続はCD4Tリンパ球の改善度合の低さと関連>
自然アポトーシス(SA)およびアポトーシスマーカー「Fas関連死ドメイン様IL-1β変換酵素」(FLICE)類似抑制蛋白(FLIP)、Bcl-2、TRAIL(腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド)、TRAIL受容体1、Fasを、HAARTを48カ月間受療したHIV-1感染者55名において同定した。HAARTで有効に抑制されていたにもかかわらず、SAレベルの上昇した状態が持続。末梢血単核細胞(PBMC)およびCD8Tリンパ球でのSA増大とTRAIL受容体1発現の増大はCD4T細胞数改善度合の低さを強力に予測。培養PBMCおよびTリンパ球において、HAARTでは、抗アポトーシスあるいはアポトーシス惹起性マーカーは大きく修正されなかった。残存Tリンパ球のアポトーシスとCD4T細胞の回復には重要な関連性があり、アポトーシスの持続が免疫回復を障害する可能性が示唆される。
JAIDS 36(2):721-725,2004 Kiwanuka N, et al Knowledge About Vaccines and Willingness to Participate in Preventive HIV Vaccine Trials: A Population-Based Study, Rakai, Uganda.
<ワクチンに関する知識およびHIV予防ワクチン臨床試験への参加意志:集団研究、Rakai、ウガンダ>
ワクチンに関する知識およびHIV予防ワクチン臨床試験への参加意志を14177名のコホート(15?49歳)で評価した。HIV予防ワクチン臨床試験への参加意志は、HIVワクチンについてのコミュニティ教育を施した後10カ月後の追跡調査期間中に評価。ワクチンの予防的有用性に関する知識は全体的に高く(71%)、男性で女性よりも高率で、教育レベルに合致して増大。ワクチンは子供と女性に適切(99/88%)、成人男性には不適切(28%)と考えられた。HIV予防ワクチン臨床試験の被験者として最も適切なのは青年であるが(93.7%)、HIVポジティブ者も妥当である(60.2%)と考えられ、わずか20%がHIVをコントロールするのに予防ワクチンが有用であると感じた。HIVワクチンへの認識はベースライン時68%から追跡調査時点81%に増大。臨床試験参加意志を表明したのは77%。
JAIDS 36(2):726-733,2004 McClure C A, et al Challenges to Conducting HIV Preventative Vaccine Trials With Adolescents.
<青年でのHIV予防ワクチン臨床試験実施に向けての取組み>
世界で毎日約7000人が新たにHIVに感染していると推定され、これらの多くが青年期の感染である。こうしたことから青年が一次予防研究の重要なターゲットの1集団となっている。ここでは青年を登録したHIV予防ワクチン臨床試験に関連した情報や問題を確認/整理し、さらに関連問題への対処についてその進捗状況を検討し、臨床試験の実施に向けた計画やそれらの重要性について報告。
JAIDS 36(3):853-860 Buchacz K, et al Early Markers of HIV-1 Disease Progression in a Prospective Cohort of Seroconverters in Bangkok, Thailand: Implications for Vaccine Trials.
<タイ/バンコクの血清変換者の前向きコホートにおけるHIV-1疾患進展の早期マーカー:ワクチン臨床試験との関係>
抗レトロウイルス療法(ART)未経験HIV-1感染者における早期検査マーカーに基づく代理エンドポイントが、「疾患進展遅延におけるワクチンの有効性」(VEp)を評価するのに有用であると思われる。これらエンドポイントの利用に関して、HIV-1血清変換後間もない者において治療前HIV-1ウイルス量およびCD4細胞数を調査。血清変換時(その近辺)にHIV-1 RNA量が高くCD4細胞数が低い者は早期に免疫学的進展を経験する傾向にあった。約4分の1の血清変換者が、初回HIV-1セロポジティブ来院およびART開始前18カ月以内に代理の免疫学的エンドポイントに達し、現行および計画中のHIV-1ワクチン有効性臨床試験のVEp解析におけるこのエンドポイントの有用性が示唆された。
AIDS 18(9):1335-1337,2004 Isgro A, et al Decreased apoptosis of bone marrow progenitor cells in HIV-1-infected patients during highly active antiretroviral therapy.
<HAART受療中HIV-1感染患者における骨髄前駆細胞のアポトーシス減少>
(手紙)HIV-1感染における造血障害は、骨髄レベルで免疫細胞による炎症性サイトカインの過剰産生から引き起こされる可能性がある。そこでは幹前駆細胞のFas仲介アポトーシスが誘導される。本研究ではHAARTが、HIV-1感染患者骨髄由来のCD34陽性幹細胞のアポトーシスに及ぼす影響を評価。結果、TNF-αレベルの低下およびクローン原性パラメータ改善に平行して、前駆細胞のFas発現減少を観察した。
AIDS 18(9):1337-1340,2004 Lee S, et al IL-23 and IFN-[gamma] deficiency in immunodeficient HIV patients who achieved a long-term increase in CD4 T-cell counts on highly active antiretroviral therapy.
<HAART受療でCD4T細胞数の長期的増大を達成した免疫不全HIV患者におけるIL-23およびIFN-γ欠損症>
(手紙)HIV感染の病原性および日和見感染への感受性は1型サイトカイン産生欠乏に関連していた。HAART受療でCD4T細胞数の長期的増大を達成した重症免疫不全HIV患者において、IL-23p19およびIFN-γメッセンジャーRNAの発現減少を観察した。記憶T細胞によるIL-23誘導IFN-γ産生障害が、CD4T細胞数が実質的に増大した少数患者において、日和見感染に貢献する可能性がある。



遺伝子 2004.5月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS 18(8): 1187-1194, 2004 Brouwer K C, et al Polymorphism of Fc receptor IIa for IgG in infants is associated with susceptibility to perinatal HIV-1 Infection.
<乳児でのIgGに対するFc受容体IIa多型性は周産期HIV-1感染感受性に関連>
差次的ヒトIgGサブクラス結合に関連するFcγ受容体IIa多型性が周産期HIV-1感染に及ぼす影響を、448名のHIVセロポジティブの母親とその乳児を対象に評価。周産期HIV-1感染感受性およびHIVポジティブ乳児の全原因死亡率との関連性において、Fcγ受容体IIa多型性を分析。結果、Fcγ受容体IIaのHis/His131遺伝子型が、周産期HIV-1伝播における感受性に関連していることがエビデンスとして初めて得られた。さらに、Fcγ受容体IIa His131遺伝子がHIV-1伝播に及ぼす影響に、用量-反応関係があることが示唆された。
AIDS 18(8): 1206-1208, 2004 van der Kuyl A C, et al An IL-8 gene promotor polymorphism is associated with the risk of the development of AIDS-related Kaposi's sarcoma: a case-control study.
<IL-8遺伝子プロモーター多型性がAIDS関連カポージ肉腫発症リスクに関連:症例対照研究>
(手紙)IL-8プロモーター領域における単一のヌクレオチド多型性が、AIDS関連カポージ肉腫(KS)発症リスクに及ぼす影響を症例対照研究で検証。KSはTT遺伝子型を有する46%、AA/AT遺伝子型を有する66%の個人に発症。TT遺伝子型を持つ個人は内臓KSに罹患することはめったになく(7% vs 36%)、TT遺伝子型保有者が(重篤な)KS発症から防護されていることを示唆。
AIDS 18(7): 1069-1071, 2004 Bugeja M J, et al Analysis of the CCL3-L1 gene for association with HIV-1 susceptibility and disease progression.
<HIV-1感受性および疾患進展との関連におけるCCL3-L1遺伝子の解析>
(手紙)CCL3-L1は他のケモカインよりもCCR5に強力に結合し、in vitroでHIV-1感染を阻害する。CCL3-L1遺伝子の欠損割合を白人オーストラリ人HIV-1患者268名および非感染者260名で解析した。2.3%のCCL3-L1ネガティブ遺伝子型頻度をHIV-1ネガティブ者で観察。CCL3-L1遺伝子欠損とHIV-1感染感受性あるいは疾患進展率との間に関連は認めなかった。

免疫 2004.5月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 36(1): 588-593,2004 Lindegaard B, et al High Plasma Level of Interleukin-18 in HIV-Infected Subjects with Lipodystrophy.
<体脂肪分布異常を有するHIV感染被験者における血漿中インターロイキン-18高値>
HIV感染者では、インスリン耐性(IR)患者と同様、インターロイキン-18(IL-18)の値が上昇している。HIV関連体脂肪分布異常症(LD)はmetabolic syndromeと代謝特性を共有し、LDを有する患者でIL-18値が上昇すると仮定される。これを検証するため、LDのHIV感染者2群(脂肪蓄積の有/無)と対照群2群(LDのないHIVポジティブ者とHIVネガティブ者)で比較研究した。IL-18値はLDを有する患者で上昇し、四肢萎縮に密接に関係していたが、コレステロールあるいはIRとの関連は認められなかった。
JAIDS 36(1): 594-599,2004 Lacabaratz-Porret C, et al Presence of HIV-Specific CD4+ T-Cell Responses in HIV-Infected Subjects With Sustained Virologic Control After Highly Active Antiretroviral Therapy.
<HAART導入後ウイルス学的コントロールを維持するHIV感染被験者におけるHIV特異CD4陽性T細胞反応の存在>
HIV特異CD4陽性Tヘルパー細胞反応を、HAART導入後ウイルス学的コントロールを維持する慢性感染(CI)者と一次感染(PI)時に治療を受けた患者とで比較した。HIV p24タンパク質に対するCD4陽性T細胞増殖反応がCI患者の50%で認められ、PI患者では79%。CI患者における増殖反応の存在はHAART導入時CD4陽性T細胞数の多さ、ウイルス抑制期間の長さ、解析時CD4陽性T細胞数の多さに関連。結果、HIV特異増殖反応を、CD4陽性T細胞数200/μL以上のCI被験者で選択的に観察。しかし、ウイルス抑制期間が十分であるならば、CD4陽性T細胞の重度減少を有するCI被験者でも35%に見られる可能性が有り、今後の治療戦略に影響を及ぼすものである。
JAIDS 36(1): 604-612,2004 Buchbinder S P, et al Determinants of Enrollment in a Preventive HIV Vaccine Trial: Hypothetical Versus Actual Willingness and Barriers to Participation.
<HIV予防ワクチン臨床試験への登録決定因子>
HIV予防ワクチン臨床試験に関して、事前の想定的段階での登録意志と実際の登録状況を比較し、これに影響を及ぼす要因を検証した。ハイリスクHIV未感染者を調査した結果、仮想段階での登録意志を表明した者(準備試験への参加者2531名)の中で実際に試験(第2相HIVワクチン臨床試験)に登録したのは20%。多変量解析の結果、登録拒否率が高かったのはアフリカ系アメリカ人で、低かったのは年齢41歳以上、大学生、前6カ月以内に5人以上のセックスパートナーを有する者。人種民族を問わず全拒否者が示した懸念はワクチン誘因の血清陽性変換。さらにアフリカ系アメリカ人では政府への不信や安全性への懸念が登録障壁として挙げられた。
AIDS 18(8): 1109-1116, 2004 Rodes B, et al Differences in disease progression in a cohort of long-term non-progressors after more than 16 years of HIV-1 infection.
<HIV-1感染後16年以上にわたり長期間疾患が進展しない集団での疾患進展上の差異>
長期間疾患が進展しない感染者(LTNP)において免疫学的損傷への耐性が無期限に存続するものか、あるいは、こうした状態は単にガウス分布の極端な状態を表しているにすぎず、やがては進展するのか明らかではない。LTNP19名(非進展12名/緩徐な進展7名)のコホートで、血中ウイルスおよびCD4細胞数を6年間の追跡期間中毎年2?3回測定し、nefおよびvprウイルス遺伝子、CCR5遺伝子型、コレセプタ指向性、ウイルス複製能力、免疫学的パラメータを解析し調査した。かなりの割合のLTNPで、ウイルス複製レベルおよびCD4T細胞の経時的な進行性損失レベルが低かった。進行性の免疫学的損傷はある程度のウイルス複製能力およびT細胞活性化に直接的に関連していると考えられる。
AIDS 18(8): 1117-1126, 2004 Koning F A, et al Correlates of resistance to HIV-1 Infection in homosexual men with high-risk sexual behaviour.
<ハイリスク性行為男性同性愛者におけるHIV-1感染への耐性相関物>
ハイリスク性行為を有するにも関わらずHIV-1セロネガティブを維持する男性同性愛者を登録して(アムステルダム)、HIV-1耐性への相関物を検証。In vitro のHIV-1感受性と先天および適応免疫を29名のハイリスクセロネガティブ(HRSN)および15名のHIV-1ネガティブのプレセロコンバージョン(pre-SC:追跡期間中にHIV-1ポジティブに血清変換)男性同性愛者を対象に研究。HRSNで細胞のin vitroでのCCR5感受性が低かったが、これはβ-ケモカイン仲介のウイルス複製抑制によるものであった。HRSNとpre-SCの双方においてHIV-1特異細胞傷害性T細胞が出現したが、これは、感染からの防御というよりも、ウイルスへの曝露を示唆すると思われる。宿主の遺伝子特性およびその他の要因が、感染に曝露されているセロネガティブ者においてHIV-1感染に対する差次的耐性に寄与する可能性がある。
AIDS 18(8): 1203-1206, 2004 Sha B E, et al Safety and immunogenicity of a polyvalent peptide C4-V3 HIV vaccine in conjunction with IL-12.
<IL-12との関連における多価ペプチドC4-V3 HIVワクチンの安全性と免疫原性>
(手紙)ヒト白血球抗原ベースHIVエンベロープ多価合成ペプチドワクチン、C4-V3 を、単独およびIL-12皮下注射を併用し、安全性と免疫原性をHIV感染患者9名で検証。4名の患者で、免疫感作後の2点の連続したタイムポイントで、全4種のペプチドに対するリンパ球増殖反応が3倍以上増大。反応を示した患者の内3名がIL-12を併用しており、IL-12のアジュバント効果を示唆。一過性の軽微な注射部位の反応(7/9)および全身性症状(3/9)が生じた。
AIDS 18(8): 1210-1213, 2004 Watera C, et al 23-Valent pneumococcal polysaccharide vaccine in HIV-infected Ugandan adults: 6-year follow-up of a clinical trial cohort.
<ウガンダのHIV感染成人での23原子価肺炎菌多糖類ワクチン:臨床試験コホートでの6年間追跡調査>
(手紙)23原子価肺炎菌多糖類ワクチンはHIV感染ウガンダ人成人では無効であると以前報告された。臨床試験登録者での延期追跡調査で、ワクチン接種者において全原因肺炎が持続的に多いことを確認(ハザード比〔HR〕1.6;95%信頼区間〔CI〕;1.0-2.4)。しかし驚くべきことに、生存率ではワクチン接種が有利(HR 0.84;CI 0.7-1.0)。病的イベント多発にもかかわらず、生存率が改善したことを説明する材料はなく、アフリカのHIV治療ではワクチン利用は未だありそうにない。
AIDS 18(8): 1213-1216, 2004 Kostense S, et al Adenovirus types 5 and 35 seroprevalence in AIDS risk groups supports type 35 as a vaccine vector.
<AIDSリスクグループにおけるアデノウイルス5型および35型の血清学的罹患率が35型のワクチンベクターとしての有用性を支持>
(手紙)AIDSリスクを有する患者において、アデノウイルス5型(Ad5)および35型(Ad35)の血清学的罹患率を調査した。HIV感染者においてAd5の血清学的罹患率はAd35のそれよりも高かった(オランダ;60% vs 7%、サハラ以南アフリカ;90% vs 20%)。血清学的罹患率はHIV感染者および非感染者で類似したもので、AIDSへの進展期間中変化はなかった。Ad35はAd5に比べ中和傾向が低く、Ad35のHIVワクチンとしての開発が期待される。
AIDS 18(7): 991-1001, 2004 Leung L, et al Immunogenicity of HIV-1 Env and Gag in baboons using a DNA prime/protein boost regimen.
<DNAプライム/タンパク質ブーストレジメンを用いたヒヒでのHIV-1 Env とGagの免疫抗原性>
DNAプライム/タンパク質ブーストレジメンを用い、ヒヒにおける配列変更HIV env とgagの免疫抗原性を評価。複数回のDNA免疫感作後、中等度の抗体反応を観察し、リンパ球増殖性反応は低レベルか皆無。一方、アジュバントにMF59(Chiron Corp, California, USA)を用いたオリゴマーEnvタンパク質でのブースター免疫感作後、強度の抗体反応と実質的抗原特異リンパ球増殖性反応を認めた。タンパク質ブースター後、T細胞系適応HIV-1株に対して中和抗体反応が得られたが、同一および異種一次分離株に対する中和反応は低レベルか皆無。Env とgagワクチン双方を接種されたグループでは、DNA免疫感作後、中等度の抗原特異抗体反応とリンパ球増殖性反応を認め、こうした反応はウイルス様粒子製剤でのブーストで数倍に増強された。Gag抗原の追加でenv特異抗体反応を干渉することはなかったが、env特異リンパ球増殖レベルに負の効果があった。
AIDS 18(7): 1003-1008, 2004 Verthelyi D, et al CpG oligodeoxynucleotides improve the response to hepatitis B immunization in healthy and SIV-infected rhesus macaques.
<健康およびSIV 感染アカゲザルにおいてCpGオリゴデオキシヌクレオチドがB型肝炎免疫感作反応を改善>
(短報)B型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫抗原性ワクチン開発がHIV感染者の治療に特に重要となっている。HIVポジティブ患者全てにHBVワクチン接種が推奨されるが、HIV-HBV共感染者ではワクチン効力が低下する。健康(n=15)およびSIV (シミアン免疫不全ウイルス)感染(n=17)のアカゲザルをEngerix B単独あるいはD型またはK型 CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)併用で免疫化し試験した。結果は、健康および免疫無防備状態HIV感染被験者において、HBVワクチン接種のアジュバントとしてCpG ODN使用を評価する臨床研究の開発を支持するものであった。
AIDS 18(7): 1071-1074, 2004 Cardoso A R, et al Seronegative infection and AIDS caused by an A2 subsubtype HIV-1.
<A2サブサブタイプHIV-1によるセロネガティブ感染とAIDS>
(手紙)持続的にHIVセロネガティブなAIDS患者症例。遺伝子的および系統発生的解析で、この女性患者がセロポジティブで無症候性セックスパートナーからのA2サブサブタイプ(AサブタイプはさらにA1/A2に分類される)HIV-1に感染していることが判明した。臨床的/血清学的な不一致から、HIV-1特異抗体形成を阻害する免疫学的欠損が示唆された。

 

2003.9月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS 17(13):1990-1993,2003 Harwell J I (Brown Univ, USA) et al Directly observed antiretroviral therapy to reduce genital tract and plasma HIV-1 RNA in women with poor adherence
[アドヒアランス不良女性における生殖管及び血漿HIV-1 RNA減少のための直接観察抗ウイルス治療]
薬物乱用でアドヒアランス不良の女性6人に直接観察治療(DOT)を施行、治療前と治療後1,3,6ヶ月に子宮頸部膣洗浄液(CVL)及び血漿中HIV-1 RNAを測定。全例CVL中は3ヶ月までに、血漿中も6ヶ月までにウイルス検出限界以下。CD4増加中央値は76セル。DOTは効果的と考えられ、このようなハイリスク群の感染性を低下させるかもしれない。
AIDS 17(13):2001-2002,2003 Biquard J-M (France) et al Ability to generate synthetic peptides that immunologicaly mimic HIV-1 tat regulatory protein
[免疫学的にHIV-1 tat 調節蛋白模倣の合成ペプチドの生成能]
HIV-1の免疫領域をターゲットとする広域交叉反応性中和抗体応答の生成の問題はまだ解決されていない。フーリエ変換解析法に基づく蛋白パターンアルゴリズムを用いることにより、HIV-1 tat蛋白のmultipleエピトープ領域を複製する合成ペプチドが親蛋白と連続的相同性をシェアしないにも関わらず、それら蛋白の開発が可能だった。引き続き、抗ペプチド血清のin vitro中和アッセイにおけるHIV-1中和能について報告する予定である。
AIDS 17(14):F23-F32,2003 Mackewicz C E (UC Sch Med, USA) et al α-Defensins can have anti-HIV activity but are not CD8 cell anti-HIV factors
[α-ディフェンシン類は抗HIV活性を有するがCD8細胞抗HIV因子ではない]
HIV患者のCD8細胞はCAFを介し非殺細胞的に感染CD4でのHIV複製を阻害する。近年CAFの構成要因と報告されているα-ディフェンシンの抗HIV作用を検討したところ、少なくとも2レベルで抗HIV活性を示した;一つはウイルスパーティクルの直接不活性化、もうひとつはターゲットCD4細胞のウイルス複製能への影響。しかし好中球及び単球での作用は確認したが、CD8によるこれらペプチドの産生に対するエビデンスは見出せなかった。これらのプロテインをコーディングするmRNAは純化CD8細胞で見出せず、これらの細胞の細胞内外でのα-ディフェンシン産生も確認できなかった。さらにヒトα-ディフェンシン1,2,3に対する特異的抗体はCAFアクティブなCD8細胞培養液の抗ウイルス活性を阻害しなかった。
AIDS 17(14):2121-2124,2003 Cohen M H (CORE Center, USA) et al Using point-of-care testing to make rapid HIV-1 tests in labor really rapid [Letter]
[分娩中の迅速HIV-1検査を行うためのpoint-of care(POC) 検査使用は実際に迅速である]
FDAは最近オラクイック迅速HIV-1抗体検査を承認した。4施設で380人の女性に対し分娩時に検査を行った。所要時間はPOC病院では45分に対し、laboratory病院では3.5時間。POC検査は実行可能かつ正確である。
JAIDS 34(1):71-75,2003 Karmon E (Univ Cal, USA) et al Microbicides and HIV: Help or Hindrance?
[殺菌薬とHIV:助けか妨害か]
殺菌剤をHIV予防薬として導入した場合の評価を単純な数学的モデルを用いて行った。一般的にコミュニティにおけるコンドーム使用が低い場合、コンドーム放棄は重要な役割を担わないので抗菌剤導入はHIV発現率に最も能動的なインパクトがあるだろう。コンドーム使用が高いコミュニティの場合、コンドーム使用者の減少は抗菌剤によるリスク減少を圧するに足る大きな役割を果たすだろう。抗菌剤導入以前にコンドーム使用率などの鍵となる行動パラメータの調査の必要性が示された。

 

その他2003.7月
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
J Infect Dis 188(2):179-193,2003 Gilbert PB (Fred Hutchinton Can Res, USA) et al? What Constitutes Efficacy for a Human Immunodeficiency Virus Vaccine that Ameliorates Viremia: Issues Involving Surrogate End Points in Phase 3 Trials
[ウイルス血症を改善するHIVワクチンの効果に寄与するもの第3相試験における代用エンドポイントを含む問題]
最初のワクチンは投与全例でHIV獲得を予防できるわけではなく、現在は感染後ウイルス抑制のワクチンが数剤検討されている。このようなワクチンは、病期進展遅延、伝染抑制に寄与する可能性がある。臨床的有用効果を推定する代用エンドポイントの分析方法を評価し、臨床試験で評価されるべきエンドポイントを提案する。
J Infect Dis 188(2):219-227,2003 Pitisuttithum P (Thailand) et al Safety and Immunogenicity of Combinations of Recombinant Subtype E and B Human Immunodeficiency Virus Type 1 Envelope Glycoprotein 120 Vaccines in Healthy Thai Adults
[健康なタイ成人における組換えサブタイプE+B HIV-1エンベロープgp120の安全性と免疫原性]
サブタイプBとE由来の組換えHIV-1エンベロープgp120ワクチン併用について、HIV感染低リスクのタイ人370人を対象に検討。ワクチンによる重篤な副作用はなし。ワクチン接種の全例で結合抗体が産生された。サブタイプE由来gp120では用量相関はなかったが、B由来gp120では認められた。中和抗体産生はサブタイプE及びBについてそれぞれ84、82%。リンパ球数増加反応は95%以上で認められた。HIV特異的ホルモン又は細胞反応に対する妨害作用はなかった。このワクチンは安全であり、第3相に進み得る。
JAIDS 33(4):476-483,2003 Tabet SR (Univ Washington, USA) et al Safety and Acceptability of Penile Application of 2 Candidate Topical Microbicides: BufferGel and PRO 2000 Gel: 3 Randomized Trials in Healthy Low-Risk Men and HIV-Positive Men
[話題の殺菌剤2候補の陰茎塗布の安全性と受容性:BufferGel及びPRO2000Gel:健常低リスク男性及びHIV陽性男性における3つの無作為試験]
BufferGel、PRO200Gelを7晩塗布し安全性と受容性を検討した3つの無作為試験の総括。重篤な副作用や尿道炎症なし。BufferGelでは低リスク群の13%、HIV患者の8%が、Pro200Gelでは低リスク群17%、HIV患者4%が副作用を報告。両剤の副作用発現率はプラセボでの発現率と有意差なし。BufferGel、PRO200Gelのパートナー拒否率は、低リスク群で各4,13%、HIV患者で8%。
HIV Med 4(3):195-234,2003
[インデックスページ]
  Ninth annual conference of the British HIV Association (BHIVA), 25-26 April 2003, University of Manchester, Institute of Science and Technology (UMIST), Manchester, UK BHIVAの全抄録。01-030、P1-P62。
HIV Med 4(3):276-286,2003
[インデックスページ]
Page J (Switzerland,) et al Quality of generalist vs. speciality care for people with HIV on antiretroviral treatment: a prospective cohort study
[抗ウイルス薬治療を受けているHIV患者に対する一般医及び専門医の質:プロスペクティブコホート試験]
スイスで一般医又は専門医を受診のHIV症例各60例を1年間追跡。受診形態は一般医のみ42%、専門外来31%、両方8%、変動10%及び追跡不能9%だった。追跡不能以外の抗ウイルス効果(HIV RNA<400)は55-88%で有意差なし、追跡不能群の6ヵ月では22%。
JAIDS 33(3):349-355,2003 Rawal BD (Blood C Pacific, USA) et al Development of a New Less-Sensitive Enzyme Immunoassay for Detection of Early HIV-1 Infection
[早期HIV-1感染発見のための新たな低感度酵素免疫分析法の開発]
S/LS EIA検査は長期感染から早期感染を識別する方法として広く用いられている。原法は特別な器具と試薬が必要だが、96-microwellベースEIAはより標準的に普及している。96-well形式を用いたLSプロトコール(Vironostika-LS EIA)の開発とプレリミナリーな検証実施、原法と高い相関性が得られた。非サブタイプBについても検討、良好な結果が得られた。
LANCET 362(9379):210,2003 Fleury HJ (France) et al HIV-1 transmission during scintigraphy
[シンチグラフィー施行時のHIV感染]
症例報告。症例Aは骨折で骨接合施行後、敗血症性偽関節発症で放射線同位元素標識した白血球を用いたシンチグラフィー施行。10日後インフルエンザ様症状を呈し、検査でHIV陽性判明、他の危険因子は否定。同日に同様のシンチグラフィー施行の2人を検査、1例(症例B)がHIV陽性。シーケンス検討でAがBから白血球試料を介し感染したと考えられた。

 

その他2003.3月号
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
AIDS 17(4):547-554,2003 Jackson J B (Johns Hopkins Univ,USA) et al A phase I/II study of nevirapine for pre-exposure prophylaxis of HIV-1 transmission in uninfected subjects at high risk
『高リスクでの非感染者におけるHIV-1伝染の曝露後予防薬としてのNVPのPhaseI/IIスタディ』
HIVに曝露した非感染者33例にNVP200mgを週1回、週2回または毎日、12週間投与。全例副作用なく、臨検値異常も週2回投与群でのGTP上昇以外特になし。16週までにHIV抗体陽性例なし。ほぼ全例、最低血中濃度がIC50(10mg/mL)を超えていた。
AIDS 17(4):563-574,2003 Baillou C (France) et al Highly active antiretroviral therapy corrects hematopoiesis in HIV-1 infected patients: interest for peripheral blood stem cell-based gene therapy
『HAARTはHIV-1患者の造血機能を補整する:末梢血幹細胞ベース遺伝子治療に対する関心』
G-CSFにより動員されたPBPCをレトロウイルス遺伝子治療に使用できるかどうかを検討。HAART施行HIV患者、未治療患者及び非感染者にG-CSFを投与したところ、未治療患者ではウイルスが増加。CD34比及び数は治療/未治療両群で増加。最も未熟なCD4サブセットは未治療患者のロイコアフェレーシス産物及びCD34の豊富なフラクションにおいて有意に減少したが、治療群では減少せず。両群のセルサイクル活性化およびCD34の成長因子反応はコントロール群と同等。HIV患者のCD34培養及びレトロウイルス感染はHIV複製を促進せず、抗体陰性ドナーのCD34細胞を用いたときと同程度の形質導入をもたらした。G-CSF動員PBPCは非症候性既治療患者のHIV遺伝子治療に安全に使用できる一方で、HAARTはG-CSFのウイルス増加をコントロールし未治療患者で見られた不完全な造血を補正するだろう。
New Engl J Med 348(9):826-833,2003 Gerberding JL (CDC,USA) Occupational Exposure to HIV in Health Care Settings [Clinical Practice]
『医療行為における職業的HIV曝露』
AIDS患者の末梢静脈血採取時に、35歳の瀉血士が18ゲージの血液汚染注射針で受傷。ddI+d4Tを6ヵ月以上服用したが、数週間HIV RNA及びCD4値を測定せず。この瀉血士に対する適切な曝露後治療は何か。事例を介して、ガイドラインや明確/不明点、事故時のリソースの紹介。