HIV/AIDS関連文献情報
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抗ウィルス薬、治療関連2005.4月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS38(5):566-569,2005 Narang, V S et al Pharmacokinetic Profiling and Bioequivalence Evaluation of 2 Lamivudine Tablet Formulations After Single Oral Administration in Healthy Human Indian Volunteers.
<インド人健康ボランティアでのラミブジン製剤2種錠剤の単回経口投与後における薬物動態的プロフィール分析と生体内利用率等価性の評価>
(短報)ラミブジン(3TC)150mg製剤2種錠剤(LamivirおよびEpivir)について、インド人健康ボランティア24名において空腹時単回経口投与後の薬物動態プロフィールと忍容性を評価、比較した。最高血漿中濃度および血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)など薬物動態パラメータの評価に3TCの血漿中濃度を用いた。両製剤がAUCおよび吸収率において生体内利用率等価性を有し、また同等の忍容性を有することが示された。
JAIDS38(5):570-577,2005 Maclean, C C et al Potential Cost-Effectiveness of Maternal and Infant Antiretroviral Interventions to Prevent Mother-to-Child Transmission During Breast-feeding.
<母乳養育期間中の母子感染予防を目的とした、母親および乳幼児での抗レトロウイルス介入の費用効果>
出産後HIV母子感染予防に費用効果のある介入を検証するためマルコフモデルを用いて研究した。母乳養育6カ月が経済的に好ましい戦略で、コストは$806,995、446,208 QALYs(質で調整した生存年)を創出。乳幼児へのネビラピン毎日投与の付加的費用は$93,638で、1183 QALYsを付加的に創出。しかし、増分費用対効果(ICER)は$79/QALYsであり、貧しい地域での標準的許容費用($64/QALYs)を上回った。
JAIDS38(5):627-628,2005 Khanlou, H et al Efficacy of Tenofovir as Intensification of Zidovudine/Lamivudine/Abacavir Fixed-Dose Combination in the Treatment of HIV-Positive Patients.
<HIVポジティブ患者治療におけるジドブジン/ラミブジン/アバカビル固定用量併用療法での強化剤としてのテノフォビルの有効性>
(手紙)ジドブジン/ラミブジン/アバカビル固定用量製剤のTrizivirに追加してテノフォビルを用いた治療強化戦略を実施した。Trizivir 丸剤1個1日2回服薬の患者15名にテノフォビル300mg1日1回を追加投与。忍容性は良好で有害イベントでの治療中断は皆無。治療開始24週後、HIV RNA量50コピー/mL未満を達成した患者65%(ITT解析)。
AIDS19(6):569-575,2005 Barrios, A et al Paradoxical CD4+ T-cell decline in HIV-infected patients with complete virus suppression taking tenofovir and didanosine.
<テノホビルとジダノシンを服薬し完全なウイルス抑制を有するHIV感染者におけるCD4陽性T細胞数の逆説的減少>
ジダノシン(ddI)とテノホビル(TDF)併用投与でプロテアーゼ阻害薬温存レジメンを開始したHIV感染者において、完全なウイルス抑制を有する患者を後ろ向きに評価した。結果、完全なウイルス抑制を達成したにもかかわらず、CD4陽性T細胞数が減少し、この効果は経時的に進行。これはCD4陽性Tリンパ球中のアデノシン代謝産物の不均衡によって説明されると考えられ、遺伝性プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症候群に類似。

 

抗ウィルス薬、治療関連2005.3月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS19(3):279-286,2005 Levy, Y et al Immunological and virological efficacy of a therapeutic immunization combined with interleukin-2 in chronically HIV-1 infected patients.
<HIV-1慢性感染患者におけるインターロイキン-2併用治療免疫法の免疫学的/ウイルス学的効果>
HIV-1感染患者を無作為に抗レトロウイルス療法単独継続群(コントロール37名)と、ALVAC-HIV(vCP1433)/Lipo-6Tワクチン接種(0、4、8、12週)後インターロイキン-2皮下注射3サイクル(16、24、32週)併用群(34名)とに振り分け検証したところ、抗レトロウイルス薬中止前に治療免疫法を行うことでHIV複製抑制に寄与するとしたコンセプトが支持された。
AIDS19(3):287-294,2005 International Study Group on CD4-monitored Treatment Interruptions CD4 cell-monitored treatment interruption in patients with a CD4 cell count > 500 x 106 cells/l.
<CD4細胞数500 x 106個/L超の患者におけるCD4細胞数監視下治療中断:CD4細胞数監視下治療中断に関する国際研究グループ>
抗レトロウイルス療法中断患者のCD4細胞数変化について、7つの前向きコホートの患者139名からデータを得て調査した。患者は12カ月超のHAARTを受療し、CD4細胞数最低値>250 x 106個/L、治療中断前値は>500 x 106個/L。結果、CD4細胞数250-350 x 106個/Lで治療を開始し中断した患者は、その後もCD4細胞数>350 x 106個/Lを十分な期間維持し治療中断が継続可能であると思われる。
AIDS19(3):295-302,2005 Haubrich, R H et al A randomized, prospective study of phenotype susceptibility testing versus standard of care to manage antiretroviral therapy: CCTG 575.
<抗レトロウイルス療法管理のための表現型感受性試験vs 治療標準における無作為前向き研究:CCTG575>
抗レトロウイルス療法の改善を目的に表現型感受性試験(PHENO)を治療標準に照らして評価した。対象被験者は、プロテアーゼ阻害薬1剤または2剤を含む抗レトロウイルス療法を>6カ月間受療し、登録時HIV RNA量>400コピー/mLの多施設研究の登録患者238名で、抗レトロウイルスレジメン選択に際しPHENO結果を受領/非受領により無作為に二分。結果、ウイルス学的予後については両群に相違を認めなかったが、耐性ウイルスが多い患者ほどPHENOの潜在的ベネフィットが見られた。適切なカットオフ値がないことが、PHENOのベネフィットを得られなかった原因となっている可能性があり、臨床的関連性において感受性のカットオフ値を確定する必要が示された。
AIDS19(3):309-318,2005 ANRS 1201/1202 DITRAME PLUS Study Groupa Field efficacy of zidovudine, lamivudine and single-dose nevirapine to prevent peripartum HIV transmission.
<ジドブジン、ラミブジン、単回用量ネビラピンの産褥性HIV伝播予防のフィールド効力:ANRS 1201/1202 DITRAME PULS スタディグループ>
アフリカでは産褥性HIV母子感染予防(PMTCT)に、単一用量ネビラピン(NVPsd)およびジドブジン(ZDV)またはZDV+ラミブジン(3TC)の短期レジメンが推奨されている。2剤以上の薬剤併用による6週間のフィールド効力を評価したところ、NVPsd+ZDVでの伝播確率は6.5%(95%信頼区間3.9?9.1%)で、ZDV単剤に比し72%の減少。本レジメンは国際ガイドラインへの追加記載が可能と思われる。
AIDS19(3):319-330,2005 Olsen, C H et al Risk of AIDS and death at given HIV-RNA and CD4 cell count, in relation to specific antiretroviral drugs in the regimen.
<レジメンでの特定抗レトロウイルス薬に関連した、既知のHIV-RNA量およびCD4細胞数から見たAIDS/死亡リスク>
核酸系逆転写酵素阻害薬の組み合わせや特定の第3の薬剤に関して、抗レトロウイルス薬併用療法の別を問わず、既知のHIV-RNA量とCD4細胞数の分類別のAIDS/死亡の比率は変わらないのか検証したところ、同程度であることが示唆され、より新しい薬剤を服薬する患者においても、AIDS/死亡リスクに関する限り、HIV-RNA量およびCD4細胞数が同様の意味を持つことが確認された。
AIDS19(3):345-348,2005 Wit, F et al Safety of long-term interruption of successful antiretroviral therapy: the ATHENA cohort study.
<有効な抗レトロウイルス療法の長期中断における安全性: ATHENAコホート研究>
(手紙)ウイルス学的に奏効しているHAART中断後のCD4細胞数のダイナミクスを139名の患者で研究した。CD4細胞数は中断後1カ月間に急速に減少し、その後は緩徐に減少。追跡期間48週の平均CD4細胞数はHAART前平均値を若干上回る程度。このため、CD4細胞数最低値の低い患者ではSTI(structured treatment interruption)の実行が制限される。
AIDS19(4):439-440,2005 Fagard, C et al Biphasic decline of CD4 cell count during scheduled treatment interruptions.
<Scheduled Treatment Interruption期間中のCD4細胞数の二相性減少>
(手紙)Scheduled Treatment Interruption(STI)を24週継続した115名の患者でのCD4細胞数減少は、当初4週間は中央値30個/mL/週で、その後20週では3個/mL/週。多変量回帰解析の結果、CD4細胞数の早期の大幅な減少は、STI開始時点のCD4細胞数の多さ、STI前の抗レトロウイルス療法期間中のCD4細胞数の回復度合の高さ、4週時点のウイルス負荷の高さに相関。
AIDS19(4):441-443,2005 Mosam, A et al Generic antiretroviral efficacy in AIDS-associated Kaposi's sarcoma in sub-Saharan Africa.
<サハラ砂漠以南諸国でのAIDS関連カポジ肉腫患者における抗レトロウイルス薬ジェネリック製剤の有効性>
(手紙)ジェネリック製剤の固定用量HAARTを受療したHIV関連カポジ肉腫患者50名について報告。52週時点、74%がウイルス量検出限界未満50コピー/mL未満、86%が400コピー/mL未満を達成し、ベースラインから3.1 log10の減少。副作用は最小限度。結果はジェネリック製剤の使用を支持するものであった。
AIDS19(4):447-449,2005 Campo, R E et al Lopinavir/ritonavir maintenance monotherapy after successful viral suppression with standard highly active antiretroviral therapy in HIV-1-infected patients.
<HIV-1感染者におけるHAARTでのウイルス抑制達成後のロピナビル/リトナビル単剤維持療法>
(手紙)小規模パイロット研究(被験者6名、期間;最低24週間)でロピナビル/リトナビルによる単剤維持療法を検証した。単剤維持療法への応答の特徴は2パターンに大別された:1)全期間を通してHIV RNA量1000コピー/mL未満を維持(4名)、2)ウイルス抑制が不安定(HIV RNA量1000コピー/mL以上を最低1回経験)(2名)。2)については両患者とも研究期間中の服薬アドヒアランス不良を認容。
AIDS19(4):451-452,2005 Shahar, E et al Successful desensitization of enfuvirtide-induced skin hypersensitivity reaction.
<エンフビルチド誘導皮膚過敏症反応の脱感作に成功>
(手紙)HIV診断後8年経過の女性患者にテノフォビル(300mg 1日1回)、ラミブジン(150mg 1日2回)、エファビレンツ(600mg 1日1回)、エンフビルチド(90mg 1日2回)の新たなレジメンを開始10日後、融合性赤斑性斑丘疹を体幹部に発症し、頸部、顔面、上下肢へ広がり、エンフビルチドに対する皮下脱感作プロトコールを実施した。患者に注射部位を変えながら、30分以内の間隔で1/1000用量に稀釈したエンフビルチドを漸増して18回注射。脱感作プロトコール開始後9時間でエンフビルチドの用量は規定(完全)用量(90mg)に到達。脱感作後4カ月、患者は規定用量エンフビルチドを含む抗レトロウイルス薬併用療法に十分な忍容性を維持。
JAIDS38(3):254-262,2005 Vincent, N et al Depletion in Antibodies Targeted to the HR2 Region of HIV-1 Glycoprotein gp41 in Sera of HIV-1-Seropositive Patients Treated With T20.
<T20治療を受けたHIV-1セロポジティブ患者の血清中HIV-1糖蛋白gp41のHR2領域を標的とした抗体の減少>
T20(合成ペプチド抗HIV薬)治療を受けた患者の投与前/後の血清を用いて、gp160分子を標的とした抗体量を酵素免疫測定法で分析調査した。結果、T20、MBP44(HR2領域を代表するマルトース結合蛋白)、4765(配列ELDKWAを含む合成ペプチド)を標的とする抗体量がT20投与で減少し、一方、gp41外部ドメインやgp120などのその他領域を標的とした抗体量は一定であることを観察。このことから、抗gp41抗体がT20抗体複合体を構成し、T20治療を干渉する可能性が示唆された。
JAIDS38(3):263-267,2005 Cherry, C L et al Increased Adipocyte Apoptosis in Lipoatrophy Improves Within 48 Weeks of Switching Patient Therapy From Stavudine to Abacavir or Zidovudine.
<脂肪組織萎縮症において、スタブジンからアバカビルまたはジドブジンへのスイッチ後48週以内に脂肪細胞アポトーシスが改善>
脂肪組織萎縮症患者において、スタブジンからアバカビルまたはジドブジンへのスイッチ前/後(48週)での脂肪細胞アポトーシスの度合と可逆性を評価したところ、スイッチ後48週以内に正常化への改善傾向を認め、脂肪細胞アポトーシスの惹起についてスタブジンの関与が示唆された。
JAIDS38(3):268-276,2005 Morand-Joubert, L et al Contribution of Cellular HIV-1 DNA Quantification to the Efficacy Analysis of Antiretroviral Therapy: A Randomized Comparison of 2 Regimens, Including 3 Drugs From 2 or 3 Classes (TRIANON, ANRS 081).
<抗レトロウイルス療法の効力分析に対する細胞性HIV-1 DNA定量化の寄与:2-3クラス 3剤併用の2つのレジメンの無作為化比較試験(TRIANON, ANRS 081)>
72週無作為化試験(TRIANON, ANRS 081)に登録したHAART未経験患者141名において、細胞性HIV-1 DNA量を2種レジメンで連続的に測定し比較検証した。細胞性HIV-1 DNA量の変化は、血漿中HIV-1 RNA量の変化とほぼ一致したもので、ウイルス効力のレジメンによる比較に付加的な有意な情報を提供するものではなかった。
JAIDS38(3):277-282,2005 Hulgan, T et al Prescribing of Contraindicated Protease Inhibitor and Statin Combinations Among HIV-Infected Persons.
<禁忌とされているプロテアーゼ阻害薬とスタチン併用処方の実際>
禁忌のプロテアーゼ阻害薬(PI)とスタチン併用処方の頻度を検証するため、テネシーのHIV感染者のTennCareプログラムを用いて後ろ向きコホート研究を実施し、また、治療ガイドライン出版後の処方の変化についても評価した。結果、これら薬剤の併用は減少したものの看過できないほどの高率で未だ処方されていた。
JAIDS38(3):283-288,2005 Cressey, T R et al Persistence of Nevirapine Exposure During the Postpartum Period After Intrapartum Single-Dose Nevirapine in Addition to Zidovudine Prophylaxis for the Prevention of Mother-to-Child Transmission of HIV-1.
<HIV-1母子感染予防のためのジドブジン投与に加え、単回用量ネビラピンを分娩中投与した場合のネビラピン曝露の分娩後持続>
HIV-1母子感染予防を目的に単回用量ネビラピン(NVP)を分娩中投与した場合の分娩後血漿中NVP濃度を検証した。結果、分娩後最大20日後までかなりのレベルでNVP濃度が持続することを観察。
JAIDS38(3):296-300,2005 van Leth, F et al Plasma HIV-1 RNA Decline Within the First Two Weeks of Treatment Is Comparable for Nevirapine, Efavirenz, or Both Drugs Combined and Is Not Predictive of Long-Term Virologic Efficacy: A 2NN Substudy.
<治療開始2週間以内の血漿中HIV RNA量減少はネビラピン、エファビレンツ、または両薬剤併用で同等であり、長期ウイルス学的効果を予測するものではない:2NNサブスタディ>
ネビラピン(NVP)、エファビレンツ(EFV)、または両薬剤をラミブジン(3TC)およびスタブジン(d4T)と併用して抗レトロウイルス療法を開始する患者において、血漿中HIV RNA量の減少度合を比較した。治療開始2週間のNVP、EFV、NVP+EFV群それぞれの血漿中HIV RNA量の減少度合は類似したもので、これらレジメンでのウイルス崩壊定数はその後の治療におけるウイルス学的効果を予測するものではない。
JAIDS38(3):301-304,2005 Day, S L et al Serum Hypophosphatemia in Tenofovir Disoproxil Fumarate Recipients Is Multifactorial in Origin, Questioning the Utility of Its Monitoring in Clinical Practice.
<テノフォビル服薬患者における血中低リン酸血症はその原因が多因子性であり、実地臨床でのモニタリングの有用性に疑問を呈する>
(短報)テノフォビル(TDF)服薬患者において低リン酸血症の発症頻度をTDF非服薬患者のそれと比較し、HPの再現性を評価し、HP患者での腎不全の発生数を同定し、HPと宿主、HIV感染、または治療要素との関連性を評価した。結果、HPの病因は多因子性であり、TDFや腎不全との関連性は認めなかった。このことは、TDF服薬患者に実施されているルーチンなリン酸塩検査の有用性に疑問を呈するものである。
JAIDS38(3):305-309,2005 Vincent, T et al T-Cell Surface CCR5 Density Is Not Correlated With Hepatitis Severity in Hepatitis C Virus/HIV-Coinfected Individuals: Implications for the Therapeutic Use of CCR5 Antagonists.
<C型肝炎ウイルス/HIV共感染患者においてT細胞表面CCR5密度は肝炎重症度に相関しない:CCR5拮抗薬の治療的使用との関連性>
(短報)HCV/HIV共感染患者51名において、定量フローサイトメトリを用い非活性T細胞表面のCCR5密度を測定し、HCV量、血中アミノトランスフェラーゼ値、肝組織学(炎症活性、線維症、線維症進展率)と比較検証した。T細胞表面CCR5密度の個人間の変数にHCV感染への影響を見い出すことはできず、HCV/HIV共感染患者でのCCR5拮抗薬の使用に関して疑念を提起する結果であった。
JAIDS38(3):310-313,2005 Meroni, L et al Increased CD36 Expression on Circulating Monocytes During HIV Infection.
<HIV感染中に循環血中単核細胞上に増大するCD36発現>
(短報)HIV-1感染者および健康コントロールの循環血中単核細胞上のCD36発現度合を同定し、CD36発現度合と代謝および免疫ウイルス学的パラメータとの相互関係を検証した。HIV-1感染は循環血中単核細胞上のCD36発現増大を伴い、このレセプタの複合性ホメオスタシスに抗レトロウイルス薬はわずかな役割しか果たさない。細胞性アップテイクおよび脂質蓄積の役割を得て、単核細胞上のCD36増大は、HIV感染患者においてアテローム惹起状態を意味する。
JAIDS38(3):363-364,2005 Zala, C et al Comparable Pharmacokinetics of Generic Indinavir (Inhibisam) Versus Brand Indinavir (Crixivan) When Boosted With Ritonavir.
<インジナビルのジェネリック製剤(Inhibisam)vs. ブランド製剤(Crixivan):リトナビルでブーストした場合、同等の薬物動態が得られる>
(手紙)インジナビルのジェネリック製剤Inhibisamとブランド製剤Crixivanとをリトナビルでブーストして使用し、薬剤の全身性曝露について10名の成人患者で比較したところ(アルゼンチン、非盲検交差研究)、同等の薬物動態学的曝露を認めた。

 

抗ウィルス薬、治療関連2005.2月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS38(2):147-155,2005 Shlay, J C et al Body Composition and Metabolic Changes in Antiretroviral-Naive Patients Randomized to Didanosine and Stavudine vs. Abacavir and Lamivudine.
<ジダノシンとスタブジンvs アバカビルとラミブジンに無作為化した抗レトロウイルス療法未経験患者における体型と代謝変化>
抗レトロウイルス療法未経験患者において、ジダノシンとスタブジン(ddI + d4T;46名)vs アバカビルとラミブジン(ABC + 3TC;50名)を含むレジメンで比較/評価したところ、被験者の体型と代謝変化がレジメンにより異なることを観察した。局所/体全体脂肪について、ABC + 3TC 群の増大に比べると、ddI + d4T群では当初増大したが、その後変化の割合は低減し、両群間で有意差を認めた。HDL-コレステロールについては、ddI + d4T群で減少、ABC + 3TC 群で増大。ddI + d4T群にのみ、インスリンおよびインスリン抵抗性の早期/持続的増大を観察。両群ともにLDL- コレステロールは減少、トリグリセリドは増大。
JAIDS38(2):236-238,2005 Manfredi, R et al An Extremely Different Dysmetabolic Profile Between the Two Available Nonnucleoside Reverse Transcriptase Inhibitors: Efavirenz and Nevirapine.
<非核酸系逆転写酵素阻害薬2剤で極端に異なる代謝不全プロフィール:エファビレンツとネビラピン>
(手紙)エファビレンツ服薬患者324名とネビラピン服薬患者299名を比較したところ(非盲検前向き観察サーベイ)、エファビレンツ群ではネビラピン群に比べ、トリグリセリド/コレステロール/グルコース値上昇の発生頻度がはるかに高率(それぞれP<0.0001、<0.0001、=0.0003)。
AIDS19(2):145-152,2005 Kashuba, A et al Combining fosamprenavir with lopinavir/ritonavir substantially reduces amprenavir and lopinavir exposure: ACTG protocol A5143 results.
<ホスアンプレナビルとロピナビル/リトナビル併用でアンプレナビルおよびロピナビルへの曝露が実質的に低減:ACTGプロトコールA5143結果>
ホスアンプレナビル/ロピナビル(LPV)/リトナビル(RTV)、ホスアンプレナビル/RTV、またはLPV/RTV治療を抗レトロウイルス療法経験患者で評価した。ホスアンプレナビルとLPV/RTV併用でアンプレナビルおよびLPVへの曝露は有意に低減し、ウイルス学的失敗のリスク増大の可能性を認めた。その結果、ACTGプロトコールA5143は登録を打切った。RTV曝露には3群間で有意差なし。
AIDS19(2):185-192,2005 Ananworanich, J et al Incidence and risk factors for rash in Thai patients randomized to regimens with nevirapine, efavirenz or both drugs.
<ネビラピン、エファビレンツまたは両薬剤レジメンに無作為化したタイの患者における発疹の発生率と危険因子>
異なる非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)ベースのレジメンにおける発疹の発生率と危険因子をタイの患者を対象に検証した。患者を無作為にエファビレンツ(EFV)600mg 1日1回、ネビラピン(NVP)200mg 1日2回、NVP 400mg 1日1回、NVP 400mg 1日1回+ EFV 800mg 1日1回群に振り分け、スタブジン/ラミブジンを併用。結果、NVP + EFVまたはNVP 1日1回の場合、NNRTI関連発疹が高率で発生。NVP 1日2回処方の場合、EFVと同等の発疹(全グレード)発生率を認めた。女性、早期HIV疾患患者または治療開始後CD4陽性細胞数が大幅に増大した患者で、NNRTI関連発疹リスクはより高率。

抗ウィルス薬、治療関連2005.1月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS38(1):14-17,2005 Laurent, C et al Long-Term Benefits of Highly Active Antiretroviral Therapy in Senegalese HIV-1-Infected Adults.
<セネガルのHIV-1感染成人におけるHAARTの長期ベネフィット>
(短報)HAARTの長期生存、免疫学的/ウイルス学的効果、アドヒアランス、薬剤耐性について、セネガルのHIV-1感染成人176名を対象に評価した。使用薬剤は核酸系逆転写酵素阻害薬2剤にプロテアーゼ阻害薬または非核酸系逆転写酵素阻害薬のいずれか1剤を併用。生存確率は高く(治療3年時0.81)、ベースライン時ヘモグロビンレベル10g/dL未満およびカルノフスキーのスコア90%未満に個別に関連。3年間の治療期間中一貫して抗ウイルス効果を観察(ウイルス量500コピー/mL未満患者60?80%)、CD4数は増大し中央値225個/mm3(ベースライン時144個/mm3)に達した。アドヒアランスはほとんどの患者で良好(80?90%)。薬剤耐性出現率は低く12.5%。
JAIDS38(1):47-52,2005 Negredo, E et al Lopinavir/Ritonavir Plus Nevirapine as a Nucleoside-Sparing Approch in Antiretroviral-Experienced Patients(NEKA Study).
<抗レトロウイルス療法経験患者におけるヌクレオシド系薬剤温存療法としてのロピナビル/リトナビルとネビラピン併用(NEKA研究)>
長期ウイルス抑制を有する抗レトロウイルス療法経験患者31名において、ヌクレオシド系薬剤温存療法と従来のHAARTレジメンの有効性および安全性を比較した。被験者をロピナビル/リトナビル(LPV/rtv)400/100mg bidとネビラピン(NVP)200mg bid併用群(NVP群)およびLPV/rtvとそれまで服薬していたNRTI 2剤併用群(NRTI群)とに無作為に振り分けた。48週後、全患者がウイルス抑制を維持。有害イベントによる治療中断患者は皆無。NVP群では、HDL-コレステロールが24週時点で28%、追跡48週後に10%増加。NRTI群では、LDL-コレステロールが48週時点で14%増加。NVP群では、ミトコンドリアDNA/核DNA比およびミトコンドリア呼吸鎖複合体IV活性の増大傾向を認めた。結果、48週時点での有効性および安全性はいずれのレジメンでも同様で、この温存療法でミトコンドリア毒性を低減し、LPV/rtv関連脂質異常が改善される可能性がある。
AIDS18(18):2361-2369 Desquilbet, Loic et al Does transient HAART during primary HIV-1 infection lower the virological set-point?
<HIV-1一次感染期間中の一過性のHAART受療でウイルス学的セットポイントは低下するか?>
患者特性、早期治療、HAARTへのウイルス学的応答維持の継続期間が、一次感染期間中に開始したHAART中断後のHIV RNA量に及ぼす影響を評価し、HAART中断後のHIV RNA量を、HAART施行前時代における感染自然歴期間と同時間で到達したレベルと比較した。結果、一次感染期間中に開始した一過性の効果的HAART中断後12カ月のウイルス量は、無治療患者での感染後同一時間におけるウイルス量と類似したもので、早期にHAARTを開始してもウイルス学的セットポイントは低下しないことが示唆された。
AIDS18(18):2381-2389 Boschi, A et al CD4+ cell-count-guided treatment interruptions in chronic HIV-Infected patients with good response to highly active antiretroviral therapy.
<HAARTへの良好な応答を示す慢性HIV感染者におけるCD4陽性細胞数を目安とした治療中断>
慢性HIV感染者71名においてCD4陽性細胞数を目安とした治療中断(初回中断時のCD4陽性細胞数中央値は790 x 106個/L)について、その安全性を評価したところ、注意深くモニタリングを行っていれば、臨床的に安全で、薬剤への曝露を低減し治療再開後の効果を減ずることがないことが示された。
AIDS18(18):2401-2409 Monpoux F, et al Treatment interruption for virological failure or as sparing regimen in children with chronic HIV-1 infection.
<慢性HIV-1感染児におけるウイルス学的失敗または温存レジメンとしての治療中断>
ウイルス学的失敗または温存レジメンを主理由として治療中断グループに分類された慢性HIV-1胎児性感染児24名において、治療中断によるリスクとベネフィットを評価したところ、治療中断は成人患者に比べより高いウイルス量増大に関連した。CD4細胞数の減損には成人/小児で差異は認めなかった。臨床的AIDS定義イベントは皆無であったが、HIV-1感染児で治療を中断する際には慎重なモニタリングが必要である。治療中断中の復帰変異はごくわずか。
AIDS18(18):2419-2423 Tarwater, P M et al Prognostic value of plasma HIV RNA among higly active antiretroviral therapy users.
<HAART受療患者における血漿中HIV RNA量の予後予測能>
HAART受療患者において血漿中HIV RNA量とCD4細胞数の予後予測能をAIDS発症とCD4細胞数変化の2項目について比較した。CD4細胞数は基本的な予後マーカであったが、CD4細胞数が250 x 106個/Lを上回る患者においては、HAART開始後のHIV RNA量>1000コピー/mLが、その後のCD4細胞数増大割合およびAIDS発症の強力な予測因子であった。
AIDS18(18):2432- Wood, E et al Earlier initiation of highly active antiretroviral therapy dose not protect against the deleterious effects of non-adherence.
<HAART早期開始はアドヒアランス不良の有害効果の防御とはならない>
(手紙)アドヒアランス不良患者において、CD4細胞数が200?349個/μLよりもむしろ350個/μLになる前にHAARTを開始するほうが生存ベネフィットに寄与するのか試験した。ベースラインCD4細胞数350個/μL 以上の患者をレファレンスと定義したコックスモデルにおいて、200?349個/μLの患者での死亡までの時間はレファレンスと類似。ベースラインCD4細胞数200個/μL未満の患者では生存が低下。
AIDS18(18):2442- Kakuda, T N et al CD4 cell decline with didanosine and tenofovir and failure of triple nucleoside/nucleotide regimens may be related.
<ジダノシン/テノホビル服薬に伴うCD4細胞数減少とヌクレオシド/ヌクレオチド系3剤レジメンの失敗は関連する可能性がある>
(手紙)テノホビルを含むヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬レジメンに関連した重大な予期しない臨床イベントについて最近2件の報告があった。イベントの発生メカニズムは未だ解明されていないが、著者らは本質的に異なるように思われるこれら2件のイベントは薬理学的に関連し、テノホビルのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害に起因することを示唆。
AIDS18(18):2448,2004 Bhaduri, S et al Response to 'Is antiretroviral treatment of primary HIV Infection clinicaly justified on the basis of current evidence' by Smith et al.
<「HIV一次感染での抗レトロウイルス治療は既存のエビデンスから臨床的に正当化されるものか」と題したSmithらのレビューについての応答>
(手紙)HIV一次感染でのHAART施行に関するSmithらのレビュー(AIDS 2004; 18: 709-716)を興味深く拝読し、抗体陽転時またはその6カ月以内に短期治療コース(6カ月)を選択した我々のコホートでの症例7例をレビューした。CD4細胞数平均値は、治療前581個/mm3で治療中止6カ月後817/mm3。ウイルス量は治療期間中全例で50コピー/mL未満に抑制されたが、HAART中止後6カ月時点で検出限界未満のウイルス量を認めたのはわずか3例。結果、HIV一次感染期間中のHAART施行に関しては明確なエビデンスはないとしたSmithらの所説に同意し、大規模臨床試験の実施を提唱する。
AIDS19(1):25-33 Alatrakchi, N et al Persistent low viral load on antiretroviral therapy is associated with T cell-mediated control of HIV replication.
<抗レトロウイルス療法で持続的にウイルス量低値を維持することがT細胞仲介HIV複製コントロールに関連>
完全なウイルス抑制または完全な抗レトロウイルス療法(ART)失敗患者に比し、ART期間中ウイルス複製の持続的低値を有することが(10,000コピー/mL未満)、HIV特異CD4/CD8T細胞を高率で出現させる誘因となり、抗HIV活性の高さとHIV特異CD8T細胞数の多さが関連してウイルス複製コントロールに寄与するという知見を得た。
AIDS19(1):101-102,2005 Mauss, S et al Low rate of treatment failure on antiretroviral therapy with tenofovir, lamivudine and zidovudine.
<テノホビル/ラミブジン/ジドブジンを用いた抗レトロウイルス療法の治療失敗率の低さ>
(手紙)40名の患者データからテノホビル/ラミブジン/ジドブジンのNRTI3剤レジメンを後ろ向きに検証したところ、他のNRTI3剤併用療法に比べより有効で容認可能な効果を認めた。治療開始24週時点でHIV-1 RNA量50コピー/mL未満を有した患者は、検出限界以下で本3剤レジメンに変更した患者27名中23名(85%)、検出限界以上で変更した患者13名中8名(61%)。

抗ウィルス薬、治療関連2004.12月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS37(4):1454-1456,2004 Rey, D et al Tolerance of a Short Course of Nevirapine, Associated With 2 Nucleoside Analogues, in Postexposure Prophylaxis of HIV.
<HIV曝露後予防におけるヌクレオシド系2剤を伴う短期ネビラピン投与の耐容性>
ネビラピン200mg/日を開始当初4日間のみヌクレオシド系2剤と併用した全1カ月間のHIV曝露後予防についての2年間の後ろ向き解析(対象120名)。2名がネビラピンを臨床イベントで中断、ヌクレオシド系薬剤の中断は10名。2.8%が開始2週間でALT値の軽微な上昇を示したが、追跡期間中HIVあるいはHCV血清変換は皆無。短期間のこの治療は臨床的にも生物学的にも安全であると思われる。
JAIDS37(4):1457-1483,2004 Himelhoch, S et al Dose the Presence of a Current Psychiatric Disorder in AIDS Patients Affect the Initiation of Antiretroviral Treatment and Duration of Therapy?
<AIDS患者が精神医学的障害を有する場合、抗レトロウイルス療法の開始および治療継続期間に影響するか?>
HIV患者において精神医学的障害は一般的なことで、これまでの研究ではHAART開始の遅延傾向が示唆されていた。都市部AIDS患者が精神医学的障害を有する場合、1)HAART開始に要する時間に影響するか、2)最低6カ月のHAART受療の傾向予測となるか、3)生存に影響するかについて、AIDS患者549名(治療経験なし)を対象に調査した。こうした患者はHAARTを受療しており、また治療を継続することで生存ベネフィットを享受できるという結果を得た。
JAIDS37(4):1489-1495,2004 Jones, R et al Renal Dysfunction With Tenofovir Disoproxil Fumarate-Containing Hight Active Antiretroviral Therapy Regimens Is Not Observed More Frequently: A Cohort and Case-Control Study.
<テノホビルを含むHAARTレジメンに伴う腎障害の頻度は低い>
テノホビルDF服薬患者での腎障害の全体的発生率とリスクについて他の抗レトロウイルス薬と比較し検証。テノホビルDF曝露後クレアチニン値が120μmol/L以上であったのは、1058名中84名(8%)で、その内75名(90%)の腎障害に薬剤以外の原因を認めた。テノホビルDFが他剤と比較してより高頻度で腎障害に関連するということはなく、腎障害の発生率は通常他の原因による。
JAIDS37(5):1550-1555,2004 Miro, O et al Upregulatory Mechanisms Compensate for Mitochondrial DNA Depletion in Asymptomatic Individuals Receiving Stavudine Plus Didanosine.
<スタブジンとジダノシン併用無症候患者におけるミトコンドリアDNA減少を補填するアップレギュレーションのメカニズム>
スタブジンとジダノシン(d4T+ddI:in vitroおよびin vivo双方でmtDNA減少に強く寄与する抗レトロウイルス薬併用パターン)併用患者において、ホメオスタシスのメカニズムがmtDNA減少を補填できるか検証。結果、d4T+ddI治療はミトコンドリア量およびmtDNA容量の減少に関連したが、シトクロムCオキシダーゼサブユニットII発現とシトクロムCオキシダーゼ活性は不変。データから、アップレギュレーションの転写あるいは転写後のメカニズムが、甚大なmtDNA減少が発生する前に、d4T+ddI起因のmtDNA減少を補填することが示唆された。
JAIDS37(5):1563-1565,2004 Bower,M et al HIV-Associated Anal Cancer: Has Highly Active Antiretroviral Therapy Reduced the Incidence or Improved the Outcome?
<HIV関連肛門癌:HAART導入で発生率は減少あるいは予後が改善?>
(短報)HAART導入でカポジ肉腫やAIDS関連非ホジキンリンパ腫の発生率は低減し患者の生存も改善したことから、本研究ではHIV関連肛門癌についてその発生率および生存へのHAARTの影響を評価したところ(8640名のHIVセロポジティブコホート)、発生率、臨床特性、あるいは全体的生存への有意な変化は認めなかった。
JAIDS37(5):1566-1569,2004 Pujari, S N et al Effectiveness of Generic Fixed-Dose Combinations of Highly Active Antiretroviral Therapy for Treatment of HIV Infection in India.
<インドでのHIV感染治療に対するジェネリック薬品固定容量併用HAARTの有効性>
(短報)インドの抗レトロウイルス療法未経験HIV-1感染患者において、ネビラピンをベースとする固定容量併用(FDC)療法の臨床的、免疫学的効果および急性毒性を評価したところ、安全性を確認し、耐容性のある臨床的および免疫学的ベネフィットを認めた。登録患者は1291名で最低3カ月の追跡調査を完了したのは1253名。発疹6.6%、肝炎3.2%を観察。CD4数は2年間にわたって有意に改善。48名が死亡し、これらの患者で186件の臨床イベントを記録。罹患率および死亡率の最も一般的起因は結核。
JAIDS37(5):1577-1580,2004 Min, S S et al Protease Inhibitor and Nonnucleoside Reverse Transcriptase Inhibitor Concentration in the Gential Tract of HIV-1-Infected Women.
<HIV-1感染女性の生殖管におけるプロテアーゼ阻害薬および非核酸系逆転写酵素阻害薬の濃度>
(短報)女性生殖管での抗レトロウイルス薬(ARV)の薬物動態は、HIV垂直感染や性的伝播、ウイルス耐性発現、曝露後予防レジメンに影響を及ぼす。本研究は子宮頸膣(CVF)と血漿(BP)からの直接吸引物によりARV濃度を比較した初めての試み。8種類のARVでCVF濃度はBP濃度の10%未満-100%以上の範囲と大きく異なり、さらなる調査の必要性が窺えた。
JAIDS37(5):1581-1583,2004 Eron, J J. Jr. et al Presistent Antiretroviral Activty of Nucleoside Analogues After Prolonged Zidovudine and Lamivudine Therapy as Demonstrated by Rapid Loss of Activity After Discontinuation.
<投薬中断後の急速な活性喪失によって立証された、長期ジドブジンおよびラミブジン療法後のヌクレオシド系薬剤の抗レトロウイルス活性の持続>
HIV-1複製の部分的抑制や治療選択肢の限られている患者で抗レトロウイルス治療の決定を行うのは非常に困難なことである。ジドブジンとラミブジンを長期服薬した(中央値32.5カ月)患者16名において、この2剤併用療法を中断し血漿中HIV-1 RNA量を2週間モニターした結果、中断後2週間にわたって全患者でHIV-1 RNA量が増大(中央値0.54 log10コピー/mL)。核酸系逆転写酵素阻害薬は、HIV-1の部分的抑制療法の長期継続や耐性株の存在にも関わらず、ARV活性を維持すると思われる。
JAIDS37(5):1587-1598,2004 Saracino, A et al Selection of Antiretroviral Therapy Guided by Genotypic or Phenotypic Resistance Testing: An Open-Label, Randomized, Multicenter Study(PhenGen).
<遺伝子型あるいは表現型の耐性試験による抗レトロウイルス療法の選択:非盲検無作為化多施設試験(PhenGen)>
現行レジメン失敗に伴う新たなHAARTレジメン選択に関して、遺伝子型/バーチャル表現型(vPt)あるいはリアル表現型(rPt)を評価した。登録患者は最低2レジメンに失敗した患者で、無作為にvPt群(111名)あるいはrPt群(108名)に振り分けて比較した結果、治療の予後予測では両者とも同等で、また、専門家の助言の利用は治療への応答を有意に改善した。
AIDS18(17):2261-2267,2004 Hatzakis, A E et al Cellular HIV-1 DNA load predicts HIV-RNA rebound and the outcome of highly active antiretroviral therapy.
<HIV-1細胞内DNA量がHIV-RNAリバウンドおよびHAART予後を予測>
HAART開始前の細胞内HIV-1 DNA量でHAARTの予後を予測可能か、多施設血友病コホート研究に参画しているギリシャの血友病患者51名を対象に評価。結果、ベースラインの末梢血単核細胞中HIV-1 DNA量は初回ウイルス学的応答(VR)の予測には無効。初回VRを示しベースラインHIV-1 DNA量が中央値以下の患者でウイルス学的リバウンドを経験した患者は皆無で、一方、HIV-1 DNA量が中央値を上回っていた患者では、104週までのウイルス学的リバウンドの累積確率が55%。細胞内HIV-1 DNA量はウイルス学的応答維持に関連する唯一のパラメータであった。
AIDS18(17):2269-2276,2004 Benson, C A et al A randomized study of emtricitabine and lamivudine in stably suppressed patients with HIV.
<安定的抑制を有するHIV患者におけるemtricitabineおよびラミブジンの無作為化試験>
emtricitabine(FTC)およびラミブジン(3TC)を比較した無作為化試験。3TC 150mg 1日2回(BID)、スタブジンまたはジドブジン、およびプロテアーゼ阻害薬1剤または非核酸系逆転写酵素阻害薬1剤のレジメンで、血漿中HIV-1 RNA量の安定的抑制を有する440名のHIV-1感染患者を対象とし、「現行レジメン継続群(3TC群)」と「ラミブジンをFTC 200mg1日1回(QD)に変行群(FTC群)」とに無作為に二分し比較。48週時点、ウイルス学的失敗確率は低く(FTC群7%、3TC群8%)、ウイルス抑制維持確率は50および400コピー/mL閾値双方で両群同等。CD4陽性T細胞パーセンテージの増加平均はFTC群2.5%、3TC群1.7%。4年間の追跡期間において、FTCを含むHAARTは高率のウイルス学的抑制維持に関連。
AIDS18(17):2325-2327,2004 Schildgen, O et al Successful therapy hepatitis B with tenofovir in HIV-infected patients failing previous adefovir and lamivudine.
<アデフォビルおよびラミブジン治療が奏効しなかったHIV感染者におけるテノホビルを用いた有効なB型肝炎の治療>
(手紙)B型慢性肝炎(遺伝子型A)を有するHIV感染者3名において、ラミブジン治療失敗後アデフォビル療法に切り替えたが、これも奏効しなかった。いずれの患者のウイルス分離株にもアデフォビル耐性に関連した変異(A181V、N236T)を認めなかった。2つの分離株でB型肝炎ウイルスDNAポリメラーゼ変異L217Rを同定。1つの分離株では同領域に複数のフレームシフトを観察。3名とも薬剤をテノホビルに変更し、結果ウイルス量は有意に低下。
AIDS18(17):2330-2331,2004 De Wit, S et al Viral load and CD4 cell response to protease inhibitor-containing regimens in subtype B versus non-B treatment-naive HIV-1 patients.
<サブタイプB vs 非B未治療HIV-1患者におけるプロテアーゼ阻害薬を含むレジメンに対するウイルス量およびCD4細胞応答>
(手紙)サブタイプB または非Bを有する未治療HIV-1患者175名を対象に、プロテアーゼ阻害薬を含むHAARTに対するウイルス量およびCD4細胞応答を比較。24カ月時点で、ウイルス量400コピー/mL未満の患者割合に相違は認めなかった。しかし、CD4細胞数中央値の増加に有意差を観察し(非B群の増加値が低)、これがウイルスあるいは免疫上の要因によりもたらされたものかどうか、今後さらに検証する必要がある。
AIDS18(17):2333-2337,2004 Mocroft, A et al Causes of death in HIV infection: the key determinant to define the clinical response to anti-HIV therapy.
<HIV感染における死亡原因:抗HIV療法への臨床的応答を規定する鍵となる決定因子>
(手紙)HAARTを開始した静注薬物使用者(IDU)で新たなAIDS/死亡リスクが増大していることが研究から示されている。EuroSIDA研究に登録しHAARTを開始した3872名の患者中819名がIDU(21.2%)。14769人年の追跡調査期間中、499名の患者が新たなAIDS/死亡へ進展。同性愛者に比べると、IDUでは新たなAIDS/死亡(非HIV死亡のみ)の発生件数が増大。観察研究で死亡原因を規定および標準化することが急務である。

抗ウィルス薬、治療関連2004.11月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS18(16):2115-2125,2004 Vermeire K et al CADA, a novel CD4-targeted HIV inhibitor, is synergistic with various anti-HIV drugs in vitro.
CD4を標的としたHIV阻害薬の新薬であるCADAはin vitro で各種抗HIV薬と相乗作用を有する
cyclotriazadisulfonamide CADAの一次分離株に対するin vitroでの抗HIV-1活性および抗HIV承認薬とのCADA併用における共力作用を評価するため、末梢血単核細胞(PBMC)をCADAで処理し、16種の分離株を感染させ研究した。侵入阻害薬であるCADAは、PBMC中の広範囲のR5、R5/X4、X4一次分離株に対して強力かつ持続的抗HIV-1活性を発揮。現在使用されている抗レトロウイルス薬(逆転写酵素阻害薬およびプロテアーゼ阻害薬)と併用した結果(2剤試験)、相乗作用を認めた。
AIDS18(16):2145-2151,2004 Sabin C A et al Late presenters in the era of highly active antiretroviral therapy: uptake of and responses to antiretroviral therapy.
HAART時代における感染後期初診患者(late presenter):抗レトロウイルス療法の取込みと応答
CD4細胞数の低い初診患者(感染後期初診患者;late presenter、CD4細胞数<50x106個/L)の特徴および臨床的/免疫学的/ウイルス学的予後を、年齢>16歳の患者で検証した(観察期間:1996年1月-2002年12月31日)。これらの患者は観察集団全体の15.3%(110名)で、女性、異性愛者、アフリカ系黒人の比率がより高かった。追跡期間中央値2.5年の間に13%が死亡。抗レトロウイルス療法を開始しなかった11名中8名が来院3カ月以内に死亡。治療を開始した患者では、87名がウイルス量<400コピー/mLを達成し、CD4細胞数は中央値43x106個/L(来院0-2カ月時)から204x106個/L(1年後)。これら患者の多くが良好な免疫学的、ウイルス学的応答を示し、HAART受療でのベネフィットを享受できることが判明。
AIDS18(16):2210-2212,2004 Dronda F et al CD4 cell recovery during successful antiretroviral therapy in naive HIV-infected patients: the role of intravenous drug use.
治療が奏効した抗レトロウイルス薬未経験HIV感染患者におけるCD4細胞数の回復:静注薬物使用が及ぼす影響
(手紙)HAARTを開始し24カ月以上にわたり完全なウイルス抑制を維持する患者288名(内、静注薬物使用経験者176名)において、HIVリスク行動が免疫再構築に及ぼす影響を前向きに評価した。6カ月および24カ月時点でのCD4細胞数に有意差を確認。多変量解析の結果、薬物使用は低レベルの免疫学的回復の独立予測因子。HAARTが奏効しているHIVポジティブ患者において、静注薬物乱用は長/短期CD4細胞数の回復を障害。
AIDS18(16):2213-2215,2004 Opravil M et al Long-term efficacy after switch from protease inhibitor-containing highly active antiretroviral therapy to abacavir, lamivudine, and zidovudine.
プロテアーゼ阻害薬を含むHAARTからアバカビル/ラミブジン/ジドブジン治療変更後の長期効果
(手紙)プロテアーゼ阻害薬を含むHAARTからアバカビル/ラミブジン/ジドブジンへ治療を変更した患者の長期追跡について報告。追跡期間中央値3.1年後、252人年の期間に84名中16名にウイルス学的失敗を観察。ウイルス学的失敗の100人年当たりの発生率は、ジドブジン単剤/2剤併用療法経験の有無により、経験を有する患者で13.5、未経験で3.4。ヌクレオシド類似体で不完全なウイルス抑制エピソードを経験していない患者において、ウイルス抑制達成後のアバカビル/ラミブジン/ジドブジンへの変更で抗レトロウイルス効果を長期間維持。

抗ウィルス薬、治療関連2004.10月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS37(2):1263-1268,2004 Wyen, C et al Progressive Multifocal Leukencephalopathy in Patients on Highly Active Antiretroviral Therapy: Survival and Risk Factors of Death.
<HAART受療患者における進行性多病巣性白質脳障害>
進行性多病巣性白質脳障害(PML)を有するHAART受療患者における臨床的転帰および死亡の危険因子について記述し、HAARTに併用した場合のcidofovirの効果をHIV-1感染患者35名で評価した。PML発症時、35名中15名がHAART未経験、11名が6カ月以上HAARTを受療。9名がHAART開始後6カ月以内にPMLを発症。PML診断後全ての患者にHAARTを施行。cidofovirを同時併用した患者12名での累積生存期間はcidofovir非併用患者に比べ有意に短かった。HAART受療中にPML診断を受けた患者では、HAART未経験患者に比べ生存期間が短い傾向を認めた。
JAIDS37(2):1269-1275,2004 Delaugerre, C et al Predictive Factors of Virologic Success in HIV-1-Infected Children Treated With Lopinavir/Ritonavir.
<ロピナビル/リトナビルで治療したHIV-1感染児におけるウイルス学的成功の予測因子>
HIV-1感染児69名(プロテアーゼ阻害薬[PI]未経験21名、PI経験48名)をロピナビル/リトナビル(LPV/r)で治療した経時的観察研究。治療開始後6、12、18カ月時点でウイルス量50コピー/mL未満に達した患者は、それぞれ52%、57%、49%。ウイルス学的失敗(2回連続的に1000コピー/mL以上)割合は、PI治療経験児およびベースライン時LPV変異スコアが3スコア以上の小児で有意に高かった。治療経験児において、血漿中LPV最大濃度のベースライン時LPV変異スコアに対する比率はまた、耐性スコアとは無関係に治療失敗に関連。LPVを含むレジメンが奏効しなかった小児で、PI関連耐性変異の付加的な蓄積を認め、これらの小児はPI治療経験を有し、ウイルス複製レベルが10000コピー/mL未満の場合でもこのエビデンスを確認。治療経験を有する小児ではLPVの血漿中レベルを最適化し、耐性レベルに対抗できる十分な薬剤濃度を達成する必要がある。
JAIDS37(2):1276-1281,2004 Knobel, H et al Failure of Cetirizine to Prevent Nevirapine-Associated Rash: A Double-Blind Placebo-Controlled Trial for the GESIDA 26/01 Study.
<セチリジンによるネビラピン関連発疹予防の失敗:GESIDA 26/01研究のための二重盲検プラセボ対照試験>
ネビラピン関連発疹の予防目的で用いるセチリジンの有効性を二重盲検プラセボ対照試験で217名の患者を登録して評価(セチリジン107名、プラセボ110名)。全体で29件の発疹を検知し(13.4%)、セチリジン群16件(15%)でプラセボ群13件(11.8%)。ネビラピンの服薬を中止した中等度から重度の発疹発症は、セチリジン群10.3%(11/107名)、プラセボ群7.3%(8/110)。治療中止の有害イベント発生はセチリジン群14名(13.1%)、プラセボ群10名(9.1%)。セチリジンではネビラピン関連発疹を予防できず、またその重症度にも無効。
JAIDS37(3):1351-1357,2004 Skiest, D J et al It Is Safe to Stop Antiretroviral Therapy in Patients With Preantiretroviral CD4 Cell Counts >250 cells/[mu]L.
<抗レトロウイルス療法開始前CD4細胞数>250個/μLの患者では抗レトロウイルス療法の安全な中止が可能>
比較的維持されたCD4細胞数を有し抗レトロウイルス療法(ART)を中止した患者の臨床的、免疫学的、ウイルス学的予後を研究する目的で、抗レトロウイルス療法開始前CD4細胞数>250個/μLの患者107名を観察した。ART中央値は45カ月、薬剤数中央値は4剤。ART前CD4細胞数とウイルス量の中央値は463個/μLおよび4.35 logコピー/mL。ART中止時CD4細胞数中央値は739個/μL。中止当初2カ月のCD4細胞数低下は65個/月で、その後は8個/月。ウイルス量も同様に当初2カ月は中央値2.54 logコピー/mL増大し、その後変化なし。ART中止からCD4<250の複合エンドポイント到達あるいはART再開までの期間は8.9カ月。多変量解析では、ART開始前CD4細胞数>250は、複合エンドポイント到達に対し予防的。ART開始前CD4細胞数はART中止後の予後の予測因子として使用可能と思われる。
JAIDS37(3):1358-1366,2004 Acosta, E P et al Comparison of Two Indinavir/Ritonavir Regimens in the Treatment of HIV-Infected Individuals.
<HIV感染治療における2種類のインジナビル/リトナビル レジメンの比較>
初回プロテアーゼ阻害薬(PI)ベースのレジメンが奏効しなかったHIV感染者において、インジナビル(IDV)/リトナビル(RTV)を800/200mg(A群22名)および400/400mg(B群22名)、それぞれ1日2回服薬群に二分し、薬物動態、安全性、耐容性を比較検証した。IDV投薬前濃度、最大血漿中濃度、曲線下領域はA群で有意に高かった。A群55%、B群45%の被験者が治療に応答。CD4細胞応答は両群で類似。全被験者がベースラインおよびウイルス学的失敗時、IDVに感受性を示すウイルスを有した。耐容性は両群類似。グレード3以上のトリグリセリド値上昇を来たしたのはB群で、さらにより多数のB群被験者が毒性のため治療変更。結果は両レジメンで類似した耐容性および応答率を示した。応答率が低く毒性が高かったことから、本集団でのIDV/RTVの至適併用はRTV <400mgおよびIDV <800mgと示唆される。
JAIDS37(3):1367-1375,2004 Fishbein, D A et al Factors Associated With Successful Referral For Clinical Care of Drug Users With Chronic Hepatitis C Who Have or Are At Risk For HIV Infection.
<HIV感染者あるいはハイリスクを有するC型慢性肝炎薬物使用患者において、治療を成功させるための専門医紹介に関連した要因>
C型慢性肝炎の薬物使用者(DU)を臨床的評価および治療のため専門医に受診させることについて、その結果を確認するため、C型肝炎ウイルスRNAが検出可能な228名の患者に紹介状を出し研究した。127名(56%)が紹介を受諾し、内54名(43%)が検査来院した。来院患者中12名(22%)が肝生検を受け、4名(7%)が治療を受けた。多変量解析の結果、HIV感染DUでは紹介を受諾する可能性が有意に低く、アポイントを守る傾向は年齢が高い者でより高かった。HIVセロポジティブ者では、静注薬物経験者で紹介受諾率がより高く、ヒスパニックおよびHIV RNA量がより高いものでアポイントを守る傾向が低かった。速やかなC型肝炎治療のための紹介状であったにもかかわらず、検査を受けた参加者はわずかで、治療にいたってはさらに少なかった。こうした患者の検査/治療を促進するためのより良い方策の開発が急務。
AIDS18(15):1991-1999,2004 Martinez-Marino, B et al Interleukin-2 therapy restores CD8 cell non-cytotoxic anti-HIV responses in primary infection subjects receiving HAART.
<HAART受療中一次感染被験者において、インターロイキン-2療法でCD8細胞非細胞傷害性抗HIV応答が回復>
HAART受療中(48週間)の急性/最近感染被験者21名において、インターロイキン-2(IL-2)療法の免疫学的/ウイルス学的効果を検証。IL-2療法でCD4細胞数が有意に増加し、IL-2治療中断後も6カ月間維持。ウイルス量/CD8細胞数は、HAART単独受療群(IL-2治療なし)との間に有意差はなし。CD8細胞非細胞傷害性抗HIV応答(CNAR)活性は、HAART/IL-2治療群で回復したが、HAART単独群および非治療感染被験者(一切の治療を行わない対照群)ではCNARは低減。最低50%のHIV複製抑制を示すCD8細胞を有するHAART受療被験者割合は、IL-2療法施行後有意に増大し6カ月間維持。HIV一次感染において、HAART受療1年後にIL-2を併用することで、CD4細胞数は有意に増加し、また、これまで確認されていなかったCD8細胞非細胞傷害性抗HIV応答への有益な効果もあった。
AIDS18(15):2001-2007,2004 Lindemann, M et al T-cell function after interleukin-2 therapy in HIV-infected patients is correlated with serum cortisol concentrations.
<HIV感染患者でのインターロイキン-2療法施行後のT細胞機能は血清コルチソル濃度に相関>
HIV感染患者(成人32名)でのin vitroリンパ球応答性にインターロイキン-2(IL-2)療法(9 x 106 IU/日投与)が及ぼす影響を検証し、データを血清コルチソル濃度と照合した。IL-2療法4-5日で施行開始後7日目に、マイトジェンおよびリコール抗原に対する反応にベースラインと比較して有意な低減を観察。血清コルチソルレベルは4日目に最大値に達し、7日目でも上昇を維持。CD4T細胞数は2日目を最低値として有意に減少し、その後7日目にベースラインに比べ2.4倍に増加。コルチソル値の変化とリンパ球幼若化検査(LTT)でのマイトジェン/抗原反応の変化、コルチソル値の変化と2日目CD4細胞数、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン検査結果と7日目LTT抗原反応との間に、それぞれ正の相関を認めた。LTT反応、コルチソル値、CD4T細胞数は30日目にベースライン値に復帰。血清コルチソル濃度はIL-2療法誘導T細胞の機能的/数量的変化の予測因子である。
AIDS18(15):2029-2038,2004 Grabar, S et al Immunologic and clinical responses to highly active antiretroviral therapy over 50 years of age. Results from the French Hospital Database on HIV.
<50歳以上におけるHAARTへの免疫学的/臨床的応答: HIVに関するフランスの病院データベースから>
フランス国内68カ所の病院から合計3015名、内50歳以上401名の患者をHAART開始後登録した前向きコホート研究で、50歳以上の患者におけるHAARTへの免疫学的/臨床的応答を検証。50歳以上の患者でもHAARTへの免疫学的応答を示した。しかしCD4細胞再形成速度は、ウイルス学的応答が良好であったとはいえ、50歳未満患者に比較して有意に緩慢(CD4細胞数増加月平均値;50歳以上15.6 x 106個/L、50歳未満17.9 x 106個/L)。追跡期間中央値31.5カ月時点で、236名の患者が新たなAIDS定義イベントを有し、44名が死亡。ベースライン特性を調整後、高年齢の患者ほど有意に高い臨床進展リスクを有し、ウイルス量500コピー/mL未満を達成する傾向にあった。

抗ウィルス薬、治療関連2004.9月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 37(1):1111-1124,2004 Sax, Paul E et al Tolerability and Safety of HIV Protease Inhibitors in Adults.
<成人におけるHIVプロテアーゼ阻害薬の耐容性と安全性>
(レビュー)初期のプロテアーゼ阻害薬(PI)は最近開発されたPI に比べ、インスリン抵抗性やコレステロール値およびトリグリセリド値に大きな影響を及ぼすことが、最近のデータから示唆された。さらにこうしたデータは1薬剤分類としてのPIの評価についても再検討の必要性を示唆し、最近開発されたPIで治療を受けた患者に対し、第一世代のPIで治療した患者からの安全性データを外挿するのは不適切と考えられるとしている。PIは有用な抗レトロウイルス療法の重要な薬剤であり、PIの長期投与に関連した合併症の予測評価は不可欠で、同時に個々のPIの安全性プロフィールにおける重要な差異について詳細に評価検討することも必須事項である。
JAIDS 37(1):1140-1146,2004 Cohen, Calvin J et al Health-Related Quality of Life With Enfuvirtide (ENF; T-20) in Combination With an Optimized Background Regimen.
<Enfuvirutide (ENF; T-20)を至適バックグラウンドレジメンに併用した場合の保健関連QOL>
保健関連QOL(HRQoL)にenfuvirtideが及ぼす影響を評価するため、治療経験を有するHIV-1感染者995名を登録し、自己管理下でのenfuvirtide(90mg1日2回)服薬と至適バックグラウンド(OB)療法の併用群およびOB単独群とに二分して最大24週間検討した(登録患者に、ベースライン時および第4、8、16、24週時点で医療結果研究[Medical Outcomes Study:MOS]-HIV質問表の調査を実施)。結果、OBレジメンにenfuvirtideを併用することによる弊害は認められず、HRQoLは改善すると思われた。
JAIDS 37(1):1147-1154,2004 Raffanti, Stephen P et al Effect of Persistent Moderate Viremia on Disease Progression During HIV Therapy.
<HIV治療期間中の中等度ウイルス血症の持続が疾患進展に及ぼす影響>
HIVの臨床的進展度合がウイルス抑制度合により影響されるのかどうかを評価するため、3010名のHIV-1 RNAレベルが安定している患者を対象に最大4.3年間追跡調査した(6カ月の試験導入期間で<400、400-20000、>20000コピー/mL群に分類;ベースラインは6カ月の試験導入期間後第1日目に設定)。ベースライン時HIV-1 RNA量400-20000コピー/mLを最低6カ月維持した患者は、免疫学的状態を維持し、<400コピー/mL群に比べて、より多くの死亡/新たなAIDS定義疾患を発症するようには思われなかった。しかし、>20000コピー/mL群では臨床的、免疫学的状態の悪化を認めた。中等度ウイルス血症の持続は臨床的ベネフィットに寄与すると考えられ、奏効しない治療継続時のリスクとベネフィットを検討する際に考慮すべき事柄である。
JAIDS 37(1):1155-1159,2004 Smith, Colette J et al Use of Viral Load Measured After 4 Weeks of Highly Active Antiretroviral Therapy to Predict Virologic Outcome at 24 Weeks for HIV-1-Positive Individuals.
<HAART受療4週時測定のウイルス量を利用した治療24週後でのHIV-1ポジティブ患者のウイルス学的結果予測>
(短報)抗レトロウイルス薬未経験患者656名において、HAART開始24週後のウイルス学的抑制達成(50コピー/mL未満)のオッズをロジスティック回帰を用いて、HAART開始4週時のウイルス量に基づき予測した。HAART開始4週時点において、ウイルス量が<1000コピー/mLの患者430名中360名(84%)、1001-10000コピー/mLの患者175名中106名(61%)、10001-100000コピー/mLの患者30名中11名(37%)、>100000コピー/mLの患者21名中5名(24%)が、24週時点でウイルス学的抑制を達成。24週時点でウイルス学的抑制を達成するオッズは、4週時点でのウイルス量が1-log高くなる毎に65%低くなった。4週までにウイルス量1000コピー/mL未満を達成できなかった患者中、24週時点で検出限界以下のウイルス量を達成した患者割合はかなり低いもので、こうした患者グループを特に慎重にモニターする必要性が示唆される。
JAIDS 37(1):1166-1169,2004 Patel, Atul et al Safety and Antiretroviral Effectiveness of Concomitant Use of Rifampicin and Efavirenz for Antiretroviral-Naive Patients in India Who Are Coinfected With Tuberculosis and HIV-1.
<結核とHIV-1共感染の抗レトロウイルス療法未経験患者におけるリファンピシンおよびエファビレンツ同時併用の安全性と抗レトロウイルス効果(インド)>
(短報)結核(TB)とHIV-1共感染の抗レトロウイルス療法未経験患者でのリファンピシンおよびエファビレンツ同時併用の安全性と抗レトロウイルス効果を検証。CD4細胞数200/μL以下の患者を二群に分類。A群患者は活動性TBを有する126名で、エファビレンツと核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤およびリファンピシン含有抗TB治療薬を投与、B群は非TB129名で、日和見感染を治療し、エファビレンツとNRTI2剤による治療を開始。使用したNRTIは、ジドブジンとラミブジン(n=30)あるいはスタブジンとラミブジン(n=225)(インドのジェネリック医薬品を使用)。結果、リファンピシン併用あるいは非併用のエファビレンツをベースとした抗レトロウイルス療法受療患者において、臨床的/免疫学的ベネフィットは同等。
JAIDS 37(S1):S13-S20,2004 Young, Benjamin The Role of Nucleoside and Nucleotide Reverse Transcriptase Inhibitor Backbones in Antiretroviral Therapy.
<抗レトロウイルス療法の主軸としてのヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬の役割>
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤併用療法には数種類があるが、これらは第3の薬剤と併用使用すると効力を発揮する。しかし、現行のNRTIとヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬(NtRTI)の併用には多くの問題があり、しばしば治療失敗や治療選択肢を狭めることになる。ここではHIV感染治療の主軸としてのNRTI使用について歴史的観点から考察し、現行の主軸となっているコンビネーションについてその利益と不利益を概説。さらに現在、初回治療の有力な選択肢として検証されているコンビネーションについても紹介。
JAIDS 37(S1):S21-S29,2004 Ruane, Peter J MB New Nucleoside/Nucleotide Backbone Options: A Review of Recent Studies.
<治療主軸薬剤であるヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬の新規コンビネーション選択肢:最新研究のレビュー>
近年臨床家は、治療主軸薬剤として併用されてきたヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬(NRTI/NtRTI)の臨床成績データを利用して、抗レトロウイルス療法の効力、忍容性、簡便性を追求した新たな選択肢の検討に取組んでいる。しかし、NRTI/NtRTIの新規コンビネーションによる特定レジメンの忍容性、薬剤相互作用、耐性プロフィールについては、個々の患者の必要性や優先事項によって検討されなければならない。ここではNRTI/NtRTIの主軸薬剤としての新規コンビネーション[テノフォビルDF(TDF)/ラミブジン(3TC)、アバカビル/3TC、ジダノシン(ddI)/3TC、ddI/emtricitabine(FTC)、TDF/FTC]の効力と安全性に関する最新データについてレビュー。
JAIDS 37(S1):S36-S43,2004 Wainberg, Mark A Resistance Issues With New Nucleoside/Nucleotide Backbone Options.
<治療主軸薬剤のヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬の新たな選択肢に関連した耐性問題>
ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬(NRTI/NtRTI)の選択肢は増加しており、抗レトロウイルス療法において、これら薬剤のどのような併用が効果的で薬剤耐性発現阻止に寄与するのかが議論されている。臨床試験から、テノフォビル(TDF)あるいはアバカビル(ABC)を含む新しいレジメンでK65Rがみられたが、この変異がTDFを含むレジメンでより高頻度でみられた。反対に、ABCを含むレジメンではL74Vがより高頻度で観察されているが、TDFを含むレジメンでは通常この変異は認められない。また、一連のエビデンスから、ジドブジンの存在で、ABCあるいはTDFを含むレジメンでのL74VおよびK65R変異リスクを減少するとの示唆が得られつつある。ここでは、現行および後期臨床試験で使用されている新しいNRTI/NtRTIレジメンに関連した耐性プロフィールの臨床上の重要性について、その概略をレビュー。
JAIDS 37(S1):S44-S51,2004 Gallant, Joel E The Ideal Nucleoside/Nucleotide Backbone.
<理想的な治療主軸薬剤となるヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬>
治療主軸薬剤のヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬(NRTI/NtRTI)をHAARTに用いた場合の効果と安全性に関する2000年以降出版のデータをレビュー。データが得られた臨床試験を基本に、異なる主軸薬剤選択肢を分析しそれらの特性を理想的と考えられる主軸薬剤とを比較。さらに治療未経験患者での有効なレジメン選択および予後改善のため、比較結果にその他の要件を当てはめ検討し、臨床試験現場以外で最新レジメンを実施するための実際的戦略を提案。
AIDS 18(13):F21-F25,2004 Mauss, Stefan et al Risk factors for hepatic decompensation in patients with HIV/HCV coinfection and liver cirrhosis during interferon-based therapy.
<HIV/HCV共感染および肝硬変患者におけるインターフェロン療法中の肝代償不全の危険因子>
(速報)最近の臨床試験APRICOT(HIV/C型肝炎ウイルス{HCV}共感染患者859名でのHCVインターフェロン{IFN}治療を評価)に基づいて、肝代償不全に関連する危険因子を同定したところ、肝硬変のないIFNベース治療中HIV/HCV共感染患者では、肝代償不全の全体的リスクが低いことが示唆された。これに反して、重症肝硬変のマーカーを有する患者は肝代償不全のハイリスク患者であり、肝代償不全の既往がない患者でも、IFNベースの治療を施行する際には慎重にモニターする必要があることが判明。また、ジダノシンなどの抗レトロウイルス薬治療でリスクはさらに増大する可能性がある。
AIDS 18(13):F27-F36,2004 Laguno, Montserrat et al Peginterferon alfa-2b plus ribavirin compared with interferon alfa-2b plus ribavirin for treatment of HIV/HCV co-infected patients.
<HIV/HCV共感染患者の治療におけるPEGインターフェロンα-2b + リバビリン併用療法とインターフェロンα-2b + リバビリン併用療法との比較>
(速報)インターフェロンα-2b(IFN)+ リバビリン(RBV)とPEG-IFNα-2b + RBVの有効性と安全性をHIV/C型肝炎ウイルス(HCV;慢性感染)共感染患者で評価。95名の患者(男性68%/静注薬物使用者82%/遺伝子型1または4が63%/遺伝子型2または3が36%/線維症インデックス2以上62%/架橋状線維症・肝硬変30%)を無作為にIFN + RBV 43名とPEG-IFN + RBV 52名に振分けた。HIV共感染患者の慢性C型肝炎治療において、PEG-IFN + RBV群がIFN + RBV群に比べ有意な有効性を示し(ウイルス学的応答維持{SVR};44% vs. 21%)、特に遺伝子型1または4の患者でその差異は顕著であった(SVR;38% vs. 7%)。
AIDS 18(13):1795-1804,2004 Phillips, Andrew N et al Rate of viral rebound according to specific drugs in the regimen in 2120 patients with HIV suppression.
<2120名のHIV抑制患者でのレジメンにおける特定薬剤によるウイルス量リバウンド率>
過去にHAART でのウイルス学的失敗経験を持たず、HAART受療でウイルス量50コピー/mL未満を達成したEuroSIDA登録患者2120名を追跡調査。エファビレンツ服薬患者に比較した、ネルフィナビル服薬患者におけるウイルス量リバウンド率は、HAART以前の治療未経験患者および核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)治療経験患者の双方において有意に高かった(補正後比率はそれぞれ2.83/100人年と2.86/100人年)。HAART前治療未経験でアバカビル服薬患者ではリスク上昇のエビデンスは認めなかったが(1.17)、HAART前NRTI経験患者では顕著に上昇(4.48)。ネビラピンをエファビレンツに比較しても同様の結果を観察したが、HAART前経験患者でのリスク上昇率はより低いものであった(1.93)。ウイルス量50コピー/mL未満を達成した患者でのウイルス量リバウンド率は、服用薬剤により異なると思われる。
AIDS 18(13):1854-1856,2004 Quaghebeur, Ann et al Low efficacy of nevirapine (HIVNET012) in preventing perinatal HIV-1 transmission in a real-life situation.
<周産期HIV-1伝播予防におけるネビラピン(HIVNET012)の実地臨床での低い有効性>
(手紙)HIV母子感染予防を目的に2001年以来ネビラピン(HIVNET012)の使用が推奨されてきた。ケニアでネビラピンを実地臨床で用いたところ、治療14週間での周産期HIV-1伝播率は18.1%で介入前の21.7%と同等。ネビラピン単剤療法についてさらなる評価を実地臨床で行う必要性と、またこれに替わる戦略開発の重要性が問われる。
AIDS 18(14):1895-1904,2004 Klein, Marina B et al The impact of initial highly active antiretroviral therapy on future treatment sequences in HIV infection.
<HIV感染において初回HAARTが将来の治療に及ぼす影響>
HAART開始時に非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)あるいはプロテアーゼ阻害薬(PI)を使用することでその後の抗HIV療法が特異的に影響を受けるか、440名のHIVセロポジティブの治療未経験あるいは核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)経験の患者で検証。291名がPI(追跡期間中央値;3.1年)、149名がNNRTI(2.3年)でHAARTを開始。NNRTI群はPI群に比べ開始時レジメンをより長期間維持(レジメン変更までの中央値2.1年vs.1.6年)し、全体的に低い治療変更傾向を認めた。NRTI治療経験は治療変更の重要な予測因子。NNRTIベースでHAARTを開始することで、治療の耐容性がより高く、ウイルス学的失敗の割合もより低く押さえられ、結果的に複数の救済療法の必要性が少なくなると考えられる。
AIDS 18(14):1905-1913,2004 Fassinou, Patricia et al Highly active antiretroviral therapies among HIV-1-infected children in Abidjan, Cote d'Ivoire.
<アビジャン(コートジボアール)のHIV-1感染児におけるHAART>
アフリカのHIV-1感染児におけるHAARTの効果を、79名の感染児で平均21カ月追跡し検証。24カ月時点でのHAART受療生存確率は、CD4細胞5%未満の子供で72.8%、5%以上の子供で97.8%(P<0.01)。HAART開始時点におけるウイルス量およびCD4細胞パーセンテージの中央値は、それぞれ5.41 log10コピー/mLおよび7.7%。HAART開始後平均756日で、50%の患者が検出限界以下のウイルス量を達成し、10%が2.4-3.0 log10コピー/mL。CD4細胞パーセンテージの中央値は22.5%。治療結果は先進国のそれに匹敵する効果を示しており、資源不足の環境においても、HAARTを導入しアフリカの子供達を治療できると考えられる。
AIDS 18(14):1915-1924,2004 Walker, A Sarah et al Response to highly active antiretroviral therapy varies with age: the UK and Ireland Collaborative HIV Paediatric Study.
<HAART応答の年齢変化:英国/アイルランド小児HIV共同研究>
HIV未治療児においてHAARTへの応答に年齢、CD4パーセンテージ(CD4%)、血漿中HIV-1 RNA量が及ぼす影響を検証したところ、HAART開始前HIV-1 RNA量あるいは臨床状態に無関係に免疫学的にHAARTへの応答を示した。若年およびHAART開始前CD4%が最低レベルの小児で良好な免疫学的応答を観察したが、一方、若年患者ではウイルス学的応答が不良で耐性リスクを増大。HAARTを小児で開始する際には、年齢による応答の差異および疾患進展の潜在的リスクについて検討する必要がある。
AIDS 18(14):1925-1931,2004 Sankatsing, Sanjay U C et al Highly active antiretroviral therapy with or without mycophenolate mofetil in treatment-naive HIV-1 patients.
<治療未経験HIV-1患者におけるミコフェノール酸モフェチルの有/無でのHAART>
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)が、血漿中HIV-1 RNAおよび潜伏性感染細胞レザバーの崩壊率に及ぼす影響を見るため、抗レトロウイルス薬3クラスの薬剤によるレジメンを開始する治療未経験HIV-1患者19名(慢性感染9名、初期感染10名)を無作為にMMF有/無群に振分け研究した。結果、MMFを付加することで、血漿中HIV-1 RNA崩壊率あるいは潜伏性感染細胞レザバー崩壊率の有意な増大は観察しなかった。
AIDS 18(14):1951-1953,2004 Yerly, Sabine et al Proviral HIV-DNA predicts viral rebound and viral setpoint after structured treatment interruptions.
<プロウイルスHIV-DNAはstructured treatment interruptions後のウイルスのリバウンドおよびウイルス量目標値の予測因子>
(手紙)HAART受療HIV-1感染者でウイルス量を検出限界以下に長期間維持している患者において、HAART施行前血漿中ウイルス血症およびベースライン時プロウイルスDNAレベルが、計画的治療中断療法中のウイルス血症目標値に有意に関連することを認めた。長期治療患者ではHAART施行前ウイルス血症について情報入手は不可能な場合もあり、計画的治療中断療法中に計測したプロウイルスDNA量は、治療中断後に低レベルのウイルス血症目標値の達成が可能な患者を同定するのに有用と思われる。
AIDS 18(14):1953-1956,2004 Smith, Kimberly et al Long-term changes in circulating CD4 T lymphocytes in virologically suppressed patients after 6 years of highly active antiretroviral therapy.
<6年間のHAART受療後ウイルス学的抑制を維持している患者における循環血中CD4Tリンパ球の長期変化>
(手紙)進展したHIV疾患を有する患者において、HAART開始でCD4リンパ球数は増加する(2-3年後200-300個/mm3)が、より長期での細胞のダイナミクスに関しては研究されていない。HAART施行前CD4細胞数100-300個/mm3の患者20名でHAART受療3-6年目にかけて、有意なCD4リンパ球増加(中央値126個/mm3)と非感染CD4リンパ球54個を観察した。
AIDS 18(14):1958-1961,2004 Ghosn, Jade et al Penetration of enfuvirtide, tenofovir, efavirenz, and protease inhibitors in the genital tract of HIV-1-infected men.
<HIV-1感染男性におけるenfubirtide、テノフォビル、エファビレンツ、プロテアーゼ阻害薬の生殖管浸透>
(手紙)ウイルス学的失敗の1つのメカニズムとして、生殖管などウイルス複製部位へ抗レトロウイルス薬が十分に拡散しないことが考えられる。治療が奏効しなかったHIV感染男性13名において抗レトロウイルス薬の血中濃度を測定した。enfuvirtideは血液?精巣バリアを越えず、一方テノフォビルは精液中に蓄積。ロピナビル、アンプレナビル、サキナビル、エファビレンツの精液中濃度は、インジナビルとは異なり、有効量に達していなかった。精液中薬剤濃度が最適に満たない場合、性行為で感染する薬剤耐性HIV変異リスクを高める可能性があり、こうした知見が懸念される。

抗ウィルス薬、治療関連2004.8月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS18(12):1615-1627,2004 French M A, et al Immune restoration disease after antiretroviral therapy.
HAART受療後の免疫再構築疾患
(編集総括)HAARTによるHIV複製抑制の結果、患者によっては回復した免疫応答により種々の免疫病理学的疾患を惹起することがある(免疫再構築疾患;immune restoration disease[IRD])。IRDはその影響が望ましくはないにしろHAARTが奏効したことを示しており、IRDと日和見感染との鑑別が重要となる。さらに薬物毒性との鑑別も、不要なHAART中断を回避するのに重要である。IRDの管理には抗菌および/または抗炎症治療が頻繁に行われる。IRDを予防するための戦略は、特に発展途上諸国において優先事項となり、リスク評価法と診断基準の開発が要求される。
AIDS18(12):1673-1682,2004 Barretina J, et al Immunological and virological study of enfuvirtide-treated HIV-positive patients.
enfuvirtideで治療したHIVポジティブ患者での免疫学的およびウイルス学的研究
enfuvirtide(ENF)と至適レジメン併用患者でのHIV侵入および病原に関して、免疫学的およびウイルス学的パラメータの予測値と変化を、22名の患者を対象とした第III相臨床試験のサブ研究で評価した。ENFを用いた治療に応答を示した患者では(RP、n=14)、HIVウイルス量が低下しCD4細胞数が増大した。RP群では、CD4細胞のCXCR4およびCCR5発現に有意な増大を認め、ケモカインやインターロイキン-7には大きな変化は観察しなかった。HLA-DRの変化なしにCD38発現の低下をCD4細胞に認めた。RP群では末梢血単核細胞のアポトーシスが有意に減少。ベースライン時に分離されたウイルスのコレセプター使用あるいはENF感受性は、ウイルスの耐性あるいは治療への応答とは関連しておらず、ベースライン時CD4細胞の活性化の状態(HLA-DR発現)に関係しているように思われた。
AIDS18(12):1697-1705,2004 Touloumi G, et al Differences in HIV RNA levels before the initiation of antiretroviral therapy among 1864 individuals with known HIV-1 seroconversion dates.
HIV-1血清変換日が判明している1864名における抗レトロウイルス療法開始前のHIV RNA量の差異
性別、リスクグループ、血清変換時の年齢、変換年(日)、急性感染期の症状が、抗レトロウイルス療法(ART)開始前のHIV RNA量に及ぼす影響を1864名の患者で評価。HIV RNA量は血清変換当初10カ月間は急激に減少し、その後徐々に増大。異性間セックスおよび静注薬物使用で感染した女性のHIV RNA量は、同一リスクグループの男性に比較すると、それぞれ、平均34%および46%低かった。これら女性と同様に感染した男性では同性愛男性感染者に比べ、平均56%低いHIV RNA量を観察。年齢が高いほどウイルス量は高い傾向にあった。性別、リスクあるいは年齢グループによる差異が経時的に縮小するというエビデンスは得られなかった。フォローアップはほとんどがCD4細胞数が200×106個/L未満に減少する前に実施したものである。
AIDS18(12):1727-1729,2004 Ferrer E, et al Nevirapine-containing regimens in HIV-infected naive patients with CD4 cell counts of 200 cells/μL or less.
CD4細胞数200個/μL以下のHIV治療未経験患者におけるネビラピンを含むレジメン
(手紙)HAARTを開始したCD4細胞数200個/μL以下のHIV治療未経験患者118名において、ネビラピンを含むレジメンの有効性を後ろ向きに評価した。治療開始24カ月後、51%の患者がネビラピン服薬を継続しており、ITT解析で43%および治療時 on-treatment 解析で83%がウイルス量50個/mL未満を達成し、CD4細胞数平均246個/μL増加。ネビラピン継続患者80%以上がウイルス量50コピー/mL未満、CD4細胞数201/μL以上を達成。
AIDS18(12):1737-1740,2004 Martin-Carbonero L, et al Pegylated liposomal doxorubicin plus highly active antiretroviral therapy versus highly active antiretroviral therapy alone in HIV patients with Kaposi's sarcoma.
カポジ肉腫を有するHIV感染患者における pegylated liposomal doxorubicin 併用HAART vs. HAART単独治療
(手紙)HAART未経験または失敗し、中等度?進展したカポジ肉腫(KS)を有するHIV感染患者28名を無作為に選択し、新たなpegylated liposomal doxourubicin(PLD)併用HAARTあるいは新たなHAARTレジメン単独を開始。48週後、HAARTとPLD併用群でより高率の治療応答を観察(76%vs. 20%)。中等度?進展したKSを有するHIV感染患者でKS応答を達成するためには、HAART単独での治療では不十分と考えられる。

抗ウィルス薬、治療関連2004.7月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 36(4):921-928,2004 Corbett A H, et al A Pilot Study of Once-Daily Antiretroviral Therapy Integrated With Tuberculosis Directly Observed Therapy in a Resource-Limited Setting.
<アンプレナビル、サキナビル、リトナビルを用いたプロテアーゼ阻害薬3剤併用救済療法の薬物動態、安全性、初期ウイルス学的応答>
低用量リトナビル併用のアンプレナビルあるいはサキナビル投与において、曝露変化を定量化し、24週間治療の安全性、免疫学的/ウイルス学的応答を評価。抗ウイルス療法経験被験者をサキナビル1000mg/リトナビル100mg 毎12時間服薬群、あるいはアンプレナビル600mg/リトナビル100mg 毎12時間服薬群に無作為に振り分け、7日間投薬。12時間の薬物動態のサンプリング後、第3のプロテアーゼ阻害薬(PI)を追加し、薬物動態のサンプリングを14日後に再度実施。24週時点でHIV RNA量は中央値1.55 logコピー/mL減少、CD4陽性T細胞数は中央値52/mm3増加。胃腸関連イベントが多発したが、症状は軽度?中等度。アンプレナビル、サキナビル、リトナビルを含むプロテアーゼ阻害薬3剤併用レジメンは、重度のプロテアーゼ阻害薬経験を有する患者において有望な現実的救済療法であると思われる。
JAIDS 36(4):929-934,2004 Jack C, et al Long-Term CD4+ T-Cell Response to Highly Active Antiretroviral Therapy According to Baseline CD4+ T-Cell Count.
<資源不足の地域における結核の直接監視下治療に組み入れた1日1回抗レトロウイルス療法に関するパイロット研究>
HAART を既存の結核直接監視下治療(TB/DOT)プログラムに統合することの実行性と有用性を検証。HIVポジティブ肺結核患者20名に対し、ジダノシン400mg/ラミブジン300mg/エファビレンツ600mg1日1回を標準TB治療に加え投与(週末は患者自身が服薬)。TB治療完了後は、HIV治療継続のため患者をHIVクリニックへ差し向けた。標準TB治療を完了した患者17名中15名(88%)が、ウイルス量50コピー/mL未満を達成、CD4陽性T細胞数148/mm3増大。登録患者20名中17名(85%)、薬剤感受性TB患者19名中17名(89%)においてTBが完治。胃腸、肝臓、皮膚、あるいは神経毒性の発生は最小限度で十分な耐容性を認めた。
JAIDS 36(4):943-950,2004 Nellen J F, et al Virologic and Immunologic Response to Highly Active Antiretroviral Therapy in Indigenous and Nonindigenous HIV-1-Infected Patients in The Netherlands.
<オランダのHIV-1感染患者におけるHAARTへのウイルス学的/免疫学的応答:オランダ人およびオランダ在住非オランダ人を比較>
治療未経験HIV-1ポジティブ患者におけるHAARTへのウイルス学的/免疫学的応答をアムステルダム在住のオランダ人(362名)および非オランダ人(他の西洋諸国;84名、スリナム/オランダ領アンティル諸島;72名、サハラ砂漠以南アフリカ諸国;110名)によって比較検証した。CD4細胞数の増加では、オランダ人および非オランダ人で同等の成果がみられたが、血漿中HIV-1 RNA量50コピー/mL未満の達成においては非オランダ人で実質的に低い効果が観察され、これら患者グループにおいて引き続き調査を行い、アドヒアランスや薬物動態などのオランダ人との違いについて検証が必要である。
JAIDS 36(4):967-971,2004 Hofer C B, et al Effectiveness of Antiretroviral Therapy Among Patients Who Attend Public HIV Clinics in Rio de Janeiro, Brazil.
<リオデジャネイロのHIV公共クリニックに通院する患者における抗レトロウイルス療法の効果>
ブラジルではHIV感染者に対し無料で抗レトロウイルス療法(ART)を提供している。研究登録患者211名中173名(82%)でARTが奏効し(免疫学的応答28名/ウイルス学的応答32名/完全な応答;CD4陽性細胞数50個/mL以上増加113名)、非応答患者は38名(18%)。ARTが奏効しなかった患者においてその要因を多変量解析で検証したところ、項目として:アドヒアランス80%未満、ベースライン時CD4陽性T細胞数、ART開始と初回ウイルス量/CD4陽性検査との間隔、ART開始後の日和見疾患、処方箋の読解能力の欠如、医師のHIVへの見識に疑念がある、HIV感染者の友人の不在、ARTは不快であると信じている、ARTはHIVの進展を遅延させると信じている、等が列挙され、これらは今後の発展途上国におけるART導入に際し、重要な検討要素を提供するものと考える。
JAIDS 36(5):1011-119,2004 Squires K, et al Comparison of Once-Daily Atazanavir With Efavirenz, Each in Combination With Fixed-Dose Zidovudine and Lamivudine, As Initial Therapy for Patients Infected With HIV.
<HIV感染患者初回治療としての1日1回投与アタザナビルとエファビレンツの比較(双方ともに一定用量のジドブジンとラミブジンを併用)>
治療未経験HIV感染患者810名をHIV RNA量によって層別化し、アタザナビル1日1回400mgおよびエファビレンツ1日1回600mgを投与し効果と安全性を比較。両群ともに一定用量のジドブジンとラミブジンを1日2回併用投与した。治療開始48週時点のHIV RNA量400コピー/mL未満の患者割合は、アタザナビル群70%およびエファビレンツ群64%。CD4陽性T細胞数の中央値の増大は割合および増加量ともに両群で同等。アタザナビル治療群において、全コレステロール、空腹時LDL-コレステロール、あるいは空腹時トリグリセリド値に有意な増大は観察されなかった。アタザナビル関連のビリルビン上昇による治療中止例は1%未満。また、アタザナビル治療での空腹時血糖値あるいはインスリン値の増大はなかった。HIV初回HAART療法として、アタザナビル/ジドブジン/ラミブジン併用治療はエファビレンツ/ジドブジン/ラミブジン併用に匹敵する有効性および忍容性を有した。
AIDS 18(10):1423-1428,2004 The Italian Register for HIV Infection in Children Combined antiretroviral therapy reduces hyperimmunoglobulinemia in HIV-1 infected children.
<HIV-1感染児において、抗レトロウイルス薬併用療法で高グロブリン血症が減少>
(短報)抗レトロウイルス薬併用療法が血中グロブリン値に及ぼす影響をHIV-1周産期感染児において評価した。1985-2002年の間にイタリアのHIV感染児登録に記録された1250名のデータを解析したところ、HIV-1感染児において薬剤併用療法が高グロブリン血症の減少をもたらし、平行してCD4比が回復し、ウイルス量も減少しており、こうした改善が恐らくはBリンパ球の機能回復を反映したものであることが示された。
AIDS 18(10):1429-1433,2004 Casalino E, et al Impact of HAART advent on admission patterns and survival in HIV-infected patients admitted to an intensive care unit.
<集中治療病棟に入院したHIV感染患者におけるHAART導入による入院パターンと生存への影響>
(短報)集中治療病棟(ICU)に入院したHIV感染患者におけるHAART導入による入院パターンと生存への影響を、患者426名(1995年1月-1999年6月入院)を対象とした前向き観察研究で検証。結果、HIV感染患者のICU利用についてHAARTの影響はほとんどみられなかった。HAART導入後、AIDS関連の症状は低減し、ICU入院により敗血症は増加。ICU生存は通常の予後マーカに依存したが、長期生存は明らかにHIV疾患ステージおよびHAART利用可能性に依存。HAART導入前後の研究期間双方において、ICU入院時少なくとも半数のHIV感染患者が抗レトロウイルス治療を受療していなかった。
AIDS 18(10):1469-1471,2004 Piketty C, et al Virological and immunological impact of non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor withdrawal in HIV-infected patients with multiple treatment failures.
<多剤併用治療失敗を有するHIV感染患者における非核酸系逆転写酵素阻害薬中断でのウイルス学的および免疫学的影響>
(手紙)非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)クラスの薬剤に対して耐性変異を有する患者の現行治療からNNRTIを中断した後2-4週間、ウイルス量およびCD4細胞数に有意な変化はまったく認められなかった。データから、NNRTIは抗レトロウイルス活性に残留性の影響をまったく及ぼさず、また、ウイルス量のリバウンドを起こさず、特異耐性変異を有する場合に中断が可能であることが示唆された。
AIDS 18(10):1473-1475,2003 Engelhorn C, et al Long-term pharmacokinetics of amprenavir in combination with delavirdine in HIV-infected children.
<HIV感染児におけるデラビルジン併用アンプレナビルの長期薬物動態>
(手紙)重度の治療経験を有するHIV感染児5名において、アンプレナビルとデラビルジンに2種の核酸系逆転写酵素阻害薬を併用投与した。小児におけるこの併用療法についてはこれまでデータはない。治療は十分な耐容性を有し、18カ月後のウイルス量減少中央値は1.5 log。デラビルジンはアンプレナビルのトラフ値を10倍以上ブーストし、デラビルジンのトラフ値はHIV株感受性を発揮する値の数倍を維持。
AIDS 18(11):1529-1537,2004 Gathe J C Jr., et al SOLO: 48-week efficacy and safety comparison of once-daily fosamprenavir /ritonavir versus twice-daily nelfinavir in naive HIV-1-infected patients.
<SOLO:治療未経験HIV-1感染患者におけるホスアンプレナビル/リトナビル1日1回vs. ネルフィナビル1日2回48週間投与の効果と安全性の比較試験>
フォスアンプレナビル(fosamprenavir; FPV)/リトナビル(RTV)1日1回(FPV/r QD)投与での抗ウイルス応答の強度と忍容性について、ネルフィナビル1日2回(NFV BID)に比較して検証した(第III相試験)。双方の治療にアバカビルとラミブジン1日2回を併用投与。進展したHIV疾患を有する患者にFPV/r QD(n=322)あるいはNFV BID(n=327)を投与。48週時点で、FPV/r QD群69%およびNFV BID群68%が、血漿中HIV-1 RNA量400コピー/mL未満を達成したが、FPV/r QD群55%およびNFV BID群53%が、vRNA量50コピー/mL未満。ウイルス学的失敗はFPV/r QD群(7%)よりもNFV BID群(17%)で多く観察。FPV/r QDの効果は、CD4陽性細胞数50×106/L未満あるいは登録時vRNA量が100000コピー/mL以上の患者で維持。48週時点でのCD4陽性細胞数の中央値は、FPV/r QD群203×106/LおよびNFV BID群207×106/Lに増大。耐容性は両群で良好。下痢症状はFPV/r QD群よりもNFV BID群で多く発生(9 vs. 16%;p=0.008)。空腹時脂質プロフィールは両群で良好。FPV/r QDは、アンプレナビルの血漿中トラフ濃度を、野生型ウイルスのアンプレナビルに対する表現型薬剤感受性(IC50)の平均値よりも上方に維持。
AIDS 18(11):1579-1584,2004 Barron Y, et al Effect of discontinuing antiretroviral therapy on survival of women initiated on highly active antiretroviral therapy.
<抗レトロウイルス療法中断がHAART開始女性の生存に及ぼす影響>
抗レトロウイルス療法(ART)中断がHAART開始女性の生存に及ぼす影響を、治療加重限界構造コックス比例ハザードモデルの逆確率と標準コックスモデルを用いて相対危険を見積もり評価した。3187人年の追跡期間中、951名のHAART開始女性中343名が全てのARTを中断し、116名が死亡。限界構造コックスモデルでの中断起因の死亡相対危険は1.97(95%信頼区間(CI)1.17、3.31)。標準コックスモデルで同一セットの共変動を用いて1.49(95% CI 0.94、2.35)の相対危険を観察。限界構造コックスモデルで、ART中断のHAART開始女性において死亡リスク増大が認められた。このリスク増大は治療失敗とは無関係で、時間変化共変動を用いた標準コックスモデルでは大きく減弱した。

 

抗ウィルス薬、治療関連2004.6月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
JAIDS 36(2):684-692,2004 Wood R, et al Long-Term Efficacy and Safety of Atazanavir With Stavudine and Lamivudine in Patients Previously Treated With Nelfinavir or Atazanavir.
<ネルフィナビルあるいはアタザナビル治療経験を有する患者におけるアタザナビルとスタブジンおよびラミブジン併用投与の長期有効性と安全性>
ネルフィナビルあるいはアタザナビル治療経験を有するHIV感染患者346名において、アタザナビルとスタブジン/ラミブジン併用投与の長期有効性、安全性、忍容性を検証した。アタザナビル治療経験を有する患者(継続)はベースラインに比べ脂質レベルにわずかな変化を認めた。ネルフィナビルからアタザナビルへ変更した患者は治療12週までに、全コレステロール(?16%)、空腹時LDL-コレステロール(?21%)、空腹時トリグリセリド(?28%)の平均百分率が有意に減少。この間新たな安全性に関わる問題は発生せず。
JAIDS 36(2):693-701,2004 Ungsedhapand C, et al Three-Year Durability of Dual-Nucleoside Versus Triple-Nucleoside Therapy in a Thai Population With HIV Infection.
<タイのHIV感染集団における核酸系2剤vs 3剤併用療法の3年間の耐用性>
HIV感染集団において核酸系2剤vs 3剤併用療法の3年間の耐用性を検証。2剤併用群では、15名がジダノシン(ddI)単剤で治療を開始し24週後にスタブジン(d4T)を追加、63名がd4T/ddIを様々な用量で開始、53名がジドブジン(ZDV)とラミブジン(3TC)で治療開始。3剤併用群では、53名がZDV/3TC/ddIで開始。48週後、患者を無作為に早期(治療失敗前)vs 後期(ウイルス学的失敗時)変更群に振り分け、ddI/d4TをZDV/3TCあるいはその逆、そしてZDV/3TC/ddIをd4T/3TC/アバカビル(ABC)に変更。結果、ウイルス学的応答維持を誘導するのにZDV/3TC/ddIあるいはd4T/3TC/ABCを用いた核酸系3剤併用療法の方が2剤併用療法よりも有用であった。
JAIDS 36(2):702-713,2004 Garcia F, et al Long-Term CD4+ T-Cell Response to Highly Active Antiretroviral Therapy According to Baseline CD4+ T-Cell Count.
<HAARTに対するCD4陽性T細胞の長期応答(ベースライン時CD4陽性T細胞数に比較して)>
HAART受療患者861名(抗レトロウイルス療法未経験HIV-1慢性感染者)において、CD4陽性T細胞数の長期応答について検証し、ベースライン時のCD4陽性T細胞数、ウイルス量、年齢が及ぼす影響を分析。患者は最低3剤を併用し、ベースライン時のCD4陽性T細胞数により4群に分類。CD4陽性T細胞数は全コホートで有意に増大(中央値214から499個/mm3へ増加)し、増加は最長4年間の追跡調査期間中維持されたが、治療開始約3年経過後は増大率が減少傾向にあり、血漿中ウイルス抑制が維持されていた患者でも4?5年の追跡調査後はプラトーに達した。ベースライン時のCD4陽性T細胞数にかかわらず、長期免疫回復は可能であったが、CD4陽性T細胞数<200個/mm3で治療を開始した患者の免疫学的結果はより劣るものであった。
JAIDS 36(2):755-757,2004 Ekouevi D K, et al Immune Status and Uptake of Antiretroviral Interventions to Prevent Mother-to-Child Transmission of HIV-1 in Africa.
<免疫ステータスとHIV-1母子感染予防のための抗レトロウイルス介入の受容(アフリカ)>
出産前に自発的カウンセリングと検査を受け診断されたHIV-1感染女性におけるCD4陽性T細胞リンパ球(CD4)の分布を検証し、HIV関連免疫欠損が母子感染予防のための抗レトロウイルス(ARV)治療(無月経36週でジドブジンを開始し分娩時ネビラピンを併用)の受容に影響を及ぼすかHIVポジティブ女性221名で評価。検査結果を聞きに再来院しなかったHIVポジティブ女性(50名)と自分のセロステータスを知らされたHIVポジティブ女性(171名)のCD4数に相違はなかった。ARVの受容(72名)/HIVステータスを知りながら非受容(99名)の女性においてもCD4数に相違はなし。全体的な介入の受容(31.9%)は母体の免疫ステータスとは無関係に思われた。
JAIDS 36(3):772-776 Hitti J, et al Maternal Toxicity With Continuous Nevirapine in Pregnancy: Results From PACTG 1022.
<妊娠中のネビラピン服薬継続による母体毒性>
(速報)ネルフィナビルおよびネビラピンをベースとした抗レトロウイルス治療の安全性をHIV-1感染妊娠女性で比較。妊娠10?30週の抗レトロウイルス療法未経験感染者38名を、ネルフィナビルあるいはネビラピン群(両群ともジドブジン+ラミブジン併用)に無作為化。研究は予想以上の毒性およびネビラピンの処方情報変更があり中断されたが、肝および皮膚毒性を比較検証した。ネルフィナビル群21名中1名(5%)、ネビラピン群17名中5名(29%)に毒性を認めた。ネビラピン群中1名が劇症肝不全を発症し死亡、もう1名がスティーヴンズ-ジョンソン症候群を発症。CD4細胞数250個/μL以上のHIV-1感染妊娠女性において、ネビラピンの継続投与は非妊娠女性で観察されたのと同様に、毒性増大に関連する可能性がある。
JAIDS 36(3):791-799 Plana M, et al Relevance of HIV-1-Specific CD4+ Helper T-Cell Responses During Structured Treatment Interruptions in Patients With CD4+ T-Cell Nadir Above 400/mm3.
<CD4陽性T細胞数最低値400個/mm3以上の患者での計画的治療中断法 (STI) 期間中におけるHIV-1特異CD4陽性ヘルパーT細胞応答の実際>
HIV-1慢性感染者(CHI)における計画的治療中断法 (STI) 期間中のHIV-1特異CD4陽性およびCD8陽性T細胞応答のダイナミクスを解析し、それらを達成されたウイルス量目標値と相関させた。結果、STIではCHI患者においてウイルス複製は抑制されなかった。これは、ブーストされたCD8陽性T細胞応答に強力な持続可能なヘルパーT細胞応答が欠けていたことによるものと思われる。ウイルス量目標値を再設定するため、ヘルパーT細胞応答を効果的に増大させ維持させる新たなアプローチを検討する必要がある。
JAIDS 36(3):800-807 Cunningham C K, et al The Impact of Race/Ethnicity on Mother-to-Child HIV Transmission in the United States in Pediatric AIDS Clinical Trials Group Protocol 316.
<米国小児AIDS臨床試験グループプロトコール316でのHIV母子感染における人種/民族の影響>
分娩時に標準の抗レトロウイルス療法に加えネビラピン2回投与を行った被験者において、人種/民族の差異が独立してHIV-1母子伝播リスクに関連するか解析した。被験者はアメリカ人およびプエルトリコ人を含み、黒人572名、ヒスパニック206名、白人113名。感染児を出産したのは黒人11名、ヒスパニック3名で、白人は皆無であったが、この差異には統計的有意性はなし。黒人およびヒスパニックの女性は妊娠期間中に治療を開始する傾向が白人女性に比べ高かったが、後の分娩時治療を開始しなかった。抗レトロウイルス療法開始時期、分娩時治療開始時期を組み込んだ多変量モデルで、人種/民族は分娩時のウイルス抑制の予測因子であった。
JAIDS 36(3):823-830 Garcia F, et al Effect of Mycophenolate Mofetil on Immune Response and Plasma and Lymphatic Tissue Viral Load During and After Interruption of Highly Active Antiretroviral Therapy for Patients With Chronic HIV Infection: A Randomized Pilot Study.
<mycophenolate mofetilが、HAART中断中/後のHIV慢性感染患者における免疫応答と血漿中およびリンパ組織中ウイルス量に及ぼす影響>
HAART中断中のmycophenolate mofetil(MMF)の役割評価を主な目的に、早期HIV-1慢性感染患者17名を対象に研究を行った。患者に12カ月間HAARTを施行し、その後、HAART/MMF群とHAART単独継続群に無作為に振り分け、120日間治療。120日目にHAART/MMF群ではHAARTを中断し、MMF投与を継続。結果、HAART/MMF群ではウイルス量のリバウンド遅延、HAARTなしでのウイルス複製の抑制改善を認めたが、これはリンパ球増殖抑制が達成された場合に限られていた。
JAIDS 36(3):831-834 Zulu I, et al Priorities for Antiretroviral Therapy Research in Sub-Saharan Africa: A 2002 Consensus Conference in Zambia.
<サハラ砂漠以南アフリカにおける抗レトロウイルス療法研究のプライオリティー:2002年ザンビア コンセンサス会議>
(短報)ザンビアにおける抗レトロウイルス療法(ART)研究のプライオリティーを検討するためコンセンサス会議が開かれた。近年ザンビアで入手可能なARTが増えていることから発生する難題に取組むために、ART関連の臨床試験および運営上の研究が不可欠であるというコンセンサスが得られた。確認された研究プライオリティーは、「CD4陽性細胞数との関連におけるHAART開始時期決定のための臨床試験」を筆頭に全6項目。
AIDS 18(9):1251-1261,2004 Lopez M, et al Enhanced HIV-specific immune responses in chronically HIV-infected patients receiving didanosine plus hydroxyurea.
<ジダノシンとヒドロキシ尿素併用療法を受けたHIV慢性感染者におけるHIV特異免疫応答の向上>
ヒドロキシ尿素がHIV感染治療に果たす役割については意見が別れているが、ジダノシンの抗ウイルス活性を増強し免疫調節効果を発揮する可能性がある。簡易トライアルに登録したHIV感染者(HAART受療で6カ月以上完全なウイルス抑制を達成)にジダノシンとヒドロキシ尿素を併用投与(ddI-HU)し免疫学的パラメータを検証した。患者のうち84名を主な研究集団とし、HAART継続患者22名およびその他の薬剤服薬未経験HIVポジティブ者22名をコントロール群として研究。結果、標準の3剤併用療法群よりもddI-HU群でより高いレベルのHIV特異CD8陽性およびCD4陽性T細胞応答が得られ、このことから、HIV感染においてヒドロキシ尿素が有益な免疫調節効果を発揮したと考えられる。
AIDS 18(9):1291-1297,2004 Boffito M, et al Atazanavir enhances saquinavir hard-gel concentrations in a ritonavir-boosted once-daily regimen.
<リトナビルでブーストされた1日1回レジメンで、アタザナビルはサキナビルハードゼラチンの血漿濃度を上昇させる>
HIV感染者において、サキナビルハードゼラチンカプセル/リトナビル/アタザナビルをそれぞれ1600/100/300mgの用量で1日1回併用処方し薬物動態を検証した。サキナビル/リトナビル服薬中の試験対象患者18名は、遅くとも試験開始3日前までに1600/100mgに用量変更。試験1日目、サキナビルおよびリトナビルの濃度を24時間記録。その後アタザナビル300mg1日1回を追加。試験開始11日目、薬物動態解析を実施。アタザナビル投与を32日目に中止。サキナビルの血漿中濃度トラフ値/最大値/曲線下領域(0-24h)はそれぞれ112、42、60%増大。リトナビルの最大値/曲線下領域は34、41%増大。レジメンへの忍容性は高く、高ビリルビン血症の発生を除き、検査指標に重大な変化はなかった。
AIDS 18(9):1299-1304,2004 Katlama C, et al MIV-310 reduces HIV viral load in patients failing multiple antiretroviral therapy: results from a 4-week phase II study.
<MIV-310は、多剤併用抗レトロウイルス療法が奏効しなかった患者のHIVウイルス量を低下:4週間の第II 相臨床試験結果>
(短報)核酸系逆転写酵素阻害薬のMIV-310(アロブジン)は、in vitroで高度に変異したHIV株の複製を強力に阻害する。治療経験豊富な患者15名(ベースライン時ウイルス量中央値:3.93log10コピー/mL、CD4細胞数中央値:360個/mm3、最低2つのチミジン関連変異(TAM)を保有)においてMIV-310の効果を検証。現行治療に加えMIV-310を1日1回7.5mg投与し4週間試験。4週間後、ウイルス量減少の中央値は?1.13 log10。スタブジン服薬患者4名では?0.57 log10で、スタブジン非併用患者11名の?1.88 log10に比べ興味深い結果となった。TAM 2?3株を有する患者では、ウイルス量減少の中央値は?1.60 log10で、4/5変異株を有する患者では?1.88 log10。MIV-310投与中止後全被験者でウイルス量のリバウンドを観察。MIV-310への忍容性は高く、重大な有害イベントおよび治療中断は皆無。
AIDS 18(9):1342-1344,2004 Duval X, et al Maintenance therapy with cotrimoxazole for toxoplasmic encephalitis in the era of highly active antiretroviral therapy.
<HAART時代におけるトキソプラスマ脳炎のためのcotrimoxazoleを用いた維持療法>
(手紙)抗レトロウイルス薬へのアドヒアランス改善を目的に毎日の薬剤数を少なくするため、トキソプラスマ脳炎(TE)標準維持療法を受療中のプロテアーゼ阻害薬治療経験を有する患者17名に、cotrimoxazole 960mg1日2回を処方。中央値31カ月の追跡調査後、1名の患者が3カ月後に再発、TE再発件数は2.1症例/100患者年。この戦略はTE維持療法の中断が可能となる免疫再構築を心待ちにする患者にとって利用価値のあるものであろう。

抗ウィルス薬、治療関連2004.5月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS 18(8): 1187-1194, 2004 Brouwer K C, et al Polymorphism of Fc receptor IIa for IgG in infants is associated with susceptibility to perinatal HIV-1 Infection.
<乳児でのIgGに対するFc受容体IIa多型性は周産期HIV-1感染感受性に関連>
差次的ヒトIgGサブクラス結合に関連するFcγ受容体IIa多型性が周産期HIV-1感染に及ぼす影響を、448名のHIVセロポジティブの母親とその乳児を対象に評価。周産期HIV-1感染感受性およびHIVポジティブ乳児の全原因死亡率との関連性において、Fcγ受容体IIa多型性を分析。結果、Fcγ受容体IIaのHis/His131遺伝子型が、周産期HIV-1伝播における感受性に関連していることがエビデンスとして初めて得られた。さらに、Fcγ受容体IIa His131遺伝子がHIV-1伝播に及ぼす影響に、用量-反応関係があることが示唆された。
AIDS 18(8): 1206-1208, 2004 van der Kuyl A C, et al An IL-8 gene promotor polymorphism is associated with the risk of the development of AIDS-related Kaposi's sarcoma: a case-control study.
<IL-8遺伝子プロモーター多型性がAIDS関連カポージ肉腫発症リスクに関連:症例対照研究>
(手紙)IL-8プロモーター領域における単一のヌクレオチド多型性が、AIDS関連カポージ肉腫(KS)発症リスクに及ぼす影響を症例対照研究で検証。KSはTT遺伝子型を有する46%、AA/AT遺伝子型を有する66%の個人に発症。TT遺伝子型を持つ個人は内臓KSに罹患することはめったになく(7% vs 36%)、TT遺伝子型保有者が(重篤な)KS発症から防護されていることを示唆。
AIDS 18(7): 1069-1071, 2004 Bugeja M J, et al Analysis of the CCL3-L1 gene for association with HIV-1 susceptibility and disease progression.
<HIV-1感受性および疾患進展との関連におけるCCL3-L1遺伝子の解析>
(手紙)CCL3-L1は他のケモカインよりもCCR5に強力に結合し、in vitroでHIV-1感染を阻害する。CCL3-L1遺伝子の欠損割合を白人オーストラリ人HIV-1患者268名および非感染者260名で解析した。2.3%のCCL3-L1ネガティブ遺伝子型頻度をHIV-1ネガティブ者で観察。CCL3-L1遺伝子欠損とHIV-1感染感受性あるいは疾患進展率との間に関連は認めなかった。


抗ウィルス薬、治療関連2003.9月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS 17(13):1863-1869,2003 Phillips A N (UK) et al When should antiretroviral therapy be started for HIV infection? Interpreting the evidence from observational studies
[HIV感染症に対する抗ウイルス治療はいつ開始すべきか? 観察試験からのエビデンスの解釈]
抗ウイルス薬開始時期については、ガイドラインも年々変化し、医師により平均5年以上の差が見られる。現在の重要な知見をレビューし、CD4が350以下の患者で早期治療あるいは治療延期のいずれがAIDS発症及び死亡の延期に貢献するかについて考察する。
AIDS 17(14):2045-2052,2003 Gerstoft J (Denmark) et al Low efficacy and high frequency of adverse events in a randomized trial of the triple nucleoside regimen abacavir, stavudine and didanosine
[3剤NRTI ABC+d4T+ddIの無作為試験における低い効果と高頻度の副作用]
未治療患者180例をABC+d4T+ddI(A/S/D)、RTV/SQV+3TC+AZT(R/S)及びNFV or NVP+3TC+AZT(N/N)に割付。試験開始時CD4中央値161、HIV RNA 5.0Log。48週でHIV RNA<20コピーはA/S/D群で43%、N/N群で69%、R/S群で62%。多変量解析でR/S群に比し48週にA/S/D群がHIV RNA<20を獲得するオッズ比は0.25。A/S/Dの試験開始時ウイルス量高値又はAIDS発症例で特に転帰が悪かった。副作用も高頻度で、ニューロパチー27%、過敏症疑い12%、全身症状を伴う乳酸上昇8%。
J Infect Dis 188(5):625-634,2003 Fischl M?A?(Univ Maiami Sch Med, USA) et al A Randomized Trial of 2 Different 4-Drug Antiretroviral Regimens versus a 3-Drug Regimen, in Advanced Human Immunodeficiency Virus Disease
[進行HIV患者における4剤併用と3剤併用の無作為試験]
前治療なしか少ないHIV患者517例を対象に、3TC+AZTにIDV併用、EFV+IDV併用及びNFV+IDV併用の3群を2.1年追跡。ウイルス学的失敗はIDV群に比しEFV+IDV群で低くNFV+IDV群で高かった。グレード3/4の副作用はEFV+IDV群では同等、NFV+IDV群では高い傾向が見られた。
J Infect Dis 188(5):635-642,2003 Dragsted U?B?(Denmark) et al Randomized Trial to Evaluate Indinavir/Ritonavir versus Saquinavir/Ritonavir in Human Immunodeficiency Virus Type 1Infected Patients: The MaxCmin1 Trial
[HIV-1患者におけるIDV/RTVとSQV/RTVの無作為試験:MaxCmin試験]
HIV-1患者306例を対象にIDV/RTVとSQV/RTVの48週でのウイルス学的失敗率を検討したところ、それぞれ27、25%だった。失敗までの期間も同等。治療変更を失敗と数えると、IDV/RTVで有意に高かった。治療変更の64%は副作用のため。
AIDS 17(13):1933-1939,2003 Campo R E (Univ Miami Sch Med, USA) et al Efficacy of indinavir-ritonavir-based regimens in HIV-1-infected patients with prior protease inhibitor failures
[PI失敗歴のあるHIV-1患者におけるIDV-RTVベースレジメンの効果]
IDV/RTV(800/200mg)+NRTIsサルベージ療法を開始した28例をトロスペクティブに検討。初期6ヶ月間で、奏効16例、無効12例。充分なアドヒアランスがウイルス学的効果と相関。ジェノタイプ・フェノタイプ耐性が充分なアドヒアランスと関連する傾向がみられ、驚くことにIDVに対するフェノタイプ耐性が治療失敗よりもむしろウイルス学的効果と相関。6ヶ月以上の追跡でも充分なアドヒアランスがウイルス学的効果と相関したが、IDVに対するジェノタイプ・フェノタイプ耐性は治療失敗と相関しなかった。IDV/RTVベース療法はIDV耐性を克服できるかもしれない。
HIV Med 4(4):315-
[インデックス]
Boulassel MR?(Canada) et al Interleukin-7 levels may predict virological response in advanced HIV-1-infected patients receiving lopinavir/ritonavir-based therapy
[IL-7値はLPV/RTVベース治療を受けている進行HIV-1患者におけるウイルス学的反応を予測する]
2つ以上の抗ウイルス療法に失敗しLPV/RTVを投与したHIV患者36例を48週追跡。治療前IL-7値は全例上昇しており、CD4数と年齢に逆相関。治療中、IL-7値はまで34%減少、CD4値は88%まで上昇。多変量解析で試験開始時CD4値、ウイルス量及び人口統計学的調整後、治療前IL-7のみが48週のウイルス量を予測した。
AIDS 17(13):1997-1998,2003 Staszewski S (UK) et al Definition of loss of virological response in trials of antiretroviral drugs
[抗ウイルス薬の試験におけるウイルス学的効果喪失の定義]
ウイルス学的効果喪失時期の定義は、抗ウイルス薬試験のウイルス量エンドポイントをデザインするときに重要である。ウイルス量<50を達成した患者において、連続2回のウイルス量>50が治療効果喪失を真に表すかを検討したところ、治療変更なしにウイルス量が50未満に戻ることはよくある事で、効果喪失を定義するより高い閾値が必要と示唆された。
HIV Med 4(4):332-
[インデックス]
CASCADE Collaboration (Australia) Estimating the effect of antiretroviral treatment during HIV seroconversion: impact of confounding in observational data
[HIV陽転時期の抗ウイルス治療の効果の概算]
陽転3ヶ月以内及び1-2年後にHAARTを開始した症例の転帰を比較。陽転に伴う病変は早期開始群で有意に多かった(73、33%)。早期開始群のAIDS発症又はCD4<200までの期間は、1-2年後開始群と1-2年後にCD4>350及び非AIDS発症で開始した群との中間だった。今回の結果からは早期開始の有用性は明らかではなく、恐らく治療開始理由その他種々の因子が影響しているのだろう。
J Infect Dis 188(5):661-665,2003 Amicosante M (Italy) et al Levels of Interleukin-15 in Plasma May Predict a Favorable Outcome of Structured Treatment Interruption in Patients with Chronic Human Immunodeficiency Virus Infection
[血漿中IL-15レベルはHIV慢性患者におけるSTIの良好な結果を予測する]
STIは長期抗ウイルス療法に伴う問題を軽減しうる。試験開始時血漿中サイトカインレベルがSTIの良好な結果を予測しうるかを、STI有効例及び無効例で検討した。STI有効例では無効例と比しIL-15が有意に高くTNF-αは低かった。IL-2、IL-7、IFN-αは同等。TNF-αはウイルス量と相関し、開始時IL-15のモニタリングがSTI効果を予測しうることを見出した。

 

抗ウィルス薬、治療関連2003.8月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
Drugs 63(16):1679-1693,2003 Goldsmith DR (New Zealand) Atazanavir
<アタザナビル>
新規PIアタザナビルの総説。特徴:耐性変異としてI50Lが特徴的、108週の検討で総コレステロール・LDLコレステロールまたはTGの増加と関連しない、1日1回経口投与、肝のCYP450を中等度に阻害し種々の薬剤と相互作用を示す、d4T +ddIとの併用により48週にわたり迅速かつ持続的なウイルス抑制を示した、主な自覚的副作用は嘔気。薬動力学的特徴、薬理学的特徴、臨床試験、認容性、投与法及び位置づけについて総括。
Drugs 63(16)1694,2003 Piliero PJ (Albany Med Coll, USA) Atazanavir: A Viewpoint by Peter J. Piliero
<アタザナビル:Peter J. Pilieroによる見解>
特徴を総合すると、ATVは抗ウイルス薬あるいはプロテアーゼ阻害剤未治療の患者に最も有用と考えられる。簡便で認容性が高く、他の標準NRTI2剤と併用しやすい。しかし現在では、RTV併用の方が持続的なウイルス抑制が強いことが示されている。
Drugs 63(16):1695,2003 Murphy RL (Northwestern University, USA) Atazanavir: A Viewpoint by Robert L. Murphy
<アタザナビル:Robert L. Murphyによる見解>
ATVベースの治療はシンプルで認容性が高く1日1回のNNRTIベース治療の代替となりうる。ATV初回治療に失敗した患者では、PIの選択が残される。既治療患者に対しては、ブースト療法(RTV併用)がオプションとなり得る。ほかに、高脂血症患者では、脂質降下剤を追加するより抗ウイルス薬を変更するほうが好ましいだろう。
J Infect Dis 188(4):537-540,2003 Winters MA (Stanford Univ, USA) et al Clinical Impact of the M184V Mutation on Switching to Didanosine or Maintaining Lamivudine Treatment in Nucleoside Reverse-Transcriptase InhibitorExperienced Patients
<NRTI既投与患者における3TCからddIへの切替または3TC継続に対するM184Vの臨床的インパクト>
3TC投与患者104例で、ddIレジメン切替群と3TC継続群のウイルス学的転帰を比較したところ、ウイルス学的失敗の独立的リスクの有意な増加と3TC継続との関連が認められた。さらに、ddIレジメンの失敗した患者のほとんどではM184V/Iが失われていた。このことからddIはM184V/I変異を有するウイルスに対し効果を保持しており、M184V/I変異保有患者に対しddI投与を除外すべきでないことが示唆された。
Control Clin Trial 24:481-500,2003 Kyriakides TC (VA Cooperat Study Prog Coodinat C, USA) et al An open-label randomized clinical trial of novel therapeutic strategies for HIV-infected patients in whom antiretroviral therapy has failed : rationale ane design of the OPTIMQ Trial
<抗ウイルス治療失敗患者に対する新たな治療戦略のオープンラベル無作為臨床試験:OPTIMAトライアルの理論とデザイン>
3系統の薬剤失敗歴のある患者を対象に、5剤以上の多剤抗HIV治療と4剤以下の標準抗HIV薬治療、及び3ヶ月の治療中断期間(ARDFP) を含む治療と含まない治療を比較する試験。1,700例を4群に割付;ARDFP+標準治療、ARDFP+多剤治療、標準治療のみ、多剤治療のみ。試験期間は治療2.5年、追跡1年を予定。2001年6月より米国、カナダ、英国で試験開始。理論とデザインについて考察する。
J Infect Dis 188(4):531-536,2003 Tavel JA (NIH, USA) et al A Randomized, Double-Blinded, Placebo-Controlled Trial of Intermittent Administration of Interleukin-2 and Prednisone in Subjects Infected with Human Immunodeficiency Virus
<HIV患者におけるIL-2間欠+プレドニゾンの無作為二重盲検プラセボコントロール試験>
IL-2はHIV患者のCD4を増加させるが、用量規制毒性を有する。プレドニゾンのIL-2副作用軽減効果を検討。その結果、プレドニゾンはIL-2投与時の前炎症性サイトカイン値を低下させたが、CD25発現誘導にもかかわらずIL-2関連CD4増加は鈍かった。IL-2間欠投与はCD4細胞の基礎増殖を低下させたが、この効果はプレドニゾンで抑制されたことから、プレドニゾンはIL-2のT細胞生存に対する長期効果を妨害することが示唆された。
JAIDS 33(5):601-604,2003 Chiappini E (Italy) et al Interleukin-7 and Immunologic Failure Despite Treatment with Highly Active Antiretroviral Therapy in Children Perinatally Infected with HIV-1
<HIV-1垂直感染小児におけるIL-7とHAART治療にもかかわらず起こった免疫学的失敗>
HIV-1感染小児24例を対象にIL-7血清濃度とHAART効果の関連を検討。試験開始時のIL-7値は患児では健常児より高値だった。IL-7値は開始時及びHAART開始12週後両方のCD4割合と逆相関したが、ウイルス量との相関は認めなかった。開始時IL-7値はウイルス学的失敗の有無で差はなかったが、HAART開始12週後の値は失敗例で有意に上昇、失敗なしで有意に低下していた。開始時IL-7値ではHAARTの免疫学的効果は予測出来ず、外部からのIL-7投与は治療に貢献しないと示唆された。
JAIDS 33(5):651-653,2003 Khanlou H (AIDS Hlth Care Fund, USA)et al Pilot Study of Directly Observed Therapy in Highly Nonadherent HIV-Infected Patients in an Urban Community-Based Institution [Letter]
<都市コミュニティベース施設の高度非アドヒアランスのHIV患者における直接観察治療(DOT)のパイロット試験>
HIV治療にはアドヒアランスが重要であり、DOTの有用性が報告されている。現在までは特殊状況下での報告であり、外来での報告は非常に少ない。外来での6週間DOTプログラムを検討したところ、特に完遂例での6ヶ月時のCD4数とウイルス量の改善が認められた。しかしその後の長期持続性は見られなかった。繰り返しのDOTが必要である。
AIDS 17(12):1763-1767,2003 McNabb JJ (Univ Nebraska Med C, USA) et al Patterns of adherence to antiretroviral medications: the value of electronic monitoring
<抗ウイルス治療に対するアドヒアランスのパターン:電子モニタリングの評価>
HIV患者40例を対象に、種々のスケジュールの治療の個人内のアドヒアランスの違いをAprexキャップでモニタリング。服薬スケジュールが個人内アドヒアランスの強い予測因子だった。その人の全般アドヒアランスの高低にかかわらず、ひとつの服薬をミスしたとき、その服用時の両薬ともミスした。逆に薬剤が同時に服用するようスケジュールされたとき、薬剤の系統にかかわらず同時に服用された。ほとんどの症例が明らかに不正確な時間に服薬した。問題となるアドヒアランスは1日3回服薬及び食事制限と関わっていた。アドヒアランスの質を検討した始めての報告である。
LANCET 362(9385):679-686,2003 Egger M () and The Antiretroviral Therapy (ART) Cohort Collaboration Prognostic importance of initial response in HIV-1 infected patients starting potent antiretroviral therapy: analysis of prospective studies
<強力な抗ウイルス治療を開始したHIV-1患者における初回反応の予後予測としての重要性>
欧米コホート試験13の9,323例のHAART初回治療患者について調査。6ヶ月のCD4<25セルの患者と比較したAIDS/死亡ハザード比は、CD4が25-49セルでは0.55、50-99セルでは0.62、100-199セルでは0.42、200-349セルでは0.25、350セル以上では0.18だった。6ヶ月のウイルス量1万以上の患者と比較したAIDS/死亡ハザード比は、ウイルス量1万-99999で0.59、500-9999で0.42、500未満で0.29.試験開始時CD4及びHIV量は6ヶ月concentration調整後の病期進行と相関しなかった。3年後の進行予測値は低リスク群2.4%から高リスク群83%だった。HAART開始から6ヶ月時点でのCD4及びウイルス量はその後の進行と強く相関したが、試験開始時の値は相関しなかった。
Clin Infect Dis 37(3):433-437,2003 Giordano TP (Baylor College Med, USA) et al Do Sex and Race/Ethnicity Influence CD4 Cell Response in Patients Who Achieve Virologic Suppression during Antiretroviral Therapy?
<性及び人種/民族は抗ウイルス薬治療でウイルス抑制を達成した患者におけるCD4細胞反応に影響するか>
抗ウイルス治療初回で6ヶ月までにウイルス抑制された患者を対象とした観察コホート試験データを分析。単変量及び多変量解析両者で、男性と比し女性でCD4上昇が大きく、PI含まないレジメンと比しPIレジメンで同様にCD4上昇が大きかった。人種/民族による差は見られなかった。
Clin Infect Dis 37(4):551-558,2003 Spritzler J (Harvard Sch Pub Hlth, USA) et al Can Immune Markers Predict Subsequent Discordance between Immunologic and Virologic Responses to Antiretroviral Therapy? Adult AIDS Clinical Trials Group
<免疫マーカーは抗ウイルス薬に対する免疫反応とウイルス学的反応との不一致を予測できるか>
試験開始時免疫活性マーカー及びナイーブ/メモリーリンパ球サブセットが、抗ウイルス薬治療開始24週後の免疫反応とウイルス反応の不一致を予測できるかを、プロスペクティブな10試験の参加者1,007例を対象に検討。ウイルス効果より免疫効果の優れる例の最も強い予測因子は開始時CD4低値。逆パターンの最も強い予測因子は初期のCD4の数と割合の高さだった。不一致予測のための初期マーカーの能力は限られたものだった。
JAIDS 33(5):557-563,2003 Wu H (US) et al Viral Dynamics and Their Relations to Baseline Factors and Longer Term Virologic Responses in Treatment-Naive HIV-1-Infected Patients Receiving Abacavir in Combination with HIV-1 Protease Inhibitors
<ABC+PI投与を受けた初回治療HIV-1患者におけるウイルスダイナミクス及び初期因子と長期ウイルス効果との関連>
ABC+PI1剤(IDV,RTV,SQV,NFVまたはAPV)投与のHIV-1患者71例の試験より、試験開始時HIV RNA量がウイルス減少率を高度に予測することを見出した。初期HIV RNA量は第1相減少率と負の相関を示し、第2相とは正相関した。さらに第1相減少率はCD4増加と正相関した。ウイルス減少率と長期(24週)ウイルス効果とは有意に相関せず、5レジメンでウイルス減少率の差はなかった。5レジメンの効果は同等で、長期ウイルス学的失敗の予測は出来なかった。

 

抗ウィルス薬、治療関連2003.7月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
Top HIV Med 11(4):145-149,2003 Havlir DV (UCSF, USA) Strategic approaches to antiretroviral treatment
[抗レトロウイルス治療に対する戦略的アプローチ]
IAS-USA(2003年、LA)におけるHavlir DV MDのプレゼンテーションのサマリー。初回治療、早期失敗、CD4高値での後期失敗、CD4低値での後期失敗に分けて、治療オプションとゴールについて、第10回CRPIでの報告を交えてディスカッション。
BMC Infect Dis 3:10-18,2003 Nadler JP (Univ South Florida, USA) et al Twice-daily amprenavir 1200 mg versus amprenavir 600 mg/ritonavir 100 mg,in combination with at least 2 other antiretroviral drugs,in HIV-1-infected patients
[HIV患者における他の抗ウイルス薬2剤以上を併用したAPV 122mgとAPV/RTV 600/100mg bidとの比較]
未治療/既治療患者211例を対象とした24週多施設オープン試験。24週でのAPV/RTVの抗ウイルス効果はAPV1200と同等以上。ウイルス量[50はAPV/RTVで48%、APV1200で29%、ウイルス量低下もAPV/RTVが優位。CD4増加、副作用頻度、副作用による治療中断は同等、口内/末梢感覚異常はAPV/RTVの方が低値。24週でHIV[200の15例中11例が更に24週継続し、持続的効果が確認された。
The Drug Advisor 2(8):1-16,2003   The HIV Protease Inhibitors PIについての総説。各薬剤の効果、副作用、投与方法等のまとめ。LPV/rは最も効果が強く、その欠点を凌ぐ。NFVは耐性を誘導しやすい。ATVは新規のPIであり、初の1日1回。投薬量/回数の多いこのクラスではアドバンテージがある。12ページにわたる比較表を掲載。
Ann Intern Med 139(2):81-89, 2003 Martinez-Picado J (Spain) et al Alternation of Antiretroviral Drug Regimens for HIV Infection. A Randomized, Controlled Trial
[HIV患者に対する抗ウイルス薬レジメン交代療法:無作為コントロール試験]
未治療患者161例を対象とした多施設試験。レジメンA(d4T+ddI+EFV)またはレジメンB(AZT+3TC+NFV)か、A/B3ヵ月ごと交代療法(レジメンC)のいずれかに割り付け。レジメンAとBは同等、48週間のウイルス学的失敗はA/Bと比しCで遅かった。CD4、副作用頻度、アドヒアランス及びQOLはA/BとCで同等。
JAIDS 33(3):343-348,2003 Acosta EP (Univ Minnesota Med Sch, USA) et al Intermittent Administration of High-Dose Stavudine to Nucleoside-Experienced Individuals Infected With HIV-1
[NRTI既治療HIV-1患者に対する高用量d4T間欠投与]
既治療患者に対する新規治療法の検討。無症候の既治療11例(NRTI投与平均6年)にd4T 280mg/dを4週サイクル(4週投与/4週休薬)で投与。d4T投与量は定常期血中濃度1.5μMを目標に設定。2サイクル以降は1サイクル目に75%以上ウイルス量低下の見られた症例のみに投与。44週にわたり合計38サイクル(平均3.5サイクル/人)を施行し忍容性良好。治療終了時にウイルス量低下中央値6.5log、CD4増加中央値110。しかし休薬期にはウイルス量増加とCD4減少が見られた。耐性は問題とならなかった。d4T血中濃度とウイルス量とは有意に相関。更に強力なレジメンを用いた同様のアプローチの研究を考慮すべき。
JAIDS 33(4):543-544,2003 Michelmore H (Australia) et al Sustained HIV-1 Suppression in Treatment-Naive Patients Undergoing 4- to 3-Drug Induction Maintenance Therapy (INDUMAIN) [Letter]
[3-4剤の導入維持療法(INDUMAIN)を受けている未治療患者における持続的HIV-1抑制]
NRTI2剤(3TC,d4T,ddI±AZT)+PI2剤(SQV,RTV,NFV±IDV)標準投与量によるINDUMAIN療法を受けた未治療患者43例についてのレトロスペクティブスタディ。ウイルス量検出限界以下が少なくとも6ヶ月続けば標準3剤治療に切り替え、第一エンドポイントはウイルス検出限界以上。治療前ウイルス量は5.4Log、導入治療期間中央値は1.3年、全例8週までにウイルス量検出限界以下を達成、ウイルス学的失敗は非アドヒアランスの1例のみ。副作用もマイルドで治療変更は稀、アドヒアランスも良好。この導入療法は治療前ウイルス量高値例に有用。
J Infect Dis 188(3):388-396,2003 Dybul M (Ntl Inst Allergy Infect Dis, USA) et al Long-Cycle Structured Intermittent versus Continuous Highly Active Antiretroviral Therapy for the Treatment of Chronic Infection with Human Immunodeficiency Virus: Effects on Drug Toxicity and on Immunologic and Virologic Parameters
[HIV慢性感染治療における長サイクルSTIと持続的HAARTとの比較:薬剤毒性及び免疫/ウイルス学的パラメータに対する効果]
長サイクルSTI(休薬4週→HAART8週)と持続的HAARTとの比較試験を開始したが、5例に耐性変異出現で追加登録終了。41例の患者で48週後、脂質、肝酵素、CRP値は差なし。CD4値、CD8値あるいはCD4+CD25+,CD8+CD25+,CD4+DR+細胞比に差はなかったが、STI施行患者でCD8+CD38+及びCD8+DR+細胞比は有意に高かった。明らかな自己免疫効果は認められなかった。持続的HAARTに比較してSTIの優位性は認められなかった。
JAIDS 33(3):321-328,2003 Lucas GM (Johns Hopkins Univ, USA) et al Survival in an Urban HIV-1 Clinic in the Era of Highly Active Antiretroviral Therapy: A 5-Year Cohort Study
[HAART時代における都市部HIV-1クリニックにおける生存率:5年間コホート試験]
1999年以前にHAARTを開始した444例をa.長期ウイルス抑制群、b.ウイルス抑制後リバウンド群、c.無効群に分類。HAART治療期間はa.82%、b.60%、c.23%。4年追跡で累積治療薬数はb.7剤、a/c.5剤。5年生存見積もりはa.89%、b.76%、c.56%。追跡期間中の糖尿病発現はa.35%、b.24%、c.8%。
JAIDS 33(4):484-493,2003 Tesoriero J (NY State Dep Hlth, USA) et al Stability of Adherence to Highly Active Antiretroviral Therapy Over Time Among Clients Enrolled in the Treatment Adherence Demonstration Project
[治療アドヒアランス・デモ・プロジェクト参加者における経時的HAARTアドヒアランス安定性]
NYでのアドヒアランスサポートプログラム参加者435例のアドヒアランス持続性を少なくとも2年追跡。断面的非アドヒアランスは35%以下だったが、3インタビューを横断して考慮すると54%に達した。transition matricsによりアドヒアランスが経時的に安定であることが示された(試験開始時アドヒアランス良好例で81.0%、非アドヒアランス例で58.3%)。多変量解析で、いくつかの例で非アドヒアランス増加要因として、理想的状態から非理想的状態への移行(例えば不法薬剤非使用から使用への変化)がこれらの状態が経時的に存在するよりも関与していることが示された。多方向の定期的分析の重要性が示された。
JAIDS 33(3):380-386,2003 Thi?baut R (france) et al Time-Updated CD4+ T Lymphocyte Count and HIV RNA as Major Markers of Disease Progression in Naive HIV-1-Infected Patients Treated With a Highly Active Antiretroviral Therapy: The Aquitaine Cohort, 1996-2001
[HAART治療の未治療HIV-1患者における病気進行に関する主要マーカーとしての最新CD4+Tリンパ球数及びHIV RNA]
HAART開始症例における最新CD4数、HIV RNA量及び臨床進行(AIDS発症または死亡)との関係を検討。1996-2000年の未治療患者551例を中央値33ヶ月追跡、AIDS発症46例、死亡23例。多変量解析で最新CD4値とHIV RNA量は臨床進行と関連。通常の閾値を用いた再審バイオマーカーの効果を分析するとき、CD4に関しては臨床進行との関連性は弱くなったが依然有意、HIV RNAは有意に相関。最新CD4について調整した最新HIV RNAの予測情報は有意だがいかにマーカーを考慮に入れるかに依存した。臨床試験の結論や会社にはこれら2種のバイオマーカーの有意性にウエイトを置くべきである。

 

抗ウィルス薬、治療関連2003.6月号
書誌事項・ソース・リンク 報告者 タイトル サマリー
AIDS 17(9):1339-1349,2003 Haas D W (Vanderbilt Univ, USA) et al Therapy with atazanavir plus saquinavir in patients failing highly active antiretroviral therapy: a randomized comparative pilot trial
[HAART失敗患者におけるATV/SQV:無作為比較パイロット試験]
既治療患者を対象とするATV(400/600mg)/SQV1200mg1日1回投与とRTV/SQV(400/400mg)との48週間比較試験。3群とも効果同等。副作用による投与中止はATV群で有意に低値。ATVでは脂質に対する副作用がなく、治療による脂質の変化はATV400mg、ATV600mg、RTV群でそれぞれ、LDLが-0.6,-6.7,23.3%、TGは-4.8、-27.1,93.0%だった。
HIV Clinical Trials. 4(3):193-201, 2003 Maggiolo F (Italy) et al Once-a-Day HAART: Dream or Reality?
[1日1回HAART:夢か現実か]
アドヒアランス改善のための最も有効な策は服用数と回数を減らすことと考えられる。まだデータは少なく全てのニーズの回答となるわけではないが、選択オプションとして広がりつつある。
NEJM 348(22):2175-2185,2003 Lalezari JP (UCSF, USA) et al Enfuvirtide, an HIV-1 Fusion Inhibitor, for Drug-Resistant HIV Infection in North and South America
[Enfuvirtid、南北アメリカにおける薬剤耐性HIV感染のためのHIV-1侵入阻害剤]
enfruvirtide(T-20)の第III相試験(TORO1)の報告。3系統の抗ウイルス薬治療歴があり薬剤耐性を示しウイルス量5万以上の患者を3〜5剤±T-20の2群に分けた。評価対象は491例、24週でのウイルス量低下、CD4増加はT-20追加群で有意に大きかった。注射部位の反応は98%。肺炎発症例が対照群よりも多かった。
NEJM 348(22):2186-2195,2003 Lazzarin A (Italy) et al Efficacy of Enfuvirtide in Patients Infected with Drug-Resistant HIV-1 in Europe and Australia
[ヨーロッパ及びオーストラリアにおける薬剤耐性HIV-1感染者におけるenfuvirtideの効果]
enfruvirtide(T-20)の第III相試験(TORO2)の報告。抗ウイルス治療±T-20の比較試験。解析対象512例、24週でのウイルス量低下、CD4増加はT-20追加群で有意に大きかった。
NEJM 348(22):2228-2238,2003 Kilby JM (Univ Alabama, USA) et al Novel Therapies Based on Mechanisms of HIV-1 Cell Entry
[HIV-1細胞侵入の機序に基づいた新規治療]
侵入阻害剤についての総説。機序と開発中薬剤について。
Ann Pharmacother 37(6):849-859, 2003 Grim SA (Univ.Kentucky, USA) et al Tenofovir disoproxil fumarate
[テノフォビル]
テノフォビルの薬理、抗ウイルス作用、薬物動態、効果、安全性、耐性プロフィール、臨床使用についての総説。
BMC Infect Dis 3:10-,2003 Nadler JP (Univ South Florida,USA) et al Twice-daily Amprenavir 1200mg versus Amprenavir 600mg/Ritonavir 100mg, in combination with at least 2 other antiretroviral drugs in HIV-1 infected patients
[HIV-1患者に対する2剤以上の抗ウイルス薬を併用したAPV1200mg bid vs APV/RTV 600/100mg]
24週の多施設オープンラベル比較試験。APV1200 53例、APV600/RTV 158例。ウイルス<50は29vs48%、試験開始時からのウイルス量低下は-1.59vs-2.21log10で、APV600/RTVが有意に良好。CD4増加、副作用、副作用による中止は同等。
Clin Infect Dis 36(12):1585-1592,2003 Cooper CL (Ottawa HP, USA) et al A Review of Low-Dose Ritonavir in Protease Inhibitor Combination Therapy
[PIを含む治療における低用量RTVのレビュー]
チトクロームP450 3A4の強力な抑制剤であるRTVにブーストされたLPV,IDV,SQVには持続的な抗ウイルス効果が認められている。概ね忍容性が認められるが、消化器症状、肝毒性、脂質異常などが課題として残っている。
Drug Safe 26(9):605-624, 2003 Lisziewicz J (Italy) et al Hydroxyurea in the Treatment of HIV Infection : Clinical Efficacy and Safety Concerns
[HIV治療におけるヒドロキシウレア:臨床的効果と安全性]
基礎及び臨床研究で、ヒドロキシウレア併用療法がが種々の病期のHIVに有効な治療オプションである可能性が示唆されている。しかし安全性の点では、骨髄抑制、皮膚症状、消化器症状、腎・肝機能障害や抗ウイルス薬の副作用の増強などを用量依存的に起こす可能性がある。RIGHT702スタディで低用量(600mg/d)が検討され、優れた効果と安全性が示され、既治療の進行患者へのサルベージの可能性が示唆された。ddIとの併用効果はddI耐性により減弱されない可能性がある。長期効果・安全性を検討する必要がある。
Intern J STD AIDS 14( 5):350-355,2003 Rossero R (Univ Texas , USA) et al Hydroxyurea in combination with didanosine and stavudine in antiretroviral-experienced HIV-infected subjects with a review of the literature
[既治療HIV患者におけるddI+d4Tとヒドロキシウレアの併用の報告と文献レビュー]
既治療HIV患者31例を対象に31例ddI+d4T+HU(1000mg/d)16週間投与。試験開始時のbDNAウイルス量中央値10(5)Log(10)、CD4中央値231、12週後にはウイルス量は1.3Log(10)減少。AZT前治療例に比べddI前治療例で効果が早かった。副作用は4例(好中球減少、膵炎、末梢神経障害)で中止により改善。優れた効果が得られ、無作為プロスペクティブの必要である。
J Infect Dis 188(1):137-141,2003 Lee N (Canada) et al Rates of Disease Progression among Human Immunodeficiency Virus-Infected Persons Initiating Multiple-Drug Rescue Therapy
[多剤救済療法を開始したHIV患者における病期進行率]
多剤救済療法(MDRT)と初回3剤抗ウイルス療法(ART)との生存の特徴及び進行の比較を実施。36ヶ月累積死亡率は各14.2,10.9%。初期変数調整多変量解析で、MDRTは全死亡増加の予測因子にはならなかった。短期間の検討で、MDRT施行患者では比較的死亡率が低かった。初期予測因子で調整したところ、生存率は初回3剤ART施行例と同等だった。
Arch Intern Med 163:1220-1226,2003 Fagard C (Switzerland) et al A Prospective Trial of Structured Treatment Interruptions in Human Immunodeficiency Virus Infection
[HIV患者におけるSTIのプロスペクティブ試験]
HAART施行133例を対象としたSTIスタディ。CD4中央値740、ウイルス量検出限界以下は中央値21ヶ月。HAART中止2週間/再開8週間を4サイクル後、治療を40週継続。ウイルス量<5000は52週時点で17%、96週時点で8%。HAART全ウイルス量低値及び0-40週でリバウンドなしが効果と関連した。HIV特異的CD8細胞は0-52週では増加したが、効果とspot-forming cellは逆相関。64%が少なくとも12週間、41%が56週間治療を中止した。CD4は最初の12週は792から615に低下したが、以後は定常だった。1例がサルベージ治療を要する薬剤耐性を発症。AIDS関連死なし。自己免疫化仮説を支持する結果ではなかった。
AIDS 17(10):1487-1492,2003 Fagard C (Switzerland) et al A controlled trial of granulocyte macrophage-colony stimulating factor during interruption of HAART
[HAART中断中のGM-CSFのコントロール試験]
HAART有効33例を2群に分け、12ヶ月のSTIのみと、STI+初期4週間にGM-CSF300μg sc×3/wk併用を割り付けた。STI群のほとんどで0-4週にCD4低下が起こったが、GM-CSF群では起こらなかった。0-12週のCD4細胞AUCはSTI群と比しGM-CSF群で高かった。GM-CSFによる局所症状は88%、全身症状(発熱等)は82%、76%が予定通りのsc治療を完遂。
HIV Clinical Trials. 4(3):170-83, 2003 Legrand M (France) et al An in vivo Pharmacokinetic/Pharmacodynamic Model for Antiretroviral Combination
[抗ウイルス薬併用療法のin vivo薬物動態/薬物動力学モデル]
AZT+3TC+IDV初回治療の8例を対象に検討。薬物濃度と抗ウイルス効果との関連の検討のために、in vitro E(max)モデルを試験。E(max)モデルは実験データーへのフィットが乏しかった。HAARTは効果的なので、薬剤濃度とウイルス量低下との関連のパラメータを推定することは出来なかった。複雑モデルは有用でなかったが、単純モデルは有用だった。
JAIDS 33(2):157-165,2003 Wong M D (UCLA, USA) et al Complementary and Alternative Medicine Use and Substitution for Conventional Therapy by HIV-Infected Patients
[HIV患者による補完代替医療(CAM) 使用及び通常治療に対する代用]
CAMについて1996-97年に2,466例のHIV患者を対象に調査。55%が少なくとも一つのCAM経験あり。1/4は副作用対策で、1/3は医師との相談なしに使用。医療情報や治療決定への参加欲求の強い患者、抗ウイルス薬に対する負の感覚をもつ患者でCAM使用が多かった。通常治療の代用としてCAM使用は3%で、治療決定への参加及び治療薬に対する負の感覚のオッズ比が高かった。医療者は副作用を避け使用状況を把握するために、CAMについてオープンに尋ねるべきである。
JAMA 289(20):2648-2649,2003 Penzak SR () et al Analysis of Generic Nevirapine Products in Developing Countries
[開発途上国におけるNVP一般薬の分析]
5種のNVP一般薬(200mg)の含量を分析。平均値は197.9mg(191.4-205.5mg)だった。
AIDS 17(9):1311-1317,2003 Spacek L A (Johns Hopkins Univ, USA) et al Total lymphocyte count and hemoglobin combined in an algorithm to initiate the use of highly active antiretroviral therapy in resource-limited settings
[リソースの限られた状況下でのHAART開始に対するアルゴリズムに結合された総リンパ球数(TLC)及びヘモグロビン値]
3,269例を対象としたレトロスペクティブ調査。TLC<1200セル/mm3及びHb<12g/dLがCD4<200の有意な予測因子だった。TLC単独の感受性は70.7%、特異性は81.7%で、高くはなかった。Hbを加えることにより感受性が向上した。
AIDS 17(9):1413-1414,2003 Moreno S (Spain) et al Hypersusceptibility to non-nucleoside reverse transcriptase inhibitors in HIV-1 [Correspondence]
[HIV-1におけるNNRTIに対する感受性亢進]
Whitcombら及びHaubrichらにより、NNRTI未投与でNRTIによる多数の治療歴のある症例で、NNRTIに対する感受性が亢進することが報告された。我々もNNRTI未投与でNRTI及びPIによる多数の治療歴のある62例を対象に調査したところ、NVP,EFVに対する感受性亢進は認められなかった。同じ結果がかつてフランスの研究で報告されている。

 

抗ウィルス、治療関連2003.5月号
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
AIDS 17(8):1151-1156,2003 Louie M (Rockfeler Univ, USA) et al Determining the antiviral activity of tenofovir disoproxil fumarate in treatment-naive chronically HIV-1-infected individuals
[未治療慢性HIV-1感染患者におけるTDFの抗ウイルス活性の決定]
未治療慢性HIV-1患者10例を対象に、TDF21日間単剤治療の効果を検討。21日後、HIV-1 RNAレベルは1.5log(10)コピー/mL低下。ウイルス量低下率は、PI未投与患者におけるRTV単剤治療時の低下率と同等。
AIDS 17(8):1167-1172,2003 Polis MA (NCI, USA) et al Suppression of cerebrospinal fluid HIV burden in antiretroviral naive patients on a potent four-drug antiretroviral regimen
[未治療で強力な4剤抗ウイルス薬治療を受けた患者におけるCSF内HIV抑制]
HIV-1患者25例にIDV+NVP+AZT+3TC投与し、治療開始前及び2,6ヵ月後にCSF中ウイルス量を測定。2ヵ月後でHIV>50が36%だったが、6ヶ月では測定全例がHIV<50に抑制。CSF中白血球細胞数は試験開始時より有意に低下。投与間隔8時間でIDV濃度は血漿中では速やかに低下したが、CSF中では定常だった。CSF中IDV濃度中央値はIC95以上だった。
JAIDS 33(1):118-119.2003 Sungkanuparph S (Thailand) et al Efavirenz-Based Regimen as Treatment of Advanced AIDS With Cryptococcal Meningitis [Letter]
[クリプトコッカス髄膜炎発症の進行AIDS患者の治療としてのEFVベースレジメン]
タイの施設でのプロスペクティブ無作為試験。クリプトコッカス髄膜炎の治療に成功し、2ヶ月の二次予防を受け、抗ウイルス薬未治療患者に、AZT+3TC+EFV投与。48週にわたる抗ウイルス効果が認められ、投与中止を要する重篤な副作用はなし。有効で安全だった。このような患者に対して抗ウイルス薬治療を遅らせるべきではない。
JAIDS 33(1):112-114.2003 Manfredi R (Italy) et al Antiretroviral Treatment and Advanced Age: Epidemiologic, Laboratory, and Clinical Features in the Elderly [Letter]
[抗ウイルス治療と高齢:高齢者の疫学的、実験学的及び臨床的特徴]
生存の改善と共に高齢患者が増えつつある。高齢者に対する抗ウイルス療法の特徴や効果、副作用等を、55-65才と66-86才とで比較。12ヵ月後の各群のウイルス量低下は、それぞれ1log(10)、0.5log(10)に過ぎなかった。両群間のウイルス量に差はなかったが、特に治療開始6,9ヵ月後のCD4に有意差があり、加齢によるリンパ器官(特に胸腺)の衰えが影響すると考えられた。治療による副作用やアドヒアランスは差なし。抗ウイルス治療の高齢者を含む大規模コントロール試験が必要である。
Clin Infect Dis 36(11):1483-1485,2003 Chakraborty R (Kenya) et al Management of Severely Immunocompromised Human Immunodeficiency Virus Type 1Infected African Orphans with Structured Treatment Interruption: Another Kind of Salvage Therapy
[STI施行の重度免疫抑制状態のHIV-1感染アフリカ人孤児の管理:もう一つのサルベージ療法]
安価で毒性の低い治療の開発が優先事項である。STIを未治療の高度免疫抑制のアフリカ人小児に適応したところ、STI開始2年後でTリンパ球増加とQOL及び生存が認められた。

 

抗ウィルス、治療関連2003.3月号
書誌事項・ソース・リンク
報告者
タイトル
サマリー
J Infect Dis 187(7):1157-1162,2003 Saah AJ (Merck, USA) et al Treatment with Indinavir, Efavirenz, and Adefovir after Failure of Nelfinavir Therapy

NFV治療失敗後のIDV+EFV+ADF治療
プロスペクティブオープンラベル試験を実施し、プロテアーゼのジェノタイプがサルベージ治療の結果に影響するかどうかを検討。NFV失敗の29例を検討したところ、D30Nが59%、L90Mが38%だった。治療48週後のウイルス量<400達成率は、D30N保有者では56%だったが、L90M保有者では18%だった。
AIDS 17(5):691-698,2003 Lalezari J P (Quest Clin Res, USA) et al A phase II clinical study of the long-term safety and antiviral activity of enfuvirtide-based antiretroviral therapy

FTCベース抗ウイルス治療の長期安全性及び抗ウイルス効果に関するPhaseII臨床試験
48週間非コントロールオープンラベルロールオーバー試験。対象は前治療ありの71例。FTCは50mgを1日2回自己皮内投与、2剤以上の他剤を併用。治療関連副作用はほとんどがgrade2以下。治療部位反応はしばしば認められたが、治療中断はなし。14日までにHIV-RNA変化は-1.33ログ。48週の時点で約1/3でウイルス抑制、CD4増加中央値は84.9。血中濃度トラフ値は持続的にターゲット濃度以上だった。
JAIDS 32(4):462- 464 ,2003 Lafeuillade A (France) et al HIV-1 RNA Levels, Resistance, and Drug Diffusion in Semen Versus Blood in Patients Receiving a Lopinavir-Containing Regimen

LPVを含む治療を受けた患者におけるHIV-1 RNAレベル、耐性及び薬剤移行の精液中と血液中との比較
PIの精液移行は、NFVの<5%からIDVの200%まで様々である。比較的新しいLPV/RTVについて23例で検討。血液及び精液は朝の薬剤服用直前に採取。その結果、LPVの精液移行は平均6%以下と低かった。それにもかかわらず、87%で精液中HIV RNAは検出限界以下だった。部分的には併用のNRTI、NNRTIの良好な移行で説明できるかもしれないが、それだけではない。
Clin Infect Dis 36(6):812-815,2003 Sterling TR (Johns Hopkins Univ Sch Med,USA) et al Initiation of Highly Active Antiretroviral Therapy at CD4+ T Lymphocyte Counts of >350 cells/mm3: Disease Progression, Treatment Durability, and Drug Toxicity

CD4、350でのHAART開始:病期進行、治療持続性及び薬物毒性
CD4が350-499でHAARTを開始した159例とそれ以下で開始した174例で、病期進行を比較したところ、有意差は見られなかった。前群の53%が最も最近の検査でHIV>400であり、41%が治療変更を要する副作用を経験していた。このことからCD4>350の患者へのHAART開始は推奨できないことが示唆される。
JAIDS 32(3):303-310,2003 CASCADE Collaboration (UK) Short-Term CD4 Cell Response After Highly Active Antiretroviral Therapy Initiated at Different Times From Seroconversion in 1500 Seroconverters

155例の陽転例における陽転からの種々のタイミングでのHAART開始後の短期CD4細胞反応
CD4短期反応に対するHIV罹病期間及びCD4値の影響を検討。CD4反応(6ケ月で100以上の増加)は、陽転から1年以内のHAART開始で多かった。CD4値201-350で開始するのと比較し、CD4>350でのHAART開始は反応を改善しなかった。しかしCD4<200ではCD4反応の機会は低いようだった。さらに治療開始前において、CD4最低値がHAART導入前より低い場合にはCD4反応が小さいようだった。この結果から、陽転後1年以内のHAART開始により、短期CD4反応は改善されると考えられた。CD4が200に達する以前のHAART開始は、短期反応という点では得るものが少ない。
AIDS 17(5):768-770,2003 Lampe F C (UK) et al Viral breakthrough after suppression with highly active antiretroviral therapy: experience from 233 individuals with viral loads of less than 50 copies/ml followed for up to 4 years [Letter]

HAARTによるウイルス抑制後の再増殖:ウイルス量 50の患者223例の4年にわたる追跡
前治療がなくHAARTを開始し充分なウイルス抑制を経験した患者223例を対象に、治療中の治療中のウイルス再増殖発現を検討したところ、発現率は3.6/100例・年だった。HAARTによるウイルス抑制は治療に長期忍容性の見られた症例では非常に持続性が高い。
AIDS 17(4):619-624,2003 Phillips A (UK) et al Trial and error: cross-trial comparisons of antiretroviral regimens

試行錯誤:抗ウイルスレジメン試験の交差比較
ある2つの治療法の直接比較試験がない場合、それぞれの試験の交差数値を比較することは困難である。ベースラインの違い、手順の違い、分析方法の違い等についてレビュー。
J Infect Dis 187(6):896-900,2003 Louie M (The Rockefeller Univ,USA) et al Determining the Relative Efficacy of Highly Active Antiretroviral Therapy

HAARTの相対効果の決定
現在の併用療法の効果が最大限に達したかどうかは明らかではない。LPV/RTV+EFV+TDF+3TCによる新規併用療法開始後の効果の早期指標である血中HIV-1 RNAの衰退の第一相を、他の併用療法と比較した。その結果、HAARTの相対効力は25-30%増加する可能性があると考えられた。この早期指標と長期効果との関連について研究が必要である。
J Infect Dis 187(5):748-757,2003 Lacabaratz-Porret C (France) et al Impact of Antiretroviral Therapy and Changes in Virus Load on Human Immunodeficiency Virus (HIV)Specific T Cell Responses in Primary HIV Infection

HIV一次感染者におけるHIV特異的T細胞反応に対する抗ウイルス治療のインパクト及びウイルス量の変化
CD4+及びCD8+T細胞反応を長期にプロスペクティブコホート調査したところ、試験開始時ウイルス量とHIV特異的CD4/CD8反応との間に相関は認められなかった。HAARTによるウイルス血症抑制はCD4増殖反応と相関していた。HIV特異的増殖反応も治療/未治療の血中ウイルスの認められる症例で少なくとも初期18ヶ月は増加した。HIV特異的CD8反応の強さはウイルス血症抑制で減少した。ウイルスの認められる症例で、HIV特異的CD8反応の幅と強度は漸増した。抗体陽転以前または陽転後どちらにHAARTを開始してもHIV特異的CD4及びCD8反応に対する影響は少なかった。
AIDS 17(4):628-629,2003 Sullivan A K (UK) et al Interleukin-2-associated viral breakthroughs induce HIV-1-specific CD4 T cell responses in patients on fully suppressive highly active antiretroviral therapy [Letter]

IL-2関連ウイルス攻撃はHAARTにより十分にウイルスが抑制されている患者においてHIV-1特異的CD4細胞反応を誘導する
IL-2+HAARTはCD4増加に効果的である。著者らの検討によりIL-2によるウイルス”blip”(一時的増加)は24週の時点でHIV-1特異的リンパ球増加作用を引き起こすことが示された。自己のウイルスを自己ワクチンとして利用するアプローチは実行可能でより安全でSTIに代わり得るものであり、治療ワクチンよりもより効果的である可能性がある。
JAIDS 32(3):281-286,2003 Wallis R S (New Jersey Med Sch,USA) et al A Study of the Immunology, Virology, and Safety of Prednisone in HIV-1-Infected Subjects with CD4 Cell Counts of 200 to 700 mm-3
ACTG-349。CD4>200の患者24例を対象にプレドニゾン40mg/dの効果と安全性を検討したプラセボコントロール試験。8週後、リンパ球とCD4細胞は開始時より40%以上増加。細胞活性化またはアポトーシスのマーカーへの影響はみられなかったが、CD28+CD8+細胞比は増加した。プレドニゾンは抗原またはマイトジェンに対するT細胞反応に影響することなく単球TNFα産生を阻害した。2例に腰の骨壊死が発現。
Clin Infect Dis 36(6):803-811,2003 Kitahata MM (Univ Washington,USA) et al Electronic Human Immunodeficiency Virus (HIV) Clinical Reminder System Improves Adherence to Practice Guidelines among the University of Washington HIV Study Cohort

電子的HIV臨床リマインダーシステムがワシントン大学HIVスタディコホートでの試験ガイドラインに対するアドヒアランスを改善する
1,204例を対象にしたプロスペクティブスタディ。90%以上の患者で電子的リマインダーシステム施行前後でCD4及びHIV RNAモニタリングを3-6ヵ月ごとに施行し、CDk最低値<350の患者の80%以下がHAARTを施行。システム施行で、結核予防や毎年の子宮頸癌スクリーニング、トキソプラズマ及び梅毒の抗体スクリーニングの受診が有意に高かった。
AIDS 17(4):631-633,2003 Krentz H B (Canada) et al The impact on health-related quality of life of treatment interruptions in HIV-1-infected patients [Letter]
HIV-1患者における治療中断の健康関連QOL(HRQOL)に対するインパクト
HIV-1患者50例を対象に、治療中断の前/中/後にHRQOLを検討した。sコアは中断中は低下し再治療で改善するが、中断前よりも低値であった。中断の理由がスコアに影響した。治療中断は医学的決定に基づき行われるべきで、中断によりHRQOLは増加しないことが示唆された。